JPH062033A - 高強度ボルト用鋼の製法 - Google Patents
高強度ボルト用鋼の製法Info
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- JPH062033A JPH062033A JP18433992A JP18433992A JPH062033A JP H062033 A JPH062033 A JP H062033A JP 18433992 A JP18433992 A JP 18433992A JP 18433992 A JP18433992 A JP 18433992A JP H062033 A JPH062033 A JP H062033A
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- Japan
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- steel
- delayed fracture
- strength
- less
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 1500N/mm2 レベルの引張強さを有し、
且つ1300N/mm2 レベル以上の耐遅れ破壊特性を備
えており、自動車用部品等として小型化、軽量化の要望
に応ずることのできる高強度ボルト用鋼を得ること。 【構成】 C:0.25〜0.45%(重量%:以下同
じ)Si:0.1%以下、Mn:0.2〜0.8%、
P:0.015%以下、S:0.015%以下、Cr:
0.05%以下、Mo:0.4〜1.5%、V:0.0
5〜0.40%、Al:0.01〜0.05%、Ti:
0.01〜0.10%、残部Feおよび不可避不純物の
要件を満たす鋼材を焼入れした後、400℃以上の温度
で焼戻し処理し、引張強さ1300N/mm2 レベル以
上の耐遅れ破壊特性を示す高強度ボルト用鋼を得る。
且つ1300N/mm2 レベル以上の耐遅れ破壊特性を備
えており、自動車用部品等として小型化、軽量化の要望
に応ずることのできる高強度ボルト用鋼を得ること。 【構成】 C:0.25〜0.45%(重量%:以下同
じ)Si:0.1%以下、Mn:0.2〜0.8%、
P:0.015%以下、S:0.015%以下、Cr:
0.05%以下、Mo:0.4〜1.5%、V:0.0
5〜0.40%、Al:0.01〜0.05%、Ti:
0.01〜0.10%、残部Feおよび不可避不純物の
要件を満たす鋼材を焼入れした後、400℃以上の温度
で焼戻し処理し、引張強さ1300N/mm2 レベル以
上の耐遅れ破壊特性を示す高強度ボルト用鋼を得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車輛用部
品、産業機械用、土木建築用などに使用される、引張強
さ1300N/mm2 以上の耐遅れ破壊性に優れたボル
ト用鋼の製法に関するものである。
品、産業機械用、土木建築用などに使用される、引張強
さ1300N/mm2 以上の耐遅れ破壊性に優れたボル
ト用鋼の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の燃費向上及び排ガス低減
の要請から車体重量の軽量化が指向され、それに伴って
使用されるボルトにも高強度のものが要求される様にな
ってきている。また建築構造物の大型化が進むにつれ
て、土木建築用のボルトにも高強度のものが要求されて
きている。
の要請から車体重量の軽量化が指向され、それに伴って
使用されるボルトにも高強度のものが要求される様にな
ってきている。また建築構造物の大型化が進むにつれ
て、土木建築用のボルトにも高強度のものが要求されて
きている。
【0003】ボルトを高強度化していく場合、最も気を
つけなければならないものに遅れ破壊現象がある。特に
上記の様な用途に使用されるボルト用鋼では引張強さが
1200N/mm2 を超えるあたりから遅れ破壊感受性
が急激に高まり、遅れ破壊を起こし易くなる。このこと
は、現在のJIS−B−1051「ボルト小ねじの機械
的性質」の最も高い強度クラスが12.9であること
や、B−1186「摩擦接合用高力六角ボルト、六角ナ
ット、平座金セット」の規格では11Tが最も上である
ことによっても伺える。
つけなければならないものに遅れ破壊現象がある。特に
上記の様な用途に使用されるボルト用鋼では引張強さが
1200N/mm2 を超えるあたりから遅れ破壊感受性
が急激に高まり、遅れ破壊を起こし易くなる。このこと
は、現在のJIS−B−1051「ボルト小ねじの機械
的性質」の最も高い強度クラスが12.9であること
や、B−1186「摩擦接合用高力六角ボルト、六角ナ
ット、平座金セット」の規格では11Tが最も上である
ことによっても伺える。
【0004】このようなところから現在これらの業界で
使用されているボルトの強度の上限は、一部の例外を除
いて殆どが1200〜1300N/mm2 程度となって
おり、これらのボルト用材料としては、通常10.9ク
ラスではSCR435やSCR440のCr鋼、また1
2.9クラスではSCM435、SCM440などのC
r−Mo鋼の如く、いずれも合金元素としてCrを含む
低合金鋼が使用されている。
使用されているボルトの強度の上限は、一部の例外を除
いて殆どが1200〜1300N/mm2 程度となって
おり、これらのボルト用材料としては、通常10.9ク
ラスではSCR435やSCR440のCr鋼、また1
2.9クラスではSCM435、SCM440などのC
r−Mo鋼の如く、いずれも合金元素としてCrを含む
低合金鋼が使用されている。
【0005】これはCrが鋼の焼入れ性を確保するのに
有効であると共に、比較的廉価な合金元素であるからで
ある。これらの鋼材は通常、焼入・焼戻し処理すること
により所定の強度に調質して使用されるが、あまり高強
度にすると遅れ破壊感受性が高くなるため、実用強度と
しては前述の1200〜1300N/mm2 程度が上限
とされている。
有効であると共に、比較的廉価な合金元素であるからで
ある。これらの鋼材は通常、焼入・焼戻し処理すること
により所定の強度に調質して使用されるが、あまり高強
度にすると遅れ破壊感受性が高くなるため、実用強度と
しては前述の1200〜1300N/mm2 程度が上限
とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】高強度鋼材に見られる
遅れ破壊現象については多くの研究が行なわれている
が、現状では鋼成分の影響などを含めて未解明の部分も
多い。いずれにしても最近自動車メーカなどから強く要
望されているのは1300N/mm2 レベル以上の高強
度ボルト鋼材であるが、この様な強度レベルの高強度ボ
ルト鋼材は提供されていない。
遅れ破壊現象については多くの研究が行なわれている
が、現状では鋼成分の影響などを含めて未解明の部分も
多い。いずれにしても最近自動車メーカなどから強く要
望されているのは1300N/mm2 レベル以上の高強
度ボルト鋼材であるが、この様な強度レベルの高強度ボ
ルト鋼材は提供されていない。
【0007】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は引張強さ1300N/mm2
以上の耐遅れ破壊性に優れた高強度ボルト用鋼を提供し
ようとするものである。
ものであって、その目的は引張強さ1300N/mm2
以上の耐遅れ破壊性に優れた高強度ボルト用鋼を提供し
ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る高強度ボルト用鋼の構成は、C:
0.25〜0.45%、Si:0.1%以下、Mn:
0.2〜0.8%、P:0.015%以下、S:0.0
15%以下、Cr:0.05%以下、Mo:0.4〜
1.5%、V:0.05〜0.40%、Al:0.01
〜0.05%、Ti:0.01〜0.10%、残部Fe
および不可避不純物の要件を満たす鋼材を焼入れした
後、400℃以上の温度で焼戻し処理するところに要旨
を有するものである。
のできた本発明に係る高強度ボルト用鋼の構成は、C:
0.25〜0.45%、Si:0.1%以下、Mn:
0.2〜0.8%、P:0.015%以下、S:0.0
15%以下、Cr:0.05%以下、Mo:0.4〜
1.5%、V:0.05〜0.40%、Al:0.01
〜0.05%、Ti:0.01〜0.10%、残部Fe
および不可避不純物の要件を満たす鋼材を焼入れした
後、400℃以上の温度で焼戻し処理するところに要旨
を有するものである。
【0009】
【作用】以下、本発明における鋼成分の限定理由につい
て詳述する。 C:0.25〜0.4% Cは鋼の焼入性を高めて高強度を得るために欠くことの
できない元素であり、400℃以上の適切な焼戻し温度
で1300N/mm2 レベル以上の引張強さを得るには
0.25%以上含有させなければならない。しかし多す
ぎると冷間加工性および靭性が悪くなるので、0.4%
以下に抑えるべきである。
て詳述する。 C:0.25〜0.4% Cは鋼の焼入性を高めて高強度を得るために欠くことの
できない元素であり、400℃以上の適切な焼戻し温度
で1300N/mm2 レベル以上の引張強さを得るには
0.25%以上含有させなければならない。しかし多す
ぎると冷間加工性および靭性が悪くなるので、0.4%
以下に抑えるべきである。
【0010】Si:0.1%以下 Siは鋼の脱酸に有効な元素であるが、酸化物系の介在
物を生成すると共に、球状化焼鈍や焼入れ処理などの熱
処理時における粒界酸化を助長し、冷鍛性および耐遅れ
破壊性を低下させるため0.1%以下とした。
物を生成すると共に、球状化焼鈍や焼入れ処理などの熱
処理時における粒界酸化を助長し、冷鍛性および耐遅れ
破壊性を低下させるため0.1%以下とした。
【0011】Mn:0.2〜0.8% Mnは脱酸性元素として有効に作用すると共に鋼の焼入
性を高める効果があり、またSによる熱間脆化を防止す
るためにも0.2%以上含有させなければならない。し
かし多過ぎると粒界への偏析が多くなり、粒界強度を低
下させて耐遅れ破壊性を悪化させるので0.8%を上限
とする。
性を高める効果があり、またSによる熱間脆化を防止す
るためにも0.2%以上含有させなければならない。し
かし多過ぎると粒界への偏析が多くなり、粒界強度を低
下させて耐遅れ破壊性を悪化させるので0.8%を上限
とする。
【0012】P:0.015%以下 Pは不可避不純物として混入してくる成分であり、粒界
偏析を起こして耐遅れ破壊性を阻害するので少ない方が
よいが、0.015%以下であれば実用上の障害となる
ことはない。
偏析を起こして耐遅れ破壊性を阻害するので少ない方が
よいが、0.015%以下であれば実用上の障害となる
ことはない。
【0013】S:0.15%以下 Sは熱間脆性を引起こすばかりでなく、Mnと結合して
MnSを生成しボルト成形時の冷間鍛造性を阻害したり
鋼の耐遅れ破壊性を悪化させるため0.015%を上限
として定めた。
MnSを生成しボルト成形時の冷間鍛造性を阻害したり
鋼の耐遅れ破壊性を悪化させるため0.015%を上限
として定めた。
【0014】Cr:0.05%以下 Crは焼入れ性を高めて高強度化を増進するのに極めて
有効な元素である。しかし反面粒界に炭化物として析出
して、粒界強度を低下させる傾向があり、こうした傾向
は、引張強さが1200N/mm2 程度以下で遅れ破壊
感受性の低いボルト用鋼の場合は殆ど問題になることは
ないが、遅れ破壊感受性が顕著に表われるそれ以上の高
強度域では上記の悪影響が無視できなくなるので、0.
05%以下と定めた。
有効な元素である。しかし反面粒界に炭化物として析出
して、粒界強度を低下させる傾向があり、こうした傾向
は、引張強さが1200N/mm2 程度以下で遅れ破壊
感受性の低いボルト用鋼の場合は殆ど問題になることは
ないが、遅れ破壊感受性が顕著に表われるそれ以上の高
強度域では上記の悪影響が無視できなくなるので、0.
05%以下と定めた。
【0015】Mo:0.4〜1.5% Moは焼入れ性と焼戻し軟化抵抗の向上に有効な元素で
あり、また耐遅れ破壊性を改善するためにも欠くことの
できない元素であり、0.40%未満では引張強さが1
200N/mm2 レベル以上の高強度ボルト用鋼として
の要求特性を満足することができない。しかしそれらの
効果は1.50%程度で飽和し、それ以上の添加はいた
ずらにコストアップを招くだけであるので経済的に無駄
である。
あり、また耐遅れ破壊性を改善するためにも欠くことの
できない元素であり、0.40%未満では引張強さが1
200N/mm2 レベル以上の高強度ボルト用鋼として
の要求特性を満足することができない。しかしそれらの
効果は1.50%程度で飽和し、それ以上の添加はいた
ずらにコストアップを招くだけであるので経済的に無駄
である。
【0016】Al:0.01〜0.05% Alは脱酸作用を有するほか、フリー窒素の固定による
焼戻し脆化の防止と結晶粒の微細化のため0.01%以
上含有させなければならない。しかし0.05%を超え
ると靭性に悪影響が現われてくるので、それ以上の添加
は避けるべきである。
焼戻し脆化の防止と結晶粒の微細化のため0.01%以
上含有させなければならない。しかし0.05%を超え
ると靭性に悪影響が現われてくるので、それ以上の添加
は避けるべきである。
【0017】Ti:0.01〜0.1% Tiは結晶粒度を微細化して耐遅れ破壊性を高めると共
に、フリー窒素を固定して耐遅れ破壊性を高める作用が
あり、0.01%以上含有させなければならない。しか
し多過ぎると粗大なTiNが多量生成して冷間加工性や
耐遅れ破壊性をかえって阻害するので上限を0.10%
とした。本発明で規定する必須構成元素は以上の通りで
あるが、必要によりNi,V,Nb,Zrの1種以上を
適量含有させることによってボルト用鋼としての物性を
更に高めることができる。
に、フリー窒素を固定して耐遅れ破壊性を高める作用が
あり、0.01%以上含有させなければならない。しか
し多過ぎると粗大なTiNが多量生成して冷間加工性や
耐遅れ破壊性をかえって阻害するので上限を0.10%
とした。本発明で規定する必須構成元素は以上の通りで
あるが、必要によりNi,V,Nb,Zrの1種以上を
適量含有させることによってボルト用鋼としての物性を
更に高めることができる。
【0018】Ni:0.05〜1.0% Niは鋼の靭性及び焼入れ性を高める作用があり、こう
した作用は0.05%以上含有させることによって有効
に発揮される。しかしその効果は1.0%程度で飽和
し、それ以上添加してもコストアップを招くだけである
ので経済的に無駄である。
した作用は0.05%以上含有させることによって有効
に発揮される。しかしその効果は1.0%程度で飽和
し、それ以上添加してもコストアップを招くだけである
ので経済的に無駄である。
【0019】V:0.05〜0.4% Vは析出硬化により焼戻し軟化抵抗を高めると共に、結
晶粒の微細化により靭性を高める作用があり、こうした
効果は0.05%以上含有させることによって有効に発
揮される。しかしそれらの効果は0.40%程度で飽和
し、それ以上の添加は無駄である。
晶粒の微細化により靭性を高める作用があり、こうした
効果は0.05%以上含有させることによって有効に発
揮される。しかしそれらの効果は0.40%程度で飽和
し、それ以上の添加は無駄である。
【0020】Nb:0.01〜0.1%、Zr:0.0
1〜0.1% Nb及びZrは結晶粒の微細化を増進し靭性を高める作
用があるが、いずれも0.1%を超えると耐遅れ破壊性
や靭性をかえって阻害するため、上限を夫々0.1%と
した。
1〜0.1% Nb及びZrは結晶粒の微細化を増進し靭性を高める作
用があるが、いずれも0.1%を超えると耐遅れ破壊性
や靭性をかえって阻害するため、上限を夫々0.1%と
した。
【0021】本発明のボルト用鋼は、上記成分組成の要
件を満たす鋼材を溶解・鋳造後、常法に従って圧延、球
状化焼鈍、伸線加工等の2次加工に付し、更に冷間鍛造
等によって所定のボルト形状に加工した後、焼入・焼戻
し処理することにより引張強さを1300N/mm2 レ
ベル以上に高める。このとき、焼入れ後の焼戻し温度は
400℃以上に設定しなければならず、この温度が低過
ぎる場合は、焼戻し脆性が顕著となって本発明の目的が
達成できなくなる。焼戻し温度の上限は特に存在しない
が、一般的なのは600℃程度以下であり、より好まし
い焼戻し温度は400〜500℃の範囲である。
件を満たす鋼材を溶解・鋳造後、常法に従って圧延、球
状化焼鈍、伸線加工等の2次加工に付し、更に冷間鍛造
等によって所定のボルト形状に加工した後、焼入・焼戻
し処理することにより引張強さを1300N/mm2 レ
ベル以上に高める。このとき、焼入れ後の焼戻し温度は
400℃以上に設定しなければならず、この温度が低過
ぎる場合は、焼戻し脆性が顕著となって本発明の目的が
達成できなくなる。焼戻し温度の上限は特に存在しない
が、一般的なのは600℃程度以下であり、より好まし
い焼戻し温度は400〜500℃の範囲である。
【0022】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、ボ
ルト用鋼の化学成分を特定すると共に焼入れ後の焼戻し
温度を規定することによって、引張強さ1300N/m
m2 レベル以上で優れた耐遅れ破壊性を示す高強度ボル
ト用鋼を得ることができ、自動車部品や建築構造物部品
等として使用されるボルトの小型化、軽量化を増進し得
ることになった。次に実施例を挙げて本発明の構成及び
作用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより
下記実施例によって制限を受けるものではない。
ルト用鋼の化学成分を特定すると共に焼入れ後の焼戻し
温度を規定することによって、引張強さ1300N/m
m2 レベル以上で優れた耐遅れ破壊性を示す高強度ボル
ト用鋼を得ることができ、自動車部品や建築構造物部品
等として使用されるボルトの小型化、軽量化を増進し得
ることになった。次に実施例を挙げて本発明の構成及び
作用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより
下記実施例によって制限を受けるものではない。
【0023】
【実施例】表1に示す成分組成の供試鋼を圧延した後、
常法に従って球状化焼鈍および伸線加工の2次加工を行
ない、冷間鍛造によりM10ボルトを成形し、更に焼入
・焼戻し処理を施して引張強さを約1500N/mm2
レベルに調質した。得られた供試ボルトを15%の塩酸
水溶液中に30分間浸漬した後水洗・乾燥し、大気中で
負荷する方法で100時間遅れ破壊強さを求め、結果を
表1に併記した。
常法に従って球状化焼鈍および伸線加工の2次加工を行
ない、冷間鍛造によりM10ボルトを成形し、更に焼入
・焼戻し処理を施して引張強さを約1500N/mm2
レベルに調質した。得られた供試ボルトを15%の塩酸
水溶液中に30分間浸漬した後水洗・乾燥し、大気中で
負荷する方法で100時間遅れ破壊強さを求め、結果を
表1に併記した。
【0024】
【表1】
【0025】表1からも明らかである様に、鋼材の化学
成分および焼戻し温度が何れも規定要件を満足する本発
明鋼(No. 1〜6)は1500N/mm2 レベルの非常
に高い引張強さを有しているばかりでなく、遅れ破壊強
さにおいても1400N/mm2 以上の高い値を示して
いる。これに対し化学成分のいずれかが規定要件を欠如
する比較鋼(No. 7〜18)では、高レベルの引張強さ
を有しているものの遅れ破壊強さが乏しく、また化学成
分が規定要件を満たすものであっても焼戻し温度が低過
ぎる比較鋼(No. 18)では、矢張り満足な遅れ破壊強
さが得られない。
成分および焼戻し温度が何れも規定要件を満足する本発
明鋼(No. 1〜6)は1500N/mm2 レベルの非常
に高い引張強さを有しているばかりでなく、遅れ破壊強
さにおいても1400N/mm2 以上の高い値を示して
いる。これに対し化学成分のいずれかが規定要件を欠如
する比較鋼(No. 7〜18)では、高レベルの引張強さ
を有しているものの遅れ破壊強さが乏しく、また化学成
分が規定要件を満たすものであっても焼戻し温度が低過
ぎる比較鋼(No. 18)では、矢張り満足な遅れ破壊強
さが得られない。
【0026】また図1は、表1に示したNo. 1,2,
9,10のボルト用鋼について200時間遅れ破壊強さ
を、Cr量との関係で示したものである。この図からも
明らかである様にCr量が0.2%を超えるものではそ
の含有量にかかわらず遅れ破壊強さは殆ど変わらない
が、Cr量が0.2%以下になると、Cr量によって遅
れ破壊強さは著しい影響を受け、その含有量を少なくす
るにつれて遅れ破壊強さが大幅に向上することが分か
る。
9,10のボルト用鋼について200時間遅れ破壊強さ
を、Cr量との関係で示したものである。この図からも
明らかである様にCr量が0.2%を超えるものではそ
の含有量にかかわらず遅れ破壊強さは殆ど変わらない
が、Cr量が0.2%以下になると、Cr量によって遅
れ破壊強さは著しい影響を受け、その含有量を少なくす
るにつれて遅れ破壊強さが大幅に向上することが分か
る。
【図1】ボルト用鋼中のCr含有量が遅れ破壊強さに与
える影響を示すグラフである。
える影響を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.25〜0.45%(重量%:以
下同じ)、Si:0.1%以下、Mn:0.2〜0.8
%、P:0.015%以下、S:0.015%以下、C
r:0.05%以下、Mo:0.4〜1.5%、V:
0.05〜0.40%、Al:0.01〜0.05%、
Ti:0.01〜0.10%、残部Feおよび不可避不
純物要件を満たす鋼材を焼入れした後、400℃以上の
温度で焼戻し処理することを特徴とする引張強さ130
0N/mm2 以上の耐遅れ破壊性に優れた高強度ボルト
用鋼の製法。 - 【請求項2】 更に他の成分としてNi:0.05〜
1.0%、V:0.05〜0.4%、Nb:0.01〜
0.1%、Zr:0.01〜0.1%よりなる群から選
択される元素を1種以上含有する鋼材を使用する請求項
1記載の高強度ボルト用鋼の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18433992A JPH062033A (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 高強度ボルト用鋼の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18433992A JPH062033A (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 高強度ボルト用鋼の製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH062033A true JPH062033A (ja) | 1994-01-11 |
Family
ID=16151573
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18433992A Pending JPH062033A (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 高強度ボルト用鋼の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH062033A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006131990A (ja) * | 2004-10-08 | 2006-05-25 | Nippon Steel Corp | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルトおよびその耐遅れ破壊特性向上方法 |
-
1992
- 1992-06-17 JP JP18433992A patent/JPH062033A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006131990A (ja) * | 2004-10-08 | 2006-05-25 | Nippon Steel Corp | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルトおよびその耐遅れ破壊特性向上方法 |
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