JPH06239840A - ピリミジン環縮合シクロペンチリデン誘導体 - Google Patents

ピリミジン環縮合シクロペンチリデン誘導体

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JPH06239840A
JPH06239840A JP5030203A JP3020393A JPH06239840A JP H06239840 A JPH06239840 A JP H06239840A JP 5030203 A JP5030203 A JP 5030203A JP 3020393 A JP3020393 A JP 3020393A JP H06239840 A JPH06239840 A JP H06239840A
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容朗 野村
Yoshihiko Kotake
良彦 小竹
Toru Haneda
融 羽田
Tatsuo Okauchi
辰夫 岡内
Kyosuke Kito
恭輔 紀藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた抗腫瘍活性を有する新規なピリミジン
環縮合シクロペンチリデン誘導体を提供する。 【構成】 一般式(1) で表わされるピリミジン環縮合シ
クロペンチリデン誘導体またはその薬理学的に許容され
る塩。 【化1】 (式中、R1は水酸基またはアミノ基を示す。R2は水素原
子、アミノ基またはメチル基を示す。X は1〜4個の原
子からなる2価の直鎖状の基で置換基を有していてもよ
い。Y はフェニレン基、チエンジイル基、フランジイル
基、チアゾールジイル基、インドールジイル基又はイン
ドリンジイル基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグルタミン酸結合のピリ
ミジン環縮合シクロペンチリデン誘導体、その製造法、
およびその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メトトレキセート(MTXと称される)
は葉酸拮抗系抗腫瘍剤として現在、臨床的に使用されて
いる唯一の薬物である。単独で絨毛膜癌、骨肉腫および
急性リンパ性白血病を中心に使用されるほか、他の抗腫
瘍剤との併用療法や新しい投与法の導入によって適用範
囲を拡大してきた。MTXはジヒドロ葉酸還元酵素(D
HFR)に強い阻害活性を示す。しかし、DHFRは腫
瘍組織および正常な宿主組織に存在し、これらの両方に
影響をおよぼす。このため、MTXは強い副作用を示
し、これは臨床使用上の制約要因になっている。MTX
は一般に固形腫瘍に対し治療効果は低い欠点がある。ま
た、一定期間の使用によって腫瘍細胞は抵抗性を獲得
し、薬効が著しく低下する等の欠点がある。これらはM
TXの臨床的価値を低下させている。
【0003】過去40年以上にわたりこの分野において活
発な研究がなされてきた。特に葉酸分子の構造変換によ
って多数の葉酸拮抗物質が合成され、薬理学的研究がな
された。一般に葉酸拮抗物質の分子構造は便宜上ヘテロ
環部、bridge部、安息香酸部、アミノ酸部の4つの部分
に分けられる。ヘテロ環部については葉酸、MTXなど
にみられるごとくプテリジン環が代表的構造であり、実
際、この範疇にはいる葉酸拮抗物質は数多く知られてい
る。比較的最近、種々のデアザプテリジン化合物、例え
ば、5−デアザプテリジン、8−デアザプテリジン、5,
8 −ジデアザプテリジン、またはこれらのジヒドロある
いはテトラヒドロ体が葉酸拮抗物質として研究され、多
数公表されてきた。これら化合物の葉酸関連酵素に対す
る阻害や腫瘍細胞増殖阻害、さらに、担癌マウスを使っ
て抗腫瘍効果などが測定され、今日まで構造と活性、あ
るいは構造と毒性との相関関係について情報が集積され
てきた。これらは例えば、 AndreRosowskyによるProgre
ss in Medicinal Chemistry, 26, 1-252(1989)、Elsevi
erScience Publishers に包括的かつ詳細に記載されて
いる。これら葉酸拮抗物質の構造的特徴の第一はヘテロ
環部にあり、大多数は、プテリジン環のごとく6員環が
2ケ縮合した2環性ヘテロ環構造を有する点にある。一
方、5員環と6員環の縮合によって形成される2環性ヘ
テロ環構造を有する葉酸拮抗物質については従来あまり
知られていない。L.T.WeinstockによるJournal Medicin
al Chemistry, 13, 995(1970) にはプテリジン環をプリ
ン環に変換した化合物の記載があるがDHFR阻害や抗
腫瘍作用は認められなかったと報告されている。このた
め葉酸拮抗作用を発揮できる構造要因としてプテリジン
またはその近縁構造が必要であると考えられていた。し
かし最近、MiwaらのJournal Medicinal Chemistry, 34,
555-560(1991) はピロロ〔2,3 −d〕ピリミジン環を有
するベンゾイルグルタミン酸誘導体が葉酸拮抗作用を持
ち、ヒト腫瘍細胞の増殖に対しMTXより高い阻害活性
を示すことを記載している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとく、この分
野の最近の学問的進歩にも拘わらず、MTX以後、医薬
品として実用化され、臨床の場に提供されたものは未だ
存在しない。従って、この系統化合物で腫瘍組織にたい
する選択毒性を備え、治療効果を備えたものを発明し、
有用な制癌剤として臨床の場に提供することが現在なお
強く要望されている。上記実状に鑑み、本発明は優れた
抗腫瘍活性を有する新規なピリミジン環縮合シクロペン
チリデン誘導体の提供を目的とする。また該化合物の製
造方法および該化合物を有効成分とする医薬組成物をも
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、グルタミン酸結合のピリミ
ジン環縮合シクロペンチリデン誘導体が新規で有用な抗
腫瘍剤になりうることを見いだし本発明を完成した。す
なわち本発明は、一般式(1) で表わされるピリミジン環
縮合シクロペンチリデン誘導体またはその薬理学的に許
容される塩を提供するものである。
【0006】
【化6】
【0007】(式中、R1は水酸基またはアミノ基を示
す。R2は水素原子、アミノ基またはメチル基を示す。X
は1〜4個の原子からなる2価の直鎖状の基で置換基を
有していてもよい。Y はフェニレン基、チエンジイル
基、フランジイル基、チアゾールジイル基、インドール
ジイル基又はインドリンジイル基を示す。)また、本発
明は、一般式(2)
【0008】
【化7】
【0009】(式中、R1、R2、X およびY は前記と同義
である。)で表わされる化合物またはそのカルボキシル
基における反応性誘導体と、一般式(3)
【0010】
【化8】
【0011】(式中、RおよびR4は同一または異なる
カルボキシル基の保護基を示す。)で表される化合物と
を縮合させて、一般式(4)
【0012】
【化9】
【0013】(式中、R1、R2、R3、R4、X およびY は前
記と同義である。)で表されるカルボン酸エステル体を
得、ついで、このエステル体を酸またはアルカリの存在
下に加水分解することを特徴とする前記一般式(1) で表
わされるピリミジン環縮合シクロペンチリデン誘導体ま
たはその薬理学的に許容される塩の製造法を提供するも
のである。また本発明は、一般式(5)
【0014】
【化10】
【0015】(式中、R、R2、X およびY は前記と同
義である。−COOR5 は保護基でエステル化されていても
よいカルボキシル基を示す。)で表される化合物または
その塩を提供するものである。更に本発明は、前記一般
式(1) で表わされるピリミジン環縮合シクロペンチリデ
ン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分
とする抗腫瘍剤を提供するものである。
【0016】上記式中においてR1が水酸基またはアミノ
基である場合は、化合物(1) 、(2)、(4) および(5) は
ケト型−エノール型、またはイミン型−エナミン型の互
換異性体が平衡状態で存在する。本明細書では表示の便
宜上、エノール型(水酸基型)またはエナミン型(アミ
ン型)が記載され、それに対する命名がなされている
が、何れの場合においても本発明化合物はエノール型と
共にケト型(オキソ体、即ちアミド型)、またはエナミ
ン型と共にイミン型も包含するものとする。また、本発
明化合物(1) はL−グルタミン酸部の不斉中心のほか
に、X に置換基が存在する場合、置換基のつけ根の炭素
原子に不斉中心が存在する可能性があるが、グルタミン
酸部の不斉炭素原子の絶対配置がS(L型)である以外
は、他の不斉中心の絶対配置はS,RまたはRSの混合
物の何れであってもよい。この場合、化合物(1) はジア
ステレオアイソマーとして或いはそれらジアステレオア
イソマー混合物として得られ、これらは、必要に応じて
各成分を分別結晶やクロマトグラフィーなど慣用的な方
法によって容易に分離精製する事が出来る。分離される
何れのジアステレオアイソマーも本発明の範囲内に属す
る。本発明化合物(1) は一般に粉末、結晶性固体または
結晶として得られる。
【0017】上記式中、X は置換基を有していてもよい
1〜4個の原子からなる2価の直鎖状の基であるが、直
鎖を構成する原子としては、炭素、窒素、酸素、硫黄等
が挙げられ、置換基としては、炭化水素基、ハロゲン原
子、置換または無置換アミノ基等が挙げられる。
【0018】上記式中、Y で示されるフェニレン基とし
ては例えば1,4 −あるいは1,3 −フェニレン基が挙げら
れ、チエンジイル基、フランジイル基としては例えば2,
5(または5,2)−位または3,5(または5,3)−位に結合手を
もつチオフェン基またはフラン基が挙げられ、インドー
ルジイル基およびインドリンジイル基としては例えば1,
4 −位、1,5 −位または1,6 −位に結合手をもつインド
ール基が挙げられる。
【0019】また、R3、R4およびR5で示されるカルボキ
シル基の保護基としては、炭素数1〜5のアルキル基、
置換基を有していてもよいベンジル基、置換基を有して
いてもよいフェニル基、または三置換シリル基などが挙
げられる。ここでいうアルキル基としては例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基
などが、置換基を有していてもよいベンジル基としては
ベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基な
どが、さらに置換基を有していてもよいフェニル基とし
てはフェニル基、メトキシフェニル基、ニトロフェニル
基などが、三置換シリル基としてはターシャリーブチル
ジメチルシリル基、ターシャリーブチルジフェニルシリ
ル基などが挙げられる。
【0020】次に、本発明化合物(1) の製造法について
説明する。本発明化合物の製造は一般に行われる適当な
反応を用いて行うことができる。以下に例を示すが本発
明はこれらに限定されるものではない。化合物(1) は、
下記反応式に示すように式(2) で示されるカルボン酸ま
たはその反応性誘導体に対し、式(3)で示されるグルタ
ミン酸誘導体を縮合させて式(4)で表わされる中間体を
得、ついでこのものを加水分解などの方法によってカル
ボキシル基の保護基を除くことにより得ることができ
る。
【0021】
【化11】
【0022】(一連の式中、R1、R2、R3、R4、X および
Y は前記と同義である。)上記縮合の方法としてはペプ
チド形成の慣用的合成技術を適用する事ができる。例え
ば化合物(2) にクロル炭酸エステル類、有機酸無水物
類、ジフェニルホスホリルアジド、ジエチルシアノホス
フェイト、カルボニルジイミダゾール、クロルリン酸エ
ステル類あるいはカルボジイミド類などのカルボン酸の
活性化試薬を塩基の存在下または非存在下で作用させ、
ついで化合物(3) を反応させることによって中間体化合
物(4) を得ることが出来る。活性化試薬の化合物(2) に
対する使用量は1〜25モル当量であり、好ましくは1〜
5モル当量から選ばれる。活性化試薬として用いるクロ
ル炭酸エステル類としてはクロル炭酸メチルまたはクロ
ル炭酸エチルが、有機酸無水物類としては無水酢酸、無
水クロル酢酸または混合酸無水物法などの応用が、クロ
ルリン酸エステル類としてはジフェニルクロロホスフェ
イト、ジエチルクロロホスフェイトなどが使用できる。
また、カルボジイミド類としては実用上ジシクロヘキシ
ルカルボジイミドが好ましく、そのほかにジフェニルカ
ルボジイミド、1,3 −ジパラトリルカルボジイミドまた
は1−シクロヘキシル−3(2−モルホリノエチル)カ
ルボジイミドなどのカルボジイミド類の中から適宜選ぶ
ことが出来る。
【0023】また化合物(2) をハロゲン化試薬と反応さ
せてカルボン酸ハロゲニド(アシルハライド)に変換し
た後、上記と同様に化合物(3) を反応させることによっ
て化合物(4) を得ることができる。ハロゲン化試薬とし
てはチオニルクロライド、オキサリルクロライド、三塩
化リン、あるいはこれらに対応するフロライド、ブロマ
イド、アイオダイド、この他トリフェニルホスフィン−
四塩化炭素、トリフェニルホスフィン−臭素などを用い
ることができる。
【0024】中間体化合物(4) を得る反応は溶媒の存在
下に実施するのが好ましく、使用される溶媒は例えば、
水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノ
ールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンなど)、ニトリル類(アセトニ
トリル等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエンな
ど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホ
ルム、四塩化炭素など)、脂肪族炭化水素(ヘキサン、
ペンタンなど)、アセトン、ピリジン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシドなどから選ばれ、またこ
れら溶媒の適宜混合したものも用いうる。中間体化合物
(4) を得る反応は塩基の存在下または非存在下で実施さ
れ、使用される塩基は、ナトリウムメチラート、ナトリ
ウムエチラート、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭
酸ナトリウム、炭酸カルシウムなどの無機塩基、または
トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、トリ
エタノールアミンなどの有機塩基のなかから適宜選ばれ
る。反応温度は大略−10℃〜反応溶媒の沸点の範囲、好
ましくは0〜50℃であり、反応時間は大略 0.5時間〜4
日間で実施することができる。
【0025】次に、上記のような縮合工程で得られるエ
ステル中間体(4) は加水分解をおこなう事によって遊離
カルボン酸とし、化合物(1) を得ることが出来る。加水
分解反応は水溶液中または場合によりメタノール、エタ
ノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの水親和性の有
機溶媒中において、塩酸、硫酸、硝酸あるいはリン酸な
どの水性無機酸類あるいはトリフルオロ酢酸、トリクロ
ロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸、メタンスルホン酸などの有機酸を用いるか、或いは
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの水性苛性
アルカリ類、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、炭酸
水素ナトリウムなどの炭酸アルカリ類、炭酸水素アルカ
リ類、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシ
ドなどの金属アルコキシド類を用いておこなう。反応温
度は例えば氷冷下から使用溶媒の沸点、好ましくは10〜
70℃の範囲で、反応時間としては例えば1時間〜約2日
間反応させる事により行うことができる。アルカリが使
用される場合、生成物はグルタミン酸部分が酸性塩また
は中間塩として形成される。
【0026】次に、原料化合物(2) の製造法について説
明する。化合物(2) の内、R1がアミノ基である化合物
は、たとえば次に示す反応工程によって製造することが
できる。
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】上記工程中、R1はアミノ基を示し、R2
R5、X およびY は前記と同義である。またZ は塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子を示し、
R6は炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖アルキル基、フェ
ニル基、置換フェニル基等のアリール基、ベンジル基等
のアリールアルキル基などの一般的な保護基を示す。R7
は脂肪族あるいは芳香族チオールから−SH基を除いた残
基を示す。
【0030】以下に、上記反応工程について説明する。
2−シアノシクロペンテン−1−オン(7) はシクロペン
テノンにトリ低級アルキルアルミニウムおよびチオフェ
ノール等の芳香族チオールあるいは脂肪族チオール、例
えば、イソプロピルチオール等を作用させた後、トシル
シアニドと反応させ、次いでシリカゲルあるいは BF3
エーテル等のルイス酸を作用させることによって円滑か
つ好収率で合成できる。この場合、2−シアノシクロペ
ンテン−1−オン(7) は中間体3−アルキルチオ−2−
シアノシクロペンタンを経由して生成する。
【0031】化合物(8)はω−ハロゲノアルキル結合の
サイクリックカルボン酸エステル(6)を2−シアノシク
ロペンテン−1−オン(7) と反応させることにより合成
できる。この場合、トリアルキル錫ハイドライド、ある
いはトリフェニル錫ハイドライド等の錫ハイドライドあ
るいはトリアルキルゲルマニウムハイドライドとアゾビ
スイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド等のラ
ジカル開始剤の存在下で行われる。また、シアン化銅な
どの銅塩存在下で2−シアノシクロペンテン−1−オン
(7) にω−ハロゲノアルキル結合のサイクリックカルボ
ン酸エステル(6) と亜鉛から誘導される有機亜鉛化合物
を作用させることによって同様化合物(8) を得ることも
できる。
【0032】化合物(8) の別途合成法として3−トルエ
ンスルホニルシクロペンタン1−オンを出発原料として
用いる方法がある。即ち、下記の反応式で示すように、
3−トルエンスルホニルシクロペンタン−1−オンにグ
リコールを作用させ、ジオキソラン化合物(14)に変えた
後、リチウムジイソプロピルアミドの存在下、化合物
(6) を作用させアルキル化する。アルキル化体(15)を酸
性処理することによって3−位置換シクロペンテン−1
−オン(16)を得ることができる。次にトルエンチオール
と当量のトリメチルアルミニウムから得られる反応液に
冷時、化合物(16)を加え、これに4−トルエンスルホニ
ルシアニドを作用させ、得られた反応物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製することによって化合物
(8) を得ることができる(T.Yoshida ら, Bull.Chem. S
oc. Jpn.,55, 393(1982) 。
【0033】
【化14】
【0034】(上記反応式中、R5,X, YおよびZ は前記
と同義である。) 3−置換アルキル−2−シアノシクロペンタン−1−オ
ン(8) から低級アルキルエノールエーテル(9) への変換
はジアゾメタン、 TMS・ジアゾメタンもしくはそのアナ
ログ、2,2 −ジメトキシプロパンとパラトルエンスルホ
ン酸、又はオルトギ酸エステル、トリアルキルオキソニ
ウムフルオロボレートなど一般的な水酸基への保護基導
入試薬を作用させることによって達成することができ
る。
【0035】1−アルコキシ−2−シアノ−3−置換ア
ルキル−5−ハロゲノ−1−シクロペンテン化合物(10)
は、上記のエノールエーテル(9) にN−ハロゲン化アミ
ド(イミド)化合物を、ラジカル反応を受けにくい溶媒
(例えばエーテル系溶媒あるいはベンゼン等)の存在
下、熱あるいは光照射の下で作用させるとアリル位のハ
ロゲン化が起こり化合物(10)を得ることができる。N−
ハロゲン化アミド(イミド)化合物としては、例えば
1,3−ジブロモ−5,5 −ジメチルヒダントイン、N, N
−ジクロロウレタン、N−クロロ−あるいはN−ブロモ
スクシンイミド、N−ブロモカプロラクタム、N−クロ
ロ−N−シクロヘキシルベンゼンスルホンアミド、ター
シャリーブチルハイポクロリド等を用いることができ
る。
【0036】ハロゲン化化合物(10)に脂肪族あるいは芳
香族チオールを作用させることによって対応するチオー
ル化合物(11)を得ることができる。脂肪族あるいは芳香
族チオールとしてはベンゼンチオール、置換されたベン
ゼンチオール(置換基はアルキル基、アルコキシ基、ア
ミノ基、ハロゲン原子等を挙げることができる)、各種
のアルキルチオール(アルキル基はエチル基、ブチル
基、オクチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル
基等を挙げることができる)が使用される。これらの脂
肪族あるいは芳香族チオールはチオールアルカリ金属塩
としてこの反応に用いることもできる。この場合水性溶
媒を用い、少量の相間移動触媒を存在させると好ましい
結果を得ることができる場合がある。
【0037】1−アルコキシ−2−シアノ−3−置換ア
ルキル−5−アルキルチオ(あるいはアリールチオ)−
1−シクロペンテン化合物(11)は常圧下または封管中、
加温下にグアニジンあるいはその塩を作用させると目的
の2,4 −ジアミノ−7−メルカプト−6,7 −ジヒドロ−
5H−シクロペンタ〔d〕ピリミジン化合物(12,R1=NH
2)を得ることができる。グアニジンはエノールエーテル
(11)に対し過剰(2〜20倍モル、好ましくは5〜10倍モ
ル)を用い、溶媒はプロティック溶媒、例えばメタノー
ル、エタノール、メトキシエタノール、プロパノール、
2−メチル−2−プロパノール等の使用が好ましく、温
度は50〜 200℃、好ましくは 100〜185℃、反応時間は
8〜70時間が好ましい条件として挙げられる。但し、高
温度、長時間の反応条件下では直接カルボン酸が得られ
る場合もある。次にチオエーテル(12)を過安息香酸等の
過酸化物類で室温あるいは氷冷下で処理することにより
対応するスルホキシドに変換することができる。このも
ののスルホキシド基は加熱によって脱離し対応するオレ
フィン化合物(13) を得ることができる。この場合トリ
アルキルホスファイトあるいは第3級塩基を存在させる
のが好ましい。オレフィン化合物(13)は 6,7−ジヒドロ
シクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン化合物
(5) の他に5−置換−5H−シクロペンタ〔d〕ピリミジ
ン化合物(5a)および5−置換−7H−シクロペンタ〔d〕
ピリミジン化合物(5b)を含有する。これらは液体クロマ
トグラフィー等の通常の分離手段により各々分離でき
る。6,7 −ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5
−イリデン化合物(5) のエステル基を脱保護することに
よって前述のカルボン酸化合物(2) を得ることができ
る。また化合物(5a)および化合物(5b)を酸またはアルカ
リ(あるいは塩基)による脱保護の過程で異性化させカ
ルボン酸化合物(2) を得ることができる。カルボン酸エ
ステル(5) の別途合成法として以下の反応式に示す方法
を挙げることができる。
【0038】
【化15】
【0039】(上記反応式中、R1, R2, R5,R6,R7,X,
Y およびZ は前記と同義である。) 即ち、シクロペンテノンにトリメチルアルミニウムと当
量のトルエンチオールを作用させて得られる反応液に4
−トルエンスルホニルシアニドを作用させることによっ
てチオール付加体(17)を得ることができる。チオール付
加体(17)にジアゾメタン等のアルキル化試薬を作用させ
エノールエーテルとした後、過酸化水素あるいは過安息
香酸を作用させることによって化合物(18)を得ることが
できる。これをリチウムジイソプロピルアミド(LDA) な
どの塩基性条件下でアルキルハライド(6) と反応させる
ことにより化合物(19)を得ることができる。これを封管
中有機溶媒の存在下グアニジンまたはその酸性塩と加熱
することでカルボン酸エステル(5) を得ることができ
る。
【0040】一般に、6,7 −ジヒドロシクロペンタ
〔d〕ピリミジン環をもつカルボン酸(2) は、対応する
カルボン酸エステル(5) を化合物(4) から化合物(1) の
製造法に準じて酸またはアルカリの存在下において加水
分解することによって得ることができる。
【0041】次に、化合物(5) の内、R1が水酸基である
化合物は次に示す反応工程で製造出来る。
【0042】
【化16】
【0043】
【化17】
【0044】上記工程中、R1は水酸基を示し、R2, R5,
R6, R7,X, Y およびZ は前記と同義であり、R8はカルボ
キシル基の保護基を示す。2−カルボアルコキシ−2−
シクロペンテン−1−オン(20)の合成は公知の方法で行
うことができる。即ち、M.A.Guaciaroら Tetrahedrons,
47, 4661(1978)の方法に従い2−シクロペンテン−1
−オンから合成するか、H.J.Reich らのJ.Am.Chem.So
c., 97, 5434(1975)の方法に従い、2−カルボエトキシ
シクロペンタノンから合成することによって本発明の目
的に使用できる。
【0045】ケト体(21)はω−ハロゲノアルキル基結合
のサイクリックカルボン酸エステル(6) をトリアルキル
またはトリフェニル錫ハイドライドとアゾビスイソブチ
ロニトリルの存在下、2−カルボアルコキシ−2−シク
ロペンテン−1−オン(20)と反応させることによって合
成できる。ケト体、即ち、シクロペンタノン環含有カル
ボン酸エステル(21)からエノールエーテル(22)への変換
はジアゾメタンもしくはそのアナログ、2,2 −ジメトキ
シプロパンとパラトルエンスルホン酸、又はオルトギ酸
エステルなど一般的な水酸基への保護基導入試薬を作用
させることによって円滑に進行する。
【0046】1−アルコキシ−2−アルコキシカルボニ
ル−3−置換アルキル−5−ハロゲノ−1−シクロペン
テン化合物(23)は上記のエノールエーテル(22)にN−ハ
ロゲン化アミド(イミド)化合物を、熱あるいは光照射
の下で作用させるとアリル位のハロゲン化が起こり化合
物(23)を得ることができる。N−ハロゲン化アミド(イ
ミド)化合物としては、例えば 1,3−ジブロモ−5,5 −
ジメチルヒダントイン、N, N−ジクロロウレタン、N
−クロロ−あるいはN−ブロモスクシンイミド、N−ブ
ロモカプロラクタム、N−クロロ−N−シクロヘキシル
ベンゼンスルホンアミド、ターシャリーブチルハイポク
ロリド等を用いることができる。
【0047】ハロゲン化化合物(23)に脂肪族あるいは芳
香族チオールを作用させることによって対応するチオー
ル化合物(24)を得ることができる。脂肪族あるいは芳香
族チオールとしてはベンゼンチオール、置換されたベン
ゼンチオール(置換基はアルキル、アルコキシ、アミ
ノ、ハロゲン等の基)、各種のアルキルチオール(アル
キル基はエチル、ブチル、オクチル、イソプロピル、タ
ーシャリーブチル等の基)を使用することができる。こ
れらの脂肪族あるいは芳香族チオールはチオールアルカ
リ金属塩としてこの反応に用いることもできる。
【0048】次に1N塩酸を用いてチオール化合物(24)
を再びケト体、即ちシクロペンタノン環含有カルボン酸
エステル(25)に変換した後、常圧下または封管中、加温
下にグアニジンと反応させて閉環し、2−アミノ−4−
ハイドロキシ−6,7 −ジヒドロ−5H−シクロペンタ
〔d〕ピリミジン化合物(26)を得ることができる。グア
ニジンはその塩酸塩あるいはその他の塩をカリウムt−
ブトキシドあるいはその他のアルコキシドを用いて得る
ことができる。グアニジンはシクロペンタノン環含有カ
ルボン酸エステル(25)に対し過剰(2〜20倍モル、好ま
しくは5〜10倍モル)を用い、溶媒はプロティック溶
媒、例えばメタノール、エタノール、メトキシエタノー
ル、プロパノール、2−メチル−2−プロパノール等の
使用が好ましく、温度は10〜 200℃、好ましくは12〜 1
85℃、反応時間は8〜70時間が好ましい条件として挙げ
られる。但し、高温度、長時間の反応条件下では直接カ
ルボン酸が得られる場合もある。次に2−アミノ−4−
ハイドロキシ−6,7 −ジヒドロ−5H−シクロペンタ
〔d〕ピリミジン化合物(26)を過安息香酸等の過酸化物
類で室温あるいは氷冷下で処理することにより対応する
スルホキシドに変換することができる。このもののスル
ホキシド基は加熱によって脱離し対応するオレフィン化
合物(27) を得ることができる。この場合トリアルキル
ホスファイトあるいは第3級塩基を存在させると好まし
い結果が得られることがある。オレフィン化合物(27)は
6,7−ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イ
リデン化合物(5) の他に5−置換−5H−シクロペンタ
〔d〕ピリミジン化合物(5a)および5−置換−7H−シク
ロペンタ〔d〕ピリミジン化合物(5b)を含有する。これ
らは液体クロマトグラフィー等の一般の分離操作により
各々分離できる。6,7 −ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピ
リミジン−5−イリデン化合物(5) のエステル基を脱保
護することによって前述のカルボン酸化合物(2) を得る
ことができる。
【0049】次に化合物(5) のうち、R1がアミノ基、X
が−NH−または−NR9−(R9はアシル基、アルキル基ま
たはY とともに縮合環を形成する2価の官能基を示す)
を含む場合(X=X'−NR9−または−X'−NH−(X'はアルキ
レン基を示す))、化合物(5)は以下に示す反応工程で製
造できる。
【0050】
【化18】
【0051】
【化19】
【0052】上記工程中、R1はアミノ基を示し、R2,
R5, R6, R7, R9 , X', YおよびZ は前記と同義であり、
R10 は水酸基の保護基としてのアシル基を示す。ω−ハ
ロゲノアルキル化合物(28)を2−シアノシクロペンテン
−1−オン(7)と反応させることにより3−(アシロキ
シアルキル)−2−シアノシクロペンタン−1−オン(2
9)が合成できる。この場合、反応を化合物(8) の合成法
に準じて実施できる。3−(アシロキシアルキル)−2
−シアノシクロペンタン−1−オン(29)から対応するエ
ノールエーテル(30)への変換は前記化合物(8) から化合
物(9) を導く反応に準じて行うことができる。以下、1
−アルコキシ−2−シアノ−3−(アシロキシアルキ
ル)−5−ハロゲノ−1−シクロペンテン化合物(31)、
対応するアルキルチオ化合物(32)、2,4−ジアミノ−7
−アルキルチオ−6,7 −ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピ
リミジン化合物(33)は前記の化合物(10)、(11)、(12)の
合成反応と合成条件に準じて実施できる。R1がアミノ
基、R2が水素原子またはメチル基である場合、グアニジ
ンの代わりにホルムアミジンまたはアセトアミジンを使
用するとよい。
【0053】また、次工程の2,4−ジアミノ−6,7−ジヒ
ドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデンアル
キル化合物(34)は前記の化合物(12)から化合物(13)およ
び化合物(5) を得る方法に準じて実施できる。R2が水素
原子またはメチル基である場合も、同様の合成反応によ
って達成できる。化合物(33)は反応中アシル基が脱離し
直接アルキルアルコール(34)が得られる場合もあるが、
アシル基が脱離しない場合はアシル基の性質に基づき適
切な条件処理を行い対応するアルコール体(34)を得るこ
とができる。次いでこれにハロゲン化試薬を作用させア
ルキルハロゲニド(35)とした後、アシルアミノ(R9=ア
シル基)またはアルキルアミノ(R9=アルキル基)結合
の単環性または2環性芳香族カルボン酸エステル(36)と
反応させることにより対応する化合物(5) (X=−X'−NR
9−, R9=アシル基またはアルキル基)を得ることがで
きる。2環性複素環の場合、R9がY に縮合する構造をと
ってもよい。その場合、R9は2価の官能基(例えばエチ
レン基、ビニレン基等を挙げることができる)を示す。
R9がアミノ基の保護基、即ちアシル基である場合、R9
脱保護処理を行うことにより目的物(X=−X'−NH−)
に導くことができる。以上の如くして重要中間体である
エステル化合物(5) を得ることができる。
【0054】本発明の化合物は有機酸または無機酸と薬
理学的に許容しうる塩を生成することができる。塩生成
に好適な酸の例は、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、クエン
酸、マロン酸、サルチル酸、リンゴ酸、フマル酸、マレ
イン酸、コハク酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸
等を挙げることができる。有機酸塩又は無機酸塩は通常
の方法で遊離塩基型のものに当量の酸を加えることによ
り調製されうる。遊離塩基は有機酸及び無機酸の塩を塩
基で処理することにより再生しうる。水酸化ナトリウ
ム、炭酸カリウム、アンモニア、重炭酸ナトリウムの水
溶液等がこの目的に好適である。また、本発明の化合物
は好適な塩基を一種以上の遊離カルボキシル基と反応さ
せることにより薬理学的に許容可能なカルボン酸塩を生
成することができる。好適な塩基はアルカリ金属の水酸
化物または炭酸塩、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム及び相当する炭酸塩、ならびにアンモニア、トリ
エチルアミン等のアルキルアミンのごとき窒素塩基等も
含む。
【0055】本発明化合物(1) について具体的に例示す
ると、たとえば、 ・N−{4−〔2−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)エチル〕
ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ・N−{5−〔3−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)プロピ
ル〕−2−テノイル}−L−グルタミン酸 ・N−{4−〔3 −(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)プロピ
ル〕−ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ・N−{5−〔2−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)エチル〕
−2−テノイル}−L−グルタミン酸 ・N−{5−〔2−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)−1−エ
チル−エチル〕−2−テノイル}−L−グルタミン酸 ・N−{4−〔2−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)−1−エ
チル−エチル〕ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ・N−{5−〔2−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)−1−メ
チル−エチル〕−2−テノイル}−L−グルタミン酸 ・N−{4−〔2−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)−1−メ
チル−エチル〕ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ・N−{5−〔3−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)−1−メ
チル−プロピル〕−2−テノイル}−L−グルタミン酸 ・N−{4−〔3−(2,4−ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)−1−メ
チル−プロピル〕ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ・N−{4−〔2−(2−アミノ−4−オキソ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)エチル〕ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ・N−{5−〔2−(2−アミノ−4−オキソ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)エチル〕−2−テノイル}−L−グルタミン酸 ・N−{4−〔N'−〔2−(2,4 −ジアミノ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)エチル〕−N'−メチル〕アミノベンゾイル}−L
−グルタミン酸 ・N−{4−〔3−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロ
シクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)−1−
フロロプロピル〕ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ・N−{4−〔3−(2−アミノ−4−オキソ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)プロピル〕ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ・N−{5−〔3−(2−アミノ−4−オキソ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)プロピル〕−2−テノイル}−L−グルタミン酸 ・N−{1−〔2−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロ
シクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)エチ
ル〕インドール−5−イルカルボニル}−L−グルタミ
ン酸 ・N−{1−〔2−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロ
シクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)エチ
ル〕−2,3 −ジヒドロインドール−5−イルカルボニ
ル}−L−グルタミン酸 ・N−{5−〔2−(2−アミノ−4−オキソ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)−1−エチル−エチル〕−2−テノイル}−L−グ
ルタミン酸 ・N−{4−〔2−(2−アミノ−4−オキソ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)−1−エチル−エチル〕ベンゾイル}−L−グルタ
ミン酸 ・N−{5−〔2−(2−アミノ−4−オキソ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)−1−メチル−エチル〕−2−テノイル}−L−グ
ルタミン酸 ・N−{4−〔2−(2−アミノ−4−オキソ−6,7 −
ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデ
ン)−1−メチル−エチル〕ベンゾイル}−L−グルタ
ミン酸 などが挙げられる。
【0056】
【発明の効果】本発明化合物の効果を記述するため以下
の薬理実験例を示す。 実験例1 ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)阻害
活性 測定方法は基本的にはD.K.Misra らの方法(Nature, 18
9, 39−42(1961)に準拠した。また、DHFRはマウス
白血病細胞 P388 細胞より調製した。調製法はJ. M.Whi
teleyらの方法 (Arch.Biochem.Biophys., 150, 15−22
(1972)) に準拠した。方法はリン酸カリウム緩衝液 (pH
7.5 、75mM) 、メルカプトエタノール(7.5mM)、NADPH
(0.25mM) からなる溶液に精製したDHFR液を加えて
全量を0.75mlとする。これに本発明化合物の系列希釈液
を各々0.015ml 加え37℃で5分間の予備加温を行なう。
次にジヒドロ葉酸の25μM 溶液0.015ml を加え、37℃で
5分間の反応を行なう。1分間あたりの339nm の吸光度
の減少を測定しテトラヒドロ葉酸の生成量を求め、対照
液(化合物は加えない)との比較のもとに、各化合物の
50%DHFR阻害濃度(IC50)を算出する。結果を表1に
示す。
【0057】
【表1】
【0058】実験例2 腫瘍細胞増殖阻害活性 腫瘍細胞はマウス白血病細胞P388細胞、マウス白血病細
胞P388/MTXr E-2細胞、マウス結腸癌細胞Colon26 細
胞、ヒト鼻咽空癌細胞KB細胞を用いた。RPMI−1640培地
(10%牛胎児血清) に調整された上記各癌細胞液をピペ
ットを使い、一定量ずつ96穴マイクロプレートに入れ
る。これらを5%CO2 含有の炭酸ガス培養器に入れ、37
℃、1日培養する。本発明化合物をDMSOで溶解後、
培養液を加え系列希釈液を調製する。これらの液を培養
細胞の入った各穴に一定量ずつ加えた後、37℃で3日間
培養する。生細胞をMTT法で測定し、50%細胞増殖抑
制濃度(IC50)を求める。測定方法はM.C.Alley らによる
方法(Cancer Research, 48, 589 −601(1988))に準拠し
た。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】上記実験例によって本発明化合物はジヒド
ロ葉酸還元酵素(DHFR)阻害作用を有し、マウス白
血病細胞P388、マウス白血病細胞P388/MTXr E-2、マウ
ス結腸癌細胞Colon26 細胞、ヒト鼻咽空癌細胞KB細胞等
に明確な増殖阻害を示す。本発明化合物は、そのまま又
は薬理学的に許容可能なカルボン酸塩又は酸付加塩の形
態にて経口投与もしくは非経口投与により投与すること
ができる。投与量は病状の程度;患者の体重、年令、性
別、感受性差;投与方法(ルート)、投与間隔(スケジ
ュール);有効成分の種類;医薬製剤の種類、性質等に
よって異なり、特に限定されない。しかし、通常1日あ
たりの投薬量は60kg (1.62m2/man)の体重の被験者にた
いし1mg〜300mg /man 、好ましくは10mg〜150mg /ma
nであり1日1回の連投、または週1〜3回の間欠投与
が行なわれる。
【0061】本発明化合物の経口治療投与に適した形態
としては錠剤、バッカル剤、カプセル、けん濁液、シロ
ップ、トローチ等を挙げることができる。活性化合物の
賦形剤に対する各製剤中の比率(%)は投薬単位の約0.
5 〜50%の重量であることが便利である。このような活
性化合物の量は好適な投薬量がえられるような量であ
る。錠剤、カプセル、トローチ等はトラガントゴム、ア
ラビアゴム、澱粉、ゼラチン、のごとき結合剤;リン酸
二カルシウム、各種澱粉、アルギン酸、ステアリン酸等
の賦形薬、崩壊剤、滑剤が添加されてもよい。錠剤、カ
プセル等は被覆剤としてメチルセルロース、シェラッ
ク、砂糖等で被覆されてもよい。本発明化合物の非経口
治療投与に適した形態としては注射剤、分散液、乳化液
等がある。活性化合物の溶液はヒドロキシプロピルセル
ロースのごとき界面活性剤と混合して水中で調製するこ
とができる。注射剤は無菌の水性溶液または分散液、お
よび注射溶液の用時調製用−無菌粉末を含む。担体は
水、エタノール、グリセロール、ポリオールそれらの混
合物および植物油を含む溶媒であってもよい。分散液は
グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれら
の混合物を含む水中および油中で調製することができ
る。注射溶液の用時調製用−無菌粉末の好ましい調製方
法は滅菌濾過された溶液について減圧濃縮乾燥または凍
結乾燥を行ない所望の活性成分とする方法等である。
【0062】
【実施例】次に製造例および実施例により本発明をさら
に具体的に説明するが、本発明は以下の製造例及び実施
例に限定されるものではない。尚、例中の構造式におい
て、Meはメチル基、Etはエチル基、t-Buはtert−ブチル
基を示す。
【0063】製造例1 2−シアノ−2−シクロペンテン−1−オンの製造
【0064】
【化20】
【0065】p−トルエンチオール(13.7g、0.11mol)
の無水塩化メチレン溶液を窒素気流中氷冷下に撹拌し、
これにトリメチルアルミニウム(7.9g、0.11mol)のヘキ
サン溶液を加えた後、約20分撹拌した。反応液をドライ
アイス−アセトン浴で冷却し、これに2−シクロペンテ
ノン(8.41g、0.10mol)の塩化メチレン溶液を滴下し、
更に30分撹拌した。反応液を無水テトラヒドロフランで
希釈後、−50℃以下で、p−トルエンスルホニルシアニ
ド (22.9g、0.12mol)のテトラヒドロフラン溶液を加
え、約30分撹拌した後、さらに氷浴中で約60分撹拌し
た。メタノール約40mlを滴下した後、ジエチルエーテル
を加え、これを塩酸水、炭酸水素ナトリウム水、及び食
塩水で洗った後、脱水し、濃縮し、濃縮液を静置する
か、少量のn−ヘキサン:酢酸エチル=1:1混液を加
えて静置しておくと、2−シアノ−3−(4−メチルフ
ェニル)チオ−1−シクロペンタノンの結晶粉末が析出
した。収量22g。
【0066】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.82〜2.00(m,1
H),2.37(s,3H),2.30〜2.60(m,3H),3.04(d,J=9.6Hz,1H),
3.68〜3.78(m,1H),7.20(d,J=8.4Hz,2H),7.42(d,J=8.4H
z,2H) 先の操作で得られた化合物(10g、43mmol) をテトラヒ
ドロフランに溶解し、シリカゲルカラムに吸着させた
後、n−ヘキサン−酢酸エチル混液を展開液とするクロ
マトグラフィーを行い、目的物含有の分画を濃縮して無
色〜黄色の油状の目的化合物を得た。収量2.9 g。
【0067】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :2.55〜2.58(m,2
H), 2.90〜2.94((m,2H),8.32(t,J=2.8Hz,1H) IR(neat) ν (cm-1):2238,1728,1607 製造例2 4−ビニル安息香酸 ターシャリーブチルエステルの製
【0068】
【化21】
【0069】メチルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド(18.2g、50.9mmol) を無水テトラヒドロフランに懸
濁し、窒素気流中ドライアイス−アセトン冷却下にn−
ブチルリチウム1.6Mヘキサン溶液(49.7mmol)を加え、し
ばらく撹拌後、氷冷下に約30分間撹拌した。これに、テ
レフタルアルデヒド酸 ターシャリーブチルエステル(1
0g、48.5mmol) の無水テトラヒドロフラン溶液を加
え、約40分撹拌した。生成する沈澱物を濾去後、濾液を
濃縮乾固し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー (展開液 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:
1) で精製すると目的化合物が得られた。収量8.47g。
【0070】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.59(s,9H),5.3
6(d-d,J=0.8Hz,10.8Hz,1H),5.84(d-d,J=0.8Hz,17.6Hz,1
H),6.74(d-d,J=10.8Hz,17.6Hz,1H),7.43(d,J=8.0Hz,2
H),7.94(d,J=8.0Hz,2H) IR(neat) ν (cm-1):2978,1710,1292,1166,916 製造例3 4−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸 ターシャリー
ブチルエステルの製造
【0071】
【化22】
【0072】4−ビニル安息香酸 ターシャリーブチル
エステル(8.47g、42.1mmol) の無水テトラヒドロフラ
ン溶液に、窒素気流中9−ボラビシクロ〔3.3.1 〕ノナ
ン(9−BBN、5.65g、46.3mmol) の無水テトラヒド
ロフラン溶液を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に
水15ml、ついで3N NaOH 17mlを加えた後、30%過酸化水
素水を50℃以下で滴下した。そのまま1時間撹拌した
後、反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液
を食塩水で洗浄し、脱水後、溶媒留去し、得られた残渣
をシリカゲルカラムグラフィー (展開液 n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=1:1)で精製すると目的化合物が得
られた。収量8.71g。
【0073】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.41(t,J=6.6H
z),1.59(s,9H),2.92(t,J=6.6Hz,2H),3.88(q,J=6.6Hz,2
H),7.28(d,J=8.0Hz,2H),7.93(d,J=8.0Hz,2H) IR(neat) ν (cm-1):3150〜3700,2978,1713,1294,11
67 製造例4 4−(2−ブロモエチル)安息香酸 ターシャリーブチ
ルエステルの製造
【0074】
【化23】
【0075】4−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸
ターシャリーブチルエステル(8.7g、39.1mmlo) 及びト
リエチルアミン(5.9g、58.7mmol) の塩化メチレン溶液
に、ドライアイス−アセトン冷却下に、メタンスルホニ
ルクロライド (5.8 g、50.8mmol) の塩化メチレン溶液
を滴下し、氷冷下で30分撹拌した。反応液に0.5N亜硫酸
水素ナトリウム水を加え撹拌後、有機層を分取した。こ
れを食塩水で洗浄後、乾燥し、溶媒を留去するとメタン
スルホン酸エステル11.7gが得られた。これを2−ブタ
ノンに溶解し、臭化リチウム(5.1g、58.4mmol) を加え
窒素気流中65℃で12時間撹拌した。室温放置し生成した
析出物を濾去し、濾液を濃縮乾固後、残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー (展開液 n−ヘキサン:酢
酸エチル=4:1)で精製すると目的化合物が得られ
た。無色〜淡褐色の結晶9.8 gを得た。
【0076】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.59(s,9H),3.2
1(t,J=7.2Hz,2H),3.58(t,J=7.2Hz,2H),7.26(d,J=8.0Hz,
2H),7.94(d,J=8.0Hz,2H) 製造例5 4−〔2−(2−シアノ−1−シクロペンタノン−3−
イル)エチル〕安息香酸ターシャリーブチルエステルの
製造
【0077】
【化24】
【0078】4−(2−ブロモエチル)安息香酸 ター
シャリーブチルエステル(3.21g、11.3mmol) を無水ベ
ンゼンに溶解し、加熱還流下で、製造例1で得られた2
−シアノ−2−シクロペンテン−1−オン(2.41g、2
2.5mmol) の無水ベンゼン溶液ならびにアゾビスイソブ
チロニトリル(AIBN)(0.05g、触媒量) 及びトリ
−n−ブチルチンハイドライド(3.62g、12.4mmol) の
無水ベンゼン溶液を同時に徐々に滴下した。約20分加熱
還流した後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにて精製すると目的物が得られた。収
量0.43g。
【0079】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.59(s,9H),1.7
8 〜1.96(m,1H), 2.02〜2.22(m,1H), 2.24〜2.58(m,4
H),2.76〜2.94(m,3H),7.26(d,J=8.2Hz,2H),7.93(d,J=8.
2Hz,2H) IR(neat) ν (cm-1):2977,2933,2246,1760,1713 Mass(FAB) M+H+=314 製造例6 4−〔2−(2−シアノ−3−メトキシ−2−シクロペ
ンテン−1−イル)エチル〕安息香酸 ターシャリーブ
チルエステルの製造
【0080】
【化25】
【0081】4−〔2−(2−シアノ−1−シクロペン
タノン−3−イル)エチル〕安息香酸 ターシャリーブ
チルエステル(0.43g、1.37mmol) と、N,N −ジイソプ
ロピルエチルアミン(0.21g、1.64mmol) をメタノール
−アセトニトリル(1:5)混液に溶解し、これに10重
量%のトリメチルシリルジアゾメタンのヘキサン溶液3.
2 gを加え室温で2時間撹拌した。少量の酢酸を加え撹
拌した後、溶媒を留去した。残渣をジエチルエーテルに
溶解し、希塩酸、希アルカリ、食塩水で洗浄後、脱水
し、濃縮乾固した後、残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製すると目的物が得られた。収量0.23
g。
【0082】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.52〜1.72(m,2
H),1.59((s,9H), 2.02〜2.18(m,2H), 2.46〜2.52(m,2
H),2.62〜2.82(m,2H), 2.82〜2.94(m,1H),4.05(s,3H),
7.24(d,J=8.2Hz,2H),7.90(d,J=8.2Hz,2H) IR(neat) ν (cm-1):2977,2933,2203,1710,1632 Mass(FAB) M+H+=328 製造例7 4−〔3−(2−シアノ−1−シクロペンタノン−3−
イル)プロピル〕安息香酸 ターシャリーブチルエステ
ルの製造
【0083】
【化26】
【0084】4−(3−ブロモプロピル)安息香酸 タ
ーシャリーブチルエステル(1.5g、5mmol)を出発原料
とし、製造例5と同様の方法で、対応する目的物を得
た。収量0.43g。
【0085】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.40〜1.66(m,2
H),1.59(s,9H),1.70〜1.92(m,3H), 2.20〜2.56(m,4H),
2.60〜2.80(m,2H),2.81(d,J=11.6Hz,1H),7.22(d,J=8.0H
z,2H),7.91(d,J=8.0Hz,2H) IR(neat) ν (cm-1):2958,2932,2248,1760,1710 Mass(EI) M+=327 製造例8 4−〔3−(2−シアノ−3−メトキシ−2−シクロペ
ンテン−1−イル)プロピル〕安息香酸 ターシャリー
ブチルエステルの製造
【0086】
【化27】
【0087】製造例7で得られた化合物(0.41g) を出
発原料とし、製造例6と同様の方法で反応することによ
り目的物が得られた。収量0.31g。
【0088】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.30〜1.41(m,1
H), 1.41〜1.55(m,1H),1.59(s,9H),1.55〜1.82(m,3H),
2.02〜2.12(m,1H),2.42 〜2.48(m,2H), 2.61〜2.76(m,2
H),2.82 〜2.91(m,1H),4.03(s,3H),7.22(d,J=8.0Hz,2
H),7.90(d,J=8.0Hz,2H) IR(neat) ν (cm-1):2978,2935,2203,1712,1632 Mass(EI) M+=341 製造例9 4−〔3−(4−フェニルチオ−2−シアノ−3−メト
キシ−2−シクロペンテン−1−イル)プロピル〕安息
香酸 ターシャリーブチルエステルの製造
【0089】
【化28】
【0090】製造例8で得られた4−〔3−(2−シア
ノ−3−メトキシ−2−シクロペンテン−1−イル)プ
ロピル〕安息香酸 ターシャリーブチルエステル(7.4
g,21.7mmol)と、N,N−ジクロロウレタン(2.8ml,
23.9mmol)をベンゼンに溶解し、これに高圧水銀灯によ
り紫外線照射下室温で1時間攪拌した。少量の亜硫酸水
素ナトリウム水溶液を加え攪拌した後、溶媒を留去し
た。残渣にエーテルおよびベンゼンチオール(11ml, 10
7mmol)と、水酸化ナトリウム(4.3g, 108mmol)の水溶
液、および触媒量のヨウ化テトラブチルアンモニウムと
臭化ベンジルトリエチルアンモニウムを加え攪拌した。
反応液を酢酸エチルで抽出し、抽出液を乾燥後、溶媒を
留去することで得られた残渣をシリカゲルクロマトグラ
フィー(展開液n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で
精製すると目的化合物が得られた。収量6.8 g。
【0091】1H-NMR(CDCl3)δ(ppm) :7.93〜7.88(m,2
H), 7.39〜7.16(m,7H),4.18(s,3H),4.02(ddd,J=0.8,6.
4,9.2Hz,1H×0.7),3.94(dt,J=4.0,16.8Hz,1H×0.3), 2.
77〜2.48(m,5H),1.59(s,9H),1.68〜1.47(m,4H) 製造例10 4−〔3−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロ−7−フ
ェニルチオ−5H−シクロペンタ〔d〕ピリミジン−5
−イル)プロピル〕安息香酸 ターシャリーブチルエス
テル
【0092】
【化29】
【0093】製造例9で得られた4−〔3−(4−フェ
ニルチオ−2−シアノ−3−メトキシ−2−シクロペン
テン−1−イル)プロピル〕安息香酸 ターシャリーブ
チルエステル(6.8g, 15mmol) と炭酸グアニジン(6.0g,
33mmol)を2−メチル−2−プロパノールに混合し、窒
素雰囲気下、耐圧反応器に入れ攪拌下に 150±3℃で19
時間加熱した。反応液を放冷し、沈澱物を濾去後、濾液
を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開液 クロロホルム:メタノール=10:1)で分離
精製すると目的物が1.2g(2.5mmol) 得られた。
【0094】1H-NMR(CDCl3)δ(ppm) :7.90(d,J=5Hz,2
H),7.40(d,J=4Hz,2H),7.29〜7.15(m,5H),5.18(brs,2H),
4.88(brs,2H×0.5),4.83(brs,2H×0.5),4.41(dd,J=6.3,
7.8Hz,1H×0.5),4.35(dd,J=4.0,8.8Hz,1H×0.5), 2.95
〜2.80(m,1H), 2.67〜2.56(m,3H), 2.40〜2.15(m,1H),
1.65〜1.52(m,4H),1.59(s,9H) 製造例11 4−〔2−(4−フェニルチオ−2−シアノ−3−メト
キシ−2−シクロペンテン−1−イル)エチル〕安息香
酸 ターシャリーブチルエステルの製造
【0095】
【化30】
【0096】製造例6で得られた4−〔2−(2−シア
ノ−3−メトキシ−2−シクロペンテン−1−イル)エ
チル〕安息香酸 ターシャリーブチルエステル(3.5g,
10.7mmol) とN,N−ジクロロウレタン(1.8ml, 15.4mm
ol)をベンゼンに溶解し、これに高圧水銀灯により紫外
線照射下室温で30分間攪拌した。少量の亜硫酸水素ナト
リウム水溶液を加え攪拌した後、溶媒を留去した。残渣
にエーテル、およびベンゼンチオール(5.5ml, 54mmol)
と、水酸化ナトリウム(2.1g, 53mmol)の水溶液、およ
び触媒量のヨウ化テトラブチルアンモニウムと臭化ベン
ジルトリエチルアンモニウムを加え攪拌した。反応液を
酢酸エチルで抽出し、抽出液を乾燥後、溶媒を留去する
ことで得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー
(展開液n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製す
ると目的化合物が2.6g得られた。
【0097】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :7.89(d,J=8.0H
z,2H), 7.43〜7.29(m,5H),7.16(d,J=8.0Hz,2H),4.19(s,
3H),4.04(ddd,J=1.0,6.2,9.2Hz,1H×0.8),3.79(ddd,J=
1.8,2.6,8.6Hz,1H×0.2),2.81〜2.48(m,3H), 2.06〜1.8
6(m,2H), 1.67〜1.55(m,2H),1.59(s,9H) 製造例12 4−〔2−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロ−7−フ
ェニルチオ−5H−シクロペンタ〔d〕ピリミジン−5
−イル)エチル〕安息香酸 ターシャリーブチルエステ
ルの製造
【0098】
【化31】
【0099】製造例11で得られた4−〔2−(4−フ
ェニルチオ−2−シアノ−3−メトキシ−2−シクロペ
ンテン−1−イル)エチル〕安息香酸 ターシャリーブ
チルエステルを原料に用い、製造例10と同様の方法で
合成した。
【0100】1H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :7.92〜7.88(m,2
H), 7.49〜7.40(m,2H), 7.34〜7.16(m,5H),5.31(brs,2
H),4.92(brs,2H),4.45(t,J=8Hz,1H×0.5),4.39(dd,J=4,
8Hz,1H×0.5), 2.97〜2.28(m,5H), 1.70〜1.55(m,2H),
1.59(s,9H) 実施例1 4−〔3−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロシクロペ
ンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)プロピル〕安息
香酸の製造
【0101】
【化32】
【0102】製造例10で得られた4−〔3−(2,4 −
ジアミノ−6,7 −ジヒドロ−7−フェニルチオ−5H−
シクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イル)プロピル〕
安息香酸 ターシャリーブチルエステルのジクロロメタ
ン溶液に対して、氷冷下3−クロロ過安息香酸(650mg,
3.7mmol)を徐々に加えた。氷冷下15分間攪拌した後、チ
オ硫酸ナトリウム水溶液を加え攪拌した。反応液をジク
ロロメタンで抽出した後、脱水し、溶媒を留去した。残
渣に、亜リン酸トリメチル(2.6ml、22mmol)のトルエン
溶液 (50ml)を加え、30分還流した。反応液をそのまま
濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより、リンおよび
イオウ由来の煩雑物を取り除いた。これに対し、1規定
塩酸−酢酸溶液(10ml)を加え、3時間攪拌した。反応
液を濃縮し、残渣を145 ℃で3時間乾燥させることによ
り目的物400 mgを得た。
【0103】TLC(Merk Art.5715) CHCl3:CH3OH:CH3CO
2H=10:1:1、 Rf=0.2 実施例2 N−{4−〔3−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)プロピ
ル〕ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ジエチルエステ
ルの製造
【0104】
【化33】
【0105】実施例1で得られた4−〔3−(2,4 −ジ
アミノ−6,7 −ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン
−5−イリデン)プロピル〕安息香酸(400mg )をN,
N−ジメチルホルムアミド(4ml)に溶解させ、氷冷
下、グルタミン酸ジエチルエステル塩酸塩(523mg,2.2m
mol)と、アジ化ジフェニルリン酸(0.5ml,2.3mmol) と、
トリエチルアミン(0.8ml,5.7mmol) を加えた。そのま
ま、室温で終夜攪拌した後、溶媒を留去し、薄層クロマ
トグラフィー(展開液 クロロホルム:メタノール=1
0:1)により精製し、目的物を256mg 得た。
【0106】1H-NMR(CDCl3)δ(ppm) :7.73(d,J=8Hz,2
H),7.25(d,J=8Hz,2H),7.13(d,J=2Hz,1H),5.22(tt,J=2,7
Hz,1H),5.16(brs,2H),5.05(brs,2H),4.78(dt,J=5,8Hz,1
H),4.21(dq,J=1,7Hz,2H),4.09(dq,J=2,7Hz,2H),2.71〜
2.79(m,2H), 2.37〜2.64(m,6H), 2.25〜2.34(m,1H),2.1
2(dt,J=8,16Hz,1H),1.28(t,J=7Hz,3H),1.20(t,J=7Hz,3
H) 実施例3 N−{4−〔3−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)プロピ
ル〕ベンゾイル}−L−グルタミン酸の製造
【0107】
【化34】
【0108】実施例2で得られたN−{4−〔3−(2,
4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリ
ミジン−5−イリデン)プロピル〕ベンゾイル〕−L−
グルタミン酸 ジエチルエステルのテトラヒドロフラン
−水溶液に対して1規定水酸化ナトリウム水溶液1.5ml
を加え、室温で終夜攪拌した。反応液に1規定塩酸を加
えることにより結晶が沈澱した。これを濾取乾燥するこ
とにより目的物を 140mg得た。
【0109】1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) :8.49(d,J=8H
z,1H),7.78(d,J=8Hz,2H),7.32(d,J=8Hz,2H),6.25(brs,2
H),6.01(s,2H),5.51(t,J=8Hz,1H),4.35(dt,J=12,4Hz,1
H),2.74(t,J=8Hz,2H),2.52〜2.56(m,2H),2.30〜2.45(m,
6H),2.05(dt,J=12,8Hz,1H),1.92(dt,J=24,8Hz,1H) TLC(Merk Art.5715) CHCl3:CH3OH:CH3CO2H=10:3:
2、 Rf=0.34 実施例4 4−〔2−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロシクロペ
ンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)エチル〕安息香
酸の製造
【0110】
【化35】
【0111】製造例12で得られた4−〔2−(2,4 −
ジアミノ−6,7 −ジヒドロ−7−フェニルチオ−5H−
シクロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イル)エチル〕安
息香酸 ターシャリーブチルエステルを原料に用い、実
施例1と同様の方法で目的物を合成した。 TLC(Merk Art.5715) CHCl3:CH3OH:CH3CO2H=10:1:
1、 Rf=0.2 実施例5 N−{4−〔2−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)エチル〕
ベンゾイル}−L−グルタミン酸 ジエチルエステルの
製造
【0112】
【化36】
【0113】実施例4で得られた4−〔2−(2,4 −ジ
アミノ−6,7 −ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリミジン
−5−イリデン)エチル〕安息香酸を原料に用い、実施
例2と同様の方法で合成した。 TLC(Merk Art.5715) CH2Cl2:C2H5OH=10:1、 Rf=0.5 実施例6 N−{4−〔2−(2,4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロシ
クロペンタ〔d〕ピリミジン−5−イリデン)エチル〕
ベンゾイル}−L−グルタミン酸の製造
【0114】
【化37】
【0115】実施例5で得られたN−{4−〔2−(2,
4 −ジアミノ−6,7 −ジヒドロシクロペンタ〔d〕ピリ
ミジン−5−イリデン)エチル〕ベンゾイル}−L−グ
ルタミン酸 ジエチルエステルを原料に用い、実施例3
と同様の方法で合成した。
【0116】1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) :8.45(d,J=8H
z,1H),7.79(d,J=8Hz,2H),7.34(d,J=8Hz,2H),6.24(brs,2
H),5.99(brs,2H),5.70(t,J=8Hz,1H),4.37(dd,J=8,12Hz,
1H),3.47(t,J=8Hz,2H),2.35〜2.65(4H),2.31(t,J=12Hz,
2H),2.04(dt,J=8,12Hz,1H),1.92(dt,J=8,12Hz,1H) MS(FAB)m/e:426 (MH
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 417/12 239 9051−4C (72)発明者 紀藤 恭輔 茨城県つくば市東光台1丁目10番地の8

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) で表わされるピリミジン環縮
    合シクロペンチリデン誘導体またはその薬理学的に許容
    される塩。 【化1】 (式中、R1は水酸基またはアミノ基を示す。R2は水素原
    子、アミノ基またはメチル基を示す。X は1〜4個の原
    子からなる2価の直鎖状の基で置換基を有していてもよ
    い。Y はフェニレン基、チエンジイル基、フランジイル
    基、チアゾールジイル基、インドールジイル基又はイン
    ドリンジイル基を示す。)
  2. 【請求項2】 Xが、炭素、窒素、酸素または硫黄から選
    ばれる1〜4個の原子からなる2価の直鎖状の基で、炭
    化水素基、ハロゲン原子あるいは置換または無置換アミ
    ノ基から選ばれる置換基を有していても良い基である請
    求項1記載のピリミジン環縮合シクロペンチリデンまた
    はその薬理学的に許容される塩。
  3. 【請求項3】 一般式(2) 【化2】 (式中、R1、R2、X およびY は前記と同義である。)で
    表わされる化合物またはそのカルボキシル基における反
    応性誘導体と、一般式(3) 【化3】 (式中、RおよびR4は同一または異なるカルボキシル
    基の保護基を示す。)で表される化合物とを縮合させ
    て、一般式(4) 【化4】 (式中、R1、R2、R3、R4、X およびY は前記と同義であ
    る。)で表されるカルボン酸エステル体を得、ついで、
    このエステル体を酸またはアルカリの存在下に加水分解
    することを特徴とする請求項1記載のピリミジン環縮合
    シクロペンチリデン誘導体またはその薬理学的に許容さ
    れる塩の製造法。
  4. 【請求項4】 一般式(5) 【化5】 (式中、R1、R2、X およびY は前記と同義である。−CO
    OR5 は保護基でエステル化されていてもよいカルボキシ
    ル基を示す。)で表される化合物またはその塩。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のピリミジン環縮合シク
    ロペンチリデン誘導体またはその薬理学的に許容される
    塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
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