JPH0624206Y2 - 輪転印刷機の胴装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は輪転印刷機の設けられる印刷用の胴装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕

輪転印刷機は、版胴、ゴム胴などの印刷用胴装置を備え
ており、その周面には刷版やブランケツトなどの装着体
が巻かれている。例えばゴム胴の場合、胴周部には断面
三角形状の切欠きが胴全長にわたつて設けられており、
ブランケツトは胴周面に巻かれたのちこの切欠き内へ両
端部を挿入され、切欠き底部に設けた巻き軸により切欠
き内へ引込まれて締められている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような従来の胴装置においては、切
欠き内へ挿入されるブランケツトの両端部間に隙間があ
るために、条目と称する印刷障害が発生していた。すな
わち、印刷時には版胴の版面からゴム胴のブランケツト
面に転写された絵柄を紙へ転写するために各印刷胴間に
は一定の圧力が加えられるが、このとき胴周に前記隙間
があると、胴間の圧力に変化が生じ、この結果ゴム胴が
振動してこれが版胴からゴム胴へのインキの転移量に変
動を生じさせて印刷物上に条目と称する胴軸方向に延び
る線状の濃淡が発生していた。これは印刷の高速化によ
り発生率が増加していた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題を解決するための本考案は、ゴム胴にお
ける切欠きの開口端縁間に介装される充填材を、胴の軸
線方向に延びる長尺板状の基板と、この基板の一端面に
接着された弾性材製のチップとで形成し、このチップを
前記切欠きの開口端縁間に介在させ、基板の他端面を前
記切欠きの底面に着底させた。

〔作用〕

例えば、両面刷輪転印刷機において、上下のゴム胴間に
紙を通過させて印刷するとき、ゴム胴の切欠きどうしが
対向するが、切欠き内には、基端が切欠きの底面に着底
してる充填材が介装されているから、ゴム胴の他の部分
と同様な状態で接触するので圧力変動がほとんどない。

〔実施例〕

第１図ないし第３図は本考案に係る胴装置を両面印刷機
のゴム胴に実施した例を示し、第１図はこれを実施した
印刷機の胴配列図、第２図は同じくゴム胴の縦断面図、
第３図は同じくゴム胴切欠き近傍の拡大縦断面図であ
る。図において、印刷機の印刷ユニットには、上下２組
の印刷装置１，２が設けられており、各印刷装置１，２
には周面に刷版が装着された版胴３が配設されていて、
各版胴３には、インキを蓄えるインキ壷４と、壷ローラ
５をはじめとする多数のローラ群とからなるインキ装置
７、および湿し水を蓄える水舟８と複数個のローラ群９
とからなる給水装置１０が付設されている。そして刷版
の表面には、インキ装置７と給水装置１０とでインキと
湿し水とが供給されて画像が形成される。

１１は上下の各版胴３に対接されたゴム胴であつて、ゴ
ム胴１１同士も互いに対接しており、これら上下のゴム
胴１１間にはウエブ１２が挟持されて走行している。各
ゴム胴１１の外周部には、断面ほぼ三角形状の切欠き１
１ａが胴全長にわたつて設けられており、この切欠き１
１ａの底部には、胴全長にわたる一対の軸孔１１ｂが設
けられている。１３は各軸孔１１ｂに挿入されて胴両端
の円板状ベアラ１４に軸支された一対の巻き軸であつ
て、その一方の突出部には図示しないラチエツト装置が
設けられている。１５は胴周面の全長にわたつて巻き付
けられたブランケツトであつて、その両端部は切欠き１
１ａ内に係入されており、その係入端に固定された口金
１６は、巻き軸１３に設けた切欠き１３ａ内に挿入され
ている。そして、前記ラチエツト装置を操作して巻き軸
１３を図の矢印方向に回動させることによりブランケツ
ト１５が締付けられて胴周面に密着するように構成され
ている。

本装置においては、切欠き１１ａに挿入されたブランケ
ツト１５の両端部間の隙間には、充填材１７が挿入され
ている。この充填材１７は、胴とほぼ同長の金属製また
はプラスチツク製の基板１７ａと、ゴム等の弾性材で形
成されて基板１７ａに接着された長尺のチツプ１７ｂと
で一体形成されており、挿入後図示しないビスなどによ
つてベアラ側に固定されている。また、充填材１７は、
図面のように基板１７ａの下端面が切欠き１１ａの底面
に着底する高さに設定され、チツプ１７ｂの外端面はブ
ランケツト１５の表面との間に凹凸ができないようにそ
の形状，高さが設定されている。なお、充填材１７を隙
間から抜くためには、基板１７ａとチツプ１７ｂとに互
いに対応するねじ孔と孔とを２箇所ほど設け、ねじ棒を
チツプ１７ｂの孔へ挿入して引き抜くようにすればよ
い。

以上のように構成された輪転印刷機の動作を説明する。
印刷に先立ち、版胴３に刷版を装着し、またゴム胴１１
にブランケツト１５を巻き付ける。ブランケツト１５を
巻き付けるには、機外においてブランケツト１５の両端
に口金１６を装着し、この両端部をゴム胴１１の切欠き
１１ａに挿入したのち、口金１６を巻き軸１３の切欠き
１３ａに挿入する。そして端軸部のラチエツト装置を操
作して巻き軸を回転させると、ブランケツト１５が締ま
つて胴周面に密着する。そこで、別に用意した充填材１
７をブランケツト１５の挿入両端部間の隙間へ挿入し、
胴周面などで固定する。

このようにして準備したのち機械を運転すると、版胴３
の版面へはインキ装置７と給水装置１０とでインキと湿
し水とが供給されることにより画像が形成され、この画
像はゴム胴１１のブランケツト１５に転写されたのち、
さらに上下のゴム胴１１に挟持されて走行するウエブ１
２に転写されて印刷が施される。このような印刷におい
ては、ゴム胴１１の回転により切欠き１１ａが１回転に
１回ずつ対向するので凹凸によりゴム胴１１が振動しよ
うとするが、本装置においては、切欠き１１ａ内に弾性
材製のチツプを備えた充填材１７が挿入されているの
で、ブランケツト１５の周面との間に凹凸がなく振動が
発生しない。

なお、本実施においては、本考案を両面印刷機のゴム胴
に実施した例を示したが、片面刷やその他の印刷機のゴ
ム胴にも同様に実施することができる。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように、本考案によれば、輪
転印刷機の胴装置において、ゴム胴における切欠きの開
口端縁間に介装される充填材を、長尺板状の基板とその
端面に接着された弾性材製のチップとで形成し、このチ
ップを前記切欠きの開口端縁間に介在させ、基板の基端
面を切欠きの底面に着底させる構造としたことから、運
転により胴の切欠きどうしが対向したり胴の切欠きと他
の胴の周面とが対向したりしても、チップに加わる圧力
は基板を介して胴の切欠き内の底面で受けることにな
る。したがって、胴の他の部分と同様の状態で接触する
ことになり振動の発生を防ぐことができ、振動に起因し
て起きる条目などの印刷障害が発生せず印刷物の品質が
向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案に係る輪転印刷機の胴装置
の実施例を示し、第１図はこれを実施した両面刷輪転印
刷機の胴配列図、第２図は同じくゴム胴の縦断面図、第
３図は同じくゴム胴切欠き近傍の拡大縦断面図である。 ３……版胴、１１……ゴム胴、１１ａ……切欠き、１５
……ブランケツト、１７……充填材、１７ａ……基板、
１７ｂ……チップ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ゴム胴（11）の周面に巻かれたブランケッ
   ト（15）の両端部を胴の切欠き（11a）内で固定し、こ
   の切欠き（11a）の開口端縁間に充填材（17）を着脱自
   在に介装してなる輪転印刷機の胴装置において、前記充
   填材（17）を、胴の軸線方向に延びる長尺板状の基板
   （17a）と、この基板（17a）の一端面に接着された弾性
   材製のチップ（17b）とで形成し、このチップ（17b）を
   前記切欠き（11a）の開口端縁間に介在させ、基板（17
   a）の他端面を前記切欠き（11a）の底面に着底させたこ
   とを特徴とする輪転印刷機の胴装置。