JPH06207224A - 熱間圧延鋼線材の制御冷却方法及びその装置 - Google Patents

熱間圧延鋼線材の制御冷却方法及びその装置

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JPH06207224A
JPH06207224A JP1809793A JP1809793A JPH06207224A JP H06207224 A JPH06207224 A JP H06207224A JP 1809793 A JP1809793 A JP 1809793A JP 1809793 A JP1809793 A JP 1809793A JP H06207224 A JPH06207224 A JP H06207224A
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Tatsuya Inoue
達也 井上
Yoshihiro Hashimoto
義弘 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 線材全長にわたって、所定の金属組織を得る
ことができ、又機械的特性のばらつきを低減することが
できる熱間圧延鋼線材の制御冷却方法を提供する。 【構成】 ルーズコイル状の線材が冷却され、共析変態
した際に磁気特性が変化することに着目したもので、冷
却槽1の冷却媒体内にルーズコイル状の熱間圧延線材を
浸漬し、該槽内のコンベアー4にてこれを搬送する熱間
圧延線材の制御冷却方法で、コンベアー4の下面に線材
の共析変態位置を測定する磁性体検出器5を配列し、こ
の測定結果に対応して、線材の鋼材密度が高く、冷却速
度が遅い部分を強制冷却する温水と空気の2相混合流噴
射装置6を設けた。これにより、共析変態位置の線材進
行方向におけるずれを最小限に抑え、冷却程度のばらつ
きから生じる機械的特性の劣化を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷却媒体に沸騰水又は温
水を用いたルーズコイル状熱間圧延線材の制御冷却に関
するもので、特に線材の全長及び全断面にわたって所定
の金属組織を得ることができる制御冷却方法及びその装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】沸騰水
又は温水を冷却媒体に用いた制御冷却方法(EDCプロ
セス)で炭素鋼線材の高強度化を図るには、80〜95
℃の温水での制御冷却が不可欠である。ところが沸騰水
又は温水を冷却媒体に用いた従来の制御冷却方法では、
線材がルーズコイル状であるために、線材重なりの影
響、鋼材密度のばらつきなどに起因してコイル内の冷却
速度がばらつく。その結果、線材全長において、機械的
性質のばらつきや金属異常組織が発生し、例えば、抗張
力のばらつきの標準偏差は20N/mm2 に及んでいる
のが実体であった。
【0003】又、圧延線材サイズ毎に共析変態位置が異
なるため、所定の機械的性質を得るには、線径毎にコイ
ル搬送速度の変更等繁雑な操作が必要となっていた。
【0004】尚、これらの問題解決のため、旋回コンベ
アーやレイイングヘッド巻き取り時の工夫などにより鋼
線重なりの影響を緩和する対策が提案されているが完全
な解決策にはなり得ていない。
【0005】従って、本発明は上記の課題を解決するた
めになされたもので、その目的は、線材全長にわたっ
て、所定の金属組織を得ることができ、又機械的特性の
ばらつきを低減することができる熱間圧延鋼線材の制御
冷却方法及びその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明冷却方法は、ルーズコイル状の線材が冷却
され、共析変態した際に磁気特性が変化することに着目
したもので、冷却槽内のコンベアー上の線材における共
析変態位置を測定し、この測定結果に対応して、線材の
鋼材密度が高く、冷却速度が遅い部分に温水と空気の2
相混合流を噴射し、ルーズコイル内の共析変態終了位置
の差を制御することを特徴とするものである。ここで、
ルーズコイル内の共析変態終了位置の差を1.5m以内
とすることが好ましい。
【0007】又、前記方法を実施する装置としては、冷
却槽の冷却媒体内にルーズコイル状の熱間圧延線材を浸
漬し、該槽内のコンベアーにてこれを搬送する熱間圧延
線材の制御冷却装置であって、前記コンベアーの上面又
は下面に前記線材の共析変態位置を測定する磁性体検出
器を配列し、この測定結果に対応して、前記線材の鋼材
密度が高く、冷却速度が遅い部分を強制冷却する温水と
空気の2相混合流噴射装置を設けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】レイイングヘッドから冷却槽内のコンベアーに
供給された線材の冷却過程を説明すると、図5(A)に
示すように、リング状に巻かれた線材がほぼ一定の間隔
をもって非同心状に配列され、冷却媒体である温水内を
搬送される。ここで、線材の重なりを見ると、リングの
ほぼ中央部が最も粗で、両端部(線材進行方向と直交す
る方向)に向かうに従って密になっている。従って、こ
のような線材を単に均一に冷却するだけでは中央部のみ
が早く冷却され、両端部はそれより遅れて冷却される。
そのため、共析変態位置が同図に示すように線材進行方
向に大きくずれ、先に述べたような問題を生じるのであ
る。
【0009】一方、冷却槽内で線材が冷却されると、鋼
はオーステナイトからパーライトに変態するが、これに
より磁性も常磁性から強磁性へと変化する。本発明は以
上の点に着目し、磁性体検出器にてコンベアー上の線材
の共析変態位置を測定し、その測定結果に基づいて、冷
却が遅いリング状コイルの両端部を強制冷却して共析変
態位置の線材進行方向におけるずれを最小限に抑えるも
のである。
【0010】強制冷却を施す範囲であるが、前記線材の
重なり具合で、リング中央部の密度を1とした場合、他
の部分の密度を比率で表したものを鋼線密度とし(図5
(B)参照)、例えば同密度が1.3以上の部分に強制
冷却を施せばよい。そして、後に詳しく述べるが、リン
グ内の共析変態終了位置の差を1.5m以内とすれば線
材全長にわたって均一な機械的性質の製品を得ることが
できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。先ず、
本発明方法に用いる装置から説明する。図1は、本発明
装置を示すもので、(A)はその側面図、(B)は平面
図である。図において、1は巻き取られた線材をルーズ
コイル状にして供給するレイイングヘッドで、そこから
供給された線材は、冷却槽2に送られる。冷却槽2は冷
却媒体となる温水3(沸騰水でもよい)を貯え、その内
部には線材をルーズコイル状のまま搬送するコンベアー
4を具える。
【0012】又、この冷却槽内には、線材がオーステナ
イトからパーライトに変態したことに伴って常磁性から
強磁性へと磁性が変化したことを検出し、その信号を電
流又は電圧として出力する磁性体検出器5が取り付けら
れている。本例では、コンベアー4の下面に磁性体検出
器5を多数配列した。尚、コンベアー4は、共析変態位
置の検出を阻害しないよう、常磁性体のもの、例えばオ
ーステナイト系ステンレスなどを使用すればよい。又、
その構成として、例えば2本のチェーン状のものとし、
磁性体検出器5と重ならないようにした。
【0013】そして、冷却槽内に温水と空気の2相混合
流噴射装置6を設け、前記磁性体検出器5の測定結果に
基づいて、線材密度が高く、冷却に時間を要する部分を
効果的に冷却できるよう構成した。噴射装置6は、70
〜99℃の温水と空気の2相混合流を噴出するもので、
図2に示すようにルーズコイルの両側部を集中的に冷却
できるようコンベアー4を挟んで取り付けられている。
尚、同図ではルーズコイル状線材aの一方側にしか装置
を示していないが、他方にも同様に噴射装置が設けられ
ている。
【0014】冷却槽内のコンベアー上に供給された線材
aは、冷却媒体に浸漬されると共に、前記温水と空気の
2相混合流噴射装置6からの噴流によっても冷却され、
その後コンベアー4によって次工程に搬送される。
【0015】上記装置を用いて、C:0.82%、S
i:0.18%、Mn:0.67%(全て重量%)の1
10mm角炭素鋼材を直径13mmまで熱間圧延し、9
00℃まで予備冷却後、85〜95℃の温水を冷媒とし
て冷却処理を行った。冷却条件は冷却速度の最も大きい
部分での冷却速度にリング両側部の冷却強度を近づける
ために、前記鋼材密度1.3以上の部分(図5(B)参
照)に温水と空気の2相混合流を噴射して強制冷却を行
った。このとき、温水と空気の2相混合流の噴射量を調
整し、共析変態終了位置の差を種々変えて処理を行っ
た。そして、得られた線材について、平均抗張力及びそ
のリング内ばらつきの標準偏差を求めた。その結果を図
4のグラフに示す。同グラフに示すように、共析変態位
置の差が1.5m以内であれば、抗張力の分布における
標準偏差が小さく、線材全長にわたって機械的特性が良
好な製品を得られることがわかった。
【0016】また、温水と空気の2相混合流の噴射量を
調整して、共析変態終了位置の差が1.5m以内となる
ように処理を行った実施例と、前記混合噴流による強制
冷却を行わない比較例により得られた線材の抗張力及び
そのばらつきの標準偏差を図3のグラフに示す。(A)
は比較例で(B)は実施例の結果である。同グラフに示
すように、比較例が平均抗張力1245N/mm2 、標
準偏差20.1N/mm2 であったのに対し、実施例は
平均抗張力1280N/mm2 、標準偏差7.3N/m
2 と良好な製品が得られることが確認された。
【0017】さらに、前記実施例と比較例の製品不良率
を調べたところ、比較例が0.53%であったのに対
し、実施例は0.08%と飛躍的に向上していることが
確認された。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明方法によれ
ば、磁性体検出器にてコンベアー上の線材の共析変態位
置を測定し、その測定結果に基づいて冷却が遅いリング
状コイルの両側部を強制冷却することで、共析変態位置
の線材進行方向におけるずれを最小限に抑えることがで
きる。従って、線材全長にわたって均一な機械的特性を
得ると共に、製品の不良率が大幅に低減でき、品質向上
に極めて効果的である。又、本発明装置は前記方法を実
施するのに最適な装置であり、本発明方法の効果を確実
に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置を示すもので、(A)は側面図、
(B)は平面図である。
【図2】本発明装置の噴射装置の配置を示す斜視図であ
る。
【図3】線材の抗張力のばらつきを示すグラフで、
(A)は比較例、(B)は実施例方法により処理したも
のを示す。
【図4】共析変態終了位置の差と、得られた線材の抗張
力分布における標準偏差を示すグラフである。
【図5】線材密度の定義を説明するもので、(A)は線
材の重なり状態を示す平面図、(B)はその密度分布を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 レイイングヘッド 2 冷却槽 3 温水 4 コンベアー 5 磁性体検出器 6 噴射装置 a 線材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却槽の冷却媒体内にルーズコイル状の
    熱間圧延線材を浸漬し、該槽内のコンベアーにてこれを
    搬送する熱間圧延線材の制御冷却方法であって、コンベ
    アー上の線材における共析変態位置を測定し、この測定
    結果に対応して、前記線材の鋼材密度が高く、冷却速度
    が遅い部分に温水と空気の2相混合流を噴射し、ルーズ
    コイル内の共析変態終了位置の差を制御することを特徴
    とする熱間圧延線材の制御冷却方法。
  2. 【請求項2】 ルーズコイル内の共析変態終了位置の差
    を1.5m以内としたことを特徴とする請求項1記載の
    熱間圧延線材の制御冷却方法。
  3. 【請求項3】 冷却槽の冷却媒体内にルーズコイル状の
    熱間圧延線材を浸漬し、該槽内のコンベアーにてこれを
    搬送する熱間圧延線材の制御冷却装置であって、前記コ
    ンベアーの上面又は下面に前記線材の共析変態位置を測
    定する磁性体検出器を配列し、この測定結果に対応し
    て、前記線材の鋼材密度が高く、冷却速度が遅い部分を
    強制冷却する温水と空気の2相混合流噴射装置を設けた
    ことを特徴とする熱間圧延線材の制御冷却装置。
JP05018097A 1993-01-07 1993-01-07 熱間圧延鋼線材の制御冷却方法及びその装置 Expired - Lifetime JP3112129B2 (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100507573B1 (ko) * 2000-11-27 2005-08-17 주식회사 포스코 제어압연을 포함하는 선재의 냉각방법 및 장치
KR100516517B1 (ko) * 2001-12-24 2005-09-26 주식회사 포스코 폭방향 인장강도가 균일한 고탄소강 선재의 제조방법
JP2007284764A (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Nippon Steel Corp ルーズコイルの冷却設備及び冷却方法
JP2021534979A (ja) * 2018-11-09 2021-12-16 江▲陰▼▲興▼澄合金材料有限公司 軸受鋼線材の炭化物網状組織に対する抑制の冷間制御圧延制御方法

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