JPH06173097A - 硫酸銅めっき方法 - Google Patents

硫酸銅めっき方法

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JPH06173097A
JPH06173097A JP32313992A JP32313992A JPH06173097A JP H06173097 A JPH06173097 A JP H06173097A JP 32313992 A JP32313992 A JP 32313992A JP 32313992 A JP32313992 A JP 32313992A JP H06173097 A JPH06173097 A JP H06173097A
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靖弘 唐橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 穴径に比較して長さが大きい高アスペクト比
のスルーホールを有するプリント基板のめっき処理にお
いて、良好な均一電着性を実現できるとともに、めっき
液管理が容易でめっき液の長寿命化を図れる硫酸銅めっ
き方法の提供を目的とする。 【構成】 添加剤を所定の濃度で添加した硫酸銅めっき
液2を、一の陰極としての被めっき基板3での陰極電流
密度を低電流密度(約0.2〜0.8Amp/dm2
に設定して電解するとともに、他の陰極での陰極電流密
度を高電流密度(約1.5Amp/dm2 以上)に設定
して電解する。低電流密度による電解で被めっき基板3
に均一電着性の良好な銅層が形成され、高電流密度によ
る電解でめっき液2中の添加剤成分のうち低電流密度に
よる電解では分解されない成分が分解される。尚、5は
陽極、6,7は整流器(電源)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプリント基板のスルーホ
ールめっき処理等に採用される硫酸銅めっき方法に関す
る。
【0002】近年の電子計算機等の電子機器の小型化、
高速化の要請から、それに使用されるプリント基板も高
多層化、スルーホールの小径化を図る必要が生じてお
り、穴径に比較してスルーホール長さが大きいスルーホ
ール(高アスペクト比のスルーホール)を有するプリン
ト基板のスルーホールめっき処理工程において、良好な
均一電着性(スローイングパワー)を実現し、高信頼な
プリント基板を提供する必要がある。
【0003】プリント基板のスルーホールめっき処理工
程に採用されるめっき方法としては、各種のものがある
が、中でも硫酸銅めっき方法は、析出銅の物性が良好で
あること等から多く採用されている。そして、硫酸銅め
っき方法に使用されるめっき液中には均一電着性向上の
ために化合物添加剤が所定濃度で添加されるが、これの
影響によるめっき液の劣化を有効に防止し、めっき液の
長寿命化を図るとともに、添加剤濃度の管理の容易化を
図ることができる硫酸銅めっき方法の提供が要望されて
いる。
【0004】
【従来の技術】硫酸銅めっき方法に使用される硫酸銅め
っき液は、硫酸銅(CuSO4 ・5H 2 O)、硫酸(H
2 SO4 )、微量の塩素イオン(Cl- )を主成分と
し、これにニカワ、ペプトン、レゾルシノール、チオ尿
素、デキストリン等を含む化合物添加剤が所定の濃度で
添加されて構成される。
【0005】添加剤は電解の継続実施により消耗される
ので、めっき液中の添加剤の濃度を管理し、随時所定の
濃度となるように、追加的に添加される。ところで、穴
径に比較してスルーホール長さがそれほどでもない通常
のスルーホールを有するプリント基板のめっき処理にお
いては、陰極としての被めっき基板の陰極電流密度は通
常電流密度(約1.2〜1.5Amp/dm2 )で実施
されている。
【0006】しかし、上述したような穴径に比較してス
ルーホール長さが大きい高アスペクト比のスルーホール
を有するプリント基板のめっき処理においては、陰極と
しての被めっき基板の陰極電流密度を通常電流密度とし
たのでは、良好な均一電着性を実現することができず、
このため、陰極としての被めっき基板の陰極電流密度は
低電流密度(約0.2〜0.8Amp/dm2 )に設定
されて電解される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ここで、図5に本発明
者等が実施した実験結果に基づく、通常電流密度のみに
よる電解処理の場合と低電流密度のみによる電解処理の
場合における添加剤消耗量と電解処理時間との関係を示
す。尚、添加剤濃度の測定はCVS法(Cyclic−
Voltammetric−Stripping:循環
電極電位剥離法)によった。
【0008】同図から明らかなように、通常電流密度に
よる場合には比較的に初期の段階を除いて添加剤消耗量
はほぼ一定に推移するのに対し、低電流密度による場合
には添加剤消耗量が一定に推移せずに時間の経過に伴い
どんどん減少することがわかる。
【0009】従って、添加剤はその消耗した分だけ追加
的に添加されることによりめっき液中の濃度が一定に保
たれる必要があるが、低電流密度での電解では添加剤消
耗量が一定しないので、その濃度管理が極めて難しいと
いう問題がある。
【0010】また、添加剤は複数の成分が混合されて構
成されるが、その中には低電流密度での電解では分解さ
れないものもあり、それがめっき液中に蓄積され、銅の
析出性に悪影響を及ぼす等、めっき液の劣化が早く、め
っき液の寿命が短いという問題もある。尚、低電流密度
で電解した場合、添加剤の消耗量が低下するのは、比較
的に高い電流密度域で電解消耗される成分が消耗されず
に蓄積し、このためCVS法による測定では見掛け上の
添加剤濃度の低下が少なくなるものと推測される。
【0011】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、穴径に比較してス
ルーホール長さの大きいスルーホールを有するプリント
基板のめっき処理において、良好な均一電着性を実現で
きるとともに、めっき液中の添加剤の濃度管理が容易
で、めっき液の長寿命化を図ることができる硫酸銅めっ
き方法の提供にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ための本発明の硫酸銅めっき方法は、添加剤を所定の濃
度で添加した硫酸銅めっき液を、一の陰極としての被め
っき基板での陰極電流密度を低電流密度に設定して電解
するとともに、他の陰極での陰極電流密度を高電流密度
に設定して電解することを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明による硫酸銅めっき方法によると、一の
陰極としての被めっき基板での陰極電流密度を低電流密
度(約0.2〜0.8Amp/dm2 )に設定して電解
するようにしたので、良好な均一電着性を実現すること
ができる。
【0014】そして、低電流密度での電解と並行的に他
の陰極での陰極電流密度を高電流密度(約1.5Amp
/dm2 以上)に設定して電解するようにしたので、め
っき液中の添加剤の構成成分のうち、低電流密度での電
解のみによっては分解されない成分が分解され、従っ
て、添加剤の構成成分のうち何らかの成分が蓄積するこ
とは無く、めっき液の劣化が少なくなる。
【0015】また、図4に本発明者等が実施した実験結
果に基づく、通常電流密度のみによる電解処理の場合と
本発明方法による場合における添加剤消耗量と電解処理
時間との関係を示す。尚、添加剤濃度の測定はCVS法
によった。
【0016】同図から明らかなように、本発明方法を使
用したものは、図中実線で示されるように、図中点線で
示される通常電流密度での電解とほぼ同様に、添加剤消
耗量が一定に推移することがわかる。
【0017】従って、添加剤はその消耗した分だけ追加
的に添加されることによりめっき液中の濃度が一定に保
たれるのであるが、本発明方法を採用すれば、添加剤消
耗量が一定するから、その濃度管理が極めて容易とな
る。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明一実施例の構成を示す図である。同
図において、1は単一のめっき槽であり、めっき槽1内
には硫酸銅めっき液2が注入されている。
【0019】硫酸銅めっき液2は、硫酸銅(CuSO4
・5H2 O)、硫酸(H2 SO4 )、微量の塩素イオン
(Cl- )を主成分とし、これにニカワ、ペプトン、レ
ゾルシノール、チオ尿素、デキストリン等を含む化合物
添加剤が所定の濃度で添加されて構成される。添加剤は
電解の継続実施により消耗されるので、めっき液2中の
添加剤の濃度を管理し、随時所定の濃度となるように、
追加的に添加される。
【0020】めっき液2中には、穴径に比較してスルー
ホール長さが大きいスルーホールを有する被めっき基板
3が陰極として配置されるとともに、他の陰極4,4及
び陽極5,5が配置されている。
【0021】6,7は整流器(直流電源)であり、整流
器6,7のプラス側端子は陽極5,5に接続され、整流
器6のマイナス側端子は被めっき基板3に接続され、整
流器7のマイナス側端子は陰極4,4に接続されてい
る。
【0022】この実施例では、陰極としての被めっき基
板3での陰極電流密度が低電流密度0.6Amp/dm
2 となるように、陰極4,4での陰極電流密度が高電流
密度2.5Amp/dm2 となるように、整流器6,7
の印加電圧を含む各種の条件が設定されている。
【0023】一例として、硫酸銅60g/リットル、硫
酸200g/リットル、塩素イオン50ppmを基本組
成として、添加剤濃度を1リットルあたり15ミリリッ
トルに調整した硫酸銅めっき液2にて、各10時間を1
サイクルとして連続電解処理を行い、そのサイクル毎の
添加剤濃度の減少量を調べた。尚、添加剤濃度の計測は
CVS法により、1サイクル完了毎に添加剤濃度を1リ
ットルあたり15ミリリットルに補充調整した。
【0024】同図から明らかなように、5サイクルあた
りから、添加剤濃度の変化がほぼ一定に推移することが
わかる。上記一実施例によると、陰極としての被めっき
基板3での陰極電流密度を低電流密度(0.6Amp/
dm2 )に設定して電解するようにしたので、良好な均
一電着性を実現することができる。
【0025】そして、低電流密度での電解と並行的に他
の陰極4,4での陰極電流密度を高電流密度(2.5A
mp/dm2 )に設定して電解するようにしたので、め
っき液2中の添加剤の構成成分のうち、低電流密度での
電解のみによっては分解されない成分が分解され、従っ
て、添加剤の構成成分のうち何らかの成分が蓄積するこ
とは無く、めっき液2の劣化が少なくなり、めっき液2
の長寿命化を図ることができる。
【0026】また、添加剤はその消耗した分だけ追加的
に添加されることによりめっき液2中の濃度が一定に保
たれるのであるが、本発明方法を採用すれば、比較的に
初期の段階を除いて添加剤消耗量が一定に推移するか
ら、一定時間毎に一定量の添加剤を添加すれば、ほぼ一
定の添加剤濃度を実現でき、その濃度管理が極めて容易
である。
【0027】図3は本発明他の実施例の構成を示す図で
ある。尚、上記一実施例と実質的に同一の部分には同一
の番号を付してその説明の一部を省略する。同図におい
て、1a及び1bはめっき槽であり、めっき槽1aは複
数設けられ、めっき槽1bは一つだけ設けられている。
各めっき槽1a,1b内には硫酸銅めっき液2が注入さ
れている。
【0028】めっき槽1aのめっき液2中には陰極とし
ての被めっき基板3及び一対の陽極5a,5aがそれぞ
れ配置されている。整流器6のプラス側端子は陽極5
a,5aに接続され、整流器6のマイナス側端子は被め
っき基板3に接続されている。陰極としての被めっき基
板3での陰極電流密度が低電流密度(約0.2〜0.8
Amp/dm2 )となるように、整流器6の印加電圧を
含む各種の条件が設定されている。
【0029】めっき槽1bのめっき液2中には陰極4及
び陽極5bが配置されている。整流器7のプラス側端子
は陽極5bに接続され、整流器7のマイナス側端子は陰
極4に接続されている。陰極4での陰極電流密度が高電
流密度(約1.5Amp/dm2 以上)となるように、
整流器7の印加電圧を含む各種の条件が設定されてい
る。
【0030】また、各めっき槽1aとめっき槽1bは、
管路8a,8b及びポンプ9a,9bからなる循環手段
を介して接続されており、めっき槽1aとめっき槽1b
内のめっき液2は、この循環手段により循環されるよう
になっている。
【0031】この実施例によると、各めっき槽1aにて
被めっき基板3に対するめっき処理を行い、めっき槽1
bにてめっき液2中の添加剤成分のうちの低電流密度で
の電解によっては分解されない成分を分解するようにし
ている。めっき槽1aが複数であるのに対し、めっき槽
1bは一つで良く、上記一実施例で同様のことをするの
と比較して効率的である。その他の効果は上記一実施例
と同様である。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による硫酸
銅めっき方法を用いることにより、穴径に比較してスル
ーホール長さの大きいスルーホールを有するプリント基
板のめっき処理において、良好な均一電着性を実現でき
るとともに、めっき液中の添加剤の濃度管理の容易化及
びめっき液の長寿命化を図ることができるという効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明一実施例の構成による実験結果を示す図
である。
【図3】本発明他の実施例の構成を示す図である。
【図4】通常電流密度のみによる電解処理の場合と本発
明方法による場合との比較における添加剤消耗量と電解
時間との関係を示す図である。
【図5】通常電流密度のみによる電解処理の場合と低電
流密度のみによる電解処理の場合との比較における添加
剤消耗量と電解時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
1,1a,1b めっき槽 2 硫酸銅めっき液 3 被めっき基板 4 陰極 5,5a,5b 陽極 6,7 整流器 8a,8b 管路 9a,9b ポンプ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 添加剤を所定の濃度で添加した硫酸銅め
    っき液(2) を、一の陰極としての被めっき基板(3) での
    陰極電流密度を低電流密度に設定して電解するととも
    に、他の陰極(4) での陰極電流密度を高電流密度に設定
    して電解することを特徴とする硫酸銅めっき方法。
  2. 【請求項2】 前記高電流密度での電解及び前記低電流
    密度での電解を、陽極(5) を共用して単一のめっき槽
    (1) 内にて実施することを特徴とする請求項1に記載の
    硫酸銅めっき方法。
  3. 【請求項3】 複数のめっき槽(1a,1b) を設け、前記低
    電流密度での電解を一のめっき槽(1a)内にて実施し、前
    記高電流密度での電解を他のめっき槽(1b)内にて実施
    し、該一のめっき槽(1a)と該他のめっき槽(1b)間で硫酸
    銅めっき液(2)を循環させることを特徴とする請求項1
    に記載の硫酸銅めっき方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021046567A (ja) * 2019-09-17 2021-03-25 アサヒプリテック株式会社 電解装置及び剥離方法

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