JPH06226617A - 線材表面への凹凸付与方法 - Google Patents

線材表面への凹凸付与方法

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JPH06226617A
JPH06226617A JP3623093A JP3623093A JPH06226617A JP H06226617 A JPH06226617 A JP H06226617A JP 3623093 A JP3623093 A JP 3623093A JP 3623093 A JP3623093 A JP 3623093A JP H06226617 A JPH06226617 A JP H06226617A
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wire
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JP3623093A
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Kiyoshi Oka
潔 岡
Hitoshi Tashiro
均 田代
Hiroshi Sato
洋 佐藤
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 線材の表面に効率的に凹凸を導入したり、表
面の付着物を除去することを目的とする。 【構成】 磁性流体が磁力に引き寄せられる力により発
生した浮力により浮きを公転の中心にある線材に押しつ
け、浮きと線材の間に砥粒が入り込んだ状態で、線材を
中心軸にして浮きを公転させることにより、浮きの摩耗
量を少なく抑えつつ線材の表面を効率的に研磨する方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、線材や棒などの円形断
面を持った物体の表面に所定の凹凸を均一につけたり、
積極的に凹凸をつける必要がなくても表面に付いた付着
物を取ったり、デスケーリングしたり表面を清浄化する
等の表面処理を行うための線材表面の凹凸付与方法に関
するものである。以下本発明の説明は、凹凸を付ける場
合を例として説明する。
【0002】
【従来の技術】現在、鋼線材を伸線する場合、線材には
スケールが付いているため酸洗やベンディング、ブラッ
シングなどによりデスケーリングしてから伸線を行う。
しかしベンディングやブラッシングなどにより機械的に
デスケーリングしたものは、酸洗したものに比べ表面に
潤滑剤を噛み込みオイルポケットの役割をする数ミクロ
ン程度の大きさ(深さ)の凹凸が付いていないため、線
材の強度が大きい場合には伸線加工性が劣化する。その
ため大きな伸線加工を必要とするワイヤー(線径1.0
mm以下)用線材のデスケーリングは、酸洗で行うこと
が多い。
【0003】近年公害問題からできるだけ酸を使用しな
い方法が検討されている。例えば、酸の使用量が少なく
て済む特開昭48−352号公報の技術や、伸線加工が
少なくて済む品種については機械的なデスケーリング法
に置き換えるなどの対策がなされている。しかし酸洗に
代わり数ミクロンの凹凸を付ける技術はいまだ開発され
ていない。
【0004】またクラッド線においては、クラッド層の
密着性が非常に重要である。密着性が悪いとバルジ変形
によりクラッド層が剥離したりワイヤの疲労強度が低下
することがあるが、この原因の1つとして芯材の表面凹
凸の大きさが適当でないことが考えられている。この問
題を解決するためにブラッシングやショットブラストな
どにより芯材の表面に十数ミクロンの凹凸をつけている
が、線や棒は表面が曲面であるために導入された凹凸の
大きさや分布が不均一であったり、ブラシやショント球
の消耗が激しく効率が悪いなどの問題がある。しかし、
現在これらに代わる有効な技術はまだ開発されていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑
み、本発明はこれまでにはなかった方法で線状の円形断
面を持った物体の表面に数ミクロンから数十ミクロンの
大きさの凹凸を均一につけるための技術を提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような技術
的課題を解決するため、円筒の内側から磁力を発生する
ための磁石と磁性流体と浮き及び砥粒の順に構成される
ユニットを同じ断面内に複数配置させた装置を用いて磁
性流体を磁力により円筒内面に引きつけ、これにより発
生した浮力により磁性流体中にある浮きと砥粒を円筒の
中心軸上にある線材に押しつけながら、線材と円筒全体
を相対運動させることにより線材表面を効率的に研磨す
ることを特徴とする、線材表面への凹凸付与方法であ
る。
【0007】本発明において磁性流体を用いるのは、磁
性流体の磁気に吸い寄せられて見かけの比重が大きくな
る特性を利用して、浮きに浮力を与えるのに必要である
ためである。ここで磁力を発生させるものとしては磁石
のほかに、電磁石も利用することが可能である。
【0008】そして磁性流体を磁力により円筒内面に引
きつけるのは、磁性流体中に混合されている砥粒や浮き
を磁石と反対方向つまり円筒の中心軸方向に浮かび上が
らせるためである。
【0009】浮きは磁性流体から浮力を受けると同時に
線材の表面を効率的に研磨しなければならない。そのた
め浮きの材質や形状については多くの工夫が考えられ
る。詳述すると、浮きの材質としては磁性を持たず、摩
耗し難く、なるべく比重の小さいものがよいと考えられ
る。そのため線材を研磨する場合、浮きの材質は鋼かそ
れ以上の硬さを持ったものを選ぶべきである。しかし、
現実には鋼よりも硬いものは少ないので、大量に線材を
研磨する場合には浮きの摩耗を最小限に抑える工夫が必
要である。
【0010】浮きと砥粒を磁性流体中に混ぜておく必要
があるのは、多くの試験の結果、浮きの材質が線材より
硬さが小さくても、浮きと線材の間に砥粒が転がり込め
る程度に浮きを線材に押しつければ、浮きの摩耗量は線
材より小さくなり、効率的に研磨できることを見いだし
たからである。
【0011】線材が円筒の中心軸上にあるのは、磁性流
体から浮力を受けた浮きが線材に接触し、線材の表面全
体を均一に加工するためである。公転の中心軸上から被
加工物である線材が多少ずれていても、固体は液体の中
に浮いた状態になっているために線材の表面に沿って変
位することによりずれを吸収することができる。
【0012】磁性流体が磁力により引き寄せられて、浮
きがその浮力によって公転の中心軸上にある線材の表面
に接触し相対運動する必要があるのは、線材と浮きの間
に砥粒を噛み込んで、線材表面を加工するためである。
【0013】
【作用】次に、本発明の作用について詳細に説明する。
【0014】初めに本発明の特徴は、(1)円筒内側に
磁性流体を磁力により引きつけた場合、磁性流体が引き
つけられる力と反対方向に磁性流体中の浮きと砥粒が浮
力を受けることを利用していることと、(2)線材より
硬さの小さい浮きを利用しても、浮きと線材の間に砥粒
が入り込むことにより浮きと線材の直接接触の頻度が小
さくなるために、浮きの摩耗が抑えられて線材だけを優
先的に研磨できることである。これらの特徴を最も効果
的に引き出すためには磁力、浮き、砥粒の構成が特に重
要である。
【0015】磁力については、強さが重要である。例え
ば磁力の発生源として永久磁石を利用した場合、磁石の
材質によって得られる磁力の大きさが異なる。また実際
の線材においては、うねっていたり真直ではなく、中心
軸上にあるとも限らないので、浮きが線材の表面に常に
押しつけられて研磨可能な状態にするためには、浮きと
磁石の距離はある程度大きい方が望ましい。浮きは磁性
流体が磁力を受けて磁石に引き寄せられることにより浮
力を受けている。
【0016】このとき磁性流体の受ける磁力は磁石の距
離の2乗に反比例するため、磁石に近いほど磁性流体が
磁石に強く引きつけられる。つまり浮きが受ける浮力も
磁石に近い方が強い力が得られている。このことと、線
材の位置が最も公転の中心軸から変位した場合でも浮き
が浮力を失わずに十分な力で線材に押しつけられる条件
を見いだす必要がある。また、電磁石を用いた場合も同
様であるが、コイルの体積が大きく電気配線も必要にな
るため構造が大きく複雑になる。
【0017】浮きが線材を研磨するメカニズムは、浮き
と線材が擦れ合うことではなく、浮きの表面に砥粒が引
っかかり線材に対して大きく滑る状態ができるためであ
る。このため、浮きに必要な特性としては、磁性流体か
ら浮力を得ることと、砥粒との摩擦抵抗が大きく粘りの
大きいことである。
【0018】浮力を得るための浮子の材質としては磁性
材料でなく、比重の小さいものが望ましい。浮きの浮力
は、磁石と浮きの底面の間に磁性流体が磁力に引き寄せ
られて入り込むために発生する。磁性流体の引き寄せら
れる力は磁石に近いほど強いために、浮子の浮力も磁石
に近づくほど大きくなる。ここで浮きの厚みが薄いと浮
きの上にある磁性流体も磁石に引き寄せられて浮きを沈
める力を発生させるので浮きの厚みは3mm以上必要で
ある。
【0019】また多くの試験の結果、砥粒との摩擦抵抗
が大きく粘りの大きい浮きの材質としては、セラミック
ッスやアルミ合金、ステンレスのほかポリエステル樹脂
や硬質ゴムなどの材質がわかっているが、材質により砥
粒が噛み込まれ易い押しつけ力が存在するので、線材と
浮きと砥粒の種類によって押しつけ力を調整する必要が
ある。
【0020】浮子の押しつけ力は、前述したように磁力
の強さ、磁石と浮き底面間の距離に影響されるが、もう
一つの要素として浮き底面の面積と線材と接触する浮き
上面の面積の比も押しつけ力を調整する因子となる。浮
きを適当な押しつけ力で線材に押しつけるための浮きの
形状としては、線材及び砥粒や磁石材質などとの組み合
わせも影響するが、底面積対上面積の比が3:1以上な
いと、どの組み合わせでも適当な押しつけ力は得られな
い。
【0021】砥粒は線材の表面を直接研磨するものであ
るので、砥粒の大きさによって研磨後の線材表面に導入
される表面粗度を調整することができる。傾向としては
砥粒の平均粒径が大きいほど線材に導入される表面粗度
も大きくなる。線材の伸線時に潤滑効果を高めると考え
られる5μm前後の凹凸は平均粒径40μm程度の砥粒
が適当である。
【0022】以上の構成条件を整えた上で、線材を研磨
するためには浮きと線材が相対運動をする事が必要であ
る。円筒の中心軸にある線材と浮きが相対運動をするた
めには、線材を円筒の中心軸方向に移動させるか、線材
を公転の軸として浮き及び磁石や円筒全体が公転する
か、あるいはその両方の運動が考えられる。
【0023】線材の研磨量は浮きと線材が擦れ合った距
離に比例するので、実際の装置を考えた場合、線材を円
筒の中心軸方向に移動させる場合は装置を長くすること
が必要になる。これに対して線材を公転の軸として浮き
及び磁石や円筒全体が公転する方法では、装置の長さは
短くできるが浮きの押しつけ力が遠心力を受ける分小さ
くなるので、回転数を調整したり浮子の形状や磁石の磁
力を高めることによって補う必要がある。また浮きの比
重にもよるが、回転数が大きくなりすぎると遠心力で浮
きが磁石側に押しつけられてしまい線材に接触できなく
なるので、適当な回転数にする必要がある。
【0024】
【実施例】上記の構成に基づいて本発明に係る装置を試
作し実験を行った結果を以下に説明する。
【0025】実施例1 図1に実施例で用いた実験装置の外観図を示す。本実施
例では鋼線材1には硬鋼線材を用いた。また凹凸付与部
2の公転面は重力の影響を少なくするために重力方向に
対して垂直な面にした。
【0026】被加工物である鋼線材1は支持スタンド6
で凹凸付与部2の公転の中心になるように固定され、こ
の鋼線材1の先端を凹凸付与部2が加工する様になって
いる。凹凸付与部2はターンテーブル4の中心に固定台
3で固定され、このターンテーブル4はモーター5によ
り公転する仕組みになっている。さらに、支持スタンド
6には加工中に鋼線材1と凹凸付与部2の間に砥粒を混
ぜた磁性流体を供給するノズル7が取り付けられてい
る。実施例では、磁性流体や砥粒が凹凸付与部2から流
れだした分を補うために、実験中は随時凹凸付与部2に
ノズル7から砥粒を含んだ磁性流体を注入した。また実
施例で使用した砥粒はSiC砥粒で平均粒径は40μm
である。
【0027】図2は凹凸付与部2の立体図である。点線
はアクリル板21、22で蓋をした内部の様子を透視し
て引いた線である。図3は凹凸付与部2の公転状態にお
ける図2のA−A矢視水平断面を示したものである。
【0028】図2、図3からわかるように、凹凸付与部
2は鋼線材1を中心に公転する。円筒8の内部は扇型の
スペーサー9、10、11、12によって4分割されて
おり、スペーサー9、10、11、12によって作られ
たそれぞれの空間に、浮き13、14、15、16とサ
マリュウムコバルト磁石17、18、19、20及び磁
性流体に砥粒を混合した液体23、24、25、26が
入っている。つまりこの実験装置においては、本発明に
よる効果を円筒8内の1つのユニットだけで得ることが
できるが、加工時の安定性や加工効率を考慮して円筒8
の中心軸を対称に4つのユニットを配置する構成にし
た。
【0029】そして、磁石の材質にサマリュウムコバル
ト磁石を用いた場合、浮き13、14、15、16が鋼
線材1に接触した状態でのサマリュウムコバルト磁石1
7、18、19、20と浮き13、14、15、16の
底面13a、14a、15a、16aとの距離が0.5
〜3mmの範囲で最も適当な押しつけ力が得られてい
る。また凹凸付与部2は内部に磁性流体に砥粒を混合し
た液体23、24、25、26を蓄えられるように、円
筒8の上下の端面にアクリル板21、22で蓋をしてあ
る。
【0030】図3のように浮き13、14、15、16
の形状は凸型をしており、磁性流体に砥粒を混合した液
体23、24、25、26の量は円筒8の中に充満して
鋼線材1に接触した状態になっている。浮き13、1
4、15、16は、実験のため液体樹脂を型に流し込ん
で凝固させることにより作製した。浮き13、14、1
5、16の材質は、鋼線材1と接触する先端部に各種材
質を埋め込んで作り分けた。また実験のため底部(磁石
側)は中空になっており、この中空部の大きさを調節す
ることにより浮き13、14、15、16の比重をどの
材質の浮き13、14、15、16でも一定になるよう
にした。
【0031】試験水準は加工量に影響を及ぼすと考えら
れる要因を抽出した。表1に実験条件とそのときの実験
結果を示す。
【0032】
【表1】
【0033】線材の加工量は加工前と10分間加工した
後の鋼線材1の重さの差を測定した。また浮きの摩耗量
は、加工前と10分間加工した後の浮き13、14、1
5、16の摩耗した体積が鋼線材1の加工量を体積に換
算した値と比べて、同じか大きい場合を“大”、小さい
場合を“小”、そして、全く摩耗しなかった場合は“ナ
シ”と示した。浮き13、14、15、16の摩耗量が
鋼線材1よりも大きくなると工業的に利用する場合に必
要な連続操業が困難になるだけでなく、安定した加工を
維持できないことからも浮き13、14、15、16の
摩耗量を小さくすることが重要であり、本発明による加
工はこの点に優れた効果を発揮することが特徴でもあ
る。
【0034】実験条件において回転数とは凹凸付与部2
が鋼線材1の回りを1分間に何回転公転するかを示す値
であり、距離とは浮き13、14、15、16の底面1
3a、14a、15a、16aからサマリュウムコバル
ト磁石17、18、19、20までの距離を示し、面積
比とは浮き13、14、15、16の底面積対上面積の
比を示したものである。また確認のために、本発明例に
おける水準において所定の大きさの凹凸が得られている
かどうか10点平均粗さ(Rz)を測定した。
【0035】水準1は本発明による試験条件の基準とな
る条件である。
【0036】水準2と水準3は浮き13、14、15、
16の材質を変えた水準である。これらの水準では磁性
流体はサマリュウムコバルト磁石17、18、19、2
0に引きつけられることにより浮き13、14、15、
16は浮力を受けているが、水準2の材質が鋼の場合に
は、浮き13、14、15、16がサマリュウムコバル
ト磁石17、18、19、20に引きつけられる力が浮
力よりも大きかったために鋼線材1に十分接触できなく
なり本発明による研磨ができなかった例である。水準3
の硬質ゴムの場合は、加工量が若干少なくなったものの
浮き13、14、15、16自身の摩耗も少なく効率的
な加工が可能である。
【0037】水準4、5、6は円筒8の回転数を変化さ
せたものである。試験時間が10分と一定なので、回転
数が10rpmの場合は500rpmの場合に比べて加
工量が少ない傾向があるが、本発明による加工は可能で
ある。しかし、回転数が200rpmと大きくなってく
ると、遠心力の影響で浮き13、14、15、16が鋼
線材1に接触できなくなり加工できないことがわかっ
た。
【0038】水準7、8、9、10は浮き13、14、
15、16の底面から13a、14a、15a、16a
からサマリュウムコバルト磁石17、18、19、20
までの距離の影響を調査したものである。0.1mmと
距離が近い場合、浮き13、14、15、16の押しつ
け力が大きくなるために加工量が非常に大きくなるが、
同時に浮き13、14、15、16の摩耗量も大きくな
っている。これは押しつけ力が強すぎたために浮き1
3、14、15、16と鋼線材1の間に砥粒が入り難く
なり、浮き13、14、15、16と鋼線材が直接接触
する傾向が大きくなったためであると考えられる。水準
8、9の場合は距離が大きくなるにつれて押しつけ力が
小さくなり、加工量は小さくなっている。しかし浮き1
3、14、15、16の摩耗量も小さく、本発明による
効率的な加工は可能である。しかし、水準10の距離が
9.0mmの場合は、浮き13、14、15、16の磁
性流体がサマリュウムコバルト磁石17、18、19、
20に引き寄せられることにより発生する浮力が小さく
なり、回転数が100rpmでも遠心力に押されて鋼線
材1に接触できなくなった結果、加工ができなかった例
である。
【0039】水準11、12、13は浮き13、14、
15、16の底面積と上面積の比を変えたものである。
浮き13、14、15、16は底面積で磁性流体から浮
力を受け、その力を上面積で鋼線材1に伝えるために底
面積と上面積の比が大きくなるほど押しつけ力が大きく
なる。面積比が1の場合、押しつけ力がほとんど得られ
ないために、極僅かしか加工量は得られないが、面積比
が大きくなると加工量が大きくなる傾向にあり、面積比
によって加工量の制御が可能である。また、面積比が2
0と大きくなると加工量も大きくなるが浮き13、1
4、15、16の摩耗量も大きくなっている。これは水
準7と同様に押しつけ力を大きくし過ぎて、砥粒が鋼線
材1と浮き13、14、15、16の間に入り込み難く
なっていたためである。
【0040】水準14は磁性流体に砥粒を混ぜないで実
験した例である。この水準では浮き13、14、15、
16と鋼線材1が常に接触して擦れ合っているために、
硬い鋼線材1の摩耗量は小さく浮き13、14、15、
16だけが大きく摩耗してしまい、本発明による加工が
行われていないことを示している。
【0041】また確認のために、本発明例のサンプルを
対象に表面凹凸を計測した結果、全ての水準で4〜8μ
mの良好な凹凸が得られていた。
【0042】実施例2 さらに、本発明のもう一つの実施例として、図4のよう
な装置をつくれば加工速度が速くなり連続処理が可能に
なる。つまり本発明はユニットを複数化すれば効果が加
算することが期待できるので、図4は長円筒27の中
に、図1で示した凹凸付与部2を多段構造にして入れ、
長円筒27の出入口に鋼線材1の連続供給を可能にする
ピンチローラー28、29を配置した、連続処理装置の
概要図である。図4を詳しく説明すると、凹凸付与部2
が複数入っている長円筒27は支柱31と軸受け32、
33によって固定されており、この長円筒27をモータ
ー5がベルト30によって公転させながら、ピンチロー
ラー28、29が鋼線材1を供給排出することにより連
続的に鋼線材1を処理することが出来る装置である。長
円筒27の中の水はノズル7により供給される。また必
要に応じて、ノズル7は砥粒を含んだ水を鋼線材1に沿
わせて供給することもできる。
【0043】このように本発明を利用することによって
線材の表面に凹凸を導入し、伸線性を向上させたり、ク
ラッド線のクラッド層の密着性を高めることができる。
また、デスケーリングしたり表面を清浄化する等、多く
の表面加工に利用することができる。
【0044】
【発明の効果】本発明により線状の円形断面を持った物
体の表面に数ミクロンから数十ミクロンの大きさの凹凸
を均一につけることができる。また、積極的に凹凸をつ
ける必要がなくても表面に付いた付着物を取ったりする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づいて試作した実施装置の外観図で
ある。
【図2】凹凸付与部2の立体図である。
【図3】図2に示す凹凸付与部2の公転状態における水
平断面A−Aを示したものである。
【図4】本発明を利用した連続処理装置の概要図であ
る。
【符号の説明】
1 鋼線材 2 凹凸付与部 3 固定台 4 ターンテーブル 5 モーター 6 支持スタンド 7 ノズル 8 円筒 9、10、11、12 スペーサー 13、14、15、16 浮き 13a、14a、15a、16a 浮きの底面 17、18、19、20 サマリウムコバルト磁石 21、22 アクリル板 23、24、25、26 磁性流体に砥粒を混合した液
体 27 長円筒 28、29 ピンチローラー 30 ベルト 31 支柱 32、33 軸受け

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒の内側から磁力を発生するための磁
    石と磁性流体と浮き及び砥粒の順に構成されるユニット
    を同じ断面内に複数配置させた装置を用いて磁性流体を
    磁力により円筒側に引きつけ、これにより発生した浮力
    により磁性流体中にある浮きと砥粒を円筒の中心軸上に
    通した線材に押しつけながら、線材と円筒全体を相対運
    動させることにより線材表面を効率的に研磨することを
    特徴とする線材表面への凹凸付与方法。
JP3623093A 1993-02-02 1993-02-02 線材表面への凹凸付与方法 Withdrawn JPH06226617A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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