JPH06158052A - コークス炉の炉蓋掃除装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 炉蓋の石炭侵入防止板間の隙間に付着した付
着物を炉蓋を傷つけることなく均等に除去する。 【構成】 移動機械台車上の炉蓋待機位置近傍に空気噴
出ノズルを備え、コークス窯出し毎に炉蓋の石炭侵入防
止板間の隙間に空気を吹き付ける。 【効果】 炉蓋の石炭侵入防止板間の隙間の閉塞が回避
でき、炉蓋からのガス漏れ防止及び水蒸気の滞留防止に
よる総炭化時間の短縮が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はコークス炉の炉蓋掃除装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図７，８，９に示すようにコークス炉の
炉蓋１は装入石炭１３の炭化室１０への保持、石炭乾留
時に発生するガス１２の炭化室１０から大気中へのリー
ク防止及び乾留末期での炭化室１０内への大気侵入防止
等のために設けられるものであり、コークス炉の炭化室
１０の両端にそれぞれ取り付けられる。

【０００３】従来の炉蓋１では炭化室１０の炉蓋栓部５
近傍は石炭１３の乾留によって発生する発生ガスや水蒸
気１２の流れが悪く、石炭乾留初期には過大な圧力が生
じ、発生ガス１２が炉蓋１から大気側へ漏れ、コークス
炉周辺の環境を悪化したり、また、発生蒸気１２が炉蓋
栓部５周辺に滞留して石炭１３の乾留を遅延させ、総炭
化時間を延長したりしていた。

【０００４】この問題を解決するために特願昭６２−１
８９５２０に示す技術が提案された。これは図７に示す
ように炉蓋栓部５にガス上昇用の栓内通路２及び該栓内
通路２に石炭１３が侵入するのを防止する石炭侵入防止
板３をある間隔をおいて複数個備えるものである。図９
及び図１０はこの炉蓋１を炭化室１０に装着したときの
状態を示すが、これから、炉蓋栓部５近傍で発生した発
生ガスや水蒸気１２はこの部分に滞留することなく、石
炭侵入防止板３と石炭侵入防止板３との間の隙間４から
ガス上昇用の栓内通路２へ導かれ、炭化室１０上部の炉
頂空間部９へ排出されやすいことがわかる。

【０００５】このため、炉蓋１の栓部５近傍は圧力が小
さくなるし、発生蒸気１２の滞留もなくなり、炉蓋１か
ら大気中へのガス漏れがなく、発生水蒸気の滞留による
総炭化時間の延長もないという利点がある。

【０００６】しかし、この炉蓋１は長年使用すると図９
に示すように石炭侵入防止板３と石炭侵入防止板３との
間の隙間２に石炭あるいはコークス１３が付着して行
き、最終的にはこの隙間４が付着物１１で閉塞してしま
い、炉蓋栓部５近傍の圧力の増加や発生水蒸気の滞留を
招いてガス漏れ防止効果や乾留促進効果が低減すること
が伴った。

【０００７】この問題の解決策として特開平３−２６３
４８５のコークス炉炉蓋裏への廻り込み炭の除去装置が
提案されている。

【０００８】この装置は図１１に示すようにガス通路２
部に詰まった石炭１１を除去する掃除用突き棒１４を往
復動自在に設けて、炉蓋１取外し後、炉蓋１が押出機１
８台車上での待機位置にあるとき前記掃除用突き棒１４
を往復動自在に作動して石炭１１を除去するものである
が、掃除用突き棒１４の設置には広いスペースを必要と
するため既設の押出機１８の炉蓋１待機位置近傍への設
置が困難であるし、また、長年使用すると掃除用突き棒
１４や炉蓋１の変形が生じ、掃除用突き棒１４の作動時
に掃除用突き棒１４と炉蓋１が干渉して炉蓋栓部５を傷
つける。

【０００９】さらには機械的な手段で除去するため、詰
まった石炭１１を隅々まで均等に除去するのが困難と言
う問題点がある。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は炉蓋１
の栓５内部にガス上昇用の通路空間２を有し、該通路空
間２に石炭１３が侵入するのを防止する石炭侵入防止板
３を一定の間隔で複数個設けるコークス炉用炉蓋１にお
いて、石炭侵入防止板３と石炭侵入防止板３との間の隙
間４に付着した石炭及びコークス等の付着物１１を炉蓋
１を傷つけることなく均等に除去し、しかも除去装置が
既設の移動機械１８上の炉蓋１の待機位置近傍に設置で
き、設置スペースも少ない方法を提供することにある。

【００１１】炉蓋１はコークスの押出し中は移動機械１
８台車上の待機位置にて待機しているが通常既設の移動
機械１８上の炉蓋１の待機位置周辺は例えば炉蓋着脱装
置、シートクリーナー等の多くの機器が配置されてお
り、狭いスペースしか残されていない。

【００１２】このため、図１１に示す装置を既設の移動
機械１８上へ設置するのは困難である。仮に図１１に示
す装置を設置できるスペースがあったとしても、本装置
は経年変化等で炉蓋１及び掃除用突き棒１４が変形した
とき、掃除用突き棒１４が炉蓋１の栓部５を傷つける恐
れがあるしまた、掃除用突き棒１４が接触するところ以
外は石炭１１の除去が困難という問題点もある。

【００１３】また、除去できなかった部位を人力にて除
去する方法は高熱重筋作業を伴い好ましくない。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本願発明は前記の課題を
解決したものでありその要旨は次の通りである。

【００１５】炉蓋の栓部にガス上昇用の通路を備え、該
通路にコークス及び石炭の侵入を防止する複数枚の侵入
防止板を設けたコークス炉の炉蓋において、前記炉蓋が
移動機械台車の待機位置にある時に、該炉蓋の侵入防止
板の間に堆積または閉塞したコークス及び石炭をガス体
にて除去可能な昇降機構を有するガス吹き付け手段を設
けたことを特徴とするコークス炉の炉蓋掃除装置。

【００１６】

【実施例及び作用】次に本発明を図面に示す実施例によ
り詳細に説明する。

【００１７】図１はコークスを押し出すために炉蓋１を
炭化室１０より取外し、押出機１８上の待機位置へ待機
させたときの全体平面図、図２は本発明の実施例を示す
平面図、図３はその側面図である。

【００１８】ここで１は石炭侵入板３を有する炉蓋、２
はこの炉蓋１のガス上昇用の栓内通路、３は石炭侵入防
止板、４は石炭侵入防止板３と石炭侵入防止板３との間
の隙間である。

【００１９】本実施例のコークス炉の炉蓋掃除装置は図
２に示すように空気供給装置２２、空気配管２１、空気
噴出ノズル２０及び前記空気噴出ノズル２０の昇降装置
２３等から構成される。空気噴出ノズル２０は図３に示
すように炉蓋１が押出機１８及びガイド車（図示せず）
上の待機位置にあるとき、炉蓋１の石炭侵入防止板３間
の隙間４へ空気の吹き付けが可能な位置に設置され、昇
降装置２３にて炉蓋１の上下方向に昇降できるようにな
っている。

【００２０】尚、図３の様な専用の空気噴出ノズル昇降
装置２３を新たに設けず、従来炉蓋１の炉蓋密閉板７に
付着したタール等の付着物を除去する目的で炉蓋１の待
機位置は周辺に設けられている既設の高圧水クリーナー
の昇降装置（図示せず）に空気噴出ノズル２０を付設し
ても良いし、また、空気噴出ノズル２０を多数固定配置
として要所だけに空気が吹き付けられるようにしても当
然良い。

【００２１】以下に炉蓋掃除装置の操作の説明を行う。

【００２２】図１は石炭１３の乾留が終わり、コークス
を押し出すためにドアリフター１９で炉蓋１を炭化室１
０より取外し、押出機１８上の待機位置へ炉蓋１を待機
させたときの状態を示す図である。

【００２３】この状態から引き続いて、図６に示す手順
で炉蓋枠（図示せず）の掃除、コークスの押出し及び炉
蓋１の炭化室１０への装着が行われる。炉蓋１の掃除は
炉蓋１が炭化室１０より取り外され、再び炭化室１０へ
装着されるまでの間に実施され、図１の状態でまず、空
気噴出ノズル２０からの空気の噴出、次に空気噴出ノズ
ル２０から空気を噴出したまま、図３に示す昇降装置２
３を作動して空気噴出ノズル２０の昇降を行い、昇降の
終了とともに空気噴出ノズル２０からの空気の噴出を終
了し、炉蓋１の掃除が完了する。

【００２４】この様に炉蓋１の掃除は炉蓋１が押出機１
８の待機位置にあるときに可能であるため、コークスの
窯出し毎に毎回、実施することができる。

【００２５】石炭侵入防止板３間の隙間４に付着する石
炭あるいはコークス等の付着物１１を残したまま乾留を
繰り返えすと付着物１１が硬いケーキ状となり、しかも
付着量が増え、除去が困難となる。

【００２６】そのため、石炭侵入防止板３の隙間４に付
着した石炭あるいはコークス等の付着物１１は乾留毎に
毎回除去するのが望ましい。

【００２７】また、本装置は空気供給装置２２、空気配
管２１、空気噴出ノズル２０及び空気噴出ノズルの昇降
装置２３等から構成されるが、狭いスペースしか残され
ていない移動機械１８台車上の炉蓋１待機位置近傍には
空気噴出ノズル２０及び空気噴出ノズルの昇降装置２３
等の設置スペースが小さい機器のみを設置するだけで良
い。このため、既設の移動機械１８へも容易に設置する
ことが可能となるし、コスト的にも安価となる。尚、広
い設置スペースを必要とする空気供給装置２２は移動機
械１８上の空いたスペースのどこにでも設置できるが、
通常、空気供給装置２２は例えば炭化室上部のカーボン
燃焼、移動機械各部の清掃等の目的のために既に設置さ
れていることが多いのでそれを使用しても良い。

【００２８】次に本装置を使用したときの実施結果を示
す。

【００２９】実施の前に本装置を使用した場合、従来の
コークス炉における操業サイクルタイムを延長すること
なく炉蓋１の清掃が可能な時間を調査したが、その時間
は稼働率が高い最も厳しい条件下では高々１分程度しか
ないことが判った。これから、空気噴出ノズル２０の昇
降速度を求めると炉高の高いコークス炉では空気噴出ノ
ズル２０の昇降速度は最大２０ｍ／ｍｉｎ．になる。

【００３０】図５は本装置を使用したときの実施結果で
あり、空気吹付け圧と空気噴出ノズル昇降速度及び除去
効果の関係を示したものである。

【００３１】但し、この実験では空気噴出ノズル２０は
図４に示すものを使用した。

【００３２】尚、この実験を通じて空気の吹き付けが炉
蓋１へ与える影響も調査したが、空気の吹き付けは炉蓋
１の劣化を招かず、炉蓋１の耐久性上何等問題ないこと
を確認した。

【００３３】この実験の結果から、石炭侵入防止板３間
の隙間４に付着した付着物１１は空気噴出ノズル２０の
昇降速度が２０ｍ／ｍｉｎの時でも空気の吹付け圧が３
ｋｇ／ｃｍ² 以上であれば十分除去可能と言える。

【００３４】空気吹付け圧３ｋｇ／ｃｍ² は決して高い
圧力ではないため、空気供給装置２２としては特別な仕
様のものを用いる必要がなく、価格が安い標準仕様の空
気供給装置２２を使用することができる。

【００３５】また、図４の空気噴出ノズル２０は石炭侵
入防止板３の傾斜にほぼ沿った上段ノズルと水平方向に
吹き付け、付着物との距離が短い中段ノズル、そして石
炭侵入防止板３とノズルとの角度ａが９０°以上である
下段ノズルから構成されるが、実施の結果このノズルは
付着物除去効果が大きいことが判った。

【００３６】すなわち、図４に示すように上段ノズルは
ノズルが石炭侵入防止板３の傾斜角にほぼ平行に設けら
れるため、石炭侵入防止板３間の間に入り込んだ付着物
をスムースに除去することが可能であるし、また中段ノ
ズルは付着物との距離が短いため、石炭侵入防止板３の
表面に付着した硬くて落ち難い微粉をよく除去すること
ができるし、そして下段ノズルは石炭侵入防止板３とノ
ズルとの角度ａが９０°以上であるため、上段ノズルで
は除去できなかった付着物１１ａを除去することができ
るためである。

【００３７】また、別の実験から付着物除去効果をさら
に向上するには空気噴出ノズル２０の先端を首振りする
あるいは吹き付け流体としては空気よりも比重の大きい
水を使用すれば良いことが判った。しかし、前者は首振
り装置が必要になり、設置スペース面及びコスト面で不
利になるし、また、後者は水を吹き付けるため、石炭侵
入防止板３が急熱急冷され石炭侵入防止板３の耐久性上
好ましくなかった。

【００３８】以上のように本発明のコークス炉炉蓋掃除
装置は付着物１１の除去手段が掃除用突き棒１４等を用
いる機械的な手段とは異なり、噴出ノズル２０等を介し
て空気等の流体を石炭侵入防止板３間の隙間４に吹き付
けて付着物１１を除去する手段であるため、炉蓋栓部５
の石炭侵入防止板３を傷つけることがなく、隅々までき
れいに清掃することができるし、しかもサイクルタイム
を延長することなく、通常操業の中で行うことができ
る。

【００３９】本実施例においては、噴出ノズルから噴出
するガス体として空気の例を示したが本発明は、これに
限られるものではなく、別の例として水蒸気、不活性ガ
ス等適用可能である。又、コークス炉のコークス入り側
の炉蓋の掃除装置としても当然適用されるものである。

【００４０】

【発明の効果】本発明は炉蓋栓部にガス上昇用の通路を
備え、該通路に石炭が侵入するのを防止する石炭侵入防
止板を複数個設けるコークス炉用炉蓋において、石炭侵
入防止板間の隙間に詰まった石炭あるいはコークスをコ
ークスの窯出し毎に毎回空気等の流体を吹き付けること
で除去するようにしたため、石炭侵入防止板間の隙間の
閉塞や炉蓋から大気へのガス漏れが回避できるし、水蒸
気の滞留防止による総炭化時間の短縮が可能となる。

【００４１】また、作業者を高温・重筋作業から解放で
きるし、さらには炭化室炉蓋栓部近傍の石炭層の乾留不
足を防止し、そのことによるコークスの品質の変動も防
止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す全体平面図。

【図２】本発明の空気噴出ノズルの平面配置図。

【図３】本発明の空気噴出ノズルの側面図。

【図４】空気噴出ノズルの拡大図。

【図５】本発明の装置を使用したときの空気吹付け圧と
空気噴出ノズル昇降速度と除去効果の関係を示すグラ
フ。

【図６】作業手順図。

【図７】従来の炉蓋を示す概略図。

【図８】図７の炉蓋を実炉に装着したときの断面図。

【図９】図７の炉蓋を実炉に装着したときの部分拡大
図。

【図１０】石炭侵入防止板間の隙間に付着物が付着した
ときの概略図。

【図１１】従来の炉蓋掃除装置を示す概略図。

【符号の説明】

１…炉蓋 ２…炉蓋栓部のガ
ス上昇用通路 ３…石炭侵入防止板 ４…石炭侵入防止
板間の隙間 ５…炉蓋栓部 ６…炉蓋密閉板押
さえ金物 ７…炉蓋密閉板 ８…炉蓋栓断熱部 ９…炭化室炉頂空間 １０…炭化室 １１…付着物 １２…発生ガス及
び水蒸気 １３…装入石炭及びコークス １４…掃除用突き
棒 １５…突き棒支持台 １６…シリンダー １７…除去装置 １８…移動機械及
び押出機 １９…ドアリフター ２０…空気噴出ノ
ズル ２１…空気配管 ２２…空気噴出ノ
ズル昇降装置 ２３…空気供給装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山輝雄 北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本製 鐵株式会社機械・プラント事業部内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉蓋の栓部にガス上昇用の通路を備え、
   該通路にコークス及び石炭の侵入を防止する複数枚の侵
   入防止板を設けたコークス炉の炉蓋において、 前記炉蓋が移動機械台車の待機位置にある時に、該炉蓋
   の侵入防止板の間に堆積または閉塞したコークス及び石
   炭をガス体にて除去可能な昇降機構を有するガス吹き付
   け手段を設けたことを特徴とするコークス炉の炉蓋掃除
   装置。