JPH06137381A - ベルト - Google Patents

ベルト

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JPH06137381A
JPH06137381A JP28578892A JP28578892A JPH06137381A JP H06137381 A JPH06137381 A JP H06137381A JP 28578892 A JP28578892 A JP 28578892A JP 28578892 A JP28578892 A JP 28578892A JP H06137381 A JPH06137381 A JP H06137381A
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finishing
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義隆 田島
Masaaki Ogino
雅章 荻野
Katsuyoshi Fujiwara
勝良 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 伝動ベルト用や運搬ベルト用として好適な防
かび剤を得て、ベルトBのかびの発生の防止を長期間に
亘り安定して図る。 【構成】 ベルトBにおける帆布層3を形成する仕上げ
用ゴム中に、チアベンダゾール、2,4,5,6テトロ
クロロフタロニトリル、2−n−オクチル−4−イソチ
アゾリン−3−オン、ジヨードメチルトリルスルホン、
2−メトオキシカルボニルアミノベンゾイミダゾール、
ジンク−2−ピリジンチオール−1−1オキサイド又は
4−5ジクロロチアゾオクチルイソチアゾリン−3−オ
ンを主成分とする混合物からなる防かび剤を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝動ベルトや運搬ベル
ト等のベルトに関し、特に、ゴムが施された帆布層と複
合体をなすゴム部品の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えばベルト本体の表面に帆布
を接合してなるラップドタイプ等の伝動ベルトにおいて
は、その帆布にフリクショニング等の手段によって仕上
げ用ゴムが擦り込まれている。ところが、斯かる仕上げ
用ゴムが施された帆布層を有する伝動ベルトでは、製造
から数年間に亘り倉庫内等に保管されると、上記帆布層
の表面にかびが発生して、ベルトの商品価値を著しく低
下させたり、衛生上の問題が生じたりすることがある。
【0003】そこで、上記帆布層を形成するために帆布
に擦り込まれる仕上げ用ゴム中に防かび剤を配合し、こ
の防かび剤によってベルトにかび抵抗性を付与し、長期
の保管中でのベルト表面におけるかび発生を防止するこ
とが行われている。
【0004】そして、従来、上記かび抵抗性を付与する
防かび剤としては、砒素系の10−10−オキシビスフ
ェノキシアルシンを主成分とする防かび剤、或いはリン
系のチオリン酸−S−ベンジル−O,O−ジイソプロピ
ルやトルクロホスメチルがあるが、本発明者がこれらを
用いて実験評価した結果、性能、安全性、コスト等の面
で工業的に使用できないことが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のベ
ルト用防かび剤としては以下の条件を良好に満たすこと
が要求される。すなわち、 (1)防かび剤の主成分及び混合物が人体に対し有害性
や有毒性のないこと。
【0006】(2)防かび期間が数年に亘って長いこ
と。
【0007】(3)熱的に安定で200℃以下で分解し
ないこと。
【0008】(4)ゴム中に容易に分散し、ゴムの物性
や接着性を阻害しないこと。
【0009】(5)ゴムの加工(混練、圧延、フリクシ
ョニング、押出成形、加硫)に悪影響を与えないこと。
【0010】(6)マークや色物への汚染がないこと
(ブルームしないこと)。
【0011】(7)製品性能に影響がないこと。
【0012】(8)取扱いが容易であること。
【0013】(9)供給の安定性があること。
【0014】(10)安価であること。
【0015】しかしながら、上記従来のものでは、いず
れも上記全ての条件を良好に満たすことは困難であっ
た。このため、従来のものの代替物の実現が望まれてい
るのが現状である。
【0016】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、上記の諸条件を全て良好に満たし得る
ベルト用防かび剤を見出だして、伝動ベルトや運搬ベル
ト等のベルトのかびの発生を防止しようとすることにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明者は、上記要求を満たす種々の物質の選択
について鋭意研究を重ね、防かび剤として使用される種
々の物質についてJIS/Z2911で規定されるかび
抵抗性試験法によって防かび性を評価するとともに、こ
れらの物質について実験室規模で加工性、製品品質等を
検討することにより、ベルト用の防かび剤として最適で
ある以下の混合物を見出だすに至った。
【0018】すなわち、請求項1の発明では、ベルト本
体の表面に、仕上げ用ゴムが施された帆布層を備えたベ
ルトとして、上記帆布層に施された仕上げ用ゴム中にチ
アベンダゾールを主成分とする混合物からなる防かび剤
を配合したことを特徴とするものである。
【0019】請求項2の発明では、帆布層に施された仕
上げ用ゴム中に2,4,5,6テトロクロロフタロニト
リルを主成分とする混合物からなる防かび剤を配合す
る。
【0020】請求項3の発明では、帆布層の仕上げ用ゴ
ム中に2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オ
ンを主成分とする混合物からなる防かび剤を配合する。
【0021】請求項4の発明では、帆布層の仕上げ用ゴ
ム中にジヨードメチルトリルスルホンを主成分とする混
合物からなる防かび剤を配合する。
【0022】請求項5の発明では、帆布層に施された仕
上げ用ゴム中に2−メトオキシカルボニルアミノベンゾ
イミダゾールを主成分とする混合物からなる防かび剤を
配合する。
【0023】請求項6の発明では、帆布層の仕上げ用ゴ
ム中にジンク−2−ピリジンチオール−1−1オキサイ
ドを主成分とする混合物からなる防かび剤を配合する。
【0024】請求項7の発明では、仕上げ用ゴム中に4
−5ジクロロチアゾオクチルイソチアゾリン−3−オン
を主成分とする混合物からなる防かび剤を配合する。
【0025】さらに、請求項8の発明では、以上の各発
明において、帆布層に施される仕上げ用ゴム中に防かび
剤と共に配合されるケイ酸系充填剤を10PHR以下の
配合量とする。
【0026】
【作用】請求項1〜7の発明では、ベルトの帆布層にお
ける仕上げ用ゴム中に、チアベンダゾール、2,4,
5,6テトロクロロフタロニトリル、2−n−オクチル
−4−イソチアゾリン−3−オン、ジヨードメチルトリ
ルスルホン、2−メトオキシカルボニルアミノベンゾイ
ミダゾール、ジンク−2−ピリジンチオール−1−1オ
キサイド又は4−5ジクロロチアゾオクチルイソチアゾ
リン−3−オンを主成分とする混合物からなる防かび剤
が配合され、これら防かび剤は上記した複数の条件を良
好に満たすので、ベルト用として好適な防かび剤が得ら
れ、ベルトのかびの発生を長期間に亘り安定して防止す
ることができる。
【0027】また、請求項8の発明では、帆布層に施さ
れる仕上げ用ゴム中に防かび剤と共に配合されるケイ酸
系充填剤が10PHR以下の配合量とされているので、
仕上げ用ゴムの配合中におけるケイ酸系充填剤の配合を
制限するとともに、カーボンブラックの配合を増量し、
上記仕上げ用ゴムの混練り中に防かび剤の配合による過
度のシャツ解を抑止して加硫が不十分になることを防止
でき、ゴムの粘着を防ぐとともに、仕上げ用ゴムの配合
中に粘着付与剤が配合されているときはその効果を調整
できる。従って、ゴムの加硫を適正に行いかつ粘着が生
じないので、加硫ゴムと加硫金型との間の離型性を高め
ることができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基づき
説明する。図1は本発明の実施例に係る伝動ベルトとし
てのラップドVベルトBであって、1は断面台形状のベ
ルト本体であって、クロロプレンゴム(ネオプレン)、
スチレンブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリルブ
タジエンゴム等からなり、ベルトBの使用目的に適した
公知のゴム配合物により形成される。このベルト本体1
の内部には、エンドレスの複数本の補強体としてのコー
ド2,2,…(心線)がベルトBの幅方向に一定ピッチ
をあけて並列にかつ各々ベルト長さ方向に対し螺旋状に
埋設されている。
【0029】上記ベルト本体1の表面は帆布層3で被覆
されている。この帆布層3はベルト本体1の表面に帆布
層素材を被覆して成形し、加硫工程を経て形成される。
上記帆布層3はベルト本体1の底面でオーバーラップ部
3aを形成するように被覆されている。帆布層3の素材
としては綿、テトロン(登録商標)、ナイロン(登録商
標)の系統等からなる糸又は混紡糸を単独又は組み合わ
せて使用し、ベルト帆布として要求される耐摩耗性、摩
擦係数を満たすように織成される。
【0030】そして、上記帆布層3には仕上げ用ゴムと
してフリクションゴムが擦り込まれ、このフリクション
ゴムには防かび剤が混入されている。この発明の特徴と
して、上記防かび剤は、以下の〜の7つの物質から
2つずつ選択して互いに同一重量比となる割合で混合さ
れた混合物からなるものが使用されている。
【0031】 チアベンダゾール(以下、この実施例
ではTBZと略称する) 2,4,5,6テトロクロロフタロニトリル(同T
PNと略称する) 2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
(同M−8と略称する) ジヨードメチルトリルスルホン(同A−48と略称
する) 2−メトオキシカルボニルアミノベンゾイミダゾー
ル(同BCMと略称する) ジンク−2−ピリジンチオール−1−1オキサイド
(同ZnOと略称する) 4−5ジクロロチアゾオクチルイソチアゾリン−3
−オン(同RHと略称する) つまり、混合物からなる防かび剤は、TPN+TBZ、
TPN+M−8、BCM+TPN、BCM+A−48、
M−8+BCM、M−8+TBZ、M−8+ZnO、M
−8+RH、BCM+ZnO、BCM+TBZ、BCM
+RH、TBZ+ZnO、TBZ+RH、ZnO+RH
の14種類で、上記〜を主成分としたものである。
【0032】また、上記帆布層3に擦り込まれるフリク
ションゴム中に防かび剤と共にケイ酸系充填剤を使う場
合には10PHR以下の配合量とするのが好ましい。
【0033】したがって、この実施例においては、ラッ
プドVベルトBの帆布層3におけるフリクションゴム中
にTBZ、TPN、M−8、A−48、BCM、ZnO
又はRHを2つずつ同一重量比で組み合わせてなる混合
物からなる防かび剤が配合され、これら防かび剤は伝動
ベルト用として要求される諸条件、例えば有害でないこ
と等を良好に満たしつつ、かび抵抗性を有するので、ラ
ップドVベルトBのかびの発生を長期間に亘り安定して
防止することができる。
【0034】また、上記帆布層3に施されるフリクショ
ンゴム中に防かび剤と共にケイ酸系充填剤を配合する場
合は10PHR以下の配合量とするのが好ましく、その
分、カーボンブラックの配合量を増量し、ゴム物性を調
整するとともに、ケイ酸系充填剤と防かび剤との交互作
用によって加硫後のベルトBと金型との離型性を良好に
することができる。
【0035】この点についてさらに詳細に説明する。上
記フリクションゴムの配合設計において、防かび剤とケ
イ酸系充填剤とを使い、その他の成分は従来と変わらな
いような配合としたとき、フリクションゴムの加硫時、
金型と粘着性が生じる。
【0036】また、ベルト本体1が上記配合設計による
フリクションゴムを擦り込んだ帆布層3により被覆され
た後、帆布層3と一体に加硫される工程においては、上
記帆布層3におけるフリクションゴムの一部が取れるこ
とがあり、また加硫工程での作業性も著しく悪く、生産
性が20%程度低下する。
【0037】さらに、上記ラップドVベルトBの加硫方
式として、部分的な加硫を順次全周に及ばせるプレス加
硫方式の他に、図2に示されるようなリング状金型5を
積層して複数のVベルトB,B,…の各々を同時に加硫
するリング加硫方式がある。しかし、このリング加硫方
式では、上記配合設計によるフリクションゴムが用いら
れた場合、加硫後におけるリング状金型5と各ベルトB
との間の離型性が著しく低下した状態となり、ベルトB
が脱型時に損傷したり、或いは作業者に大きな負担をか
けたりすることが懸念される。
【0038】そこで、このような事例に鑑み、カーボン
ブラックを充填剤として重点的に使用し、熱によって焼
付きを生じ易いシリカ成分を含むケイ酸系充填剤の使用
を可能な限り制限することにより、加硫ゴムと金型との
間の界面活性を向上させて、上記加硫ゴムと金型との離
型性を向上させることが可能となる。
【0039】次に、具体例について説明する。表1に示
すように天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエ
ンゴムからなるゴム組成物と、カーボンブラック及びケ
イ酸系充填剤のみの配合割合が6種類に異なる配合材料
とから、その合量のうち上記M−8+ZnOとの混合物
からなる防かび剤が所定量(2.5PHR)となるよう
に配合設計してフリクションゴムを混練りし、このフリ
クションゴムを、ラップドVベルトの帆布層を形成する
生原反の表裏に擦り込んで帆布層用原反を得た。次い
で、この帆布層用原反をバイアス状にスリットした後、
バイアス布を接合して長尺のバイアス状帆布層素材と
し、この帆布層素材をベルト本体の表面に被覆して成形
し、加硫工程を経て本発明に係るラップドVベルト(本
発明例1〜4及び比較例1,2)を製作した。また、従
来例として、砒素系の10−10−オキシビスフェノキ
シアルシンを主成分とする配合設計となされたものを製
作した。
【0040】そして、まず、これらの各Vベルトを50
mmの長さに切断してかび抵抗性を評価するための試料
とした。この各試料と防かび剤が配合されていないブラ
ンク試料とを個別にシャーレ内にのJIS無機寒天培地
上に載せ、いずれも試料の上から下記のかびの混合胞子
懸濁液1mlを均等に振りかけた後、25℃で28日間
培養した。
【0041】アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus ni
ger ) ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum) ケトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum ) オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium Pull
ulans ) グリオクラジウム・ビレンス(Gliocladium Virens) ペシロミセス・エスピー(Paecilomyces SP ) 各試料はシャーレ中の培地上で上記かびの混合胞子が着
生する状態で培養が続けられ、その間のかびの発生を目
視することによって各試料の有するかび抵抗性を評価し
た。
【0042】その結果、防かび剤が配合されていないブ
ランク試料では、7日後に試料の端部に若干のかびの発
生が認められ、14日後に試料の表面に少しのかびの発
生が認められ、28日後には試料表面に旺盛なかびの発
生が認められた。
【0043】これに対し、本発明例1〜4及び比較例
1,2であってM−8+ZnOとの混合物からなる防か
び剤が配合されている試料では、28日が経過した後も
かびの発生は認められず、上記防かび剤によりゴム組成
物に優れたかび抵抗性が付与されることが確認された。
このようなかび抵抗性は、一般的な倉庫における10年
間の貯蔵で発生するようなかびの発生を阻止できる防か
び能力に相当するものである。
【0044】また、上記本発明例1〜4、比較例1,2
及び従来例について、加硫後のVベルト(加硫ゴム)と
加硫金型からの離型性及び接着性を試験した。表1に示
す離型性の評価では、容易に脱型するものを○で、また
脱型がやや困難なものを△で、さらに脱型が極めて困難
なものを×でそれぞれ示している。また接着性の試験
は、148℃で25分間プレス加硫した後、180°方
向へ50mm/分の引張速度で剥離させる条件であり、そ
のときの25mm幅当たりの接着力を示している。
【0045】
【表1】 尚、JIS/K6301により試験した上記各試料の物
理的性質を表2に示す。
【0046】
【表2】 上記M−8+ZnOの混合物からなる防かび剤を2.5
PHRの割合だけ配合する場合、その両成分M−8及び
ZnOの混合割合を互いに同一重量比となる割合(各々
50%)から変えたときの金型からの離型性及び防かび
性を表3に示す。
【0047】さらに、上記M−8+ZnOの混合物から
なる防かび剤の配合割合を変えたときの金型からの離型
性、加硫速度及び防かび性を表4に示す。表4に示す加
硫速度の評価では、加硫速度が速くて作業性がよいもの
を○で、また加硫速度が遅くて作業性に問題があるもの
を×でそれぞれ示している。
【0048】
【表3】
【表4】 上記表1に示す本発明例1〜4及び比較例1,2につい
て、防かび剤のみをM−8+ZnOの混合物からBCM
+ZnO、TBZ+ZnO、ZnO+RHの各混合物に
それぞれ代えたとき(他の成分は表1と同じ)の離型性
及び防かび性を表5に示す。これら防かび剤の配合割合
は2.5PHRである。
【0049】
【表5】 また、本発明例3の配合設計(表1参照)において、防
かび剤のみをM−8+ZnOの混合物から上記表5以外
の組合せの各混合物に代えたときの離型性及び防かび性
を表6に示す。
【0050】
【表6】 以上の試験とは別に、上記のように試料として製作した
ラップドVベルトを走行させて粉落状態及び走行寿命を
従来例と比較して試験した。粉落状態の試験では、ポリ
エステルのコードを埋設したベルト本体の表面を綿の平
織り帆布からなる帆布層で被覆してサイズA−35の標
準型Vベルトを製作し、このVベルトを外径が80mmの
1対のA型プーリ間に巻き掛け、一方のプーリをデッド
ウェイト40kgで他方プーリから離れる方向に付勢した
状態で所定の速度でベルトを走行させたとき、4時間後
にベルトの側面からゴム粉が取れる割合を評価した。そ
の結果を表7に示す。
【0051】また、走行寿命の試験では、上記と同様の
Vベルトを製作し、このVベルトを外径が80mmの1対
のA型プーリ間に巻き掛け、一方のプーリを70kgで他
方プーリから離れる方向に付勢した状態で2.2PSで
回転させてベルトを走行させ、そのときのベルトの寿命
までの時間を評価した。その結果を表8に示す。
【0052】
【表7】
【表8】 さらに、ベルト表面に記入されるマークの汚染について
試験した。すなわち、防かび剤がTPN+M−8及びZ
nO+M−8であるときの標準ベルトの各々について白
色マークの色の転染状態をそれぞれ50000本ずつ目
視により検査したところ、いずれのものでもマークの転
染がなかった。また、上記実施例に係るその他の防かび
剤を使用した標準ベルトの各々について同様の転染状態
をそれぞれ1000本ずつ目視により検査したが、転染
は生じなかった。
【0053】以上の試験結果をみると、ベルトの帆布層
に擦り込まれるフリクションゴムに配合される防かび剤
として、TBZ、TPN,M−8,A−48,BCM,
ZnO,RHを主成分とする14種類の混合物を使用す
ることで、フリクションゴムにおけるかび抵抗性は保持
され、よって伝動ベルトの防かび性が向上することが判
る。
【0054】また、表1、表5及び表6に示される結果
によれば、上記防かび剤を配合使用するに際し、ケイ酸
系充填剤を10PHR以下として制限し、このケイ酸系
充填剤の減量に代替してカーボンブラックの配合量を増
量することにより、本発明における防かび剤の配合によ
るフリクションゴムの性状の変化は確実に防止でき、ベ
ルトの金型からの離型性等を良好に確保できることが判
る。
【0055】尚、上記実施例では、ラップドVベルトB
の場合を示したが、本発明は、帆布層がベルト本体の一
部に加硫接合されているベルトであれば適用することが
できる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜7の発
明によると、伝動ベルトや運搬ベルト等のベルトにおけ
る帆布層を形成する仕上げ用ゴム中に、チアベンダゾー
ル、2,4,5,6テトロクロロフタロニトリル、2−
n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ジヨー
ドメチルトリルスルホン、2−メトオキシカルボニルア
ミノベンゾイミダゾール、ジンク−2−ピリジンチオー
ル−1−1オキサイド又は4−5ジクロロチアゾオクチ
ルイソチアゾリン−3−オンを主成分とする混合物から
なる防かび剤を配合したことにより、これら防かび剤に
よりベルト用防かび剤として要求される複数の条件を良
好に満たすことができ、ベルトのかび発生の防止を長期
間に亘り安定して図ることができる。
【0057】また、請求項8の発明によれば、仕上げ用
ゴムに配合されるケイ酸系充填剤の配合割合を10PH
R以下としたことにより、上記防かび剤の配合により生
ずる懸念のある仕上げ用ゴムの性状の変化をさらに有効
に防止でき、かび抵抗性のあるベルトの安定生産を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例におけるラップドVベルト
の断面図である。
【図2】本発明の実施例に適用されるリング状金型の要
部断面図である。
【符号の説明】
B ラップドVベルト(ベルト) 1 ベルト本体 3 帆布層 3a オーバーラップ部 5 金型

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト本体の表面に、仕上げ用ゴムが施
    された帆布層を備えたベルトであって、 上記帆布層に施された仕上げ用ゴム中にチアベンダゾー
    ルを主成分とする混合物からなる防かび剤が配合されて
    いることを特徴とするベルト。
  2. 【請求項2】 ベルト本体の表面に、仕上げ用ゴムが施
    された帆布層を備えたベルトであって、 上記帆布層に施された仕上げ用ゴム中に2,4,5,6
    テトロクロロフタロニトリルを主成分とする混合物から
    なる防かび剤が配合されていることを特徴とするベル
    ト。
  3. 【請求項3】 ベルト本体の表面に、仕上げ用ゴムが施
    された帆布層を備えたベルトであって、 上記帆布層に施された仕上げ用ゴム中に2−n−オクチ
    ル−4−イソチアゾリン−3−オンを主成分とする混合
    物からなる防かび剤が配合されていることを特徴とする
    ベルト。
  4. 【請求項4】 ベルト本体の表面に、仕上げ用ゴムが施
    された帆布層を備えたベルトであって、 上記帆布層に施された仕上げ用ゴム中にジヨードメチル
    トリルスルホンを主成分とする混合物からなる防かび剤
    が配合されていることを特徴とするベルト。
  5. 【請求項5】 ベルト本体の表面に、仕上げ用ゴムが施
    された帆布層を備えたベルトであって、 上記帆布層に施された仕上げ用ゴム中に2−メトオキシ
    カルボニルアミノベンゾイミダゾールを主成分とする混
    合物からなる防かび剤が配合されていることを特徴とす
    るベルト。
  6. 【請求項6】 ベルト本体の表面に、仕上げ用ゴムが施
    された帆布層を備えたベルトであって、 上記帆布層に施された仕上げ用ゴム中にジンク−2−ピ
    リジンチオール−1−1オキサイドを主成分とする混合
    物からなる防かび剤が配合されていることを特徴とする
    ベルト。
  7. 【請求項7】 ベルト本体の表面に、仕上げ用ゴムが施
    された帆布層を備えたベルトであって、 上記帆布層に施された仕上げ用ゴム中に4−5ジクロロ
    チアゾオクチルイソチアゾリン−3−オンを主成分とす
    る混合物からなる防かび剤が配合されていることを特徴
    とするベルト。
  8. 【請求項8】 帆布層に施される仕上げ用ゴム中に防か
    び剤と共に配合されるケイ酸系充填剤は、10PHR以
    下の配合量である請求項1、2、3、4、5、6又は7
    記載のベルト。
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