JPH06238137A - 多孔質膜及びその製法 - Google Patents

多孔質膜及びその製法

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JPH06238137A
JPH06238137A JP12760191A JP12760191A JPH06238137A JP H06238137 A JPH06238137 A JP H06238137A JP 12760191 A JP12760191 A JP 12760191A JP 12760191 A JP12760191 A JP 12760191A JP H06238137 A JPH06238137 A JP H06238137A
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JP
Japan
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polyolefin
porous membrane
lower alkyl
iii
hydrophilic copolymer
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JP12760191A
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Toshinobu Koshoji
俊信 小障子
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特に水系液体処理に適した恒久的な親水性を有
すると共に、工業的に有利な方法で製造が可能なポリオ
レフィン系多孔質膜とその製法を開発する。 【構成】 −(CH2 −CH2 )− (I) −(CHR2 −CR1 COOH)− (II) −(CR4 X−CR3 COOR)− (III ) [ただし、R1 〜R4 は、それぞれ水素原子または低級
アルキル基であり、Rは、低級アルキル基である。X
は、水素原子またはCOOR’(R’は低級アルキル
基)である。]で表される繰り返し単位(I),(II),(III)
を含む親水性共重合体AとポリオレフィンBとのブレン
ド物を溶融賦型した後、該溶融賦型物をポリオレフィン
Bの融点以下の温度で1時間以上熱処理し、次いで延伸
処理して多孔化することにより親水性共重合体Aとポリ
オレフィンBとからなる多孔質膜を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用、工業用の濾
過、分離等に適した親水性多孔質膜及びその製法に関す
るポリオレフィンよりなる複合中空糸とその製造法に関
する。
【0002】
【従来の技術】多孔質膜は医療用においては血漿分離、
輸液濾過、血漿蛋白の分離、無菌水の製造等に、工業用
においてはICの洗浄水、食品加工用水の製造、その他
の工程用水の浄化等に用いられ、更には、近年、家庭
用、飲食店用等の浄水器等に多量に用いられている。こ
れらの用途において多孔質膜素材から異物が溶出すると
安全性が低下し或いは精製水、もしくは水溶液の品質が
低下するためこのような溶出の心配のない膜が要望され
ている。
【0003】ところで、多孔質膜としては種々の素材や
多孔質構造のものが提案されているが、その中でも結晶
性熱可塑性高分子を中空繊維状、チューブ状もしくはフ
ィルム状に溶融賦型し、これを比較的低温で延伸して結
晶ラメラ間の非結晶領域にクレーズを発生せしめ、これ
を更に熱延伸して溶融賦型物に多孔質構造を形成せしめ
たものが、添加剤や溶媒を使用しないため不純物や化合
物の溶出を嫌う用途に適した膜として注目されている。
このような中空糸膜は特開昭52−137026号公報
や特開昭57−66114号公報に、またこのような平
膜はUSP3,679,538号や特公昭55−325
31号公報等に開示されている。
【0004】かかる方法で得られた多孔質膜はポリオレ
フィンやフッ素化ポリオレフィンのみからなり本質的に
は疎水性であるため、そのままでは水溶液等の水系液体
の濾過は困難である。そこで、このような多孔質膜は通
常アルコールや界面活性剤等の親水化剤で処理された
後、水系液体の濾過に使用されている。
【0005】また、疎水製膜を親水化する方法としてア
クリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等の親水性有機炭
化水素単量体で疎水性膜を被覆し、約1〜10メガラッ
ドの電離放射線を照射することにより化学的に固定する
方法が特開昭56−38333号公報に開示されてい
る。また、2種の異なるポリマーをブレンドして溶融紡
糸した後、延伸処理して異種ポリマーの界面を開裂させ
て微孔性多孔質中空繊維を形成し、構成ポリマー中に存
在する側鎖基の加水分解、スルホン化等の後処理によっ
て、細孔の表面が親水化された親水性多孔質中空繊維を
製造する方法が特開昭55−137208号公報に開示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】アルコールや界面活性
剤による親水化処理は一時的な親水化であって、しか
も、親水化処理剤を多孔質膜に付着させたままで濾過等
に使用するとアルコールや界面活性剤が精製水に移行し
てこれを汚染するので、濾過前にこれらの親水化剤を十
分に洗浄除去する必要がある。また、このような状態で
乾燥すると、膜表面は疎水性に戻るので一旦親水化処理
した後は親水化剤を水で置換させておき、多孔質膜の細
孔表面は常に水に接触させておかねばならないという問
題点を有している。
【0007】また、特開昭56−38333号公報に記
載された方法では親水性を発現する基が多孔質膜に化学
的に固定されているため恒久的な親水化が達成される
が、電離放射線を照射する必要があることから大掛かり
な設備を必要とし、工程の安定性も十分とは言い難く、
膜素材を傷めたりする恐れもあり、処理工程の操作、管
理が難しいという問題がある。
【0008】また、特開昭55−137208号公報に
記載された異種ポリマーのブレンド物を溶融紡糸、延伸
して多孔化した繊維は概して空孔率が小さいものであ
る。親水化のために加水分解やスルホン化等の後処理が
必要であり、工程が煩雑になるという問題をも有してい
る。
【0009】ところで、本発明者らは、親水性共重合体
としてポリアルキルグリコールモノ(メタ)アクリレー
トを共重合させた低分子量体を先に提案した(特願平0
2−099998号)。この先行発明は、上記の公知技
術を改良したものである。しかし、この先行発明は、エ
チレンとこのアクリレートモノマーとの共重合性の点で
一層の改善が望ましいことが判明した。
【0010】本発明の目的は、こうした状況に鑑み水系
液体処理に適した恒久親水性を有し、しかも工業的に有
利な方法で製造が可能なポリオレフィン系多孔質膜とそ
の製法を開発することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
上記目的を達成すべく水系液体処理に適し、且つ工業的
生産に有利なポリオレフィン系多孔質膜につき鋭意検討
した結果、本発明に至ったものである。本発明の要旨
は、 −(CH2 −CH2 )− (I) −(CHR2 −CR1 COOH)− (II) −(CR4 X−CR3 COOR)− (III ) [ただし、R1 〜R4 は、それぞれ水素原子または低級
アルキル基であり、Rは、低級アルキル基である。X
は、水素原子またはCOOR’(R’は低級アルキル
基)である。]で表される繰り返し単位(I),(II),(III)
を含む親水性共重合体Aと、ポリオレフィンBとからな
る多孔質膜にあり、更に前記親水性共重合体Aとポリオ
レフィンBとのブレンド物を溶融賦型した後、該溶融賦
型物をポリオレフィンBの融点以下の温度で1時間以上
熱処理し、次いで延伸処理して多孔化する多孔質膜の製
法にある。
【0012】本発明の多孔質膜の一構成成分であるポリ
オレフィンBとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ3−メチルブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−
1或いはこれらの共重合体を挙げることができる。
【0013】本発明の多孔質膜を構成する親水性共重合
体A中の繰り返し単位(I)、(II)及び(III )をそ
れぞれa、b及びcモルとしたとき、各繰り返し単位の
組成比が下記の範囲である。 (b+c)/(a+b+c)=0.09〜0.20 b/(b+c)=0.7〜1.0 繰り返し単位(I)は、エチレン由来のものである。
【0014】繰り返し単位(II)及び(III )のR1
4 は、いずれも水素原子または低級アルキル基である
が、R1 、R3 がそれぞれメチル基、R2 、R4 が水素
原子であることが望ましい。Rは、メチル基、エチル
基、プロピル基又はブチル基であることが望ましい。一
般に、繰り返し単位(II)の単量体は合計炭素数が3〜
9であることが好ましく、繰り返し単位(III )の単量
体は合計炭素数が4〜10であることが好ましい。
【0015】繰り返し単位(II)及び(III )を与える
単量体を例示すれば、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、フマル酸ジメチル、マレイン酸モノエチル等が挙げ
られる。
【0016】親水性共重合体A中の繰り返し単位(I)
〜(III )の存在量はそれぞれa、b、cモルである
が、その割合は(a+b+c)に対する(b+c)の割
合が9〜20%、好ましくは10〜15%であり、(b
+c)に対するbの割合が、70〜100%、さらに好
ましくは80〜100%である。
【0017】親水性共重合体A中のエチレン以外の単量
体単位の含有量が9%未満では、これとポリオレフィン
Bがブレンドされた多孔質膜が充分な親水性を持たず、
一方20%を超過すると、親水性共重合体Aの製造の際
に超低分子量共重合体が生成され、これとポリオレフィ
ンBがブレンドされた多孔質膜からは親水性共重合体A
が溶出しやすくなるので好ましくない。
【0018】また、親水性共重合体Aの分子量は特に限
定されないが、多孔質膜が恒久的な親水性を発揮するた
めには、概して低分子量物であることが好ましく、75
℃キシレン中での極限粘度[η]が0.07〜0.40
dl/g程度であることが好ましい。[η]がこの範囲
の値より小さいと、使用中にこの親水性共重合体Aがブ
リードアウトしやすい傾向にあり、一方[η]がこの範
囲の値より大きいとこの親水性共重合体Aの流動性が低
いため、細孔表面を含めた多孔質膜の表面における親水
性共重合体Aの割合が低い多孔質膜となる傾向にある。
【0019】また、ポリオレフィンBに対する親水性共
重合体Aの含有割合は特に限定されず、親水性共重合体
A中の(a+b+c)に対する(b+c)の比率に応じ
てAとBの割合を定めることができる。一般に、親水性
共重合体A中の親水性成分である(b+c)の含有量が
多い場合は多孔質膜中におけるAの含有量が少量でも親
水性を示すが、(b+c)の含有量が少ない場合には多
孔質膜が充分な親水性を示すためには多孔質膜中のA含
有量を多量にすることが必要となる。
【0020】また、本発明の多孔質膜では、多孔質膜中
のポリオレフィンBの含有割合は95〜50重量%であ
ることが好ましい。ポリオレフィンBの含有量がこの範
囲未満であると溶融賦型物においてラメラ結晶を充分に
成長させることが困難となり、優れた多孔質構造の膜が
得られ難い傾向がある。
【0021】本発明の多孔質膜の空孔率、細孔径や膜厚
等は特に限定されないが、空孔率は40〜80%程度、
水銀ポロシメーターで測定される細孔径は0.01〜3
μ程度、膜厚は10〜200μ程度であればよい。
【0022】また、多孔質構造としては細孔が三次元的
に相互に連通した構造であればよく、溶融賦型とそれに
続く延伸によって多孔化した構造のものや被抽出物を含
むブレンドポリマーを溶融賦型し、次いで抽出処理する
方法によって得られる構造のもの等を挙げることができ
る。しかしながら、これらの中でも多孔質膜の機械的強
度や膜の目詰まりによる圧損上昇の遅延等を考慮する
と、ラメラと該ラメラ間をつなぐ多数の長手方向に配列
したフィブリルとで囲まれた空間が連通した構造を有す
る多孔質膜であることが望ましい。
【0023】次に、本発明の多孔質膜の製法について説
明する。本発明の多孔質膜は湿式製膜法、溶融賦型と抽
出を組み合わせた製膜法をはじめとして種々の方法によ
って製造が可能であるが、工業的規模で安価に冷蔵でき
る点等を考慮すると溶融賦型と延伸多孔化を組み合わせ
た、いわゆる延伸法によって製造することが好ましい。
【0024】以下に延伸法による製膜法を説明する。ま
ず、上述のポリオレフィンBと親水性共重合体Aを均一
にブレンドするが、ブレンド法としてはバンバリーミキ
サー、二軸押出機等で溶融ブレンドし、次いでペレット
化する方法等が挙げられる。
【0025】次に、このブレンドポリマーを通常のフィ
ルムもしくは中空繊維用の溶融押出機を用いて溶融賦型
する。中空繊維用ノズルとしては二重管型や馬蹄形を用
いることができ、前者の場合は偏肉の少ない賦型物が得
られる。また、フィルム押出機としてはTダイ型、二重
管型ダイスのいずれをも用いることができる。二重管型
ダイスを用いると筒状のフィルムが得られ、この場合は
引き続いて行われる延伸処理を筒状のままで行うことが
できる。また、フィルム成型に際して内部エアー吹き込
み量を調節することにより目的に応じた肉厚および幅の
フィルム成型ができる。
【0026】本発明の多孔質膜を得るための未延伸溶融
賦型物を安定して得るのに適した押出温度は、使用する
ポリマーの種類、メルトインデックス、採用する吐出
量、冷却条件、巻取速度等の各種条件との兼ね合いで、
目的とする賦型物の肉厚、幅が安定して確保しうる範囲
で適宜設定すれば良く、通常はポリオレフィンの融点
(以下、Tmという。)より20℃以上高く、且つ該融
点より100℃高い温度を超えない温度範囲で賦型され
る。この温度範囲の下限より低い温度で成型すると、未
延伸溶融賦型物は高度に配向しているが、後の工程であ
る延伸工程で延伸多孔化を計るときに最大延伸量が低く
なり、十分に高い空孔率が得難くなるので好ましくな
い。逆に上記温度範囲の上限を超える温度で賦型した場
合も、高い空孔率のものが得難いので好ましくない。
【0027】中空繊維状物の場合は、溶融紡糸で得られ
る未延伸中空糸の高配向高結晶化を達成するために、紡
糸ドラフトを10〜10000とすることが好ましく、
1000〜10000とすることがより好ましい。紡糸
ドラフトが10未満ではラメラ結晶構造の形成が不十分
となり、したがってその後の延伸工程を経ても良好な多
孔質構造の形成が行われ難くなる。溶融紡糸で得られる
未延伸糸としては内径50〜2000μ、膜厚10〜2
00μであることが好ましいが、必要に応じてこの範囲
外の寸法のものにしても良い。
【0028】また、管状又は平板状の成形物の場合は、
1〜5000のドラフトで引き取るのが好ましく、10
〜2000のドラフトであることがより好ましい。引き
取られるフィルムがダイスをでたあと最初に接触するロ
ーラーに安定して引き取られるようにダイス直後で急速
に冷却することが好ましく、エアーナイフ或いはその他
の冷却装置を用いることが好ましい。
【0029】このようにして得られた未延伸賦型物は、
その結晶化度を高めるためにTm以下の温度で定長か或
いは弛緩状態で1時間以上アニール処理される。この処
理時間は長時間であればあるほど好ましいが、経済性を
考慮すると48時間以内程度とされ、3〜48時間程度
であることがより好ましい。なお、このような長時間ア
ニール処理を空気中で行うと、その間に親水性共重合体
が変質するため、本発明では不活性ガス中もしくは真空
中でアニール処理する方法が採用される。
【0030】アニール処理物は、延伸によって多孔質化
されるが、通常は冷延伸と熱延伸を組み合わせた延伸法
が採用される。すなわち、まずおよそ(Tm−220
℃)〜(Tm−80℃)、より好ましくは(Tm−16
0℃)〜(Tm−90℃)の範囲の温度で熱延伸し、次
いでおよそ(Tm−60℃)〜(Tm−5℃)の範囲の
温度で熱延伸される。これらの冷延伸と熱延伸は2段以
上の多段延伸であってもよい。
【0031】これらの延伸工程において、まず冷延伸工
程によって高配向結晶性賦型物の結晶界面が剥離され、
引き続く熱延伸工程での熱可塑性化延伸によってミクロ
ボイド積層構造が発達するものであり、最初の冷延伸に
おいて如何に均一にミクロクラッキングを発生せしめる
ことができるかが多孔質構造の均質性、製造工程の安定
性を確保するうえで大きな技術的ポイントとなる。ま
た、熱延伸温度が上記上限値より低い場合は、温度が低
ければ低いほど空孔率が低下するので好ましくない。
【0032】冷延伸及び熱延伸の延伸量は目的とする多
孔質膜の空孔率等の品質に応じて適宜設定すればよい
が、冷延伸における延伸量は5〜100%であることが
好ましく、冷延伸と熱延伸とを組み合わせた総延伸量が
150〜700%になるように熱延伸量を設定するのが
好ましい。総延伸量が700%を超えると、延伸時に賦
型物の切断が多発するので好ましくない。こうして得ら
れたポリオレフィン多孔質膜は熱延伸によりほぼ形態の
安定性が確保されているが、必要に応じて(Tm−60
℃)〜(Tm−5℃)の温度で緊張下或いは制限緩和状
態で熱セットしてもよい。この冷延伸及び熱延伸の温
度、倍率などを変更することにより種々の孔径、空孔率
の多孔質膜を得ることができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。
【0034】(実施例1)内容積1lの攪拌式オートク
レーブ型連続式反応器を用いてエチレンとアクリル酸及
びアクリル酸メチルを共重合させて、エチレン−アクリ
ル酸−アクリル酸メチル三元共重合体を得た。得られた
共重合体中のアクリル酸含有量は8モル%、アクリル酸
メチル含有量は2モル%であった。この共重合体の極限
粘度(以下、[η]と略称する。)は0.20であっ
た。
【0035】この親水性共重合体を密度0.965g/
cm3 の高密度ポリエチレン(三菱油化(株)製、三菱
ポリエチJX−20)とを二軸押出機を使用して20:
80(重量部)の割合で溶融混練し、ペレット化したの
ち更に乾燥した。
【0036】次いで、このペレットを吐出孔径が28m
m、円管スリット幅が3.5mmの二重管構造の中空繊
維製造用ノズルを用い、中空糸の中空部に自給式で空気
を導入しつつ、紡糸温度170℃、紡糸ドラフト340
0、紡糸速度200m/minで紡糸し、巻き取った。
【0037】得られた未延伸糸を115℃の窒素雰囲気
下で定張力下に24時間熱処理した。この未延伸糸を2
5℃で80%冷延伸し、次いで115℃に加熱した長さ
2mの加熱函中で総延伸量が300%になるように緩和
熱セットした。
【0038】このようにして得られた中空糸膜は繊維軸
方向に配向したフィブリルとこのフィブリルをつなぐ結
晶ラメラの部分とで形成するスリット状の多孔質構造が
観察され、その外表面から内表面に亘ってほぼ均一にこ
の多孔質構造が存在した。また、このフィブリル間に形
成されたスリット状の孔の長さは約1.1μであり孔の
幅は約0.08μであった。
【0039】また、この中空糸膜の内径は267μ、膜
厚は57μ、空孔率は63%、透水圧(中空糸の内側中
空部から水が均一に流出する水圧)は0.1kg/cm
2 であり、良好な親水性を示した。
【0040】(比較例1)親水性共重合体は使用せず、
ポリエチレンとしてJX−20を用いてその他の条件は
実施例1と同様にして中空糸膜を得た。この中空糸膜の
内径は279μ、膜厚は54μ、空孔率は73%、透水
圧は4.9kg/cm2 であり、親水性は不良であっ
た。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明の
多孔質膜は恒久的な親水性が付与された多孔質膜であ
り、医療用、食品工業用、飲料水用として種々の分野に
おける分離膜として使用できる。また、膜の一方の表面
から他方の表面にかけて全体にわたってラメラと該ラメ
ラ間をつなぐ多数のフィブリルとにより囲まれた空間が
連通する多孔質構造を有する多孔質膜の場合は、全体と
して長手方向への配向が高い膜が三次元的に連通した編
目状細孔構造を有するために、使用時における膜の目詰
まりが遅延するという効果がある。
【0042】また、本発明の製法によれば簡単な方法で
ポリオレフィン多孔質膜に恒久的な親水性を付与するこ
とができ、しかも溶剤や添加剤を使用することなく容易
に親水性多孔質膜を得ることができる。
【0043】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(I)、(II)及び(III )で表さ
    れる繰り返し単位を含む親水性共重合体A及びポリオレ
    フィンBとからなる多孔質膜。 −(CH2 −CH2 )− (I) −(CHR2 −CR1 COOH)− (II) −(CR4 X−CR3 COOR)− (III ) [ただし、R1 〜R4 は、それぞれ水素原子または低級
    アルキル基であり、Rは、低級アルキル基である。X
    は、水素原子またはCOOR’(R’は低級アルキル
    基)である。]
  2. 【請求項2】 親水性共重合体A中の繰り返し単位
    (I)、(II)及び(III)をそれぞれa、b及びcモ
    ルとした時、各繰り返し単位の組成比が下記の範囲であ
    り、親水性共重合体Aの75℃キシレン中での極限粘度
    [η]が0.07〜0.40dl/gである請求項1記
    載の多孔質膜。 (b+c)/(a+b+c)=0.09〜0.20 b/(b+c)=0.7〜1.0
  3. 【請求項3】 下記(I)、(II)及び(III )で表さ
    れる繰り返し単位を含む親水性共重合体Aとポリオレフ
    ィンBとのブレンド物を溶融賦型した後、該溶融賦型物
    をポリオレフィンBの融点以下の温度で1時間以上熱処
    理し、次いで延伸処理して多孔化する多孔質膜の製法。 −(CH2 −CH2 )− (I) −(CHR2 −CR1 COOH)− (II) −(CR4 X−CR3 COOR)− (III ) [ただし、R1 〜R4 は、それぞれ水素原子または低級
    アルキル基であり、Rは、低級アルキル基である。X
    は、水素原子またはCOOR’(R’は低級アルキル
    基)である。]
  4. 【請求項4】 親水性共重合体A中の繰り返し単位
    (I)、(II)及び(III)をそれぞれa、b及びcモ
    ルとした時、各繰り返し単位の組成比が下記の範囲であ
    り、親水性共重合体Aの75℃キシレン中での極限粘度
    [η]が0.07〜0.40dl/gである請求項3記
    載の多孔質膜の製法。 (b+c)/(a+b+c)=0.09〜0.20 b/(b+c)=0.7〜1.0
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