JPH06194050A - 遠赤外線ヒーターを備えた炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒーター温度を変化させることなく炉内温度
を制御できる遠赤外線ヒーターを備えた炉を提供する。 【構成】 遠赤外線ヒーターパネル２の前面に角度調節
自在な多数の遮蔽板５を配置し、該遮蔽板５の角度を調
節することにより、遠赤外線ヒーターパネル２の炉中央
部に臨む面積を変えて該遠赤外線ヒーターパネル２から
輻射される遠赤外線の炉中央部に達する量を制御して炉
中央部にの温度制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スチーム等の高温熱媒
体を熱源とする遠赤外線ヒーターを備えた加熱炉、乾燥
炉などの炉の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来はスチーム等の高温熱媒体を熱源と
する遠赤外線ヒーターを備えた加熱炉、乾燥炉などの炉
の炉内温度の制御は遠赤外線ヒーターパネルの放熱パイ
プ内を流れるスチーム等の高温熱媒体の流量や温度を変
えて行うのが普通であった。ところが、高温熱媒体の流
量や温度を変えるには、ボイラー等の加熱装置の熱媒体
への加熱条件を変えたうえ行うため迅速に対応出来ない
ばかりでなく、細かい温度制御が困難である。又、輻射
エネルギは絶対温度の４乗に比例するため熱媒体の小さ
い温度変化であっても輻射エネルギの過不足が生じやす
く、製品ダメージを与えたり、過剰熱量の排気が必要と
なって熱ロスが増大するという問題もある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような
従来の問題点を解決して、熱媒体の流量や温度を変える
ことなく炉内温度を広い範囲で調整することのできる、
遠赤外線ヒーターを備えた炉を提供するために完成され
たものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記のような課題を解決
するためになされた本発明は、内部に高温熱媒体が流れ
る遠赤外線ヒーターパネルの前面に角度調節自在な多数
の遮蔽板を設置したことを特徴とするものである。

【０００５】

【実施例】次に、本発明を図示の実施例により詳細に説
明する。先ず、図１に示す第１の実施例について詳細に
説明すれば、１は加熱炉、乾燥炉等の炉体、２は該炉体
１の左右に取り付けた内部にスチーム等の高温熱媒体が
流れる遠赤外線ヒーターパネルであり、該遠赤外線ヒー
ターパネル２は表面に遠赤外線放射材をコーティングし
た放熱パイプ３の多数本相互に間隔を設けてヘッダ管４
に一体に取り付けたものである。５は該遠赤外線ヒータ
ーパネル２の前面に配置した角度調節自在とした多数の
遮蔽板である。

【０００６】この遮蔽板５は図１に示すように前後を炉
体１の天井からつり下げられた紐材６、６に等間隔に係
止されているとともに下端に位置する遮蔽板５を昇降用
ロープ７に係止して、紐材６、６を上下動させることに
より各遮蔽板５の角度を一括して調節自在とするととも
に、昇降用ロープ７を上昇させて下端の遮蔽板５から上
方の遮蔽板５に向け下方から順次吊り上げられるものと
されている。８は遠赤外線ヒーターパネル２の前方に配
置したエアーブローノズルであり、高温空気を噴出させ
て炉内空気を攪拌するとともに被加熱物の表面に形成さ
れる境界層を除去し、総合的な熱伝達効率の向上を図る
ものである。

【０００７】また、図２に示す第２の実施例にあって
は、遠赤外線ヒーターパネル２の前面に配置した角度調
節自在とした多数の遮蔽板５は、遠赤外線ヒーターパネ
ル２の前面の上部と下部においてそれぞれ別異の紐材
６、６と昇降用ロープ７により前後に配置されており、
上部の遮蔽板５群と下部の遮蔽板５群とはそれぞれ別異
に角度を調節自在とされている。

【０００８】図３及び図４に示す第３の実施例では、遠
赤外線ヒーターパネル２の前面に配置した角度調節自在
とした多数の遮蔽板５は、枠体９に各遮蔽板５の両端部
の中央を枢支して各遮蔽板５毎に角度調節自在とされて
いる。

【０００９】続いて、図５及び図６に示す第４の実施例
及び第５の実施例は、遠赤外線ヒーターパネル２を各放
熱パイプ３が前後に重なることなく、全パネル前面が炉
内中央部に臨むように位相をずらして２機前後に配置し
て、第４の実施例にかかるものは、角度調節自在とした
多数の遮蔽板５を後側の遠赤外線ヒーターパネル２の前
面のみに配置したものである。また、第５の実施例にか
かるものは、角度調節自在とした多数の遮蔽板５を前側
及び後側の遠赤外線ヒーターパネル２のそれぞれの前面
に配置したものである。なお、角度調節自在とした多数
の遮蔽板５は図示のような第１の実施例のものと同様な
ものに限定されるものではなく、第２及び第３の実施例
のものと同じであってもよいことは勿論である。

【００１０】

【作用】このように構成されたものは、遠赤外線ヒータ
ーパネル２の放熱パイプ３の内部に高温熱媒体を流して
該放熱パイプ３の表面から遠赤外線を輻射し、パネル２
の前面の製品を加熱または乾燥することは従来のものと
同様である。しかし、本発明に係るものは、遠赤外線ヒ
ーターパネル２の前面には角度調節自在とした多数の遮
蔽板５が配置されているので、製品の加熱・乾燥の状況
に応じて炉内の温度分布を制御するには、該遮蔽板５の
角度を調節して、該遮蔽板５の間から臨む遠赤外線ヒー
ターパネル２の面積を変えて放熱パイプ３の表面から輻
射される輻射エネルギーの製品が置かれている炉中央部
に達する量を制御して炉内温度を制御するものである。

【００１１】すなわち、加熱温度が低い予備加熱時にお
いては遮蔽板５を垂直状態に近い角度として該遮蔽板５
の間から臨む遠赤外線ヒーターパネル２の面積を少なく
し炉中央部に達する輻射エネルギー量を削減し、予備加
熱後は遮蔽板５を水平状態に近い角度として該遮蔽板５
の間から臨む遠赤外線ヒーターパネル２の面積を大きく
して輻射エネルギー量の略全量を炉中央部に達させ炉中
央部を昇温させる。また、冷却時においては遮蔽板５を
完全に垂直状態として各遮蔽板５で遠赤外線ヒーターパ
ネル２の前面を完全に覆って炉中央部の温度を降下させ
るものである。なお、第１および第２の実施例のように
遮蔽板５を上方に吊り上げできるものは、全遮蔽板５を
遠赤外線ヒーターパネル２の前面より吊り上げて輻射エ
ネルギー量の全量を炉中央部に達させることができるも
のである。また、第２および第３の実施例のように遮蔽
板５群毎及び各遮蔽板５毎に角度を調節できるものは、
炉内の上下の温度差を不均一とならないように各遮蔽板
５の角度を調節すればよいことは勿論である。さらに、
第４及び第５の実施例では、複数の遠赤外線ヒーターパ
ネルに対して全く同様の制御を可能としたものである。

【００１２】

【発明の効果】本発明は以上の説明のとおり、遠赤外線
ヒーターパネルの前面に角度調節自在な多数の遮蔽板を
配置したものであるから、該遮蔽板の角度を調節するこ
とにより、遠赤外線ヒーターパネルの炉中央部に臨む面
積を変えて炉中央部の温度制御をおこなうもので、高温
熱媒体の流量および温度を変化させることなく制御でき
るものであるからヒーター温度の変化による遠赤外線量
の過不足が生じることがないもので、従来の問題点を解
消した遠赤外線ヒーターを利用した加熱炉・乾燥炉とし
て、産業の発展に寄与するところは極めて大きいもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】発明の第１の実施例を示す断面図である。

【図２】発明の第２の実施例を示す断面図である。

【図３】発明の第３の実施例を示す断面図である。

【図４】同じく要部を示す斜視図である。

【図５】発明の第４の実施例を示す断面図である。

【図６】発明の第５の実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

２ 遠赤外線ヒーターパネル ３ 放熱パイプ ５ 遮蔽板

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に高温熱媒体が流れる遠赤外線ヒー
   ターパネルの前面に角度調節自在な多数の遮蔽板を配置
   したことを特徴とする遠赤外線ヒーターを備えた炉。
2. 【請求項２】 角度調節自在な多数の遮蔽板を昇降自在
   に天井より吊り下げたことを特徴する請求項１記載の遠
   赤外線ヒーターを備えた炉。
3. 【請求項３】 角度調節自在な多数の遮蔽板を遠赤外線
   ヒーターパネルの前面の上方と下方とに分離してそれぞ
   れを昇降自在に天井より吊り下げたことを特徴する請求
   項１記載の遠赤外線ヒーターを備えた炉。
4. 【請求項４】 角度調節自在な多数の遮蔽板を枠体に取
   り付けたことを特徴する請求項１記載の遠赤外線ヒータ
   ーを備えた炉。