JPH06154347A - 加温療法用アプリケータ - Google Patents

加温療法用アプリケータ

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Publication number
JPH06154347A
JPH06154347A JP30569892A JP30569892A JPH06154347A JP H06154347 A JPH06154347 A JP H06154347A JP 30569892 A JP30569892 A JP 30569892A JP 30569892 A JP30569892 A JP 30569892A JP H06154347 A JPH06154347 A JP H06154347A
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JP
Japan
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applicator
ground plate
hyperthermia
cooling liquid
patch
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Application number
JP30569892A
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English (en)
Inventor
Yasuo Saura
康夫 佐浦
Motoi Matsunaga
基 松永
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Tokimec Inc
Original Assignee
Tokimec Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】簡単で小型の構成の加温療法用アプリケータと
する。 【構成】輻射素子13と、輻射素子13から所定の距離
を置いて配置される接地板14と、輻射素子13と接地
板14との間に介挿された誘電体である冷却液15とか
らなるアンテナ部12と、冷却液15を収容する冷却液
収容体17を備え、アンテナ部12から生体10へ電磁
波を輻射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波電磁波を用いた
癌のハイパーサーミア療法に使用される加温療法用アプ
リケータに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電磁エネルギーや超音波エネルギ
ー等を用いて生体内に存在する癌細胞の再生機能を抑制
する療法の一つとしてハイパーサーミア療法が盛んに行
われるようになってきた。ハイパーサーミア療法は、癌
組織が正常組織に比べて熱に弱く、正常組織より加温さ
れやすい性質を利用して癌組織を41から45°C位に
加温することにより治療を行うものである。ハイパーサ
ーミア療法に使用され、癌細胞およびその周辺だけを選
択的に温める局所加温を行う手段として、例えば電磁波
エネルギーを生体内に送り込む加温療法用アプリケータ
がある。
【0003】この従来の加温療法用アプリケータの断面
図を図22に示す。同図において、加温療法用アプリケ
ータ1は、アンテナ部2とボーラス7からなり、アンテ
ナ部2は、さらにマイクロストリップからなる輻射素子
であるパッチ3、接地板4、パッチ3と接地板4との間
に介挿される誘電体基板5、パッチ3への給電を行う同
軸ケーブル6から構成される。ボーラス7は、アンテナ
部2と生体10との間に介挿されるケースで、その中に
冷却水が充満されている。また、ボーラス7には給水管
8と排水管9が連結され、これらの管を通して冷却水の
循環を行い生体10及びアンテナ部2の冷却を行ってい
る。アンテナ部2とボーラス7は図示のように層構造を
形成して生体10の適所上に設置される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
加温療法用アプリケータは、上記のようにアンテナ部2
とボーラス7の多層構造を形成しているため、全体の構
成が複雑であるという問題がある。また、一般にこのよ
うなアンテナは、使用する周波数が低い場合に生体の深
部加温が可能であるが、アンテナ寸法が大きく取扱が面
倒であるという欠点がある一方、周波数を高くすると、
アンテナ寸法は小さくなるが加温範囲が生体の表面付近
に限られるという欠点がある。従来の構成ではアプリケ
ータの小型化が困難であるという問題があった。
【0005】本発明は、かかる問題点に着目し、簡単で
小型の構成の加温療法用アプリケータを提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の加温療法用アプリケータは、輻射素子と、
該輻射素子から所定の距離を置いて配置される接地板
と、該輻射素子と該接地板との間に介挿された誘電体か
らなるアンテナ部と、冷却液を収容する冷却液収容体を
備え、該アンテナ部から電磁波を輻射するものにおい
て、該輻射素子を該冷却液の中に設置する。
【0007】さらに、前記接地板を前記冷却液に露出さ
せ、前記誘電体を前記冷却液で構成する。前記冷却液収
容体は絶縁体膜から形成させることができ、又は絶縁体
ケースと該ケースの開口面に付着された絶縁体膜から形
成させることもできる。前記接地板の周端が輻射素子の
周囲を囲繞するところまで伸長するように構成すること
もできる。
【0008】また、前記アンテナ部が広帯域の動作帯域
幅を有するように構成することもでき、特に、前記アン
テナ部が少なくとも19MHzの周波数帯域に亘って−
15dB以下の反射特性を有するとよい。さらに、本発
明の加温療法用アプリケータは、前記輻射素子と前記接
地板との間の間隔を変化させる間隔調整手段と、アンテ
ナ部からの反射電力を検知する反射電力検知手段と、反
射電力検知手段からの出力に応じて間隔調整手段を駆動
させる処理手段とを有する。
【0009】また、別の態様として、前記輻射素子と前
記接地板との間の間隔を変化させる間隔調整手段と、冷
却液の温度を検知する温度検知手段と、温度検知手段か
らの出力に応じて間隔調整手段を駆動させる処理手段と
を有することとしてもよい。また、前記輻射素子と前記
接地板との間を正の熱膨張率を有する非金属支持体で支
持することとすることもできる。
【0010】さらに、上述のアプリケータを複数配列し
てアレイ式加温療法用アプリケータとすることもでき
る。
【0011】
【作用】アンテナ部の輻射素子を冷却液の中に設置する
ことによって、冷却部とアンテナ部とを多層構造にする
ことなく、冷却部とアンテナ部を一体化することがで
き、アプリケータ全体の小型化を図ることができる。ま
た、同時に輻射素子の冷却効果を高めることができる。
【0012】さらに、輻射素子と接地板との間の誘電体
を冷却液で構成することにより、アンテナ部の小型化を
さらに図ることができる。即ち、アンテナ部の寸法は、
輻射素子と接地板との間に存在する絶縁体の比誘電率の
平方根に反比例する。例えば、冷却液として水を使用し
た場合、水の比誘電率は約80であり、従来のアンテナ
に使用される誘電体基板の比誘電率は高々9程度である
ので、従来のアンテナと比較して約1/3の縮小が可能
となる。
【0013】また、冷却液収容体を絶縁体膜から形成さ
せることによって生体の表面との密着性を良くすること
ができ、冷却範囲を柔軟に設定することができると共
に、冷却液収容体を絶縁体ケースと絶縁体膜から形成さ
せた場合にはアプリケータの強度を高めることもでき
る。接地板の周端を輻射素子の周囲を囲繞するところま
で伸長させた場合には、輻射素子から放射される電磁波
の横方向の伝搬を防止することができ、従って、放射方
向を生体へ集中させることができるので生体の加温効率
を高め、供給電力の節約を図ることができる。同時にア
プリケータの強度を高めることもできる。
【0014】また、アンテナ部が広帯域の動作帯域幅を
有することによって、周囲の冷却液の温度変化によるア
ンテナ部への影響を小さくすることができる。即ち、例
えば冷却液の温度が上昇すると輻射素子と接地板との電
気的長さが短くなり、一定の周波数の電磁界に対して反
射特性が変化する可能性がある。従ってアンテナ部に広
帯域に亘って所望の動作特性を持たせることによってこ
の冷却液の温度変化にもかかわらず安定した反射特性を
維持することができる。
【0015】本願発明者は、冷却水が24°Cから42
°Cに変化すると、アンテナ部の反射特性曲線が約19
MHz高い方へずれることを発見した。従って広帯域ア
ンテナ部は少なくとも約19MHzの周波数帯域に亘っ
て−15dB以下の反射特性を有するものであると好ま
しいことがわかった。さらに、アンテナ部からの反射電
力を検知し、その検知出力に応じて間隔調整手段を駆動
することによって、反射電力を常に小さく抑えることが
可能になる。
【0016】同様に、冷却液の温度を検知し、その温度
出力に応じて間隔調整手段を駆動することによって、冷
却液の温度の変化の影響を受けないアプリケータとする
ことができる。また、正の熱膨張率を有する非金属支持
体で輻射素子と接地板との間を支持した場合に、輻射素
子と接地板との間の冷却液の温度が上昇すると非金属支
持体が伸長して機械的距離が大きくなる。一方、温度上
昇によりその電気的距離は縮小するので、両者が相殺さ
れて冷却液の温度の変化の影響を受けないアプリケータ
とすることができる。
【0017】さらに、アレイ式アプリケータとすること
によって広い範囲にわたって加温することができる。
【0018】
【実施例】本発明に係る加温療法用アプリケータの実施
例を図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施
例を示す断面図である。図において、アンテナ部12
は、マイクロストリップからなる輻射素子であるパッチ
13、接地板14、冷却水からなる誘電体15及び同軸
ケーブル16から構成される、いわゆるパッチアンテナ
である。冷却水15は、絶縁体膜等からなる袋状の冷却
収容体たるボーラス17の中に充填され、かつ循環され
る冷却液である。ボーラス17には給水管18と排水管
19が連結され、それらを通って水15が循環してい
る。
【0019】パッチ13は金属ポスト20を用いて接地
板14と所定の距離を置いてほぼ平行に支持される。接
地板14はボーラス17の上方に設置される平面金属板
で構成され、パッチ13及び接地板14の両者は、ボー
ラス17内の水中に設置される。又、アンテナへの給電
は、接地板14の背後から接続される同軸ケーブル16
によって行われ、その中心導体は金属ポスト20に接続
され、金属ポスト20を介してパッチ13へと給電され
る。
【0020】パッチアンテナの寸法は、パッチ13と接
地板14との間に存在する媒質の比誘電率εr の平方根
に反比例する。従って、比誘電率が高い媒質ほどアプリ
ケータの小型化が図れることになる。本実施例の場合、
水の比誘電率が約80であり、従来のアプリケータでの
誘電体基板の比誘電率は高々9程度であるので、従来の
アプリケータと比較して約1/3の縮小が可能となる。
【0021】又、アンテナ部全体が循環冷却水15の中
に浸されて直接接触することになるので、冷却効率も改
善される。さらに、従来のように特殊な材料からなる誘
電体基板を使用する必要がなく、一般的な水を用いるこ
とによりコストの低減を図ることもできる。図2は、本
実施例のアンテナ部の寸法を決定するための方法を説明
するための模型図を示す。パッチ13の長さをL、幅を
W、金属ポスト20の長さをS、給電位置をFとする。
同軸ケーブルを伝搬してきた電磁界は、接地板と同軸ケ
ーブルとの接続点においてインピーダンス不整合が生ず
ると反射電磁界を発生し、電磁エネルギを効率良く生体
内へ輻射することができなくなり、同時に導体損による
熱も発生する。そのため、本実施例では上記寸法を調整
し、パッチ13の長さLと金属ポスト20の長さSを所
望周波数の水中波長のそれぞれ1/2と1/4前後の長
さで微調整し、動作周波数を所望周波数に一致させ、さ
らにパッチ13の幅Wと給電位置Fを調整する。このよ
うにしてインピーダンス整合を行いパッチアンテナから
の反射電磁エネルギを小さくし、結果として生体内部へ
の輻射効率を良くすることができる。
【0022】尚、パッチ13は本実施例のような方形に
限らず、円形や菱形等の任意の形状が可能である。次に
第1実施例の変形例となる第2実施例の断面図を図3に
示す。本実施例では冷却液収容体たる袋状のボーラス1
7の中に設置されたパッチ13と接地板14の間に水の
誘電率に匹敵する超高誘電体基板25を介挿したもので
ある。
【0023】このように構成することにより、パッチ1
3と接地板14との間の強度を高めることができ、生体
に接触したときの衝撃によるパッチ13と接地板14の
間隔のずれや金属ポストの変形を防止することができ
る。また、パッチ13は冷却水15の中に設置されてい
るので冷却効率が改善されるのも第1実施例と同様であ
る。
【0024】次に、図4には第3実施例の断面図を示
す。本実施例では袋状のボーラスの代わりにプラスチッ
ク等からなる絶縁体ケース28と、絶縁体ケース28の
開口面に張られた薄い絶縁体膜29によって冷却液収容
体27を構成し、冷却液収容体27の中で冷却液15が
充填されかつ循環されている。給水管18、排水管19
及び給電ケーブルの構造は、前実施例と同様である。パ
ッチ13と接地板14の回りを比較的固いケース28で
囲繞しているため、外力に対してパッチ13と接地板1
4の間隔のずれや金属ポストの変形を防止することがで
き、さらに絶縁体膜29によって生体10への密着性を
良くすることができる。
【0025】次に、本発明の第4実施例の断面図を図5
に、斜視図を図6に示す。本実施例では、接地板を単な
る平面ではなく、パッチ13と平行な面から側面方向に
伸長した箱型の接地板34としている点で第1実施例と
異なる。本実施例のアンテナ部32は、マイクロストリ
ップからなる輻射素子であるパッチ13、箱型接地板3
4、水からなる誘電体15及び同軸ケーブル16から構
成される。
【0026】箱型接地板34の開口面には絶縁体からな
るボーラス膜37が張られ、箱型接地板34の閉塞面に
は背後から給水管18、排水管19が連結される。ボー
ラス膜37と箱型接地板34との間は接着を行う。冷却
水15は、ボーラス膜37と箱型接地板34によって画
成される空間に充填され、給水管18と排水管19を介
して循環され、アンテナ部32及び生体10の冷却を行
う。従って箱型接地板34はボーラス膜37と共に冷却
液収容体をも構成している。
【0027】また、前実施例と同様、接地板34の背後
から同軸ケーブル16が接続され、その中心導体は金属
ポスト20に接続される。このように接地板34の周端
をパッチ13の周囲を囲繞するところまで側面方向に伸
長させることにより、アンテナ部32から輻射される電
磁エネルギを横方向に漏らすことなく、生体方向のみに
集中させることができる。従って、加温効率の改善と供
給電力の節約を図ることができる。また、冷却水が接地
板34の中に収容されることによって従来のものと比較
してアンテナ部の強度も改善することができる。
【0028】さらに、箱型接地板34の開口面積の寸法
を変更することによって、加温範囲の調整も可能にな
る。図7は、第4実施例の変形例となる第5実施例の断
面図を示す。本例では、冷却液収容体を絶縁体膜からな
る袋状のボーラス17で構成し、箱型接地板34の開口
面だけでなく全体を非金属の膜等からなる袋状のボーラ
ス17によって包囲し、パッチ13及び接地板34全体
を冷却水15の中に浸したものである。
【0029】このように構成することによって、電磁エ
ネルギの横方向の漏れを防止すると共にアンテナ部の冷
却効果を高め、さらにボーラス17を大きくすれば生体
表面の冷却範囲を広げることが可能になる。図8には、
第4実施例のアンテナ部を複数個配列させてアレイ式の
アプリケータとした第6実施例を示す。各アンテナ部
は、接地板34の側面によって分離されている。尚、図
示しないが、接地板34によって分離される各室には、
それぞれ給水管と排水管を介して循環冷却水が供給され
ている。
【0030】アレイ式のアプリケータとすることによっ
て、大きな加温範囲を得ることができると同時に、接地
板34が各アンテナ部を分離するので、アンテナ間の結
合を防止でき、従って所望の加温分布が得られやすくな
るという効果がある。次に、図9に本発明に係る第7実
施例の主要部の斜視図を示す。第7実施例は2共振特性
を持つアンテナ部とすることによって、広帯域のアプリ
ケータを実現させたものである。
【0031】図において、アンテナ部42は、マイクロ
ストリップからなる輻射素子であるパッチ43、接地板
14、冷却水からなる誘電体15及び図示しない同軸ケ
ーブルから構成される。冷却水15は図示せずとも非金
属の膜等からなる冷却液収容体たる袋状ボーラス17の
中に充填されかつ循環される。パッチ43は、同軸ケー
ブルの中心導体に接続される金属ポスト20によって接
地板14と所定の距離を置いてほぼ平行に設置され、パ
ッチ43及び接地板14はボーラス17の冷却水15中
に浸される。
【0032】パッチ43は方形の形状をしており、その
一辺には切り欠き部44が形成され、2共振特性を持た
せている。2共振特性を持つパッチアンテナについて
は、文献(J.Mcllvenna and N.Kernweis著 "Modified c
ircular microstrip antenna elements" IEE Electroni
cs Letters, vol.15, pp.207-208, 1979)等で公知の技
術であるが、本実施例の切り欠き部44を有するパッチ
アンテナの作用原理を図10を用いて説明する。
【0033】図10はパッチ43の平面図である。今、
パッチ43は一辺の長さがLの正方形であり、切り欠き
の幅をw、切り欠きの深さをL−Hとし、さらに給電位
置が正方形の対角線上に正方形の一角からlだけ離れた
位置であるとすると、長さLは所望の2つの共振周波数
のうち低い周波数f1 の約半波長の長さに等しくなるよ
うに設定する。例えば、周波数400MHzの電磁波を
輻射するためには、一辺の長さLはその水中での波長の
半分である42mm程度とする。また、切り欠きのある
部分の残りの長さ、即ちHは所望の2つの共振周波数の
うち高い周波数f2 の約半波長の長さに等しくなるよう
に設定する。尚、切り欠き幅wは2つの共振周波数の間
隔によって適宜決められ、給電位置は金属ポスト20の
長さと共に実験的に最適な位置に決められる。
【0034】以上の方法で寸法を決められたパッチで
は、給電位置が対角線上にあるため、図10の(a)と
(b)に示したような直交する2方向に電流が流れる。
即ち、低い周波数f1 では(a)のように切り欠き部4
4の深さ方向と直交する方向に電流が流れる。周波数が
高くなるとインピーダンスの不整合が起こりこの方向の
電流は減少するが、周波数f2 に近づくにつれて次第に
切り欠き部44の深さ方向に平行な方向に電流が流れ始
める。このようにして、2つの共振点を持つことにな
る。これらの共振周波数が十分に近ければ、通常のパッ
チアンテナでは実現できない広い帯域に亘って良好な反
射特性を持つアンテナ部とすることができる。
【0035】本実施例のように広帯域のアンテナ部とす
ることによってアンテナ部が浸される冷却水の温度変化
を受けても良好な反射特性を維持させることができると
いう利点を有する。図11には、一般的なアンテナを冷
却水に浸した状態での温度特性を示したもので、冷却水
の温度が24°Cから42°Cまで変化すると、特性曲
線は約19MHz程高い方へ移動することがわかる。一
方、図12には本実施例のパッチアンテナの特性曲線を
示す。図から明らかなように本実施例の広帯域のパッチ
アンテナは、約50MHzの帯域に亘って−10dB以
下、約30MHzの帯域に亘って−15dB以下の反射
特性が得られているので、冷却水の温度の変化を受けて
も良好な反射特性を維持することができ良好な性能を示
す。
【0036】図13ないし図15は、本実施例の他の変
形例を示し、それぞれ図13は、パッチ43の対向する
2辺に切り欠き部45、45を各々形成した例、図14
は、パッチ43に2つの切り欠き部46、46を形成
し、2つの切り欠き部46、46の間の導体を外側に伸
長部47として延長させた例である。又、図15はパッ
チ48を円形の形状とし、その円周から2つの伸長部4
9、49を延長させた例である。いずれの例においても
2共振特性を持たせることが出来、各例における切り欠
き部の長さ、伸長部の長さを調整することにより2つの
共振周波数を十分に近づけて、広帯域に亘って良好な反
射特性を持つアンテナとすることができる。
【0037】次に、図16には、本発明の第8実施例の
主要部の斜視図を示す。本実施例では、パッチと接地板
の間隔を可変とする構造としたものである。図におい
て、前実施例と同様、パッチ13及び接地板14は冷却
液の中に設置されるが、パッチ13は非金属からなる可
動アーム51及び金属ポスト52によって支持される。
非金属可動アーム51は、接地板14を貫通し、その先
端は接地板の後方に位置づけられた可動部61(図1
7)に連結され、これらで間隔調整手段を構成する。金
属ポスト52は、入り子式の摺動ポスト53と固定ポス
ト54から構成され、固定ポスト54は、貫通孔を有し
その一端にスリット溝が切り込まれ、摺動ポスト53が
その一部がスリット溝に係合して貫通孔の中で摺動可能
に挿入される。固定ポスト54の他端は、同軸ケーブル
の中心導体に接続され、摺動ポスト53の挿入端と反対
側の端部はパッチ13に接続され、これら金属ポスト5
2を介してパッチ13への給電が行われる。
【0038】本実施例のブロック図を図17に示す。図
17において、55は本実施例によるアプリケータ、5
6は発振器、57は方向性結合器、58は検波器、59
はA/D変換器、60は処理装置、61は可動部であ
る。可動部61は、さらにモータ62、ギア部63から
構成される。発振器56は所定の周波数を有する正弦波
の電流を増幅出力しアプリケータ55へ電力を供給す
る。方向性結合器57は、発振器56とアプリケータ5
5の間に配置され、インピーダンス不整合によるアプリ
ケータ55からの反射電力に対応する出力を行う。方向
性結合器57からの出力は、検波器58にて直流化さ
れ、A/D変換器59でデジタル信号とされて、処理装
置60へと入力される。CPUを有する処理装置60で
は、反射電力振幅と供給電力振幅を比較し、その比較値
に基づいて可動部61に指令を送る。即ち、設定された
供給電力振幅値に対する反射電力振幅値からアプリケー
タ55の反射係数振幅γを計算し、求めたγと予め設定
された上限反射係数振幅γ0 とを比較する。γ0 <γで
あるときには、処理装置60から可動部61へ信号が出
力され、モータ62を作動させギア部63を介して可動
アーム51の上下動を行う。可動アーム51の上下動に
よって常にγ0 ≧γとなるように、パッチ13と接地板
14との間の間隔を変化させる。1ステップ毎のモータ
62の作動に応じて反射係数振幅γを処理装置60で計
算し、直前の反射係数振幅γ’と比較し、γ>γ’であ
れば逆方向にモータ62を回転させ、γ<γ’でありか
つγ>γ0 であればさらに同じ方向にモータ62を回転
させることによって、反射電力が少なくなるパッチ13
と接地板14との間の間隔に調整することができる。
【0039】このようにパッチ13と接地板14との間
隔を常に変化させ、最適な反射特性を持つように調整す
ることによって、冷却液の温度変化の影響を受けて反射
特性が変化することなく、良好な反射特性を維持するこ
とができる。本実施例の変形例を図18に示す。この例
では、可動アーム51と入り子式金属ポスト52の代わ
りに、パッチ13を固定金属ポスト65と非金属可動ポ
スト66によって支持している。固定金属ポスト65
は、接地板14の背後から接続される同軸ケーブル16
の中心導体に接続され、パッチ13への給電を行う。ま
た、可動ポスト66は、接地板14を貫通し後方の可動
部へと連結される。本例では、アプリケータ部からの反
射電力を処理装置にフィードバックし、可動ポスト66
を上下動させることによってパッチ13と接地板14と
の間の距離を部分的に変化させる。前実施例と異なり、
パッチ13全体を平行に移動させずに、部分的に変化さ
せることによっても良好な反射特性を維持させることが
十分可能である。
【0040】次に、本発明の第9実施例のブロック図を
図19に示す。本実施例は、冷却液収容体の中に温度セ
ンサ68を設け、温度センサ68からの冷却液の温度に
応じてパッチ13と接地板14との機械的距離を変化さ
せるものである。図19において、温度センサ68から
の信号は温度計69にて入力され、A/D変換されて処
理装置60に入力される。処理装置60には、温度−距
離最適データ記憶装置70からのデータが同時に入力さ
れ、温度計69からの現在の温度から最適なパッチ13
と接地板14との距離データが読み出され、この距離デ
ータに応じて処理装置60からモータ62へ信号が出力
され、ギア部63を介して可動アーム51又は可動ポス
ト66を上下動させて、パッチ13と接地板14との間
の間隔を調整する。本例によっても、前実施例と冷却液
の温度変化に対して同様良好な反射特性を維持すること
ができる。
【0041】次に、本発明の第10実施例の主要部の斜
視図を図20に示し、その作用を示す断面図を図21に
示す。図20において、パッチ13は固定金属ポスト7
5と非金属可変ポスト76によって接地板14と所定の
距離を置いて支持され、これらは冷却液の中に浸され
る。固定金属ポスト75は、接地板14の背後から接続
される同軸ケーブル16の中心導体に接続され、パッチ
13への給電を行う。一方、非金属可変ポスト76は、
所望の正の熱膨張率を有する材料からつくられ、冷却液
の温度変化に対してその長さが変化するように構成され
る。
【0042】図21(a)は冷却液が低温時、図21
(b)は冷却液が高温時の非金属可変ポスト76の変化
を示している。図11から明らかなように、冷却液の温
度の上昇と共にパッチ13と接地板14との間の電気的
間隔は狭くなる。それに対し非金属可変ポスト76は、
冷却液の温度の上昇と共に膨張し、パッチ13と接地板
14との間の間隔が広がるので(図21(b))、両者
が相殺することによって冷却液の温度の影響を受けず安
定した反射特性を持たせることができる。
【0043】非金属可変ポスト76の材料及びその取付
位置は、冷却液の温度による電気長の変化を最適に相殺
するように、選択され調整される。
【0044】
【発明の効果】以上、説明してきたように本発明によれ
ば、アンテナ部の輻射素子を冷却液の中に設置すること
によって、冷却部とアンテナ部とを多層構造にすること
なく、冷却部とアンテナ部を一体化することができ、ア
プリケータ全体の小型化を図ることができ、同時に輻射
素子の冷却効果を高めることができる。
【0045】さらに、輻射素子と接地板との間の誘電体
を冷却液で構成することにより、アンテナ部の小型化を
さらに図ることができる。また、冷却液収容体を絶縁体
膜から形成させることによって生体の表面との密着性を
良くすることができ、冷却範囲を柔軟に設定することが
できると共に、冷却液収容体を絶縁体ケースと絶縁体膜
から形成させた場合にはアプリケータの強度を高めるこ
ともできる。
【0046】接地板の周端を輻射素子の周囲を囲繞する
ところまで伸長させることにより、輻射素子から放射さ
れる電磁波の横方向の伝搬を防止することができ、従っ
て、放射方向を生体へ集中させることができるので生体
の加温効率を高め、供給電力の節約を図ることができ
る。同時にアプリケータの強度を高めることもできる。
また、アンテナ部が広帯域の動作帯域幅を有することに
よって、周囲の冷却液の温度変化によるアンテナ部の影
響を小さくすることができる。
【0047】さらに、アンテナ部からの反射電力を検知
し、その検知出力に応じて間隔調整手段を駆動すること
によって、反射電力を常に小さく抑えることが可能にな
る。同様に、冷却液の温度を検知し、その温度出力に応
じて間隔調整手段を駆動することによって、冷却液の温
度の変化の影響を受けないアンテナとすることができ
る。
【0048】また、正の熱膨張率を有する非金属支持体
で輻射素子と接地板を支持することによって、冷却液の
温度の変化の影響を受けないアンテナとすることができ
る。さらに、アレイ式アプリケータとすることによって
広い範囲にわたって加温することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図である。
【図2】第1実施例のアンテナの電気的作用を説明する
ための模型図である。
【図3】第1実施例の変形例である第2実施例の断面図
である。
【図4】本発明の第3実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の第4実施例を示す断面図である。
【図6】第4実施例の斜視図である。
【図7】第4実施例の変形例である第5実施例の断面図
である。
【図8】本発明の第6実施例の断面図である。
【図9】本発明の第7実施例の主要部の斜視図である。
【図10】第7実施例の作用を説明するためのパッチの
平面図である。
【図11】従来のアンテナの温度特性を示したグラフで
ある。
【図12】第7実施例によるアンテナの温度特性を示し
たグラフである。
【図13】第7実施例の変形例である。
【図14】第7実施例の変形例である。
【図15】第7実施例の変形例である。
【図16】本発明の第8実施例の主要部の斜視図であ
る。
【図17】第8実施例のブロック図である。
【図18】第8実施例の変形例である。
【図19】本発明の第9実施例のブロック図である。
【図20】本発明の第10実施例の主要部の斜視図であ
る。
【図21】第10実施例の作用を示す断面図であり、
(a)は冷却液の冷温時、(b)は冷却液の高温時の状
態を示す。
【図22】従来の加温療法用アプリケータの断面図であ
る。
【符号の説明】
12,32,42 アンテナ部 13,43,48 輻射素子 14,34 接地板 51,61,66 間隔調整手段 57 反射電力検知手段(方向性結合器) 60 処理手段 68 温度検知手段 76 非金属支持体(非金属可変ポスト)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 輻射素子と、該輻射素子から所定の距離
    を置いて配置される接地板と、該輻射素子と該接地板と
    の間に介挿された誘電体とからなるアンテナ部と、冷却
    液を収容する冷却液収容体を備え、該アンテナ部から電
    磁波を輻射する加温療法用アプリケータにおいて、 該輻射素子が該冷却液の中に設置されることを特徴とす
    る加温療法用アプリケータ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の加温療法用アプリケータ
    において、前記接地板が前記冷却液に露出され、前記誘
    電体が前記冷却液であることを特徴とする加温療法用ア
    プリケータ。
  3. 【請求項3】 請求項1ないし2のいずれかに記載の加
    温療法用アプリケータにおいて、前記冷却液収容体が絶
    縁体膜からなることを特徴とする加温療法用アプリケー
    タ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし2のいずれかに記載の加
    温療法用アプリケータにおいて、前記冷却液収容体が絶
    縁体ケースと該ケースの開口面に付着された絶縁体膜か
    らなることを特徴とする加温療法用アプリケータ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の加
    温療法用アプリケータにおいて、前記接地板の周端が輻
    射素子の周囲を囲繞するところまで伸長していることを
    特徴とする加温療法用アプリケータ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の加
    温療法用アプリケータにおいて、前記アンテナ部が広帯
    域の動作帯域幅を有することを特徴とする加温療法用ア
    プリケータ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の加
    温療法用アプリケータにおいて、前記アンテナ部が少な
    くとも19MHzの周波数帯域に亘って−15dB以下
    の反射特性を有することを特徴とする加温療法用アプリ
    ケータ。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の加
    温療法用アプリケータにおいて、さらに、前記輻射素子
    と前記接地板との間の間隔を変化させる間隔調整手段
    と、アンテナ部からの反射電力を検知する反射電力検知
    手段と、反射電力検知手段からの出力に応じて間隔調整
    手段を駆動させる処理手段とを有することを特徴とする
    加温療法用アプリケータ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし7のいずれかに記載の加
    温療法用アプリケータにおいて、さらに、前記輻射素子
    と前記接地板との間の間隔を変化させる間隔調整手段
    と、冷却液の温度を検知する温度検知手段と、温度検知
    手段からの出力に応じて間隔調整手段を駆動させる処理
    手段とを有することを特徴とする加温療法用アプリケー
    タ。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし7のいずれかに記載の
    加温療法用アプリケータにおいて、前記輻射素子と前記
    接地板との間を正の熱膨張率を有する非金属支持体で支
    持することを特徴とする加温療法用アプリケータ。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の加温療法用アプリケータを複数配列してなるアレイ式
    加温療法用アプリケータ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010534499A (ja) * 2007-07-26 2010-11-11 コンセホ・スペリオル・デ・インヴェスティガシオネス・シエンティフィカス ハイパーサーミアデバイスおよびそのナノ粒子との使用

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JP2010534499A (ja) * 2007-07-26 2010-11-11 コンセホ・スペリオル・デ・インヴェスティガシオネス・シエンティフィカス ハイパーサーミアデバイスおよびそのナノ粒子との使用

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