JPH06168815A - フェライト樹脂及びその成形方法 - Google Patents

フェライト樹脂及びその成形方法

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JPH06168815A
JPH06168815A JP34318792A JP34318792A JPH06168815A JP H06168815 A JPH06168815 A JP H06168815A JP 34318792 A JP34318792 A JP 34318792A JP 34318792 A JP34318792 A JP 34318792A JP H06168815 A JPH06168815 A JP H06168815A
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JP
Japan
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ferrite
resin
magnetic field
powder
molding
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JP34318792A
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Hiroaki Kobayashi
宏彰 小林
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低圧化での成形を可能とし、高い透磁率を有
し、安定した特性を有する成形物を形成し、成形物中の
フェライト樹脂の充填密度、成形物中のフェライト粉末
の充填密度を向上させる。 【構成】 粉末状の熱硬化樹脂7とフェライト粉末6と
結合材及び溶媒よりなるスラリーをスプレー乾燥してフ
ェライト粉末3を得る。また、このフェライト粉末3を
金型内に充填する際、加熱して硬化させる際に交流磁界
に直流磁界を重畳して印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チョークコイル,マイ
クロインダクタ,ロータリートランス等のモールド材料
として使用されるフェライト樹脂及びその成形方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】フェライト樹脂は、主として熱可塑性樹
脂とフェライト粉末よりなるものであり、チョークコイ
ル,マイクロインダクタ,ロータリートランス等におい
てコイル導線を包み込みコイルの透磁率を高めるために
使用されるモールド材料である。
【0003】上記のようなフェライト樹脂は、射出成形
のような成形手段により成形される。例えば、該フェラ
イト樹脂を用いてコイルを形成する際には、射出成形金
型内の所定の位置に予めコイル導線を配しておき、その
後金型内にフェライト樹脂を射出して成形し、コイル導
線を樹脂により包み込んだ形状のコイルを得る。
【0004】ところがこのような熱可塑性樹脂とフェラ
イト粉末よりなるフェライト樹脂は流動性が低く、これ
を射出する際にはかなりの高圧下で行う必要があり、予
め射出成形金型内に配されるコイル導線の線径があまり
細いと変形してしまうため、線径の細いコイル導線を用
いたコイルを形成することができない。
【0005】そこで、熱可塑性樹脂に比べて低圧下で成
形することが可能で、且つ耐熱性も高い熱硬化性樹脂を
用いたフェライト樹脂が提案されている。上記熱硬化性
樹脂には常温で液状であるものと粉末状であるものがあ
り、それぞれをフェライト粉末と混合してフェライト樹
脂を得る。なお、これらのフェライト樹脂を成形する際
には、金型に流し込んで金型への充填を行い、加熱し、
熱硬化を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
熱硬化性樹脂とフェライト粉末よりなるフェライト樹脂
には次のような問題点が生じている。常温で液状である
熱硬化性樹脂とフェライト粉末よりなるフェライト樹脂
においては、該フェライト樹脂中のフェライト粉末の充
填率を高くすると、その流動性が低下し金型への充填時
に高圧を必要とするため、充填時の圧力を考慮するとフ
ェライト粉末の充填率をあまり高くすることはできず、
高い透磁率を有する成形物を得ることは出来ない。ま
た、常温で粉末状の熱硬化性樹脂とフェライト粉末より
なるフェライト樹脂は粉末状であり、フェライト粉末の
充填率を高くしても圧力をかけることなく成形すること
が可能であり、高透磁率を有する成形物を形成できるも
のの、熱硬化性樹脂とフェライト粉末の比重の違いから
フェライト樹脂中のフェライト粉末の分散が均一でな
く、安定した特性を得ることが出来ない。
【0007】一方、上述のチョークコイル等の各種デバ
イスは、近年様々な仕様形態で使用され、用途によって
は極めて高い性能が要求されるようになっている。この
ためモールド材料であるフェライト樹脂の成形物の充填
密度を向上させ、かつ成形物中のフェライト粉末の充填
密度を向上させることが望まれている。
【0008】そこで本発明は従来の実情に鑑みて提案さ
れたものであり、低圧下での成形が可能で、高い透磁率
を有し、安定した特性を有する成形物を形成できるフェ
ライト樹脂と、該フェライト樹脂の成形物の充填密度、
成形物中のフェライト粉末の充填密度を向上させ、更に
特性を向上させることの可能なフェライト樹脂の成形方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等が鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂とフ
ェライト粉末の結合物を造粒することにより低圧下での
成形が可能で、高い透磁率を有し、安定した特性を有す
るフェライト樹脂を得ることが可能であることを見い出
した。
【0010】すなわち、本発明のフェライト樹脂は、粉
末状の熱硬化性樹脂とフェライト粉末と結合剤及び溶媒
よりなるスラリーがスプレー乾燥により造粒されてなる
ものである。
【0011】上記のようなフェライト樹脂に用いられる
熱硬化性樹脂は、エポキシ系樹脂のような常温では粉末
状で、加熱により一度溶融した後に硬化する熱硬化性樹
脂であり、その直径は数μm程度が好ましい。
【0012】また、フェライト粉末としては、一般に電
子部品用として用いられているようなソフト・フェライ
トを使用すれば良く、その直径は150μm以下である
ことが好ましい。フェライト粉末の直径が150μmよ
りも大きいとフェライト樹脂の粒径が大きくなりその成
形性を損なうこととなる。
【0013】熱硬化性樹脂とフェライト粉末を結合する
結合剤としては、その分解温度が用いる熱硬化性樹脂の
熱硬化温度よりも低いポリビニルアルコール等の一般的
な結合剤を用いれば良い。また、溶媒としては、熱硬化
性樹脂を溶解せず、結合剤を溶解するものであれば良
く、例えば結合剤としてポリビニルアルコールを用いた
場合には、水等が適している。さらに、本発明のフェラ
イト樹脂においては、必要に応じて消泡剤,分散剤等を
添加してスラリーを調製した後、スプレー乾燥して造粒
しても良い。
【0014】このような本発明のフェライト樹脂を成形
する際には、該フェライト樹脂を金型内に流し込んだ
後、加熱して熱硬化させる。本発明者等は、該フェライ
ト樹脂中のフェライト粉末の磁性に着目し、フェライト
樹脂の成形時に外部磁界を印加することにより金型内の
フェライト樹脂の充填密度を向上させる、或いは成形物
中のフェライト粉末の充填密度を向上させ、更に特性を
向上させることが可能であることを見い出した。
【0015】すなわち、本発明のフェライト樹脂の成形
方法は、上記のようなフェライト樹脂を金型内に充填し
た後、加熱して熱硬化させるに際し、交流磁界に直流強
磁界を重畳して印加することを特徴とするものであり、
さらにはフェライト樹脂の充填時にも交流磁界に直流強
磁界を重畳して印加するものである。
【0016】
【作用】本発明のフェライト樹脂は、粉末状の熱硬化性
樹脂とフェライト粉末と結合剤及び溶媒よりなるスラリ
ーがスプレー乾燥により造粒されてなるものであるた
め、その形態はフェライト粉末の周囲に熱硬化性樹脂が
結合した粉末状であり、低圧下での成形が可能で、かつ
その成形物内にはフェライト粉末が均一に分散してい
る。更には、フェライト粉末と熱硬化性樹脂の混合比を
容易にコントロールでき、フェライト粉末の割合を高く
することも可能である。
【0017】本発明のフェライト樹脂の成形方法は、上
記のようなフェライト樹脂を金型内に充填した後、加熱
して熱硬化させるに際し、交流磁界に直流強磁界を重畳
して印加するものであるため、溶融しているフェライト
樹脂中のフェライト粉末を振動或いは移動させることが
でき、成形物中のフェライト粉末の充填密度を向上させ
ることが可能である。
【0018】さらに、本発明のフェライト樹脂の成形方
法においては、フェライト樹脂の充填時にも交流磁界に
直流強磁界を重畳して印加しても良く、フェライト樹脂
を振動或いは移動させることができ、金型内のフェライ
ト樹脂の充填密度を向上させることが可能である。
【0019】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて図面を参照しながら説明する。本実施例のフェライ
ト樹脂は、次のような手法により形成される。先ず、熱
硬化性樹脂,フェライト粉末,結合剤,溶媒を混合し、
スラリーを調製する。ここで用いられる熱硬化性樹脂
は、エポキシ系樹脂のような常温では粉末状で、加熱に
より一度溶融した後に硬化する熱硬化性樹脂であり、そ
の直径は数μm程度である。また、フェライト粉末とし
ては、一般に電子部品用として用いられているようなソ
フト・フェライトを使用すれば良く、その直径は150
μm以下である。熱硬化性樹脂とフェライト粉末を結合
する結合剤としては、その分解温度が用いる熱硬化性樹
脂の熱硬化温度よりも低いポリビニルアルコール等の一
般的な結合剤を用いれば良い。また、溶媒としては、熱
硬化性樹脂を溶解せず、結合剤を溶解するものであれば
良い。さらに、本実施例のフェライト樹脂においては、
必要に応じて消泡剤,分散剤等を添加しても良い。
【0020】次に、スプレードライヤーにてスプレー乾
燥して造粒を行う。上記スプレードライヤーは、図1に
示すように、下端部が漏斗状となっている造粒炉1と、
この造粒炉1内に臨むようにして取付けられたパイプ2
を有してなる。上記パイプ2は一端部2aから図示しな
い送風機によって空気が送り込まれるようになってお
り、送風機と一端部2aの中途部にはスラリーを収容し
ておくためのタンクが設けられている。また他端部2b
にはディスク4が回転可能に取付けられている。上記デ
ィスク4は回転方向の接線方向に向かってスラリーを噴
出する吹き出し口4aを有してなり、該吹き出し口から
スラリーを吹き出すことにより回転するようになされて
いる。また、上記造粒炉1の下端開口部1aに対向する
位置には、炉内で乾燥されたフェライト樹脂3を回収す
るための受け皿5が配置されている。
【0021】このように構成されたスプレードライヤー
によって造粒を行うには、先ず、上記タンク内にスラリ
ーを入れ、上記送風機より空気を送り込む。すると、ス
ラリーは空気圧によって押し出され、上記パイプ2の一
端2aからパイプ2を通り、ディスク4内に入り、吹き
出し口より噴出する。噴出したスラリーは、表面張力に
より略球形のフェライト樹脂3となり、上記造粒炉1壁
面に付着する。この壁面に付着したフェライト樹脂3
は、造粒炉1内で乾燥され、壁面から剥がれ落ち、下端
開口部1aに配される受け皿5に回収される。
【0022】上記のように造粒されるフェライト樹脂
は、図2に示すように、フェライト粉末6の周囲に熱硬
化性樹脂7が図示しない結合剤によって結合されている
略球形の粉末であり、上述した材料により形成した場合
にはその直径は数μm〜数百μm程度となる。
【0023】上記フェライト樹脂を成形するには、所望
の金型に該フェライト樹脂を注ぎ込み、これを加熱し、
熱硬化させる。例えばコイルを形成する場合には、図3
に示すような所望の形状を形成することの可能な金型8
内に空芯コイル9を予め配し、金型8内の空間に上記フ
ェライト樹脂3を注ぎ込む。この際、フェライト樹脂が
図2に示すような略球形の粉末であるため、圧力をかけ
ることなく、金型8内に充填することが可能である。次
にこのように金型8内に充填されたフェライト樹脂3を
加熱し、熱硬化を行う。加熱によりフェライト樹脂中の
熱硬化性樹脂は溶融し、結合剤は加熱により気化する。
この際、フェライト樹脂が図2に示したような構造であ
ることから、溶融した熱硬化性樹脂内にフェライト粉末
が均一に分散している状態となる。ここで更に加熱を続
けると、溶融していた熱硬化性樹脂が硬化し、熱硬化性
樹脂内にフェライト粉末が均一に分散した成形物により
空芯コイルを包み込んだ形状のコイルが得られる。
【0024】上述のような粉末状の熱硬化性樹脂とフェ
ライト粉末と結合剤及び溶媒よりなるスラリーがスプレ
ー乾燥により造粒されてなるフェライト樹脂において
は、低圧下での成形が可能であり、フェライト樹脂中に
フェライト粉末が均一に分散していることから特性の安
定した成形物を得ることが可能である。また、該フェラ
イト樹脂中の熱硬化性樹脂とフェライト粉末の混合比も
容易に制御することが可能であり、フェライト粉末の割
合を高め、高い透磁率を有する成形物を得ることも可能
である。
【0025】ところで、チョークコイル等の各種デバイ
スは、近年様々な仕様形態で使用され、用途によっては
極めて高い性能が要求されるようになっている。このた
めモールド材料であるフェライト樹脂の成形物の充填密
度を向上させ、かつ成形物中のフェライト粉末の充填密
度を向上させることが望まれている。
【0026】ところが、上述のフェライト樹脂を用いて
上記のような方法で成形を行うと、金型内への充填時に
圧力を加えないことから金型内の隅々まで均等にフェラ
イト樹脂を充填することは難しく、またフェライト樹脂
の粉末間に間隙が存在するものと思われ、フェライト樹
脂の成形物の充填密度を向上させることは困難である。
さらに、該フェライト樹脂はフェライト粉末の周囲に熱
硬化性樹脂が結合した粉末であるため、成形物内のフェ
ライト粉末の充填密度を向上させるには限界がある。
【0027】そこで、上記のフェライト樹脂を用いて、
フェライト樹脂の成形物の充填密度を向上させ、かつ成
形物中のフェライト粉末の充填密度を向上させる成形方
法を述べる。本発明者等は、該フェライト樹脂中のフェ
ライト粉末の磁性に着目し、フェライト樹脂の成形時に
外部磁界を印加することにより金型内のフェライト樹脂
の充填密度を向上させる、或いは成形物中の所定の位置
のフェライト粉末の充填密度を向上させることが可能で
あることを見い出した。
【0028】すなわち、図4に示すように例えば内部に
空芯コイル9の配される金型8の底部8aに磁界を印加
できるように磁界発生装置11を配し、金型8内のフェ
ライト樹脂3に磁界を印加するものである。上記磁界発
生装置11は、電源12とこれに接続され磁界を発生す
るコイル13とコイル13内に配されるコア14により
構成される。電源12より電流を印加し、コイル13に
図中矢印Hで示される交流磁界に直流磁界を重畳した磁
界を発生させる。この時の磁界は図5に示すような周波
数10Hz〜40kHzで時間変化する強磁界(数十〜
数百A/m)である。
【0029】このような磁界発生装置により金型内に充
填されたフェライト樹脂に交流磁界に直流磁界を重畳し
た磁界を印加すると、フェライト樹脂中のフェライト粉
末が磁性を有するため、交流磁界によってフェライト樹
脂は振動し、かつ直流磁界によって一方向に引き寄せら
れる。すなわち、ただフェライト樹脂を充填した状態で
は図6Aに示すようにフェライト粉末6と熱硬化性樹脂
7の結合した粉末であるフェライト樹脂3はそれぞれの
粉末間に空隙を有して金型8内に充填されている。とこ
ろが、上記の磁界発生装置により図6Bに示すように金
型8内のフェライト樹脂3に磁界Hを印加すると、フェ
ライト樹脂3中のフェライト粉末6の磁性により交流磁
界の印加によってフェライト樹脂3の各粉末は振動して
流動し易くなり、かつ直流磁界の印加によって磁化され
たフェライト粉末6が互いに引合い、納まりの良い場所
に充填され、さらに一方向に引き寄せられるため、フェ
ライト樹脂は図中に示されるように金型8の隅々にまで
充填されて金型8内のフェライト樹脂3の充填密度も向
上される。このように金型内のフェライト樹脂の充填密
度を高くして加熱し、熱硬化を行えば、充填密度が高
く、特性の優れた成形物を得ることが可能である。
【0030】さらには、加熱時に上記磁界発生装置によ
り金型内で溶融しているフェライト樹脂に交流磁界に直
流磁界を重畳した磁界を印加すると、磁性を有するフェ
ライト粉末は、交流磁界によって振動し、かつ直流磁界
によって一方向に引き寄せられる。すなわち、金型内に
フェライト樹脂を充填した後、加熱を施すとフェライト
樹脂中の熱硬化性樹脂は一度溶融し、フェライト粉末は
溶融した熱硬化性樹脂中に分散された状態となる。この
時に図7に示すように金型8内のフェライト樹脂3に磁
界Hを印加すると、溶融している熱硬化性樹脂7中に分
散しているフェライト粉末6は、交流磁界の印加によっ
て振動して流動し易くなり、かつ直流磁界の印加によっ
て磁化されたフェライト粉末6は互いに引合い、さらに
一方向に引き寄せられるため金型8の下部に凝集した状
態となる。よって、フェライト樹脂の成形物中のフェラ
イト粉末の充填密度を向上させることが可能である。ま
た、これによりフェライト樹脂3の粉末間の間隙を形成
していた空気も金型8上部の開口部より吐出されるた
め、成形物中のフェライト樹脂の充填密度は更に向上さ
れ、更に特性の向上された成形物を得ることができる。
【0031】そこで、上記フェライト樹脂を用い、上述
の成形方法により直径6mm,高さ6mmの面実装タイ
プのコイルの製造を行った。フェライト樹脂中の熱硬化
性樹脂としては、ペルノックス社製のエポキシ系樹脂P
CE−279を用い、フェライト粉末としてはソフト・
フェライト材を粒径150μm以下に粉砕して用い、結
合剤としてはPVAを用い、溶媒として水を用いた。そ
して、上記コイル内に埋設される空芯コイルを形成する
コイル導線の線径及び巻数を表1に示すように変化させ
てコイルの製造を行い、それぞれのインダクタンスの測
定を行った。結果を表1に示す。なお、加熱温度は15
0℃とした。
【0032】
【表1】
【0033】また、比較のためにコイル導線の線径を
0.4mmとし、巻数を13ターンとしたコイルを従来
の熱可塑性樹脂とフェライト粉末により構成されるフェ
ライト樹脂で射出成形により製造し、このインダクタン
スを測定した。この結果も表1に合わせて示す。なお、
射出成形による製造では、線径がこれよりも細いコイル
導線を用いたコイルを製造することは、コイル導線の変
形を招くため不可能であった。
【0034】表1の結果を見てわかるように、本実施例
のフェライト樹脂を用い、本実施例の成形方法で製造を
行ったコイルにおいては高いインダクタンスを達成する
ことが可能であり、従来のフェライト樹脂を用いたコイ
ルよりも大幅にインダクタンスを向上することができ
た。また、成形時に圧力を加えないことから、従来より
も線径の細いコイル導線を用いたコイルの製造が可能で
ある。更に、本実施例のフェライト樹脂の透磁率を測定
したところ、μ=50程度であり、従来のフェライト樹
脂の透磁率を測定したところμ=17程度であり、透磁
率も大きく向上させることができた。
【0035】よって、粉末状の熱硬化性樹脂とフェライ
ト粉末と結合剤及び溶媒よりなるスラリーがスプレー乾
燥により造粒されてなるフェライト樹脂を金型内に充填
した後、加熱して熱硬化させるに際し、交流磁界に直流
強磁界を重畳して印加する、更にはフェライト樹脂の充
填時、交流磁界に直流強磁界を重畳して印加するため、
金型内のフェライト樹脂の充填密度を向上させることが
でき、また成形物中の所定の位置のフェライト粉末の充
填密度を向上させるため、成形物の特性を更に向上させ
ることができる。さらに圧力を加えることなく成形を行
えることから、従来よりも線径の細いコイル導線を用い
たコイルの製造が可能である。
【0036】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明のフェライト樹脂は、粉末状の熱硬化性樹脂とフェラ
イト粉末と結合剤及び溶媒よりなるスラリーがスプレー
乾燥により造粒されてなるものであるため、その形態は
フェライト粉末の周囲に熱硬化性樹脂が結合した粉末状
であり、低圧下での成形が可能であるため、強度の低い
コイル等の形成も可能である。また、成形物内にフェラ
イト粉末が均一に分散しているため、安定した特性を有
する成形物を得ることが可能である。更には、フェライ
ト粉末と熱硬化性樹脂の混合比を容易にコントロールで
き、フェライト粉末の割合を高くすることも可能であ
り、高い透磁率を有する成形物を得ることも可能であ
る。
【0037】本発明のフェライト樹脂の成形方法は、上
記のようなフェライト樹脂を金型内に充填した後、加熱
して熱硬化させるに際し、交流磁界に直流強磁界を重畳
して印加するものであるため、溶融しているフェライト
樹脂中のフェライト粉末を振動或いは移動させることが
でき、成形物中のフェライト粉末の充填密度を向上させ
ることが可能であり、成形物の特性を向上させることが
可能である。また、コイル等を成形する際にも、コイル
導線に影響を及ぼすことがないため、強度の低いコイル
等の形成も可能である。
【0038】さらに、本発明のフェライト樹脂の成形方
法においては、フェライト樹脂の充填時にも交流磁界に
直流強磁界を重畳して印加しても良く、フェライト樹脂
を振動或いは移動させることができ、金型内のフェライ
ト樹脂の充填密度を向上させることが可能であり、成形
物の特性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフェライト樹脂を製造する際に用いら
れるスプレードライヤーの一構成例を示す模式図であ
る。
【図2】本発明のフェライト樹脂を示す模式図である。
【図3】本発明のフェライト樹脂を成形する方法の一例
を示す模式図である。
【図4】本発明のフェライト樹脂の成形方法で用いる磁
界発生装置を示す模式図である。
【図5】本発明のフェライト樹脂の成形方法で用いる磁
界発生装置によって発生する磁界の時間変化を示す図で
ある。
【図6】本発明のフェライト樹脂の成形方法を適用し、
金型内に充填されたフェライト樹脂に磁界を印加した場
合のフェライト樹脂の状態を示す模式図である。
【図7】本発明のフェライト樹脂の成形方法を適用し、
金型内で溶融しているフェライト樹脂に磁界を印加した
場合のフェライト樹脂の状態を示す模式図である。
【符号の説明】
3・・・・フェライト樹脂 6・・・・フェライト粉末 7・・・・熱硬化性樹脂 8・・・・金型 9・・・・空芯コイル 10・・・フェライト樹脂 11・・・磁界発生装置 12・・・電源 13・・・コイル 14・・・コア

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末状の熱硬化性樹脂とフェライト粉末
    と結合剤及び溶媒よりなるスラリーがスプレー乾燥によ
    り造粒されてなるフェライト樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフェライト樹脂を金型内
    に充填した後、加熱して熱硬化させるに際し、交流磁界
    に直流強磁界を重畳して印加することを特徴とするフェ
    ライト樹脂の成形方法。
  3. 【請求項3】 フェライト樹脂の充填時、交流磁界に直
    流強磁界を重畳して印加することを特徴とする請求項2
    記載のフェライト樹脂の成形方法。
JP34318792A 1992-11-30 1992-11-30 フェライト樹脂及びその成形方法 Pending JPH06168815A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011046125A1 (ja) * 2009-10-16 2011-04-21 ミツミ電機株式会社 高周波用磁性材料及び高周波デバイス
JP2011086846A (ja) * 2009-10-19 2011-04-28 Mitsumi Electric Co Ltd 高周波用磁性材料及び高周波デバイス

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