JPH06242247A - 液状放射性薬剤小分け装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液状放射性薬剤の小分け装置に関し、簡単な
操作で、被爆の危険性少なく、所望の放射能を元容器か
ら小分けすることのできる液状放射性薬剤の小分け装置
を提供することを目的とする。 【構成】 元容器に収納された液状放射性薬剤を別容器
に小分けする装置であって、元容器から別容器に液状放
射性薬剤を移送するための流路（４）と、前記流路
（４）と結合され、流路中の液状放射性薬剤の移送を駆
動することのできるポンプ（６）と、前記ポンプ（６）
の駆動を制御することのできる制御装置（１１、１５）
と、別容器中の液状放射性薬剤の放射能を測定すること
のできる放射能測定器（８、９、１０）とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液状放射性薬剤の小分
け装置に関する。放射性同位元素を含む薬剤は、所望元
素の振る舞い、分布を放射能によって検出可能にし、循
環器系の診断等に極めて有用である。しかし、放射性同
位元素の放射能は、半減期に従い、時間の経過と共に減
少する。

【０００２】

【従来の技術】放射性元素を含む放射性薬剤は、取り扱
いの容易性から通常液状化合物の形で使用される。放射
性薬剤の放射能は、時間と共に減少するため、一定の放
射能を患者に投与しようとすると、投与すべき液状放射
性薬剤の液量は時間と共に増大する。したがって、液状
放射性薬剤を予め小分けして準備することは意味がな
い。

【０００３】通常、液状放射性薬剤は複数回使用できる
量を元容器に収容し、使用の度に小分けして用いる。放
射性薬剤を元容器に封入する際に、放射能量と液容量が
測定される。その後の放射能量は、封入時からの時間経
過によって半減期を用いて計算できる。

【０００４】液状放射性薬剤を小分けする時には、まず
封入時から小分け時までの時間を計算する。この時間に
基づき、半減期を用いて所定液量当たりの現在の放射能
を計算する。

【０００５】たとえば、１００ｃｃ当たりの放射能が３
７００ＭＢｑの場合、３７００ＭＢｑの放射能を小分け
したい場合、注射器用シリンジ等により１０ｃｃを抜取
り、小分け用のびんに移す。このようにして所望量の放
射能を元びんから取出し、患者に投与する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上説明したような従
来の技術によれば、小分け時に残存する放射能を計算す
ることが必要であった。

【０００７】通常は、取扱者が電子式卓上計算器等を用
いて計算するため、煩わしさと共に計算を間違える可能
性があった。小分け作業は手操作で行なわれたため、取
扱者が放射能によって被爆する。また、手操作で小分け
作業を行なうため、不慣れな者が行なうと、１回の操作
では正確に所望放射能を小分けできないことが多かっ
た。

【０００８】本発明の目的は、簡単な操作で、被爆の危
険性少なく、所望の放射能を元容器から小分けすること
のできる液状放射性薬剤の小分け装置を提供することで
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の液状放射性薬剤
小分け装置は、元容器に収納された液状放射性薬剤を別
容器に小分けする装置であって、元容器から別容器に液
状放射性薬剤を移送するための流路と、前記流路と結合
され、流路中の液状放射性薬剤の移送を駆動することの
できるポンプと、前記ポンプの駆動を制御することので
きる制御装置と、別容器中の液状放射性薬剤の放射能を
測定することのできる放射能測定器とを有する。

【００１０】

【作用】元容器から別容器への液状放射性薬剤の移送
は、流路とポンプとを用いて行なわれるため、自動的に
行なうことができる。

【００１１】放射能測定器によって、小分け容器に移送
された液状放射性薬剤の放射能を測定し、所定放射能と
なった時には制御装置を介してポンプの駆動を停止すれ
ば、所望放射能量が別容器中に得られる。

【００１２】予め所望放射能を設定し、別容器中に移送
された液状放射性薬剤の放射能が設定値に等しくなった
時に自動的にポンプの駆動を停止させれば、小分け操作
はさらに簡単になる。

【００１３】このように、簡単な操作で、かつ放射能被
爆の危険性少なく、正確な放射能量を小分けすることが
可能になる。

【００１４】

【実施例】図１は、本発明の実施例による液状放射性薬
剤小分け装置を示すブロック図である。液状放射性薬剤
１を収容する元びん２は、液状放射性薬剤を封入する際
にその液量と放射能が測定されている。元びん２は鉛等
の放射線遮蔽体３で囲まれた場所に設置する。

【００１５】別の場所に小分けびん７が放射能検出器８
の放射能検出空間内に設置される。元びん２から小分け
びん７に配管４が延在し、元びん２中の液状放射性薬剤
を小分けびん７に移送することができる。

【００１６】配管４の中間には、チューブ抜き式（しご
き式）ポンプ６が結合されている。少なくともポンプ内
の部分の配管４は、弾性変形可能な樹脂で形成されてい
る。チューブ抜き式ポンプ６を駆動すると、配管４がし
ごかれ、配管４中の液状放射性薬剤は連続的に小分けび
ん７に向かって移送される。

【００１７】チューブ抜き式ポンプ６は、ポンプ駆動制
御装置１１によってその駆動を制御される。ポンプ駆動
制御装置１１は、設定制御装置１５から送られるポンプ
始動信号およびポンプ停止信号により、ポンプの駆動を
制御する。

【００１８】設定制御装置１５は、表示器を備え、所望
放射能を設定する放射能設定器１７および小分け開始ボ
タン１６をパネル上に有する。放射能設定器１７は、た
とえば液晶表示器と１０キーによって構成できる。小分
け開始ボタン１６を、押圧すると、ポンプ始動信号が発
生する。設定制御装置１５は、さらに外部から供給され
る放射能電気信号が設定放射能と等しくなった時にポン
プ停止信号を発生させるための比較器を含む。

【００１９】小分けびん７を収容する放射能検出器の検
出信号は、放射能計測器９に送られ、検出された放射能
が計測される。なお、放射能検出器と放射能計測器が構
成する放射能測定器１０はどのような形式のものであっ
てもよい。

【００２０】たとえば、放射能検出器８は、電離箱式、
ＮａＩ検出器式、半導体検出器式等で構成することがで
きる。放射能計測器９は、放射能検出器８に適合したも
のを用いる。放射能計測器９で測定された放射能は、電
気信号として設定制御装置１５に送られると共に、表示
器１３に送られて小分けされた放射能を表示する。

【００２１】図２は、図１に示す液状放射性薬剤小分け
装置の外観を示す。液状放射性薬剤小分け装置のハウジ
ング２０は、移送部２０ａと小分け量測定部２０ｂとに
大きく分かれる。

【００２２】移送部２０ａ内には、放射線遮蔽体３で囲
まれた場所に元びん２が設置され、配管４が元びん２内
に挿入される。チューブ抜き式ポンプ６も移送部２０ａ
内に配置され、元びん２近くの配管４と結合されてい
る。

【００２３】放射能検出部２０ｂは、小分けびん７を収
容する放射能検出空間を備えた放射能検出器８を備え、
配管４が小分けびん７中に挿入される。また、装置前面
には設定制御装置１５のパネルが配置され、その中に表
示器１３も配置されている。なお、設定制御装置１５に
は、放射能設定器１７、小分け開始ボタン１６の他、移
送速度選択ボタン２２も設けられている。

【００２４】取扱者が小分けびんに液状放射性薬剤を小
分けしたい時には、まず放射能検出器８内の所定場所に
小分けびんを設置し、設定制御装置１５の放射能設定器
１７を用いて所望放射能を設定する。元びん２が未だ設
置されていない時は、放射線遮蔽体３内に元びん２を設
置し、配管４を液状放射性薬剤１中に挿入する。

【００２５】その後、小分け開始ボタン１６を押せば、
元びん２から小分けびん７に液状放射性薬剤の移送が行
なわれ、移送された液状放射性薬剤の放射能が設定放射
能となった時に自動的に設定制御装置１５からポンプ停
止信号がポンプ駆動制御装置１１に送られ、移送が停止
される。液状放射性薬剤の移送が停止した後、取扱者は
小分けびん７を取り出せばよい。

【００２６】このような液状放射性薬剤小分け装置は、
必要部分を放射線遮蔽体で覆うことができる。このた
め、取扱者は小分けびんを放射能検出器８内の所定場所
に設置する際にはほとんど放射能を被爆することがない
ようにすることができる。

【００２７】液状放射性薬剤の移送は自動的に行なわれ
るため、取扱者は放射能被爆の危険性から開放される。
液状放射性薬剤を移送した後、小分けびんを取出し、運
ぶ際には放射能被爆の危険性があるが、この場合にも被
爆量を必要最小限に低減することができる。元びん設置
についても同様である。

【００２８】小分けびんに移送された液状放射性薬剤の
放射能を実際に計測し、所望放射能となったことを確認
して移送が停止されるため、正確に所望放射能を抜き取
ることができる。

【００２９】なお、図１、図２に示した液状放射性薬剤
小分け装置において、種々の変更を行なうことも可能で
ある。たとえば、設定制御装置１５から直接ポンプの駆
動制御信号を供給し、ポンプ駆動制御装置１１を省略し
てもよい。

【００３０】図３は、図１に示した構成の変形例を示
す。図１の構成においては、無脈動ポンプの一種である
チューブ抜き式ポンプが用いられたが、その他の無脈動
ポンプや脈動ポンプを用いることもできる。

【００３１】図３（Ａ）は、脈動ポンプの一種であるピ
ストン式ポンプを用いた構成例を示す。ピストン式ポン
プ６ａは、シリンダ２４とシリンダ２４中に挿入された
ピストン２５を有する。

【００３２】ピストン２５は、モータを内蔵する駆動装
置２６によって上下に駆動される。シリンダ２４は、配
管４に結合され、結合点の上流、下流に逆止め弁２７
ａ、２７ｂが接続される。

【００３３】ピストン２５を上昇させると、液状放射性
薬剤が左側から逆止め弁２７ａを通ってシリンダ２４内
に導入される。次に、ピストン２５を下降させると、シ
リンダ２４内に収容された液状放射性薬剤は逆止め弁２
７ｂを通って右側に送出される。ピストン２５の駆動
は、図１に示すようなポンプ駆動制御装置からの電気信
号によって制御され、駆動装置２６によって行なわれ
る。

【００３４】図３（Ｂ）は、小分け容器として注射器用
シリンジを用いた場合を示す。シリンジ２８内にピスト
ン２９を収容し、内部容積をゼロにした状態で、シリン
ジ２８の先端と配管４の先端を結合し、放射能検出器８
内の放射能検出空間に配置する。

【００３５】配管４を通って液状放射性薬剤が供給され
ると、シリンジ２８内に液状放射性薬剤が収容され、そ
の分ピストン２９は下方に下がる。小分け容器として注
射器用シリンジを用いた場合には、小分け作業が終了す
ると、直ちに小分けした液状放射性薬剤を患者に注射す
ることが可能となる。

【００３６】なお、放射能設定器１７は、１０キー式の
他、どのような形式のものであってもよい。たとえば、
可変抵抗によるアナログ式設定器を用いることも可能で
ある。

【００３７】また、図２の移送速度選択ボタン等によっ
てチューブ抜き式ポンプ６の駆動速度を複数段設定し、
設定制御装置１５でポンプの移送速度を選択できるよう
にしてもよい。たとえば、移送すべき液状放射性薬剤の
量に応じてポンプの移送速度を設定することができる。

【００３８】また、設定制御装置１５の代わりに、操作
者が表示器１３に表示された放射能をモニタしつつ、所
望の放射能量に達した時にポンプの駆動を停止させるこ
ともできる。

【００３９】元びん２を囲む放射線遮蔽体３は、少なく
とも元びん２内の液状放射性薬剤１から発する放射能が
放射能検出器８に入射しないように配置することが好ま
しい。なお、配管４を液状放射性薬剤が移送される際に
も、その発生する放射能を遮蔽するようにさらに放射線
遮蔽体を設置することが好ましい。

【００４０】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、
種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者
に自明であろう。

【００４１】

【発明の効果】小分けした液状放射性薬剤の放射能を測
定しつつ、小分け量を制御するため、所望の放射能を高
精度に小分けすることができる。

【００４２】小分け作業を自動化したため、取扱者の被
爆量を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例による液状放射性薬剤小分け装
置を示すブロック図である。

【図２】図１に示す液状放射性薬剤小分け装置の外観を
示す斜視図である。

【図３】図１、図２に示す液状放射性薬剤小分け装置の
変形例を示す概略断面図である。

【符号の説明】

１ 液状放射性薬剤 ２ 元びん ３ 放射線遮蔽体 ４ 配管 ６ チューブ抜き式ポンプ ７ 小分けびん ８ 放射能検出器 ９ 放射能計測器 １０ 放射能測定器 １６ 小分け開始ボタン １７ 放射能設定器

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 元容器に収納された液状放射性薬剤を別
   容器に小分けする装置であって、 元容器から別容器に液状放射性薬剤を移送するための流
   路と、 前記流路と結合され、流路中の液状放射性薬剤の移送を
   駆動することのできるポンプと、 前記ポンプの駆動を制御することのできる制御装置と、 別容器中の液状放射性薬剤の放射能を測定することので
   きる放射能測定器とを有する液状放射性薬剤小分け装
   置。
2. 【請求項２】 さらに、前記放射能測定器で測定した放
   射能を表示することのできる表示器を有する請求項１記
   載の液状放射性薬剤小分け装置。
3. 【請求項３】 さらに、所望の放射能を設定することの
   できる設定器を有し、前記制御装置は前記放射能測定器
   で測定した放射能が設定した放射能に等しくなった時、
   前記ポンプの駆動を停止させることができる請求項１な
   いし２記載の液状放射性薬剤小分け装置。