JPH06227994A - 植物成分の回収装置 - Google Patents

植物成分の回収装置

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JPH06227994A
JPH06227994A JP5042078A JP4207893A JPH06227994A JP H06227994 A JPH06227994 A JP H06227994A JP 5042078 A JP5042078 A JP 5042078A JP 4207893 A JP4207893 A JP 4207893A JP H06227994 A JPH06227994 A JP H06227994A
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東  昌弘
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実 久保田
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慎 藤田
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JIYUMOKU CHUSHUTSU SEIBUN RIYO
JIYUMOKU CHUSHUTSU SEIBUN RIYOU GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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JIYUMOKU CHUSHUTSU SEIBUN RIYO
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Abstract

(57)【要約】 【構成】密閉可能な充填塔内で多孔板上に支持され吸着
剤が均一に充填された吸着部、該吸着部の上部から離隔
して設けられた吸着剤スラリーまたは被処理水の供給ノ
ズル、および充填塔の底部と連通し該供給ノズルの上側
に液面を保持するサイフォン管を具備する吸着剤充填塔
と、該供給ノズルに吸着剤スラリーを供給する吸着剤ス
ラリー供給手段と、被処理水を加圧供給する被処理水供
給手段、および該供給ノズルと被処理水供給手段の間に
設けられた被処理水中の固形異物の分離濾過手段を備え
た植物成分の回収装置。 【効果】本発明の植物成分の回収装置は、各種の有用な
植物成分を各種植物体の水蒸気蒸留時の留出水や残渣に
含まれる水溶液から、簡便かつ効率的にさらに工業的に
も有利に回収することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒノキチオール等の植
物成分の回収装置に関する。更に詳しくは、各種の有用
な植物成分を、現在利用されずに廃棄されている各種植
物体の水蒸気蒸留時の留出水や残渣に含まれる水溶液か
ら、簡便かつ効率的に回収する装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】水中に溶
解している有機成分を分離回収する装置としては、溶剤
を用いる方法と用いない方法とがある。溶剤を用いる方
法としては、例えば有機物を良く溶解し、水と溶け合わ
ないトルエン、ヘキサン等の溶剤を用い、抽出塔を使っ
た連続抽出装置が一般的であり、かつ効率が良い。しか
し、装置が大掛りなうえ、引火性溶剤を取り扱う危険性
と、排水中の残留溶剤による汚染の問題が生じる。
【0003】一方、溶剤を使わない方法としては、目的
物質を吸着ないし吸蔵する固体物質(活性炭、活性白
土、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ
等)を塔内に充填し、被処理水を該塔内に通して目的物
質を分離回収する、固定床式連続通水装置がある。これ
は専ら上水の浄化装置として用いられる方式であり、小
規模な樹木精油回収に使用できるような簡便な吸着装置
は、未だ開発されていない。また、上述の方式では開放
槽タイプであることが多く、吸着剤充填時に吸着剤層内
への空気混入を防ぐ効果的な方策がない。そして、吸着
剤層に空気が混入した場合は、通水量の減少や均一な吸
着がなされなくなる怖れがあり、更に気泡が集合して浮
上する際に吸着剤層が逆転するなど問題が多い。
【0004】このような課題を解決するために構造的に
参考となるのが、蒸気ボイラー用の軟水製造装置に見ら
れる、イオン交換樹脂を充填した連続通水装置である
が、この装置は、食塩による樹脂再生工程を持つため、
本発明の目的には不用な構造や部品を有している他、樹
脂の出し入れを人手をかけず迅速に行う工夫等がなされ
ていない。また、装置材料に関しても樹脂ライニングを
施した軟鉄や合成樹脂材料を使ったものが多いので、被
処理水に微量混入する植物油に対する耐食性がなく、従
って耐久性、耐圧面でも問題がある。
【0005】この種の連続通水式吸着塔において往々発
生する問題であり、かつ設計上最も留意すべき事は、吸
着剤と被処理水の接触効率を最大限に発揮させることで
あり、具体的には被処理水の流れ方向に対して垂直断面
にある吸着剤が平均的にかつ逐次的に被処理水と接触さ
せる必要があることである。つまり被処理水が吸着剤層
中を層流となって通過することが大切であり、これを妨
げる要因としては、例えば、1)吸着部の最上部と最下
部または中心部と周辺部で、充填粒子径分布の偏りや充
填密度の偏りがあること、2)吸着部の吸着剤中にエヤ
ー溜りがあること、3)異物スライム形成により流れが
偏ったりショートパスすること、4)吸着部上部の被処
理水供給部で、吸着剤の撹拌浮上や吸着部に凹み部分の
できること等が挙げられる。しかしながら、これらの要
因に対して適切な対策が図られた水中溶解有機成分を吸
着する工業的回収装置は、未だ開発されていない。
【0006】本発明の目的は、かかる課題を解決すべ
く、各種の有用な植物成分を各種植物体の水蒸気蒸留時
の留出水や残渣に含まれる水溶液から、簡便かつ効率的
にさらに工業的にも有利に回収することができる植物成
分の回収装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成するため、種々検討した結果、ヒノキチオール
等の有効成分を含有するヒバ材等の水蒸気蒸留留出水や
残渣に含まれる水溶液を通水すれば、人手が掛からず効
率良くヒノキチオール等を吸着回収できる、吸着剤充填
塔式の密閉型連続通水充填塔を開発し、本発明を完成す
るに至った。
【0008】即ち、本発明の要旨は、密閉可能な充填塔
内で多孔板上に支持され吸着剤が均一に充填された吸着
部、該吸着部の上部から離隔して設けられた吸着剤スラ
リーまたは被処理水の供給ノズル、および充填塔の底部
と連通し該供給ノズルの上側に液面を保持するサイフォ
ン管を具備する吸着剤充填塔と、該供給ノズルに吸着剤
スラリーを供給する吸着剤スラリー供給手段と、被処理
水を加圧供給する被処理水供給手段、および該供給ノズ
ルと被処理水供給手段の間に設けられた被処理水中の固
形異物の分離濾過手段を備えた植物成分の回収装置に関
するものである。
【0009】本発明の植物成分の回収装置は、特に 溶剤を大量に必要とすることなく、植物の水溶性成
分を回収できること、 コンパクトで、簡便な装置であり、設置スペースも
小さく、その操作に人手を要しないこと、及び 吸着剤の再使用が可能であって、装置のランニング
コストが非常に低いこと、等を特徴とする実用的装置で
ある。
【0010】本発明の植物成分の回収装置は、前述の4
つの問題点に対し、以下の検討と対策を行ったものであ
る。 1)吸着部の全ての部分で充填粒子径分布に偏りや充填
密度に偏りがあることは、従来の装置では、主に吸着剤
の浸水時の初期挙動(体積の膨張または収縮)に対する
対策がなされていないことと、初期充填を水を使用しな
いで乾式法で行うことに起因する。本発明においてはこ
の対策として、新たな吸着剤を使用する時は事前に水に
対する馴化処理を行い、且つ吸着剤を水スラリー化して
充分な水と共に塔内注入できるように専用タンクとポン
プ設備を設置した。 2)吸着部内のエヤー溜まりを避けるためには、吸着剤
の初期充填に際しては水スラリー化して満水の充填塔の
中段へ空気の混入を避けながら行い、さらに通水処理中
はいかなる場合(緊急遮断や自動立上げ)にも、塔内液
面が低下して吸着剤が空中に曝されたり、ポンプのエヤ
ー噛みで供給ラインから空気が混入する事がないよう、
塔内の水位低下警報装置及び被処理水タンク液面とポン
プの間に被処理水タンクの水位低下の警報及び全停止、
自動復帰を行う自動制御装置等を設けた。 3)充填塔内の異物スライム形成は、被処理水中にオイ
ルや固形異物が混入することが原因であり、これを防止
するため、オイルキャッチャーを併用した油分離槽の設
置と孔径10μm程度の分離濾過手段を設置した。 4)吸着部上部の凹みの対策としては、給水ノズルを吸
着部の上部より一定距離以上高くし、かつ液面をノズル
の上方に一定距離以上に維持できるように、サイフォン
管を設けてその高さを調整した。
【0011】本発明の植物成分の回収装置は、上記の対
策を行いつつ構成されたものであり、その構成は吸着剤
充填塔と、吸着剤スラリー供給手段、被処理水供給手
段、および固形異物の分離濾過手段に大別される。本発
明の植物成分の回収装置のうち、吸着剤スラリー供給手
段と被処理水供給手段を共用したものの一例の概略構成
図を図1に示す。これに基づき以下、概略仕様を説明す
る。
【0012】吸着剤充填塔は、密閉可能な充填塔内で多
孔板上に支持され吸着剤が均一に充填された吸着部と、
該吸着部の上部から離隔して設けられた吸着剤スラリー
または被処理水の供給ノズルと、充填塔の底部と連通し
該供給ノズルの上側に液面を保持するサイフォン管を具
備するものである。吸着剤充填塔1は、本体胴板が例え
ば厚さ3mmのSUS304材で製作され、接液部も全
て同じSUS材で構成されており、広範な種類の植物成
分の水蒸気蒸留留出水が有する腐食性化合物(pH3〜
11)にも耐えるものである。本体胴板としては、この
ようなSUS材以外にも、グラスライニング、テフロン
樹脂ライニング、セラミックコーティング等の耐食性材
料が用いられる。
【0013】吸着部は、密閉可能な充填塔内で多孔板上
に支持され、吸着剤が均一に充填されている。多孔板1
1は、密閉可能な充填塔内の下部に水平に設けられ、該
多孔板としては、60〜120メッシュを有する濾板等
が用いられ、その材質としては、SUS304、SUS
316製金網、並びにナイロン、テトロン、PP及び綿
製織布等が用いられる。
【0014】吸着剤10は、上記多孔板上に支持され、
後述の方法で均一に充填されるものであるが、該吸着剤
としては、以下に述べる物理的性状を有していれば特に
限定されることなく種々のものが使用可能である。充填
物の粒度は10〜100μm、見かけ比重0.6〜1.
1、60℃以下で物性的に安定で、オープン羽根渦巻き
ポンプによる液送に耐える強度のものが望ましい。本発
明では、例えば合成吸着剤、陰イオン交換樹脂、活性
炭、活性白土、合成ゼオライト等から適宜選択して使用
可能である。
【0015】合成吸着剤としては、スチレン−ジビニル
ベンゼン系共重合樹脂、アクリルエステル樹脂、ポリス
チレン系樹脂等の合成樹脂が用いられる。例えば、オル
ガノ(株)の樹脂XAD−2、XAD−4、XAD−
7、XAD−16、XAD−2000また、三菱化成
(株)のダイヤイオンHP−10、HP−20、HP−
21、HP−30、HP−40、HP−50およびセパ
ーズSP−800、SP−900、SP−206、SP
−207などが挙げられる。これらのうち、ヒノキチオ
ール、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有す
る成分等の植物成分の吸着回収には、オルガノ(株)製
吸着樹脂、XAD−2000が最適である。
【0016】陰イオン交換樹脂としては、スチレン−ジ
ビニルベンゼン系共重合樹脂、アクリルエステル樹脂、
ポリスチレン系樹脂、メタクリルエステル樹脂が用いら
れる。例えば、オルガノ(株)のIRA−900、IR
A−35、IRA−21、IRA−94Sまた、三菱化
成(株)のダイヤイオンPA−306、PA−308、
PA−312、PA−316、PA−318などが挙げ
られる。いずれもスチレン−ジビニルベンゼン系共重合
樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリルエステル樹脂、
アクリルエステル樹脂からなる樹脂を用いたが、他社の
ものも同様に使用可能である。
【0017】活性炭としては、和光純薬(株)製のクロ
マトグラフ用活性炭、武田薬品工業(株)製の白鷺A
(粉末)、白鷺WH(粒状)等が挙げられる。活性白土
としては、和光純薬(株)製の活性白土等が挙げられ
る。合成ゼオライトとしては、東洋曹達工業(株)製の
合成ゼオライトA−4(球状)、F−9(球状)等が挙
げられる。
【0018】以上の吸着剤の充填高さは、特に限定され
ることなく、目的とする吸着効率及び流速に応じて変え
うるが、通常塔直径の1.1〜1.5倍の充填高さで使
用されることが多く、例えば塔直径が500mmの場合
は、550〜750mm程度が適当である。
【0019】供給ノズル12は、吸着剤スラリーまたは
被処理水の供給を行うためのものであり、上記の吸着部
の上部から離隔して設けられる。ここで、吸着部の上部
から供給ノズルまでの距離は、通常400mm以上、好
ましくは420mm以上である。400mm未満では、
吸着部の上部の凹みが生じてその部分を通過した被処理
水中の目的物の吸着が不十分となる。供給ノズルの材質
は、胴体と同様のものが用いられ、その形状等も特に限
定されない。
【0020】サイフォン管7は、充填塔の底部と連通す
るとともに、上記の供給ノズルの上側に液面を保持する
ように、高さが調整されている。液面の高さは、供給ノ
ズルの上方に通常100mm以上、好ましくは120m
m以上に調整される。100mm未満では、被処理水が
供給ノズルから噴出する際にエヤーを噛み込む原因とな
る。サイフォン管の材質は、胴体と同様のものが用いら
れ、その形状等も特に限定されない。なお、以上の吸着
剤充填塔の使用温度範囲に制約は無いが、通常60℃以
下の操作を想定し、また整備時は開放生蒸気の110℃
にも耐える構造となっている。
【0021】吸着剤スラリー供給手段は、吸着剤スラリ
ーを吸着塔内に供給するために設けられ、吸着剤スラリ
ータンク8と供給ポンプ4から構成されるものである。
被処理水供給手段は、吸着塔内に被処理水を加圧供給す
るために設けられ、油分離槽2と連通する被処理水タン
ク3と供給ポンプ4から構成されるものである。油分離
槽は、原料水に混入した混入オイルを除去するためのも
のであり、浮上油自動汲み取り装置およびポリプロピレ
ン製油吸着マットストレーナ(3段)を経由する構造を
有する。
【0022】図1に示す装置では、供給ポンプ4は、吸
着剤スラリーと被処理水の供給に共用されているが、本
発明においては供給ポンプを別々に設けてもよい。被処
理水送液時の操作圧力は、塔内圧力で通常0.2〜2k
g/cm2 、好ましくは0.2〜0.6kg/cm2
なるため、該供給ポンプとしては、この圧力で操作でき
るものが用いられる。0.2kg/cm2 未満では、ス
ライムが付着した状態では安定した流量を確保できない
ためである。従って、吸着剤充填塔はこれに耐える強度
を有する構造となっている。
【0023】分離濾過手段5は、供給ノズルと被処理水
供給手段の間に設けられ、バイパス用バルブ13の開閉
操作により被処理水の供給時のみ通液されるようになっ
ている。本発明において、前記のように供給ポンプを別
々に設けた場合、バイパス用バルブは不要となる。該分
離濾過手段としては、処理水中の固形異物の分離濾過が
行なえるものであれば特に限定されることなく、孔径5
〜50μm程度の各種フィルター等、好ましくは約10
μm程度のものが用いられる。
【0024】以上のような本発明の装置に原料として用
いられる被処理水としては、吸着剤充填塔に供給する前
に混入オイルと異物を出来るだけ除去することが望まし
い。例えば、植物体の水蒸気蒸留の留出水あるいは残渣
に含まれる水溶液が原料として使用され、それぞれ単独
で用いてもよく、またこれらを混合して用いてもよい。
水蒸気蒸留は常法により行われ、特に条件は限定される
ものではない。ヒノキチオールの回収を行う場合、ヒバ
材が最も入手が容易であるが、その他青森ヒバを始め、
ヒノキアスナロ、アテ、台湾ヒノキ、ハイネズ、ネズ
コ、カイズカイブキ、紅檜等からも同様にヒノキチオー
ルの回収が可能である。また、ヒノキチオール以外に
も、フェノール性化合物で水溶性があれば、ヒノキ、ス
ギ、コウヤマキ、クロモジ、マツ、その他一般の樹木の
材と葉、及び薬草等の草木植物等の植物体から、植物成
分の回収が可能である。回収されるヒノキチオールは、
安全性の高い食品用防腐剤、抗菌剤として有用なもので
あり、フェノール性水酸基やカルボキシル基を有する植
物成分は、殺ダニ性、殺虫性、血圧降下作用その他の生
理活性を有している。また、吸着剤を適宜選択すること
により、アルコール類、アルデヒド・ケトン類、エステ
ル類等の各種の水溶性有機化合物についても、本発明の
回収装置により回収することができる。
【0025】次に、前記の装置を用いた操作法につい
て、その概略を述べる。 1)吸着剤充填 使用吸着剤(新品の吸着剤の場合は水馴化処理を済ませ
たもの)に対し充分な量(吸着剤容積の3倍以上)の水
を加え、スラリー化しておく。充填塔内は満水とし、排
出口としてサイフォン管のみを開放しておく。撹拌下に
吸着剤スラリーを供給ポンプを用いて供給ノズルより塔
内へ供給し、吸着剤の沈降を待つ(約30分)。
【0026】2)被処理水供給 被処理水は予め油分離槽で浮上油を分け、さらに10μ
mのフィルター濾過を経て塔内へ供給される。当初塔内
は塔頂エヤー抜き以外は閉として満水状態にし、エヤー
抜きバルブも閉めた後、塔底サイフォン管を開けると同
時に給液をして運転を開始する。吸着操作時は塔内は常
に加圧密閉状態にあり、被処理水はポンプにより圧入さ
れている。通常、塔内圧力は2kg/cm2 以内で操作
される。このようにして充填された吸着部中を被処理水
が強制的に送られる間に植物成分の吸着が行われる。
【0027】3)正常作動のチェック 装置始動時は必ずフィルター濾過水の清澄度チェックと
塔底排出水の残存ヒノキチオール分のチェックを行う。 4)フィルター交換 ポンプ吐出配管の圧力が、2kg/cm2 以上であれば
フィルター交換を行う。
【0028】5)吸着剤交換 排水中の残存ヒノキチオール濃度(塩化第二鉄塩による
発色を目視比色)が規定値(例えば5ppm)となれば
(破過現象)、運転を停止して吸着剤の排出操作にかか
る。吸着剤の排出操作を行うには、まず、塔内を大気圧
に戻した後、塔底から清水を導入し、吸着剤を浮上させ
て上部の吸着剤排出口から専用容器(吸着剤分離タン
ク)に抜き出す。この吸着済み吸着剤は水切り後脱着工
程に回され、再賦活されて再度吸着工程で使用可能とな
る。吸着剤の吸着容量はほぼ一定であるが、1充填当り
の被処理水量は目的とする吸着物の被処理水中の濃度に
大きく依存する。ヒバ材水蒸気蒸留の留出水からヒノキ
チオールをXAD−2000樹脂により吸着回収する場
合は、被処理水中のヒノキチオール濃度が150ppm
程度であるので、充填したXAD−2000樹脂の容量
の約500倍の被処理水を処理を行うと破過現象が見ら
れる。
【0029】6)異状警報 被処理水タンクの水位低下(警報及び全停止、自動復
帰)及び塔内水位低下(警報)、塔内圧力異状(警報)
等が起きると安全装置により警報が発せられる。 7)本吸着装置は、被処理水タンクのレベル計測−ポン
プ制御を自動で行うので、吸着剤交換及びフィルター交
換作業以外は、定常運転開始後は無人運転が可能であ
る。
【0030】8)所定量の植物成分を吸着した吸着剤
は、塔外へ排出されて脱着工程へ回される。目的成分を
良く溶解する溶剤(例えばアルコール、ケトン、芳香族
溶剤)に浸漬することにより、目的成分は吸着剤から離
脱して溶液となる。溶剤を濃縮留去し、引き続き減圧下
で単蒸留されて黄色オイルを与える。このオイルは目的
成分を高含量含み、最終段階の精製原料として極めて有
利である。ヒバ材から回収されたヒノキチオールの脱着
油の場合、異性体β−ドラブリンの水素化還元操作を含
む通常の各種精製手法の適用により、高収率で高純度天
然ヒノキチオールの白色結晶を与える。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。
【0032】実施例1 図1に示す装置を用いて、以下のようにしてヒバ材留出
水からヒノキチオールの回収を行った。吸着剤の充填に
先立ち、吸着剤の水馴化処理を行った。オルガノ(株)
社製の吸着剤(XAD−2000)94.4kg(20
0リットル)を吸着剤分離タンク9に入れ、メタノール
110kg(139リットル)を加えて吸着剤全体を一
夜浸漬処理した(この時吸着剤体積が約10%増え
る。)。底部よりメタノールを回収し、約2倍量の清水
で2度吸着剤を浸漬し水を切って水馴化処理済み吸着剤
135kgを得た。このうち104kgの(湿)吸着剤
を吸着剤スラリータンク8に投入すると共に清水を入れ
て撹拌し、吸着剤をスラリー化した。吸着剤充填塔1
は、サイフォン管7を閉じて塔頂まで満水としておく。
なお、吸着剤充填塔1は、全高1,598mmであり、
吸着部の上部から供給ノズルまでの距離は420mm、
供給ノズルから塔内の液面までの距離は120mmのも
のを用いた。
【0033】次に吸着剤スラリーを供給するための供給
ポンプ4(オープン羽根渦巻きポンプ)を始動すると共
に塔底の排水バルブを開き、約30分かけて吸着剤の全
量を吸着剤充填塔1へ仕込んだ。塔内の吸着剤は30分
間の静置で沈降し、その充填高さは塔底濾板より75c
mであった。被処理水となるヒバ材の水蒸気蒸留留出水
は、油分離槽2で浮上オイルを分離後、被処理水タンク
3に送水する。さらに、被処理水中の固形異物を除去す
るため、分離濾過手段5(アドバンティク社製「トーセ
ル」,TCW−10−CSD(孔径10μm)フィルタ
ー)を装着した。分離濾過手段5には試験通水して濾液
の清澄度を確認しておくと共に、被処理水中のヒノキチ
オール濃度を後述の方法で測定して、150ppmであ
ることを確認した。
【0034】以上で被処理水供給前の準備を終了し、吸
着操作に取りかかった。塔内への被処理水の供給を開始
すると同時に塔頂でエヤー抜きを行い、その後は吸着剤
充填塔はサイフォン管7のみを開とし、満水位の維持を
行った。供給ポンプ稼働時のフィルター一次圧及び塔内
圧は0.2kg/cm2 で、供給量は1,000リット
ル/Hrに調整した。15分供給後排水を検水したとこ
ろ、ヒノキチオール含量はトレース(3.5ppm以
下)であった。
【0035】吸着剤充填塔への供給操作は引き続き継続
された。被処理水タンクの水量や性状は常に変動する
が、時間当り被処理水供給量は1,000リットル/H
rを維持させたため、供給ポンプ4は自動で発停を繰り
返したが、吸着剤充填塔内の水位はほぼ一定に保たれ
た。9.8トンの被処理水が供給された時点で、フィル
ター一次圧は2.0kg/cmに達し、圧力警報が作動
した。給水を一時停止し、フィルターを交換して、さら
に給水を継続した。回収装置の日常操作は、約10トン
処理毎のフィルター交換(分離濾過手段)と毎日の始業
・終業点検のみであり、それ以外には警報作動時の点検
のみであった。
【0036】吸着剤の一回充填当りの吸着剤充填塔への
供給操作は夜間休日の停止を含むので数十日間に及ぶ
が、その間の供給量は塔内の若干のスライム生成を反映
して徐々に低下するので、1,000リットル/Hrを
維持すべく調整した。また排水中のヒノキチオール濃度
は、当初トレース量であるが、約30トン供給頃から上
昇を示し、50トン供給時点で48ppmとなったの
で、被処理水の供給を終了とした。この間のフィルター
交換は5回であった。13トン供給処理時点で塔内吸着
剤のサンプリングを行い、ヒノキチオール吸着量を調べ
た。吸着済み吸着剤1700gを直径12cmのガラス
カラムに充填し、アセトン4000gを30ml/分で
流して、吸着ヒノキチオールを脱着し、得られた溶液は
濃縮、引き続き減圧下で単蒸留して黄色オイル37.8
gが得られた。この中のヒノキチオールの含量をGC法
(後述)で分析したところ、52%と高含量であった。
13トン給水時の吸油量は、処理水に対して0.024
6%であり、ヒノキチオールの回収率は86%であっ
た。合計50トン供給後、塔内の吸着剤の排出作業に掛
かった。塔底から清水を圧入し、吸着剤を浮上させて塔
上部の吸着剤排出口から吸着剤分離タンク9へ回収し
た。吸着後の吸着剤は赤色に着色し若干付着性が有る
が、塔底濾板下からの清水噴出により、ほぼ全量が吸着
剤分離タンク9へ回収できた。
【0037】吸着剤分離タンク9に回収された吸着済み
吸着剤は、アセトン180kgを1000ml/分で流
して、ヒノキチオールの脱着が行われた。得られた溶液
は濃縮、引き続き減圧下で単蒸留して黄色オイル12k
gが得られた。この中のヒノキチオールの含量をGC法
(後述)で分析したところ、52%と高含量であった。
【0038】前記のヒノキチオール含量の分析法は、次
の方法により行った。簡易法では、検水300mlをマ
イヤーに取り、0.02モル%塩化第二鉄水溶液の過剰
量(約3ml)を加えて振盪し、黒褐色に着色した程度
を標準発色管のそれと比色して定量した。この方法はヒ
ノキチオール濃度50ppm程度までの領域で簡便に利
用できる。被処理水のヒノキチオール濃度は、予め検水
を5倍希釈したうえ、この方法に供した。より正確に
は、処理水50gにメタノール50gを加え、0.02
モル塩化第二鉄水溶液2.0gを加え、島津自記分光光
度記UV−240、458nmで吸光度を測定し、同じ
く高純度ヒノキチオールにメタノール50g、水50
g、0.02モル塩化第二鉄水溶液を加えて作った検量
線を用いて定量した。検量線をつくるときメタノールを
混ぜるのはヒノキチオール結晶を水に溶かしにくいから
である。
【0039】また吸着剤から回収・蒸留して得た黄色の
脱着油の定量分析は、内標としてアニソールまたはジフ
ェニルエーテルを用い、GCで測定した。GC条件は、
島津GC−14A:FID、カラムULBON−HR−
1701キャピラリーカラム25m×0.25mm、H
e2.0ml/min、スプリット比1:50、60〜
260℃、昇温8℃/min、260℃30分、De
t.,Inj.280℃、H2 0.5kg/cm2 、A
ir0.5kg/cm2 で行った。
【0040】
【発明の効果】本発明の植物成分の回収装置は、各種の
有用な植物成分を各種植物体の水蒸気蒸留時の留出水や
残渣に含まれる水溶液から、簡便かつ効率的にさらに工
業的にも有利に回収することができる。即ち、溶剤を大
量に必要とせず、コンパクトで簡便な装置であり、設置
スペースも小さく、その操作に人手を要しない。また、
吸着剤の再使用が可能であり、ランニングコストが非常
に低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の植物成分回収装置の一例の概
略構成図を示すものである。
【符号の説明】
1 吸着剤充填塔 2 油分離槽 3 被処理水タンク 4 供給ポンプ 5 分離濾過手段 6 積算瞬間流量計 7 サイフォン管 8 吸着剤スラリータンク 9 吸着剤分離タンク 10 吸着剤 11 多孔板 12 供給ノズル 13 バイパス用バルブ 14 排出バルブ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉可能な充填塔内で多孔板上に支持さ
    れ吸着剤が均一に充填された吸着部、該吸着部の上部か
    ら離隔して設けられた吸着剤スラリーまたは被処理水の
    供給ノズル、および充填塔の底部と連通し該供給ノズル
    の上側に液面を保持するサイフォン管を具備する吸着剤
    充填塔と、該供給ノズルに吸着剤スラリーを供給する吸
    着剤スラリー供給手段と、被処理水を加圧供給する被処
    理水供給手段、および該供給ノズルと被処理水供給手段
    の間に設けられた被処理水中の固形異物の分離濾過手段
    を備えた植物成分の回収装置。
  2. 【請求項2】 被処理水がヒノキチオールを含有するヒ
    バ材水蒸気蒸留の留出水および/または残渣に含まれる
    水溶液である請求項1記載の回収装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001004245A1 (en) * 1999-07-13 2001-01-18 Danisco A/S Process for separating essential oils from an essential oil-containing material
JP2009051809A (ja) * 2007-03-08 2009-03-12 Daisaku Numata ヒバ香水の製造方法及びヒバ香水

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