JPH06167615A - ホログラフィー装置 - Google Patents

ホログラフィー装置

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JPH06167615A
JPH06167615A JP21516193A JP21516193A JPH06167615A JP H06167615 A JPH06167615 A JP H06167615A JP 21516193 A JP21516193 A JP 21516193A JP 21516193 A JP21516193 A JP 21516193A JP H06167615 A JPH06167615 A JP H06167615A
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JP
Japan
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light
hologram element
cover plate
reflection
incident
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Pending
Application number
JP21516193A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Mizutani
泰弘 水谷
Minoru Ota
太田  実
Toshiki Sawake
淑樹 佐分
Tetsuya Kato
哲也 加藤
Hiroyuki Tatebayashi
裕幸 舘林
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面反射光のノイズ像による視認妨害及び色
収差による表示像のぼやけを抑制することのできるホロ
グラフィー装置を提供すること。 【構成】 被表示像に関する入射光30を,ホログラム
素子11で回折・反射させて再生光31とし,該再生光
31によって被表示像を視認するホログラフィー装置1
0である。ホログラフィー装置10は,入射光30が入
射する上部カバープレート123を有している。該上部
カバープレート123の入射面1231の形状は,上記
ホログラム素子11の回折・反射特性と同一反射特性を
有する鏡面と同一形状である。ヘッドアップディスプレ
イでは,上記鏡面を凹面反射鏡とすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】自動車用のヘッドアップディスプ
レイ等に利用されるホログラフィー装置に関する。
【0002】
【従来技術】近年,自動車のウインドシールド前方にス
ピード等を表示させるヘッドアップディスプレイが注目
されている。このヘッドアップディスプレイ用のデバイ
スとして,ホログラム素子の波長選択性のある回折・反
射特性を利用したホログラフィー装置が提案されてい
る。該ヘッドアップディスプレイ1は,図15に示すよ
うに,表示器90から発せられた被表示像に関する入射
光30をホログラフィー装置10で回折・反射させ,そ
の再生光31をウインドシールド91に蒸着された蒸着
膜911で反射させる。運転者92は,この反射再生光
311を知覚し,ウインドシールド91の前方に表示さ
れた虚像として,被表示像93を視認することができ
る。
【0003】上記ヘッドアップディスプレイ1の構造を
説明すると,図16に示すように,表示器90には,白
熱灯901,白熱灯901の前方に配置された液晶パネ
ル902,反射鏡903,ホログラフィー装置10が取
付けらている。なお,液晶パネル902には,速度,マ
スターウォーニング,方向支持,地図等の被表示像93
(図15)を表示する。また,表示器90は,一般にイ
ンスツルメントパネル904付近に設置される。
【0004】上記,ホログラフィー装置10は,図17
に示すように,被表示像に関する入射光30をカバープ
レート12から入射させ,ホログラム素子11で回折・
反射させる。そして,その反射光である再生光31を再
びカバープレート12から出射させる。なお,ホログラ
ム素子11には,予め所定の回折・反射特性を有するよ
うな干渉縞が形成されている。
【0005】上記ヘッドアップディスプレイ用のホログ
ラフィー装置10においては,例えば図4に示すような
波長選択性を有し,かつ凹面鏡の反射特性を持ったホロ
グラム素子11が多く用いられている。なお,図17に
おいて,符号321はカバープレート12の表面から反
射される表面反射光であり,符号13はシール材,符号
121は底部カバープレートである。
【0006】上記,表面反射光321は,再生光31に
よる正規の被表示像93(図15)を乱すノイズ像を形
成するものである。ノイズ像を形成する要因としては,
上記表面反射光321の他に,ホログラム素子11を透
過した透過光の散乱によるもの,ホログラム素子11そ
のものに記録されたノイズ像等がある。なお,図18に
示すように,ホログラフィー11の表面に反射防止膜1
22を設けて,カバープレート12の表面から反射され
る表面反射光321を減衰させる方法が提案されてい
る。
【0007】
【解決しようとする課題】ホログラフィー装置には,前
記のように各種の要因によって,ノイズ像が形成され
る。しかし,ノイズ像の中でノイズ率の最も大きいもの
は,前記表面反射光321によるものである。そこで,
前記のように反射防止膜122(図18)を設けること
により,表面反射光321によるノイズ率は大幅に減少
させることができる。 例えば,反射防止膜として,M
gF2 ,TiO2 ,ZrO2 等の単層もしくは,これら
を組合せた複数層の反射防止膜を設ければ,従来4%程
度のノイズ率を有していたノイズ像を,約0.3%のノ
イズ率まで減少させることができる。
【0008】しかし,0.3%程度のノイズ率は依然と
して残存する。また,上記のような反射防止膜は高価で
あり,耐久性も良くないという問題がある。本発明は上
記のような従来の問題点に鑑みて,高価で耐久性に乏し
い反射防止膜を用いないで,表面反射光のノイズ像によ
る不具合を消滅させることのできるホログラフィー装置
を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】本発明は被表示像に関する入射光
を,ホログラム素子で回折・反射させて再生光とし,該
再生光によって被表示像を視認するよう構成されたホロ
グラフィー装置であって,該ホログラフィー装置は,上
記入射光が入射する上部カバープレートと,該上部カバ
ープレートの下部に設けたホログラム素子とを有してお
り,かつ,上記上部カバープレートの入射光の入射面の
形状は,上記ホログラム素子の回折・反射特性と同一反
射特性を有する鏡面と同一形状であることを特徴とする
ホログラフィー装置にある。
【0010】上記ホログラフィー装置は,透光性のある
上部カバープレートの下部にホログラム素子を有してい
る。該ホログラム素子には所定の回折・反射特性を有す
るホログラムが形成されている。上記ホログラム素子の
回折・反射特性は,光の波長に対する選択的特性(図4
参照)とその反射特性とによって表すことができる。
【0011】そして,上部カバープレートの表面形状,
すなわち入射光が入射する面の形状は,上記ホログラム
素子での反射特性と同一の反射特性を有する鏡面と同一
に形成されている。なお,ホログラム素子の回折・反射
特性はホログラフィー装置の用途に応じて,様々に設定
される。例えばホログラム素子の反射特性として凹面鏡
の反射特性を選択すれば,拡大鏡として作用するのでヘ
ッドアップディスプレイには好適である。
【0012】
【作用及び効果】ホログラフィー装置に光が入射する面
すなわちカバープレート表面の反射特性と,ホログラム
素子での反射特性は同一である。従って,図1の原理図
に示すように,カバープレート123の表面1231で
の表面反射光321の反射角θ2′(水平面となす角,
以下同じ)と,ホログラム素子11で反射されて表面1
231から出射する再生光31の出射角θ2 (水平面と
なす角,以下同じ)とは等しくなる(θ2 ′=θ2 )。
すなわち,表面反射光321と再生光31とは,平行光
線である。なお,図1において,符号131〜132は
シール材,符号15は散乱防止膜,符号14は基板ガラ
ス,符号124は下部カバープレートである。また,カ
バープレート123とシール材131と基板ガラス14
の屈折率は等しくしてある。
【0013】一方,カバープレート123の表面123
1が平面である場合には,図17,図18に示す従来例
のように,表面反射光321の反射角θ2 ′は入射光の
入射角θ1 と等しい(θ2 ′=θ1 )。従って,再生光
31の出射角θ2 と上記表面反射光321の反射角θ
2 ′とは,一般に平行光線とはならない(θ2 ′≠
θ2)。何故ならば,上記反射角θ2 ′が再生光の出射
光θ2 と等しくなるのは,ホログラム素子11の反射特
性が平面鏡の特性(入射角=出射角)である場合にしか
起こらないからである。
【0014】本発明はカバープレート123の表面12
31の形状を,ホログラム素子11の反射特性と同じ反
射特性を示す鏡面(等価鏡面)と同一形状にすることに
より,カバープレート123の表面1231と上記等価
鏡面とを光学的に平行面とし,上記反射角θ2 ′と出射
角θ2 とが等しくなるようにしている。
【0015】それ故,表面反射光321によるノイズ像
(表面反射ノイズ像)と再生光31による正規像とが重
なって一致する。それ故,上記表面反射ノイズ像は,観
者の被表示像の視認を妨げるようには作用しない。な
お,正確には図1に示すように表面反射光321と再生
光31には若干のずれL′が生ずるが,上記ずれL′は
極微小であり視認を妨げるものとはならない。
【0016】従って,本発明のホログラフィー装置によ
れば,表面反射ノイズ像のノイズ性(視認の妨害性)を
実質的に消滅させることができる。また,高価で耐久性
に乏しい反射防止膜は不要であり,耐久性があり安価で
ある。上記のように,本発明によれば,表面反射のノイ
ズ像を消滅させることのできる耐久性のあるホログラフ
ィー装置を提供することができる。
【0017】
【実施例】
実施例1 本発明の実施例について,図2〜図4を用いて説明す
る。本例は,前記ヘッドアップディスプレイ用に用いら
れるホログラフィー装置である。本例は,図2に示すよ
うに,被表示像に関する入射光30を,ホログラム素子
111で回折・反射させて再生光31とし,該再生光3
1によって,被表示像を視認するよう構成されたホログ
ラフィー装置10である。
【0018】該ホログラフィー装置10は,入射光30
が入射する上部カバープレート125と,該上部カバー
プレート125の下部に設けたホログラム素子111と
を有している。また,上記上部カバープレート125の
入射光の入射面1251の形状は,上記ホログラム素子
111の回折・反射特性と同一の反射特性を有する鏡面
と同一形状である。なお,上記ホログラム素子111の
反射特性は凹面鏡と同一特性になっている。
【0019】以下,順を追って詳説する。本例のホログ
ラフィー装置10は,基板ガラス14の底面141にホ
ログラム素子111を形成してある。上記基板ガラス1
4の上部には,シール材131を介して,上部カバープ
レート125が接着されている。また,ホログラム素子
111の下部には,シール材132を介して,下部カバ
ープレート124が接着されている。そして,下部カバ
ープレート124の底面1241には散乱吸収膜15が
形成されている。なお,ホログラム素子111,上下部
カバープレート125,124,ガラス基板14,及び
シール材131,132の屈折率は実質的に同一となっ
ている。
【0020】ホログラム素子111は感光材を感光させ
て製作され,表面には,干渉縞からなる被記録媒体が記
録されている。該被記録媒体は,後述するように,拡大
鏡としての凹レンズである。なお,該ホログラム素子1
11には,290nm,320nmの2つの異なるピッ
チの干渉縞が記録されている。該干渉縞の間隔によっ
て,選択される波長が変化する。
【0021】即ち,凹レンズと色の情報を同時に記録す
るために,曲率を持った干渉縞が2種類記録されてい
る。なお,上記2種類のピッチの干渉縞は,感光材に入
射させるレーザー光の波長及び入射角度を変化させるこ
とで形成することができる。なお,上部カバープレート
125の入射面1251は,ホログラム素子111に記
録された上記凹面と同一曲率に加工されている。また,
上部カバープレート125の底面1252は平面となっ
ている。
【0022】なお,本例のホログラム素子111は,次
のようにして製造されたものである。先ず,図3に示す
ように,感光材112としての重クロム酸ゼラチン
(D.C.G)を,基板ガラス14の底面141に,膜
厚10μm〜40μmに形成し,ゲル化または乾燥後,
20℃,50RH%程度の雰囲気にて安定させる。次
に,上記感光剤112に拡大鏡としての凹レンズを記録
し,現像,乾燥する。その後,図2のごとくシール剤1
31,132にて,上下カバープレート125,124
の間に,ホログラム素子111が付与された上記基板ガ
ラス14を挟持し,固定する。
【0023】ここで,感光剤112に対する被写体の記
録は,一般的には図3に示すように感光剤112が付与
された基板ガラス14を,或る焦点距離を有するレンズ
16とプリズム17との間に屈折率調整液18としての
シリコンオイル15を介在した状態で挟持する。
【0024】プリズム17側より波長514.5nmの
アルゴン・レーザ光を入射光33として入射させる。入
射後,屈折率が均質であるので,レーザ光はレンズ16
側に直線的に進行し,複写用レンズ16の大気側の表面
に形成された反射膜161で反射された反射光332と
入射光33で感光剤112中に干渉縞を形成する。反射
光332の一部は基板ガラス14によって反射されずに
屈折率調整液18によって基板ガラス14を通過しプリ
ズム17に入射し,該プリズム17の入射面171で一
部が反射する。
【0025】この場合,図3に示すように,プリズム1
7の入射面の角度αを入射光に対して調整し,プリズム
17の入射面171の反射光333が感光剤112の方
向へ進行しないようにする。かかるプリズム17を配置
することによって,ノイズの原因となる界面の反射光3
33による表示ノイズを除去することができる。なお,
プリズム17の側面表面172に光を吸収する黒色塗装
を施すことによってプリズム17の入射面171の反射
光333が感光剤112の方向へ進行しないようにする
ことができる。
【0026】かくして,感光剤112に対するレンズ1
6の複写,記録時に,ノイズ像が記録されることがなく
なる。本例では112mm×46mm×1.8mmの基
板ガラス14(ソーダガラスよりなり,屈折率約1.5
2)に厚み25μmの感光剤112としての重クロム酸
ゼラチン膜を形成した。なお,感光剤112は,100
mlの4%ゼラチン溶液に0.6gの重クロム酸アンモ
ニウムを溶解したもので,屈折率約1.55である。こ
の感光剤112を付与した基板ガラス14を,20℃及
び50%RHの雰囲気に保持された乾燥器内で72時間
放置した。
【0027】その後,図3の構成にて波長514.5n
mのアルゴン・レーザ光を,再生光(入射角33.5の
時)が540nm,600nmの2色になるよう(図
4)入射角を振り,トータル500mJのレーザ・パワ
ーを感光剤112に露光させた。なお,図3におけるレ
ンズ16の焦点距離は1000mmであった。
【0028】露光後,基板ガラス14を色が抜けるまで
水洗いし,市販の写真用硬膜定着液(コダック社のラピ
ッド・フィクサ)に10分間浸漬した。水洗処理後,9
0%のイソプロパノール液に10分間浸漬し,熱風乾燥
した。その後,150℃で4時間熱エージングすること
で実車環境で波長変化がないようにした。
【0029】その後,図2のシール幅Sを5mmとする
ようホログラム素子111の周囲を除去する。また,図
3のレンズ16と同一形状の凹面をもつ上部カバープレ
ート125(112mm×46mm×1.0mm)を用
意した。一方,エポキシ樹脂に黒色の顔料(カシュー製
グラスライト500)を5%添加して混合してなる散乱
防止膜15が10μmの厚みで表面に形成されたカバー
プレート(112mm×46mm×1.0mm)を用意
した。
【0030】次に,エポキシ系熱硬化型樹脂(セメダイ
ン社製,商品名CS−2340−5)よりなる屈折率
1.55のシール剤131,132を,上記二つのカバ
ープレート125,124の表面に各々50μm厚みと
なるように塗布した。この両カバープレートを基板ガラ
ス14に対して,図2のごとく配置し,両カバープレー
ト125,124にて基板ガラス14をシール剤13
1,132を介して挟持した。
【0031】次に本例のホログラフィー装置10の作用
効果について述べる。本例の,上部カバープレート12
5の入射面1251の形状は,ホログラム素子111の
回折・反射特性と同一の反射特性を有する鏡面(等価鏡
面)と同一形状である。それ故,図2に示すように,再
生光31の出射角θ2 (水平面との角度)と,表面反射
光321の反射角θ2 ′(水平面との角度)とは等しく
なる。
【0032】従って再生光と表面反射光321とは平行
光線となり,表面反射ノイズ像と正規像(再生光像)と
は重畳する。それ故,表面反射ノイズ像は正規像の視認
を妨害するようには作用しない(前記図1による説明参
照)。
【0033】また,本例のホログラム素子における等価
鏡面は凹面鏡であり,拡大鏡として作用する。従って,
前記図13に示すようなヘッドアップディスプレイに適
用した場合,運転者92は,拡大された被表示像93を
視認することができる。
【0034】実施例2 本例は,図5に示すように,実施例1において,上部カ
バープレートを均等な厚さを有するシート状の形状とし
たものである。上部カバープレート126は,均等な厚
さtを有するシート状の形状となっている。そのため,
上部シール剤134は不均一な厚さを有している。すな
わち,上部シール材134の下面1342は,平面であ
るが,その上面1341は凹状である。
【0035】上記,上部シール材134の上面1341
及び上部カバープレート126の入射面1261は,ホ
ログラム素子111と同一反射特性を有する等価凹面鏡
と同一の曲率を有している。その他については実施例1
と同様であり,同様の効果を奏することができる。
【0036】実施例3 本例は,図6〜図8に示すように,実施例1又は実施例
2において,ホログラム素子の製造方法を変更し,ホロ
グラム素子の再生波長が安定した長波長帯となるように
した実施例である。 本例のホログラム素子は次のよう
な製造方法によって製造されたものである。
【0037】即ち,該製造方法は,重クロム酸ゼラチン
膜が形成された乾板を露光した後に,硬膜処理及び現像
処理を行うようにしたホログラム素子の製造方法であっ
て,上記露光の前に重クロム酸ゼラチン膜が形成された
乾板を減圧下にて一定時間保持したのち,その減圧下に
て,屈折率調整液を介して光学素子と光学シールするよ
うにした製造方法である。
【0038】なお,上記露光前の重クロム酸ゼラチン膜
は,3価のクロムを有するカルボン酸塩を硬化剤とし
て,所定の硬度となるまで硬膜化したものが好ましい。
減圧下で,上記光学素子と乾板とを光学シールすること
により,重クロム酸ゼラチン膜が収縮し,膜厚が薄くな
る。この状態で露光することにより,ホログラム素子の
再生波長は,通常の雰囲気中でシールした場合に比べて
長波長側へシフトされる。なお,このシフトの度合は,
減圧の程度が大きいほど大きくなる。
【0039】従来は,ホログラム素子の再生波を長波長
化する場合に,乾板に対する露光の撮影角度を小さくし
たり,現像後の熱エージングの温度を低くする等の方法
によりなされている。しかしながら,乾板に対する撮影
角度を小さくすることには,表面反射が増加するので限
界がある。
【0040】また,現像後の熱エージングの温度を低く
すると,高温下における使用により再生波長が経年的に
変化するという問題がある。本例の上記製造方法によれ
ば,これらの問題点を克服し,長波長の再生波長が安定
して得られるホログラム素子を製造することができる。
【0041】次に本例のホログラム素子の製造方法をよ
り具体的に詳説する。図6に示すように,真空装置41
の中に,重クロム酸ゼラチン膜20が形成された乾板2
1と光学素子22とをセットする。また,上記光学素子
22の表面には屈折率調整液181を滴下しておく。そ
して,真空装置41の扉412を閉めて,真空ポンプ3
11を作動させる。一定時間真空引きを行った後,減圧
状態(約0.1mmHg)において,矢印のようにシリ
ンダ42を作動させて乾板21を光学素子22に密着さ
せる。図6において符号43は試料台である。
【0042】その後,真空装置41の中に窒素ガスを導
入し,シールされた乾板21と光学素子21とを取り出
す。その後,撮影装置を用いてホログラム素子に露光を
行う。なお,真空引きを行った結果,図8に示すよう
に,ホログラム素子の再生波長はより長波長側にシフト
される。また,真空引きの時間を長くすることにより,
より長波長の再生波長にシフトされる。
【0043】なお,ホログラム素子への撮影は,図7に
示すように,プリズム17を用いることにより,レーザ
ー光である入射光33の入射角度を高角度に維持するこ
とが好ましい。これによって,屈折率調整液18と乾板
21等の界面反射を少なくすることができるからであ
る。また,重クロム酸ゼラチン膜20は,前記のように
3価のクロムを有するカルボン酸塩を硬化剤として用い
て,硬膜化している。この硬膜化は,定常雰囲気下で自
然乾燥してもよいし,光硬膜化法によって行なってもよ
い。
【0044】上記のように,減圧下(真空中)で乾板2
1と光学素子22をシールすることにより現像後の熱エ
ージングを低温化する必要がない。これにより,ホログ
ラム素子の再生波長が経年的に変化することがなく,安
定かすることができる。
【0045】また,真空中でシールすれば,シール時に
雰囲気(温度,湿度等)の変動がなく,再生波長や,回
折効率等の特性が安定するという利点がある。その他
は,実施例1,実施例2と同様であり,同様の硬化を奏
することができる。なお,上記の製法は,実施例1,実
施例2及び本例に示したホログラム素子に限定されるも
のでなく,一般のホログラム素子の製法に応用できる技
術である。
【0046】実施例4 本例は,図9〜図11に示すように実施例1,実施例
2,又は実施例3においてホログラム素子の製造時にお
ける露光後の熱処理工程を改良し,より良質のホログラ
ム素子を得るようにした実施例である。ホログラフィー
装置において要求されるホログラム素子の再生効率の波
長特性はホログラフィー装置の目的によって異なる。可
視光領域全体に渡って,できるだけ均一な再生効率を得
ることを理想とするホログラフィー装置もある。しか
し,ヘッドアップディスプレイにおいては,むしろ単一
色(狭い波長帯)での波長選択性の強化が要求される。
即ち,ホログラム素子の波長の選択性を強化し,選択波
長を一定領域に収束させ安定化し,またホログラム素子
毎のバラツキは少なくすることが望ましい。
【0047】一方,ホログラム素子は,重クロム酸ゼラ
チン膜乾板に露光後,水に次いで有機溶媒に浸漬し,乾
燥した後,熱処理をして完成される(特公昭61−29
508号公報参照)。上記,熱処理の工程はホログラム
素子の波長選択性に大きな影響を与える。図9に示すよ
うに,回折効率がその最大値Epの半分になる波長領域
(半値波長域)を考える。これらの波長域と熱処理時間
との関係を図示したものが図10である。
【0048】なお,図10は150℃で熱処理した例で
あるが,乾板に形成された感光性ゼラチンの焦げない範
囲,例えば重クロム酸ゼラチン膜では100〜170℃
の間で熱処理を行うことができる。図10から分かるよ
うに,熱処理時間3〜4時間で波長が安定するが,回折
効率はほとんど変化しない。また,半値波長域の幅Wは
熱処理時間によって狭くなる傾向があり波長選択性がよ
り良好となる。また,熱処理を行うことにより,ホログ
ラム素子の熱的安定性が向上し,信頼性が向上する。
【0049】本例のホログラム素子は,同一製造条件で
製造された熱処理前のホログラム素子の乾板の1ロット
を一括熱処理することにより製造されたものである。本
例において,上記ホログラム素子を製造するに当たって
は,上記一括熱処理中,サンプルとなる乾板を設けてお
き,上記サンプル乾板の回折特性を適宜観測しつつ乾板
の熱処理を行うようにしたものである。
【0050】具体的には,図11に示すように,重クロ
ム酸ゼラチン膜の塗布から現像工程までを同一条件で製
造された乾板ロット211を,恒温槽45中に一括収容
して熱処理を行うものである。また,上記乾板ロット2
11の上部には,サンプル乾板212を設置する。そし
て,サンプル乾板212の上部には,観測窓451を設
けておき,発光部44から連続光の白色光(例えばキセ
ノンランプ光)を照射する。そして,上記照射光341
が,サンプル乾板212で回折・反射された回折光34
2を,センサー部46で受光する。そして,分光・光度
計等を用いて,図10に示すような回折・反射特性を分
析・評価する。上記観測・評価を適宜実施しながら熱処
理を行う。なお,サンプル乾板212と乾板ロット21
1とは極力近い位置に設置し,熱処理条件を極力同一と
する。
【0051】なお,本例は,反射型ホログラムの例であ
るが,透過型ホログラムの場合には,図11の点線で示
すような位置にセンサー部46を設け,第2観測窓45
2を別途設けるようにする。また,観測窓451には,
無反射コートガラス等,反射ロスを極力少なくする部材
を用いる。また,分光光度計のデータをコンピュータ等
の情報処理装置に取り込んで情報処理を行ない,経時変
化や統計分析等を行うようにすることもできる。
【0052】本例のように,熱処理中に特性の観測と分
析を行うことにより,無駄なく熱処理を行うことができ
ると共に,回折の波長特性の均一な良質のホログラム素
子を得ることができる。その他については,実施例1〜
実施例3と同様である。なお,本例のホログラム素子製
造における熱処理方法は,本例に限定されるものではな
く,一般のホログラム素子の製造に適用することができ
るものである。
【0053】実施例5 本例は,実施例4において,熱処理中におけるホログラ
ム素子の観測・分析を全数について行うようにしたもの
である。すなわち,現像工程を完了したホログラム素子
の乾板を熱処理するに当たり,全数の乾板について,そ
の回折特性を観測・分析しつつ熱処理を進行し,適当な
特性に達した時点で上記熱処理を完了させる。
【0054】具体的には,図12に示すように,現像工
程の完了した乾板213を,恒温槽45中に並置する。
恒温槽45の上部には,観測窓451を設ける。また,
発光部44とセンサー部46とを取付けた移動式観測台
47を,上記観測窓451の上部に配置する。そして,
上記移動式観測台47を移動させて,乾板213に連続
光の白色光341を次々と照射し,センサー部46で,
その回折光342を受光する。
【0055】このようにして,熱処理工程中の乾板の回
折特性を全数に渡って観測する。全数の特性を観測する
ことにより,サンプル乾板による観測よりも観測データ
の精度をより確実なものとすることができる。また,ロ
ボットハンドのようなアクチュエータを別途設けてお
き,良好特性に達した乾板213を個別に取り出すよう
にすれば,ホログラム素子間の特性のバラツキをより小
さくすることができる。その他については,実施例4と
同様である。なお,上記熱処理方法は,本例に限定され
る技術ではなく一般のホログラム素子の製造に適用する
ことができる。
【0056】実施例6 本例は,図2に示した実施例1と同様のホログラフィー
装置によって,色収差による表示像のぼけを解消したも
う1つの実施例である。即ち,入射光30が単一波長で
はなく波長(周波数)幅がある場合には,図17に示す
従来のホログラフィー装置においては,再生光(出射
光)31はその出射角θ2 は波長により異なる。媒質中
の光の速度(したがって屈折率)は波長によって異なり
光の分散現象が生ずるからである。
【0057】この結果,従来のホログラフィー装置では
光の波長差による表示像のぼけ,いわゆる色収差を生
じ,この現象はホログラフィー装置の周辺部において顕
著である。即ち,図13に示すように,光源90から発
してホログラフィー装置10に入射した入射光30は,
波長によって異なった反射角θを示す。この反射角θの
変化幅±Δθは,波長の変化幅±Δλ及びホログラム素
子111の大きさd(中心からのずれ)が大きいほど,
また焦点距離fが小さいほど増大する。
【0058】そのため,図17に示すようなホログラム
装置の再生光(出射光)31は平行光線とならず,波長
によって角度±Δθの範囲に分散し,表示像のぼけを生
ずる。しかしながら,図2に示す本例のホログラフィー
装置10においては,カバープレート125の反射特性
はホログラム素子111の回折・反射特性と等しく,出
射角θ2 は入射角θ1 に依存し,入射光30の波長には
依存しない。
【0059】それ故再生光31は,波長によらないほぼ
平行な光線となり色収差による表示像のぼけを抑制する
ことができる。また,前記のように表面反射角θ2 ′は
出射角θ2 に等しく,両者31,321は平行光線とな
りノイズ像によるぼけも抑制することができる。
【0060】その他については,実施例1と同様であ
る。なお,他の方法として,ホログラムを撮影する際に
色収差を補正し,更にその補正に合わせた形状にカバー
プレート125を形成する方法もある。
【0061】実施例7 本例は,図14に示すように,平面鏡の回折・反射特性
を有するホログラム素子110を有するホログラフィー
装置100の全体を湾曲させることにより,実施例1及
び実施例6と同様な凹面鏡特性のホログラフィー装置を
得るもう1つの実施例である。
【0062】即ち,図14に示すように,ホログラム素
子110を湾曲させて凹面鏡と同様の回折・反射特性を
得ると共に,上部カバープレート123をそれと同形に
湾曲させホログラム素子110と同様の反射特性を得
る。これにより,表面反射光によるノイズ像による視認
妨害及び色収差による表示像のぼけを共に抑制すること
ができる。その他については,実施例1及び実施例6と
同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラフィー装置の原理説明図。
【図2】実施例1のホログラフィー装置の説明図。
【図3】実施例1のホログラム素子の製造方法説明図。
【図4】実施例1のホログラム素子の回折特性図。
【図5】実施例2のホログラフィー装置の説明図。
【図6】実施例3のホログラム素子の製造方法説明図。
【図7】実施例3のホログラム素子の露光方法説明図。
【図8】実施例3のホログラム素子の製造方法における
特性変化図。
【図9】実施例4のホログラム素子の回折効率の波長特
性図。
【図10】実施例4のホログラム素子の熱処理時間によ
る回折特性の変化図。
【図11】実施例4のホログラム素子の熱処理方法説明
図。
【図12】実施例5のホログラム素子の熱処理方法説明
図。
【図13】実施例6における色収差の説明図。
【図14】実施例7のホログラフィー装置の説明図。
【図15】ヘッドアップディスプレイの原理説明図。
【図16】従来のヘッドアップディスプレイの構成図。
【図17】従来のホログラフィー装置の説明図。
【図18】反射防止膜を有する従来のホログラフィー装
置の説明図。
【符号の説明】
1...ヘッドアップディスプレイ, 10,100...ホログラフィー装置, 11,110,111...ホログラム素子, 123,125,126...上部カバープレート, 1231,1251...入射面, 124...下部カバープレート, 131,132,134...シール材, 14...基板ガラス, 15...散乱防止膜, 17...プリズム, 20...重クロム酸ゼラチン膜, 21...乾板, 22...光学素子, 30...入射光, 31...再生光, 32...表面反射光, 41...真空装置, 411...真空ポンプ, 44...発光部, 45...恒温槽, 46...センサー部, 47...移動式観測台, 90...表示器, 91...ウィンドシールド, 93...被表示像, θ1 ...入射光入射角, θ2 ...再生光出射角, θ2 ′...表面反射光反射角,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 哲也 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 舘林 裕幸 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被表示像に関する入射光を,ホログラム
    素子で回折・反射させて再生光とし,該再生光によって
    被表示像を視認するよう構成されたホログラフィー装置
    であって,該ホログラフィー装置は,上記入射光が入射
    する上部カバープレートと,該上部カバープレートの下
    部に設けたホログラム素子とを有しており,かつ上記上
    部カバープレートの入射光の入射面の形状は,上記ホロ
    グラム素子の回折・反射特性と同一反射特性を有する鏡
    面と同一形状であることを特徴とするホログラフィー装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1においてホログラム素子は凹面
    反射鏡と同様の回折・反射特性を有することを特徴とす
    るホログラフィー装置。
JP21516193A 1992-09-03 1993-08-05 ホログラフィー装置 Pending JPH06167615A (ja)

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JP21516193A JPH06167615A (ja) 1992-09-03 1993-08-05 ホログラフィー装置
EP19930114144 EP0585941A3 (en) 1992-09-03 1993-09-03 Process for making holograms and holography device
DE69332090T DE69332090T2 (de) 1992-09-03 1993-09-03 Holographievorrichtung
EP98101287A EP0840183B1 (en) 1992-09-03 1993-09-03 Holography device
US08/384,800 US5898511A (en) 1992-09-03 1995-02-06 Process for making holograms and holography device

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JP26079592 1992-09-03
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09127336A (ja) * 1995-10-31 1997-05-16 Central Glass Co Ltd 反射型ホログラム
JP2011022294A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Jasco Corp ホログラフィック・ノッチフィルターの製造方法、及びその方法によって製造されたホログラフィック・ノッチフィルター
US11002972B2 (en) 2019-03-25 2021-05-11 Seiko Epson Corporation Display device, optical element, and method of producing optical element

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US11656465B2 (en) 2019-03-25 2023-05-23 Seiko Epson Corporation Display device, optical element, and method of producing optical element

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