JPH06221087A - 圧気注入工法及び注入用圧気装置 - Google Patents

圧気注入工法及び注入用圧気装置

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JPH06221087A
JPH06221087A JP5028542A JP2854293A JPH06221087A JP H06221087 A JPH06221087 A JP H06221087A JP 5028542 A JP5028542 A JP 5028542A JP 2854293 A JP2854293 A JP 2854293A JP H06221087 A JPH06221087 A JP H06221087A
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JP
Japan
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pressure
lining
injection
tunnel
water
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JP5028542A
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English (en)
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Kazutoshi Inoue
一敏 井上
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Mitsui Construction Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】覆工に余分な外圧を与えることなく地盤に高圧
注入する。 【構成】その妻部10aにおいてエアシール11を内周
面3bに接続する形で、スチールフォーム10と覆工3
の間に加圧空間12を遮蔽形成し、該加圧空間12をエ
ア圧P2で加圧する。覆工3の外側に注入圧P3で注入
材6を注入すると、覆工3にその外側から作用する注入
圧P3はエア圧P2分だけ相殺されることによって該覆
工3が破壊することなく、該注入材6は外水圧P1に抗
する形で水みち7を塞ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にシールドトンネル
において圧力水を止水するために用いるに好適な圧気注
入工法及び注入用圧気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は従来のシールドトンネルを示す
図、図6は図5に示すシールドトンネルにおけるセグメ
ント継手部間のシール状態を示す図である。従来、シー
ルドトンネルにおいて、例えば図5に示すように、プレ
キャストコンクリート版によるセグメント31を複数接
続して、トンネル41の覆工3を構築する場合には、該
セグメント31の背面31a側からトンネル空間40内
への漏水を防止するために、隣接するセグメント31、
31間の即ち覆工3の継手部3aには、シール部材とし
て、図6に示すように帯状に形成された水膨張性ゴム等
からなる止水バンド5を、当該セグメント31の継手面
31bに予め形成された溝31cに嵌め込む形で装着し
ておき、さらに、覆工3の外周囲には裏込材42を、該
覆工3を構成しているセグメント31と地盤2間の間隙
を塞ぐ形で充填注入する。ところが、トンネルは、その
構築中或いは供用後に、覆工3周囲の地盤2が緩んで、
該地盤2及び既に硬化した裏込材42等にクラックが生
じる形で所謂水みち7が形成されて、該水みち7を介し
て隣接するセグメント31、31間の継手部3aに該外
水圧が作用する形で、止水バンド5が圧力水に直撃され
て、これによってそのシール機能が衰え、ここに漏水が
生じる場合がある。そこで、このような事態が予想され
る場合には、裏込材42を水みち7に想定される外水圧
より高い圧力で注入する形で二次注入を行い、これによ
って既に形成されてしまった水みち7を塞がなければな
らない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような二
次注入時の注入圧力を高くし過ぎると、覆工3を構成し
ているセグメント31にその背面31a側から注入圧力
が作用する形で、外力が局所的に集中し、これによって
該セグメント31には、これにクラックが形成される危
険性が生じる。特に当該高圧二次注入に起因する外力
は、覆工3の継手部3aにもかかかるために、該継手部
3aにおいて、先に述べたように水みち7の形成によっ
て圧力水の外水圧を受けて、そのシール機能が衰えてい
たことが予想される止水バンド5は、このような高圧二
次注入に起因する外力を受けて尚一層そのシール機能が
衰えることになる。従って、このような高圧二次注入に
よって水みち7を塞ごうとする場合には、その注入圧力
を覆工3の耐力を超えない範囲に留めておかないと、セ
グメント31及び継手部3a自体が本来保有している止
水機能をかえって低減させることになって、トンネル構
造の最終的な止水性を損なわせる結果になってしまう。
即ち、こうした二次注入時の注入圧力は覆工3の耐力に
対応して限定されているために、圧力水の外水圧が大き
い場合には二次注入による十分なる止水効果が得られな
い、という不都合があった。そこで本発明は、上記事情
に鑑み、覆工部材にその止水機能を損なうような余分な
外力をかけることなく高圧二次注入を行って、水みちを
有効に閉塞止水することが出来るようにした、圧気注入
工法及び注入用圧気装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、トンネル
断面方向外側から水圧(P1)が作用し得る形の覆工体
(3)において、前記覆工体(3)のトンネル断面方向
外側に注入材(6)を注入する際に、前記覆工体(3)
の内側(30)に該覆工体(3)の内周面(3b)に沿
った形で圧力保持空間(12)を遮蔽形成し、前記圧力
保持空間(12)を前記覆工体(3)に作用する外圧
(P3)に対応した圧力(P2)で加圧することによっ
て、該外圧(P3)による該覆工体(3)の破壊を防止
するようにして、構成される。また、覆工体(3)の内
側(30)に設置自在な圧力支持部材(10)を有し、
前記圧力支持部材(10)のトンネル軸方向に所定の間
隔をおいて圧力支持隔壁(10a、11)を、該圧力支
持部材(10)と前記覆工体(3)の間に圧力保持空間
(12)を遮蔽形成し得る形で設け、前記圧力支持部材
(10)に圧気供給手段(16)を、前記圧力保持空間
(12)に圧気(35)を供給し得る形で接続して、注
入用圧気装置(9)が構成される。さらに、前記注入用
圧気装置(9)において、前記圧力支持部材(10)
に、前記覆工体(3)のトンネル断面方向外側に注入材
(6)を注入し得る注入手段(17、19)を接続し
て、構成される。なお、( )内の番号等は、図面にお
ける対応する要素を示す、便宜的なものであり、従っ
て、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではな
い。以下の作用の欄についても同様である。
【0005】
【作用】上記した構成により、本発明は、覆工体(3)
に作用する外圧(P3)は、圧力保持空間圧力(P2)
に加圧された圧力(P2)分だけ相殺されるように作用
する。また、圧気供給手段(15a、16)を介して圧
力保持空間(12)に供給される圧気(35)は、圧力
支持部材(10)と圧力支持隔壁(10a、11)に支
持される形で該圧力保持空間(12)を加圧するように
作用する。さらに、注入手段(17、19)は、覆工体
(3)のトンネル断面方向外側に配置している地盤
(2)の間隙中に注入材(6)を注入浸透させるように
作用する。
【0006】
【実施例】図1は本発明による注入用圧気装置の一実施
例である圧気装置を用いてトンネルに圧気注入を行う例
を示す断側面図、図2は図1に示す圧気装置の横断面
図、図3は図1のIII、III断面図、図4は図1に示す圧
気注入時における覆工部分の圧力負荷状態を示す図であ
る。シールドトンネルであるトンネル1は、図1に示す
ように、地盤2中に掘削形成された掘削坑道中に既に建
て込み構築された、該トンネル1の覆工体である覆工3
を有しており、覆工3は、その全体形状が図1及び図2
に示すように円環形をなす形で組立て接続された、その
各々がブロック状に形成されたプレキャストコンクリー
ト版からなる複数のセグメント31により構成されてい
る。覆工3には、トンネル軸方向である図1矢印A、B
方向及びトンネル周方向である図2矢印C、D方向に隣
接するセグメント31、31間に継手部3aが、該継手
部3aに対応したそれぞれのセグメント31、31の継
手面31b、31bをそれぞれ対面させた形で設けられ
ており、各継手部3aにはそれぞれが帯状に形成された
水膨張ゴム等からなる止水バンド5、5が、その各々が
該継手面31bと交差する方向に沿って、トンネル断面
方向である矢印E、F方向に2列に並ぶ形で配設されて
いる。止水バンド5は、該止水バンド5の矢印A、B方
向又は矢印C、D方向両側端を、隣接するセグメント3
1、31の各々の継手面31b、31bに接着された形
で、該継手面31b、31bにそれぞれ形成された溝3
1c、31cに嵌合されており、覆工3は、該止水バン
ド5を介して隣接するセグメント31、31間の間隙が
シールされることによって複数のセグメント31が一体
をなす形になっている。
【0007】覆工3の外側には、図1又は図2に示すよ
うに、該覆工3の外周面3dを形成している各セグメン
ト31の各背面31aと地盤2が形成している掘削坑壁
2sとの間に、トンネル1を掘削構築するためのシール
ド機が余掘りを残した形で、若干の間隙2sが、該覆工
3の外周面3dに沿って円環状をなす形で形成配置され
ており、間隙2sには、地盤2の性状に対応した裏込材
であり、浸透性、接着性、閉塞充填性及び止水機能に優
れた、逸水防止用セメントである所謂地熱井用セメンチ
ングセメント等のセメント系の注入材6が、該覆工3を
構成しているうちのいくつかのセグメント31に設けら
れた注入孔3cを介して裏込充填されている。なお、覆
工3のトンネル断面方向外側である矢印F方向側には水
みち7が、該覆工3の外側に配置している地盤2及び既
に裏込充填されて硬化した注入材6にひび割れが生じた
形で、若干数量形成されており、覆工3には、該水みち
7を浸透する圧力水である浸透水35の水圧である外水
圧P1が、該覆工3のトンネル断面方向外側から内側に
向けて作用した形になっている。一方、覆工3の内側に
は、図1又は図2に示すように、トンネル1の供用空間
であるトンネル空間30が、所定の径D1をなす円柱状
に形成されており、トンネル空間30の一部には圧気装
置9が、覆工3の内周面3bに接続支持された形で設け
られている。
【0008】圧気装置9は、図1に示すように、トンネ
ル空間30の径D1より若干小さな外径D2をなす形で
全体形状横転円筒状に形成組立てされて、該トンネル空
間30の任意の位置に設置自在な圧力支持部材である鋼
製のスチールフォーム10を有しており、スチールフォ
ーム10の図1左右両端部には、妻部10aが、トンネ
ル断面方向外側である矢印F方向に向けて該スチールフ
ォーム10から突出する形でそれぞれ形成されている。
スチールフォーム10の各妻部10aにはエアシール1
1が、該スチールフォーム10を覆工3の内周面3bに
接続分離自在な形で設けられており、エアシール11
は、図3に示すように、覆工3の周長即ち内周面3bの
矢印C、D方向長さに対応した形の耐圧ゴムチューブ1
1aの内部に、そのエア供給口11bを介してエア35
を所定の圧力で供給充填することにより、該耐圧ゴムチ
ューブ11aが膨張する形で、スチールフォーム10の
各妻部10aと覆工3の内周面3bとの間の空隙をシー
ルして、これによって該スチールフォーム10と覆工3
を接続し得るように構成されている。
【0009】エアシール11を介してスチールフォーム
10が覆工3に接続された状態の圧気装置9は、図1に
示すように、トンネル空間30に覆工3の内周面3bに
沿った形の加圧空間12を、該スチールフォーム10の
妻部10a、10a間の外周面10bと、覆工3の内周
面3bとの間に略円筒状に形成する形になっており、即
ち、スチールフォーム10の両端の妻部10a、10a
と、該妻部10a、10aに設けられたエアシール1
1、11は、加圧空間12を遮蔽形成し得る形で、トン
ネル軸方向に所定の間隔をなす圧力支持隔壁を形成する
形になっている。なお、加圧空間12のトンネル断面方
向内方側にはスチールフォーム10を挟む形で、該スチ
ールフォーム10の内側空間である作業空間13が円柱
状に形成された形になっている。スチールフォーム10
には、加圧空間12に圧気であるエア35を加圧状態で
供給するための供給口10cが、加圧空間12と作業空
間13を連通させるように貫通形成された形で設けられ
ており、スチールフォーム10には供給口10cに、圧
気供給手段であるコンプレッサ16が、バルブ15aを
介して加圧空間12にエア35を任意の圧力で供給自在
な形で接続されている。
【0010】また、スチールフォーム10には、図1に
示すように、該スチールフォーム10をトンネル断面方
向である矢印E、F方向に貫通する形で形成された注入
孔10dが、前記覆工3を構成しているセグメント31
に設けられた注入孔3cと連通し得る形で、トンネル軸
方向及びトンネル周方向に沿って、即ち矢印A、B方向
及び矢印C、D方向に沿って所定の複数設けられてお
り、スチールフォーム10には圧気装置9による注入材
6の裏込作業時に用いるための注入ノズル17が、注入
孔10dと覆工3側の注入孔3cとを接続する形で、該
注入孔10dの数量に対応した分だけ複数差し込み自在
な形になっている。各注入ノズル17には、地盤2の性
状に対応した注入材6を圧送供給自在な形の、フィーダ
ー、ポンプ等からなる圧送供給装置19が、バルブ15
bを介して、該注入材6を任意の圧力で供給吐出させ得
る形で、それぞれ接続されており、即ちノズル17と圧
送供給装置19は、注入材6を覆工3の背面側であるト
ンネル断面方向外側に向けて注入する注入手段を構成す
る形で、スチールフォーム10に接続されている。
【0011】トンネル1及び圧気装置9は以上のような
構成を有しているので、該トンネル1は、掘削坑道中に
複数のセグメント31を、その継手面31bに形成され
た各溝31cに止水バンド5を嵌合装着しながら接続す
る形で覆工体である覆工3を建て込み構築すると共に、
該覆工3の外周面3dの外側に地盤2の性状に合わせた
注入材6を、各セグメント31に設けられた注入孔3c
を介してその背面側31aから間隙2sに向けて圧入す
る形で裏込注入する。こうして、注入材6は一次注入材
として、シールド機が形成した余掘りである間隙2sを
充填し、これによって各セグメント31が地盤2に定着
されて、該セグメント31が構成している覆工3が地盤
2を支持すると、該覆工3の内側にはトンネル空間30
が、該地盤2に対して隔離された空間として形成され
る。
【0012】ところで、こうして一次注入材として裏込
充填された注入材6は、間隙2s及び地盤2中に形成保
有されていた空隙部分を埋め尽くす形で、図中一点鎖線
で示す部分より断面方向内方側(矢印E方向側)に配置
している形の裏込領域2p中に浸透し、当該裏込領域2
p部分を固化する形で一旦は安定化させる。しかし、ト
ンネル1の構築中或いは構築完了後には、掘削坑道の形
成によって或いは覆工3を構築するために、さらにはト
ンネル空間30の供用によって、覆工3乃至地盤2に振
動が生じ、これによって、裏込領域2p部分における、
地盤2及び間隙2sに充填されて硬化した注入材6に緩
みが生じて、ここに、水みち7となり得るクラックが形
成される場合がある。すると、トンネル1には、地盤2
中の間隙水、或いはトンネル1を構築中の場合において
は、地盤2を掘削する際に用いられる泥水等が逸水して
こうしたクラックに回り込む形で、水みち7が形成され
て、該水みち7を介して覆工3の背面側である外周面3
dに、図4に図示する水圧である外水圧P1が集中的に
作用して、当該外水圧P1によって覆工3に破断箇所が
形成されて、ここに漏水が生じる懸念がある。そこで、
トンネル1における、こういった漏水を防止すべき箇所
に対応したトンネル空間30中に圧気装置9を、そのス
チールフォーム10に形成された注入孔10dと覆工3
の注入孔3cを注入ノズル17を介して整合させた形で
配置させて、該圧気装置9を用いて覆工3の外側に注入
材6の二次注入作業を行う形で、水みち7を閉塞する作
業をおこなっていく。
【0013】例えば、いま、トンネル1の覆工3が構築
された周囲の地盤2において、図4に示すように、外水
圧P1が覆工3の外周面3dに作用しているとき、水み
ち7を介して覆工3の内方側に漏水せんとする浸透水3
6は、覆工3を構成しているセグメント31に対して、
トンネル断面方向内方側である略矢印E方向側に該外水
圧P1で押圧される形になっている。これによって覆工
3には、そのトンネル断面方向外側から外水圧P1分の
水圧が作用している。そこで、トンネル空間30中に配
置させた圧気装置9のスチールフォーム10を、覆工3
の内周面3bに対応させた形で円筒状に組立ててから、
まず、図3に示すように、各妻部10aにおいてエアシ
ール11のエア供給口11bにエア35を所定の圧力で
供給充填して、耐圧ゴムチューブ11aを膨張させる。
これによって、スチールフォーム10を、各妻部10a
において覆工3の内周面3bとの間の空隙を図4に示す
ようにシールする形で、該スチールフォーム10と覆工
3を接続する。
【0014】こうしてスチールフォーム10を覆工3に
接続すると、該覆工3とスチールフォーム10の間に
は、妻部10a、10aとエアシール11、11が圧力
支持隔壁となる形で、該スチールフォーム10において
妻部10a、10a間に配置している外周面10bと、
覆工3の内周面3bとの間に加圧空間12が、トンネル
空間30においてエアシール11によってシールされた
空間部分として、覆工3の内周面3bに沿った形で円環
状に遮蔽形成される。そこで次に、図1に示すコンプレ
ッサ16からバルブ15aを介して供給口10aに供給
する形でエア35を、覆工3の外周面3dに作用してい
る外水圧P1に対応したエア圧P2で、即ち該外水圧P
1に対応した形で採用される後述する注入圧P3に対応
したエア圧P2で、加圧空間12に供給し、該加圧空間
12をエア圧P2で保持する。すると、この状態で覆工
3は、図4に示すように、加圧空間12に供給注入され
たエア35のエア圧P2によって、その内周面3b側か
らトンネル断面方向外側である矢印F方向側に向けて押
圧された形に保持される。なおこの際、覆工3を構成し
ているセグメント31或いは継手部3a等に既に破断箇
所が生じている場合には、供給口35aから加圧空間1
2に供給注入されたエア35は、該破断箇所を介して覆
工3の外部に漏気する形になるが、該覆工3には、その
外周面3d側から外水圧P1がトンネル断面方向内方側
である図4矢印E方向に向けて作用していることによっ
て、当該漏気量は極僅かにしかならない。
【0015】こうしておいて、次に、図1に示す圧送供
給装置19からバルブ15bを介して各注入ノズル17
に、未だ硬化していないスラリー状の注入材6を、先に
一旦形成されていた裏込領域2pから覆工3の外周面3
dに作用している外水圧P1より大きな注入圧P3で圧
送供給する。各注入ノズル17に圧送供給された注入材
6は、図4に示すように、スチールフォーム10の注入
孔10dを介して覆工3の注入孔3cから、該覆工3の
外側に配置していて先に一度は一次注入された裏込領域
2p中に向けて、注入圧P3をもって吐出される。する
と、裏込領域2pに吐出された注入材6は、該裏込領域
2pにおいて覆工3の外周面3dに向けてトンネル断面
方向内側である矢印E方向側に作用している外水圧P1
に打ち勝つ形で、注入圧P3に対応した分だけ裏込領域
2pの間隙圧を上昇させる。これによって、裏込領域2
pに形成された水みち7中に配置している浸透水36
は、該裏込領域2pよりトンネル断面方向外側である矢
印F方向側の地盤2中に押し戻される形で、覆工3と離
隔する。そして、裏込領域2pの水みち7には注入材6
が、該水みち7にそれまで配置していた浸透水36と置
換される形で、注入圧P3に対応した所定の圧力で覆工
3の外側地盤2に向けて浸透充填されていき、やがて、
水みち7は注入圧P3で注入された注入材6によって充
填閉塞された形になる。この際、注入圧P3は浸透水3
6の外水圧P1より大きいために、注入材6は、覆工3
周囲のトンネル断面方向外側広範囲に亙る深い領域中ま
で円滑に浸透することが出来、これによって裏込領域2
pよりさらにトンネル断面方向外側の地盤2中の微細な
地層上の亀裂、割れ目等にまで浸透して、新たな二次裏
込領域2qを形成していく。そして、水みち7において
浸透水36は裏込領域2pよりトンネル断面方向外側で
ある矢印F方向側の地盤2中に押し戻される形になると
ころから、該浸透水36が余剰水として注入材6に混入
してこれに悪影響を及ぼす懸念なく、注入材6はむしろ
浸透水36が排斥されてドライな状態になった地盤2を
構成している土質を細骨材として利用する形で、これが
注入されてから早期のうちに硬化して、高強度を発現す
ることが出来る。こうして、覆工3の周囲には、新たな
二次裏込領域2qが、先に一次注入によって形成されて
いた裏込領域2pが図4において二点鎖線位置まで拡大
される形で、該覆工3の外周面3dを包囲するように形
成される。そして新たに形成された二次裏込領域2qに
は、ここに配置していた水みち7等の間隙が注入材6で
充填閉塞された形で固化し、これによって覆工3周囲の
地盤2は、該地盤2を構成している土質中の間隙が注入
材6によって充填されることによって該覆工3周囲を包
囲する形の環状に一体化された形で、これに緩みが生じ
ることがない状態に補強安定化される。即ちトンネル1
は、トンネル空間30が漏水防止されることに加えて、
覆工3の高い安定性が確保される。
【0016】ところで、こうして注入材6の注入によっ
て二次裏込領域2qを形成する際に、各注入ノズル17
から裏込領域2p中に吐出された注入材6は、外水圧P
1に打ち勝つ形のこれより大きな注入圧P3に対応した
分だけ裏込領域2pの間隙圧を上昇させることによっ
て、浸透水36をトンネル断面方向外側である矢印F方
向側の地盤2に押し戻す形で覆工3から離隔させると同
時に、覆工3をその外周面3d側からトンネル断面方向
内側である矢印E方向側に向けて、該裏込領域2pの間
隙圧に対応した分だけ押圧することになる。即ち、二次
注入作業によって覆工3は、その外周面6d側から、外
水圧P1より大きな注入圧P3に対応した形の外圧をト
ンネル断面方向内側である矢印E方向側に向けて受ける
ことになる。この際、覆工3は、先に述べたように圧気
注入装置10のエアシール11によって遮蔽形成された
加圧空間12が外水圧P1に対応したエア圧P2で加圧
保持されていることによって、該エア圧P2に対応した
分だけその内周面3b側からトンネル断面方向外側であ
る矢印F方向側に向けて押圧された形の内圧を予荷重と
して受けているために、上述した注入圧P3に対応する
外圧は、該エア圧P2による内圧分だけ相殺される形
で、覆工3に作用する。故に、二次注入時に注入材6の
注入圧P3に起因して覆工3の外側に配置している裏込
領域2pの間隙圧が過大になって、該間隙圧によって覆
工3に過大な外力が負荷されることがない。即ち、覆工
3を構成しているセグメント31、31の接続箇所であ
る継手部3aに水みち7等の間隙部分を介して注入圧P
3をなす注入材6が回り込む形で応力集中して、止水バ
ンド5の保有しているシール機能が損なわれたり、或い
は外水圧P1を上回る注入圧P3によって該セグメント
31自体にクラックが生じたりする危険性は回避される
ので、覆工3にその止水機能を損なうような余分な外力
がかかることはなく、覆工3の破壊が好適に防止された
状態で、二次注入を行うことが出来る。なお、こういっ
た圧気及び注入作業の一切は、圧気装置9におけるスチ
ールフォーム10の内側空間部分である作業空間13を
介して行うことが出来るので、シールドトンネルである
トンネル1のように、その覆工3の径D1が極限られた
空間において効率的に注入作業を行うことが出来る。
【0017】従って、本発明においては、水みち7中の
浸透水36の水圧である外水圧P1が大きい場合には、
これに対応した形でエア圧P2を大きくすれば、二次覆
工作業時の注入圧P3を該外水圧P1に対応した形でこ
れより大きくすることが出来るので、該外水圧P1が覆
工3の止水機能上の耐力を上回る程過大になって、既に
覆工3に破壊が生じて、トンネル空間30内に漏水して
いる場合においても、覆工3にさらなる破壊を生じさせ
る懸念なく、該覆工3の周囲の地盤2中に注入材6を注
入して水みち7を閉塞し、二次裏込領域2qを広範囲に
亙って形成する形でトンネル1の止水性を復元、向上さ
せることが出来る。即ち本発明においては、覆工3が如
何なる状態に貧していても、該覆工3にその止水機能を
損なうような無用な外力を負荷させる懸念なく、常に外
水圧P1より大きな注入圧P3で高圧二次注入を行っ
て、水みち7を有効に閉塞し、これによって地盤2の挙
動変形を防止した形で、覆工3の外側周囲に新たな二次
裏込領域2qを高強度で形成することが出来るので、当
該形成された二次裏込領域2qをトンネル構造の強度メ
ンバーの一部とみなす形で、トンネル1を堅牢な永久構
造物にすることが出来る。
【0018】なお、上述した実施例においては、本発明
による圧気注入工法を、シールドトンネルであるトンネ
ル1の二次注入に適用した例を述べたが、本発明は、既
に述べたように、覆工3が如何なる状態になっている場
合においても該覆工3の崩壊を防止した状態で高圧注入
を行うことが出来ることにより、例えば、その老朽化に
よって漏水が生じているような破壊箇所が形成された既
存の覆工を補修するための注入工法として、或いは全く
新設のトンネルを構築する際において、その裏込注入の
確実化の為に本発明を適用しても良いことは、勿論であ
り、これが適用されるトンネルの覆工体は、覆工3等の
セグメント31により構成されるものに限定されるもの
ではなく、また該覆工体の断面形状は、図2に図示され
たような真円形でなくとも良いことは勿論である。ま
た、本実施例においては、スチールフォーム10に注入
材6の注入孔10dを貫通形成しておき、該注入孔10
dと覆工3側の注入孔3cを接続する形で注入ノズル1
7を装着して、これに圧送供給装置19を接続すること
によって、覆工3の外側に注入材6を注入する例を述べ
たが、こうした注入作業は、スチールフォーム10が配
置された箇所に隣接する位置において、圧気装置9にお
ける注入手段である注入ノズル17、圧送供給装置19
とは異なる別の注入手段でもって行われても構わない。
また、本発明に用いられる注入材6の種類は任意であ
る。さらに、スチールフォーム10の形状は、トンネル
空間30に設置自在で、且つ該スチールフォーム10と
覆工3との間に加圧空間12が形成されるのを阻害する
ものでなければ、必ずしも実施例において述べたような
円筒状に形成されていなくとも構わず、また、加圧空間
12等の圧力保持空間の形状及びその構成、数量はいず
れも任意である。また、圧気装置9においてスチールフ
ォーム10と覆工3との間に加圧空間12を遮蔽形成す
るための圧力支持隔壁である妻部10a、エアシール1
1等の構成は、実施例において述べられた以外の構成で
あって何等差し支えない。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ト
ンネル断面方向外側から外水圧P1等の水圧が作用し得
る形の覆工3等の覆工体において、前記覆工体のトンネ
ル断面方向外側に注入材6を注入する際に、前記覆工体
のトンネル空間30等の内側に該覆工体の内周面3b等
の内周面に沿った形で加圧空間12等の圧力保持空間を
遮蔽形成し、前記圧力保持空間を前記覆工体に作用する
注入圧P3等の外圧に対応したエア圧P2等の圧力で加
圧することによって、該外圧による該覆工体の破壊を防
止するようにして構成したので、覆工体に作用する外圧
は圧力保持空間に加圧された圧力分だけ相殺されること
が出来る。即ち、覆工体のトンネル断面方向外側に注入
を行うに際しては、注入材6の注入圧P3に対応した分
だけ覆工3に外圧が作用することになるが、当該覆工体
に作用する外圧は、圧力保持空間を介して該外圧に対応
した圧力分だけ相殺されることによって、実質上殆ど覆
工に作用することがない状態で注入を行うことが出来
る。従って、注入によって覆工体に、該覆工体自体が保
有している止水機能を損なうような余分な外圧を何等与
えることなく、覆工体のトンネル断面方向外側の地盤2
に対しては高圧となるような理想的な注入を行うことが
出来るので、注入材6を、覆工体の止水機能上の耐力に
限定されることなく、これよりさらに高圧で注入するこ
とが出来る。故に、注入材6を覆工体の外側に作用して
いる圧力水の水圧に十分に抗することができるような高
圧状態で、該覆工体の周囲の広範囲に亙って注入充填し
て、地盤中にある水みち7等の間隙部分を有効に閉塞止
水することが出来る。この際、注入材6は、その注入圧
が圧力水の水圧に抗する形で、該圧力水をトンネル断面
方向外側に向けて地盤中に押し戻す形になるところか
ら、注入時において未だ硬化していないスラリー状の注
入材6に圧力水が混入して、その機能が損なわれること
はなく、故に注入材6は、常に良質な状態で水みち7等
の地盤中の間隙を閉塞して、地盤2を締結一体化するこ
とが出来る。また、特にセグメント31等をトンネル周
方向に沿って接続して構成されるようなシールドトンネ
ルにおいては、その継手部3a等のセグメント接続箇所
における止水バンド5等のシール部材が外圧によって破
壊せんとする形で、該外圧に対する止水機能上の耐力が
限定されているが、本発明においては、セグメント31
が構成している覆工体に作用する外圧を実質上殆ど無く
すことが出来るために、こういったシールドトンネルに
おいても、有効な高圧注入を適用することが出来、非常
に都合が良い。同様に、覆工体に作用する圧力水による
外圧が過大で、既に該覆工体に破壊箇所が現れた形でト
ンネル空間に漏水が生じているような場合においても、
本発明によれば、該覆工体にその破壊漏水状態を進行さ
せるような余分な外力を生じさせる危険性なく、十分な
る高圧注入を行うことが出来るので、老朽化したトンネ
ルを止水性の高い安定的な構造に補修することも可能で
ある。
【0020】また、覆工3等の覆工体のトンネル空間3
0等の内側に設置自在なスチールフォーム10等の圧力
支持部材を有し、前記圧力支持部材のトンネル軸方向に
所定の間隔をおいて、妻部10a、エアシール11等の
圧力支持隔壁を、該圧力支持部材と前記覆工体の間に加
圧空間12等の圧力保持空間を遮蔽形成し得る形で設
け、前記圧力支持部材にバルブ15a、コンプレッサ1
6等の圧気供給手段を、前記圧力保持空間にエア35等
の圧気を供給し得る形で接続して、圧気装置9等の注入
用圧気装置を構成すると、圧気供給手段を介して圧力保
持空間に供給される圧気は、圧力支持部材と圧力支持隔
壁に支持される形で該圧力保持空間を加圧することが出
来る。従って、注入用圧気装置を覆工体の内側に設置し
た状態にして、圧気供給手段を介して圧力保持空間に、
覆工体に作用する注入圧P3等の外圧に対応した所定の
エア圧P2等の圧力で圧気を供給することによって、圧
力支持隔壁を介して遮蔽形成された該圧力保持空間を、
覆工体に作用する外圧に対応した圧力で加圧することが
出来る。すると、こうして圧力保持空間を加圧しておけ
ば、圧力保持空間に供給された圧気が覆工体の内側から
内圧として作用する形で、注入時に覆工体に作用する外
圧を、これに対応した加圧圧力分だけ相殺することが出
来、これによって該覆工の外圧による破壊を効果的に回
避することが出来る。この際、覆工体の内側に圧力保持
空間を遮蔽形成するためには、煩わしい作業が何等必要
とされることなく、トンネル軸方向に所定の間隔をなす
圧力支持隔壁間に形成する形で、簡単にこれを遮蔽形成
することが出来る。従って注入を行うに先立って、覆工
体における圧力保持空間のトンネル軸方向長さ分だけに
対応した全域に亙って圧気供給手段を介して圧力保持空
間を加圧することによって、これが外圧によって破壊す
るのを回避した形の内圧を、予荷重として、覆工体に簡
単に一括して載荷しておくことが出来、これによって注
入作業全般を効率的に進めることが出来る。
【0021】さらに、圧気装置9等の前記注入用圧気装
置において、スチールフォーム10等の圧力支持部材
に、覆工3等の覆工体のトンネル断面方向外側に注入材
6を注入し得る注入ノズル17、圧送供給装置19等の
注入手段を接続して、該注入用圧気装置を構成すると、
注入手段は、覆工体のトンネル断面方向外側に配置して
いる地盤2の間隙中に注入材6を注入浸透させることが
出来る。即ち、注入用圧気装置を用いて、注入孔3c等
の覆工体側の注入孔と注入手段を連結させる形で、圧気
及び注入作業の一切を、一連の作業として連続的に行う
ことが出来るので、注入作業を、覆工体の破壊を回避し
て且つ地盤2に対しては高圧注入を行いつつ、極めて効
率的に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による注入用圧気装置の一実施例である
圧気装置を用いてトンネルに圧気注入を行う例を示す断
側面図である。
【図2】図1に示す圧気装置の横断面図である。
【図3】図1のIII、III断面図である。
【図4】図1に示す圧気注入時における覆工部分の圧力
負荷状態を示す図である。
【図5】従来のシールドトンネルを示す図である。
【図6】図5に示すシールドトンネルにおけるセグメン
ト継手部間のシール状態を示す図である。
【符号の説明】
3……覆工体(覆工) 30……覆工体の内側(トンネル空間) 6……注入材 9……注入用圧気装置(圧気装置) 10……圧力支持部材(スチールフォーム) 10a……圧力支持隔壁(妻部) 11……圧力支持隔壁(エアシール) 12……圧力保持空間(加圧空間) 16……圧気供給手段(コンプレッサ) 17……注入手段(注入ノズル) 19……注入手段(圧送供給装置) 35……圧気(エア)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トンネル断面方向外側から水圧が作用し得
    る形の覆工体において、 前記覆工体のトンネル断面方向外側に注入材を注入する
    際に、 前記覆工体の内側に該覆工体の内周面に沿った形で圧力
    保持空間を遮蔽形成し、 前記圧力保持空間を前記覆工体に作用する外圧に対応し
    た圧力で加圧することによって、該外圧による該覆工体
    の破壊を防止するようにして構成した、圧気注入工法。
  2. 【請求項2】覆工体の内側に設置自在な圧力支持部材を
    有し、 前記圧力支持部材のトンネル軸方向に所定の間隔をおい
    て圧力支持隔壁を、該圧力支持部材と前記覆工体の間に
    圧力保持空間を遮蔽形成し得る形で設け、 前記圧力支持部材に圧気供給手段を、前記圧力保持空間
    に圧気を供給し得る形で接続して構成した、注入用圧気
    装置。
  3. 【請求項3】請求項2項記載の注入用圧気装置におい
    て、前記圧力支持部材に、前記覆工体のトンネル断面方
    向外側に注入材を注入し得る注入手段を接続して構成し
    た、注入用圧気装置。
JP5028542A 1993-01-25 1993-01-25 圧気注入工法及び注入用圧気装置 Pending JPH06221087A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102182468A (zh) * 2011-03-29 2011-09-14 中铁十七局集团第三工程有限公司 隧道充水破碎围岩高压空气驱水注浆加固方法及装置

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CN102182468A (zh) * 2011-03-29 2011-09-14 中铁十七局集团第三工程有限公司 隧道充水破碎围岩高压空气驱水注浆加固方法及装置

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