JPH06222062A - ウイルス感染価および中和抗体価の測定法 - Google Patents

ウイルス感染価および中和抗体価の測定法

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JPH06222062A
JPH06222062A JP2603493A JP2603493A JPH06222062A JP H06222062 A JPH06222062 A JP H06222062A JP 2603493 A JP2603493 A JP 2603493A JP 2603493 A JP2603493 A JP 2603493A JP H06222062 A JPH06222062 A JP H06222062A
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virus
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enzyme
measuring
titer
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Toru Sugano
徹 菅野
Takami Tomiyama
貴美 富山
Shinobu Tani
しのぶ 谷
Yoichi Matsumoto
洋一 松本
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Teijin Ltd
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウイルス感染価および中和抗体価の迅速、簡
便かつ定量的測定法を提供すること 【構成】 96穴プレートに培養された細胞に、HCM
Vなどのウイルス検体を接種することによって出現した
ウイルス感染細胞を、該ウイルスの前初期抗原(IE
A)または初期抗原(EA)を認識する抗体と可溶性基
質を用いる酵素抗体法により染色し、その発色の強さを
ELISAリーダーなどの装置で測定することによりウ
イルス感染価を測定する。また、ウイルス検体の代わり
に、検体とウイルスの混合液を接種して同様に行い中和
抗体価を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウイルスの感染価およ
びウイルスに対する中和抗体価を測定する方法に関し、
さらに詳しくは、ウイルスに特異的に反応するモノクロ
ーナル抗体を用いて、ウイルスの感染価および中和抗体
価を迅速、簡便に、かつ定量的に測定する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ウイルス感染症患者のウイルス量、また
は血中の中和抗体価などの患者の免疫状態の診断、ある
いはウイルス感染症に有効なモノクローナル抗体、また
は抗ウイルス剤などの薬物のスクリーニングなどに際
し、ウイルス感染価または中和抗体価を測定することが
行われている。
【0003】従来、ウイルス感染価、または中和抗体価
の測定法としては、プラーク法と呼ばれる方法が広く行
われてきた。この方法は、ウイルス液をシャーレや6穴
プレート上で培養されたウイルス感受性細胞の単層に接
種して、1〜2週間培養後、細胞を固定染色し、出現し
たウイルスプラークを顕微鏡下でカウントしてウイルス
感染価を測定する方法である。中和抗体価を測定する場
合は、まず、例えば患者血清やハイブリドーマの培養上
清などの検体とウイルス液を試験管内で混合し、一定時
間反応させた後、この液をシャーレや6穴プレート上に
培養したウイルス感受性細胞の単層に接種して、1〜2
週間培養後、細胞を固定染色し、出現したウイルスプラ
ークを顕微鏡下でカウントして、プラークの減少率から
検体中の中和抗体価を求める。
【0003】この方法は、信頼性が高く、定量的である
が、迅速性、簡便性にかけ、また顕微鏡下でのウイルス
プラークの判定には時間と熟練が必要とされるため、大
量の検体を扱ったり、結果を急ぐ病院や大学、企業の研
究室で用いるには不適であった。
【0004】この点を克服するために、最近、いくつか
の研究室から、モノクローナル抗体を用いた迅速な測定
法が提案されている。この方法は、感染後の早い時期に
細胞に出現するウイルス前初期抗原または初期抗原を認
識するモノクローナル抗体を使ってウイルス感染細胞を
染めるもので、接種から細胞固定までの時間が1〜2日
間と著しく短縮されている。また、細胞培養に96穴プ
レートを用いて、一度に大量の検体を処理できる。
【0005】染色の手順としては、細胞固定後、モノク
ローナル抗体を加え、一定時間反応させた後、未反応の
抗体を洗浄除去し、次に酵素標識した2次抗体を加えて
同様に反応させ、洗浄後、酵素と反応した後は不溶性と
なる不溶性基質を加えてウイルス感染細胞を染色する。
直接法の場合には、酵素標識したモノクローナル抗体を
用いて同様の方法で染色する。酵素の代わりに蛍光色素
を標識したモノクローナル抗体、または2次抗体を用い
て染色することもできる。
【0006】しかし、この方法で定量的な結果を得るた
めには、染色後、ウイルス感染細胞を顕微鏡下でカウン
トする必要が依然としてあり、この段階で時間と労力が
かかってしまうという欠点があった。モノクローナル抗
体を用いたウイルス感染価および中和抗体測定法の迅速
性、簡便性、検体処理能力を生かすには、最後の段階の
ウイルス感染の算出を定量性を失わずに簡略化すること
が必要であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、迅速、簡便
なウイルス感染価測定法および中和抗体価測定法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、96穴プレー
ト上で培養された細胞にウイルス検体を接種することに
よって出現したウイルス感染細胞を、該ウイルスの前初
期抗原もしくは初期抗原を認識する抗体および可溶性基
質を用いる酵素抗体法により染色し、その発色の強さを
測定装置により読み取ることを特徴とする検体中のウイ
ルス感染価の測定法である。
【0009】本発明において、ウイルスとしては、公知
のウイルスを用いることができるが、ヒトサイトメガロ
ウイルス(Human Cytomegalo Virus、以下HCMVと略
す)水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella Zoster Virus、
以下VZVと略す)、単純疱疹ウイルス(Herpes Simpl
ex Virus、以下HSVと略す)などが好適である。
【0010】ウイルスの前初期抗原(Immediate early
antigen 、以下IEAと称することがある)または初期
抗原(Early antigen 、以下EAと称することがある)
とは、ウイルス感染の早い時期に感染細胞に出現する前
初期または初期タンパク質であり、例えばHCMVにお
いては、IE1 またはIE2 または64〜66キロダル
トンの前初期タンパク質を挙げることができる。
【0012】本発明において用いられる抗体は、ウイル
ス特異的な前記タンパク質に反応する抗体であれば、動
物血清であっても、モノクローナル抗体であってもよ
い。前記HCMVに対する抗体としては、HCMVの6
4〜66キロダルトンの前初期タンパクに対するヒトモ
ノクローナル抗体、C7を挙げることができる。
【0013】酵素抗体法とは、酵素を予め結合させて標
識した抗体(以下、酵素標識抗体ということがある)と
検体との間で抗原抗体反応を起こさせ、該酵素と反応す
ると特定の発色をする基質を加えて、目的とする抗原を
検出する免疫学的測定法である。この酵素抗体法には、
酵素標識抗体を抗原(本発明においてはIEAまたはE
A)と反応させる直接酵素抗体法と、酵素標識抗体を2
次抗体として抗原と結合した抗体と反応させる間接酵素
抗体法が知られている。
【0014】本発明においては、いずれの方法も採用す
ることができ、間接酵素抗体法においては、IEAまた
はEAを認識する抗体に対する抗体に酵素標識したも
の、例えば、抗HCMV−IEAマウス抗体の場合、抗
マウス抗体に酵素標識したものを2次抗体として用い
る。
【0015】酵素抗体法において用いることのできる酵
素としては、公知のものを挙げることができ、例えば、
西洋ワサビパーオキシダーゼ(Horse Radish Peroxydas
e 、以下HRPと略す)などのペルオキシダーゼ、アル
カリフォスファターゼ、ベータガラクトシダーゼなどを
挙げることができる。
【0016】また、本発明においては、酵素抗体法にお
いて、基質として、標識された酵素と反応したのちも可
溶性のままの可溶性基質を用いる。従って可溶性基質
は、標識に用いられた酵素との組合せによって適切な可
溶性発色基質または化学発光基質が選ばれる。例えば、
HRPを標識酵素とする場合過酸化水素と3,3′,
5,5′−テトラメチルベンジジン(TMBZ)の混合
液を、アルカリフォスファターゼの場合にはp−ニトロ
フェニルリン酸2ナトリウムを、ベータガラクトシダー
ゼの場合にはp−ニトロフェニル−D−ガラクトピラノ
シド(p-nitrophenyl-β-D-galactopyranoside、pNP
G)を用いることが好ましい。このような可溶性基質を
用いることにより、その発色の強さを測定装置を用いて
読み取ることができるため、ウイルス感染価を定量性を
失うことなく、簡便に測定することができる。
【0017】本発明において、測定装置としては、化学
発光の強さ、蛍光の強さなどを、例えば、吸光度として
測定する装置を挙げることができ、一般にELISAリ
ーダーとして知られている装置などを挙げることができ
る。
【0018】本発明の操作手順は下記のように行われ
る。 96穴プレートに培養された細胞に、ウイルス検体液
を接種後、一定時間培養し、固定したのち、直接酵素抗
体法においては、 該ウイルスのIEAまたはEAを認識する酵素標識さ
れた抗体を加えて反応させ、 未反応の抗体を洗浄除去したのち、可溶性基質を加え
てウイルス感染細胞を染色し、 その発色の強さをELISAリーダーなどの装置で測
定する。
【0019】間接酵素抗体法の場合は、前記におい
て、標識されていない抗体をまず反応させた後、未反
応の抗体を洗浄除去し、次に酵素標識された2次抗体を
加えた後、同様に可溶性基質を加えて染色し、その発
色の強さを測定する。
【0020】この手順において、用いられる細胞とし
ては、測定しようとするウイルスが増殖可能な細胞が望
ましく、例えば、ウイルスがHCMVの場合、ヒト胎児
肺線維芽細胞(Human Enbryonic Lung Fibroblast Cel
l、以下HEL細胞と略す)を、単純疱疹ウイルスの場
合Vero細胞を挙げることができる。
【0021】ウイルスを増殖可能な細胞に接種したの
ち、適切な培養液を加え、1〜7日間培養したのち、培
養液を吸引除去し、洗浄して細胞固定液を加え、5〜1
0分間固定する。細胞固定液としては、50〜200μ
lのアセトン−メタノール=1:1混合液、10%ホル
マリン溶液、0.1%グルタールアルデヒド溶液などを
用いることができる。このなかで、HCMVを接種した
HEL細胞においては、アセトン−メタノール=1:1
混合液が最も感度が高く、従って、これを用いて固定す
るのが望ましい。
【0022】検体の感染価を測定するには、予め既知濃
度のウイルス溶液と検体を同時に段階希釈しておき、本
発明の方法によって吸光度を測定し、同一の吸光度を与
える検体の希釈倍率と、既知濃度のウイルス溶液の感染
価を比較することによって、検体の原液のウイルス感染
価を知ることができる。
【0023】本発明は、また、検体とウイルスの混合液
を接種することにより出現したウイルス感染細胞を前記
抗体および可溶性基質を用いる酵素抗体法により染色
し、その発色の強さを測定装置を用いて読み取り、検体
中の中和抗体価を定量する方法を提供するものである。
【0024】検体の中和抗体価は、検体のウイルス中和
価であり、前記ウイルス感染価の測定において、ウイル
ス検体に替えて検体とウイルスの混合液を接種するほか
は同様にして測定される。すなわち、検体とウイルスを
混合、反応させ、96穴プレートに培養されたHEL細
胞などの細胞単層に接種し、培養、固定、ELISA染
色を行い、その発色の強さを測定装置を用いて読み取
り、この値から中和抗体価を算出する。用いられる細
胞、酵素、可溶性基質なども前記ウイルス感染価の測定
と同様のものを用いることができる。
【0025】本発明の方法で得られる中和抗体価は、従
来法と高い相関性を有し、従って、本発明は、これまで
期間と労力を必要としていた中和抗体価の測定を迅速、
簡便にかつ定量的に行う方法を提供するものということ
ができる。
【0026】また、本発明の方法では、ウイルスプラー
ク数のみならず、ウイルス感染細胞数をも数値化が可能
であるため、抗体、例えばHSVの糖タンパクgHに対
するマウスモノクローナル抗体(Gampels U. and Minso
n A. , Virology 1986年、156 巻、230 ページ)、VZ
Vの糖タンパクgpIII に対するモノクローナル抗体
(Keller P.M. et al.,Virology 1987年、 157巻、 526
ページ、およびSugano T. et al.,J. Gen. Virol. 1991
年、72巻、2065ページ) 、サイトメガロウイルスの糖タ
ンパクgHに対するモノクローナル抗体(Rasmussen L.
et al.,Transplantation Proc. 1991年、23巻、60ペー
ジ) などの有するウイルスの細胞間感染を抑制する効
果、すなわち細胞間感染拡大抑制活性を加味した値とし
て、従来法による中和抗体価より低い値(高感度な値)
として抗ウイルス活性を知ることができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。 実施例1(ウイルス感染価測定における細胞固定法およ
び培養期間の検討) 96穴培養プレート(Coster,USA) にヒト胎児肺線維芽
細胞(HEL細胞)を接種し、単層細胞シートを形成す
るまで、5%CO2 存在下37℃で培養した。培養液は
10%牛胎児血清を含むイーグルMEM培地(以下、増
殖培地という)を用いた。
【0028】単層細胞シートが形成された後、増殖培地
を吸引除去し、HCMV−Towne 株の懸濁液を各穴50
μl加え、37℃で1時間反応させ、ウイルスを接種し
た。ウイルス接種後、2%ウシ胎児血清を含むイーグル
MEM培地(維持培地)を加え5%CO2 存在下37℃
で7日間培養した。3日、5日、7日培養した時点で、
それぞれ、培養液を吸引除去し、感染細胞単層をリン酸
緩衝生理食塩液(Phosphate Buffer Saline 、以下PB
Sと略す)で3回洗浄したのち、100μlのアセトン
─メタノール=1:1混合液、10%ホルマリン溶液、
0.1%グルタールアルデヒド溶液(細胞固定液)を加
え、10分間固定した。
【0029】感染細胞固定液を吸引除去後PBSで3回
洗浄し、非特異反応を抑えるため、200μlの1%ウ
シ血清アルブミン(Sigma,USA )を含むPBS(以下、
1%BSA−PBSと略す)を加えて1時間以上反応さ
せた。感染細胞を固定した96穴プレートは1%BSA
−PBS存在下、4℃で数週間、1%BSA−PBS吸
引除去乾燥後、凍結状態(−70℃程度)で半永久的に
保存できるものであった。ここで感染細胞は、HCMV
の64〜66キロダルトンの前初期タンパクに対するヒ
トモノクローナル抗体、C7のF(ab)2 フラグメン
トにHRPを標識した酵素標識抗体C7−HRPを用い
た直接染色法によって検出した。
【0030】96穴プレートの1%BSA−PBSを吸
引除去し、C7−HRPを濃度0.25μg/mlにな
るように1%BSA−PBSで希釈したものを50μl
ずつ加え、37℃で1時間反応させた。
【0031】反応終了後、抗体溶液を吸引除去し1%B
SA−PBSで3回洗浄した。次に、HRPの可溶性発
色基質である過酸化水素と3,3′,5,5′−テトラ
メチルベンジジン(TMBZ、同仁化学研究所)の混合
液(1mMTMBZ、5mMH2 2 を含む0.1Mク
エン酸−リン酸2ナトリウム緩衝液、pH4.3、以下
TMBZ溶液という)を各穴100μl加え、室温で5
〜60分間反応させた。
【0032】TMBZ溶液が適度に発色した時点で、T
MBZ溶液と同量の1規定濃度の硫酸を加え、反応を停
止させたのち、発色の強さをELISAリーダー(Mole
cular Devices Corp.,CA USA)で450nmの吸
光度を測定することによって得た。結果を図1の(A)
(B)(C)に示す。
【0033】図1にみるとおり、測定可能なウイルス感
染価は3日間培養において2×103 pfu/ml以上、5日
間培養においては4×103 pfu/ml以上、7日間培養に
おいては2pfu/ml以上であった。従って、培養期間は検
体、および目的によって3日間〜7日間の間で選ぶのが
望ましい。
【0034】実施例2(ウイルス中和抗体価の測定) 抗体として、抗HCMVヒトモノクローナル抗体C23
(Masuho et al.,J. Gen. Virol.,1987 年、68巻、1457
ページ) を用い、これを段階希釈した溶液(抗体溶液)
と実施例1で得られた測定可能なウイルス感染価を満足
する範囲の感染力価に調製したHCMV−Towne 株溶液
を等量混合し、37℃で60分間反応させた。同時に抗
体溶液の代わりにウイルス溶液と維持培地を等量混合し
たもの(以下、感染コントロールという)および抗体溶
液と維持培地を等量混合したもの、または維持培地のみ
の溶液(以下、非感染コントロールという)も同様に反
応させた。
【0035】反応後のウイルス−抗体混合液を、HCM
V−Towne 株の懸濁液の代わりに用い、実施例1と同様
に、96穴プートに培養したHEL細胞単層に接種し、
培養、固定、ELISA染色を行った。TMBZ溶液の
吸光度は感染コントロールと非感染コントロールの発色
程度がはっきりと区別できる範囲、すなわち0.5〜
4.0の範囲で測定した。
【0036】測定された吸光度を用いて、以下に示す式
(I)によって中和価(neutralization%)を算出し
た。 中和価=〔(感染コントロールの吸光度−抗体希釈液の
吸光度)/(感染コントロールの吸光度−非感染コント
ロールの吸光度)〕×100・・・・(I) 縦軸に各抗体希釈液の中和価、横軸に抗体濃度または希
釈倍率をプロットし、中和価の50%を与える抗体濃度
または希釈倍率をその抗体の中和抗体価、すなわちED
50値を得た。
【0037】HCMV−Towne 株の4×102 pfu/ml、
および2×105 pfu/mlのウイルスを用いて7日間培養
した場合の抗HCMVヒトモノクローナル抗体C23の
中和曲線を図2(A)および(B)にそれぞれ示す。E
50値は、7日間培養条件下では4×102 pfu/mlのウ
イルス溶液を用いるのが感度よく中和抗体価を測定する
のに適当であった。
【0038】実施例3(ウイルス中和抗体価測定におけ
る従来法との感度の比較) 抗HCMVヒトモノクローナル抗体C23を用いて、本
発明の方法と従来法である感染プラーク減少法を比較し
た。本発明の方法では、3日間培養、5×104 pfu/ml
HCMV−Towne 株を用いた。
【0039】従来法は以下のように行った。すなわち、
2×103 pfu/mlのHCMV−Towne 株と抗体希釈液を
等量混合し、37℃で1時間反応させた後、3.5cm
直径の6穴培養プレート(Falcon3046、USA)に形成させ
たHEL細胞の単層培養に200μlずつ接種した。1
時間の吸着の後、1%寒天を含む維持培地を重層し10
日間培養した。単層培養上に形成されたウイルスプラー
クを10%ホルマリンで固定後、0.3%メチレンブル
ーで染色し、プラーク数を顕微鏡下で数えた。中和価は
下記式(II) によって算出した。 中和価=〔(感染コントロールのプラーク数−抗体希釈
液のプラーク数)/(感染コントロールのプラーク数−
非感染コントロールのプラーク数)〕×100・・・・
・・〔II]
【0040】本発明の方法による中和曲線を図3(A)
に、従来法による中和曲線を図3(B)に示す。中和抗
体価(ED50)はそれぞれ0.28μg/mlおよび
0.49μg/mlであった。
【0041】実施例4(ウイルス中和抗体価測定におけ
る本発明と従来法との相関性) 19人のヒト血清を本発明、および従来法(プラーク減
少法)によって中和抗体価を測定した。縦軸に本発明に
よる中和抗体価(ED50)、横軸に従来法による中和抗
体価(ED50)をプロットし、相関性を調べたところ、
相関係数0.884で高い相関を示した。このように本
発明はこれまで、期間と労力を必要としていた中和抗体
価測定を迅速に、簡便に、かつ客観的に測定することが
できることを示している。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、ウイルス感染価または
中和抗体価を迅速に、簡便に、かつ客観的に測定するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウイルス感染価測定における細胞固定法、およ
び培養期間による吸光度の変化を示す。(A)はHEL
細胞にウイルス接種後、3日目に、(B)は5日目に、
(C)は7日目に固定した細胞についての吸光度の変化
を示す。
【図2】本発明の方法により、抗HCMVヒトモノクロ
ーナル抗体C23のウイルス中和抗体価の測定を行った
中和曲線である。(A)は4×102 pfu/mlの、(B)
は2×105 pfu/mlのHCMV−Towne 株を用いて7日
間培養した場合の中和曲線である。
【図3】ウイルス中和抗体価測定にける従来法と本発明
との感度比較を示した図である。(A)は5×104 pf
u/mlのHCMV−Towne 株を用いて3日間培養した本発
明の方法による中和曲線を、(B)は従来法、すなわち
プラーク減少法による中和曲線を示す。
【図4】ヒト血清の中和抗体価を本発明および従来法で
測定した場合の相関性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 洋一 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 96穴プレート上で培養された細胞にウ
    イルス検体を接種することによって出現したウイルス感
    染細胞を、該ウイルスの前初期抗原もしくは初期抗原を
    認識する抗体および可溶性基質を用いる酵素抗体法によ
    り染色し、その発色の強さを測定装置により読み取るこ
    とを特徴とする検体中のウイルス感染価の測定法。
  2. 【請求項2】 酵素抗体法が酵素を標識した抗体を用い
    る直接酵素抗体法である請求項1記載のウイルス感染価
    の測定法。
  3. 【請求項3】 酵素抗体法が酵素を標識した2次抗体を
    用いる間接酵素抗体法である請求項1記載のウイルス感
    染価の測定法。
  4. 【請求項4】 酵素がペルオキシダーゼである請求項2
    または3記載のウイルス感染価の測定法。
  5. 【請求項5】 ウイルスの前初期抗原を認識する抗体が
    ヒトサイトメガロウイルスの64〜65キロダルトンの
    前初期抗原を認識するモノクローナル抗体である請求項
    1〜4のいずれか1項記載のウイルス感染価の測定法。
  6. 【請求項6】 96穴プレート上で培養された細胞に検
    体とウイルスの混合液を接種することによって出現した
    ウイルス感染細胞を、ウイルスの前初期抗原もしくは初
    期抗原を認識する抗体および可溶性基質を用いる酵素抗
    体法により染色し、その発色の強さを測定装置により読
    み取ることを特徴とする検体中の中和抗体価の測定法。
  7. 【請求項7】 酵素抗体法が酵素を標識した抗体を用い
    る直接酵素抗体法である請求項6記載の中和抗体価の測
    定法。
  8. 【請求項8】 酵素抗体法が酵素を標識した2次抗体を
    用いる間接酵素抗体法である請求項6記載の中和抗体価
    の測定法。
  9. 【請求項9】 酵素がペルオキシダーゼである請求項7
    または8記載の中和抗体価の測定法。
  10. 【請求項10】 ウイルスの前初期抗原を認識する抗体
    がヒトサイトメガロウイルスの64−65キロダルトン
    の前初期抗原を認識するモノクローナル抗体である請求
    項6〜9のいずれか1項記載の中和抗体価の測定法。
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Cited By (3)

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