JPH0617333U

JPH0617333U - 進相コンデンサおよび直列リアクトルの保護装置

Info

Publication number: JPH0617333U
Application number: JP5254192U
Authority: JP
Inventors: 幹汎越智
Original assignee: Meidensha Corp
Current assignee: Meidensha Corp
Priority date: 1992-07-27
Filing date: 1992-07-27
Publication date: 1994-03-04

Abstract

(57)【要約】【目的】進相コンデンサ設備に流入する電流を検出し
過電流から保護する装置において、進相コンデンサ５お
よび直列リアクトル４を有効に保護することができるよ
うにする。【構成】進相コンデンサ設備に流れる電流を変流器６
で検出し、電流−電圧変換回路８によって電圧変換し、
基本波および高調波成分毎に演算回路９で２乗演算し合
計値を求める。動作値設定器１０で設定され、熱的過電
流耐量に応じた基本動作値を、演算回路１１で２乗演算
する。演算回路９、１１の出力を時限要素付比較回路１
２で比較し、基本動作値以上であるときに保護動作出力
を出し、リレー１６を駆動させ保護を行う。動作時限設
定器１３、１４により動作時限Ｔ₁、Ｔ₂を設定し、突入
電流等による誤動作を防止する。短時間領域では比率設
定器１５の設定比率αを前記基本動作値に乗じて基本動
作値を変更する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は進相コンデンサ設備の過電流保護に係り、特に進相コンデンサおよび直列リアクトルの保護装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の過電流継電器は、誘導円板形、電子回路を応用した静止形、マイクロコンピュータを応用したディジタル形等が用いられている。これらはいずれも送電線、変圧器、発電機、電動機等の保護を目的としたもので、電源の基本波に対して有効に作用するような特性を持ち、且つ被保護機器の焼損特性等に合わせて作られている。

【０００３】進相コンデンサ設備の過電流保護も前記のような過電流継電器が適用されてきたが、従来方法では必ずしも適正な保護がなされているとは言えない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

進相コンデンサ設備には次のような特異性があり、従来の過電流継電器では保護が困難である。（１）進相コンデンサ設備の運転中は１００％前後の電流が流れ、電動機のように負荷に応じて電流が増減することがない。

【０００５】（２）電源電圧に応じて電流は増減するが、過電圧も規定値（高圧進相コンデンサの場合１１５％）までは正常範囲であり、正常値と異常値にあまり差がない。

【０００６】（３）進相コンデンサ設備では電源投入時に極めて過大な突入電流が流れるが、これは正常な現象である。

【０００７】（４）最近は電源波形を歪ませる要因になるインバータ等を応用した電気品が増加し、電源波形の歪みが大幅に増えている。電源波形の歪みは進相コンデンサ設備に大変大きな高調波電流を流入させることになり、コンデンサ破壊の大きな要因になるが、これもある限度内（高圧進相コンデンサの場合１３５％、直列リアクトルの場合１２０％）は正常範囲である。

【０００８】（５）進相コンデンサは一般に複数の素子を直列にして構成されているので、特に３相の素子がＹ状に結線された場合、電流の増加があまり大きくないので、電流による異常検出は困難である。

【０００９】本考案は上記の点に鑑みてなされたものでその目的は、進相コンデンサ設備の過電流保護を適正に行うことができる進相コンデンサおよび直列リアクトルの保護装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案は、進相コンデンサ設備に流入する電流の基本波および高調波成分に基づいて検出量を求める第１の演算回路と、過電流保護の動作値が設定される設定器の設定信号に基づいて設定量を求める第２の演算回路と、所定の動作時限設定機能を有し、前記第１、第２演算回路で求められた検出量と設定量を比較し、長時限領域では、前記検出量と設定量の比が進相コンデンサ又は直列リアクトルの熱的過電流耐量に応じた基本動作値以上であるときに保護動作出力を発し、短時限領域では、前記検出量と設定量の比が、前記基本動作値と、連続過電流耐量および短時間過電流耐量の比に相当する設定比率とを乗算した値以上であるときに、保護動作出力を発する時限要素付比較回路とを備え、前記時限要素付比較回路の保護動作出力によって過電流保護を行うことを特徴としている。

【００１１】

【作用】

時限要素付比較回路の短時限要素は、突入電流によって誤動作しない時限に設定し、長時限要素は電源回路の変圧器の励磁突入時の異常電流等により誤動作しない時限に設定しておく。いま長時限領域においては、第１、第２演算回路で求められた検出量と設定量の比が基本動作値以上のとき保護動作出力が発せられる。前記基本動作値は進相コンデンサ又は直列リアクトルの熱的連続過電流耐量に応じた値であるので、該過電流耐量を越える以前に保護を行うことができる。

【００１２】また短時限領域においては、前記検出量と設定量の比が、基本動作値に設定比率を乗算した値以上のとき保護動作出力が発せられる。前記基本動作値に設定比率を乗算した値は、進相コンデンサ又は直列リアクトルの熱的短時間過電流耐量に応じた値であるので、該過電流耐量を越える以前に保護を行うことができる。

【００１３】前記時限要素付比較回路は動作時限設定機能を有しているので、電源投入時の突入電流等によって誤動作することはない。

【００１４】

【実施例】

以下図面を参照しながら本考案の一実施例を説明する。図１において、電源母線１にはパワーヒューズ２、開閉器３および直列リアクトル４を介して進相コンデンサ５が接続されている。６は進相コンデンサ設備に流入する電流を検出し低圧の電流に変換する変流器である。変流器６の出力電流は過電流保護装置７の電流−電圧変換回路８に入力される。電流−電圧変換回路８は変流器６の出力電流を、装置内部で演算するための電圧信号に変換する。９は電流−電圧変換回路８の出力信号の基本波及び高調波成分毎に２乗演算をした後合計値を求める演算回路である。１０は過電流保護の動作値を設定する動作値設定器である。１１は動作値設定器１０の動作値を２乗演算する演算回路である。

【００１５】１２は演算回路９の出力（電流検出量）と演算回路１１の出力（設定量）とを比較し、前記電流検出量と設定量の比が進相コンデンサ５又は直列リアクトル４の熱的過電流耐量に応じた基本動作値以上であるときに保護動作出力を発する時限要素付比較回路である。この時限要素付比較回路１２は動作時限設定器１３，１４による動作時限設定機能を有し、比率設定器１５による基本動作値変更機能を有している。１６は時限要素付比較回路１２の保護動作出力により動作するリレーである。

【００１６】上記のように構成された装置において、時限要素付比較回路１２の動作特性は図２のように示される。前記動作時限設定器１３は突入電流時の誤動作を防止するものであり、その設定時間Ｔ₁は通常０．１〜２秒程度に設定しておく。また動作時限設定器１４は電源回路の変圧器の励磁突入時の異常電流等による誤動作を防止するものであり、その設定時間Ｔ₂は通常５秒〜１分程度に設定しておく。

【００１７】進相コンデンサ５の熱的連続過電流耐量は、

【００１８】

【数１】

【００１９】であるので、前記時限要素付比較回路１２における基本動作値は１．３５に設定しておく。尚直列リアクトル４の熱的過電流耐量は、

【００２０】

【数２】

【００２１】であるので、直列リアクトル付きの場合には前記基本動作値は１．２に設定しておく。

【００２２】上記のように設定しておけば設定時間Ｔ₂以上の連続と考えられる領域では、演算回路９と演算回路１１の出力の比（時限要素付比較回路１２の入力比Ｘ₁／Ｘ₂）が前記基本動作値以上となる図示領域１で時限要素付比較回路１２から保護動作出力が発せられる。このためリレー１６が動作して過電流の保護を行うことができる。

【００２３】進相コンデンサ５の熱的短時間過電流耐量は、前記熱的連続過電流耐量よりも数十％は大きく、且つＹ結線の進相コンデンサの１相事故時の異常電流は１．７〜３倍流れるので、比率設定器１５の設定値αは１．１〜１．５倍に設定しておく。このように設定しておけば短時間（但し設定時間Ｔ₁以上）で大電流が流れる場合に、演算回路９と演算回路１１の出力の比（時限要素付比較回路１２の入力比Ｘ₁／Ｘ₂）が前記基本動作値に設定値αをかけた値以上となる図示領域２で、時限要素付比較回路１２から保護動作出力が発せられる。このためリレー１６が動作して過電流の保護を行うことができる。

【００２４】尚前記以上の大電流が瞬時に流れる領域はパワーヒューズ２で保護することができる。また前記演算回路９，１１は２乗演算の回路に限らず概算回路でも良い。

【００２５】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、進相コンデンサ設備に流入する電流の検出量を求める第１の演算回路と、過電流保護の動作値に基づいて設定量を求める第２の演算回路と、所定の動作時限設定機能を有し、長時限領域では前記第１の演算回路で求められた検出量と第２の演算回路で求められた設定量を比較し、短時間領域では前記検出量と、設定量に設定比率をかけた量とを比較する時限要素付比較回路とを設け、該時限要素付比較回路の出力によって保護動作を行うように構成したので、次のような優れた効果が得られる。

【００２６】（１）進相コンデンサおよび直列リアクトルの有効な保護が可能となる。（２）特に最近高調波が社会問題となっている状況では、コンデンサに過大な負担をかける前に保護動作するので、設備を劣化させることがない（従来の過電流継電器では、一般的に進相コンデンサや直列リアクトルに相当なダメージを与えた後でないと動作しないので、再使用することはできなかった）。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す回路図。

【図２】本考案の時限要素付比較回路の動作特性を示す
特性図。

【符号の説明】

４…直列リアクトル５…進相コンデンサ６…変流器７…過電流保護装置８…電流−電圧変換回路９，１１…演算回路１０…動作値設定器１２…時限要素付比較回路１３，１４…動作時限設定器１５…比率設定器１６…リレー

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】進相コンデンサ設備に流入する電流の基
本波および高調波成分に基づいて検出量を求める第１の
演算回路と、過電流保護の動作値が設定される設定器の設定信号に基
づいて設定量を求める第２の演算回路と、所定の動作時限設定機能を有し、前記第１、第２演算回
路で求められた検出量と設定量を比較し、長時限領域で
は、前記検出量と設定量の比が進相コンデンサ又は直列
リアクトルの熱的過電流耐量に応じた基本動作値以上で
あるときに保護動作出力を発し、短時限領域では、前記
検出量と設定量の比が、前記基本動作値と、連続過電流
耐量および短時間過電流耐量の比に相当する設定比率と
を乗算した値以上であるときに、保護動作出力を発する
時限要素付比較回路とを備え、前記時限要素付比較回路の保護動作出力によって過電流
保護を行うことを特徴とする進相コンデンサおよび直列
リアクトルの保護装置。