JPH06226732A - セメントミルクプラントにおける貯蔵槽へのセメント供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】運搬業者が作業現場に置いていったセメント袋
体から、セメントミルクプラントの貯蔵槽にセメントを
容易に投入し得るセメント供給装置を提供することを目
的とする。 【構成】ミキサ１０と、このミキサに上方よりセメント
を落下供給する貯蔵槽１と、この貯蔵槽の上部に配設さ
れたフィルタ室１３と、前記貯蔵槽１と離間して位置す
るバキュームブロワ４とを備え、セメント袋体２の内部
のセメント３を空気と共に前記貯蔵槽１へ導入するため
に、前記バキュームブロワ４とセメント袋体２との間
を、貯蔵槽１を介して吸引管６，７により接続したこと
を特徴とするセメントミルクプラントにおける貯蔵槽へ
のセメント供給装置を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築現場等で基礎杭の
周りをセメントミルクにより固める際に、ミキサでセメ
ントと水を練るセメントミルクプラントにおける貯蔵槽
へのセメント供給装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】セメントミルクプラントは、図５の
(ａ), (ｂ) に示すように、ミキサ３０，ポンプ３１，
水槽３２がバランスよくコンパクトに組み合わされ、ト
ラックの荷台等に搭載されて搬送可能に構成されてい
る。ミキサ３０には、貯蔵槽３３の下部の払出し口３３
ａからセメントが、また、水槽３２から水が供給され、
内部の図示しない攪拌羽根により攪拌されて混練され
る。得られたセメントミルクは、受皿３４で受けた後、
その吐出口３４ａからポンプ３１で吐出され、基礎杭の
周りに注入される。

【０００３】従来、ミキサ３０へのセメントの投入は、
ステージ３５上に積載された多数のセメント袋体の中か
ら１回の杭打ち作業毎に必要な所定量を、作業者がその
都度投入しており、１日に何回も同一の動作を繰り返し
ていた。したがって、労働効率がきわめて悪く、その作
業環境も芳しくないことから、労働力不足を招きがちで
あるという問題があった。そこで、この問題をいくらか
でも解消するために、近時、前記ミキサ３０に上方より
セメントを落下供給するための大容量の貯蔵槽３３を配
設し、この貯蔵槽３３に予めセメントを大量に貯蔵して
おき、押しボタン操作により、プリセットされたミキサ
バッチ量を自動計量し、ミキサ３０に払い出すいわゆる
シーケンスに基づく自動化を図ったセメントミルクプラ
ントシステムが開発され、既に市販されているところで
ある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この自動化されたセメ
ントミルクプラントシステムによれば、作業者が、１回
の杭打ち作業毎に必要な所定量のセメントをミキサに投
入する無駄な労働は解消された。しかしながら、このセ
メントミルクプラントシステムは、貯蔵槽３３にセメン
トが貯蔵された状態で、はじめてスタートできるもので
あって、貯蔵槽３３へのセメントの投入作業は、依然と
して作業者の手に頼っている点において、従来技術から
何ら脱皮していない。すなわち、作業者が、ミキサ３０
に杭打ち作業の１回分のセメントを投入するか、貯蔵槽
３３に多数回分のセメントをまとめて投入するかの違い
はあるものの、人手によりセメント袋体を切り裂いてセ
メントを投入する作業は、従来とまったく変わらないも
のである。

【０００５】特に、原材料（セメント）の運搬・梱包等
の費用を節約し、少しでもコストの低減を図るべく、通
常の４０Kg入りのセメント袋が２５袋分詰められた１ｔ
入りのものを仕入れた場合は、貯蔵槽３３への人手によ
る投入作業は不可能であり、当然のことながら現場に設
置させたクレーンの使用を余儀なくされ、このクレーン
によるセメント投入作業を専門とする業者すら現われか
ねない現状である。このような無駄な設備および労働力
を伴う経費負担は大きく、規模が小さい建設現場等で
は、採算が合わず、現場作業者がセメントを小分けして
その投入作業を行わざるを得ないという未解決の問題点
が残っている。

【０００６】本発明は、上記した従来技術による問題点
を解決し、運搬業者が作業現場に置いていったセメント
袋体から、容易に貯蔵槽にセメントを投入し得る供給装
置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの具体的手段として、本発明は、ミキサ１０と、この
ミキサに上方よりセメントを落下供給する貯蔵槽１と、
この貯蔵槽の上部に配設されたフィルタ室１３と、前記
貯蔵槽１と離間して位置するバキュームブロワ４とを備
え、セメント袋体２の内部のセメント３を空気と共に前
記貯蔵槽１へ導入するために、前記バキュームブロワ４
とセメント袋体２との間を、貯蔵槽１を介して吸引管
６，７により接続したことを特徴とするセメントミルク
プラントにおける貯蔵槽へのセメント供給装置を構成し
た。

【０００８】

【作用】上記の手段により、バキュームブロワは、セメ
ント袋体からセメントと空気を吸い上げ、貯蔵槽の中で
セメントと空気を分離し、セメントのみを貯蔵槽の内部
に貯蔵する。

【０００９】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図１は、本発明に係るセメントミルクプ
ラントにおける貯蔵槽へのセメント供給装置の要旨を説
明するための斜視図である。図中、符号１０は、セメン
トと水を攪拌するためのミキサであり、水を供給する水
槽およびセメントミルクを吐出するためのポンプ等の公
知のプラント構成要素は省略してある。符号１は、ミキ
サ１０に対し上方よりセメントを落下供給するための貯
蔵槽であり、セメントを大量に貯蔵しておくことが可能
な容積を有する。符号２は、セメント袋体であり、その
内部にセメント３が詰め込まれている。符号２０は、表
面に操作用押しボタン２０ａを有し、内部に、バキュー
ムブロワ４およびコンプレッサ５を装備する制御ユニッ
トである。

【００１０】貯蔵槽１は、図２に拡大して示すように、
下部が円錐形のいわゆるホッパ形状をしており、前記ミ
キサ１０にセメントを落下供給させるための開口部１ａ
がその底面に設けられている。符号１１は、貯蔵槽１の
開口部１ａを開閉するためのリフトダンパで、貯蔵槽１
の内側に設けたリフトダンパシリンダ１２のロッド１２
ａに接続されて開閉作動する。貯蔵槽１の下部に設けた
荷重検出器１４は、貯蔵槽１の内部に貯蔵されたセメン
トの重量を計るロードセルで、リフトダンパ１１と連動
させて、ミキサ１０に必要な量、つまりプリセットされ
たミキサバッチ量を自動計量し払い出す機能を有し、そ
れ自体公知のものである。貯蔵槽１の上部には、内部に
フィルタ１３ａを有するフィルタ室１３が配設される。
また、フィルタ室１３は、その下端部に自動再生ノッカ
１３ｂを備える。フィルタ室１３および自動再生ノッカ
１３ｂの働きについては、後述する。

【００１１】図１における制御ユニット部２０に内蔵さ
れるバキュームブロワ４のバキュームノズル４ａには、
吸引管であるバキュームホース６の一端が接続され、そ
の他端は前記貯蔵槽１の上部のフィルタ室１３に接続さ
れる。また、貯蔵槽１の吸込ノズル１ｃには、別のバキ
ュームホース７の一端が接続され、その他端にはインテ
ークノズル８を被着して、これがセメント袋体２に覗い
ている。インテークノズル８の先端部８ａは、セメント
袋体２を破りやすいように鋭利な構造とすることが望ま
しい。インテークノズル８の中途部には枝管８ｂが設け
られ、セメント袋体２の外部に取り出されている。一
方、制御ユニット部２０に内蔵されるコンプレッサ５に
は、送給管９の一端が接続され、その他端はセメント袋
体２に差し込まれている。

【００１２】上記のように構成された貯蔵槽へのセメン
ト供給装置の作用について、次に説明する。図１および
図２において、制御ユニット２０の表面の操作用押しボ
タン２０ａの一つであるブロワスイッチを押すと、バキ
ュームブロワ４とセメント袋体２との間を、貯蔵槽１を
介して吸引管６，７により接続してあるので、セメント
袋体２の内部のセメント３と、インテークノズル８の枝
管８ｂから取入れられる空気とが、吸引されて貯蔵槽１
に導かれる。導入されたセメントと空気との混合体は、
貯蔵槽１内において空気の渦が作られ、遠心力によっ
て、図２に示すように、比重の大きいセメント３は外側
に流れて貯蔵槽１の底部に堆積し、軽い空気の流れｆは
中央部に集まってフィルタ室１３に向う。

【００１３】遠心力によって一次分離されたセメントと
空気は、フィルタ室１３内のフィルタ１３ａにより２次
分離される。すなわち、空気の流れｆは、その中に含ま
れるセメントがフィルタ１３ａにより完全除去された
後、バキュームブロワ４の吸引力により、吸引管６を介
してバキュームブロワ４の放風口４ｂから外部に放出さ
れる。フィルタ１３ａの目詰まりは、バキューム計の圧
力が一定の圧力以上となったとき、バキュームブロワ４
が停止し、フィルタ室１３の下端部に設けた自動再生ノ
ッカ１３ｂが作動し、フィルタ室１３を上下に振動させ
る。制御ユニット２０の表面の操作用押しボタン２０ａ
の一つである再生ノッカスイッチを入れることにより、
手動でも操作できる。

【００１４】セメント袋体２の内部のセメント３と空気
の混合体は、前記バキュームブロワ４により吸引される
が、このセメントが古く湿気を吸って重く固まっている
ような場合は、効率的に吸い上げることができない。こ
のような場合に、制御ユニット部２０に内蔵されるコン
プレッサ５に接続された送給管９から、圧縮空気をセメ
ント袋体２の内部に強制的に送ると、セメント３を細か
い粒状に分解することができ、吸引作動を効果的にする
ことができる。この圧縮空気は、また、バキュームブロ
ワ４の吸引によりセメント袋体２が萎んだときにも送給
され、セメント袋体２を脹らめるよう作用する。コンプ
レッサ５は、このほか、リフトダンパシリンダ１２ある
いは自動再生ノッカ１３ｂを作動させる空気圧源として
使用される。

【００１５】図３は、上記した本発明に係るセメントミ
ルクプラントにおける貯蔵槽へのセメント供給装置の他
の実施態様について示す斜視図で、図１と同一の部位に
は共通の符号を付し、その説明を一部省略した。貯蔵槽
１からセメントの落下供給を受けるミキサ１０，１０′
は、図示のように２基配設される。貯蔵槽１は、図４の
(ａ), (ｂ), (ｃ) に拡大して示すように、円筒形状の
いわゆるサイロを構成し、前記ミキサ１０，１０′（図
３）にセメントを落下供給させるための開口部１ａ，１
ａ′がその底面に設けられている。この開口部１ａ，１
ａ′には、これを開閉するためのスライドゲート１１
ａ，１１ａ′が設けられ、スライドゲート用シリンダ１
２′のロッド１２ａ′に接続されて開閉作動する。

【００１６】貯蔵槽１は、図１，図２に示すような下部
が円錐形でなく、底面が平坦な形状であるため、貯蔵槽
１内のセメントの開口部１ａ，１ａ′からの全量落下は
望めない。したがって、貯蔵槽１の内底面にスクレーパ
１５を設け、開口部１ａ，１ａ′上を通過させることに
よりセメントを掻き出すようにしている。スクレーパ１
５は、中心の回転軸１５ａに対して偏心して取付けてあ
り、回転軸１５ａは、貯蔵槽１の底面側に配設したギヤ
ードモータ１６に取付けられて回転される。制御ユニッ
ト部２０に内蔵されるコンプレッサ５（図３）は、前述
のように、送給管９から圧縮空気をセメント袋体２の内
部に強制的に送るほか、スライドゲート１１ａ，１１
ａ′の開閉用のスライドゲート用シリンダ１２′の空気
圧源として用い、また、スクレーパ１５の回転軸１５ａ
の軸受部のシールのため圧縮空気を送ってセメントの漏
れを防いでいる。

【００１７】図３および図４に示した貯蔵槽１は、円筒
形状をしているので、下部が円錐形をしているものに比
較し、容量を増大することができ、また、容量を同一と
すれば、貯蔵槽１の高さを低くすることができる。この
ことは、セメントミルクプラントをトラックに搭載して
搬送する場合の道路交通法上の車高制限に有利に作用す
る。貯蔵槽１の内底面が平坦であっても、スクレーパ１
５により貯蔵されたセメントは、何ら支障なく開口部１
ａ，１ａ′から掻き出される。

【００１８】なお、上記の実施例においては、貯蔵槽中
にセメント袋体からセメントを貯蔵させる場合について
のみ説明したが、セメントに代えて砂（モルタル）ある
いはベントナイト等の粉体材料も同様に送ることができ
る。したがって、本明細書における「セメント」の用語
には、砂も含むものとする。

【００１９】

【発明の効果】上記の構成からなる本発明によれば、バ
キュームブロワとセメント袋体との間を、貯蔵槽を介し
て吸引管により接続することにより、バキュームブロワ
が、セメント袋体からセメントと空気を吸い上げ、貯蔵
槽の中でセメントと空気を分離し、セメントのみを貯蔵
槽の内部に貯蔵する構成としたので、従来の如き人手に
よりセメント袋体を切り裂いてセメントを貯蔵槽に直接
投入するという面倒な作業は不要となった。したがっ
て、セメントミルクプラントにおける、いわゆるセメン
トのハンドリングを容易にし、省力化・自動化による品
質向上、作業環境改善、労働力不足対応措置を実現で
き、本発明が産業上に寄与するところは極めて大であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るセメントミルクプラントにおける
貯蔵槽へのセメント供給装置の要旨を説明するための斜
視図である。

【図２】図１における貯蔵槽の構造を示す拡大断面図で
ある。

【図３】本発明に係るセメントミルクプラントにおける
貯蔵槽へのセメント供給装置の他の実施態様について示
す斜視図である。

【図４】(ａ), (ｂ), (ｃ) は、図３における貯蔵槽の
構造を示す平面図，正面図，側面図である。

【図５】(ａ), (ｂ) は、従来のセメントミルクプラン
トの構造を示す側面図，正面図である。

【符号の説明】

１ …貯蔵槽 １ａ，１ａ′…開口部 １ｂ …先端部 １ｃ …吸引ノズル ２ …セメント袋体 ３ …セメント ４ …バキュームブロワ ４ａ …バキュームノズル ５ …コンプレッサ ６ …吸引管 ７ …吸引管 ８ …インテークノズル ８ａ …先端部 ８ｂ …枝管 ９ …送給管 １０、１０′ …ミキサ １１ …リフトダンパ １１ａ …スライドゲート １２ …リフトダンパシリンダ １２′ …スライドゲート用シリンダ １２ａ …ロッド １２ａ′ …ロッド １３ …フィルタ室 １３ａ …フィルタ １３ｂ …自動再生ノッカ １４ …荷重検出器 １５ …スクレーパ １５ａ …回転軸 １６ …ギヤードモータ ２０ …制御ユニット ２０ａ …操作用押しボタン

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミキサと、このミキサに上方よりセメン
   トを落下供給する貯蔵槽と、この貯蔵槽の上部に配設さ
   れたフィルタ室と、前記貯蔵槽と離間して位置するバキ
   ュームブロワとを備え、セメント袋体の内部のセメント
   を空気と共に前記貯蔵槽へ導入するために、前記バキュ
   ームブロワとセメント袋体との間を、貯蔵槽を介して吸
   引管により接続したことを特徴とするセメントミルクプ
   ラントにおける貯蔵槽へのセメント供給装置。
2. 【請求項２】 前記貯蔵槽は、前記ミキサにセメントを
   落下供給させるための開口部を底面に有する円筒形状を
   し、かつ、その内底部に、セメントを開口部に導くスク
   レーパを設けたことを特徴とする請求項１に記載のセメ
   ントミルクプラントにおける貯蔵槽へのセメント供給装
   置。
3. 【請求項３】 前記バキュームブロワに、セメント袋体
   へ圧縮空気を送給するためのコンプレッサを付設したこ
   とを特徴とする請求項１または請求項２に記載のセメン
   トミルクプラントにおける貯蔵槽へのセメント供給装
   置。