JPH06158435A - 耐炎化繊維の製造方法 - Google Patents

耐炎化繊維の製造方法

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JPH06158435A
JPH06158435A JP29976992A JP29976992A JPH06158435A JP H06158435 A JPH06158435 A JP H06158435A JP 29976992 A JP29976992 A JP 29976992A JP 29976992 A JP29976992 A JP 29976992A JP H06158435 A JPH06158435 A JP H06158435A
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Japan
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fibers
fiber
treatment
flame
oxidizing atmosphere
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JP29976992A
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English (en)
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Tsutomu Daiguuji
勤 大宮司
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速で且つ生産性に優れた耐炎化処理方法を
提供する。 【構成】 シリコン系の油剤で処理された水分率が1%
以下であるアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲気中
において230℃〜290℃に加熱された固定熱板に繰
返し接触させ、次いで200℃〜300℃の酸化性雰囲
気中で熱処理することからなる耐炎化繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアクリロニトリル系耐炎
化繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は他の構造材料に比べて比強度
・比弾性率に優れるためスポーツ・レジャー用品から宇
宙・航空機まで幅広く使われている。しかしながら、従
来より使用されてきた金属材料等と比較するとまだまだ
高価であるため、一般産業・工業分野への展開は遅れて
おり、特殊な用途に限定されているのが現状である。最
近では建築土木分野への適用も聞かれるようになったが
炭素繊維の高価格のためその伸びは大きなものではな
い。炭素繊維が高価であることの基本的な要因は生産性
に劣る点にあり、とりわけ前駆体繊維の耐炎化処理が非
能率的である点が挙げられる。
【0003】前駆体繊維の耐炎化処理は酸化発熱反応で
あり、多量の発熱を伴う。このため急速な耐炎化処理を
行うと蓄熱により暴走反応を誘発し、繊維が溶融した
り、極端な場合には火災を起こすこともある。このよう
な暴走反応を避けるためには、通常短くて1時間程度、
長い場合は数時間もかけて耐炎化処理を行うのが普通で
あり、このことが著しく生産性を落している原因となっ
ている。
【0004】耐炎化処理時間を短縮する試みとして、特
公昭53-21396号公報には酸化性雰囲気より高温の加熱体
表面に前駆体繊維を断続的に繰返し接触させる方法が提
案されている。又、特開昭61-174423号公報には、前駆
体繊維を酸化性雰囲気中加熱体に接触させて熱処理した
後200〜350℃の酸化性雰囲気中熱処理するという
提案がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
53-21396号公報の方法では加熱体の表面温度を高く設定
せざるを得ないので、前駆体繊維が融着し易く、これを
炭素化しても実用に耐える炭素繊維を得ることが難し
い。さらに多数の加熱ロールを使用するため設備費も非
常に大きなものとなる。又、特開昭61-174423号公報の
方法では前駆体繊維であるアクリロニトリル系繊維の水
分率が制御されていないため、前駆体繊維が融着し易い
と言う問題を有している。即ち、従来の技術では処理時
間の短縮化を実現することが困難であり、またその短縮
を図ろうとすると繊維の融着が起こり易くなり、迅速で
且つ安定した耐炎化処理が出来なかった。
【0006】本発明の目的は、かかる非能率的で生産性
に劣る従来の耐炎化処理方法を改良して、高速で且つ生
産性に優れた耐炎化処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨はシリコン
系の油剤で処理された水分率が1%以下であるアクリロ
ニトリル系繊維束を酸化性雰囲気中において230℃〜
290℃に加熱された固定熱板に繰返し接触させ、次い
で200℃〜300℃の酸化性雰囲気中で熱処理するこ
とからなる耐炎化繊維の製造方法にある。
【0008】本発明においては、まずアクリロニトリル
系繊維束(以下「プレカ−サ−」という)を酸化性雰囲
気中において230℃〜290℃に加熱された固定熱板
に繰返し接触させる工程が採用される。
【0009】プレカ−サ−を耐炎化処理する際に酸化反
応で発生した熱が繊維内に蓄積すると暴走反応が起こ
る。従来の耐炎化方式では主に対流による加熱方式を採
用しているため、風速等をよほど高く設定しない限り熱
伝達速度が小さく、繊維内に蓄積した熱を有効に除去す
ることは困難である。
【0010】一方、熱板を用いる方法では熱は熱板から
直接プレカ−サ−に供給されるため、熱伝達速度が大き
く、プレカ−サ−は効率的に加熱される。また酸化反応
で発生した熱も熱板で効率良く除去することが出来るた
め対流加熱方式よりも暴走反応が発生しにくい。
【0011】本発明において伝導加熱体として固定熱板
を選んだのは加熱ロールに比べて収縮応力を低減させる
ことが可能であるためである。熱板表面の状態は繊維に
対するダメージの大きさを左右するので熱板の表面はな
るべく平滑でありかつ梨地等の加工がなされていること
が望ましい。又、繊維束との接触圧を増やし処理時の圧
力分布を均一にすることを考慮すると、熱板自体は接触
する繊維束の側が凸型に湾曲していることが好ましい。
高温・長時間の接触では融着の危険性があるため、熱板
への1回の接触時間は5〜60秒程度であることが望ま
しい。
【0012】本発明においてプレカ−サ−は固定熱板に
繰返し接触させられた後、200℃〜300℃の酸化性
雰囲気中で熱処理される。このようにふたつの工程を採
用したのは、耐炎化処理を熱板だけで行おうとするとか
なりの数の熱板が必要となり、設備費が高いものとなる
ためである。
【0013】即ち、熱板での処理は繊維の密度として
1.24〜1.30g/cm3程度まで行い、それ以降
は200℃〜300℃の酸化性雰囲気中で処理方法をと
ることが望ましい。我々の検討によると酸化反応の発熱
量は繊維密度が1.24〜1.30g/cm3以下の所
が最も多く、それ以降は急激に発熱量が低下するため高
温でも暴走反応が発生し難いことが判明した。そのため
その密度以上に処理しておけば通常の耐炎化方式でも高
温で処理することが可能になる。本発明においてはシリ
コン系の油剤で処理された水分率が1%以下であるプレ
カ−サ−が使用される。これは、前述のように熱板によ
る伝導加熱方式には大きな利点があるものの、繊維に含
まれている水分が多いと繊維同志が融着し易いためであ
る。尚、繊維の融着は耐炎化処理時に発生する収縮応力
が全て繊維束に掛かること、及び、アクリロニトリルの
ポリマーには水分が存在すると可塑化し易いという性質
があるためであると思われる。
【0014】繊維同志の融着部分は炭素繊維になっても
欠陥点として残るため融着した耐炎化繊維からは満足す
べき物性を有する炭素繊維を得ることが出来ない。従っ
て、繊維の融着は完全に避けることが好ましい。
【0015】本発明においてシリコン系の油剤としては
従来から知られているものが使用可能であり、代表例と
してアミノ変性シリコン系油剤を挙げることができる。
シリコン系の油剤で処理された水分率が1%以下である
プレカ−サ−は、油剤処理後の繊維を乾熱延伸等して水
分率を1%以下に低下させることによって得ることがで
きる。
【0016】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例において繊維の融着度は以下の方法により測
定した。
【0017】12、000本の単繊維からなる耐炎化繊
維束を長さ5mmに切断し、これを200mlのビーカ
ー中に、150mlの水及び0.1mlの界面活性剤と
ともに投入し、マグネティックスターラーで10分間攪
拌する。融着した繊維は単繊維に分離せず、数本から数
百本の単繊維からなる塊(束)となる。そこで攪拌後に
ビ−カ−を透過式台にのせ、下から光を当てて目視によ
り塊(束)の数を測定する。融着度により塊(束)の大
きさがかわるのでその大きさによって以下のように分類
する。尚、1サンプルについて10回測定し、その平均
値として表示する。 2〜5本の塊(束)・・・・・・小束 5〜10本の塊(束)・・・・・中束 11本以上の塊(束)・・・・・大束。
【0018】実施例1 アクリロニトリル成分97%とアクリルアミド成分3%
からなるポリマーをジメチルアセトアミドに溶解して紡
糸原液とし、これをジメチルアセトアミド水溶液中に押
し出し湿式紡糸した。このようにして得られた繊維を沸
騰水中で洗浄し、延伸した後、アミノ変性シリコン系油
剤(竹本油脂(株)製MTVー8501油剤)を付与
し、150〜170℃のロールで乾熱延伸し、単糸デニ
ール1.1d、1トウ当りのフィラメント数12000
本の前駆体繊維束を得る。水分計によりこの繊維束の水
分率を測定したところ0.05%であった。
【0019】この繊維束を250℃に設定された図1の
熱板にガイドロールを用いて、1回当りの接触時間を3
0秒としてトータル5分間接触させて、繊維密度1.2
7g/cm3の耐炎化繊維を得た。得られた繊維束をそ
れぞれ260℃及び270℃に設定された通常の熱風循
環式耐炎化炉で各5分間づつ順次処理した。
【0020】このようにして繊維密度1.36g/cm
3の耐炎化繊維束が得られた。この繊維束の融着度は中
束が3個であり、殆ど融着していないことが判った。
又、この耐炎化繊維束を窒素中300から900℃の温
度分布を有する炉で処理した後、窒素中1200℃で炭
素化した。得られた炭素繊維はストランド強度400k
g/mm2、弾性率24ton/mm2であり、良好な性
能を示した。
【0021】比較例1 実施例1で使用したものと同じ前駆体繊維束を用いて、
通常の熱風循環式耐炎化炉での耐炎化処理を行った。設
定温度250℃、260℃、270℃の3基の耐炎化炉
を用いてトータル処理時間15分で処理しようとしたが
1基めの炉内で暴走反応が発生し処理を継続して行うこ
とが出来なかった。
【0022】比較例2 前駆体繊維束を製造する際に耐熱性の低いソルビタンモ
ノステアレ−トからなる工程油剤を付与して低温で乾燥
処理した。この繊維束を実施例1と同様にして耐炎化処
理を行った。融着度を測定したところ大束2個、中束1
1個、小束23個でありかなりの融着が見られた。この
耐炎化糸を実施例1と同様にして炭素化したところ、ス
トランド強度300kg/mm2、弾性率22ton/
mm2と非常に低い物性の炭素繊維が得られた。
【0023】
【発明の効果】本発明の方法によればプレカ−サ−の耐
炎化処理コストを低下することができる。そしてその結
果として安価で高性能な炭素繊維を製造することができ
る。たとえば単糸デニール1.2d、糸数12000本
からなる繊維束をトータル15〜20分程度で耐炎化処
理することが可能である。即ち、暴走反応をさけるため
45〜60分の耐炎化処理時間が必要であった従来の耐
炎化方式と比較すると処理速度を3〜4倍程度にまで上
げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される耐炎化処理装置の一例を示
す図である。 1・・・固定熱板 2・・・ロ−ル 3・・・熱風循環式熱処理炉(酸化性雰囲気用) 4・・・ロ−ル

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン系の油剤で処理された水分率が
    1%以下であるアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲
    気中において230℃〜290℃に加熱された固定熱板
    に繰返し接触させ、次いで200℃〜300℃の酸化性
    雰囲気中で熱処理することからなる耐炎化繊維の製造方
    法。
JP29976992A 1992-11-10 1992-11-10 耐炎化繊維の製造方法 Pending JPH06158435A (ja)

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JPH06158435A true JPH06158435A (ja) 1994-06-07

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5122723A (en) * 1988-02-01 1992-06-16 Nippondenso Co., Ltd. Charging control apparatus for vehicles
JP2007211359A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維束の製造方法
CN104662214A (zh) * 2012-10-03 2015-05-27 三菱丽阳株式会社 预氧化纤维束、碳纤维束及它们的制造方法

Cited By (4)

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CN104662214B (zh) * 2012-10-03 2017-04-26 三菱丽阳株式会社 预氧化纤维束、碳纤维束及它们的制造方法

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