JPH06181357A - 波長可変固体レーザ発振装置 - Google Patents

波長可変固体レーザ発振装置

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JPH06181357A
JPH06181357A JP35319092A JP35319092A JPH06181357A JP H06181357 A JPH06181357 A JP H06181357A JP 35319092 A JP35319092 A JP 35319092A JP 35319092 A JP35319092 A JP 35319092A JP H06181357 A JPH06181357 A JP H06181357A
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prism
resonator
laser
state laser
pulse
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JP35319092A
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Inventor
Takamichi Kobayashi
尊道 小林
Naoya Hamada
直也 浜田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 共振器内部にレーザ媒質以外の素子を複数配
置することなく、如何なる波長可変固体レーザ媒質を用
いた場合でも、極短パルスを発生できる簡便な共振器構
成の波長可変固体レーザ発振装置を得る。 【構成】 波長可変固体レーザ媒質と、少なくとも2枚
の凹面形状の反射鏡を有する共振器と、前記固体レーザ
媒質に比し高い非線形屈折率を有する材料からなるプリ
ズムと、前記共振器の長さを制御する機能を有する素子
と、孔径可変なスリットとを備える波長可変固体レーザ
発振装置に於いて、前記プリズムを前記凹面形状反射鏡
の焦点位置に、前記スリットを前記共振器内部に配置す
ることを特徴とする波長可変固体レーザ発振装置を提供
することにより、非線形屈折率の大きさに関係なく全て
の波長可変固体レーザ媒質に於いて、高ピーク光強度を
有する極短パルスレーザ光の発生を廉価に実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、波長可変固体材料をレ
ーザ媒質とする波長可変固体レーザ発振装置に於いて、
共振器内に配置したプリズムによって波長可変極短パル
スレーザ光を発生する波長可変固体レーザ発振装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、発振波長を数100nm程度の範
囲で自由に調整できる波長可変固体レーザ発振装置が注
目されている。代表的な波長可変固体レーザ媒質として
は、チタンサファイア(Ti:Al23:発振波長0.
70μm〜1.05μm)、クロムフォルステライト
(Cr:Mg2SiO4:発振波長1.15μm〜1.3
5μm)クロムライサフ(Cr:LiSrAlF6:発
振波長 0.75μm〜1.00μm)等がある。
【0003】このような波長可変固体レーザ媒質を用い
て極短パルスの波長可変レーザ光を発生させる装置とし
ては、図3に示すように、反射鏡15と出力鏡16とか
らなる共振器内部に、レーザ媒質1と、2枚のレンズ1
0と、複屈折性フィルタ、グレーティング、プリズム等
の波長選択素子17と、モード同期素子18とを配置さ
せたものが一般的であり、雑誌”IEEE J.Qua
ntum Electron.”,27,1048(1
991).に示されている。
【0004】しかしながら上述のレーザ発振装置に於い
ては、共振器内部にレーザ媒質1以外の素子を複数配置
するために、構造が複雑で損失の多い構成となり、一般
に利得の低い波長可変固体レーザ媒質を用いる場合は、
発振効率が低下するという欠点があった。
【0005】一方、極短パルスを発生させる手段として
は能動モード同期(強制モード同期)素子として知られ
る音響光学素子を装置内に挿入する方法が一般的であ
る。レーザ発振が生じている共振器内部には、共振器長
から決定される周波数間隔を持った複数の縦モードが存
在するために、出力に不規則な変動が生じる。しかし、
音響光学素子に高周波電界をかけて定在波を発生させる
と、この定在波が共振器内部のレーザ光に対して回折格
子の役割を果たすため、各縦モード間の位相が揃い、共
振器内部では、次式、
【0006】
【数1】
【0007】で表される周波数Fと、
【0008】
【数2】
【0009】で表される時間幅tpとを有する周期性極
短パルス列となる。ここでLは共振器長、cは光速、Δ
νはレーザ媒質のスペクトル幅である。
【0010】しかし、上述したような音響光学素子をモ
ード同期素子として使用し、能動的にモード同期をかけ
る場合は、高周波電界をかけるための駆動高周波電源が
必要となり、装置がより煩雑なものになってしまうとい
う欠点があった。
【0011】一方、共振器内部に可飽和色素を挿入し、
受動モード同期素子として作用させ、波長可変固体レー
ザのモード同期を実現する方法が雑誌”Appl.Ph
ys.Lett.”,56,814(1990).に示
され、公知の技術となっている。受動モード同期とは、
共振器内部の損失の時間的変調を共振器を構成する系自
体が行うもので、可飽和色素がその作用を担っている。
可飽和色素は発振光のエネルギーを吸収し、吸収したエ
ネルギー量の総和が吸収飽和しきい値を越えると、発振
光に対する透過率が急激に上昇する素子である。つま
り、この可飽和色素はゆらいでいる小パルスの裾野の部
分を吸収し、ピークの部分を透過する。このピークの部
分はレーザ媒質により増幅されてパルスが成長し、再び
過飽和色素を透過することでパルスの裾野が吸収され時
間幅が更に狭くなる。この一連の動作を繰り返すこと
で、次式、
【0012】
【数3】
【0013】に示した周波数Fを持つ極短パルスが発生
する。
【0014】ところが、この可飽和色素は、発振光のエ
ネルギーの吸収体として作用する寿命が短い。よって、
過飽和色素をモード同期素子として用いた波長可変固体
レーザ装置に於ては、頻繁に色素の交換をしなければな
らないという煩雑な操作が必要となり、また、液体であ
る色素を常に流し続けなければならないことに起因し
て、モード同期を長時間に渡り安定的に確保することが
困難であるという欠点があった。
【0015】更に、上記二種類のモード同期手法に於て
は、いずれも共振器内部にレーザ媒質以外にモード同期
素子と波長選択素子とを配置するため、共振器構成が複
雑なものとなり、損失が多く、発振効率の低下が起きる
という欠点があり、一般に利得の低い波長可変レーザで
は、場合によっては発振が困難になることもあった。
【0016】これらの欠点を克服する方法として、図4
に示すような可飽和色素を使用しない受動モード同期法
を用いた装置が、文献”Digest of Conf
erence on Lasers and Elec
tro−Optics”,CPDP7,p583(19
91).に示されている。この装置では、波長可変レー
ザ媒質1であるTi:Al23自身を受動モード同期素
子として利用し、極短パルスの発生にはレーザ媒質1の
3次の非線形効果を利用している。レーザ媒質1の屈折
率nは入射パルス光強度Iに依存して、次式、
【0017】
【数4】
【0018】で示される変化が生じる。尚、n2は非線
形屈折率であり、次式、
【0019】
【数5】
【0020】で表される。ここで、n0は線形屈折率、
χ(3)は3次の非線形感受率、ε0は線形誘電率である。
【0021】この3次の非線形効果により、自己集束効
果と自己位相変調を引き起こす。ここで、自己集束効果
とは光強度の強いレーザ光が3次の非線形媒質に入射す
るとき、そのレーザ光自身が媒質中で集束する現象であ
り、入射光電界強度の3乗に比例して生じる。
【0022】つまり、図5に示すように、入射光は空間
的に強度分布が生じているため、屈折率の空間的変化が
生じ、レーザ光はあたかもレンズを通過するごとくレー
ザ媒質の中央に向かって集束する。この自己集束が起こ
ると、レーザ光が通過するレーザ媒質1の断面積が減少
するので、レーザ媒質1の屈折率はさらに増加し、一層
自己集束が進むことになる。
【0023】一方、自己位相変調とは、次式、
【0024】
【数6】
【0025】で示されるように周波数ω(t)が時間t
と共にシフトし、入射光パルスがレーザ媒質を通過する
際に、パルスの立ち上がりは長波長側にスペクトルを広
げ、パルスの立ち下がりは短波長側にスペクトルを広げ
る現象である。スペクトル幅が広がれば、原理的に到達
し得るパルス幅は短くなり、一層時間幅の短い極短パル
スの発生が可能となる。
【0026】ここで、モード同期がかかる手順を図4を
用いて説明する。
【0027】共振器中のガラス板20を図中に記載して
いないモータにより回転させ、共振器長を変化させて、
レーザ光の縦モードに変調のきっかけを起こし、発振光
に光強度の強い部分、即ち小さなパルスを発生させる。
このパルスがレーザ媒質1を通過することにより光電界
強度の3乗に比例して自己位相変調が起こり、パルスに
含まれる周波数成分が増加する。すると、変調のかかる
周波数成分すなわち縦モードが増えることによって、は
じめに発生したパルスは多くの縦モードの重ね合わせに
よって、その時間幅が狭まり、光強度が増加する。次
に、このパルスを含んだレーザ光がレーザ媒質1を通過
すると、パルスのピーク部分が媒質に蓄積されたエネル
ギーの多くを吸収し、パルスが増幅され成長すると共
に、更に自己位相変調が起こる。その結果、パルスに含
まれる周波数成分が更に増加し、変調のかかる周波数成
分が増えることによってパルスがより急峻なものとな
る。
【0028】また、ガラス板20をモータにより回転さ
せ、共振器長を変化させることにより、縦モードに変調
をかけている時間は数msec以下であるが、パルスが
共振器を往復する時間は10nsec程度であるので、
パルスは数万回共振器を往復することになり、その間
に、モードロックが完成し極短パルスが発生する。ま
た、パルスが成長しピーク光強度が増加すれば、次式、
【0029】
【数7】
【0030】に従って、屈折率nは増加し、共振器中の
焦点位置に配置されたレーザ媒質1には、更に自己集
束、自己位相変調が起こり、安定したモード同期動作が
可能となる。このとき、モードロックパルスのピーク強
度によって、レーザ媒質1の自己集束効果に起因するレ
ーザビーム径の変化が生じるが、スリット6はこのレー
ザビーム径の変化を制限し、安定したモード同期を持続
させている。この、過飽和色素を用いず、受動モード同
期法を用いた装置によれば、レーザ媒質1がモード同期
素子を兼ねているので、損失の少ない、単純な構成の共
振器となる。
【0031】またこの装置に於ては、モードロックパル
スによる位相変調パルスの周波数広がりを補償する為
に、対向した二つのプリズム19が配置されている。レ
ーザ媒質1で生じた周波数広がりをΔωとすると、この
プリズム19によって補正されたパルス幅tpは、次
式、
【0032】
【数8】
【0033】で表される値まで短くすることが出来る。
【0034】しかし、この、過飽和色素を用いず、受動
モード同期法を用いた装置は、Ti:Al23のように
非線形屈折率n2が大きい(1.3×10-13esu)波
長可変固体レーザ媒質には適用出来るが、非線形屈折率
の小さな波長可変固体レーザ媒質には適用できないた
め、汎用性が低い。例えば、Cr:LiSrAlF6
ように非線形屈折率の小さな(n2=0.5×10-13
su)波長可変固体レーザ媒質を用いたレーザ装置に於
ては、モード同期を起こすために充分な自己位相変調を
生じさせるためには、レーザ媒質に非常に大きな光強度
の連続発振光を入射しなければならない。そのためには
強烈な連続励起を行う必要があるが、そのような条件下
ではレーザ媒質の熱レンズ効果により発振効率が低下
し、モード同期がかかるほどの共振器内発振光強度の増
加は不可能となるからである。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術の問題
点に鑑み、本発明の主な目的は、共振器内部にレーザ媒
質以外の素子を複数配置することなく、如何なる波長可
変固体レーザ媒質を用いた場合でも、極短パルスを発生
できる簡便な共振器構成の波長可変固体レーザ発振装置
を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】上述した目的は、本発明
によれば、波長可変固体レーザ媒質と、少なくとも2枚
の凹面形状の反射鏡を有する共振器と、前記固体レーザ
媒質に比し高い非線形屈折率を有する材料からなるプリ
ズムと、前記共振器の長さを制御する機能を有する素子
と、孔径可変なスリットとを備える波長可変固体レーザ
発振装置に於いて、前記プリズムを前記凹面形状反射鏡
の焦点位置に、前記スリットを前記共振器内部に配置す
ることを特徴とする波長可変固体レーザ発振装置を提供
することにより達成され、特に、該レーザ媒質としてク
ロムライサフ(Cr:LiSrAlF6)結晶を用い、
該プリズム媒質としてSF6ガラスを用い、該共振器を
構成する1枚の反射鏡の裏面にピエゾ素子を設置したも
のが良い。また、前記第1のプリズムと等しい非線形屈
折率を有する材料からなる第2のプリズムを、前記第1
のプリズムと対向して前記共振器内部に配置しても良
い。
【0037】
【作用】本発明の作用を図1に基づいて説明する。
【0038】まず始めに図中に示してあるピエゾ素子7
の作用について説明する。
【0039】ピエゾ素子7は共振器長を制御する。ピエ
ゾ素子7に、図示されていない周波数変調をかけた電圧
を印加することにより、共振器長を変化させ、共振器内
に存在する縦モード間に変調をかける。この作用によ
り、モード同期発振が共振器内に生じるきっかけを与え
る。尚、フォトディテクタ9はレーザ発振光のピーク強
度を計測し、ピーク強度がピエゾ素子7に電圧をかける
前の100倍に成長した段階で、ピエゾ素子7を駆動す
るドライバ8にフィードバックをかけて共振器長の変化
を停止させる。また、モードロックが外れ、ピーク強度
が初期状態まで低下した場合、再びピエゾ素子7を駆動
するドライバ8に高周波電圧を印加し、振動を開始させ
て共振器内に存在する縦モード間に変調をかける。
【0040】次にプリズム5の作用について説明する。
【0041】この3次の非線形感受率が大きい材料で作
成された共振器内のプリズム5は、モード同期素子とし
て作用する。即ち、レーザ光が入射すると光電界強度の
3乗に比例して、自己集束効果と、自己位相変調を生じ
させる。この自己位相変調によって、ピエゾ素子7によ
る縦モードの変調によって発生したパルスに含まれる周
波数成分を増加させる。その結果、はじめに発生したパ
ルスは、多くの縦モードの重ね合わせによって時間幅が
狭まり、光強度が増加する。次に、この光強度が増加し
たパルスを含んだレーザ光がレーザ媒質1を通過する
と、パルスのピーク部分がレーザ媒質1に蓄積されたエ
ネルギーの多くを吸収し、パルスが増幅され成長する。
また、レーザ媒質1にも、絶対値こそ大きくないが、パ
ルス光の電界強度の3乗に比例して自己位相変調が生じ
る。その結果、パルスに含まれる周波数成分が更に増加
し、変調のかかる周波数成分が増えることによってパル
スがより急峻なものとなる。
【0042】上記の過程を模式的に図6に示す。図中に
示した実線は、パルスの時間波形を表し、点線はパルス
に含まれるスペクトル成分を表している。上記の過程を
パルスが成長するまで繰り返すことで、レーザ発振はモ
ード同期発振に至り、極短パルスレーザを発生させる。
尚、プリズム5を、単位面積当りの光強度を増加するべ
く、凹面形状を有する曲率を持った反射鏡3と出力鏡4
の焦点位置に配置させることで、非線形効果を発生しや
すくなる。
【0043】また、プリズム5は、波長選択素子として
の作用も受け持っている。
【0044】一般に固体材料の屈折率には波長依存性が
あり、プリズム5にスペクトル幅の広いレーザ光が入射
すると、短波長の光ほど屈折率が高くなるので、入射し
たレーザ光は波長分散を受ける。よって、長波長成分の
光はプリズム5への入射光と出射光のなす角度が小さ
く、短波長の光は入射光と出射光のなす角度が大きくな
り、反射鏡の角度を調節することで分光即ち波長選択が
可能となる。
【0045】つまり、プリズム5を凹面形状を有する曲
率を持った反射鏡3と出力鏡4の焦点位置に配置し、出
力鏡4のレーザ光に対する入射角度を変化させること
で、モード同期素子と波長選択素子の双方の作用を同時
に行うことが可能となる。
【0046】スリット6は、モードロックパルスの巨大
なピーク強度によって生じる、プリズム5の自己集束効
果に起因するレーザビーム径の変化を制限し、安定して
モード同期を持続させる作用を担っている。
【0047】以上に示した作用により、極短パルスが発
生するが、図2に示すように、共振器中に2番目のプリ
ズム13を配置すれば、更に時間幅の短いパルス発振を
得る。このプリズム13はレーザ光軸に対して垂直に移
動することで、分散補償即ち、正のチャープが生じた位
相変調パルス、所謂正のチャープパルスの周波数広がり
を補償する作用を担っている。この正のチャープパルス
とは、パルスの立ち上がりが長波長側成分、パルスのた
ち下がりが短波長成分のスペクトルを有するパルスであ
り、自己位相変調を受けたパルスの特徴である。
【0048】本発明の構成によれば自己位相変調を発生
する媒質としてプリズム5とレーザ媒質1があり、プリ
ズム13を通過する光路長を制御し、プリズム13の線
形分散を利用することで正のチャープを補償する。
【0049】従来、上記の作用を果たすためには図4に
示すようにモード同期素子の他に互いに対向した2つの
プリズムが必要であった。然るに、本発明の波長可変固
体レーザ発振装置によれば、上記に示したように、モー
ド同期機能をプリズム5が担っているため、その構成が
単純なものとなり、共振器損失を少なくすることが可能
となる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の好適実施例を添付の図面につ
いて詳しく説明する。
【0051】図1は、本発明が適用された波長可変固体
レーザ発振装置の一実施例を示す図である。
【0052】レーザ媒質1には、直径が3mm、長手方
向の長さが5mmで、クロムを3原子%添加した、非線
形屈折率n2が0.5×10-13esuのクロムライサフ
(Cr:LiSrAlF6)結晶を使用している。レー
ザ媒質1の励起光源側端面1aには入射角度が0度の時
に780nm〜920nmの波長に対して99%以上の
反射率を有し、580〜680nmの波長に対して99
%以上の透過率を有するコーティングが施され、共振器
を構成する反射鏡の役割を果たしている。出力側の端面
1bには入射角度が0度の時に780nm〜920nm
の波長に対して99%以上の透過率を有するコーティン
グが施されている。励起光源11には発振波長が600
nmの色素レーザを用いられ、そのレーザ光は焦点距離
が5cmのレンズ10により集光して端面1aに入射す
る。共振器を構成する3枚の反射鏡のうち、反射鏡2、
3の表面は焦点距離が10cmの凹面形状であり、入射
角度が15度のときに780nm〜920nmの波長に
対して99%以上の反射率を有するコーティングが施さ
れている。反射鏡4の表面は焦点距離が10cmの凹面
形状であり、入射角度が0度のときに780nm〜92
0nmの波長に対して97%以上の反射率を有するコー
ティングが施された出力鏡である。尚、共振器長は概ね
60cmである。
【0053】共振器中に配置されたプリズム5は非線形
屈折率n2が8.9×10-13esuであるSF6ガラス
で構成され、その頂点の角度は60.4度であり、P偏
光(直線偏光)を有する発振光に対して、概ねブリュー
スタ角を満足している。スリット6はマイクロメータを
用いて20μm単位でビーム径を制御できる精密可変ス
リットである。反射鏡3の後方にはピエゾ素子7が付着
し、共振器長を変化させている。ピエゾ素子7のドライ
バ8にはフィードバック制御回路を用いている。フォト
ディテクタ9はレーザ発振光のピーク強度を計測し、ピ
ーク強度がピエゾ素子7に電圧をかける前の100倍に
成長した段階で、ピエゾ素子7を駆動するドライバ8に
フィードバックをかけて共振器長の変化を停止させる。
【0054】以上の構成により、2psec,1kWの
光ピーク強度極短パルス光を得た。
【0055】図2は、本発明が適用された波長可変固体
レーザ発振装置の他の実施例を示す図である。
【0056】レーザ媒質1及び反射鏡2、3及び励起光
源11、レンズ10、プリズム5、ピエゾ素子7、ドラ
イバ8、フォトディテクタ9の特性及び配置は実施例と
同等である。
【0057】反射鏡12の表面は焦点距離が10cmの
凹面形状であり、入射角度が15度のときに780nm
〜920nmの波長に対して99%以上の反射率を有す
るコーティングが施されている。反射鏡14の表面は焦
点距離が30cmの凹面形状であり、入射角度が0度の
ときに780nm〜920nmの波長に対して97%以
上の反射率を有するコーティングが施された出力鏡であ
る。プリズム13は非線形屈折率n2=8.9×10-13
esuのSF6ガラスで構成され、その頂点の角度は6
0.4度であり、P偏光(直線偏光)を有する発振光に
対して、概ねブリュースタ角を満足しており、プリズム
5と対向して配置している。尚、プリズム13は、図示
されていないマイクロメータを用い、0.5μm単位で
レーザ光軸に対して垂直に移動することが可能となって
いる。出力鏡14の近傍に設置されたスリット6は図示
されていないマイクロメータを用いて20μm単位でビ
ーム径を制御できる精密可変スリットである。尚、共振
器長は概ね85cmである。
【0058】以上の構成により、200fsec,8k
Wの光ピーク強度極短パルス光を得た。
【0059】尚、本発明に使用可能な波長可変レーザ媒
質としては、Cr:LiSrAlF6(クロムライサ
フ)以外に、非線形屈折率の比較的小さなCr:Mg2
SiO6(クロムフォルステライト)、また、非線形屈
折率の比較的大きなTi:Al23(チタンサファイ
ア)等の結晶がある。また、プリズム5に使用する材料
は非線形屈折率の大きな材料で有ればよく、例えば、S
F6ガラス以外にもSF7、SF56ガラス等であって
もよい。またレーザ媒質1の励起手法は、レーザ励起、
ランプ励起のいずれであってもよい。さらに、共振器長
を制御する手法としては、ピエゾ素子7の他にガラス板
をモータ等で回転させてもよい。
【0060】
【発明の効果】以上の説明により明かなように、本発明
による波長可変固体レーザ発振装置によれば、共振器中
に多数の光学素子を配置することによる発振効率の低下
を招くことなく、波長選択素子であるプリズムの自己位
相変調に起因する受動モード同期によって、非線形屈折
率の大きさに関係なく全ての波長可変固体レーザ媒質に
於いて、高ピーク光強度を有する極短パルスレーザ光の
発生を廉価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による波長可変固体レーザ発振装置の一
実施例の構成を示した図である。
【図2】本発明による波長可変固体レーザ発振装置の他
の実施例の構成を示した図である。
【図3】従来技術の過飽和色素を用いた波長可変固体レ
ーザ発振装置の構成例を示した図である。
【図4】従来技術の過飽和色素を用いない波長可変固体
レーザ発振装置の構成例を示した図である。
【図5】自己集束効果を説明するための模式図である。
【図6】本発明による波長可変固体レーザ発振装置に於
ける、極短パルスの成長過程を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 レーザ媒質 1a ミラーコーティング 1b ミラーコーティング 2、3、12、15 反射鏡 4、14、16 出力鏡 5、13 非線形屈折率の高いプリズム 6 スリット 7 ピエゾ素子 8 ドライバ 9 フォトディテクタ 10 レンズ 11 励起光源 17 波長選択素子 18 モード同期素子 19 プリズム 20 ガラス板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長可変固体レーザ媒質と、少なくと
    も2枚の凹面形状の反射鏡を有する共振器と、前記固体
    レーザ媒質に比し高い非線形屈折率を有する材料からな
    るプリズムと、前記共振器の長さを制御する機能を有す
    る素子と、孔径可変なスリットとを備える波長可変固体
    レーザ発振装置に於いて、 前記プリズムを前記凹面形状反射鏡の焦点位置に、前記
    スリットを前記共振器内部に配置することを特徴とする
    波長可変固体レーザ発振装置。
  2. 【請求項2】 前記第1のプリズムと等しい非線形屈
    折率を有する材料からなる第2のプリズムを、前記第1
    のプリズムと対向して前記共振器内部に配置することを
    特徴とする請求項1に記載の波長可変固体レーザ発振装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2018092813A1 (ja) * 2016-11-16 2019-10-17 国立大学法人電気通信大学 レーザ共振器、及びレーザ共振器の設計方法
CN116526269A (zh) * 2023-05-22 2023-08-01 北京国光领航科技有限公司 实现波长可自动调谐的锁模钛宝石飞秒激光振荡器及方法

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CN116526269B (zh) * 2023-05-22 2024-01-30 北京国光领航科技有限公司 实现波长可自动调谐的锁模钛宝石飞秒激光振荡器及方法

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