JPH06169980A - 人工皮膚及び創傷被覆材 - Google Patents

人工皮膚及び創傷被覆材

Info

Publication number
JPH06169980A
JPH06169980A JP4350684A JP35068492A JPH06169980A JP H06169980 A JPH06169980 A JP H06169980A JP 4350684 A JP4350684 A JP 4350684A JP 35068492 A JP35068492 A JP 35068492A JP H06169980 A JPH06169980 A JP H06169980A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
skin
aliphatic hydrocarbon
formula
hydrocarbon group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4350684A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshitoku Yoshida
良徳 吉田
Toshihiko Shinomura
俊彦 篠村
Isoji Sakai
五十治 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP4350684A priority Critical patent/JPH06169980A/ja
Publication of JPH06169980A publication Critical patent/JPH06169980A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Prostheses (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 次式1(化1)にて示される繰り返し単位で
表される脂肪族ポリエステルからなる人工皮膚及び創傷
被覆材。前記脂肪族ポリエステルのうちの少なくとも一
種類と他のポリマーとの混合物でもよく、また前記脂肪
族ポリエステルとコラーゲンとの複合材、或いは脂肪族
ポリエステルのうちの少なくとも一種類と他のポリマー
との混合物とコラーゲンとの複合材でもよい。 【効果】 火傷や外傷などによる創傷部に自己皮膚に代
わる代用皮膚として適用され、健常皮膚或いは損傷皮膚
に対して紅斑、浮腫、出血などの皮膚反応を起こすこと
がなく、しかも皮膚組織細胞の増殖を阻害することがな
いなどの優れた生体適合性を有する。 【化1】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は人工皮膚及び創傷被覆
材に係り、その目的は火傷や外傷などによる創傷部に自
己皮膚に代わる被覆材として適用され、健常皮膚或いは
損傷皮膚に対して紅斑、浮腫、出血などの皮膚反応を起
こすことがなく、しかも皮膚組織細胞の増殖を阻害する
ことがないなど優れた生体適合性を示す人工皮膚及び創
傷被覆材の提供にある。
【0002】
【発明の背景】生体の皮膚には通常、外部からの細菌の
侵入を阻止し、体液の漏出を防止する物理的防御壁とし
ての機能、免疫組織としての生体の防御機能、体温調節
を司る機能などが備えられている。しかし、火傷や外傷
などで皮膚が損傷或いは欠損した場合にはこのような機
能が損なわれ、創傷面から体液と共にタンパク、塩分、
熱などが失われるなど血液の循環障害が著しくなり、ま
た細菌が感染しやすくなって、創傷部の治癒が著しく遅
くなってしまうなどの障害が生じてしまう。そこで、こ
のような障害を防止するために、皮膚再生が行なわれる
までの期間、創傷面上を覆って保護するものが必要とさ
れ、一時的にはガーゼや脱脂綿などが適用されたり、或
いは形成外科的な植皮などが行なわれる。しかし、ガー
ゼや脱脂綿では、創傷面より取り外す際に皮膚創傷面を
破壊してしまい、再出血を起こすなどの問題があった。
一方、形成外科的な植皮では、皮膚欠損部を自己の皮膚
をもって補填する自家植皮が皮膚との親和性や再生促進
の点から最も良いとされているが、皮膚の損傷が広範囲
にわたる場合などでは、採取しうる自己の皮膚が非常に
限られてくるなどの問題があった。そこで、外科領域に
おいては損傷や欠損などの皮膚創傷部に、自己皮膚に代
えて一時的に被覆し、体液の喪失や細菌の感染などを防
止し、治癒の促進を図る目的で人工皮膚が用いられてい
ることが多い。一般に、人工皮膚には、正常な皮膚と同
程度の水分透過率、柔軟性を有し、且つ発熱性、抗原性
を有しないことが要求され、天然素材或いは合成素材の
種々のものが存在している。
【0003】
【従来の技術】合成素材からなる人工皮膚としては、例
えば表面をループ状にしたナイロン、テフロンなどの合
成繊維シートやポリウレタン膜、シリコンゴム薄膜など
が存在し、一方天然素材としてはキチン、キトサンなど
の天然高分子膜、或いはフィブリン膜、ムコ多糖膜、コ
ラーゲン膜などの生体由来の材料からなる人工膜が存在
する。中でもコラーゲンは皮膚、腱、血管など結合組織
と呼ばれる組織の主要タンパクであり、特にコラーゲン
の分子末端のテロペプチド部をペプシンなどで処理した
アテロコラーゲンは、免疫原生及び異物性が低いなど良
好な作用を有する人工皮膚とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た合成素材からなる人工皮膚やキチン、キトサンなどの
天然高分子からなる人工皮膚では、これら素材が生体に
とっては明らかに異物となるため、創傷面に対する良好
な接着性が発現されにくいことや生体との適合性が良好
でないなどの課題が存在した。一方、フィブリン膜、ム
コ多糖膜などでは、抗原性を有する場合があったり、或
いは水分透過性が良好でないなどの課題が存在した。さ
らに、コラーゲン、特にアテロコラーゲン材料からなる
人工皮膚では、保存中の取扱いが困難であり、使用範囲
が限定される、或いは容易に入手することができないな
どの課題が存在していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明では次式5(化
5)にて示される繰り返し単位で表される脂肪族ポリエ
ステルからなることを特徴とする人工皮膚及び創傷被覆
材を提供することにより前記従来の課題を悉く解消す
る。
【化5】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
【0006】
【作用】次式6(化6)にて示される繰り返し単位で表
される脂肪族ポリエステル及びこの脂肪族ポリエステル
の1種類と他のポリマーとの混合物、または前記脂肪族
ポリエステルとコラーゲンとの複合材、或いは前記脂肪
族ポリエステルの1種類と他のポリマーとの混合物とコ
ラーゲンとの複合材が、火傷や外傷などに起因する皮膚
創傷部に、皮膚代用材として密着、貼付されても、皮膚
に紅斑や浮腫、出血などを生じさせることがなく、また
皮膚組織細胞の増殖率も高いなど、極めて優れた生体適
合性を示し、良好な創傷被覆材となる。
【化6】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
【0007】
【発明の構成】以下、この発明に係る人工皮膚及び創傷
被覆材の構成について詳述する。この発明で用いられる
次式7(化7)で示される繰り返し単位で表される脂肪
族ポリエステルは、微生物により、或いは化学合成法に
より合成される。
【化7】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
【0008】微生物により合成する方法としては、例え
ばポリエステル合成能を有する微生物を、まず栄養豊富
な培地において菌体を増殖させる前段培養と窒素、リン
あるいは各種無機栄養素といった菌体の成長の必須成分
のうちのいずれか一つを制限して菌体内にポリエステル
を生成、蓄積させる後段の培養との2段階にて培養する
方法がある。このように後段の培養において窒素等の成
長必須成分のいずれか一つを全く含まないか、もしくは
培養中で成長必須成分を枯渇させることにより、菌体の
成長が制限され、ポリエステルの合成が効率良く行え
る。ポリエステル合成能を有する微生物としては、例え
Alcaligenes eutrophusH 16、 Alcaligenes faecalis
Alcaligenes latus などのアルカリゲネス属、Pseud
omonas acidovorans Pseudomonas oleovoransなどの
シュードモナス属、Paracoccus denitrificansRhodos
pirillum rubrum などが好適に例示されるが特に限定は
されず、ポリエステル合成能を有する微生物の中から選
ばれる特定の一種が好適に使用される。また、この培養
法としては、回分式方法、あるいは連続培養のいずれを
用いてもよく、特に限定はされない。前段の培養により
増殖させた菌体は、濾過あるいは遠心分離などにより培
養液と分離し、後段の培養へと移行されるか、もしくは
前段の培養において菌体を増殖する過程で、培地中の成
長に必須の成分のうちの少なくとも一つが消費された後
に後段の培養へと移行される。この培養条件としては、
前段及び後段のいずれもそれぞれ温度20〜40℃程度、pH
6〜10程度の範囲内において好気的に培養する。
【0009】この際、成長の必須成分としてはカリウム
やマグネシウムなどの無機栄養素よりも、窒素若しくは
リンを制限した方がポリエステルの生成、蓄積には好適
であるが、特に限定はされない。培地成分としては、炭
素源として、グルコース、フラクトース、マンノース等
の糖類、メタノール、エタノール、酢酸、酪酸などの合
成炭素源、酵母エキス、ペプトン、肉エキスなどの天然
物等が好適な実施例として例示されるが、特に限定され
るものではない。また、窒素源としてはアンモニア、ア
ンモニウム塩、硝酸塩などの無機窒素化合物、ペプト
ン、酵母エキス、肉エキスなどの有機窒素化合物等が好
適に例示される。リン源としては、リン酸塩が、さらに
無機栄養素としてはカリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛、銅等の無機塩の陽
イオンが好適に与えられる。
【0010】このように微生物を用いた合成法において
は、菌体内にポリエステルを生成、蓄積させる後段の培
養において、得ようとする脂肪族ポリエステルの構造に
より選択された任意の炭素源が単一または混合で使用さ
れる。この基質は、後段の培養中に連続で用いた方が好
ましいが、一部分でも用いられればよく、また数回に分
けて与えてもよい。培養終了後、濾過あるいは遠心分離
などにより培養液から菌体を分離し、菌体内に蓄積され
たポリエステルを抽出する。この抽出方法としては特に
限定はされないが、例えばクロロホルムのような溶剤で
抽出し、この抽出液をヘキサンなどの貧溶媒で沈殿させ
ることによって容易に得ることができる。
【0011】以上のような微生物合成法では、使用され
る微生物及び後段培養において使用される炭素源とは、
得ようとする脂肪族ポリエステルの構造により種々選択
することができる。つまり、次式8(化8)にて示され
る3−ヒドロキシブチレート単位(以下3HBと記す)
からなるホモポリマーを合成する場合、前記したポリエ
ステル生産能を有する微生物のうちの一種を用い、この
微生物を前記した前段と後段の2段培養法にて培養し、
特に後段の培養時において炭素源として、例えばグルコ
ース、フラクトース、酢酸、酪酸、メタノールなどを用
いればよい。
【化8】 (但し、nは1以上の整数を示す。)
【0012】また、次式9(化9)にて示される3HB
と3−ヒドロキシバリレート単位(以下3HVと記す)
との共重合体(P(3HB−co−3HV))(以下、P
はポリマーを示すものとする)を合成する場合には、微
生物としてAlcaligenes eutrophus を用い、特に後段の
培養時に炭素源としてプロピオン酸、吉草酸などを用い
ればよい。
【化9】 (但し、式中x、yは1以上の整数を示す。)
【0013】さらに次式10(化10)にて示される3
HBと4−ヒドロキシブチレート単位(以下4HBと記
す)との共重合体(P(3HB−co−4HB))を合成
する場合には、Pseudomonas acidovoransを微生物とし
て用い、特に後段の培養時において炭素源として4−ヒ
ドロキシ酪酸、1,4 −ブタンジオールなどを用いればよ
い。
【化10】 (但し、式中x、yは1以上の整数を示す。)
【0014】また、微生物の中でも特に Pseudomonas o
leovorans を用い、後段の培養時においてオクタン酸、
ノナン酸等を用いると次式11(化11)の繰り返し単
位にて示されるポリヒドロキシアルカノエート(以下P
HAと記す)を合成することができる。
【化11】 (但し、式中mは2〜8の整数、nは1以上の整数を示
す。)
【0015】一方、化学合成法では、例えばトリエチル
アルミニウム(AlEt3 )やジエチル亜鉛(ZnEt
2 )と水やアルコールとを反応させて合成した開始剤あ
るいはメチルアルミノキサンを用いて、ラクトンを開環
重合することにより、β−ブチロラクトンからは3HB
ホモポリマーを、ε−カプロラクトンからはポリカプロ
ラクトン(以下、PCLと記す)を合成することができ
る。
【0016】以上のような3HBホモポリマーやP(3
HB−co−3HV)、P(3HB−co−4HB)、ポリ
カプロラクトンなどの脂肪族ポリエステルは、微生物の
作用を受けて分解される生分解性を有するポリエステル
である。この発明では、このような脂肪族ポリエステル
を単独で、或いは前記脂肪族ポリエステルの少なくとも
一種と他のポリマーとの混合物を、さらには前記脂肪族
ポリエステルとコラーゲンとの複合材、又は前記脂肪族
ポリエステルの少なくとも一種と他のポリマーとの混合
物とコラーゲンとの複合材を人工皮膚及び創傷被覆材と
する。この発明において、人工皮膚とは、前記した材料
から厚さ0.01〜3mm、孔径1〜500μm程度の
連続孔を有するフィルム状又は不織布状のものをいう。
特に厚さを0.01〜3mmとしたのは、厚さが0.0
1mm未満であると人工皮膚としての強度が保持でき
ず、一方、3mmを超えると水蒸気の透過性が低下する
と共に創面との密着性が悪くなり、いずれの場合も好ま
しくないからである。さらに、厚さと孔径とを適宜変化
させることにより、種々の強度や水蒸気透過性を発現さ
せることができるため、使用する部位や目的に応じた人
工皮膚とすることができる。一方、この発明の創傷被覆
材とは、不織布状、織布状あるいはスポンジ状で、厚さ
が0.1〜5mmのものをいい、通常の包帯、ガーゼ、
絆創膏のパッドなどと同様に使用されるものである。
【0017】前記脂肪族ポリエステルと混合される他の
ポリマーとしては特に限定はされないが、前記ポリエス
テルが熱可塑性樹脂であるため、成型上熱可塑性高分子
が好ましい。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エ
チレン・ビニルアルコール共重合体、ポリメタクリル酸
メチルなどのアクリル系ポリマー、ポリエチレンテレフ
タレートやポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポ
リエステル、ナイロン6やナイロン66などのポリアミ
ド、2,6−ポリウレタンなどのポリウレタン類、ある
いは熱可塑性エラストマー、、例えばブタジエンとスチ
レンのブロック共重合体などのスチレン系エラストマ
ー、オレフィン系エラストマー、ポリブチレンテレフタ
レートとポリテトラメチレンオキサイドグリコールのブ
ロック共重合体などのポリエステル系エラストマー、ウ
レタン系エラストマー、アミド系エラストマーなどを好
適に挙げることができ、これらのポリマーを単独或いは
2種以上の混合で用いることができる。
【0018】また、この発明では前記脂肪族ポリエステ
ルを2種以上混合して使用してもよく、目的とする部位
や創傷の程度に応じて任意のものを任意の割合で混合す
ればよい。さらに、脂肪族ポリエステルに他のポリマー
を混合して使用する場合も、目的とする部位や創傷の程
度に応じて適宜任意の組合せを用いればよいが、脂肪族
ポリエステル以外のポリマーの混合比は、少なくとも脂
肪族ポリエステルに対して70重量%以下とされるの
が、生体組織との適合性の観点から好ましいが、特に限
定はされない。さらに、脂肪族ポリエステルと複合させ
るコラーゲンとしては特に限定はされないが、新鮮な子
牛の真皮より得た不溶性コラーゲンをペプシン処理する
ことにより得ることができるアテロコラーゲンが好適に
使用される。このアテロコラーゲンの水溶液を凍結乾燥
して50〜200μm程度の微細な多孔質を有するスポ
ンジ状のものを調製し、前記脂肪族ポリエステルと複合
させて人工皮膚及び創傷被覆材とすることもできる。さ
らにスポンジ状のアテロコラーゲンに脂肪族ポリエステ
ルと他のポリマーとの混合物を複合して人工皮膚及び創
傷被覆材としてもよい。
【0019】
【実施例】以下、この発明に係る人工皮膚及び創傷被覆
材の効果を実施例、比較例を挙げて一層明確なものとす
る。但し、この発明は以下の実施例により何ら限定され
るものではない。
【0020】(実施例1)P3HB(Aldrich 社製)1
5重量%をクロロホルムに溶解し、この溶液をガラス板
状にキャストしてエタノールに浸漬した後80℃で乾燥
して厚さ500μmの多孔質膜からなる人工皮膚を作製
した。 (実施例2)3HBと3HVとの共重合体(P(76%3
HB−co−24%3HV))(Aldrich 社製)15重量%
をクロロホルムに溶解し、この溶液をガラス板状にキャ
ストしてエタノールに浸漬した後80℃で乾燥して厚さ
500μmの多孔質膜からなる人工皮膚を作製した。
【0021】(実施例3)シュードモナス・アシドボラ
ンス(Pseudomonas acidovorans) IFO-13582 を用いて
ポリエステルを製造した。まず、蒸留水1リットル中に
ポリペプトン 10g、酵母抽出物10g 、(NH4)2SO4
5g 、肉エキス5g を混合して培養液を調製し、この培
養液中で菌体を26℃、48時間培養して菌体を増殖させ、
前段培養を行った。前段培養終了後、遠心分離により菌
体を分離した。リン、マグネシウム、微量元素等の無機
栄養素、及び炭素源として1,4−ブタンジオールを用
い、下記の処方に従って培養液を調製した。この培養液
をpH7.0に調製した後、分離された菌体をこの培養
液に移行した。この培養液にて26℃で96時間後段培養を
行い、ポリエステル共重合体の菌体内での生成、蓄積を
行った。 (蒸留水1リットル中) K2HPO4 5.8g MgSO4 0.12g KH2PO4 3.7g 1,4 −ブタンジオール 1.0g ※微量元素 1ml ※微量元素溶液とは、1N塩酸中に下記の無機栄養素を含
むものである。 FeSO4・7H2O 2.78g CaCl2・2H2O 1.67g MnCl2・4H2O 1.98g CuCl2・2H2O 0.17g CoSO4・7H2O 2.81g ZnSO4・7H2O 0.29g 培養終了後、遠心分離により菌体を培養液から分離し、
水洗いした後、クロロホルムで抽出した。抽出液をいっ
たん濃縮し、この濃縮液にヘキサンを加えて、得られた
ポリエステルを沈殿させた。沈殿物を回収し、乾燥して
微生物由来のポリエステルを得た。得られたポリエステ
ルの組成は、100MHz 1H-NMR の積分値の結果から、3H
Bが12%、4HBが88%であったことが判った。こ
のポリエステル(P(12%3HB−co−88%4H
B))15重量%をクロロホルムに溶解し、この溶液を
ガラス板状にキャストしてエタノールに浸漬した後80
℃で乾燥して厚さ500μmの多孔質膜からなる人工皮
膚を作製した。
【0022】(実施例4)実施例3で使用したP(12
%3HB−co−88%4HB)と市販のポリアミド系エ
ラストマー(商品名:ペバックス5562MN01、東レ(株)
製、) とを、重量比が5:5となる割合に調製し、この
混合物15重量%をクロロホルムに溶解した。この溶液
をガラス板状にキャストし、エタノールに浸漬した後8
0℃で乾燥して厚さ500μmの多孔質膜からなる人工
皮膚を作製した。 (実施例5)1.0重量%のアテロコラーゲン水溶液を
凍結した後真空乾燥し、厚さ2.0mmのコラーゲンス
ポンジを得た。これに実施例3で使用したP(12%3
HB−co−88%4HB)を塗布し、厚さが2.1mm
の複合体からなる人工皮膚を作製した。 (実施例6)実施例5で使用したコラーゲンスポンジに
実施例4で使用したP(12%3HB−co−88%4H
B)とポリアミド系エラストマーのクロロホルム溶液を
塗布し、厚さが2.1mmの複合体からなる人工皮膚を
作製した。
【0023】(比較例1)分子量1630のポリテトラ
メチレングリコールと4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネートとを反応させて両末端イソシアネートのプ
レポリマーを得た。これに1,4−ブタンジオールを加
え24時間攪拌し、ポリウレタン(分子量1.4万)を
得た。このポリウレタンをエタノールで洗浄した後、ジ
メチルホルムアミドに溶解し、18重量%とした。この
溶液をガラス板上にキャストして水に引き続きエタノー
ルに浸漬し、80℃で乾燥して厚さ500μmの多孔質
ポリウレタンからなる人工皮膚を作製した。 (比較例2)5%塩酸溶液に紅ズワイガニの甲殻の粉砕
品を加え、室温で5時間攪拌後濾過した。残った固体を
さらに5%水酸化ナトリウム溶液に移行し、90℃で3
時間攪拌後、濾過した。得られたキチンを充分に水洗し
た後、50%水酸化ナトリウム溶液に移行し、90℃で
3時間攪拌後濾過した。沈降した固形物を充分に水洗
し、90℃で乾燥してキトサンを得た。このキトサンを
酢酸水溶液に溶かし、2%キトサン溶液とした。これを
凍結乾燥し、厚さ1.0mmのキトサン多孔質膜からな
る人工皮膚を作製した。
【0024】
【試験例】前記実施例1〜5及び比較例1〜2にて調製
された人工皮膚を用いて下記に示す試験を行った。尚、
人工皮膚及び創傷被覆材は健常皮膚或いは損傷皮膚に対
して紅斑、浮腫、出血などの皮膚反応があってはなら
ず、しかも細胞の増殖を阻害するものであってもならな
い。従って、この試験例においては皮膚毒性、細胞毒性
の項目について試験し、人工皮膚及び創傷被覆材の生体
適合性について評価した。 (皮膚毒性試験)健康なウサギの健常皮膚と角質層の損
傷皮膚に前記実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた
人工皮膚を密封貼付し、紅斑、浮腫、出血の状態を目視
により観察し、段階的に評価した。この結果を表1に示
す。
【表1】
【0025】(細胞培養試験)前記実施例1〜5及び比
較例1〜2で得られた人工皮膚を細胞培養培地で抽出
し、この溶液を用いて細胞を培養した。細胞培養培地の
みで培養したときのコロニーの数を100とし、各抽出
試料のコロニー数の割合を評価した。この結果を表2に
示す。
【表2】
【0026】表1の結果より明らかな如く、実施例の人
工皮膚においては、角質損傷皮膚に密封貼布した後、時
間の経過に伴い紅斑が全くみられない、特に72時間経
過後では紅斑が全くみられないことが判る。表2の結果
より明らかな如く、実施例の人工皮膚では細胞の増殖が
好適に促進されることが判る。
【0027】
【発明の効果】以上詳述した如く、この発明は次式1
(化1)にて示される繰り返し単位で表される脂肪族ポ
リエステルからなることを特徴とする人工皮膚及び創傷
被覆材又は前記脂肪族ポリエステルの少なくとも一種と
他のポリマーとの混合物よりなることを特徴とする人工
皮膚及び創傷被覆材であるから、前記試験例の結果から
も明らかな如く、皮膚の創傷部に被覆材として好適に適
用され、健常皮膚或いは損傷皮膚に対して紅斑、浮腫、
出血などの皮膚反応を起こすことがなく、しかも皮膚組
織細胞の増殖を促進するなど優れた生体適合性を示す人
工皮膚及び創傷被覆材となる効果を奏する。
【化12】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式1(化1)にて示される繰り返し単
    位で表される脂肪族ポリエステルからなることを特徴と
    する人工皮膚及び創傷被覆材。 【化1】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
    で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
    族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
    キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
    を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
  2. 【請求項2】 前記脂肪族ポリエステルが微生物により
    合成されてなることを特徴とする請求項1に記載の人工
    皮膚及び創傷被覆材。
  3. 【請求項3】 前記脂肪族ポリエステルが化学合成法に
    より合成されてなることを特徴とする請求項1に記載の
    人工皮膚及び創傷被覆材。
  4. 【請求項4】 次式2(化2)にて示される繰り返し単
    位で表される脂肪族ポリエステルの少なくとも1種類と
    他のポリマーとの混合物よりなることを特徴とする人工
    皮膚及び創傷被覆材。 【化2】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
    で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
    族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
    キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
    を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
  5. 【請求項5】 次式3(化3)にて示される繰り返し単
    位で表される脂肪族ポリエステルとコラーゲンとの複合
    材からなることを特徴とする人工皮膚及び創傷被覆材。 【化3】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
    で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
    族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
    キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
    を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
  6. 【請求項6】 次式4(化4)にて示される繰り返し単
    位で表される脂肪族ポリエステルの少なくとも1種類と
    他のポリマーとの混合物とコラーゲンとの複合材よりな
    ることを特徴とする人工皮膚及び創傷被覆材。 【化4】 (但し、式中xは0以上の整数、y,zは1以上の整数
    で、Rは水素原子、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪
    族炭化水素基、末端にハロゲン原子又は水酸基、カルボ
    キシル基、スルホン酸基、アミノ基のいずれかの官能基
    を持つ飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
JP4350684A 1992-12-03 1992-12-03 人工皮膚及び創傷被覆材 Pending JPH06169980A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4350684A JPH06169980A (ja) 1992-12-03 1992-12-03 人工皮膚及び創傷被覆材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4350684A JPH06169980A (ja) 1992-12-03 1992-12-03 人工皮膚及び創傷被覆材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06169980A true JPH06169980A (ja) 1994-06-21

Family

ID=18412146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4350684A Pending JPH06169980A (ja) 1992-12-03 1992-12-03 人工皮膚及び創傷被覆材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06169980A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6521429B2 (en) 1999-12-27 2003-02-18 Canon Kabushiki Kaisha Polyhydroxyalkanoates and method of producing them by utilizing microorganisms

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6521429B2 (en) 1999-12-27 2003-02-18 Canon Kabushiki Kaisha Polyhydroxyalkanoates and method of producing them by utilizing microorganisms

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4161948A (en) Synthetic membrane for wound-dressings
US5116824A (en) Biomaterial comprising a composite material of a chitosan derivative and collagen derivative
JP5031144B2 (ja) ポリヒドロキシアルカノエートポリマーの医療デバイスおよび医療適用
US5665831A (en) Biocompatible block copolymer
EP0371736B1 (en) Wound covering
CA2314151C (en) Polyhydroxyalkanoate compositions having controlled degradation rates
DK2307063T3 (en) Medical adhesives for style finishing heavy bleeding and seal the leaks
US20140066587A1 (en) Novel Biodegradable Elastomeric Scaffold for Tissue Engineering and Light Scattering Fingerprinting Methods for Testing the Same
Lee et al. β-Chitin-based wound dressing containing silver sulfurdiazine
EP1984032A2 (de) Neue klebstoffe für medizinische anwendungen
Liu et al. Biomimetic sealant based on gelatin and microbial transglutaminase: an initial in vivo investigation
JPS60261460A (ja) コラ−ゲンとポリ―α―アミノ酸膜から成る人工皮膚
CN101925625A (zh) 用于外科手术的医用粘合剂
JPS6050387B2 (ja) 透湿性貼付シ−ト材料およびその製造方法
EP2461837A1 (en) Resorbable polyurethane wound cover
CN113214503A (zh) 一种氨基酸基聚氨酯超分子高黏性凝胶贴片的制备及应用
Leon-Campos et al. Biocompatible interpenetrating polymeric networks in hydrogel state comprised from jellyfish collagen and polyurethane
JPH06169980A (ja) 人工皮膚及び創傷被覆材
Okada et al. In vitro and in vivo digestion of collagen covalently immobilized onto the silicone surface
Byrom Miscellaneous biomaterials
JP2001212224A (ja) 創傷被覆材
WO2012062700A1 (en) Resorbable membrane
EP1216067B1 (en) Polyhydroxyalkanoate compositions for soft tissue repair, augmentation, and viscosupplementation
AU3674084A (en) Polymer material which is bacteristatic or fungistatic
CN108530607B (zh) 一种壳寡糖改性聚氨酯脲骨修复材料及其制备方法