JPH06203738A - 電子管用カソード - Google Patents

電子管用カソード

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JPH06203738A
JPH06203738A JP34842692A JP34842692A JPH06203738A JP H06203738 A JPH06203738 A JP H06203738A JP 34842692 A JP34842692 A JP 34842692A JP 34842692 A JP34842692 A JP 34842692A JP H06203738 A JPH06203738 A JP H06203738A
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JP
Japan
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cathode
electron
porous plate
heat
cup
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Pending
Application number
JP34842692A
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English (en)
Inventor
Atsushi Arakane
淳 荒金
Yoji Fujita
洋司 藤田
Masayasu Koitabashi
正康 小板橋
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 受像管、撮像管、高周波発振管等に用いられ
る電子管にて、低コストで高性能のカソードを提供する
ことを目的とする。 【構成】 メカニカルアロイング、あるいはメカニカル
グラインディングにより作成した、W等の耐熱性金属と
Ba等の電子放出材料とからなる混合多孔質板5を電極
面に設け、その内側に電子放出材料を供給する補給体4
を配置する。 【効果】 メカニカルアロイング、あるいはメカニカル
グラインディングにより細かく分散され、あるいは合金
化した耐熱性金属と電子放出材料とからなる混合多孔質
板5は、電子を放出する活性部の面積が増大し、電子放
出能を増大する。そして、補給体4を併設することによ
り、電子放出能の安定性を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は受像管、撮像管、高周
波発振管等の電子管に用いられるカソードに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、電子管用カソードに用いられてき
たカソードとして含浸型カソード(図8)が知られてい
る。この含浸型カソードについては、その起源となるL
型カソードがPhilips Tech. Rev. 11(1950)3
41に、そして改良型として、現在主流となっている形
状のものが、US. Patent 2700000(195
5)、及び3201639(1965)に紹介されてい
る。図8の含浸型カソードはWの多孔質体をプレス、焼
結により作成し、その多孔質体に、Ba、Ca、Alの
複合酸化物である含浸剤を含浸したものである。この含
浸型カソードの動作機構の概念図を図8に示す。含浸型
カソードはW焼結体9とその内部に含浸された含浸剤1
0からなる。そして、動作時には、含浸剤から、電子放
出物質、例えばBaがBaOとしてカソード表面である
W表面に拡散し、単原子層を形成する。この単原子層が
電子放出を担う。同時に、この最表面からBaOは蒸発
するが、上述のように下部のカップ内部に存在する含浸
剤から補給される。この、W最表面での単原子層の最適
化と下部の含浸剤からのBaOの補給の最適化が含浸型
カソードの機能向上のための鍵となる。
【0003】つぎに、この含浸型カソードの製造工程を
図6を参照して以下に示す。まず、2〜5ミクロン程度
のWパウダーを、金型にいれプレス成形し、棒状のWロ
ッドを得る。このとき、Moキャップに所用量のWパウ
ダーをいれ、プレスすることもできる。プレス圧は、5
〜10ton/cm2 で、静水圧プレスが好ましい。W
パウダーの粒径やプレス圧はプレス後の多孔体の多孔性
に影響するので調整を要する。その後、水素中もしくは
真空中にて焼結する。焼結温度は1500℃〜2000
℃が好ましい。その後所定の大きさに機械加工し、ペレ
ットとする。Moカップに一体プレスする場合は、この
機械加工工程は簡略化される。こうして得られたW多孔
体(ペレット)に、別に調整しておいた含浸剤前駆体の
混合から焼成、粉砕して作成した含浸剤を含浸する。含
浸は、おもに酸化を防止する目的で水素中、あるいは真
空中で行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の含浸型カソード
の製造工程は、プレス、焼結、機械加工、含浸、などの
多くの工程を含み、かつそれぞれが、プレス圧、温度、
雰囲気等調整すべきパラメータを多く含んでいるため、
一連の工程として、煩雑となり信頼性が低下するばかり
か、製造コストが高くなってしまう。
【0005】そこで、この点を改良すべく提案されたの
が、CPDカソード(Controlld porosity dispenser c
athode)である。このCPDカソードについては、例え
ば、IEEE Transaction on Electron Devices 、vo
l.36、No. 1、Jan.1989、及びその引用文献に詳
細が記載されている。このカソードの、特に構造面での
起源となったのはさきに述べたL型カソードである。L
型カソードは当初補給体を内蔵し、その上にW多孔質板
をかぶせる構造としていた。しかし、W多孔質板の性能
とコストのためその用途は限定された。このL型カソー
ドのW多孔質板に改良を加えたのがCPDカソードであ
る。このカソードは含浸剤を蓄積する補給体を具備し、
蒸発により、電子放出面となるW表面にBaOを供給す
る。その表面で単原子層が形成され、電子放出する。特
徴的なのは、含浸型と異なり、W多孔質板をプレス成形
ではなく、W板にレーザーにより、無数の穴をあけ多孔
質化していることにある。開口径は数ミクロン〜数十ミ
クロンである。このような手法の採用により、多孔質板
の製作コストの低減と同時に、含浸剤の含浸工程の省略
などにより、カソードの製造コストは飛躍的に低減し
た。しかし、同時にその製法上できあがった穴は直管状
であるため、上述の補給体から蒸発するBaが開口部を
持つW板上に付着することなく通過し、グリッド、アノ
ードなど電子管を構成するその他の部品に付着する事態
が起こり、エミッションの安定性の低下につながるとい
う欠点が生じた。この発明は上記のような問題点を解消
するためになされたもので、廉価で優れた特性のカソー
ドを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明によるカソード
は、メカニカルアロイング法、もしくはメカニカルグラ
インディング法により、強制的に混合粉砕した、Wなど
の金属とBaOあるいはBa、Ca、Alの複合酸化物
などの電子放出材料の混合物から板状あるいは層状の素
材を得ることにより、それを上述のCPDカソードにお
けるW多孔質板の代わりに用いることにより、上述のC
PDカソードの欠点である開口部を貫通する電子放出材
料の蒸発の問題を解決し、かつ最表面層に微小なる含浸
型カソードともみなす事ができる電子放出エリアを数多
く形成することにより、高電流密度のカソードを提供す
ることができる。
【0007】メカニカルアロイング法、メカニカルグラ
インディング法について以下に概念的に説明する。金属
Aと金属Bの等しい厚みの板がそれぞれ2枚あることを
考える。そのA、Bの板をはりあわせて元の厚みまで圧
延する。その板を2枚に切ってまた重ね合わせ、元の厚
みまで圧延する。すると、ABABという層状の板がで
きる。そして同様な操作を繰返す。元の金属A、Bの厚
みが共に1mmであると、20回の圧延操作により得ら
れる金属中のA層とB層の厚みはナノメータ以下にな
る。一般的に金属はナノメータ程度に原子が配列される
と、金属としての性質が薄れると考えられ、従って、ナ
ノメータ以下に圧延された状態でのA層、B層は、もは
や元の金属A、Bとしての独立した性質は消滅し、新し
い物質(合金)の性質が発現すると考えられる。このよ
うに、機械的な手段で原子を混合し合金化する手法をメ
カニカルアロイングという。金属と酸化物などを非常に
細かく分散させることはメカニカルグラインディングと
もいう。これらのメカニカルアロイング、メカニカルグ
ラインディングでは、遊星型ボールミルなどの高エネル
ギー型の粉砕機を用いる。
【0008】ここで、本発明で用いているメカニカルア
ロイング、あるいはメカニカルグラインディングと、従
来より一般的に知られている粉体の混合方法である従来
型ボールミル等との差異を以下に示す。いずれのボール
ミルもミルの中で落下してくるボールの運動エネルギー
により粉体が混合粉砕される点では共通であるが、従来
型ボールミルでは、落下してくるボールの落下は自由落
下速度でありその加速度は最大1G(9.8m/s2
である。それに対し、本発明に用いた遊星型ボールミル
では、ミルの自動運転に加え公転運動も加算されるた
め、加速度は1G以上にすることができる。その結果、
効率的に粉砕混合を行うことができ、従って、短時間の
うちに目的とする物質を得ることができる。例えば、従
来のボールミル混合では500時間等の長時間を必要と
していた混合が、本発明に用いた遊星型ボールミルで
は、60時間程度で完了する。このように、本発明に用
いる遊星型ボールミルと従来型ボールミルとの差異は、
前者が加速度を1G以上の条件で混合粉砕しているこ
と、もしくは、混合粉砕時間がおよそ200時間以下で
あること、にある。
【0009】以上のメカニカルアロイング、あるいはメ
カニカルグラインディングの考え方を電子管用カソード
の分野に適用すると以下のようになる。すなわち、含浸
型カソードを例にとり、その一例を示すと、W金属上に
吸着したBaOはWにより還元され、Baが形成され
る。そしてこのBaが電子放出する。そこで、高電流密
度化を図るためにはこのBaの表面濃度を高め、かつ電
子放出能を高めることが必要である。また、これらの状
態が安定であることが寿命の観点から要求される。そこ
で、BaもしくはBaOをW金属中に取り込み、Ba金
属、あるいはBa酸化物とは異なる状態に変化させるこ
とにより、電子放出能を高め、また、Ba、BaOを高
分散化させることにより反応面積を増大させ、高電流密
度化を図ることができる。
【0010】このように高電流密度化を図ったカソード
の安定性を高めるため本発明では、BaもしくはBaO
を供給する補給体を併設する。すなわち、上述の例のよ
うにメカニカルアロイング、あるいはメカニカルグライ
ンディングにより作成したW金属中のBaは蒸発により
経時的に減少していくため、それを補給することが必要
である。そのために、Ba、Ca、Alの複合酸化物な
どからなる補給体を併設し、蒸発、拡散等のプロセスに
より、上述のW金属にBa、BaOを補給する。
【0011】また、本発明によるカソードは、従来型で
ある含浸型カソードと比較して、その製造プロセスが簡
便なため(図6参照)、含浸型カソードが抱える高コス
トという問題点を解決し、かつ信頼性のあるカソードを
提供することができる。図6に示す従来例である含浸型
と比較して、その製造プロセスの簡略化を示す。
【0012】
【作用】すなわち、メカニカルアロイング法あるいはメ
カニカルグラインディング法により細かく粉砕され、あ
るいはW、Baなどの多成分元素が固溶化、あるいは合
金化することにより、例えば、BaとWから形成される
活性部(電子放出エリア)を微小化し、全体として活性
面積を増加させることができ、従って、高電流密度を得
ることができる。そして、この枯渇し易い活性部中のB
aを補給するための補給体を具備することで長寿命化を
図ることができる。また、本発明は、製造方法が簡便な
ため低コストで、信頼性のあるカソードを提供すること
ができる。
【0013】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1は本発明の一実施例の縦断面図である。この
カソードは動作温度まで加熱するヒータ1を内蔵した金
属スリーブ2の一端の内側に、厚さ50μmのMo箔か
ら成形されたカップ3を装着している。このカップに
は、含浸剤の補給体4とその上部にメカニカルアロイン
グ法により作成した混合多孔質板5とが配置される。混
合多孔質板5の厚さは100μmとした。この混合多孔
質板5の厚さは10〜500μmまでの値のうち、要求
仕様に応じて決定されるが、陰極線管用では20〜20
0μm程度が好ましい。補給体4は、Ba、Ca、Al
の複合酸化物から構成され、Ba、Ca,Alのモル比
は4:1:1である。さらに、その補給体4は、肉厚4
00μm程度を標準とする。この補給体4の厚さは10
0〜1000μm程度が好ましく、実際の値は、寿命な
どの要求仕様に応じて決定され、陰極線管用では200
〜600μmの範囲が適当である。混合多孔質板5はW
粉末とBaO粉末から、メカニカルアロイング法により
作成したものを用いた。メカニカルアロイングもしくは
メカニカルグラインディングの手法としては、遊星型ボ
ールミルを用いて、BaOとW粉末の混合粉砕を実施し
た。得られた粉体を金型にいれ、2ton/cm2 の面
圧にてプレス成形した。その後、直径1.4mmφのデ
ィスク状に切断し混合多孔質板5とした。このようにし
て作成したカソードについて上述のパルスエミッション
特性を測定した。まず、以上のようにして作成したカソ
ードAを、通常の製造工程に従って電子銃を構成し、電
子管に組み込んだ。その後、排気処理を行った。この
時、カソード作成中にカソードが吸収した水分等の量に
より、排気時間は左右される。すなわち、カソード及び
電子管製造工程中の雰囲気管理を充分に行えば、従来の
含浸型カソードと同等レベルの排気時間で排気は完了す
る。すなわち、例えばカソード製造工程中は99.9%
以上の純度のArガス(露点−60℃以下)を用い、電
子銃封止工程など電子管作成工程中は窒素ガス(純度9
9.9%以上、露点−60℃以下)を用い、ガス排出を
充分に行うことにより、排気時間の低減を図ることがで
きる。このようにして準備したカソードAについてパル
スエミッション特性を測定した。すなわち、ヒーター電
圧を所定の値に設定し、カソード、アノード間にパルス
幅10マイクロ秒、電圧Eaのパルス電圧を与え、該電
圧Eaを変化させて、該カソードの電流電圧特性を測定
した。図7は測定結果の代表的特性をグラフで示す。ま
た、その結果を、従来技術である含浸型カソードと比較
して表1に示す。表1から明らかなように、本発明によ
るカソードAは従来技術である含浸型カソードの特性と
同等かそれを凌ぐ特性を示した。
【0014】
【表1】
【0015】以上の実施例は、Ba、Ca、Alの複合
酸化物として、Ba、Ca、Alのモル比が4:1:1
のものを用いたが、他の組成の複合酸化物、例えばB
a、Ca、Alのモル比が5:3:2のものを用いて作
成したカソードBでも同様の効果を発揮できる。さら
に、Ba、Ca、Alの複合酸化物、例えばBa、C
a、Alのモル比4:1:1のもの、5:3:2のもの
をBaOの代わりにW粉末とメカニカルアロイングする
ことで混合多孔質板を形成することで得られたカソード
C、Dでも同様の効果を発揮する。これらのカソードの
パルスエミッション特性を表1に示す。
【0016】実施例2.上記実施例1の構成のうち、メ
カニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法
により混合多孔質板を作成する際に、W粉末とRe金属
粉末とBaOを混合して混合多孔質板を成形することに
より、上記実施例1の構成のカソードEを得た。WとR
eの混合比率は、Wが30から100モル%の範囲でそ
の効果が発現する。特に、Wが40から70モル%の範
囲が望ましい。また、補給体内の複合酸化物のBa、C
a、Alのモル比は4:1:1である。このカソードE
のパルスエミッション特性を上述の方法で測定した。そ
の結果を表1に示す。カソードEは従来技術である含浸
型カソード及びカソードAの特性と同等かそれを凌ぐ特
性を示した。以上の実施例では、耐熱性金属種として、
W−Reの例を示したがその他の金属種、例えば、M
o、W−Mo、W−Ir、Mo−Re、Mo−Irなど
の成分を含む系でも同様の効果を発揮する。これらのう
ち多成分系では、WあるいはMoの混合比率が40から
70%の組成で最高の特性を示す。
【0017】実施例3.上記実施例1の構成のうち、メ
カニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法
により混合多孔質板を作成する際に、W粉末とBa、C
a、Alの複合酸化物とScもしくはSc酸化物もしく
はBaSc化合物を混合して混合多孔質板を成形するこ
とにより、上記実施例1の構成のカソードFを得た。B
a、Ca、Alのモル比は4:1:1である。また、S
cの含有量はBa、Ca、Alの複合酸化物に対し、S
23 として4重量%とした。このカソードFのパル
スエミッション特性を上述の方法で測定した。その結果
を表1に示す。カソードFは従来技術である含浸型カソ
ード及びカソードAの特性と同等かそれを凌ぐ特性を示
した。
【0018】実施例4.上記実施例1の構成で、混合多
孔質板の外側表面すなわち、アノードに対向する電子放
出面にスカンジウムのコーティング層6をスパッタリン
グにより形成したカソードGの例を図2に示す。スパッ
タリングは高周波スパッタリングが好ましいが、その他
のスパッタリング機構、例えば直流スパッタリングでも
目的とする薄膜を得ることができる。印加電圧は2kV
であり、時間は20分であった。この条件はスパッタリ
ングを行っているときのターゲットがおかれる真空度に
依存する。スカンジウムはBaと安定化合物を形成し、
Baの蒸発を抑制する機能がある。すなわち、多少量で
もスカンジウムがカソード表面に存在すればその存在量
に応じた機能を発揮すると考えられる。いいかえれば、
スカンジウムのコーティング層6の厚みは、特に規定し
なくても、本発明の効果を発揮できる。しかし、より信
頼性があり、長寿命のカソードを提供するためには、ス
カンジウムのコーティング層の厚みは0.1〜10μm
が望ましい。また、スカンジウムは必ずしも緻密な層状
になっている必要はない。例えば多孔質体や、スポット
状になっていてもよい。カソードGのパルスエミッショ
ン特性を表1に示す。本発明によるカソードGは従来技
術である含浸型カソードの特性と同等かそれを凌ぐ特性
を示した。
【0019】実施例5.上述の実施例1により作成した
カソードの混合多孔質板5の外周部を、そのカソードの
電子放出面に対して凹状に加工した例を図3に示す。図
3は本発明の一実施例の縦断面図である。混合多孔質板
5の外周部は、電子放出面となる中央部に対してほぼ垂
直な立ち上がり部を持つ。この立ち上がり部は図3の縦
断面図に示されるようにその縦断面は凹状になり、ま
た、スリーブ2と混合多孔質板5をレーザー溶接(炭酸
ガスレーザー)することによりスリーブとの密着性が高
まり、カソードの受ける熱履歴により起こる熱膨張率の
差異に基づく混合多孔質板5の剥離を防止することがで
きる。その結果、カソードの安定性が高まった。
【0020】実施例6.上述の実施例1により作成した
カソードの混合多孔質板5の外周部を、スリーブ2の端
部を加工し混合多孔質板5の電子放出面の外周部を覆う
ように配置した例を図4に示す。図4は本発明の一実施
例の縦断面図である。混合多孔質板5上に形成される電
子放出面の面積を、スリーブ2の端部を折り曲げ加工す
ることにより規定し、動作中も一定の電子放出面積を維
持することができ、また、スリーブ2と混合多孔質板5
をレーザー溶接(炭酸ガスレーザー)することによりス
リーブとの密着性が高まり、カソードの受ける熱履歴に
より起こる熱膨張率の差異に基づく混合多孔質板5の剥
離を防止することができる。その結果、カソードの安定
性が高まった。
【0021】実施例7.上述の実施例1により作成した
カソードの混合多孔質板5の上部に、その円周にしたが
ってMo板からなる金属性部品を設置し、かつその周囲
を金属性スリーブに沿って円筒上に折り曲げて金属性ス
リーブに延伸させた例を図5に示す。この金属性部品8
は金属性スリーブ2とレーザー溶接した。混合多孔質板
5の一部を金属性部品8で覆うことにより、電子放出面
の面積を一定に保持することができ、また、カソードと
スリーブとの密着性が高まり、カソードの受ける熱履歴
により起こる熱膨張率の差異に基づく混合多孔質板5の
剥離を防止することができる。その結果、カソードの動
作中安定した電子放出特性を得ることができた。
【0022】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば電子放
出材料と耐熱性金属種とからなる混合物をメカニカルア
ロイング法により混合し、しかる後に板状に成形した混
合多孔質板5と、その多孔質板に逐次電子放出材料を供
給する補給体を併設したので、電子放出面におけるBa
濃度を高め、また補給体から電子放出面におけるBaの
欠乏を補うことができるため、従来の含浸型カソードと
同等以上の特性を持つカソードを廉価に作成でき、ま
た、含浸型のような多岐にわたる工程を必要としないた
め、信頼性の高いカソードを提供することができる効果
がある。また、スカンジウムなどの混合もしくはコーテ
ィングによりカソードの特性が向上する効果がある。ま
た、メカニカルアロイングの手法として遊星型ボールミ
ルを用い、加速度を1G以上にして強制混合することに
より得られた粉体を所定のプレス圧によりプレスするこ
とで容易にペレットを作成することができる。さらに、
電子放出面の端部を曲げて電子放出面とほぼ垂直にし金
属性カップもしくはスリーブと隣接させ、レーザー溶接
することで熱履歴に対する耐性を上げ、カソードの安定
性が向上する効果がある。また、図5に示すように金属
性部品を新たに設け、混合多孔質板5を金属性スリーブ
に固定することにより製造プロセスが容易となる効果が
ある。なお、製造コストは図6に示す製造プロセスの比
較(含浸型カソードとの比較)から、本発明によるカソ
ードの方が廉価であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による電子管用カソードの縦
断面図である。
【図2】本発明の他の実施例による電子管用カソードの
縦断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施例による電子管用カソー
ドの縦断面図である。
【図4】本発明の更に他の実施例による電子管用カソー
ドの縦断面図である。
【図5】本発明の更に他の実施例による電子管用カソー
ドの縦断面図である。
【図6】本発明と従来の電子管用カソードの製造プロセ
スの対比を示す図である。
【図7】本発明と従来の電子管用カソードのパルスエミ
ッション特性を示す図である。
【図8】従来の含浸型の電子管用カソードの動作を説明
するための概念図である。
【符号の説明】
1 ヒータ 2 スリーブ 3 カップ 4 補給体 5 混合多孔質板 6 コーティング層 7 レーザー溶接部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリウム等の電子放出材料と耐熱性金属
    種とからなる電子管用カソードにおいて、電子放出材料
    と耐熱性金属種とからなる混合物をメカニカルアロイン
    グ、もしくはメカニカルグラインディングにより混合粉
    砕し、しかる後に板状に成形した混合多孔質板を設け、
    この板でモリブデンなどの耐熱性金属からなるカップに
    蓋をし、このカップ内に、蒸発、拡散などを含む過程に
    より電子放出材料を供給する補給体を設けたことを特徴
    とする電子管用カソード。
  2. 【請求項2】 メカニカルアロイングもしくはメカニカ
    ルグラインディングにより作成した混合多孔質板を設
    け、この板でモリブデンなどの耐熱性金属からなるカッ
    プに蓋をし、このカップ内に、蒸発、拡散などを含む過
    程により電子放出材料を供給する補給体を、少なくとも
    具備する電子管用カソードにおいて、混合多孔質板と補
    給体の少なくとも一方に、スカンジウム、イットリウム
    などの希土類元素及びイリジウム、オスミウム、レニウ
    ム等から構成される元素種のうちの少なくとも一元素を
    含むことを特徴とする請求項1の電子管用カソード。
  3. 【請求項3】 メカニカルアロイングもしくはメカニカ
    ルグラインディングにより作成した混合多孔質板の少な
    くとも一面に、スカンジウム、イットリウムなどの希土
    類元素及びイリジウム、オスミウム、レニウム等から構
    成される元素種のうち、少なくとも一元素を含む金属も
    しくは化合物をコーティングしたことを特徴とする請求
    項1の電子管用カソード。
  4. 【請求項4】 電子放出材料と耐熱性金属種とからなる
    混合物を、遊星型ボールミル等を用い、加速度1G以上
    の条件にて強制混合することにより作成した紛体を、
    0.1〜5ton/cm2 の範囲のプレス圧にてプレス
    成形した後、所定の形状に切断して混合多孔質板を作成
    することを特徴とする請求項1の電子管用カソード製造
    法。
  5. 【請求項5】 耐熱性カップと、その内部に電子放出材
    料と耐熱性金属から構成される電極と、ヒーター、及び
    金属性スリーブを含む電子管用カソードにおいて、該電
    極の外周部に、電子放出面に対してほぼ垂直なる立ち上
    がり部を設けることにより、隣接する耐熱性カップもし
    くは金属性スリーブなどの金属性構体に固定されること
    を特徴とする電子管用カソード。
  6. 【請求項6】 電子放出材料と耐熱性金属種とからなる
    混合物をメカニカルアロイング、もしくはメカニカルグ
    ラインディングにより混合粉砕し、しかる後に板状に成
    形した混合多孔質板を設け、この板でモリブデンなどの
    耐熱性金属からなるカップに蓋をし、このカップ内に、
    蒸発、拡散などを含む過程により電子放出材料を供給す
    る補給体を設け混合多孔質板が隣接するカップもしくは
    金属性スリーブに固定された電子管用カソードにおい
    て、該カップもしくは該スリーブを加工することによ
    り、混合多孔質板の外周部のうちの一部もしくは外周部
    の全ての電子放出面を覆うことを特徴とする電子管用カ
    ソード。
  7. 【請求項7】 電子放出材料と耐熱性金属種とからなる
    混合物をメカニカルアロイング、もしくはメカニカルグ
    ラインディングにより混合粉砕し、しかる後に板状に成
    形した混合多孔質板を設け、この板でモリブデンなどの
    耐熱性金属からなるカップに蓋をし、このカップ内に、
    蒸発、拡散などを含む過程により電子放出材料を供給す
    る補給体を設け混合多孔質板が隣接するカップもしくは
    金属性スリーブに固定された電子管用カソードにおい
    て、該混合多孔質板の外周部に、該混合多孔質板の外周
    部のうちの一部もしくは外周部の全ての電子放出面を覆
    う金属性部品を設置したことを特徴とする電子管用カソ
    ード。
  8. 【請求項8】 電子放出面を凹状もしくは平板状となす
    混合多孔質板に隣接する耐熱性カップもしくは金属性ス
    リーブもしくは金属性部品などの耐熱性構体と、該混合
    多孔質板がレーザー溶接することにより固定されたこと
    を特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電
    子管用カソード。
  9. 【請求項9】 バリウム等の電子放出材料と耐熱性金属
    種とからなる電子管用カソードにおいて、電子放出材料
    と耐熱性金属種とからなる混合物をメカニカルアロイン
    グ、もしくはメカニカルグラインディングにより混合粉
    砕し、しかる後に板状に成形した混合多孔質板を設け、
    この板でモリブデンなどの耐熱性金属からなるカップに
    蓋をし、このカップ内に、蒸発、拡散などを含む過程に
    より電子放出材料を供給する補給体を設けた電子管用カ
    ソードにおいて、耐熱性金属としてMo、W、Re、I
    rのうち少なくとも二者以上の成分を含むことを特徴と
    する電子管用カソード。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0850849A (ja) * 1994-05-31 1996-02-20 Nec Kansai Ltd 陰極部材およびそれを用いた電子管
JPH09500232A (ja) * 1994-03-15 1997-01-07 フィリップス エレクトロニクス ネムローゼ フェンノートシャップ ディスペンサ陰極およびディスペンサ陰極の製造方法
CN114203500A (zh) * 2021-11-29 2022-03-18 北京航空航天大学 发射基体组件的制备方法、发射基体组件和电子枪

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