JPH06181760A - アルカリプロテアーゼk−16h - Google Patents
アルカリプロテアーゼk−16hInfo
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- JPH06181760A JPH06181760A JP35656292A JP35656292A JPH06181760A JP H06181760 A JPH06181760 A JP H06181760A JP 35656292 A JP35656292 A JP 35656292A JP 35656292 A JP35656292 A JP 35656292A JP H06181760 A JPH06181760 A JP H06181760A
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Abstract
剤配合酵素として有用なアルカリプロテアーゼK−16
Hを提供する。 【構成】アルカリプロテアーゼK−16Hは、例えばバ
チルス属に属するバチルス・エスピーKSM−K16
(微工研条寄第3376号)を適当な培地に接種し、常
法に従って培養を行なった後、その培養上清液を適当な
分離、精製処理に付すことにより得ることができる。
Description
−16Hに関し、更に詳細には界面活性剤に対して優れ
た安定性を有し、洗浄剤配合酵素として有用なアルカリ
プロテアーゼK−16Hに関する。
工工業、皮革工業、繊維工業、醸造工業、洗剤工業など
に広く用いられている酵素であるが、このプロテアーゼ
の洗浄剤への配合も古くから行われており、現在多くの
アルカリプロテアーゼが洗浄剤用酵素として用いられて
いる。さらに近年、特に衣料用洗剤は、環境問題の面か
らの無リン化が進められているが、この結果低下する洗
浄力を強化するためにアルカリプロテアーゼの配合が行
われており、ますますアルカリプロテアーゼの需要が高
まっている。
配合されるためには、単にアルカリ性条件下において作
用するというだけでは不十分であり、洗剤に配合される
界面活性剤中で安定であること、および衣類の汚れを分
解しうる能力、すなわち洗浄力を有することが要求され
る。
るプロテアーゼに要求される、界面活性剤に対する安定
性および優れた洗浄力の両特性を同時に満足させるアル
カリプロテアーゼは未だ提供されていないのが実情であ
る。
明者らは先に、新たなアルカリプロテアーゼ生産菌を取
得すべく、日本全国の土壌を採取し探索した。 そして
その結果、栃木県芳賀郡の土壌より分離されたバチルス
属の一菌株が、洗浄剤配合系において優れた洗浄力を有
し、しかも界面活性剤中で極めて高い安定性を有するア
ルカリプロテアーゼを生産することを見出し、特許出願
を行った(特願平3−33116号及び特願平3−33
117号)。
ゼK−16は、それ自身、実際の使用に十分な安定性と
洗浄力を有する優れたものであるが、更に、より優れた
界面活性剤中での安定性と、より優れた洗浄剤配合酵素
としての機能を有するアルカリプロテアーゼを探求する
ことは極めて意義のあることである。
カリプロテアーゼK−16について種々研究を行った結
果、当該酵素は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法に
より、アルカリプロテアーゼ活性を有する少なくとも3
成分から構成されていることを見出した。そして、これ
らの成分を分離、精製すべく、検討を重ねた結果、種々
のカラムクロマトグラフィーを用いることにより、電気
泳動的に均一な成分としてアルカリプロテアーゼK−1
6Hを取得することに成功し、本発明を完成するに至っ
た。
規なアルカリプロテアーゼK−16Hを提供するもので
ある。
ド又はアミノ酸を生成する。 (2)基質特異性 カゼイン、ヘモグロビン等の水可溶性蛋白質ならびにケ
ラチン、エラスチン等の水不溶性蛋白質に対して良好な
活性を有する。 (3)至適pH カゼインを基質とし、種々の緩衝液中で40℃、10分
間反応を行った場合、至適pHは9.0〜11.0であ
る。さらにpH6.0〜13.0で最大活性の50%以上
の活性を有する。
した場合、pH5.0〜12.0の範囲で極めて安定であ
る。 (5)至適温度 カゼインを基質とし、pH10.0で反応を行った場
合、至適温度は55℃である。 (6)耐熱性 pH9.0、50℃にて10分間処理した場合、または
Ca2+を加え60℃にて10分間処理した場合、90%
以上の残存活性を有する。
DS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による)。 (8)金属イオンの影響 カゼインを基質とした場合、Hg2+で活性が阻害され
る。また、Ca2+で熱安定性及びpH安定性が増大す
る。 (9)阻害剤の影響 エチレンジアミン四酢酸、p−クロロマーキュリー安息
香酸、アンチパインで活性が阻害されない。フェニルメ
タンスルホニルフルオリド、キモスタチンによって活性
が阻害される。 (10)界面活性剤の影響 ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、α−オレ
フィンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナト
リウム、α−スルホ脂肪酸エステル等の界面活性剤が高
濃度に存在しても、極めて安定である。
は、例えばバチルス属に属するバチルス・エスピーKS
M−K16(Bacillus sp.KSM−K16;微工研条
寄第3376号)を適当な培地に接種し、常法に従って
培養を行った後、その培養上清液を適当な分離、精製処
理に付すことにより得ることができる。 なお、このバ
チルス・エスピーKSM−K16の菌学的性質およびそ
の取得方法は、特願平3−33116号、同3−331
17号等に記載されている。
生物の培養に用いられ、本菌株に利用可能なものであれ
ば何れをも使用することができるが、該培地中には資化
しうる炭素源及び窒素源を適当量含有せしめておくこと
が好ましい。
ついては特に制限はないが、窒素源の好ましい例として
は、コーングルテンミール、大豆粉、コーンスチープリ
カー、カザミノ酸、酵母エキス、ファーマメディア、イ
ワシミール、肉エキス、ペプトン、ハイプロ、アジパワ
ー、コーンミール、ソイビーンミール、コーヒー粕、綿
実油粕、カルチベーター、アミフレックス及びアジプロ
ン、ゼスト等が挙げられる。
源、例えばアラビノース、キシロース、グルコース、マ
ンノース、フラクトース、ガラクトース、蔗糖、麦芽
糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、イノシトー
ル、グリセリン、可溶性澱粉や廉価な廃糖蜜、転化糖
等、また資化しうる有機酸、例えば酢酸等が挙げられ
る。 更に、その他、リン酸、Mg2+、Ca2+、M
n2+、Zn2+、Co2+、Na+、K+等の無機塩や、必要
であれば無機、有機微量栄養源を培地中に適宜添加する
こともできる。
あるアルカリプロテアーゼK−16Hの採取及び精製
は、一般の酵素の採取及び精製の手段に準じて行うこと
ができる。
することによって菌体を分離し、その菌体及び培養濾過
液から通常の分離手段、例えば、塩析法、等電点沈澱
法、溶媒沈澱法(メタノール、エタノール、インプロピ
ルアルコール、アセトン等)によって蛋白質を沈澱させ
たり、また、限外濾過(例えばダイアフローメンブレン
フィルター;アミコン社製)により濃縮させたり、ある
いは、セファデックスG−25、ポリビニルピロリドン
等により濃縮して、粗酵素としてアルカリプロテアーゼ
K−16を得ることができる。
安(30−70%飽和画分)中で、沈澱法では、例えば
75%エタノール中でアルカリプロテアーゼK−16を
沈澱させた後、濾過あるいは遠心分離、脱塩することに
よってこれを凍結乾燥粉末とすることも可能である。こ
こで採用しうる脱塩の方法としては、透析または、セフ
ァデックスG−25等を用いるゲル濾過法等の一般的方
法が用いられる。
ゼK−16からアルカリプロテアーゼK−16Hを精
製、採取するには、例えば、ヒドロキシアパタイトクロ
マトグラフィー等の吸着クロマトグラフィー、DEAE
−セファデックス、DEAE−セルロース、CM−セル
ロースやCM−バイオゲル等のイオン交換クロマトグラ
フー及びセファデックスやバイオゲルのような分子篩ゲ
ルクロマトグラフィーを適宜組み合わせて分別精製すれ
ばよい。 望ましくは、DEAE−バイオゲル、CM−
バイオゲル等のイオン交換クロマトグラフィー及びヒド
ロキシアパタイト等の吸着クロマトグラフィーを適宜組
合せて精製することにより良好な結果を得ることができ
る。
ーゼK−16Hは、以下に示すような酵素学的性質を有
する。 尚、以下において、酵素活性の測定は次の如く
して行った。
N;メルク社製)1%(W/V)を含む50mM ホウ酸−
NaOH緩衝液(pH10.0)1mlを40℃で5分
間保温した後、0.1mlの酵素液を加え、反応を開始
した。 40℃で10分間反応させた後、反応停止液
(0.123M トリクロロ酢酸−0.246M 酢酸ナト
リウム−0.369M酢酸)2mlを加え、室温にて約
20分間放置した。 生成した沈澱物を濾紙(No.2濾
紙;ワットマン社製)により除去し、濾液中の酸可溶性
蛋白分解物をフォーリン・ローリー法により比色定量し
た。尚、酵素1単位(U)は、上記反応条件下におい
て、1分間に1μmolのチロシンに相当する酸可溶性
蛋白分解物を遊離する酵素量とした。
ド又はアミノ酸を生成する。
異性を、他の市販プロテアーゼと比較した。 用いた基
質は、カゼイン、ヘモグロビン、獣毛ケラチン、エラス
チン、卵黄およびヒト由来α−ケラチンで、これらに対
する分解活性を測定した。すなわち、50mM ホウ酸
−NaOH緩衝液(pH10.0)に各基質を1%(α
−ケラチンは、0.1%)加え、各酵素液0.04〜0.
043U(エラスチンの場合は、0.200〜0.215
U)を添加し、40℃で10分間反応を行った。 各酵
素のカゼインに対する活性を100とし、それぞれの基
質に対する相対活性を表1に示した。
Hは、代表的なバチルス属のアルカリプロテアーゼに比
べ、特に、難溶性蛋白(獣毛ケチラン、α−ケラチン、
エラスチン)に対し、優れた分解作用を示した。
にアルカリプロテアーゼK−16Hを0.041U加
え、反応を行った。図1に示すように、最適pHでの活
性を100とした各pHでの活性を相対値で表した。
この結果からアルカリプロテアーゼK−16Hの至適p
Hは、9.0〜11.0であり、さらにpH6.0以上か
らpH13.0までの広範囲に渡り、50%以上の活性
を有するものであった。 尚、使用した各種緩衝液、及
びそのpH範囲は次のとおりであった。
aCl2を添加した系及び無添加の系をそれぞれ調製
し、これに1.70UのアルカリプロテアーゼK−16
Hを加え、55℃で10分間放置した。 この処理液を
50mM ホウ酸−NaOH緩衝液(pH10.0)で1
0倍に希釈し、酵素活性を測定した。 処理前の酵素活
性を100とした各pHの相対活性を図2に示した。
Hは、上記条件下で、CaCl2無添加の場合、pH7
〜11の間で、2mM CaCl2添加の場合、pH5〜
12の間で極めて安定であった。
い、30℃〜80℃の各温度において、5mM CaC
l2を添加した系及び無添加の系を調製し、温度以外は
標準反応条件と同様に反応を行った。 標準反応条件に
おける活性を100とした各温度での相対活性を図3に
示した。アルカリプロテアーゼK−16Hの至適反応温
度は、CaCl2無添加系の場合55℃であり、5mM
CaCl2添加系では65℃であった。
5mM CaCl2を添加した系及び無添加の系を調製
し、30〜70℃の各温度で5分間保温した。次いで、
0.41UのアルカリプロテアーゼK−16Hを加え、
10分間熱処理を行った。氷水中で急冷した後、50m
M ホウ酸−NaOH緩衝液(pH10.0)で2倍に希
釈した酵素液を用いて残存活性を測定した。30℃で処
理した酵素活性を100とした各温度処理での相対活性
を図4に示した。
Cl2無添加系では50℃まで、また5mM CaCl2
添加系では60℃まで90%以上の活性が維持された。
この結果、本酵素はCa2+により安定化することが判
った。
アクリルアミドを用いたドデシル硫酸ナトリウム(SD
S)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定し
た。 分子量マーカーには、エレクトロフォレシス・キ
ァリブレイションキット(Electrophoresis Calibratio
n kit) [ホスホリラーゼb(分子量94,000)、牛
血清アルブミン(分子量67,000)、卵白アルブミ
ン(分子量43,000)、カルボニックアンヒドロラ
ーゼ(分子量30,000)、大豆トリプシンインヒビ
ター(分子量20,100)およびα−ラクトアルブミ
ン(分子量14,400)の混合試料;ファルマシア社
製] を用いた。 この方法により、アルカリプロテアー
ゼK−16Hの分子量は28,000±1,000と決定
された。
ぼす影響を調べた。20mM ホウ酸−NaOH緩衝液
(pH9.0)に各種金属塩を1mMとなるように添加
し、1.0Uの酵素を加えて30℃で20分間放置した
後、50mM ホウ酸−NaOH緩衝液(pH10.0)
で10倍に希釈した酵素液を用いて活性を測定した。
金属塩無添加で同様に処理したもの(対照)の活性を1
00とし、各種金属塩を添加した場合の相対活性を表2
に示した。
Hは、Hg2+により50%程度阻害されることが判っ
た。また、その他の金属イオンに対しては、充分に安定
であった。
影響を調べた。すなわち、20mM リン酸緩衝液(p
H7.0)に各種化合物を所定濃度になるように添加
し、1.0UのアルカリプロテアーゼK−16Hを加え
た。 30℃で20分間放置した後、50mM ホウ酸−
NaOH緩衝液(pH10.0)で10倍に希釈した酵
素液を用いて活性を測定した。 化合物無添加で同様に
処理したもの(対照)の活性を100とし、各化合物を
添加した場合の相対活性を表3に示した。
ミド DTNB: 5,5'−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸 PCNB: p−クロロマーキュリー安息香酸 PMSF: フェニルメタンスルホニルフルオリド
ニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、キモス
タチンで阻害されることから、活性発現にセリンが関与
するアルカリプロテアーゼであることが判った。 ま
た、他の化合物に対しては、極めて安定であった。
ぼす影響を調べた。すなわち、5%(W/V)の界面活性
剤及び10%(V/V)エタノールを含む0.1M トリス
−塩酸緩衝液(pH9.0)に2.0Uのアルカリプロテ
アーゼK−16Hを加え、40℃にて4時間放置した。
この処理液を50mM ホウ酸−NaOH緩衝液(pH
10.0)で10倍に希釈し、酵素活性を測定した。 酵
素添加直後の活性を100とし、残存活性をその相対値
として表4に示した。
る。
界面活性剤が高濃度(5%)存在しても高い安定性を示
すものであった。また、市販の洗剤用アルカリプロテア
ーゼの1.0%(W/V)各種界面活性剤に対する安定性と
比較しても、本酵素は界面活性剤中で非常に安定であっ
た。
するが、本発明はこれら実施例になんら制約されるもの
ではない。
ピーKSM−K16(微工研条寄第3376号)株を、
下記の培地Aに1白金耳接種し、30℃で24時間好気
的に振盪培養を行い、種培養液を得た。次に、得られた
種培養液を、下記の培地Bへ2%(V/V)接種し、30
℃で48時間好気的に振盪培養を行い、アルカリプロテ
アーゼK−16を含む培養液11を得た。
0)
00rpm:5分間)して菌体を除去し、その上清液を
限外濾過膜(分画分子量5,000)にて濃縮し、凍結
乾燥した。 得られた粉末1.5gをイオン交換水20m
lに溶解後、10mM トリス−塩酸緩衝液(2mM C
a2+を含む、pH8.0)に対し一昼夜透析を行った。
次にあらかじめ10mM トリス−塩酸緩衝液(2mM
Ca2+を含む、pH8.0)にて平衡化しておいたDE
AE Bio−GelAカラム(2.5×16cm、バイ
オラッド社製)へ得られた透析内液を吸着させ、同緩衝
液にて洗浄溶出を行った。 洗浄溶出された非吸着蛋白
部分を集め(150ml)、限外濾過(YM−5メンブ
レン、アミコン社製)にて濃縮をおこなった。
0mM トリス−塩酸緩衝液(2mM Ca2+を含む、p
H8.0)にて平衡化しておいたCM Bio−GelA
カラム(2.5×16cm;バイオラッド社製)へ吸着
させ、250mlの同緩衝液にて洗浄溶出後、30mM
塩化カリウムを含む同緩衝液にて、0から30mMの
塩化カリウム濃度勾配溶出を行った(225mlず
つ)。 さらに、同様に30mMから100mMの塩化
カリウム濃度勾配溶出を行った(225mlずつ)。
20mMから30mMの塩化カリウム濃度にて溶出され
てくるアルカリプロテアーゼK−16Hを含有する画分
を集め(180ml)、限外濾過にて濃縮を行った。
M トリス−塩酸緩衝液(2mM Ca2+を含む、pH
8.0)にて平衡化しておいたCM Bio−GelAカ
ラム(1.6×16cm;バイオラッド社製)へ吸着さ
せ、150mlの同緩衝液にて洗浄溶出後、25mM
塩化カリウムを含む同緩衝液にて、0から25mMの塩
化カリウム濃度勾配溶出を行った(150mlずつ)。
各フラクションの電気泳動の結果から、アルカリプロ
テアーゼK−16Hのみを含む画分を集め(12.5m
l)、限外濾過にて濃縮し(1ml)、最終濃度が20
%(V/V)となるようにグリセロールを添加し、使用時
まで−20℃にて保存した。
(総括性、79,560U;総蛋白、918mg;比活
性、86.7U/mg)より、ポリアクリルアミドゲル
電気泳動並びにSDS−ポリアルリルアミドゲル電気泳
動にて均一なアルカリプロテアーゼK−16H(総活
性、408U;精製蛋白質、3.4mg;比活性、12
0U/mg)を得ることができた。
ゼK−16から均一に精製された本発明のアルカリプロ
テアーゼK−16Hは、各種の界面活性剤中で安定であ
る。従って、本発明酵素は洗浄剤配合用酵素として極め
て優れたものであり、洗剤等に有利に利用することがで
きるものとする。
を示す図面。
性試験の結果を示す図面。
を示す図面。
試験の結果を示す図面。 以 上
RSTEN;メルク社製)1%(w/v)を含む50m
Mホウ酸−NaOH緩衝液(pH10.0)1mlを4
0℃で5分間保温した後、0.1mlの酵素液を加え、
反応を開始した。40℃で10分間反応させた後、反応
停止液(0.123M トリクロロ酢酸−0.246M
酢酸ナトリウム−0.369M酢酸)2mlを加え、
室温にて約20分間放置した。生成した沈澱物を濾紙
(No.2濾紙;ワットマン社製)により除去し、濾液
中の酸可溶性蛋白分解物をフォーリン・ローリー法によ
り比色定量した。尚、酵素1単位(U)は、上記反応条
件下において、1分間に1μmolのチロシンに相当す
る酸可溶性蛋白分解物を遊離する酵素量とした。
ぼす影響を調べた。すなわち、5%(w/v)の界面活
性剤及び10%(v/v)エタノールを含む0.1M
トリス−塩酸緩衝液(pH9.0)に2.0Uのアルカ
リプロテアーゼK−16Hを加え、40℃にて4時間放
置した。この処理液を50mMホウ酸−NaOH緩衝液
(pH10.0)で10倍に希釈し、酵素活性を測定し
た。酵素添加直後の活性を100とし、残存活性をその
相対値として表4に示した。
界面活性剤が高濃度(5%)存在しても高い安定性を示
すものであった。また、市販の洗剤用アルカリプロテア
ーゼの1.0%(w/v)各種界面活性剤に対する安定
性と比較しても、本酵素は界面活性剤中で非常に安定で
あった。
ピーKSM−K16(微工研条寄第3376号)株を、
下記の培地Aに1白金耳接種し、30℃で24時間好気
的に振盪培養を行い、種培養液を得た。次に、得られた
種培養液を、下記の培地Bへ2%(v/v)接種し、3
0℃で48時間好気的に振盪培養を行い、アルカリプロ
テアーゼK−16を含む培養液1リットルを得た。
0,000rpm:5分間)して菌体を除去し、その上
清液を限外濾過膜(分画分子量5,000)にて濃縮
し、凍結乾燥した。得られた粉末1.5gをイオン交換
水20mlに溶解後、10mM トリス−塩酸緩衝液
(2mM Ca2+を含む、pH8.0)に対し一昼夜
透析を行った。次にあらかじめ10mM トリス−塩酸
緩衝液(2mMCa2+を含む、pH8.0)にて平衡
化しておいたDEAE Bio−Gel Aカラム
(2.5×16cm、バイオラッド社製)へ得られた透
析内液を吸着させ、同緩衝液にて洗浄溶出を行った。
洗浄溶出された非吸着蛋白部分を集め(150ml)、
限外濾過(YM−5メンブレン、アミコン社製)にて濃
縮をおこなった。
0mM トリス−塩酸緩衝液(2mM Ca2+を含
む、pH8.0)にて平衡化しておいたCM Bio−
GelAカラム(2.5×16cm;バイオラッド社
製)へ吸着させ、250mlの同緩衝液にて洗浄溶出
後、30mM 塩化カリウムを含む同緩衝液にて、0か
ら30mMの塩化カリウム濃度勾配溶出を行った(22
5mlずつ)。さらに、同様に30mMから100mM
の塩化カリウム濃度勾配溶出を行った(225mlず
つ)。20mMから30mMの塩化カリウム濃度にて溶
出されてくるアルカリプロテアーゼK−16Hを含有す
る画分を集め(180ml)、限外濾過にて濃縮を行っ
た。
M トリス−塩酸緩衝液(2mMCa2+を含む、pH
8.0)にて平衡化しておいたCM Bio−Gel
Aカラム(1.6×16cm;バイオラッド社製)へ吸
着させ、150mlの同緩衝液にて洗浄溶出後、25m
M 塩化カリウムを含む同緩衝液にて、0から25mM
の塩化カリウム濃度勾配溶出を行った(150mlず
つ)。各フラクションの電気泳動の結果から、アルカリ
プロテアーゼK−16Hのみを含む画分を集め(12.
5ml)、限外濾過にて濃縮し(1ml)、最終濃度が
20%(v/v)となるようにグリセロールを添加し、
使用時まで−20℃にて保存した。
(総括性、79,560U;総蛋白、918mg;比活
性、86.7U/mg)より、ポリアクリルアミドゲル
電気泳並びにSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
にて均一なアルカリプロテアーゼK−16H(総活性、
408U;精製蛋白質、3.4mg;比活性、120U
/mg)を得ることができた。
ゼK−16から均一に精製された本発明のアルカリプロ
テアーゼK−16Hは、各種の界面活性剤中で安定であ
る。従って、本発明酵素は洗浄剤配合用酵素として極め
て優れたものであり、洗剤等に有利に利用することがで
きるものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記の酵素学的性質を有するアルカリプ
ロテアーゼK−16H。 (1)作 用 単純蛋白質及び複合蛋白質を加水分解し、オリゴペプチ
ド又はアミノ酸を生成する。 (2)基質特異性 カゼイン、ヘモグロビン等の水可溶性蛋白質ならびにケ
ラチン、エラスチン等の水不溶性蛋白質に対して良好な
活性を有する。 (3)至適pH カゼインを基質とし、種々の緩衝液中で40℃、10分
間反応を行った場合、至適pHは、9.0〜11.0であ
る。さらに、pH6.0〜13.0の範囲で最大活性値の
50%以上の活性を有する。 (4)pH安定性 種々の緩衝液中にCa2+を加え、55℃で10分間処理
した場合、pH5.0〜12.0の範囲で極めて安定であ
る。 (5)至適温度 カゼインを基質とし、pH10.0で反応を行った場
合、至適温度は55℃である。 (6)耐熱性 pH9.0、50℃にて10分間処理した場合、または
Ca2+を加え60℃にて10分間処理した場合、90%
以上の残存活性を有する。 (7)分子量 28,000±1,000(ドデシル硫酸ナトリウム(S
DS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による)。 (8)金属イオンの影響 カゼインを基質とした場合、Hg2+で活性が阻害され
る。また、Ca2+で熱安定性及びpH安定性が増大す
る。 (9)阻害剤の影響 エチレンジアミン四酢酸、p−クロロマーキュリー安息
香酸、アンチパインで活性が阻害されない。フェニルメ
タンスルホニルフルオリド、キモスタチンによって活性
が阻害される。 (10)界面活性剤の影響 ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、α−オレ
フィンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナト
リウム、α−スルホ脂肪酸エステル等の界面活性剤が高
濃度に存在しても、極めて安定である。 - 【請求項2】 バチルス属に属する微生物により産生さ
れるものである請求項第1項記載のアルカリプロテアー
ゼK−16H。 - 【請求項3】 バチルス属に属する微生物が、バチルス
・エスピー(Bacillus sp.)KSM−K16
である請求項第2項記載のアルカリプロテアーゼK−1
6H。
Priority Applications (1)
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