JPH06160578A - 高速増殖炉のルーフデッキ構造 - Google Patents

高速増殖炉のルーフデッキ構造

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JPH06160578A
JPH06160578A JP4313217A JP31321792A JPH06160578A JP H06160578 A JPH06160578 A JP H06160578A JP 4313217 A JP4313217 A JP 4313217A JP 31321792 A JP31321792 A JP 31321792A JP H06160578 A JPH06160578 A JP H06160578A
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plate
convection
fast breeder
bottom plate
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JP4313217A
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Tadashi Goto
忠 後藤
Takao Sakai
隆雄 酒井
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ルーフデッキの冷却量を大幅に低減するとと
もに、ルーフデッキ下面へのナトリウムミストの付着量
を大きく抑制することができる高速増殖炉のルーフデッ
キ構造を提供する。 【構成】 内部に一次系冷却材であるナトリウム6を有
し、ナトリウム6の中に炉心2及び一次系主要機器など
を格納し、ナトリウム液面7上に不活性ガスからなるカ
バーガス領域12を形成する原子炉容器1の上部をルー
フデッキ11で蓋をしてある高速増殖炉のルーフデッキ
構造において、ルーフデッキ底板19の下面に、薄板状
の対流抑制板15を突設し、カバーガス領域12に延設
してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速増殖炉のルーフデッ
キ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速増殖炉は、形式がループ型とタンク
型とに分けられている。
【0003】本発明はこの両形式に適用することができ
るが、タンク型高速増殖炉に適用したほうが、より効果
的であり、また、1次系冷却材には液体金属ナトリウム
(以下、ナトリウムと略称)が一般に用いられるので、
ここでは、本発明をタンク型高速増殖炉に適用し、かつ
1次系冷却材にナトリウムを用いた場合を取り上げるこ
とにし、まず、従来のタンク型高速増殖炉について説明
する。
【0004】図2は、従来の一般的なタンク型高速増殖
炉における一次系の模式縦断面図である。図2に示すよ
うに、原子炉容器1の内部には、炉心2、複数基の一次
系ポンプ3と中間熱交換器4、及び炉心上部機構5など
が納められている。
【0005】また、原子炉容器1の内部には、一次系冷
却材であるナトリウム6が充填され、原子炉容器1の頂
部はルーフデッキ11で蓋がされている。ナトリウム6
が充填されている領域は、隔壁構造物8により、高温プ
レナム域9と低温プレナム域10とに仕切られ、上層が
高温プレナム域9、下層が低温プレナム域10となって
おり、ナトリウム液面7とルーフデッキ11との間の空
間は、不活性ガスが充填されたカバーガス領域12とな
っている。
【0006】ルーフデッキ11は、燃料交換器(図示せ
ず)及び炉心上部機構5などを搭載して回転する回転プ
ラグ13と、複数基の一次系ポンプ3と中間熱交換器4
とを搭載する固定デッキ14とに分かれている。
【0007】回転プラグ13は、大回転プラグと、その
内側に偏芯した小回転プラグとがあつて、二重回転構造
になっており、この両プラグの回転の組み合せによって
燃料取扱機構(図示せず)が稼働し、炉心の全ての位置
の燃料集合体を取り扱うことができるようになってい
る。
【0008】また、一次系ポンプ3及び中間熱交換器4
は、炉心2を中心にサークル状に配置されており、いず
れも固定デッキ14から高温プレナム域9を通り、隔壁
構造物8を貫通し、下部の低温プレナム域10に達して
いる。
【0009】炉心上部機構5は、燃料取扱機構(図示省
略)とともに、回転プラグ13に固定され、回転プラグ
13の下方に設けられている。
【0010】ルーフデッキ11は、炉内機器の重量物を
支持するため、鉄骨の組合せによる丈夫な梁構造になっ
ており、梁間の空隙には放射線輻射を遮弊するための鋼
球又はコンクリートが充填されている。
【0011】また、ルーフデッキ11は、下記の理由に
より、常に低温に保持されている。すなわち、 (1)ルーフデッキ11の上面に設置してある電気計装
部品、及び機器貫通部のシール材の許容温度は、耐熱性
の関係から、50℃に制限されている。
【0012】(2)ルーフデッキの支持部の許容温度
は、原子炉容器の支持部におけるコンクリート部材の強
度確保のため、50℃に制限されている。
【0013】(3)ルーフデッキ内部の放射線遮弊体で
あるコンクリート部材の遮弊機能を保持するため、コン
クリート内部から結晶水が脱水しないように、コンクリ
ート部材を150℃以下に制限する必要がある。
【0014】なお、ルーフデッキ11の冷却は、ルーフ
デッキ11内に冷却ガスを導入し、ルーフデッキ11内
を循環させながら、ルーフデッキ11全体を冷却する強
制循環空冷方式になっている。
【0015】ルーフデッキ11の下方には、高温のナト
リウム液面7からの輻射熱を防止する積層構造の熱遮弊
構造16を設けてある。
【0016】以上のように構成された、従来の一般的な
高速増殖炉の一次系の動作について説明する。
【0017】図2において、複数基の一次系ポンプ3が
同時に稼働し、低温プレナム域10のナトリウム6を炉
心2に圧送する。ナトリウム6は炉心2内部の核分裂反
応熱で加熱されて、高温のナトリウム6となり、炉心2
の頂部から高温プレナム域9に流出する。
【0018】高温のナトリウム6は複数基の中間熱交換
器4に分流し、中間熱交換器4の内部を降下しながら、
それぞれ伝熱管を介して二次冷却系(図示せず)側に放
熱し、低温のナトリウム6となり、再び低温プレナム域
10に戻る一巡の流路を形成する。
【0019】二次冷却系が受けた熱は、中間熱交換器4
から蒸気発生器(図示せず)に配管された二次系ナトリ
ウムループ(図示せず)に移行され、蒸気発生器からの
蒸気でタービン・発電機(図示せず)を稼働し、発電す
るシステムに利用されている。
【0020】一設計例によれば、熱出力3000MWt
級のタンク型高速増殖炉の通常運転時の炉心入口の温度
条件は370℃であり、炉心2へ流入したナトリウムは
530℃まで加熱される。したがって、高温プレナム域
9のナトリウム液面7は、ほぼ炉心2出口温度の高温状
態となり、その上方のカバーガス領域12も高温に曝さ
れることになる。
【0021】したがって、ルーフデッキ11も高温とな
るが、熱遮弊構造16による熱遮弊とルーフデッキ11
内の冷却とにより、ルーフデッキ11の表面温度はほぼ
室温に保たれている。
【0022】しかし、ルーフデッキ11における従来の
冷却方法には問題があった。すなわち、熱遮弊構造16
の熱遮弊板が水平に配置されていることから、ナトリウ
ム6の蒸気が凝縮し、更に凝固して、隣接する熱遮弊板
の間にブリッジを形成することがあり、このため、熱遮
弊板間の隙間が失われ、熱遮弊構造16による断熱性能
が損なわれることがあった。
【0023】この問題の改良例として、特開昭61−9
5280号公報には、熱遮弊構造の下面にナトリウム蒸
着防止膜を設けた場合が開示されている。
【0024】以上、説明したタンク型高速増殖炉のこれ
までの設計例によると、熱出力が3000MWt級で
は、原子炉容器1の直径が約18〜20メートルにも及
ぶ大型容器となり、更に、4基の一次系ポンプと8基の
中間熱交換器などの機器を支えるルーフデッキの強度部
材も約2000トンにも及ぶ重量物になる。
【0025】このように、タンク型高速増殖炉は、大型
かつ複雑になることから、建設コストは同クラスの軽水
炉に比べて2.5倍にも増大する。したがって、高速増
殖炉が将来、実用炉になり、軽水炉と発電コストの競合
する場合、それに打ち勝つためにも、大幅な合理化を進
めておく必要がある。
【0026】近年、タンク型高速増殖炉の合理化設計に
関する研究開発が盛んに行われている。その狙いは、物
量を減らし、システムの簡素化を図り、建設コストを下
げようとするものであり、ルーフデッキの簡素化も有効
な合理化手段として取上げられている。
【0027】すなわち、Phenix炉のルーフデッキ
の熱遮弊構造部には約5000個の熱遮弊板、及びこれ
らを固定する約10万個の部品、更に約2000枚の設
計図が用いられている。そして、これらが大幅なコスト
アップの要因となっていることから、Super Ph
enixII炉といわれるRNR1500炉では、これら
を合理化した、いわゆる合理化型ルーフデッキの概念が
取り入れられている。図3は合理化型ルーフデッキ要部
の説明図である。合理化型ルーフデッキは、ルーフデッ
キ11の下部に取り付けてある積層型の熱遮弊構造16
を全て削除した基本構造を有している。
【0028】そして、ルーフデッキ11の冷却は、冷却
ガスをルーフデッキ上板20部に設けられてある冷却ガ
ス導入管21から吹き込み、更に、放射線遮弊体17の
下部の冷却ダクト18内を流動させ、ルーフデッキ底板
19を直接冷却した後、冷却ガス放出管22から外気に
放出させて行っている。
【0029】このような温度条件下におけるカバーガス
領域12の温度分布は、下層に高温部のナトリウム液面
7があり、上層に低温部のルーフデッキ底板19がある
ことから、自然対流が極めて発生しやすい状態にある。
【0030】ナトリウム液面7で暖められたカバーガス
領域12内のカバーガスは、上昇流となってルーフデッ
キ底板19の下面に達し、そこで冷却されて下降流とな
って、再びナトリウム液面7側に戻ることになり、カバ
ーガスの自然対流が発生する。なお、原子炉容器1の壁
側の方の温度が低いため、自然対流は、一般に、数個の
セルを発生しながら中央部分が上昇流、壁側が下降流と
なり、上下の高・低温の面近傍では水平流となる。
【0031】このような自然対流により、ルーフデッキ
11は暖められるが、合理化型ルーフデッキでは、その
許容温度の限界近くの高温度になるまで使用され、許容
温度を超過した場合に、ルーフデッキ11を許容温度以
下にするための冷却設備が設置されている。すなわち、
このような冷却設備を設置しても、コスト低減になると
試算しているものである。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】しかし、合理化型ルー
フデッキの場合、ルーフデッキ底板を直接冷却するの
で、ルーフデッキ底板とナトリウム液面との温度差が大
きくなる。したがって、ナトリウムミストが多量に発生
し、カバーガスの自然対流も盛んになるため、ナトリウ
ムミストの輸送量が拡大されることになる。
【0033】また、ルーフデッキ底板近傍がナトリウム
の融点以下に冷却された場合は、ナトリウムミストは固
化し、回転プラグ部分など可動部分に固着する恐れがあ
り、ルーフデッキ底板の温度がナトリウムの融点以上の
場合は、ルーフデッキ底板19に付着したナトリウムミ
ストは液滴となり、液滴は表面張力と平衡するまで大き
く成長する。すなわち、ルーフデッキ底板19へのナト
リウムミストの付着量が増大し、ナトリウム6の液滴は
頻繁に落下し、ナトリウム液面7近傍のナトリウム6の
飛散が激しくなる。
【0034】このように、合理化型ルーフデッキでは、
従来の高速増殖炉の場合に比べて、カバーガス領域の自
然対流が促進されるため、冷却熱量が増大するほか、ナ
トリウムにおけるミストの発生、ミストのルーフデッキ
底板19への付着、及びミストが成長して生じた液滴の
落下が、それぞれ激しくなり、このため、ポンプのメカ
ニカルシール、及びルーフデッキ貫通機器の周辺隙間な
どへのナトリウム6の侵入量が増加し、トラブルを引き
起こす原因となる。
【0035】すなわち、合理化型ルーフデッキでは、ル
ーフデッキ構造の小型軽量化は達成されるが、冷却熱量
の増大、及びナトリウムミストの発生とその処理につい
ては配慮されていない。
【0036】本発明は、上記の状況に鑑みなされたもの
であり、ルーフデッキの冷却熱量が大幅に低減され、更
に、ルーフデッキの底板と低温部へのナトリウムミスト
の付着量が大きく抑制される高速増殖炉のルーフデッキ
構造を提供することを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】上記目的は、次のように
して達成することができる。
【0038】(1)内部にナトリウムからなる一次系冷
却材を有し、一次系冷却材の中に炉心及び一次系主要機
器などを格納し、一次系冷却材の液面上にカバーガス領
域を形成する原子炉容器の上部をルーフデッキで蓋をし
てある高速増殖炉のルーフデッキ構造において、ルーフ
デッキの底板下面に対流抑制板を突設し、対流抑制板を
カバーガス領域に延設してあること。
【0039】(2)(1)において、対流抑制板が、渦
巻型を形成する帯状のステンレス鋼板又は鋼板からなる
こと。
【0040】(3)(1)において、対流抑制板が、同
心円型を形成する帯状のステンレス鋼板又は鋼板からな
ること。
【0041】(4)(1)において、対流抑制板が、複
数個の薄肉円筒により形成される管束状のステンレス鋼
板又は鋼板からなること。
【0042】(5)(1)において、対流抑制板が、格
子状又はハニカム状のステンレス鋼板又は鋼板からなる
こと。
【0043】(6)(1)〜(5)において、対流抑制
板における隣接する板との間隔の上限値を、一次系冷却
材が蒸気化されて発生する自然対流中に形成される複数
個のうちの最小の自然循環セルの水平方向寸法以内に設
定してあること。
【0044】(7)(1)〜(5)において、対流抑制
板における隣接する板との間隔の下限値を、蒸気化され
た一次系冷却材が凝縮して形成される液滴が、間隔をブ
リッジしない寸法以上に設定してあること。
【0045】(8)(1)〜(5)において、対流抑制
板の長さを、底板ルーフデッキの底板下面の近傍のカバ
ーガス領域で形成される急峻な温度勾配域の厚さ以上に
設定してあること。
【0046】(9)(1)〜(5)において、対流抑制
板の下端面の形状が、下方に凸状で、先端部が鋭角をな
す波型であること。
【0047】(10)(1)において、対流抑制板の上
端面と前記ルーフデッキの底板下面との接合部にギャッ
プを設けてあること。
【0048】
【作用】原子炉容器内の高温ナトリウム側の温度が、例
えば約530℃であり、ルーフデッキ側が低温に保持さ
れた定常状態で運転されている場合、ナトリウム液面か
らナトリウム蒸気が発生する。
【0049】ナトリウム液面の温度に比べて、カバーガ
ス領域の温度が極端に低いため、ナトリウム蒸気はカバ
ーガス領域でナトリウムミストとなり浮遊する。ナトリ
ウムミストは、カバーガス領域の温度分布に従って、一
部が蒸発と凝縮とを繰り返しながら平衡状態を保つ。ま
た、カバーガス領域は下層で高温、上層で低温となり、
温度勾配を有するため、自然対流が極めて発生しやすい
状態になる。
【0050】ルーフデッキの冷却に伴い、ルーフデッキ
側へ行われる伝熱は、ナトリウムミストを含んだカバー
ガスの自然対流、高温側のナトリウム液面温度と低温側
のルーフデッキ底板との温度差による輻射、及びカバー
ガスの伝導による複合伝熱である。
【0051】このような複合伝熱のうち、カバーガスガ
スは熱伝導率が低いことから、カバーガスによる伝熱は
小さい。更に、高温側と低温側との温度差は大きいが、
ナトリウムに鏡面の輝きがあるためナトリウム表面の輻
射率は0.03〜0.05と低く、したがって輻射によ
る伝熱も比較的少ない。すなわち、最も支配的であるの
は、カバーガスの自然対流による伝熱である。
【0052】これに対して、本発明では、上層の低温部
であるルーフデッキ底板の下面に対流抑制板を突設して
あるので、自然対流はナトリウム液面から対流抑制板の
下端部までの下層ガス空間領域に制限され、ルーフデッ
キ下部までは到達しない。
【0053】したがって、ルーフデッキ底板の下面への
伝熱はアルゴンガスの熱伝導のみとなって、断熱性が良
好となり、ルーフデッキの冷却量が減少する。
【0054】また、本発明では、渦巻型、同心円型、薄
肉円筒を複数個まとめて形成される管束型、格子状又は
ハニカム状に形成させたステンレス鋼板又は鋼板からな
る対流抑制板を準備してあり、それらを適宜選択して使
用できるので、対流抑制板による効果を十分に得ること
ができる。
【0055】また、対流抑制板における隣接する板との
間隔を、ナトリウムの液滴がブリッジしないように、ま
た一次系冷却材が蒸気化されて発生する自然対流中に形
成される自然循環セルが通過することがないように設定
してあり、更に、対流抑制板の長さを、底板ルーフデッ
キの底板下面の近傍のカバーガス領域で形成される急峻
な温度勾配域の厚さ以上の設定してあるので、対流抑制
板の効力が大きく発揮される。
【0056】また、ナトリウムミストには、自然対流で
運ばれ低温部に付着するものと、濃度勾配に伴う物質移
動によって付着するものとがある。ナトリウムミストの
ルーフデッキ底板の下面への付着は、自然対流が到達し
ないため、主に物質移動現象によって運ばれる。そし
て、ルーフデッキ底板の下面に付着したナトリウムミス
トは液滴となり、液滴における重力が表面張力と平衡す
る成長した後に滴下する。しかし、ほとんどのナトリウ
ムミストは、対流によって運ばれて対流抑制板の表面に
付着し、液滴に成長する。
【0057】本発明では、対流抑制板の下端面の形状
を、下方に凸状で、先端部が鋭角をなす波型にしてある
ので、対流抑制板を流下してきたナトリウムの液滴を、
鋭角の部分に集めることができ、また、この部分は液滴
との接触面積が極端に小さいので、液滴は小さいうちに
滴下する。すなわち、対流抑制板に発生した液滴ととも
に、ルーフデッキ底板の下面に発生した液滴も対流抑制
板を介して、ほとんど成長しないうちに流れ落ちるの
で、ルーフデッキ底板の下面、及び対流抑制板へのナト
リウム液の付着量は減少する。
【0058】更に、対流抑制板の上端面とルーフデッキ
の底板下面との接合部にギャップを設けてあるので、対
流抑制板からルーフデッキへの伝熱を大きく抑制するこ
とができる。
【0059】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1と図4〜図9
とを用いて説明する。
【0060】図1は本実施例のタンク型高速増殖炉の一
次系の模式縦断面図、図4は図1の要部の縦断面図であ
る。本実施例が従来例に比べて大きく異なる点は、カバ
ーガス領域に、従来例では熱遮蔽構造16(図2)を設
けているのに対し、本実施例では熱遮蔽構造を使用せ
ず、図1に示すように、対流抑制板15を設置している
ことである。なお、カバーガスにはアルゴンガスを使用
している。
【0061】図4に示すように、本実施例のルーフデッ
キ11の内部構造も、従来例(図3)の場合と異にしてい
るが、基本的構成は同じである。すなわち、ルーフデッ
キ11には一次系機器の重量物を搭載するため、ルーフ
デッキ11は梁の組合せによる丈夫なリブ構造(図示せ
ず)からなり、リブ間の空隙はコンクリート材等を充填
した放射線遮弊体17になっており、更に、放射線遮弊
体17とルーフデッキ底板19との間に空間を設けて、
冷却ガス導入管21と冷却ガス放出管22(図示せず)
とに連通する冷却ダクト18を形成してあることなど
は、従来例の場合と同様である。
【0062】対流抑制板15は、ルーフデッキ底板19
の下面からカバーガス領域12に対流抑制板15を垂直
に配置してある。すなわち、ルーフデッキ底板19の下
面に対流抑制板15を設けてあるので、ルーフデッキ底
板19の下面に沿って流れるナトリウム6の蒸気からな
る水平流は遮断され、自然対流のフローパタンは対流抑
制板15の下層空間領域に制限された循環流となる。し
たがって、自然対流をしているナトリウム6の蒸気が、
ルーフデッキ底板19の下面まで到達することはない。
【0063】図1の対流抑制板15の形状を図5に示
す。図5の(a)は螺旋型の対流抑制板の平面図であ
り、図5の(b)は同心円型の対流抑制板の平面図であ
る。なお、同心円型の対流抑制板は、螺旋型の対流抑制
板の変形例である。螺旋型及び同心円型の各場合とも、
薄板のステンレス鋼板又は鋼板を加工したものを用い、
ルーフデッキ底板19の下面に固定してある。
【0064】なお、原子炉容器1の寸法(特に直径)、
ナトリウム液面7の位置、及びカバーガス領域の上下の
温度差などによって、自然対流の状況が異なるので、対
流抑制板15の板間の間隔、及び長さの設定基準は、カ
バーガス領域12の空間(直径、高さ)内における自然
対流特性を予め評価しておき、更に、ナトリウムミスト
の挙動等を考慮して設定している。
【0065】自然対流特性は、空間のアスペクト比、す
なわち直径と高さとの比に左右され、フローパタンには
複数個の自然循環セルが発生する。図6はアスペクト比
が16のときのガス空間における三次元熱流動の解析結
果の説明図である。なお、この解析結果は、中心部に対
して左右対称となるので、図6には右半分の領域におけ
る結果のみを示してある。図6に示すように、5つの自
然循環セルが発生している。
【0066】対流抑制板15は、ルーフデッキ底板19
の下面近傍の水平成分の流域を遮断するために設けるも
のである。このため、対流抑制板15の板間の間隔の上
限値は、上記のフローパタンのうちの小さいセルの水平
方向寸法以内を目安にしてある。一方、下限値は、ナト
リウムの液滴が板間をブリッジしない寸法以上の間隔に
設定している。
【0067】一般に、ルーフデッキ底板19の下面に付
着しているナトリウムの液滴は、この液滴の重力が表面
張力とが釣り合うまで成長してから滴下し、ルーフデッ
キ底板19の下面では液滴の接触面積が大きい。したが
って、ルーフデッキ底板19の下面では、垂直面状の対
流抑制板15に比べて比較的大きな液滴まで成長するの
で、板間の下限値は、この点を留意して設定している。
【0068】図7はガス空間の高さ方向の温度分布線図
である。温度勾配の急変する領域が、ルーフデッキ底板
とナトリウム液面との各近傍に現われ、それらの間の中
央部分はほぼ一定温度になる。すなわち、ルーフデッキ
底板19の下面近傍に急峻な温度勾配域が発生する。本
実施例では、対流抑制板15の長さの基準を、この温度
勾配域の厚さ以上を目安に設定している。
【0069】図8は図1の対流抑制板の下端部の説明図
である。図8に示すように、対流抑制板15の下端面の
形状を、下方に凸状で、先端部が鋭角をなす鋭角部23
を有する波型にしてある。したがって、対流抑制板15
を流下してきたナトリウム液を、鋭角部23に集めるこ
とができ、更に、この部分は液滴との接触面積が極端に
小さいので、液滴を小さいうちに滴下させることができ
る。
【0070】図9は図1の対流抑制板の固定方法の説明
図である。図9に示すように、ルーフデッキ底板19の
下面への対流抑制板15の固定は、この両者の間にギャ
ップを設けた状態で行っている。
【0071】図9の(a)は点付け溶接により固定した
場合を、図9の(b)はボルト25及びカラー26を用
いてネジ止めにより固定した場合を、それぞれ示してあ
る。なお、ネジ止めにより固定した場合は、点付け溶接
により固定した場合の変形例である。溶接部24は点付
け溶接時の溶接部であり、また、ネジ止めはボルト25
及びカラー26を用いて行っている。
【0072】このように、ルーフデッキ底板19の下面
と対流抑制板15との接続部にギャップを設けることに
より、その接続部の熱伝導抵抗を大きくし、カバーガス
領域から対流抑制板15を介してルーフデッキ11へ流
入する熱量を小さくしてある。また、この流入する熱量
をできるだけ小さくするため、対流抑制板15の板厚
を、機械的強度が許容する限り薄くしてある。
【0073】次に、本発明の他の実施例の対流抑制板の
形状について説明する。図10の(a)は複数個の円管
を束ねて作つた対流抑制板の平面図、図10の(b)は
格子型の自然対流抑制板の平面図である。格子型の対流
抑制板15は、複数個の円管を束ねて作つた対流抑制板
15の変形例である。このように、複数個の円管を束ね
て作つた管束型や格子型の対流抑制板15を用いること
ができる。更に、格子型の応用例であるハニカム型(図
示せず)の対流抑制板15を用いることもできる。
【0074】上記の管束型、格子型及びハニカム型の対
流抑制板15は、前述の螺旋型及び同心円型のものに比
べて、同様又はそれ以上の効果を発揮することができ
る。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、高速増殖炉において、
ルーフデッキの冷却装置を大幅に低減でき、また、ルー
フデッキの底板と低温部へのナトリウムミストの付着量
を大きく抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の模式縦断面図である。
【図2】従来例の模式縦断面図である。
【図3】合理化型ルーフデッキ要部の縦断面図である。
【図4】図1の要部の縦断面図である。
【図5】図1の対流抑制板の横断面図である。
【図6】ガス空間における熱流動解析例の説明図であ
る。
【図7】ガス空間の高さ方向温度分布を示す線図であ
る。
【図8】図1の対流抑制板の下端部の説明図である。
【図9】図1の対流抑制板の固定部の説明図である。
【図10】本発明の他の実施例の対流抑制板の横断面図
である。
【符号の説明】
1…原子炉容器、2…炉心、3…1次系ポンプ、4…中
間熱交換器、5…炉心上部機構、6…ナトリウム、7…
ナトリウム液面、8…隔壁構造物、9…高温プレナム
域、10…低温プレナム域、11……ルーフデッキ、1
2…カバーガス領域、13…回転プラグ、14…固定デ
ッキ、15…対流抑制板、16……熱遮弊構造、17…
放射線遮弊体、18…冷却ダクト、19…ルーフデッキ
底板、20…ルーフデッキ上板、21…冷却ガス導入
管、22…冷却ガス放出管、23…鋭角部、24…溶接
部、25…ボルト、26…カラー。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に液体金属ナトリウムからなる1次
    系冷却材を有し、前記一次系冷却材の中に炉心及び1次
    系主要機器などを格納し、前記1次系冷却材の液面上に
    カバーガス領域を形成する原子炉容器の上部をルーフデ
    ッキで蓋をしてある高速増殖炉のルーフデッキ構造にお
    いて、前記ルーフデッキの底板下面に対流抑制板を突設
    し、前記対流抑制板を前記カバーガス領域に延設してあ
    ることを特徴とする高速増殖炉のルーフデッキ構造。
  2. 【請求項2】 前記対流抑制板が、渦巻型を形成する帯
    状のステンレス鋼板又は鋼板からなる請求項1記載の高
    速増殖炉のルーフデッキ構造。
  3. 【請求項3】 前記対流抑制板が、同心円型を形成する
    帯状のステンレス鋼板又は鋼板からなる請求項1記載の
    高速増殖炉のルーフデッキ構造。
  4. 【請求項4】 前記対流抑制板が、複数個の薄肉円筒に
    より形成される管束状のステンレス鋼板又は鋼板からな
    る請求項1記載の高速増殖炉のルーフデッキ構造。
  5. 【請求項5】 前記対流抑制板が、格子状又はハニカム
    状のステンレス鋼板又は鋼板からなる請求項1記載の高
    速増殖炉のルーフデッキ構造。
  6. 【請求項6】 前記対流抑制板における隣接する板との
    間隔の上限値を、前記一次系冷却材が蒸気化されて発生
    する自然対流中に形成される複数個のうちの最小の自然
    循環セルの水平方向寸法以内に設定してある請求項1〜
    5記載の高速増殖炉のルーフデッキ構造。
  7. 【請求項7】 前記対流抑制板における隣接する板との
    間隔の下限値を、蒸気化された前記一次系冷却材が凝縮
    して形成される液滴が、前記間隔をブリッジしない寸法
    以上に設定してある請求項1〜5記載の高速増殖炉のル
    ーフデッキ構造。
  8. 【請求項8】 前記対流抑制板の長さを、前記底板ルー
    フデッキの底板下面の近傍の前記カバーガス領域で形成
    される急峻な温度勾配域の厚さ以上に設定してある請求
    項1〜5記載の高速増殖炉のルーフデッキ構造。
  9. 【請求項9】 前記対流抑制板の下端面の形状が、下方
    に凸状で、先端部が鋭角をなす波型である請求項1〜5
    記載の高速増殖炉のルーフデッキ構造。
  10. 【請求項10】 前記対流抑制板の上端面と前記ルーフ
    デッキの底板下面との接合部にギャップを設けてある請
    求項1記載の高速増殖炉のルーフデッキ構造。
JP4313217A 1992-11-24 1992-11-24 高速増殖炉のルーフデッキ構造 Pending JPH06160578A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005016848A (ja) * 2003-06-26 2005-01-20 Daikin Ind Ltd 空気調和機の室内機
KR101270426B1 (ko) * 2011-12-13 2013-07-04 한국원자력연구원 습식단열재 및 이를 구비하는 일체형 원자로

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