JPH06240373A - モーター屑などから銅・鉄等を分離回収する方法 - Google Patents

モーター屑などから銅・鉄等を分離回収する方法

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JPH06240373A
JPH06240373A JP4734993A JP4734993A JPH06240373A JP H06240373 A JPH06240373 A JP H06240373A JP 4734993 A JP4734993 A JP 4734993A JP 4734993 A JP4734993 A JP 4734993A JP H06240373 A JPH06240373 A JP H06240373A
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JP
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copper
leaching
leachate
ammine
iron
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JP4734993A
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Hiroshi Mashima
宏 真嶋
Satoru Nigo
悟 仁後
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Dowa Iron Powder Co Ltd
Original Assignee
Dowa Iron Powder Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄や銅を多量に含む貴重な金属資源でありな
がら、商業ベースに乗る処理法がなかったために、埋立
て処分されるなどして徒らに廃棄されているモーター屑
や自動車・家電製品等のシュレッダー処理産物などの年
間発生量が厖大であることに鑑み、これら金属質廃棄物
から簡単かつ安価に鉄・銅等を分離回収法できる方法の
開発を目的とした。 【構成】 被処理物を必要に応じ予備処理した後、図1
に示すフローシートに従ってCu(II)アンミンを浸出剤
とする浸出液でCuの優先浸出を行い、浸出液中に濃縮
されたCu(II)アンミンをLix−54使用による溶媒
抽出により抽出した後、Cu2+のストリッピングにより
これをCuの電解液中に移行させCuの電解採取により
カソードに金属Cuを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属分を多量に含む産
業・家電廃棄物、特に鉄と非鉄金属(主として銅)とを
同時に含む被処理物から有価金属を分離回収する方法に
関し、さらに特定的には毎年大量に廃棄されているモー
ター屑、特に小型モーター屑、あるいは自動車や家電O
A機器製品のシュレッダー処理産物等から有価金属たる
鉄と銅その他の非鉄金属とを簡便かつ経済的に回収する
方法に関する。これらの産業または家電廃棄物は、鉄お
よび非鉄いずれの品位も高く、資源の乏しい我が国にと
って貴重な資材原料となるべきものであるにもかかわら
ず、企業採算に適応する経済的な処理方法が確立されて
いないために、鉄原料あるいは非鉄原料として使用され
ることもなく、徒らに埋め立て材料として廃棄処分され
ているのが現状である。
【0002】
【従来の技術】自動車工業や家電・OA機器産業の発展
に伴い、各種の小型モーターが広範な分野で使用される
ようになったが、その廃材の多くは他の重工業で使用さ
れて用済みとなった大型モーターとともに廃棄されてい
る。このようにして、毎年廃棄されるモーター屑の量は
膨大なものである。
【0003】これらのモーター屑のうち、大型モーター
は人手によって分解され、比較的容易に銅線を取り外
し、故銅および鉄スクラップとして分離回収が行われて
いるが、その量は全モーター屑の量に較べると僅かなも
のである。
【0004】一方、モーター屑からの銅・鉄の分離回収
に関しては、溶融アルミニウムで銅を銅−アルミニウム
合金として溶解する方法の他、硝酸中で鉄を不働態化さ
せ、銅のみを選択的に浸出しようとする方法などが提案
されて来たが、いずれもこの種モーター屑に対しては効
果的な方法とはいえず、工業化されるには到らなかっ
た。
【0005】したがって、上記廃材の多くは何らの処理
もされないまま埋め立て処分されているが、このような
廃棄物の排出量が膨大なものであるため、埋め立て地の
確保すら難しくなり、大きな社会問題となっている。
【0006】自動車や洗濯機・冷蔵庫などの家電機器類
の廃物のシュレッダー処理産物についても、全く同様の
問題が生じている。これらの産業あるいは生活廃棄物
は、最近になり一部シュレッダー処理した後磁選・手選
を組み合わせて鉄スクラップを回収するほか、プラスチ
ック、紙、布等を主体とする軽比重の集塵ダストを埋め
立て投棄するようになった。しかし、磁選産物中の非磁
着物であっても手選で回収できない鉄・非鉄金属を主成
分とする混合体、たとえばエナメル銅線や絶縁塗料の塗
布された金属製機器類のシュレッダー処理産物等は処理
法がないまま放置されているか、投棄されているのが現
状である。
【0007】これらのシュレッダー処理産物の磁選によ
って回収された磁着物のうちには、手選でさらに鉄スク
ラップから分離されたものやゴミのほか、鉄・非鉄の相
互付着物や混合物があり、非磁着物の篩下にも銅含量の
多い鉄・非鉄の混合屑がある。さらに風力選別によって
回収された重量物は銅やアルミニウム、鉄などを含み、
粒度も比較的小さく、重要な有価金属資源である。これ
らのうちには電線屑として回収とされるようなものもあ
るがその量は極めて少なく、鉄スクラップ以外について
は、適切な処理方法が知られていないため有効なリサイ
クル方法の確立が緊要とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】先に述べた産業・家電
廃棄物のうち、一般のモーター屑などは銅と鉄を主体と
するものであり、またシュレッダー処理産物のうち本発
明者らが特に注目するものは鉄と銅その他の非鉄金属と
の混合体を主体とするものである。もとより、鉄や各種
非鉄金属の原鉱石を海外に依存している我が国にとっ
て、これらの産業・家電廃棄物の有効な処理方法の開発
は急務であるが、何分にもこれらの処理対象物は安価な
ものであるため、開発されるべき方法も、その工業的適
用が安価で簡便なものでなければならない。
【0009】このような観点から本発明者らは、方法が
簡単で使用する資材や動力費が安く、しかも処理能力が
大きい金属質産業・生活廃棄物の有効適切な処理方法の
開発と確立を目指して鋭意研究を行った結果、本発明方
法に想到した。
【0010】
【課題を解決するための手段】まず小型モーター屑また
は銅・銅合金を含む鉄クラッド材に関しては、これらを
加熱しまたはこれらにショットブラスト処理を施して銅
線上のエナメル被覆を除去ないし破壊して銅線に浸出容
易性を与えた後、浸出槽に堆積し、2価の銅アンミンイ
オンを浸出剤とする浸出液(以下、単に「浸出液」とい
う)を浸透法またはスプレー法などによって循環させな
がら、浸出液中に銅のみを選択的に溶出させ、一方該浸
出液の一部を連続的に、あるいは周期的・断続的に循環
系外に取り出して溶媒抽出法で抽出することにより、浸
出液中の銅分を回収するという手段を用いる。別法とし
て、浸出液から浸出残渣を固液分離した後、加熱蒸気ま
たは空気を用いてアンモニアを系外に放出し、浸出液の
再生を図ることともに、銅を水酸化物として沈澱回収す
るという手段を用いることもできる。
【0011】上記いずれの方法においても、特別な酸化
剤を使用したり、酸化設備を設けたりする必要はなく、
浸出液の循環中に浸出液を空気と接触させるだけで銅そ
の他のアンミン錯体形成性非鉄金属に対する浸出能力を
再生させることができる。
【0012】シュレッダー処理産物中の鉄・非鉄混合体
から鉄と各種非鉄金属とを分離回収したい場合も上記同
様、必要に応じて加熱し、油脂分や被覆物質等を除去し
て非鉄金属に浸出容易性を与えた後、浸出槽に堆積し、
2価の銅アンミンを浸出剤とする浸出液を用いて、浸透
法またはスプレー法等によって循環させ、この間に、浸
出液中に銅や亜鉛などのアンミン錯体を形成する非鉄金
属(以下「アンミン錯体形成性金属」と言う。)のみを
選択的に溶出させることができる。該浸出液の一部を循
環系外に取り出し、溶媒抽出法で抽出しつつ、それらの
非鉄金属を回収すると共に浸出液の再生を図るという手
法を用いることができのはモーター屑処理の場合と同様
である。
【0013】以下実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるべき
ものではない。
【0014】
【実施例1】本実施例は本発明の反応原理を実証するた
めの基礎的な実験の結果を示すものである。
【0015】直径2.5mmのエナメル被覆銅線7.8k
gと、鉄線1kgを試料とし、これらを空気中で550
℃で30分間加熱して、エナメル被覆を焼除し、冷却後
下部に簣の子を備えた内容積10リットル(以下Lと記
す)の浸出槽に収納、堆積した。次に初期の組成が、硫
酸銅(CuSO4 )0.5モル、アンモニア(NH3
5.0モル、硫酸アンモニウム[(NH4 2 SO4
1.0モルからなる浸出液10Lを用意し、これを浸出
槽の上部から、スプレー速度12L/minで多孔のじ
ょ露口からスプレーして還流させた。6時間の浸出によ
って初期に2価銅アンミンの濃度が30g/Lであった
ものが、137g/Lとなり、銅線の1kg以上が溶出
したことが認められた。鉄線の溶出は全く認められなか
った。
【0016】この間に銅の浸出によって溶液中に生成さ
れた1価の銅アンミンイオンは、還流液のスプレーの際
に、空気と接触して酸化し、2価の銅アンミンイオンと
なって再び銅の浸出に寄与していることが明らかであっ
た。
【0017】
【比較例1】硫酸銅を含まないこと以外は実施例1で調
製したものと同じ成分組成の浸出液10Lを用いて実施
例1と同じ操作を行った。これは従来公知のアンモニア
浸出法を従来の標準的条件で実施したことに相当する。
6時間の浸出によって2価銅アンミンの濃度は3.1g
/Lとなった。これは銅線が0.03kg溶出したに過
ぎないことを示している。
【0018】
【実施例2】本実施例も、本発明の反応原理に基づく基
礎的な実験の結果を示すものである。実施例1の場合と
種類および量ともに同じ構成の試料を用い、これに対し
てショットブラスト処理によって銅線のエナメル被覆を
部分的に破壊したものを浸出槽にとり、実施例1と同じ
組成の浸出液20Lを流速8L/minで循環させ上向
き浸透法で浸出した。この場合に、還流する浸出液を空
気中で自然流下させたが、それ以外には特別に酸化工程
を設けなかった。
【0019】6時間後の浸出液中の2価銅アンミンの濃
度は134g/Lであり、約2kgの銅の溶出が認めら
れた。このことは反応終了後、浸出槽から残渣を取り出
して水洗、秤量した結果、当初7.8kgの銅線重量が
5.6kgに減少していたが、鉄線重量には全く変化が
見られなかったことによっても裏付けられた。
【0020】
【実施例3】本実施例は実際に小型モーター屑に対して
本発明の方法を適用した結果を示すものである。
【0021】小型モーター屑100kgを550℃で3
0分間加熱処理した後、内容積0.5m3 (直径800
mm×1,000mm)の浸出槽に投入して堆積した。
他方、0.5モルの硫酸銅、7モルのアンモニア、1モ
ルの硫酸アンモニウムからなる浸出液350Lを準備
し、室温で上向浸透法により流速50L/minで循環
させた。
【0022】浸出液の循環時には還流液を循環パイプ内
に自然落下させる以外は、酸化工程を採っていない。浸
出液の循環開始8時間後に浸出液中の2価銅アンミンの
濃度が135g/Lに達したが、その後は増加しないの
で、この浸出液の半量を取り出して新しい浸出液に交換
し、循環、浸出を継続したところ、浸出開始後15時間
で、もはや液中の2価銅アンミン濃度の増大は見られな
くなった。
【0023】この時点を反応終了時とみて、この間に液
中に溶出した銅量を計測したところ、7.3kgであ
り、反応終了後槽内の残渣からサンプルを採取し、溶融
して得たインゴットの成分分析を行ったところ、銅品位
は0.01%であった。
【0024】
【実施例4】Cuが9.50%、Znが5.65%、A
lが0.46%、Pbが0.43%、Snが0.46
%、Niが0.31%、残部がFeからなる粒度−15
mm+3mmの含銅スクラップ17.85kgを500
℃で5時間加熱し、CuSO40.5M、NH3 7M、
(NH4 2 SO4 1Mの水溶液20Lを用いて室温で
浸出した。浸出液はその循環時に空気と十分に接触させ
た。5時間浸出後の浸出液中の濃度は、Cu 80.4
g/L、Zn 16.8g/L、Al 0.0005g
/L、Pb 0.016g/L、Sn 0.001g/
L、Ni Tr、Fe Trであった。Cuの浸出率は
94.8%、Znのそれは33.3%であり、他の金属
の溶出は無視しうる程度であった。
【0025】浸出工程で回収した液は60%Lix54
−ケロシン溶液を用い、O/A比1の条件下でミキサー
セットラーで溶出すると、NH3 、(NH4 2 SO4
は水溶液中に残留し、Cu2+およびZn2+のみが1分以
内に有機相に移行する。1段の抽出で水相のCu2+濃度
は25.2g/Lまで低下するが、これは再度浸出工程
へ繰り返し循環しうる。
【0026】
【実施例5】シュレッダー処理産物の磁選・磁着物を手
選して回収した鉄・非鉄付着物、通称モーター屑または
モーターコア屑を550℃で20分間空気雰囲気中で焙
焼し、エナメル被覆を破壊した後、5510gをCuS
4 0.5M(モル/L以下同じ)、NH3 7M、
(NH4 2 SO4 1Mの浸出液30Lで室温浸出し
た。浸出液はその循環時に空気と接触させ銅アンミン液
の酸化を行わせたのは、実施例4と同様である。8時間
浸出後の浸出液の銅濃度は60.7g/Lで、さらに浸
出を続け、最初からの時間16時間での浸出液の銅濃度
は62.6g/Lであった。24時間後銅濃度は67.
4g/Lで、その後銅濃度の変化はなく、浸出は終了し
たものと判断して、浸出液と浸出残渣を分離した。浸出
残渣を水洗して肉眼で観察したが、銅の痕跡は認められ
なかった。銅の浸出率は浸出時間8時間で83.0%、
16時間で92.0%、24時間で100%であった。
【0027】
【実施例6】シュレッダー処理産物の磁選後、非磁着物
を空気選別し、回収された屑銅線を主体とする重集塵ダ
ストを銅線の被覆を除去する目的で550℃、1時間焙
焼した。焙焼産物を1503g秤量して、CuSO4
0.5M、NH3 5M、(NH4 2 SO4 0.5
Mの浸出液30Lで、室温で浸出した。浸出液はその循
環時空気と接触させた。20時間浸出後の浸出液濃度は
Cu 58.5g/L、Zn 2.0g/Lで、浸出率
はCu 92%、Zn 45%であった。浸出残渣には
銅は殆ど皆無であったが、ステンレス線、小型ビス、プ
リント基板ベークライト等が残った。
【0028】
【実施例7】シュレッダー処理産物を磁力選別し、その
非磁着物を更に風力選別機にかけた後篩分け、その篩下
産物を通称篩下非鉄混合屑と称するが、この非鉄混合屑
を550℃で5時間空気雰囲気中で焙焼してエナメル並
びにビニル被覆を除去した後2616gを計量し、Cu
SO4 が0.5M、NH3 が5M、(NH4 2 SO4
が0.5Mの浸出液30Lで、室温で浸出した。浸出液
をその循環時空気と接触させたことは、前記の実施例
4、5、6と同様である。24時間浸出後の浸出液濃度
は、銅が50.2g/L、亜鉛が7.8g/L、鉛が
0.011g/L、アルミニウムが0.095g/L
で、浸出残渣の銅、亜鉛、鉛、アルミニウムの各品位
は、それぞれCuが8.0%、Znが14.1%、Pb
が3.0%、Alが13.7%であった。この残渣を再
び更に20時間浸出し、それぞれの元素の浸出率を求め
た結果、Cuは93.5%、Znは49.0%、Pbは
0.5%、Alは1.1%で、銅、亜鉛を除いた鉛、ア
ルミニウム、鉄は殆ど浸出されていないことがわかっ
た。
【0029】この浸出液から50%Lix54−ケロシ
ン溶液を用いて、O/A比が1.5の条件下で溶媒抽出
すると、NH3 ,(NH4 2 SO4 は水溶液中に残留
し、Cu2+およびZn2+の一部、即ち銅の58.9%、
亜鉛の1.4%は有機相に移行した。抽出残液を更に2
段目の抽出(O/A比1.5)をすると、Cu29.0
%、Zn6.9%が有機相に移行した。有機相に抽出さ
れた銅と亜鉛は、逆抽出時の酸濃度を制御することによ
り銅と亜鉛は分離回収され、一方抽出残液は浸出槽に循
環して銅の浸出に再利用する。
【0030】
【作用】本発明方法の実施に際しては、まず必要に応じ
て小型モーター屑あるいは鉄・非鉄混合体を主成分とす
るシュレッダー処理産物を加熱処理またはショットブラ
スト処理することにより、銅の浸出容易性を高めるため
の前処理を行う。これは主として、浸出抵抗の高い銅線
上のエナメル被覆等を破壊すると同時に油脂分を除去し
てアンミン錯体形成性金属の浸出容易性を高めるために
行うものであるから、エナメル被覆銅線などを含まない
被処理産物例えば裸導線等に対しては行う必要がない。
本段落冒頭において「必要に応じて」と付記したのはこ
のためである。
【0031】加熱処理は、たとえば温度823K(55
0℃)で20分間大気中で加熱処理する等の方法によっ
て行うことができる。一方、ショットブラストは、たと
えばエナメル銅線をコイル状に巻き、−22+60me
shの鉄粉500gを投射圧490KPa、投射距離1
45mmの条件下にエアーブラスト方式で投射して片面
のエナメル皮膜を剥離するなどの方法によって行うこと
ができる。
【0032】次に、このように前処理した、あるいはそ
の必要がないため前処理しない被処理物を処理槽に投入
し、該槽に浸出液を供給し、かつ、これを循環させなが
ら銅あるいはその他の非鉄金属の浸出を行うのである
が、この場合の浸出液としては、2価の銅アンミン水溶
液を酸化性の浸出液として用いる。これは、酸素を酸化
剤として用いる通常のアンモニア浸出法と似ているが、
その反応原理は全く異なるものである。すなわち、酸素
を酸化剤とする従来のアンモニア浸出法では、オートク
レーブを用い、粉体試料を強い攪拌条件下で加圧、加温
して浸出を行っている。これは酸素を被浸出対象物の表
面に移動させるために必要な基本条件である。これに対
し、本発明のように被浸出対象物が大きく浸出槽内で撹
拌によって酸化剤を十分早く移送することができない場
合には、酸化剤自体の濃度を大きくして浸出速度を速め
る必要がある。2価の銅アンミンはこの目的に適するも
のである。酸素による酸化機構と2価銅アンミンによる
酸化機構とでは反応機構は全く異質のものである。
【0033】本発明の方法において、浸出液中の銅アン
ミンイオン濃度は液の循環に従って次第に増加するが、
浸出槽に最初に供給するための2価の銅アンミンを含む
浸出液は、例えば硫酸銅、アンモニア水および硫酸アン
モニウムを適切な比率で混合することにより容易に調製
することができる。初期浸出液はCu2+を0.2〜1.
5モル/L、NH3 を1.0〜7.0モル/L、NH4
+ を0.1〜1.3モル/L含むpH8〜11、好まし
くはpH8.3〜10.3のアルカリ性溶液である。特
に好ましい硫酸銅、アンモニア水、硫酸アンモニウムの
比率は、硫酸銅濃度0.5モル/Lに対し、アンモニア
濃度3モル/Lの場合硫酸アンモニウム濃度0.2〜
0.8モル/L、アンモニア濃度5モル/Lの場合硫酸
アンモニウム濃度0.3〜0.7モル/L、アンモニア
濃度7モル/Lの場合硫酸アンモニウム濃度0.7〜
1.3モル/Lである。
【0034】上記の方法により調製された浸出液中に生
じる2価の銅アンミン[Cu(NH3 4 2+が次の反
応式に従って銅を浸出する。
【0035】 Cu+[Cu(NH3 4 2+=2[Cu(NH3 2 + ‥‥(1) 銅のほかにも、亜鉛、ニッケル、コバルトのように2価
のアンミン錯体が安定な金属Mが含まれている場合に
は、次の反応式に従ってMが浸出される。
【0036】 M+2[Cu(NH3 4 2++(n−4)NH3 =[M(NH3 n 2++2[Cu(NH3 2 + ‥‥(2) このように本発明の方法では、最初から2価の銅アンミ
ンを浸出剤として利用するため、安定なアンミン錯体を
形成する非鉄金属、すなわちCu、Zn、Ni、Coな
どの浸出反応の速度を大幅に加速させることができ、こ
の点において、液中の溶存酸素を酸化剤として用いる従
来のアンモニア浸出法とは異質の方法である。
【0037】上記式 (1)および (2)の反応によって得ら
れた1価の銅アンミン[Cu(NH3 2 + は、その
水溶液を空気と接触させることにより下記の式(3) に従
って直ちに2価の銅アンミン[Cu(NH3 4 2+
再生することができる。
【0038】 2[Cu(NH3 2 + +4NH3 +1/2O2 +2H+ =2[Cu(NH3 4 2++H2 O ‥‥(3) 従来のアンモニア浸出法は浸出液中に硫酸銅が含まれて
おらず、かつ浸出槽の外部で液を積極的に空気と接触さ
せることをしない点において本発明の方法と著しく異な
っている。すなわち、従来のアンモニア浸出法には、上
記(3) の反応を積極的に推進させて迅速にCu(II) ア
ンミンを再生させる工程が組み入れられていなかったた
めに、反応速度が極めて遅く、その工業化は極めて限定
されたものであった。本発明者は、浸出液に硫酸銅を相
当量入れること、および浸出槽外部に取り出した循環液
を積極的に空気と接触させCu (I)アンミンを迅速にC
u(II)アンミンに酸化させる工程を設けることによっ
て、極めて工業化に適した本発明方法を開発することが
できた。
【0039】1価の銅アンミンは無色であり、2価の銅
アンミンは青色を呈するが、多量の1価の銅アンミンの
生成により無色を呈している浸出槽内の浸出液を、浸出
槽外でスプレイあるいは液の自然落下等の方法により空
気に接触させると液が急速に青色に変わることからも、
式 (3)の反応の進行が極めて迅速であることは肉眼でも
確認できる。この点に着目し、循環中の浸出液を積極的
に空気と接触させて式(3)の反応を促進する工程を取り
入れたことは、本発明方法の重要な特徴の1つである。
【0040】上記銅の浸出された浸出液中に充分な量の
アンモニアとアンモニウム塩を含有させておくことで、
銅や亜鉛などのアンミン錯体形生性金属の浸出反応は自
己触媒的に進行する。
【0041】
【発明の効果】上記各実施例で述べたようにして得られ
る銅や亜鉛などのアンミン錯体形成性金属を浸出した浸
出液を、例えば溶媒抽出法で処理して有機相に金属錯体
イオンを抽出し、硫酸で逆抽出を行った後、電解採取法
により金属を回収する図1に示すようなフローにすれ
ば、反応に必要な薬剤の収支が完全にバランスされ、閉
回路操業が可能であるという顕著な効果を有する。図1
のフローシート中では簡単のため非鉄金属成分は銅だけ
と仮定したが、亜鉛、ニッケル、コバルトのような2価
のアンミン錯体が安定な非鉄金属が銅と同様に優先浸出
され得ることは先の式(1) 〜(3) の説明から容易に理解
されるであろう。
【0042】また本発明方法においては、反応当初から
2価の銅アンミンを浸出剤とする浸出液を使用するの
で、シュレッダーダスト中の銅や亜鉛のようなアンミン
錯体形成性非鉄金属のみを選択的に溶出させ、鉄やアル
ミニウムは未溶解残渣として残すことにより容易にしか
も迅速に分離が可能である。加えて浸出液の再生は特別
の酸化剤や酸化設備を要せず、単に還流液を空気と接触
させるだけで瞬間的に行えるので、設備面や操業コスト
の点で極めて有利にモーター屑やシュレッダーダストか
らの銅や亜鉛などのアンミン錯体形成性非鉄金属の分
離、回収が図れ、従来徒らに廃棄処分されていた未利用
資源の活用が可能になるという格別の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を工業的に実施する場合に好適な閉
回路方式の鉄・非鉄金属分離回収方法のフローシートの
1例を示す。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小型モーター屑または銅あるいは銅合金
    を含む鉄クラッド材を加熱またはショットブラスト処理
    することによって銅線上のエナメル被覆を破壊して銅線
    に浸出容易性を与えた後、浸出槽に投入し、2価の銅ア
    ンミンを浸出剤とする浸出液によって銅のみを選択的に
    溶出させ、銅の溶出した浸出液から、銅を回収すること
    を特徴とするモーター屑などから銅・鉄等を分離回収す
    る方法。
  2. 【請求項2】 浸出液を循環させる間に空気と接触させ
    て浸出液の再生を図るようにした請求項1記載のモータ
    ー屑などから銅・鉄を分離回収する方法。
  3. 【請求項3】 産業または家電廃棄物のシュレッダー処
    理産物から分別された、鉄およびアンミン錯体形成性非
    鉄金属を多量に含む金属質廃棄物を必要に応じて加熱し
    て油脂分、プラスチック、紙や銅線の被覆等を除去した
    のち浸出槽に投入し、2価の銅アンミンを浸出剤とする
    浸出液により、アンミン錯体形成性非鉄金属を選択的に
    浸出液中に溶出させ該アンミン錯体濃度の上昇した浸出
    液を別途処理して浸出液中に溶出した非鉄金属を回収
    し、一方、浸出残渣はさらに別途処理して鉄を主とする
    未溶出金属分を回収することからなる、金属質廃棄物か
    ら鉄と非鉄金属とを分離回収する方法。
  4. 【請求項4】 浸出液の一部を浸出槽の外部に取り出し
    て積極的に空気と接触させることにより、1価の銅アン
    ミンイオンを迅速に2価の銅アンミンイオンに酸化させ
    たのち浸出液を浸出槽に戻すことによって、浸出液を循
    環させながら浸出を行うことを特徴とする請求項3記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 前記アンミン錯体形成性非鉄金属が銅、
    亜鉛、ニッケルまたはコバルトである請求項3または4
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記アンミン錯体形成性非鉄金属が銅で
    ある請求項3または4記載の方法。
  7. 【請求項7】 浸出液を別途処理してアンミン錯体形成
    性非鉄金属を回収する手段が溶媒抽出法である請求項3
    または4記載の方法。
  8. 【請求項8】 浸出槽に供給する初期浸出液が硫酸銅と
    アンモニア水と硫酸アンモニウムとを混合して得た2価
    の銅アンミンイオンを含む浸出液である請求項3または
    4記載の方法。
  9. 【請求項9】 初期浸出液がCu2+を0.2〜1.5モ
    ル/L、NH3 を1.0〜7.0モル/L、NH4 +
    0.1〜1.3モル/L含むpH8〜11のアルカリ性
    溶液である請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記初期浸出液がpH8.3〜10.
    3のアルカリ性溶液である請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 (1) 鉄と銅を含む金属質産業・生活廃
    棄物を浸出槽内に装入し、Cu(II)アンミン錯イオンを
    浸出剤とする浸出液を供給して、Cuを選択的に浸出す
    ることにより、溶液中にCu(I) アンミン錯イオンを生
    成せしめるCuの優先浸出工程; (2) 浸出槽から溶液の一部を取り出して循環させると共
    に、取り出した浸出液を浸出槽に戻すまでの過程で空気
    と接触させて、浸出液中のCu(I) アンミンを迅速にC
    u(II)アンミンに酸化させるCu(I) アンミンの溶存酸
    素による酸化工程; (3) 前工程で酸化処理した後の溶液の一部を優先浸出工
    程に戻し、残り部分の溶液を抽出溶媒と混合しCu2+
    選択的に抽出するCu(II)アンミンの溶媒抽出工程; (4) 前工程で抽出されたCu2+を含む抽出溶媒を銅の電
    解液と混合し、電解液中にCu2+を逆抽出するCu2+
    剥離工程; (5) Cu2+の剥離によりCu2+濃度の上昇した電解液を
    電解槽に供給し、カソードに金属銅を析出させてCuを
    回収するCuの電解採取工程;の各工程を包含する閉回
    路型反応系からなることを特徴とする、金属質産業・家
    電廃棄物の処理方法。
  12. 【請求項12】 前記金属質産業・家電廃棄物が銅以外
    のアンミン錯体形成性非鉄金属をも含む請求項11記載
    の方法。
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