JPH06220580A - 広いひずみ範囲において一様で高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

広いひずみ範囲において一様で高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板およびその製造方法

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JPH06220580A
JPH06220580A JP18056191A JP18056191A JPH06220580A JP H06220580 A JPH06220580 A JP H06220580A JP 18056191 A JP18056191 A JP 18056191A JP 18056191 A JP18056191 A JP 18056191A JP H06220580 A JPH06220580 A JP H06220580A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広いひずみ範囲において一様で高いn値を有
する、高強度、高延性の鋼板を提供し、またその好まし
い製造を可能ならしめることにより、欠陥の生じないプ
レス加工性に優れた鋼板を得しめ、特に自動車車体用鋼
板の軽量化を招来せしめる。 【構成】 TS×El≧2500で、5〜20%のひず
み域で演算式f(n) =1/ (n5+n20)2 +25×‖n5−n
20 ‖≦4.5を満足する一様で高いn値を有するプレス
加工性に優れた高強度複合組織冷延鋼板である。(ただ
し、n5は5%のひずみにおけるn値、n20 は20%のひ
ずみにおけるn値、また‖n5−n20‖はn5とn20の差の絶
対値である。)Ti, Nb, V, Zr, Moのうち少なくとも1
種とBの複合添加および連続焼鈍条件の最適化により、
一様で高いn値を有するプレス加工性に優れた高強度複
合組織冷延鋼板を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は広いひずみ範囲において
一様で高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保全の見地から自動車の
燃費向上が望まれてり、その達成を目的として車体を軽
量化しようとする動きが活発になっている。即ちこのた
め、自動車に使用される鋼板を薄くすることにより車体
重量を軽減し、薄肉化にともなう車体強度の低下を鋼板
の高強度化によって補っているわけであるが、一方で自
動車用鋼板に対する高延性化の要求はますますきびしく
なっており、高強度と高延性を兼ね合わせた素材が期待
されている。
【0003】このような要求に対して、残留オーステナ
イトの加工誘発変態を利用することにより、TS(引張
強さ)80〜100kgf /mm2 で30%程度のEl(破
断伸び)を有する鋼が特開昭60−43430公報など
で提案されている。これらの鋼では、加工誘発変態によ
って局所的なひずみの集中が生じず、一様変形能は大き
く向上するが、残留オーステナイトがマルテンサイトに
変態した後の加工性はDual Phase鋼と大差はない。そこ
で、特開昭64−79321公報、特開平1−2307
15公報、特開平1−272720公報などで伸びフラ
ンジ性などの局部変形能の改善を図った鋼板も提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来技術による鋼板においては一様変形能及び局部変形
能の絶対値を向上させることに主眼がおかれており、加
工中に受けるひずみの増大にともなう加工硬化挙動(例
えばn値の変化)については考慮されていない。
【0005】実際のプレス加工品においては、場所によ
ってさまざまなひずみを受けているため、引張試験にお
ける一様ひずみ範囲内であっても各場所におけるn値は
異なっており、不均一な変形が発生して欠陥を生じる可
能性がある。例えば、加工の初期段階に相当する、5%
程度のひずみにおけるn値が低い場合、早期に欠陥が生
じてしまうためにその後の加工が継続できなくなる。ま
た、5%程度のひずみにおけるn値は高いが高ひずみ域
ではn値が低下する場合には、ひずみが急激に変化する
ダイの肩部分などで欠陥が生じ易い。特に複合組織鋼板
ではひずみ増大に伴ってn値が大きく変化するため、こ
のような不均一変形による欠陥を生じやすい。しかも、
鋼板が高強度になるほどこの傾向は強く現れる。
【0006】従って、高強度複合組織鋼板にとっては、
特定のひずみ範囲において平均的にn値が高いというだ
けはなく、広いひずみ範囲においてn値が一様であるこ
とが要求される。なお、特開平2−217425公報
に、0.25〜0.30以上のn値を有する鋼板の製造方法
が開示されているが、その中で用いられているn値と
は、ひずみが10%から20%の間における平均値であ
って、このひずみ範囲におけるn値の一様性については
全く示されていない。
【0007】本発明は、以上のような問題点を解決する
ために成されたものであり、広いひずみ範囲において一
様でしかも高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板お
よびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多くの鋼
種、焼鈍条件によって残留オーステナイトを含有する種
々の冷延鋼板を製造し、これらの鋼板について引張試験
を行い、ひずみとn値の関係を調査した。その結果の一
例を図1に示すが、それぞれのひずみにおけるn値は、
引張試験時の真応力σ、真ひずみεによって定義され
る、(n値)=(ε/σ)・(dσ/dε)の式によっ
て計算した。
【0009】ここで、5%のひずみにおけるn値をn5
20%のひずみにおけるn値をn20としたとき、f(n)
=1/(n5+n20)2 +25×‖n5−n20 ‖で定義されるパ
ラメータf(n) を用いることによって、n値の平均的な
大きさと広いひずみ範囲におけるn値の一様性を同時に
評価できる。すなわち、f(n) が4.5以下である鋼板
は、広いひずみ範囲において一様でしかも高いn値を有
していることが図1より明らかである。
【0010】なお、5%のひずみというのは、加工の初
期段階の代表的なひずみ量として本発明者らが選んだも
のである。また大きな加工を受けたときの代表的なひず
み量の選び方はいろいろ考えられるが、あまり大きなひ
ずみ量を選ぶと一様伸びの範囲を越える場合があり、n
値が計算できないことから20%が妥当であると判断し
た。
【0011】前記図1について更に述べるならば、鋼板
Aや鋼板Cのようにf(n) が4.5以下である鋼板は広い
ひずみ範囲において、一様かつ高いn値を有しているこ
とがわかる。f(n) が4.5を越える場合には、一様かつ
高いn値を有しているとはいえない。すなわち、図1に
おいて鋼板Eのようにn5 が著しく高くn20がかなり低
下する場合や鋼板Bのようにn5 は低くn20が高い場合
には、高いn値を有しているとはいえるが一様なn値を
有しているとはいえず、プレス加工時に部分的な不均一
変形を生じる可能性が高い。また、鋼板Dや鋼板Fのよ
うにn5 とn20の差は小さいが値は低い場合には、一様
なn値を有しているが、高いn値を有しているとはいえ
ず、プレス加工そのものが困難となる。なお、ひずみが
10%から20%の間における平均的なn値(n10-20)
を、ln(σ2 /σ1 )/ln(ε2/ε1 )という式で計
算し図1に併せて示しているが、n値の一様性はn
10-20では評価できないことが明白である。
【0012】また、実際のプレス加工性とf(n) および
TS×Elとの関係の1例として、張り出し加工による張り
出し高さとf(n) 、TS×El(ただし TS:78〜80kgf/mm2)
の関係を調査した結果を図2に示す。張り出し高さは、
ブランク径100mm、板厚0.7mmの鋼板を直径50mmの
穴あきダイに押さえつけ、半径23mmの球頭ポンチで押
し込んでいって破断を生じたときの押し込み量とした。
なお、ダイにはビードをつけることによって、フランジ
部分からの流れ込みを防止している。図2によれば、TS
×Elが2500以上でしかもf(n) が4.5以下の鋼板は
優れた張り出し性を有することがわかる。一方、TS×El
は2500以上だかf(n) が4.5を越える鋼板の張り出
し高さはあまり大きくなく、TS×Elだけは張り出し性を
評価することはできない。
【0013】なおTSレベルが上昇するにともなってElレ
ベルは低下するため張り出し高さは小さくなっていく
が、各TSレベルにみあった張り出し性を有するために
は、やはりTS×Elが2500以上でしかもf(n) が4.5
以下という特性が必要であることに代わりはない。
【0014】以上説明したとおり、高強度かつプレス加
工性に優れた鋼板を得るためにはTS×Elが高くしかもf
(n) が低いことが重要であると判明したが、本発明者ら
はさらにTS×Elを2500以上、f(n) を4.5以下とす
るための化学成分、焼鈍条件について検討を重ねた。そ
の結果、Ti、Nb、V、Zr、Moによって形成される微細炭
窒化物と、固溶Bの複合作用によって鋼板の組織を細粒
化し、鋼板の焼鈍時に、フェライト・オーステナイト2
相域からの冷却速度とベイナイト変態温度域での保持温
度、保持時間の関係を適切に保つことが、f(n) を4.5
以下とするためには重要であることを見いだした。
【0015】すなわち、Ti、Nb、V、Zr、Moの添加量の
合計をX(wt%)、Bの添加量をB(wt%)、冷却速度
をVC (℃/sec )、保持温度をTH (℃)、保持時間
をtH (min)としたとき、F(VC 、TH 、tH 、X、
B)=1−(VC −20)/60−(TH −430)2 /2500−
(tH −5)2/10−{500(X−0.008)}2 −{500(B-0.
003)}2 、ただしVC ≧20、で定義される関数F(V
C 、TH 、tH 、X、B)を0以上とすることが、f
(n) が4.5以下の鋼板を製造するために必要であること
をつきとめた。1例として図3に、C添加量の異なる数
種の鋼板におけるF(VC 、TH 、tH 、X、B)とf
(n) の関係を示すが、C量が適正な範囲にあってしかも
F(VC 、TH 、tH 、X、B)が0以上の場合にはf
(n) が4.5以下となっており、一様でしかも高いn値を
得ることができる。
【0016】また図4に、C添加量の異なる数種の鋼板
におけるF(VC 、TH 、tH 、X、B)とTS×Elの関
係を示すが、C量が適正な範囲にあってしかもF
(VC 、TH 、tH 、X、B)を0以上とすることでTS
×Elも2500以上の鋼板が得られることがわかる。な
お、C量が0.380%の場合にはF(VC 、TH
H 、X、B)が0未満であってもTS×Elが2500以
上となることもあるが、この場合f(n) が4.5を越えて
しまうことは図3の説明で述べたとおりである。
【0017】そこで本発明者らは、C、Si、Mnなどの添
加量や、焼鈍時における加熱保持の温度や時間について
も詳細な検討を行った結果、高強度と高延性を併せ持つ
鋼板を製造することを見いだして本発明に至ったもので
あって、以下の如くである。
【0018】TS×El≧2500で、かつ5〜20%
のひずみ域において、下式で与えられるf(n)が4.5
以下であることを特徴とする広いひずみ範囲において一
様で高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板。
【0019】
【数3】
【0020】C:0.1〜0.3wt%、Si:1.0〜2.2wt
%、Mn:1.2〜2.5wt%、P:0.02wt%以下、S:0.
01wt%以下、B:0.001〜0.005wt%を含有し、
さらにTi、Nb、V、Zr、Moの内から選ばれる1種または
2種以上の元素を合計で0.006〜0.01wt%含有し、
残部がFe及び不可避的不純物より成る鋼を熱間圧延およ
び冷間圧延した後、連続焼鈍を施すにあたって、Ac1
50℃以上Ac3以下の温度に加熱して30sec 〜3min
保持した後に、下式で与えられるF(VC , TH
H ,X,B)が0以上となるような冷却速度VC (℃
/sec)、保持温度TH(℃)、保持時間tH (min)にて
冷却、保持することを特徴とする広いひずみ範囲におい
て一様で高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板の製
造方法。
【0021】
【数4】
【0022】
【作用】上記したような本発明によるものの作用関係に
ついて説明すると、5%のひずみにおけるn値をn5
20%のひずみにおけるn値をn20としたとき、f(n)
=1/(n5 +n20)2+25×‖n5 −n20‖で定義され
るf(n) が、4.5以下である鋼板は、広いひずみ範囲に
おいて一様で、しかも高いn値を有することは図1に示
し前述の如くである。
【0023】また本発明の製造方法における合金元素の
含有範囲限定理由は以下の如くである。Cは、過冷オー
ステナイトがベイナイト変態していく過程でオーステナ
イト中へ濃化し、オーステナイトを安定化することで残
留オーステナイトを生成させる。この残留オーステナイ
トの加工誘発変態によって高いn値が得られるわけであ
るが、その効果を得るためには0.1%以上のCを必要と
する。一方、0.3%を越えて添加すると残留オーステナ
イト量は増えるものの、一様なn値が得られずf(n) が
4.5を越えるため、Cの上限を0.3%とする。
【0024】Siは、フェライト安定化元素であり、連続
焼鈍の加熱時に安定したフェライト・オーステナイト二
相組織を得るためには不可欠であり、1.0%以上の添加
が必要である。しかし、過剰な添加は鋼の変態点を極度
に上昇させるため、焼鈍時に加熱温度を高くしなければ
ならず、生産コストを引き上げることとなる。従って添
加量を2.2%以下に限定する。
【0025】Mnは、フェライト・パーライト変態のノー
ズを長時間側へ移行するため、ベイナイト変態による残
留オーステナイトの生成には不可欠な元素である。しか
もCと同様にオーステナイト安定化元素であって、高い
n値を得るために必要である。これらの作用は1.2%未
満の添加では発揮されないため、1.2%を下限とする。
ただし、ベイナイト変態も遅らせるため、変態温度域で
の保持時間を長くしなければならず、生産性を低下させ
ることから、その上限を2.5%とする。
【0026】Pは、フェライト安定化元素であり、Siと
同様の効果を有するが、粒界に偏析して脆化を引きおこ
し、プレス加工時に局所的な欠陥を生じる原因となるの
で少ない方がよい。よって、本発明では0.02%以下に
限定する。
【0027】Sは、鋼の延性を著しく低下させるためで
きるだけ少ない方が望ましく、0.01%以下に限定す
る。
【0028】Ti、Nb、V、Zr、Moの内から選ばれる1種
または2種以上の元素を添加することによって、微細炭
窒化物による組織の細粒化が図れ、残留オーステナイト
が均一に分布することによって加工誘発変態を効果的に
生じさせることができる。これによって広いひずみ域で
一様なn値が得られるわけであるが、この効果を得るた
めには少なくとも合計で0.006%以上の添加を必要と
する。しかし、過剰な添加によって炭窒化物を多く析出
させると、この炭窒化物が鋼板のn値を低下させ、f
(n) が4.5を越えてしまう。従ってその上限を0.01%
とする。
【0029】Bは、鋼に固溶することで組織を細粒化す
る作用がある。微細炭窒化物だけで組織を十分に細粒化
するためには、Ti、Nb、V、Zr、Moの添加量は0.01%
よりも多い方が好ましいが、そうするとn値のレベルが
低下してしまうことから、固溶Bによる細粒化効果を複
合させることが必要である。この効果を発揮させるため
には少なくとも0.001%以上のBの添加を必要とす
る。しかし、0.005%を越えて添加するとやはりn値
のレベルが低下するので、0.005%を上限とする。
【0030】なお、上記したTi、Nb、V、Zr、Mo、Bの
添加量の範囲は、連続焼鈍時の冷却速度、保持温度、保
持時間を含む関数F(VC 、TH 、tH 、X、B)によ
ってさらに限定され、上記の添加量の範囲であってもf
(n) が4.5を上回る場合がある。
【0031】上記成分を有する鋼スラブの製造上におけ
る限定理由については、このようなスラブを熱間圧延、
冷間圧延した後に連続焼鈍するわけであるが、加熱温度
はAc1+50℃以上Ac3以下とする。Ac1+50℃より
も加熱温度が低い場合には二相域でのオーステナイト量
が不足するため、最終的に生成する残留オーステナイト
量が加工誘発変態の効果を発揮するのに十分な量に至ら
ない。逆にAc3よりも高い場合には、完全にオーステナ
イト化されてしまうためにCの濃化を起こらず残留オー
ステナイトを生成することが不可能となることから、加
熱温度はAc1+50℃以上Ac3以下に限定される。
【0032】上述した温度域での保持時間が30sec よ
り短いと均質な2相組織が得られず、3min より長いと
組織が粗大化するため、いずれにしてもTS×Elの低下を
招くか、もしくはf(n) が4.5を越えてしまう。従っ
て、加熱保持時間は30sec 〜3min とする。
【0033】本発明においては、Ti、Nb、V、Zr、Moの
添加量の合計をX(wt%)、Bの添加量をB(wt%)、
冷却速度をVC (℃/sec)、保持温度をTH (℃)、保
持時間をtH (min)としたときF(VC 、TH 、tH
X、B)=1−(VC −20)/60−(TH −430)2 /25
00−(tH −5)2/10−{500(X−0.008)}2 −{500
(B-0.003)}2 で定義される関数F(VC 、TH
H 、X、B)が0以上となるように、加熱保持後の冷
却、保持を行うことが非常に重要である。ただし、冷却
速度が20℃/sec を下回る場合には、フェライトやパ
ーライトを多量に生成してTS×Elが低くなってしまうた
め、V≧20℃/sec とする。冷却速度が速すぎる場合
や、保持温度、保持時間が適切な範囲にないときにはF
(VC 、TH 、tH 、X、B)が0を下回ってしまう
が、このような場合には残留オーステナイト生成量が少
なくなると同時に、残留オーステナイトが外力に対して
不安定になる。そのため、低ひずみ域では加工誘発変態
によって高いn値を示すが、高ひずみ域に行くにつれて
急激にn値が低下する。従って、TS×Elが減少するか、
f(n) が4.5を越えてしまう。
【0034】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例について
説明すると、次の実施例1および実施例2の如くであ
る。
【0035】
【実施例1】本発明者らが具体的に採用した本発明例お
よび比較例による代表的な鋼の化学成分は次の表1に示
すとおりであって、鋼b、c、f、g、j、k、p、
q、uは本発明例であり、その他は比較例である。
【0036】
【表1】
【0037】前記した表1のような組成をもった各鋼は
溶製、鋳造し、常法に従って熱間圧延および冷間圧延を
施し、板厚0.7mmの冷延板とした。このようにして得ら
れた冷延後に、800℃×60sec の加熱保持後、冷却
速度VC :45℃/sec で冷却し、保持温度TH :42
5℃、保持時間tH :5min で保持する連続焼鈍を施し
た。得られた製品について、JIS13 号B試験片による引
張試験を行い、残留オーステナイトの体積率(γR )を
定量した。その結果を表2に示す。即ちこの表2の結果
によると、本発明による鋼b、c、f、g、j、k、
p、q、uはTS×Elが2500以上であり、f(n) も4.
5以下であることから、高強度でしかも一様かつ高いn
値を有しており、プレス加工性に優れていることがわか
る。これに対し、比較例である鋼a、e、h、i、l、
m、nはC、Si、Mn、P、Sの添加量が適正でないため
にTS×Elが大幅に低下している。鋼dについては、TS×
Elは高いもののf(n) が4.5を上回っている。また、鋼
o、r、t、vはTi、Nb、V、Zr、Moの合計添加量およ
びBの添加量に過不足があるためf(n) が4.5を越えて
おり、n値が低いかもしくは一様でないことが明らかで
ある。また、鋼sはB:0.001〜0.005wt%を含有
し、さらにTi、Nb、V、Zr、Moの内から選ばれる1種ま
たは2種以上の元素を合計で0.006〜0.01wt%含有
しているものの、関数F(VC 、TH 、tH 、X、B)
の値は0未満となり、f(n) が4.5を上回っている。
【0038】
【表2】
【0039】
【実施例2】前記した表1における鋼Cによる冷延鋼板
を、次の表3に示す条件で連続焼鈍を行った。この表3
において、TA は加熱保持温度、tA は加熱保持時間、
Cは冷却速度、TH は保持温度、tH は保持時間であ
る。
【0040】
【表3】
【0041】前記した表3に示すような連続焼鈍によっ
て得られた製品の機械的性質および残留オーステナイト
体積率(γR )を調査した結果を表4に示す如くであ
る。
【0042】
【表4】
【0043】即ち、本発明例である試料No. 2、7、
8、11、12、15、16には適正な焼鈍が施されて
おり、TS×Elは2500以上、f(n) は4.5以下であっ
て、プレス加工性が良好であることがわかる。これに対
して、TA が本発明の範囲外である試料No. 1、3、お
よびtA が本発明の範囲外である試料No. 4、5はいず
れもTS×Elが低く、f(n) も4.5を越えている。また、
6はVC が小さすぎるためTS×Elが大幅に低下してお
り、さらに、試料No. 9、10、13、14、17、1
89ではF(VC 、TH 、tH 、X、B)が0未満であ
って、TS×Elが低下していたり、TS×Elは高いがf(n)
が4.5を越えていることより、いずれの試料もプレス加
工時に欠陥を生じる可能性が高いことが明らかである。
【0044】
【発明の効果】以上説明した本発明によるときは、広い
ひずみ範囲において一様でしかも高いn値を有する、高
強度、高延性の鋼板を提供し、またその好ましい製造を
可能ならしめて欠陥を生じないプレス加工が可能となる
ため、産業上の利用価値は非常に大きく、特に、自動車
車体の軽量化に対して極めて有益であるから工業的にそ
の効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ひずみとn値との関係をしめしたグラフであ
る。
【図2】張出し高さとf(n) ・TS×Elの関係を示したグ
ラフである。
【図3】F(VC 、TH 、tH 、X、B)とf(n) の関
係を示したグラフである。
【図4】F(VC 、TH 、tH 、X、B)とTS×Elの関
係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西本 昭彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TS×El≧2500で、かつ5〜20
    %のひずみ域において、下式で与えられるf(n)が4.
    5以下であることを特徴とする広いひずみ範囲において
    一様で高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板。 【数1】
  2. 【請求項2】 C:0.1〜0.3wt%、Si:1.0〜2.2wt
    %、Mn:1.2〜2.5wt%、P:0.02wt%以下、S:0.
    01wt%以下、B:0.001〜0.005wt%を含有し、
    さらにTi、Nb、V、Zr、Moの内から選ばれる1種または
    2種以上の元素を合計で0.006〜0.01wt%含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物より成る鋼を熱間圧延およ
    び冷間圧延した後、連続焼鈍を施すにあたって、Ac1
    50℃以上Ac3以下の温度に加熱して30sec 〜3min
    保持した後に、下式で与えられるF(VC , TH
    H ,X,B)が0以上となるような冷却速度VC (℃
    /sec)、保持温度TH (℃)、保持時間tH (min)にて
    冷却、保持することを特徴とする広いひずみ範囲におい
    て一様で高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板の製
    造方法。 【数2】
JP3180561A 1991-06-26 1991-06-26 広いひずみ範囲において一様で高いn値を有する高強度複合組織冷延鋼板およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2940235B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6043430A (ja) * 1983-08-15 1985-03-08 Nippon Kokan Kk <Nkk> 高強度高加工性複合組織鋼板の製造方法
JPS6479322A (en) * 1987-09-21 1989-03-24 Kobe Steel Ltd Production of composite structure high-strength cold rolled steel sheet having excellent bulging property and fatigue characteristic
JPH0394017A (ja) * 1989-09-05 1991-04-18 Kobe Steel Ltd 局部伸びにすぐれる高強度薄鋼板の製造方法

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