JPH06155008A - 鋳造物の集塵装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋳型に鋳込まれた溶湯から発生する粉塵等
を効率よく且つ低コストで集塵処理する。 【構成】 集塵用フード３を鋳型１の移動方向と同一
方向に移動可能に設置する。フード３の移動通路に沿っ
て、その下方に集塵用ダクト７を設ける。フード３を移
動させ鋳込み位置12の下流に位置させる。鋳込み終了後
の鋳型１はフード３内を通って冷却位置12まで移動す
る。フード３内の粉塵等は集塵口９、ダクト７を通って
集塵機８によって吸引され外部に放出される。ダンパー
自動開閉機構により、フード３が集塵口９の上方に到達
したときにダンパー10を開き、集塵口９の上方から離れ
たときにダンパー10を閉じる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、鋳造物の製造工程に
おける作業環境上問題となるヒュームなどの粉塵、煙お
よび臭気等を処理するための集塵装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】鋳造物の製造工程においては、鋳込み作
業における、ヒュームなどの粉塵、発煙、並びにプロセ
ス特有の臭気等が長時間にわたり発生し、工場内環境悪
化の一因となっている。特に、鋳込み作業および鋳込み
後においては、主として溶湯から発生するヒューム、砂
の粘結材、鋳込み時の添加剤等が溶湯により燃焼したり
反応したりして発生する粉塵およびガス等が問題とな
る。

【０００３】鋳込み作業を行なう鋳込みラインにおいて
は、上流の鋳込み位置でローラーコンベア上に停止す
る、定盤およびこの定盤上に搭載された砂型からなる鋳
型に、天井クレーン等で吊った取鍋から溶湯の鋳込みが
施こされ、鋳込みがなされた鋳型は、下流の冷却位置に
向けて約３時間程度の時間をかけてローラーコンベア上
を移動し、移動する間に溶湯が冷却される。この間鋳型
内の溶湯からヒューム、粉塵、ガス、臭気等が絶え間な
く発生するため、これを処理するための集塵装置の設置
が従来から課題となっている。

【０００４】集塵装置の従来例として、天井クレーンに
よる鋳込みの場合、取鍋を吊ったクレーンが移動するた
め、鋳型を斜めから覆うように集塵用のフード（側方フ
ード）を設け、該フード内からヒューム等を吸引可能な
集塵機を設け、これによりヒューム等を排出処理する装
置が提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
では、鋳込み時および鋳込み（終了）後に発生するヒュ
ーム等の上昇速度が速いので集塵風量を大きくしなけれ
ばならず、設備費が莫大となり、設備費節約のため、集
塵風量を小さくすると集塵効果が出ないといった問題が
あった。更に、鋳込み位置はその場所が変わるという問
題もある。このように、集塵風量が小さく、集塵効率を
上げ、鋳込み時の天井クレーンの移動に追従し、鋳込み
時は退避し、鋳込み後には溶湯が冷却されるまでフード
で鋳型を覆うことができる、集塵装置の開発が望まれて
いるが、このような装置は未だ提案されていない。

【０００６】従って、この発明の目的は、鋳込み位置に
応じて位置を移動することにより、効率よく集塵を行な
うことができる鋳造物の集塵装置を提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】我々は、上述の課題を解
決するために鋭意研究を重ねた。その結果、鋳込みライ
ンにおいて、集塵装置は下記条件を満足することが必要
であることを知見した。 鋳込み作業に支障を来さないこと。 移動可能なフードを設けること、且つ、そのフード
が任意の位置で停止可能であること。 フードが何処の位置でも集塵能力に変化がないこ
と。 鋳込み後、冷却に必要な時間（約３時間）は鋳型が
フード内に収容できること。 極力集塵風量を少なくして効果をあげること。 集塵機が粉塵および排煙捕捉に適した構造であるこ
と。

【０００８】この発明の鋳造物の集塵装置は、上述の知
見に基づいてなされたものであり、鋳込み位置から冷却
位置に向けて、ローラーコンベア上を移動自在の鋳型の
移動方向に沿って、前記鋳型を覆うように、前記鋳型の
移動方向と同一方向に、レール上を移動可能に設けられ
たトンネル状の集塵用フードと、 前記トンネル状の集
塵用フードを移動させるための、前記集塵用フードの移
動通路に、前記集塵用フードの幅方向に設けられた駆動
軸と、前記駆動軸の両端部に固定された歯車の各々と噛
み合う、前記集塵用フードの両側壁下端に設けられたチ
ェーンとからなる、フード移動機構と、前記集塵用フー
ドの移動通路に沿って、その下方に設けられた集塵用ダ
クトと、前記集塵用ダクトの一端に接続された集塵機
と、前記集塵用ダクトの上部に所定間隔を開けて設けら
れた複数の集塵口と、前記集塵用ダクトの前記集塵口を
開閉するためのダンパーと、前記集塵用フードが前記集
塵用ダクトの前記集塵口の上方に到達したときに前記ダ
ンパーを開き、前記集塵口の上方から離れたときに前記
ダンパーを閉じるためのダンパー自動開閉機構とからな
ることに特徴を有するものである。

【０００９】

【作用】鋳込み装置のラインの長手方向にレールを敷設
し、集塵用フードを、鋳型の移動方向と同一方向に該レ
ール上を移動可能に設置する。集塵用フードの移動通路
に沿って、その下方に集塵用ダクトを設ける。集塵用フ
ードを鋳込み位置の下流に位置させる。鋳込みが終了し
た鋳型を集塵用フード内に収容する。集塵用フード内に
収容された鋳型はローラーコンベアによって、集塵用フ
ード内を冷却位置まで移動する。移動中において、フー
ド内の粉塵等は気体とともに集塵用ダクトの集塵口、ダ
クトを通って集塵機によって吸引され外部に放出され
る。鋳込み終了後、溶湯が冷却するまで集塵用フードに
よって鋳型を覆うので、効率よい集塵が行え、作業環境
が良化する。鋳込み位置を集塵用フードが覆わないよう
に、鋳込み位置に合わせて集塵用フードを移動通路に沿
って移動させる。フードが集塵口の上方に到達したとき
にダンパーを開き、集塵口の上方から離れたときにダン
パーを閉じるようにダンパーの開閉を自動制御し、集塵
用フードの移動に合わせて、ダンパーを開閉して集塵用
フード内の風速、風量を制御する。

【００１０】

【実施例】次に、この発明を実施例により図面を参照し
ながら説明する。図１から図５はこの発明の１実施態様
を示す図であり、図１は集塵装置の概要を示す概略側面
図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図、図３は図２の側面
図、図４はフード移動機構を示す拡大正面図、図５は図
４の側面図である。

【００１１】図１から図５に示すように、鋳込み装置の
ラインには２本のレール２が敷設されている。21はレー
ル２を支持する支柱である。更に、鋳込み装置のライン
にはローラーコンベア20がその軸線をラインの幅方向に
むけて、ラインの長手方向に所定間隔をあけて複数並列
されている。ローラーコンベア20の軸20a の軸受20b
は、レール２上に設置されている。図１に示すように、
鋳型１は定盤1aおよび定盤1a上に搭載された砂型1bから
なっている。鋳型１は、ローラーコンベア20上をライン
の長手方向に移動自在である。

【００１２】鋳込み位置11と冷却位置12との間には、所
定長さを有するトンネル状の集塵用フード（以下、「フ
ード」という）３が、レール２を介して鋳型１の移動方
向と同一方向に、後述するフード移動機構を介して移動
可能に設けられている。フード３は図２に示すように、
鋳型１を覆うことが可能な高さおよび幅を有している。

【００１３】フード３の両下端には、図４に示すように
取り付け部15が、フード３の長手方向全長にわたって取
り付けられている。取り付け部15の下端にはチェーン６
がフード３の長手方向全長にわたって取り付けられてい
る。更に、取付け部15の内側には、ローラ14が水平軸13
を介して回転自在に軸支されている。ローラ14および水
平軸13は、フード３の長手方向に所定間隔をあけて、複
数設けられている。レール２は図４に示すように、その
開口を外側に有する断面凹型に形成されている。ローラ
14はレール２の凹部内に嵌挿されレール２に沿って回転
走行自在である。フード３の下端にはゴムシール16がフ
ード３の下端から下方に張り出して貼付けられており、
フード内の気密が保持される。

【００１４】レール２の下方には、図４に示すように、
フード３の幅方向に駆動軸４が設けられている。駆動軸
４の両端部には歯車５が固定されており、歯車５はチェ
ーン６と噛合している。17は駆動軸４をチェーン19を介
して回転させるための駆動源（モータ）である。レール
２によってフード３の移動通路が形成され、チェーン５
および駆動軸４等からなるフード移動機構によって、フ
ード３は鋳型１の移動方向と同一方向に移動可能であ
る。

【００１５】図１に示すように、フード３の移動通路に
沿って、その下方の地下に集塵用ダクト（以下、「ダク
ト」という）７が設けられている。ダクト７の一端に
は、集塵機８が接続されている。ダクト７の上部には、
所定間隔をあけて複数の集塵口９が設けられている。集
塵口９には集塵口９を開閉するためのダンパー10が設け
られている。ダンパー10は自動開閉機構を備え、集塵用
フード３の移動に合わせて、開閉してフード３内の風
速、風量を制御するようになっている。

【００１６】ダンパー自動開閉機構としては、例えば、
フード３が集塵口９の上方に到達したときに作動するリ
ミットスウィッチ18を設け、フード３が集塵口９の上方
に到達したときにダンパー10を開け、フード３が通過後
集塵口９の上方から離れたときにはダンパー10を閉じる
機構を構成して開閉させる等の制御を行えばよい。ま
た、フード３の入側部、出側部、中央部等の位置別に、
風速、風量制御を行ない随時ダンパー開閉制御を行なっ
てもよい。

【００１７】図１に示す鋳込み位置11が位置を変えたと
きは、フード３が鋳込み前の鋳型を覆うことがないよう
に回避させるためにフード３を移動させる。このよう
に、本発明においては、鋳込み位置に応じて、フードの
位置を移動可能である。

【００１８】

【発明の効果】この発明は上述のように構成されている
ので、下記に示す有用な効果がもたらされる。 鋳型に鋳込みを行なった後、鋳込み位置の下流に位
置させたフード内を鋳型が冷却位置まで移動することに
より、溶湯が冷却するまでフードにより鋳型を覆い続け
ることができ、効率よく集塵を行なうことができる。 フードが移動可能であり、鋳込み前の鋳型がフード
内に入ることがない。 ダクトをフードの下方の地下に設け、下方から吸引
する方式であり、上昇気流に対する対応も十分であり、
効率よい集塵が行える。 粉塵、煙および臭気が処理されることにより作業環
境が良化する。 ダクトのダンパーを自動開閉機構により自動制御
し、フードの移動に合わせてこれを開閉させ、フード入
出側の開口部風速を制御することにより、風量を節約で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の集塵装置の概要を示す概略側面図

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図

【図３】図２の側面図

【図４】フード移動機構を示す拡大正面図

【図５】図４の側面図。

【符号の説明】

１ 鋳型 1a 定盤 1b 砂型 ２ レール ３ 集塵用フード ４ 駆動軸 ５ 歯車 ６ チェーン ７ 集塵用ダクト ８ 集塵機 ９ 集塵口 10 ダンパー 11 鋳込み位置 12 冷却位置 13 水平軸 14 ローラ 15 取り付け部 16 ゴムシール 17 駆動源 18 リミットスウィッチ 19 チェーン 20 ローラーコンベア 20a 軸 20b 軸受 21 支柱。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋳込み位置から冷却位置に向けて、ロー
   ラーコンベア上を移動自在の鋳型の移動方向に沿って、
   前記鋳型を覆うように、前記鋳型の移動方向と同一方向
   に、レール上を移動可能に設けられたトンネル状の集塵
   用フードと、 前記トンネル状の集塵用フードを移動させるための、前
   記集塵用フードの移動通路に、前記集塵用フードの幅方
   向に設けられた駆動軸と、前記駆動軸の両端部に固定さ
   れた歯車の各々と噛み合う、前記集塵用フードの両側壁
   下端に設けられたチェーンとからなる、フード移動機構
   と、 前記集塵用フードの移動通路に沿って、その下方に設け
   られた集塵用ダクトと、 前記集塵用ダクトの一端に接続された集塵機と、 前記集塵用ダクトの上部に所定間隔を開けて設けられた
   複数の集塵口と、 前記集塵用ダクトの前記集塵口を開閉するためのダンパ
   ーと、 前記集塵用フードが前記集塵用ダクトの前記集塵口の上
   方に到達したときに前記ダンパーを開き、前記集塵口の
   上方から離れたときに前記ダンパーを閉じるためのダン
   パー自動開閉機構とからなることを特徴とする鋳造物の
   集塵装置。