JPH06207027A - 短繊維入りゴムの混練方法 - Google Patents

短繊維入りゴムの混練方法

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JPH06207027A
JPH06207027A JP328893A JP328893A JPH06207027A JP H06207027 A JPH06207027 A JP H06207027A JP 328893 A JP328893 A JP 328893A JP 328893 A JP328893 A JP 328893A JP H06207027 A JPH06207027 A JP H06207027A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 短繊維とマトリックスゴムとの接触面積を大
きくするとともに短繊維をフィラメント状に解きほぐ
し、短繊維をマトリックスゴムに効率良くかつ均一に分
散させる。 【構成】 ペレット化したマトリックスゴムと、短繊維
と融点100℃以下の油脂類との混合物とを密閉式混練
機に投入して混練りする。短繊維とマスターバッチゴム
との混合割合を短繊維100重量部当たりマトリックス
ゴム51重量部以上の割合にする。フィルファクター
(ff)を66〜75%に設定する。ff:(V1 /V
2 )×100、V1 :ゴム1練り分の練上げ体積、V2
:密閉式混練機の実容量

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、短繊維入りゴムの混練
方法の改良に関し、特に短繊維の分散性を良くする対策
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、短繊維をゴムに混入する場合、
単に混練りしただけでは、補強剤として混入されている
カーボンブラックと短繊維とが凝集して短繊維がマトリ
ックスゴムに均一に分散しない。また、これを分散させ
ようとして混練り時に過度のエネルギーを加えると、混
練り中においてマトリックスゴムの温度が上昇し、加硫
剤等を加えるとスコーチを起こす。なお、ここでマトリ
ックスゴムとは、最終の仕上がった練りゴムに対してポ
リマー、カーボンブラック、老化防止剤、加硫剤等を混
練りしたゴムであり、短繊維、油脂類等を添加していな
いものをいう(以下同じ)。
【0003】そこで、例えば特公昭55―40620号
公報に開示されているように、短繊維を潤滑剤および可
塑性重合体で処理したり、あるいは特公昭61―382
11号公報や特公平2―11622号公報に開示されて
いるように、短繊維を毛羽立てて部分的に解きほぐし、
これに分散剤を加えた後、油と混合することにより、短
繊維をマトリックスゴムに分散し易くする方法が提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のこれら
の方法のように短繊維に何らかの処理を施しても、ニー
ダーやバンバリーミキサー等の密閉式混練機で混練りす
る場合、マトリックスゴムが塊状やシート状になってロ
ーターの表面に絡まり、このローター表面に絡まったゴ
ム表面に短繊維が繊維の束の状態で付着して混合が開始
しかつ進行するため、短繊維がマトリックスゴムに均一
に分散し難く、特にゴム粘度の低いものでは著しい分散
不良を起こすことがある。
【0005】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、マトリックスゴムをペ
レット化するとともに、短繊維とマトリックスゴムとの
混合割合および混練機に対するマトリックスゴムの量を
特定することにより、短繊維とマトリックスゴムとの接
触面積を大きくするとともに短繊維をフィラメント状に
ほぐし、短繊維をマトリックスゴムに効率良くかつ均一
に分散させんとすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の第1の解決手段は、ペレット化したマトリ
ックスゴムと、短繊維と融点100℃以下の油脂類との
混合物とを密閉式混練機に投入して混練りする。この
際、短繊維とマトリックスゴムとの混合割合を短繊維1
00重量部当たりマトリックスゴム51重量部以上の割
合にする。さらに、フィルファクター(ff)を66〜
75%に設定することを特徴とする。なお、ffとは
(V1 /V2 )×100のことであり、この式でV1 と
はゴム1練り分の練上げ体積、V2 とは密閉式混練機の
実容量のことである。
【0007】本発明の第2の解決手段は、第1の解決手
段で得たもの(マスターバッチ)に対しペレット化した
マトリックスゴムもしくはペレット化していないマトリ
ックスゴムを混練りすることを特徴とする。
【0008】
【作用】上記の構成により、本発明の第1の解決手段で
は、マトリックスゴムがペレット化されていて混練り時
に短繊維との接触面積が大きくなり、かつ短繊維とマト
リックスゴムとの混合割合および混練機に対するマトリ
ックスゴムの量の特定により、短繊維がフィラメント状
に解きほぐれ、短繊維がマトリックスゴムに効率良くか
つ均一に分散する。
【0009】本発明の第2の解決手段では、第1の解決
手段で得たマスターバッチは短繊維の分散性が良いこと
から、このマスターバッチに再度マトリックスゴムを混
練りした際、両者が速やかにかつ均一に混合して短繊維
がマトリックスゴム全体に亘って均一に分散する。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0011】図1は本発明の実施例に係る短繊維入りゴ
ム混練方法の混練工程図を示す。同図に基づき混練方法
を説明するに、まず、ペレット化工程1でマトリックス
ゴムをペレット化する。このようにマトリックスゴムを
ペレット化するのは、短繊維の接触面積を大きくするた
めと、短繊維のほぐれを良くするためとである。
【0012】一方、混合工程2で短繊維を通常の混練り
に用いられるニーダーやバンバリーミキサー等の密閉式
混練機に入れた後、プロセスオイル、可塑剤、粘着付与
剤、ステアリン酸、ワックスおよびパラフィン等融点1
00℃以下の油脂類を入れ、短繊維の表面を油脂類で濡
す。これにより、混練り時における短繊維とマトリック
スゴム中のカーボンブラックとの凝集を防止することが
できる。しかも、この混練りによってマトリックスゴム
が油脂類に溶解して短繊維の表面を覆っていることか
ら、短繊維をあたかもゴム同士で接触させた状態とする
ことができて短繊維の分散性を良くすることができる。
この油脂類の添加量は短繊維の種類やアスペクト比等に
よって異なるが、一般には重量比で短繊維1に対し油脂
類0.3〜1.0であれば、短繊維の表面を油脂類で十
分に濡らすことができる。また、油脂類の融点を100
℃以下に設定したのは、混練り時のマトリックスゴムの
軟化温度との関係から好ましいからである。
【0013】次いで、第1混練り工程3で上記ペレット
化したマトリックスゴムと、短繊維と油脂類との混合物
とを密閉式混練機に投入してマスターバッチを得る。こ
の際、短繊維とマトリックスゴムとの混合割合を短繊維
100重量部当たりマトリックスゴム51重量部以上に
設定するとともに、フィルファクター(ff)を66〜
75%に設定する。
【0014】ff:(V1 /V2 )×100 V1 :ゴム1練り分の練上げ体積 V2 :密閉式混練機の実容量 これにより、マスターバッチに効果的に剪断歪を与えて
混練りを十分に行い得、短繊維をフィラメント状に解き
ほぐしてマトリックスゴムに効率良くかつ均一に分散さ
せることができる。さらに、マトリックスゴムをペレッ
ト化しているので、短繊維との接触面積がペレット化し
ていない場合に比べて大きく、短繊維をマトリックスゴ
ムに速やかにかつ確実に分散させることができる。な
お、短繊維をマトリックスゴムに偏らずに均一に分散さ
せる観点から、密閉式混練機がニーダーである場合には
加圧蓋を、バンバリーミキサーである場合にはフローテ
ィングウエイトをそれぞれ混練り中に昇降させることに
より、混合槽内におけるゴムの位置を積極的に移転させ
ることが好ましい。
【0015】その後、第2混練り工程4で上記の条件の
下で得られたマスターバッチに対しペレット化したマト
リックスゴムもしくはペレット化していないマトリック
スゴムを混練りし、ゴム製品の成形原料とする。この
際、上記マスターバッチには短繊維が均一に分散してい
るので、両者が速やかにかつ均一に混合して短繊維をマ
トリックスゴム全体に亘って均一に分散させることがで
きる。
【0016】なお、マトリックスゴムとしては、例えば
CR(クロロプレンゴム)、アクリロニトリルブタジエ
ンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SB
R)、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合
体からなる水素化ゴムおよびEPDM(エチレンプロピ
レンジェン共重合体)等の合成ゴムや天然ゴム等であ
る。
【0017】また、短繊維としては、例えば綿やパルプ
類のセルロース、ナイロン、テトロン、ケブラー、アラ
ミド繊維等である。
【0018】次に、本発明例のデータを比較例と共に下
記の表1および表2に示す。
【0019】このデータを得るに当たっては下記の条件
でテストした。
【0020】<密閉式混練機> 75リットル加圧型ニーダー(図4参照) 実容量(V2 )は74.3リットルであった。
【0021】この実容量とは、ニーダー5の混合槽6に
水を入れ、加圧蓋7を下限まで下げたときの容積であ
る。
【0022】ローター8の回転速度は30rpm (前ロー
ター)/24.2rpm (後ローター)である。
【0023】ローター8先端と混合槽6内壁とのクリア
ランスは3mmである。
【0024】ローター8先端の平均剪断歪速度は約20
-sある。
【0025】<テストの要領> ニーダー5の混合槽6に油脂類を投入し、次いで、
短繊維を投入して混合し、短繊維の表面を油脂類で濡ら
した。
【0026】 その後、ペレット化したマトリックス
ゴムを混合槽6に投入し、加圧蓋7を下限まで下げた状
態でニーダー5を作動させてローター8,8で混練りし
た。このときの本発明例の混練りタイムチャートを図2
に、比較例のものを図3にそれぞれ示す。図中、上部で
立上がっているところは混練り中であることを、そうで
ないところは材料の投入や混合槽6の掃除のために停止
していることを示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】このテスト結果から明らかなように、本発
明例1〜3では、混練り状態が非常に良好であった。こ
のことは、短繊維を油脂類で濡らしており、ペレット化
したマトリックスゴムとの混合により剪断力が短繊維に
働き、かつ発熱して油脂類の粘度が下がり、これにより
マトリックスゴムが軟化して流動し易くなることと、混
練りの進行と共に消費電力計の瞬時値の記録が1次ピー
クを現わし、この1次ピークを越えた時点で短繊維の分
散性が非常に良くなることによるものである。このよう
にして得られたマスターバッチは短繊維の分散性が非常
に良く、他のマトリックスゴム(ペレット化したもので
あるか否かを問わない)と非常に良く混練りする。
【0030】一方、比較例1〜9では、ff値が小さい
ときは一般の混練ゴム挙動と比べてニーダー5の主モー
タに負荷がかからず、15分後の混練物を観察すると短
繊維が黒くなってマトリックスゴムと油脂類との混練物
が短繊維表面にくっついており、一見良く分散している
ように見えるが、部分的に短繊維の塊があった。また、
マトリックスゴムの塊もあった。そして、このものにマ
トリックスゴムを150重量部加えて別の混練りをして
も、加硫後ゴム表面をバフ加工すると短繊維の塊が分散
不良として目視できた。さらに、これらの比較例では、
ff値が小さいことと、短繊維に対するマトリックスゴ
ムの比率が小さいこととにより、マトリックスゴムの混
合槽6内での油脂類による滑り現象が発生し、剪断力が
事実上かかっておらず、また、発熱も少なかった。
【0031】表2に示す比較例10〜15では、油脂類
の添加量が多いため、ff値を大きくしてもマトリック
スゴムの混合槽6内における滑り現象が発生し、短繊維
をマトリックスゴムに均一に分散させることができなか
ったことを示している。
【0032】以上のことより、短繊維とマトリックスゴ
ムとの混合割合を短繊維100重量部当たりマトリック
スゴム51重量部以上の割合に、ff値を66〜75%
にそれぞれ設定することが好ましく、これにより、混練
り中に有効な混合と剪断力とが付与される。また、混練
り中に発熱があることが好ましく、その範囲は100〜
115℃であり、この温度よりも高くなるとゴム焼けが
生じて好ましくない。
【0033】また、ローター8先端の平均剪断歪速度を
約200-sに設定することが混練り中に高剪断歪を与え
る観点から好ましい。
【0034】なお、マトリックスゴムには加硫剤を含有
分散させたほうがよい。これは、ファイナル練り後に短
繊維を配向させ、加硫後、配向方向に引張り力を与える
と、高いモジュラスを発生するからである。しかし、加
硫剤をファイナル練りで混練りすると、短繊維とマトリ
ックスゴムとが接着せず、低いモジュラスになることが
ある。これは、短繊維表面にマトリックスゴムと共に加
硫剤が混練り中に移行し難くなっていることによるもの
と推量される。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る本
発明によれば、マトリックスゴムをペレット化している
ので、混練り時に短繊維との接触面積を大きくすること
ができる。さらに、短繊維とマトリックスゴムとの混合
割合を短繊維100重量部当たりマトリックスゴム51
重量部以上に設定するとともに、フィルファクター(f
f)を66〜75%に設定したので、短繊維をフィラメ
ント状に解きほぐしてマトリックスゴムに効率良くかつ
均一に分散させることができる。
【0036】請求項2に係る本発明によれば、上記の方
法により得たマスターバッチは短繊維の分散性が良いの
で、このマスターバッチにマトリックスゴムを混練りし
た際、両者を速やかにかつ均一に混合して短繊維をマト
リックスゴム全体に亘って均一に分散させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】短繊維入りゴムの混練工程図である。
【図2】本発明例の混練りタイムチャート図である。
【図3】比較例の混練りタイムチャート図である。
【図4】ニーダーの概略構成図である。
【符号の説明】
なし
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 21:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペレット化したマトリックスゴムと、短
    繊維と融点100℃以下の油脂類との混合物とを密閉式
    混練機に投入し、短繊維100重量部当たりマトリック
    スゴム51重量部以上の割合で、かつフィルファクター
    (ff)66〜75% ff:(V1 /V2 )×100 V1 :ゴム1練り分の練上げ体積 V2 :密閉式混練機の実容量 の条件の下で混練りすることを特徴とする短繊維入りゴ
    ムの混練方法。
  2. 【請求項2】 ペレット化したマトリックスゴムと、短
    繊維と融点100℃以下の油脂類との混合物とを密閉式
    混練機に投入し、短繊維100重量部当たりマトリック
    スゴム51重量部以上の割合で、かつフィルファクター
    (ff)66〜75% ff:(V1 /V2 )×100 V1 :ゴム1練り分の練上げ体積 V2 :密閉式混練機の実容量 の条件の下で混練りしてマスターバッチを得、このマス
    ターバッチに対しペレット化したマトリックスゴムもし
    くはペレット化していないマトリックスゴムを混練りす
    ることを特徴とする短繊維入りゴムの混練方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005092971A1 (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Zeon Corporation マスターバッチ組成物、これを含有してなるゴム組成物及び加硫物
JP2007008112A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Yokohama Rubber Co Ltd:The ゴム組成物の混練方法及び混練設備
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JP2016043511A (ja) * 2014-08-20 2016-04-04 住友ゴム工業株式会社 混練方法

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