JPH06162550A - 書換可能光ディスク用光集積回路ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 導波路電気光学素子をスラブ型導波路と
し、集光スポットの光強度変調を二次元的制御でき、情
報の書き込み及び読み込みを正確にすることのできる書
換可能光ディスク用光集積回路ヘッドを提供すること。 【構成】 レーザ光の導波路及びレーザ光をディスク
等の被集光物に集光させる集光グレーティングカップラ
を備えた光学式ヘッド装置において、電気光学効果を有
する有機高分子からなるスラブ型導波路層、及び導波路
を通過する導波光の位相若しくは波面を変調する電気光
学変調用電極からなり、レーザ集光点での光強度を変調
する電気光学素子を上記導波路に有し、また上記被集光
物からの反射光を複数分割して集光させる反射光用グレ
ーティング及び該反射光用グレーティングによる集光を
受光するフォトダイオードを設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光学的に情報を記録再
生するための光学式ヘッド装置に関するものであり、特
に、電気光学効果を有する有機高分子を用いた導波路型
電気光学素子を用いて、集光スポットの光強度変調を行
うことにより、情報の書き込みを行う書換可能光ディス
ク用光集積回路ヘッドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
情報の記録されたディスクから光学的に情報を再生した
り、ディスクに光学的に情報を記録するための光学式ヘ
ッド装置が種々提案されている。例えば、特開昭６１−
２９６５４０号公報には、光導波路上を伝搬する導波光
を回析格子により回析させ、外部の点に集束させる光学
式ヘッド装置が開示されている。このヘッド装置は、再
生専用ディスクに適用するものである。しかし、書換可
能ディスクに適用する場合は、情報記録のための集光ス
ポットの光強度変調が必要であり、上記ヘッド装置で
は、光源である半導体レーザの出力を変調すると、周波
数変動が生じて信号再生ができなくなる。

【０００３】また、光強度変調が必要な場合、電気光学
効果を有する光導波路を用いて変調する方式が有力であ
る。電気光学効果は、光学媒体に電界を印加した場合
に、この媒体の屈折率が変化する現象である。この電気
光学効果を利用した電気光学素子は光集積回路に組み入
れられ、半導体レーザ等の高速外部変調に応用できるた
め、低電圧で駆動できる電気光学の材料が強く求められ
ている。

【０００４】従来より公知の無機材料系（リン酸二水素
カリウム（KH₂PO₄）、ニオブ酸リチウム（LiNbO₃）等）
に比べ、著しく高い電気光学定数と速い応答速度を示す
有機結晶材料が見い出されている。例えば、４−Ｎ，Ｎ
ジエチルアミノ−４−ニトロスチルベンや２−メチル−
４−ニトロアニリン（ＭＮＡ）が知られている。しかし
ながら、これらの有機結晶材料は無機結晶のように電気
光学素子を作製しようとしても実用に供し得るような大
きさの単結晶が得られ難い上、脆く、加工性に劣るとい
う欠点を有している。これに対し、成形加工性に優れた
高分子材料を活用するものとして、高分子材料中に二次
非線形光学材料を溶解したものや二次非線形光学材料を
高分子の側鎖に導入したものが提案されている。これら
の高分子材料は、中心対称構造を有し二次光非線形性の
発現をしないため、電界印加等の手法で配向処理を行
い、中心対称性を解消して用いる必要がある。配向処理
の方法としては、例えば、高分子材料をそのガラス転移
点近傍に保持しながら高電界を印加する、コロナ放電法
がある。

【０００５】しかし、コロナ放電法では、配向時におけ
る導波路表面の荒れ、配向不均一、配向緩和等の問題が
あった。更に、従来の電気光学素子は、チャネル型導波
路で構成されており、高速応答、光ファイバとの整合な
どの点では有利であるが、光情報処理、光センサデバイ
ス等において求められる光波の二次元制御ができないと
いう問題がある。本発明の目的は、導波路電気光学素子
をスラブ型導波路とし、集光スポットの光強度変調を二
次元的制御でき、情報の書き込み及び読み込みを正確に
することのできる書換可能光ディスク用光集積回路ヘッ
ドを提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、レーザ光の導
波路及びレーザ光をディスク等の被集光物に集光させる
集光グレーティングカップラを備えた光学式ヘッド装置
において、電気光学効果を有する有機高分子からなるス
ラブ型導波路層、及び導波路を通過する導波光の位相若
しくは波面を変調する電気光学変調用電極からなり、レ
ーザ集光点での光強度を変調する電気光学素子を上記導
波路に有し、また上記被集光物からの反射光を複数分割
して集光させる反射光用グレーティング及び該反射光用
グレーティングによる集光を受光するフォトダイオード
を設けたことを特徴とする書換可能光ディスク用光集積
回路ヘッドを提供することにより上記目的を達成したも
のである。

【０００７】以下に、図面を参照して本発明を説明す
る。図１は、本発明の書換可能光ディスク用光集積回路
ヘッドの概略図である。図２は図１の書換可能光ディス
ク用光集積回路ヘッドの電気光学素子及び集光グレーテ
ィングカップラの断面図である。図３は図２の電気光学
素子の電気光学変調用電極（交叉指電極）の平面図であ
る。図１乃至図３に示す如く、本発明に係る書換可能光
ディスク用光集積回路ヘッド１は、レーザ光の導波路３
及びレーザ光をディスク等の被集光物２０に集光させる
集光グレーティングカップラ５を備えており、この点の
構成においては、公知の光学式ヘッド装置と同様であ
る。しかして、本発明に係る書換可能光ディスク用光集
積回路ヘッド１は、電気光学効果を有する有機高分子か
らなるスラブ型導波路層１４、及び導波路を通過する導
波光の位相若しくは波面を変調する電気光学変調用電極
１２、１６からなり、レーザ集光点での光強度を変調す
る電気光学素子４を上記導波路３に有し、また上記被集
光物２０からの反射光を複数分割して集光させる反射光
用グレーティング６及び該反射光用グレーティング６に
よる集光を受光するフォトダイオード７を設けたもので
ある。

【０００８】本発明を更に詳しく説明すると、図１に示
す如く書換可能光ディスク用光集積回路ヘッド１は、基
板２及び基板２面に形成された導波路３からなり、導波
路３は電気光学素子４の形成部分が少なくともスラブ型
導波路で形成され、本発明においては導波路３全体がス
ラブ型導波路で形成されている。半導体レーザ１０から
のレーザ光は、電気光学素子４を透過し、集光グレーテ
ィングカップラ５に達し、集光グレーティングカップラ
５によって集光されたレーザ光は、光記録ディスク等の
被集光物２０で集光される。また、被集光物２０からレ
ーザ光の反射光は、分波集光グレーティング（又は反射
光用グレーティング）６で二分割集束された後、それぞ
れのフォトダイオード７、７に受光され、その光情報が
フォトダイオード７、７によって電気信号に変換されて
いる。

【０００９】図２及び図３に示す如く、電気光学素子４
（又はスラブ導波路電気光学スイッチ素子）は基板２の
絶縁層１１面上に形成され、交叉指電極１２、光バッフ
ァ層１３、導波路３としてのスラブ型導波路層１４、光
バッファ層１５、及び平板電極１６からなっている。基
板２は、それ自体公知のものを用いることができ、具体
的に用いるものとしては、シリコン、ガラスなどが挙げ
られる。絶縁層１１は、それ自体公知の絶縁材を用いる
ことができ、具体的に用いるものとしては、基板２を熱
酸化した酸化シリコンでもよく、またポリイミド、ポリ
メチルメタクリレート、ガラスなどが挙げられる。光バ
ッファ層１３、１５は、通常使用されるバッファ材料で
あれば特に制限はなく、例えば、酸化シリコン、ポリイ
ミド、ポリメチルメタクリレート、ガラスなどが挙げら
れる。交叉指電極１２及び平板電極１６は電気光学変調
用電極である。また、この電気光学変調用電極は、電気
光学効果を有する有機高分子の分子配向処理用電極とし
ても使用される。交叉指電極１２及び平板電極１６とし
ては、金、クロム、アルミニウム等の金属や、ＩＴＯ
（酸化インジウム、錫）などが挙げられる。また、図３
に示す如く交叉指電極の電極幅は、好ましくは１μｍ〜
１mm、電極間隔は１〜２０μｍであることが望ましい。

【００１０】スラブ型導波路層１４は電気光学効果を発
揮する有機高分子からなり、このような高分子として
は、超分極率βの大きい分子をポリマー中に分散したも
の、また主鎖又は側鎖に分極率の大きい分子を修飾した
ポリマーであり、このようなポリマーをそのガラス転移
温度Ｔｇ以上に上げ、電場配向したまま温度を下げ、配
向を固定化することによって得られるものや、配向緩和
を抑制するために、エポキシ樹脂などの架橋性ポリマー
を電場配向下に架橋することにより得られるものが挙げ
られる。従って、スラブ型導波路層１４は上記電極１
２、１６と共に一体となって形成でき、導波路表面の荒
れや配向不均一等が解消される。超分極率βに大きい分
子としては、以下に示す化１の一般式Ｄ−〔π〕−Ａ
（Ｄ：ドナー、π：π共役化合物、Ａ：アクセプター）
で表すことができる分子内電荷移動型π共役系化合物が
挙げられる。

【００１１】

【化１】 また、電気光学効果を有する有機高分子としては、以下
に示す化２〜４の側鎖置換型（３ＲＤＣＶＸＹポリマ
ー、ｐＡｎ−ＰＶＡ、ＤＡＮＳポリマー）、主鎖置換
型、又は架橋型のものが挙げられる。勿論、これらに限
定されるものではない。

【００１２】

【化２】

【００１３】

【化３】

【００１４】

【化４】

【００１５】次に、上記の如く構成された書換可能光デ
ィスク用光集積回路ヘッド１により、情報の書き込みを
行う動作について説明する。先ず、半導体レーザ１０か
らレーザ光が導波路３内に注入され、導波路３内を透過
したレーザ光は集光グレーティングカップラ５によっ
て、ディスク２０上の光スポットに集光される。ここ
で、電気光学素子４の交叉指電極１２の片側の電位を記
録情報信号で変調することにより、集光スポットの光強
度変調を行うことができ、情報の書き込みが可能とな
る。一方、ディスク２０からの反射光は分波集光グレー
ティング６により対称に二分割されて収束され、フォト
ダイオード７、７で受光され電気信号に変化される。反
射光を二分割して受光することにより、ディスク２０上
の光スポット位置の調整が可能となる。また、反射光の
変化を読み取ることによりディスク２０の情報を読み取
ることができる。尚、上記分波集光グレーティング６は
二分割の分波としたが、必要により二以上の分波として
もよい。

【００１６】

【発明の効果】本発明の書換可能光ディスク用光集積回
路ヘッドは、電気光学素子をスラブ型導波路として、集
光スポットの光強度変調を正確に行い、情報の書き込み
及び読み込みを正確にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の書換可能光ディスク用光集積
回路ヘッドの概略図である。

【図２】図２は、図１の書換可能光ディスク用光集積回
路ヘッドの電気光学素子及び集光グレーティングカップ
ラの断面図である。

【図３】図３は、図２の電気光学素子の電気光学変調用
電極（交叉指電極）の平面図である。

【符号の説明】

１ 書換可能光ディスク用光集積回路ヘッド ２ 基板 ３ 導波路 ４ 電気光学素子 ５ 集光グレーティングカップラ ６ 反射用集光グレーティング ７ フォトダイオード １０ 半導体レーザ １１ 絶縁層 １２ 交叉指電極 １３、１５ 光バッファ層 １４ スラブ型導波路層 １６ 平板電極 ２０ 被集光物

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レーザ光の導波路及びレーザ光をディス
   ク等の被集光物に集光させる集光グレーティングカップ
   ラを備えた光学式ヘッド装置において、 電気光学効果を有する有機高分子からなるスラブ型導波
   路層、及び導波路を通過する導波光の位相若しくは波面
   を変調する電気光学変調用電極からなり、レーザ集光点
   での光強度を変調する電気光学素子を上記導波路に有
   し、 また上記被集光物からの反射光を複数分割して集光させ
   る反射光用グレーティング及び該反射光用グレーティン
   グによる集光を受光するフォトダイオードを設けたこと
   を特徴とする書換可能光ディスク用光集積回路ヘッド。