JPH0616768B2 - 高速スピンエコーnmrスキャンでの多重画像取得方式 - Google Patents

高速スピンエコーnmrスキャンでの多重画像取得方式

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JPH0616768B2
JPH0616768B2 JP4125869A JP12586992A JPH0616768B2 JP H0616768 B2 JPH0616768 B2 JP H0616768B2 JP 4125869 A JP4125869 A JP 4125869A JP 12586992 A JP12586992 A JP 12586992A JP H0616768 B2 JPH0616768 B2 JP H0616768B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の分野は核磁気共鳴イメー
ジングの方法およびシステムである。更に詳しくは、本
発明は高速スピンエコーNMRスキャンでの多重画像の
取得に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気モーメントを持つどの核もそれが中
に配置された磁界の方向に自身を揃えようとする。しか
し、そうする際、核は磁界の強さおよび特定の核種の性
質(核の磁気回転比γ)の性質によって決まる特性角周
波数(ラーモア周波数)で上記の方向を中心にして歳差
運動を行う。この現象を示す核をここでは「スピン」と
呼ぶ。
【0003】人体組織のような物質に一様な磁界(分極
磁界B0 )が加えられたとき、組織内のスピンの個々の
磁気モーメントはこの分極磁界と揃おうとするが、それ
を中心としてそれらの特性ラーモア周波数でランダムな
順序に歳差運動を行う。分極磁界の方向に正味磁気モー
メントMzが作成されるが、垂直平面すなわち横平面
(x−y平面)内のランダムな方向を向いた磁気成分は
相互に相殺する。しかし、x−y平面の中にありラーモ
ア周波数に近い磁界(励起磁界B1 )が物質すなわち組
織に加えられると、正味の、揃えられたモーメントMz
を回転または「傾けて」x−y平面まで倒すことによ
り、正味横磁気モーメントMtが作成され、これはラー
モア周波数でx−y平面内で回転すなわちスピンする。
正味磁気モーメントMzが傾けられる程度、したがって
正味横磁気モーメントMtの大きさは主として、印加さ
れる励起磁界B1 の時間長と大きさによって決まる。
【0004】この現象の実際的な価値は励起信号B1
終了後に、励起されたスピンが放出する信号に存在す
る。簡単なシステムでは、励起されたスピンが受信コイ
ル内に振動する正弦波信号を誘導する。この信号の周波
数はラーモア周波数であり、その初期振幅A0 は横磁気
モーメントMtの大きさによって決定される。放出信号
の振幅Aは時間tとともに次式のように指数関数的に減
衰する。
【0005】
【数1】A=A0 -t/T 2 減衰定数1/T2 * は主として磁界の均一性、および
「スピンスピン緩和」定数または「横緩和」定数と呼ば
れるT2 によって左右される。T2 定数は完全に均一な
磁界で励起信号B1 が除去された後にスピンの揃った歳
差運動が非可逆的に位相外しされる指数速度に逆比例す
る。
【0006】NMR信号の振幅Aに寄与するもう一つの
重要な要素はスピン格子緩和プロセスと呼ばれ、これは
時定数T1 で特徴付けられる。これは正味磁気モーメン
トMの、その平衡値への、磁気分極(z)の軸に沿った
復帰を記述する。T1 時定数はT2 より長く、医学的に
関心のある殆どの物質ではずっと長くなる。本発明に特
に関連するNMR測定は「パルスNMR測定」と呼ばれ
る。このようなNMR測定は励起期間と信号放出期間に
分けられる。このような測定はサイクリックに行われ、
NMR測定が多数回繰り返されることにより、各サイク
ルの間に異なるデータが累積される。すなわち、対象の
中の異なる位置で同じ測定が行われる。非常に様々な予
備励起手法が知られており、これらの手法では大きさ、
継続時間および方向が異なる1個以上の励起パルス(B
1 )が印加される。このような励起パルスは狭い周波数
スペクトル(選択的励起パルス)をそなえていてもよ
く、あるいはある範囲の共鳴周波数にわたって横方向磁
化Mtを生じる広い周波数スペクトル(非選択的励起パ
ルス)をそなえていてもよい。従来技術は特定のNMR
現象を利用するように設計され、NMR測定プロセスの
特定の問題を克服する励起手法を充分にそなえている。
【0007】NMRを使って画像を作成するとき、対象
内の特定の位置からNMR信号を得るための手法が用い
られる。通常、イメージングすべき領域(関心のある領
域)は使用している特定の局部化法に応じて変わる一連
のNMR測定サイクルによって走査される。結果として
得られる受信したNMR信号の組をディジタル化し、処
理することにより、多数の周知の再構成手法の中の一つ
を使って画像が再構成される。このような走査を行うた
め、勿論、対象内の特定の位置からのNMR信号を引き
出す必要がある。これは分極磁界B0 と同じ方向を持つ
がx、yおよびzの各軸に沿って勾配を持つ磁界(G
x、Gy、およびGz)を用いることによって行われ
る。各NMRサイクルの間にこれらの勾配の強さを制御
することによって、スピン励起の空間分布を制御するこ
とができ、結果として得られるNMR信号の位置を識別
することができる。
【0008】画像を構成するためのNMRデータは多数
の利用可能な手法の一つを使って収集することができ
る。通常、このような手法には、順次構成される複数の
ビュー(view)から成るパルス系列が含まれる。各
ビューは一つ以上のNMR実験を含むことができ、各実
験に少なくともRF励起パルスおよび磁界勾配パルスが
含まれることにより、空間情報が符号化されて結果のN
MR信号となる。
【0009】短時間にNMR画像データを取得すること
の概念はピータ・マンスフィールド(Peter Ma
nsfield)がジャーナル・オブ・フィジックス誌
(J.Phys.C.10:L55−L58,197
7)においてエコー平面パルス系列(echo-planar puls
e sequence)を提案した1977年以来知られて来た。
標準のパルス系列と対照的に、エコー平面パルス系列は
各RF励起パルスについて一組のNMR信号を作成す
る。これらのNMR信号は別々に位相符号化することが
できるので、20から100ミリ秒程度継続する単一の
パルス系列で64ビューのスキャン全体を取得すること
ができる。エコー平面イメージング(EPI:echo
planar imaging)の利点は周知であ
り、このパルス系列の変形が米国特許第4,678,9
96号、第4,733,188号、第4,716,36
9号、第4,355,282号、第4,588,948
号、および第4,752,735号に開示されている。
【0010】エコー平面イメージング法の一変形が高速
取得緩和強調(RARE:Rapid Acquisi
tion Relaxation Enhanced)
系列である。このRARE系列についてはマグネティッ
ク・レゾナンス・イン・メディシン誌所載のジェー・ヘ
ニグ他による論文「RAREイメージング:臨床MR用
高速イメージング法」(J.Hennig et a
l,”RAREImaging:A Fast Ima
ging Method for Clinical
MR”,Magnetic Resonance In
Medicine,3,823−833,1986)
に述べられている。RARE系列とEPI系列との間の
本質的な相違点はエコー信号を作成するやり方にある。
RARE系列はカー・パーセル・メイブーム・ギル系列
(Carr−Purcell−Meiboom−Gil
l sequence)から作成されたRF再集束され
たエコーを使用するのに対して、EPI法は勾配リコー
ルエコーを用いる。
【0011】これらの「高速スピンエコー」イメージン
グ法ではともに、単一の励起パルスから多重スピンエコ
ー信号が取得され、取得された各エコー信号は別々に位
相符号化される。したがって、各パルス系列すなわち
「ショット」(shot)の結果、複数のビューが取得
され、単一ショットスキャンは一般にEPI法で使用さ
れる。しかし、RARE高速スピンエコー系列を用いる
ときは、完全な一組の画像データを取得するために複数
のショットが通常、用いられる。たとえば、RARE系
列はショット当たり8個または16個の個別エコー信号
を取得することがあり、したがって、256ビューを必
要とする画像はそれぞれ32または16のショットを必
要とする。
【0012】高速スピンエコーイメージング系列の臨床
用途では、単一スキャンの間に一つより多い画像が取得
されることが多い。画像は患者の同じ組織を描くが、T
2 重み付け効果を用いることにより各画像で異なる組織
が強調される。たとえば、各ショットの初期のエコー信
号から関節の一つの画像を再構成することにより、筋肉
組織のような、T2 減衰の短い組織のエンハンスメント
(強調)を行うことができる。各ショットの後のエコー
信号から第二の画像を再構成することにより、関節流体
のような、T2 減衰の長い組織のエンハンスメントを行
うことができる。このような多重画像高速スピンエコー
イメージング系列はジャーナル・オブ・マグネティック
・レゾナンス・イメージング誌所載のエヌ・ヒグチ他に
よる論文「二コントラストRARE:高速スピン密度と
2 重み付けイメージング法」に説明されている(N.
Higuchi et al,abstract in
Journal of Magnetic Reson
ance Imaging,Vol.1,No.2,
p.147,1991,”Two−ContrastR
ARE:A Fast Spin−Density a
nd T2 −Weighted Imaging Me
thod”)。スキャンの間に付加的な画像を取得する
とき、より多くのスピンエコー信号を取得しなければな
らず、それに応じてスキャンの長さが伸びることは明ら
かである。
【0013】
【発明の概要】本発明は多重画像を再構成するために取
得しなければならないビューの総数を減らし、それによ
り総スキャン時間を短縮する多重画像の高速スピンエコ
ーNMRスキャンの改良に関するものである。更に詳し
く述べると本発明には、複数のビューが取得され、また
高速スピンエコーパルス系列を用いて1スキャンの間に
複数の個別画像からビューが取得されるような高速スピ
ンエコーパルス系列を実行するためのNMRシステムが
含まれる。低次の位相符号化ビューは各画像に対して取
得されるのに対して、高次の位相符号化ビューは一回だ
け取得され、すべての画像データアレー(data array)
に記憶される。標準の再構成方法および装置を使用する
ことにより、各画像データアレーを用いて個別画像が再
構成される。
【0014】本発明の一般的な目的は高速スピンエコー
パルス系列を使用して多重画像に対するNMRデータを
取得するために必要なスキャン時間を短縮することであ
る。画像間で所望のT2 コントラスト差を得るために各
画像に対してすべてのビューを取得する必要はないこと
が見出された。その代わり、所望のT2 コントラストが
主として各画像の低次のビューによって作成され、高次
のビューは各画像の組織細部を強調する。したがって、
所望のT2 コントラストを得るため各画像に対して低次
のビューだけを個別に取得すればよく、単一の組の高次
位相符号化ビューを使用して、すべての画像の組織細部
を完全にすることができる。
【0015】本発明の上記および他の目的および利点は
以下の説明から明らかとなる。説明では付図を参照する
が、付図は本明細書の一部を構成し、本発明の一実施例
を図示している。しかし、このような実施例は必ずしも
本発明の全範囲を表すものではないので、本発明の範囲
の解釈に当たっては請求範囲を参照しなければならな
い。
【0016】
【詳しい説明】図1は本発明を含み、ゼネラルエレクト
リック社(General Electric Com
pany)から「シグナ」(S1GNA)という商標名
で販売されている好ましいNMRシステムの主要構成要
素をブロック図形式で示したものである。システム全体
の動作はデータゼネラル社(Data Genera
l)のMV7800のような主コンピュータ101を含
むホストコンピュータシステム100によって制御され
る。コンピュータにはインタフェース102が含まれて
おり、これを介して複数のコンピュータ周辺装置および
他のNMRシステム構成要素が結合されている。コンピ
ュータ周辺装置の中には磁気テープ駆動装置104があ
り、主コンピュータの指示のもとにこれを使って患者の
データおよび画像をテープに保管することができる。処
理された患者データは画像ディスク記憶装置110に格
納してもよい。画像プロセッサ108の機能は拡大、画
像比較、グレースケール調整、実時間データディスプレ
ーのような対話型画像ディスプレー操作を可能にするこ
とである。コンピュータシステムには生の(すなわち処
理前の)データを記憶するディスクデータ記憶システム
112が設けられている。操作卓116もインタフェー
ス102を介してコンピュータに結合されており、これ
により操作者は患者の検査に関連するデータ、ならびに
較正、スキャンの開始および終了のようなNMRシステ
ムの正しい動作に必要な付加的なデータを入力する手段
が得られる。操作卓はディスクまたは磁気テープに記憶
された画像をディスプレーするためにも使用される。
【0017】コンピュータシステム100はシステム制
御器118および勾配増幅システム128によってNM
Rシステムを制御する。コンピュータ100は熟練した
当業者には周知の方法でリンク103によつてシステム
制御器118と通信する。システム制御器118には、
パルス制御モジュール(PCM−pulse cont
rol module)120、アレープロセッサ10
6、無線周波数トランシーバ122、ステータス制御モ
ジュール(SCM−status and contr
ol module)124、および構成要素を付勢す
るために必要な、全体を126で表した電源のような数
個のサブシステムが含まれている。PCM120は主コ
ンピュータ101が発生する制御信号を使って、勾配コ
イル励起を制御するディジタル波形ならびにRF励起パ
ルスを変調するためトランシーバ122で使用されるR
Fエンベロープ波形のようなタイミングおよび制御用の
ディジタル信号を発生する。勾配波形はGx増幅器13
0、Gy増幅器132、およびGz増幅器134でほぼ
構成される勾配増幅システム128に印加される。各増
幅器130、132、134は磁石集合体146の一部
である勾配コイル集合体136の中の対応する勾配コイ
ルを励起するために使用される。付勢されると、勾配コ
イルは主分極磁界と同じ方向に磁界の磁界勾配Gx、G
yおよびGzを発生する。これらの勾配はデカルト座標
系の互いに直角なX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向
に向いている。すなわち、主磁石(図示しない)が発生
する磁界がz方向を向いていてB0 と表すことにし、z
方向の総磁界をBzと表すことにすれば、Gx=dBz
/dx、Gy=dBz/dy、およびGz=dBz/d
zとなり、任意の点(x,y,z)での磁界はB(x,
y,z)=B0 +GxX+GyY+GzZで与えられ
る。
【0018】トランシーバ122、RF増幅器123お
よびRFコイル138の発生する無線周波数パルスと組
み合わせて勾配磁界を使用することにより、空間情報が
符号化されて、検査している患者の領域から出てくるN
MR信号となる。パルス制御モジュール120から与え
られる波形制御信号はトランシーバ122がRF搬送波
の変調およびモード制御のために使用する。送信モード
では、送信器は制御信号に従って変調された無線周波数
波形をRF電力増幅器123に供給する。次に、RF電
力増幅器123は主磁石集合体146の中にあるRFコ
イル138を励磁する。患者の中の励起された核が放射
するNMR信号が送信に使用されるのと同じRFコイル
または異なるRFコイルによって検知され、前置増幅器
139によって増幅される。このNMR信号はトランシ
ーバ122の受信部で増幅、復調、フィルタリング、お
よびディジタル化される。処理されたNMR信号は専用
の片方向リンク105によってアレープロセッサ106
に送られて処理される。
【0019】PCM120およびSCM124は独立な
サブシステムであり、両者とも直列通信リンク103に
より主コンピュータ101、患者位置ぎめシステム15
2等の周辺システムと通信し、また相互に通信する。P
CM120およびSCM124はそれぞれ、主コンピュ
ータ101からの命令を処理するためにインテル(In
tel)80286のような16ビットのマイクロプロ
セッサを含む。SCM124には、患者クレードル(c
radle)の位置および可動患者位置合せ光扇状ビー
ム(図示しない)の位置に関する情報を取得するための
手段が含まれている。主コンピュータ101はこの情報
を使って画像ディスプレーおよび再構成パラメータを修
正する。SCM124は患者輸送位置合せシステムの作
動のような機能の開始も行う。
【0020】勾配コイル集合体136およびRF送受信
コイル138は分極磁界を作成するために使用される磁
石の穴の中に取り付けられる。磁石は患者位置合せシス
テム148を含む主磁石集合体の一部を構成する。主磁
石と結合され、分極磁界の不均一を補償するために使用
されるシムコイルを付勢するために、シム電源140が
使用される。超電導磁石の場合には、磁石の発生する分
極磁界を適正な強さにするため主電源142が使用され
た後、切り離される。永久磁石の場合には、電源142
は必要とされない。患者位置合せシステム148は患者
クレードル輸送システム150および患者位置ぎめシス
テム152との組み合わせで動作する。外部発生源から
の干渉を最小限にするため、主磁石集合体、勾配コイル
集合体、RF送受信コイル、および患者取り扱い装置を
含むNMRシステム構成要素は全体を144で表したR
Fシールド室に入れられている。
【0021】特に図1および2に示すようにトランシー
バ122には、電力増幅器123を介してコイル138
AでRF励起磁界B1 を発生する構成要素およびコイル
138Bに結果として誘導されるNMR信号を受信する
構成要素が含まれている。RF励起磁界のベースすなわ
ち搬送波の周波数は周波数シンセサイザ200の制御下
で作成する。周波数シンセサイザ200は主コンピュー
タ101から通信リンク103を介して一組みのデイジ
タル信号(CF)を受ける。これらのディジタル信号は
出力201に作成されるRF搬送波信号の周波数および
位相を示す。この命令されたRF搬送波が変調器202
に印加される。変調器202では、PCM120からバ
ス103を介して受けた信号R(t)に応じてRF搬送
波が変調される。信号R(t)は作成すべきRF励起パ
ルスのエンベロープ、したがって帯域幅を規定する。こ
れは、所望のエンベロープを表すRF励起パルスを作成
するとき一連の記憶されたディジタル値を順次読み出す
ことによりPCM120で作成される。これらの記憶さ
れたディジタル値をコンピュータ100が変更すること
により、所望のRFパルスエンベロープを作成すること
ができる。線205を介して出力されるRF励起パルス
の大きさは送信減衰回路206によって減衰される。送
信減衰回路206は主コンピュータ101から通信リン
ク103を介してディジタル信号TAを受ける。減衰さ
れたRF励起パルスはRF送信コイル138Aを駆動す
る電力増幅器123に印加される。トランシーバ122
のこの部分の更に詳細な説明については、米国特許第
4,952,877号を参照されたい。
【0022】やはり図1および図2に示すように、被検
体で生じるNMR信号は受信コイル138Bによってピ
ックアップされ、受信器207の入力に印加される。受
信器207はNMR信号を増幅する。次に、これは主コ
ンピュータ101からリンク103を介して受けたディ
ジタル減衰信号(RA)によって定まる量だけ減衰され
る。受信器207もPCM120から線211を介して
与えられる信号によってターンオンおよびターンオフす
る。これにより、遂行している特定の取得が必要とする
期間だけNMR信号が取得される。
【0023】受信されるNMR信号はラーモア周波数ま
たはその近傍にある。ラーモア周波数は本実施例では6
3.86MHzの近辺にある。この高周波信号は復調器
208内で二段階の過程で復調される。復調器208は
まずNMR信号を線201の搬送波信号と混合した後、
結果として得られる差信号を線204の2.5MHzの
基準信号と混合する。線212の、結果として得られる
復調されたNMR信号は帯域幅が125kHzであり、
中心周波数が187.5kHzである。復調されたNM
R信号はアナログ−ディジタル(A/D)変換器209
の入力に印加される。A/D変換器209は250kH
zの速度でアナログ信号をサンプリングし、ディジタル
化する。A/D変換器209の出力はディジタル直角検
出器210に印加される。ディジタル直角検出器210
は受信されたディジタル信号に対応する16ビットの同
相(I:in−phase)値および16ビットの直角
(Q:quadrature)値を発生する。結果とし
て得られる、受信NMR信号のディジタル化されたI値
およびQ値の流れがバス105を介してアレープロセッ
サに出力され、アレープロセッサで画像を再構成するた
めに用いられる。
【0024】受信されたNMR信号の中に含まれる位相
情報を維持するため、送信部の中の変調器202と受信
部の中の復調器208はともに共通の信号で動作する。
更に詳しく述べると、周波数シンセサイザ200の出力
201の搬送波信号および基準周波数発生器203の出
力204の2.5MHzの基準信号は変調過程と復調過
程の両方で用いられる。このようにして位相の一貫性が
維持され、復調された受信NMR信号の位相変化は励起
されたスピンが発生する位相変化を正確に示す。基準周
波数発生器203は共通の10MHzのクロック信号か
ら2.5MHzの基準信号の他に5MHz、10MH
z、および60MHzの基準信号を作成する。周波数シ
ンセサイザ200は5MHz、10MHz、および60
MHzの基準信号を用いて搬送波信号を作成し、出力2
01に送出する。受信器の更に詳しい説明については、
米国特許第4,992,736号を参照されたい。
【0025】図3に示すように、本発明の実施例の具体
化に用いられる高速スピンエコーNMRパルス系列は2
DFT(2次元フーリエ変換)RARE系列であり、そ
の中で16個のNMRエコー信号が取得される。わかり
やすくするため、図3には4個のエコー信号301−3
04だけが示されているが、その他に12個のエコー信
号が作成され、取得されることは明らかである。これら
のNMR信号は90°RF励起パルス305によって作
成される。90°RF励起パルス305はGzスライス
選択勾配パルス306が存在する状態で作成され、患者
を通るスライス内で横方向磁化を行う。この横方向磁化
は16個の選択的な180°のRFエコーパルス307
の各々により再集束される。これにより、Gx読出し勾
配パルス308が存在する状態で取得されるNMRスピ
ンエコー信号301−304が作成される。各NMRス
ピンエコー信号301−304はそれぞれのGy位相符
号化パルス309−313により個別に位相符号化され
る。各位相符号化パルスの大きさは異なっており、25
6個の値を歩進することにより完全な1スキャンの間に
256個の個別ビューが取得される。これにより、y方
向に256個の個別画素を持つ画像を再構成することが
できる。各信号の256個のサンプルをディジタル化す
ることにより各NMRスピンエコー信号が取得される。
その結果、一つの画像に対するスキャンの完了時に、図
3のパルス系列の16ショット(256/16=16)
が実行されており、複素数の256×256要素のアレ
ーが取得されている。この画像データアレーに対して二
次元フーリエ変換を遂行した後、結果として得られる各
複素要素の絶対値を計算することにより画像が再構成さ
れる。このようにして、256×256画素の画像が作
成され、変換されたアレーの中の対応する要素の大きさ
により各画素の明るさが決定される。
【0026】やはり図3に示すように、NMRスピンエ
コー信号301−304のT2 減衰が破線315で示さ
れている。組織の型が異なると、減衰速度が異なる。N
MRイメージングの普通の戦略は画像のコントラストを
支配する中心、すなわち低次のビューの実際のエコー時
間(TE)で主として決まる実効エコー時間を賢明に選
択することによりある組織のコントラストを他の組織の
コントラストに比べて強調することである。たとえば、
人間の膝関節の画像で筋肉組織を強調するため、各ショ
ットで第一のスピンエコー信号を低次の位相符号化値に
符号化することができる。筋肉組織のT2 減衰速度が大
きく、可能な最短の実効エコー時間(TE)が望ましい
からである。他方、膝関節の流体が強調された画像を作
成するため、エコー時間TEがずっと長い、後のエコー
信号から低次の位相符号化ビューを取得することができ
る。関節流体の減衰速度は筋肉組織の減衰速度に比べて
ずっと小さいので、これらの流体は比例的に、より多く
の信号に寄与し、それらのコントラストは筋肉組織のコ
ントラストに比べて強調される。したがって臨床用とし
ては、異なる組織型のコントラストを強調するように各
画像の「T2 重み」が異なる、多数の画像に対するデー
タを取得することが一般に行われている。実効TEエコ
ー時間が異なる複数の画像を取得するための一つの方法
は従来のスピンエコーイメージングで通常行われている
ように単一のスキャンで多重画像データセットを取得す
るものである。
【0027】スキャンの間に作成すべき複数の画像の各
々に対して、所望の分解能の画像を生じる数の要素すな
わちサンプルをそなえた画像データアレーを取得しなけ
ればならないということは明らかである。実施例では、
256×256要素の画像データアレーが必要となり、
上記のように、これは単一の画像を取得するため図3の
高速スピンエコー系列を使用する16ショットを必要と
する。従来のNMRシステムでは、スキャンの間に作成
しなければならない各々の付加的な画像毎に付加的な1
6ショットが必要となる。したがって、二つの画像に対
して、32ショットが必要となり、スキャン時間が2倍
となる。
【0028】本発明により、総スキャン時間を比例的に
伸ばすことなく、付加的な画像を作成することができ
る。NMR画像のT2 重み付けされたコントラストは主
として低次の位相符号化ビューによって決定され、した
がって二つ以上の画像が取得されているとき高次位相符
号化ビューの取得を二重化する必要はないということが
わかった。換言すれば、異なるT2 重みの二つ以上の画
像を取得する高速スピンエコースキャンでは、各画像再
構成に対して個別に一組の低次位相符号化ビューを取得
しさえすればよい。単一の組の高次ビューを取得するこ
とができ、そのデータをすべての画像データセットの間
で共用することができる。
【0029】256×256画素の画像に対するデータ
が取得されるこのようなスキャンが図4および図5に示
されている。各スキャンの間に図3のパルス系列が20
回繰り返され、パルス系列毎に16個のNMRスピンエ
コー信号が取得され、したがって合計16×20=32
0個の位相符号化ビューが得られる。これらのビューの
中の64個のビューは破線320の中に表される低次
(−32≦ky ≦+32)の位相符号化ビューであり、
NMRデータアレー321に記憶され、第一の画像を構
成するために使用される。もう一つの64個のビューは
破線322の中に表される第二の画像に対する低次の位
相符号化ビューである、第二の画像を構成するために使
用される別個のNMRデータアレー323に記憶され
る。図4に明確に示されているように、縦軸に沿って示
された第一から第四のスピンエコー信号から第一組の低
次ビューが取得される。また、スキャンの間に作成され
る第四から第七のスピンエコー信号から第二組の低次ビ
ューが取得される。結果として得られる画像のT2 重み
の差は、主として第一のスピンエコー信号と第四のスピ
ンエコー信号との間の時間差△tによって決定される。
スキャンの間に1回、残りの高次ビュー(256−64
=192)が取得される。これらは325で表された、
両方の画像データアレー321と323に記憶される9
6個のビュー(−128≦ky ≦−33)と、326で
表された、やはり両方の画像データアレー321と32
3に記憶される96個のビュー(33≦ky ≦128)
とである。その結果、二つの256×256の画像デー
タアレー321および323はスキャンが完了したとき
取得されたデータで充たされる。
【0030】二つのアレー321および323のデータ
から通常のやり方で二つの画像が再構成される。本実施
例ではこの再構成は、まず行すなわち読出し方向に、次
に列すなわち位相符号化方向に各データアレーの二次元
複素フーリエ変換を遂行することにより行われる。次
に、結果として得られる各複素数の大きさが計算され、
これを使って第一および第二の画像の画素の明るさを制
御する。
【0031】図示し説明してきた特定のスキャンからの
多くの変形が可能であることは明らかである。たとえば
図4において、異なるスピンエコー信号の期間中に別々
の低次のビューを取得することにより、二つの画像の間
の異なるT2 重み付けされたコントラストを簡単に得る
ことができる。換言すれば、破線320および322の
中のビューを図4のグラフで縦に動かして所望のT2
みおよび所望の差△tを得ることができる。また、この
方法は容易に拡張して、単に第三組以上の低次ビューを
取得するだけで付加的な画像に対するデータを取得する
ことができる。
【0032】実施例では、総数256個のビューの中の
64個のビューが各画像に対して個別に取得される。こ
れは総スキャン時間を25%伸ばすだけで(すなわち5
12ビューの代わりに320ビュー)画像間に所望の
差、すなわちコントラストが得られることが見出され
た。より少ない低次ビューでも充分なコントラストの画
像が作成されるが、ある種の臨床用にはより多くの低次
ビューが必要とされることもある。本発明の臨床の用途
では総位相符号化ビュー数の1/8から1/2まで範囲
のビューを画像毎に個別に取得しなければならないと考
えられる。
【0033】本発明は三次元フーリエ変換にも適用でき
ることも明らかである。これは図6に示されている。図
6はy軸とz軸の両方の位相符号化を含むNMRスピン
エコー信号のディジタル化されたサンプルの入っている
三次元画像データアレー330を示している。本発明を
具体化するためには、個別の画像毎に低次y軸位相符号
化ビュー331および低次z軸位相符号化ビュー332
だけを個別に取得すればよい。三次元フーリエ変換用デ
ータ取得の総スキャン時間の節減量は莫大である。
【0034】本発明は他のスキャン時間短縮法とも一緒
に用いることができることも熟練した当業者には明らか
である。たとえば、1991年5月1日に出願された米
国特許出願第693,895号「非対称NMRエコー取
得とともに短いTEおよびTRのパルス系列を使用する
高分解能イメージング」(High Resoluti
on Imaging Using Short TE
and TR Pulse Sequences W
ith Asymmetric NMR Echo A
cquisition)に述べられているようなホモダ
イン画像再構成技術を使うことにより、画像を再構成す
るために画像アレーを取得されたデータで完全に充たす
必要はなくなる。総スキャン時間を更に短縮するために
このような方法を使うとき、部分的なエコーを取得して
もよいし、あるいは全部より少ない位相符号化ビューを
取得してもよい。
【0035】本発明はT2 重みの結果として全体のコン
トラストが異なっている二つ以上の画像を作成するため
に用いることが好ましいが、対象のエッジのエンハンス
メントでT2 重み付けされた差が望ましいときにも本発
明を適用することができる。これは画像毎に可能な最高
次の位相符号化をそなえた個別ビューを取得することに
よって行われる。これらの最高次のビューは異なる実効
エコー時間TEで取得されるので、二つの画像で組織の
エッジおよび細部構造が異なる。たとえば、256個の
位相符号化ビューをそなえた画像では、コントラストの
2 重み付けされた差を与えるため最低次の64個のビ
ューに対する個別データが取得され、またエッジ鮮鋭度
のT2 重み付けされた差を与えるため最高次の64個の
ビューに対する個別データが取得される。残りの128
個の高次ビューに対するデータは1回だけ取得され、両
方の画像を再構成するために使用される画像データセッ
トによって共通使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いるNMRシステムのブロック図で
ある。
【図2】図1のNMRシステムの一部を形成するトラン
シーバの電気ブロック図である。
【図3】本発明を実施するために図1のシステムで用い
られる好ましい二次元フーリエ変換高速スピンエコーパ
ルス系列を示すグラフである。
【図4】図3のパルス系列を用いるスキャンの間に取得
される位相符号化ビューの順番を示すグラフである。
【図5】本発明に従ってスキャンの間に取得され、個別
画像を再構成するために用いられるNMRデータを図式
的に表したブロック図である。
【図6】本発明に従って取得される三次元データアレー
を図式的に表した立体図である。
【符号の説明】
120 パルス制御モジュール 123 RF電力増幅器 130,132,134 勾配増幅器 136 勾配コイル集合体 138 RF送受信コイル 146 主磁石集合体 207 受信器 209 A/D変換器
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 9118−2J G01N 24/08 Y 8932−4C A61B 5/05 312

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 NMR装置に於いて、 分極磁界を発生する手段、 分極磁界を受けたスピンに横方向磁化を生じさせるRF
    励起磁界を発生する励起手段、 横方向磁化によって生じるNMR信号を検知して、NM
    R信号のディジタル化されたサンプルを作る受信手段、 第一の磁界勾配を発生することによりNMR信号を位相
    符号化する第一の勾配手段、 上記の励起手段、第一の勾配手段および受信手段に結合
    されたパルス制御手段であって、複数の画像の再構成を
    可能とするNMR信号のディジタル化されたサンプルを
    取得するために一連のパルス系列を含むスキャンを遂行
    するように動作するパルス制御手段、およびそれぞれ上
    記受信手段に結合された一組の画像アレー記憶手段であ
    って、それぞれ一つの画像を再構成するために必要とさ
    れるNMR信号のディジタル化されたサンプルを記憶す
    る一組の画像アレー記憶手段を含み、 スキャンの間に遂行される各パルス系列によって一連の
    NMR信号が発生されて取得され、その各NMR信号が
    上記第一の勾配手段によって個別に位相符号化され、各
    パルス系列で取得される第一のNMR信号は低次の位相
    符号化されたものであって上記画像アレー記憶手段の中
    の一方の画像アレー記憶手段に記憶され、各パルス系列
    で取得される第二のNMR信号は低次の位相符号化され
    たものであって上記画像アレー記憶手段の中の第二の画
    像アレー記憶手段に記憶され、そして各パルス系列で取
    得される第三のNMR信号は高次の位相符号化されたも
    のであって両方の画像アレー記憶手段に記憶されること
    を特徴とするNMR装置。
  2. 【請求項2】 上記励起手段は上記パルス系列の上記N
    MR信号の相互の合間にRF励起磁界パルスを発生し、
    上記NMR信号がそれぞれスピンエコーNMR信号であ
    る請求項1記載のNMR装置。
  3. 【請求項3】 第一の磁界勾配にほぼ垂直な第二の磁界
    勾配を発生するための第二の勾配手段が含まれており、
    パルス系列の各NMR信号を取得するときに第二の磁界
    勾配が発生される請求項1記載のNMR装置。
  4. 【請求項4】 各パルス系列で取得される第四のNMR
    信号は最高次の位相符号化されたものであって上記画像
    アレー記憶手段の中の上記一方の画像アレー記憶手段に
    記憶され、各パルス系列で取得される第五のNMR信号
    は最高次の位相符号化されたものであって上記画像アレ
    ー記憶手段の中の上記第二のの画像アレー記憶手段に記
    憶される請求項1記載のNMR装置。
  5. 【請求項5】 NMRデータを取得するためのNMRシ
    ステム1で高速スピンエコーパルス系列を遂行すること
    により、複数の画像を再構成するためのNMRデータを
    取得する方法に於いて、 横方向磁化を作成するためにRF励起パルスを発生する
    ステップ、 一連のNMRスピンエコー信号を作成するステップ、 各NMRスピンエコー信号が零から±kmax の範囲にあ
    る量ky だけ位相符号化されるようにNMRスピンエコ
    ー信号に関連する一連の位相符号化磁界勾配パルスを作
    成するステップ、 各NMRスピンエコー信号を取得してディジタル化する
    ステップ、 高次の位相符号化された取得されたNMRスピンエコー
    信号を二つの画像データアレーの各画像データアレーの
    位相符号化量ky に対応するロケーションに記憶するス
    テップ、 低次の位相符号化された第一の画像用の取得されたNM
    Rスピンエコー信号を上記の二つの画像データアレーの
    中の第一の画像データアレーの位相符号化量k y に対応
    するロケーションに記憶するステップ、および低次の位
    相符号化された第二の画像用の取得されたNMRスピン
    エコー信号を上記の二つの画像データアレーの中の第二
    の画像データアレーの位相符号化量k y に対応するロケ
    ーションに記憶するステップを含み、 スキャン完了時に、上記の二つの画像データアレーに
    は、取得された同じNMRデータを高次位相符号化に対
    応するロケーションに記憶し、二つの画像データアレー
    から再構成される二つの画像が相異なるように上記一連
    のNMRスピンエコー信号の中の異なるNMRスピンエ
    コー信号から個別に取得されるNMRデータを低次位相
    符号化に対応するロケーションに記憶することを特徴と
    する方法。
  6. 【請求項6】 最高次の位相符号化された第一の画像用
    の取得されたNMRスピンエコー信号を上記の二つの画
    像データアレーの中の第一の画像データアレーの位相符
    号化量ky に対応するロケーションに記憶するステッ
    プ、および最高次の位相符号化された第二の画像用の取
    得されたNMRスピンエコー信号を上記の二つの画像デ
    ータアレーの中の第二の画像データアレーの位相符号化
    量ky に対応するロケーションに記憶するステップを更
    に含む請求項5記載の方法。
JP4125869A 1991-05-22 1992-05-19 高速スピンエコーnmrスキャンでの多重画像取得方式 Expired - Lifetime JPH0616768B2 (ja)

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