JPH0620536Y2 - 輸液回路用側注管 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、輸液ラインの途中の混注部に設けられる側注
管の改良に関するものである。

［従来の技術］ 患者に栄養液を供給するための輸液ラインの途中に混注
部を設け、薬液等を必要に応じ添加することが一般に行
われる。この混注部に使用される従来の側注管（側注管
Ｉという）として、第４図に示すような上下端を輸液ラ
イン接続部とした幹管の中途から斜めに分岐して側注部
を設け、側注部のゴム栓体に薬液等の供給ライン先端部
の注射針を射し込み注入する方法が採られている。

しかしながら、この側注管Ｉは、幹管と注射針穿刺用枝
管とが斜Ｙ字状に交差しているため、注射針の長さによ
っては、注射針先端が幹管の管壁に突き刺さる恐れがあ
る。

上記問題点を回避するため、第５図に示すような側注管
（側注管IIという）も用いられている。側注管IIは、側
注管に輸液注入管がＹ字状に交差し前記側注管Ｉの幹管
上部と注射針の穿刺用枝管を入れ換えた構造で、注射針
が分岐管に突き当たる恐れはないものの、側注管Ｉでは
起こらなかった輸液ラインの側注管部における「く」の
字状の折れ曲りが生じる。この輸液ラインの折れ曲り
は、不体裁で見映えが悪いばかりでなく、複数のライン
では、ラインが錯綜し、整理も困難であった。

なお、側注管Ｉ，IIとも、何れも側注部内側にはメイン
ラインに対しデッドスペースが生じ、液や空気が滞留
し、好ましくない。

［考案が解決しようとする課題］ 考案者は、注射針の長さに関係なく使用でき、輸液ライ
ンが側注部で折れ曲がらず垂直性が保たれ、かつデッド
スペースを生じない側注管を得るため試作検討を重ね、
本考案を完成するに至った。

［課題を解決するための手段及び作用］ かくして、本考案によれば、側注部(1)のゴムポート(2)
の直下から連設して設けられた輸液排出管(4)との挟角
がほぼ直角又は鋭角となるようにゴムポート直下位置で
長さ２〜８ｍｍの分岐管(3)を前記輸液排出管に横設
し、該分岐管の管端から前記輸液排出管と平行に輸液流
入管(5)を立設したことを特徴とする輸液回路用側注管
が提供される。

本考案側注管の実施例を図面に基づいて説明する。第１
図は縦断面図で、側注部(1)の上部のゴムポート(2)の直
下から連設された輸液排出管(4)に対し、ほぼ直角に分
岐して短い分岐管(3)が横設され、この分岐管(3)の管端
から輸液流入管(5)が輸液排出管(4)と平行かつ逆方向に
立設されている。図中、(8)はゴムポートの抑えキャッ
プである。

分岐管(3)は側注管の注射針穿刺用のゴムポート直下か
ら、かつ輸液排出管との挟角がほぼ直角に、又は第３図
に示すように鋭角となるように分岐していることが必要
で、ゴムポート直下部から離れていたり、あるいは鈍角
に傾斜していると、ゴムポート直下部にデッドスペース
が生じ、液や空気が停滞するからである。

次に、分岐管(3)の長さ(s)は、架台から垂下して使用さ
れる輸液セットが、側注管部分で「く」の字状でなく垂
直性を保つため出来得る限り短いこと、及び注射針のゴ
ムポート(2)への穿刺操作に支障を来さないことが要求
され、この両条件を満たすため、２〜８ｍｍとすること
が好ましい。

このように、輸液注入管側と排出管側とが平行で且つ平
行間隔が非常に短いので、垂下したとき、「く」字状に
曲がることなく垂直性が保たれる。

本考案の側注管は硬質透明プラスチックス例えば硬質塩
化ビニル製で、ゴムポート(2)及び輸液排出管(4)を一体
に、分岐管(3)と輸液流入管(5)とを別体に製造し、分岐
管端部を排出管に溶着または接着して製造することがで
きる。

上記方法に代え、第２図，第３図は上記ゴムポート，輸
液排出管，分岐管及び輸液流入管を一体に成形したもの
の縦断面図で、輸液流入管(5)管壁の分岐管(3)の内腔延
長相当部に円形透孔(6)が穿孔され、円形透孔(6)に栓体
(7)が密嵌されている。円形透孔(6)を設けることによ
り、ゴムポートと排出管部分，分岐管部分，及び輸液接
続管部分それぞれの３個の中子を組み合わせてワンショ
ットで成形でき、分岐管部分の中子は円形透孔から引抜
きでき、かつ円形透孔を栓体で密嵌することは容易であ
る。

第３図は、輸液排出管と分岐管との挟角を鋭角としたも
のの縦断面図で、栓体(7)の形状は液流れをスムーズに
して、この栓体部分及びゴムポート部にデッドスペース
を生じないように内面を曲面とした配慮がなされてい
る。

［考案の効果］ 本考案輸液回路用側注管によれば、側注部は全て直線状
で注射針の長短に関係なく突き当たらず使用でき、メイ
ンラインの流路及び側注ラインの流路のいずれも垂直方
向に整然と並べることができて見映えがよい。さらに、
側注管内のデッドスペースが小さく注入液や空気貯りを
少なくできる。

また、側注ラインのすぐ隣にメインラインが沿っている
ので、この２つを任意の場所で固定することができ、側
注管の注射針の針抜け防止が容易にできる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図，第２図，第３図は、それぞれ本考案実施例の縦
断面図で、第４図及び第５図は従来の側注管の構造説明
図である。 (1)……側注管，(2)……ゴムポート，(3)……分岐管，
(4)……輸液排出管，(5)……輸液流入管，(6)……円形
透孔，(7)……栓体，(s)……分岐管長さ。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】側注部(1)のゴムポート(2)の直下から連設
   して設けられた輸液排出管(4)との挟角がほぼ直角又は
   鋭角となるようにゴムポート直下位置で長さ２〜８ｍｍ
   の分岐管(3)の前記輸液排出管に横設し、該分岐管の管
   端から前記輸液排出管と平行に輸液流入管(5)を立設し
   たことを特徴とする輸液回路用側注管。
2. 【請求項２】前記輸液流入管(5)の管壁で分岐管(3)内腔
   延長相当部に円形透孔(6)を設け、該円形透孔に栓体(7)
   を密嵌してなる請求項１記載の輸液回路用側注管。