JPH06134550A

JPH06134550A - ビレット用連続鋳造装置

Info

Publication number: JPH06134550A
Application number: JP28716692A
Authority: JP
Inventors: Takaharu Nakajima; 敬治中島; Tadao Watabe; 忠男渡部
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1992-10-26
Filing date: 1992-10-26
Publication date: 1994-05-17

Abstract

(57)【要約】【目的】凝固シェル形成の均一化を図ることが可能な連
続鋳造装置の提供。【構成】水平断面が六角形以上の多角形鋳型と、この鋳
型で鋳造される多角形ビレット鋳片表面の平らな面を押
圧するための複数のロール群よりなる鋳片支持装置を有
し、この鋳片支持装置は、鋳型の下側に複数段設置され
ていることを特徴とするビレット用連続鋳造装置。上記
の鋳片支持装置のロールでは、ロールの表面が溝または
ディンプルを有するようにすることもできる。【効果】鋳片の蛇行防止が達成され、不均一凝固が発生
しやすい包晶鋼においても、1.5m/min以上で、高速かつ
安定な鋳造が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はビレット用連続鋳造装置
に関し、詳しくは、鋳型をその水平断面が多角形である
ように形成すると共に、この鋳型の下側に、多角形ビレ
ット鋳片表面の平らな面を押圧する複数のロール群から
なる鋳片支持装置を多段に設置することにより、特にビ
レット鋳片の支持機能を十分かつ円滑に発揮させ、鋳片
の蛇行を防止する機能を有する連続鋳造装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】継目無鋼管製造用の素材ビレットの鋳造
は、通常、φ 140〜400mm 程度の円形断面で鋳型内周壁
を形成したビレット用連続鋳造鋳型 (長さ 700〜900mm
、テーパー 0.3〜1.2 ％/m程度) と、この鋳型の下側
に設けた、２対のフットロールと１対の複数ロール
群、２対の複数ロール群などからなる鋳片支持装置と
により行われる。

【０００３】このようなビレット用連続鋳造装置では、
円形断面のビレット鋳片を、その鋳込み方向と略々90度
異なる回転軸を持つ円形断面のロールで支持することに
なるため、点接触に近い支持状態しか得られない。すな
わち、従来のビレット用連続鋳造装置の鋳片支持装置
は、局部的な鋳片支持機能を有しているにすぎない。し
たがって、一般に円形断面のビレット鋳片は蛇行しがち
である。このビレット鋳片の蛇行は、特に鋳型のメニス
カス部の鋳型内周壁と凝固シェルとの間へのモールド・
パウダー流入を不均一にし、結果的に鋳型と鋳片との間
の熱流束の円周方向不均一化を引き起こすことになる。

【０００４】この熱流束不均一は、鋳片からの抜熱の不
均一、すなわち鋳片各部の凝固速度の乱れをもたらすこ
とになるので、鋳片の凝固シェルの成長にむらを生じさ
せ、凝固シェル厚さの不均一による表面縦割れ等の品質
欠陥の誘因となる。さらには凝固シェル破損によるブレ
ーク・アウトの大きな要因となる場合が多い。この現象
は、従来のビレット用連続鋳造装置の大きな基本的問題
点となってきており、特に不均一凝固が起こりやすい包
晶鋼の安定鋳造とその高速化指向への最大の障害になっ
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の諸点
に鑑みなされたものである。本発明の目的は、ビレット
鋳片の蛇行に起因して、鋳型のメニスカス部の鋳型内周
壁と凝固シェルとの間に不均一に流入するパウダーによ
って引き起こされる、鋳型と鋳片との間の熱流束円周方
向不均一化を防止し、凝固シェル形成の均一化を図るこ
とが可能な連続鋳造装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、次の(1) およ
び(2) のビレット用連続鋳造装置をその要旨とする。

【０００７】(1) 水平断面が六角形以上の多角形鋳型
と、この鋳型で鋳造される多角形ビレット鋳片表面の平
らな面を押圧するための複数のロール群よりなる鋳片支
持装置を有し、この鋳片支持装置は、鋳型の下側に複数
段設置されていることを特徴とするビレット用連続鋳造
装置。

【０００８】(2) 鋳片支持装置のロールが、表面に溝ま
たはディンプルを有することを特徴とする上記(1) に記
載のビレット用連続鋳造装置。

【０００９】本発明に係るビレット用連続鋳造装置の基
本的な構成は、六角形以上の多角形水平断面のビレット
用連続鋳造用鋳型と、この鋳型で鋳造した多角形ビレッ
ト鋳片を押圧する複数のロール群よりなる鋳片支持装置
とからなる。

【００１０】以下に、本発明の装置を図１〜図６に基づ
いて、さらに具体的に説明する。

【００１１】図１は、本発明の装置の一実施態様を示す
縦断面の概略図である。この装置は、水冷の鋳型１と複
数のロール７の群からなる４段の鋳片支持装置２を有す
る。

【００１２】この場合では、各段の鋳片支持装置２のロ
ール押圧方向は全く同一である。図示するように、ロー
ル７のロール群を有する各段の鋳片支持装置２は、支持
フレーム９部で段状に組み立てられ、さらにスプレー配
管10が鋳型１の直下および各段の鋳片支持装置の上下に
取付られている。各段の鋳片支持装置２は、図示するよ
うに鋳込方向に対して傾斜して配置できるようになされ
ている。

【００１３】図２は、断面が八角形ビレットの場合で、
４本のロール７が90度間隔で設けられた一段分の鋳片支
持装置について、図１のＡ−Ａ′に相当する部分の水平
断面を示す図である。ただし、便宜上スプレー配管10と
スプレーノズル11の位置関係を併せて示している。この
ようなロール７の配置は、鋳型すなわちビレット鋳片断
面が正多角形の場合に適する。ロール７は、自由に回転
可能となるようにベアリング８を介して、支持フレーム
９に固定された軸受金物12に連結されている。

【００１４】鋳片を押圧する手段としては、それぞれの
支持フレーム９を独立して駆動させることができる、例
えば油圧機構を備えればよい。

【００１５】このような装置により、例えば正多角形の
場合には、一段分の鋳片支持装置の中で、ビレット鋳片
断面の一辺もしくは一辺おきに対向する二辺を独立また
は同時に、押圧することが可能である。あるいは、各段
毎に押圧方向を変えるなど、ロール配置に応じてビレッ
ト鋳片の押圧面をかなり自由に選択することも可能であ
る。

【００１６】スプレーノズル11は、図２に示すようにビ
レット断面の各辺に対応して設置するか、またはビレッ
トの各角部に対応して設置するなど、その位置は自由に
選択することができる。ただし、多角形ビレット鋳片を
均一に冷却することができるように配置することが必要
条件である。

【００１７】図３は、八角形ビレット鋳片用の鋳型を例
とした、図１における鋳型１のＢ−Ｂ′に相当する部分
の水平断面を示す図である。この例では、鋳型全体が正
八角形断面を有しており、この鋳型内周壁を構成する鋳
型銅板３（３は、銅合金板でもよい）の外側に、鋳型外
筒５および各辺の仕切壁６とで形成される冷却水路４を
各辺毎に設け、給水タンクおよび排水タンクの水力直径
が冷却水路の水力直径の８倍以上になるように設計され
た、特に均一抜熱機能を付与した鋳型である。

【００１８】図４は、鋳片支持装置２が四段配設された
正八角形鋳型およびビレット鋳片の場合の、各段の押圧
方向を変える例を示す図である。ここでは、ビレット鋳
片の水平断面図と押圧方向（矢印）のみを示す。図５
は、鋳片支持装置２が七段配設された正七角形ビレット
鋳片の場合の同様の図である。これらの図において、１
段が鋳型の直下である。図示するように、本発明の装置
では、前記の機構を備えた複数段の鋳型支持装置によ
り、偶数正多角形のビレット断面の場合はもちろん、奇
数正多角形の場合でも、各辺に均等またはそれに近い押
圧を与えることができる。また、蛇行した場合でも、そ
の方向または段のみを選択して修正のための押圧を加え
ることもできる。

【００１９】図６は、鋳片支持装置２の各ロール７の表
面の実施態様例を示す図である。図６（イ）に示すの
は、ロールの回転方向に全周に渡って４本切られた溝13
を有するロール、同図（ロ）に示すのは、ロール表面に
複数のディンプル(dimple)14を有するロールである。

【００２０】

【作用】本発明の装置で用いる鋳型を、水平断面が六角
形以上の多角形鋳型としたのは、次の理由による。

【００２１】継目無鋼管製造用の素材ビレットは、その
断面が円形であることが望ましい。

【００２２】ビッレット断面が五角形以下では円形断面
から離れすぎ、ころがり搬送の困難性が生ずる。また、
ビレットの角部では凝固時に割れなどの異常が発生しや
すくなる。できるだけ円形断面に近づけるため、水平断
面が六角形以上の多角形鋳型とした。

【００２３】本発明のビレット用連続鋳造装置を前記の
構成とし、またこれらの押圧ロールの表面を溝付きまた
はディンブル付きとするのが望ましい理由は次のとおり
である。

【００２４】(1) ビレット鋳片表面の一部を平面化する
ことによって、鋳片表面とロールの接触を線接触状態に
維持し、鋳型下流側に位置するロール群の鋳片支持機能
の向上を図る。先ず多角形のビレット鋳片を製造し、そ
の鋳片表面の多数の平面を利用するこの支持装置によれ
ば、鋳片支持装置に一辺毎または対向する二辺毎などに
押圧することができる支持ロールを設置しているので、
発生した鋳片の蛇行を一方向だけでなく、いろいろな方
向に向けて修正することができる。このため、多方向で
の鋳片支持機能の向上が期待でき、したがって、蛇行の
発生を防止することができる。

【００２５】(2) 鋳片支持装置を複数段設けることによ
り、鋳片支持機能のさらなる向上を図る。支持段数は特
に限定するものではないが、例えば段数が一段や二段の
ように少ない場合、支持ロール表面の摩耗などによる隙
間を吸収することが困難となるため三段以上とし、ビレ
ット断面の辺数に応じて、スプレーノズルの配置も考慮
しながら、できるだけ多段支持とするのが望ましい。

【００２６】(3) 通常のモールド・パウダーを使用する
鋳型潤滑の場合では、その残滓が発生し、その残滓の支
持ロール群への堆積、焼付きにより、ロール群の支持機
能の不均一や低下を引き起こすため、残滓が容易に下流
へ流れ落ちるように配慮しなければならない。このた
め、これらのロール表面は、溝付きまたはディンプル付
きとするのが望ましい。このようなロールを用いれば、
モールド・パウダー残滓の完全な除去により、支持ロー
ル群、すなわち鋳片支持装置の均一な鋳片支持機能を維
持することができる。

【００２７】上記のように、本発明の装置によれば、六
角形以上の多角形断面の鋳型内で多角形ビレット鋳片を
鋳造し、鋳片支持ロール群による多方向および多段での
鋳片支持機能（すなわち鋳片蛇行防止機能）を増大させ
るともに、さらに溝付きロールまたはディンプル付きロ
ールを用いれば、支持機能が円滑に発揮される（モール
ド・パウダー残滓のロール群への堆積、焼付きがない）
ため、メニスカス部の鋳型内周壁と凝固シェル間へモー
ルド・パウダーが均一に流入し、その結果、鋳型と鋳片
との間の熱流束円周方向均一化が達成される。

【００２８】

【実施例】次に、本発明の装置の効果を確認するために
行った実験について説明する。

【００２９】１ヒート 180トンの包晶鋼を 1.5〜４m/mi
n の鋳造速度条件で、図１〜図４に示す連続鋳造鋳型と
鋳片支持装置を備えたビレット用連続鋳造装置により一
辺86mmの八角状（φ225mm 相当）のビレット鋳片を製造
した。

【００３０】使用した鋳型は、長さ 900mm、内壁面の一
辺の長さ86mmの正八角形断面で、さらに内壁面にはテー
パー 1.0％/mを付与したものである。鋳片支持装置は四
段とし、支持ロールは、図６の（イ）に示すような溝付
きロール（長さ 100mm、直径70mm、溝幅10mm、溝深さ１
mm、溝ピッチ10mm) を一段につき４本配設し、総計16本
取り付けた。押圧方向は、図４に示すようなビレット中
心軸方向とした。

【００３１】なお、鋳型の冷却水路の水力直径を約 9.5
mmとしたので、給排水タンクの水力直径を約76mmとし、
鋳造中冷却水路に流速６m/ｓで冷却水を供給して鋳造し
た。

【００３２】このときの包晶鋼の化学組成(Wt.％) は、
次のとおりである。

【００３３】Ｃ：0.08〜0.14、Si：0.1 〜0.35、Mn：1.05〜1.35 Ｐ：0.025 以下、Ｓ：0.025 以下図７は、鋳片蛇行に起因する操業トラブルの一指標とし
て、ブレーク・アウトの発生状況を従来装置（本発明の
鋳片支持装置を使用しないφ225mm の丸状鋳型方式）と
比較して示す図である。高速鋳造になるほど、本発明装
置と従来装置との差は顕著になり、本発明装置ではブレ
ーク・アウト発生率が従来装置の１/10以下に減少し
た。なお、ブレーク・アウト発生率（％）の定義は、
〔ブレーク・アウト回数／｛チャージ数×（ストランド
数／チャージ）｝〕×100 である。

【００３４】

【発明の効果】本発明の装置によれば、鋳型で多角形ビ
レット鋳片を鋳造し、この鋳片を下流側の複数のロール
群からなる複数段の鋳片支持装置により支持または押圧
することにより、鋳片の蛇行が防止され、その結果、不
均一凝固が発生しやすい包晶鋼であっても、1.5m/min以
上の高速で、かつ安定に鋳造することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の装置の一実施態様を示す縦断面の概略
図である。

【図２】図１のＡ−Ａ′部の水平断面の一例を示す図で
ある。鋳片が八角形の場合で、ロールが４本からなる一
つの鋳片支持装置およびスプレー配管とスプレーノズル
の位置関係を示す。

【図３】図１の鋳型Ｂ−Ｂ′部の水平断面の一例を示す
図である。

【図４】各段の鋳片支持装置のロールの押圧方向を変え
る例を示す図である。

【図５】各段の鋳片支持装置のロールの押圧方向を変え
る別の例を示す図である。

【図６】鋳片支持装置のロールの表面形状の例を示す図
である。

【図７】本発明装置と従来装置とのブレーク・アウト発
生率の差を示す図である。

【符号の説明】

１：鋳型、２：鋳片支持装置、３：鋳型銅板、４：冷却
水路、５：鋳型外筒６：仕切壁、７：ロール、８：ベアリング、９：支持フ
レーム 10：スプレー配管、11：スプレーノズル、12：軸受金
物、13：溝 14：ディンプル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】水平断面が六角形以上の多角形鋳型と、こ
の鋳型で鋳造される多角形ビレット鋳片表面の平らな面
を押圧するための複数のロール群よりなる鋳片支持装置
を有し、この鋳片支持装置は、鋳型の下側に複数段設置
されていることを特徴とするビレット用連続鋳造装置。
【請求項２】鋳片支持装置のロールが、表面に溝または
ディンプルを有することを特徴とする請求項１に記載の
ビレット用連続鋳造装置。