JPH0613378U - 直流回転電機のブラシ取付位置調整機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数個のブラシを有する直流回転電機におい
て、ブラシ関連部品やブラシハウジングの取付けねじ穴
の加工精度を極度に厳密に管理しなくても、各々のブラ
シ間隔を調整して各ブラシの中性点位置を最適にするこ
とにより良好な整流を得てブラシ早期摩耗を解消し、ノ
イズ発生も低減する取付け構造とする。 【構成】 ブラシハウジング１９に同心な円の円周上に
円弧状の溝穴１９ａを設け、この溝穴に係合し円周方向
に移動できる絶縁材料製のスライドスペ−サ１１を介し
て、ブラシ保持器１２をブラシハウジング１９に取付
け、ブラシ位置を各々独立に調整可能にした構造であ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は一般に直流回転電機に関し、特に直流回転電機のブラシ取付位置調 整機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３は、従来の複数個の整流用ブラシを有する直流回転電機のブラシ取付部の 半体正面図を、図３のＡ−Ａ断面側面図を図４に、図３の半体背面図を図５に、 更に図３の直流回転電機の構成部品の分解斜視図を図６に示す。 図４〜６から理解されるように、ブラシ１を保持する絶縁性のブラシ保持器２ は絶縁スリ−ブ３、絶縁ワッシャ４、ワッシャ５、スプリングワッシャ６、ナッ ト７を介して２本のねじ８，８によりブラシハウジング９のねじ穴９ａにねじ込 み固定されて、ブラシ１は整流子（電機子）１０に接触している。 複数個（この例では９０°間隔に４個）のブラシの位置調整は、ブラシハウジ ング９を時計方向又は反時計方向に回転させて行っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

直流回転電機で常に問題になるのは整流火花であり、これに伴いブラシの早期 摩耗とノイズが発生する。これらの問題の解決は、どのようにしてブラシを中性 点位置に調整するかということであるが、ブラシ位置はブラシ保持器２の取付ね じ８やブラシハウジング９のねじ穴位置等の加工精度で決まり、加工精度を極め て良好に保たぬ限り、ブラシ位置調整をブラシハウジング９を回転機ハウジング ９’に対し回転させるだけで行い、複数個のブラシ１相互間の間隔（この例では ９０°）を調整するのは極めて困難である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案では、ブラシハウジングに、回転軸と同心の円周上に複数個の弧状の長 溝穴を設け、この溝穴に挿入され溝穴に沿って角度方向に移動できる絶縁材料製 スライドスペ−サを介して、ブラシ保持器をブラシハウジングに取り付ける構造 として複数個のブラシ位置を各々独立に調整可能にして上記の課題を解決した。

【０００５】

【作用】

直流回転電機のブラシとブラシ保持器、スライドスペ−サなどの取付部分を先 づ仮組立てして、スライドスペ−サをブラシハウジングの複数個の弧状の長溝穴 内に挿入して、ブラシとブラシ保持器をブラシハウジング内に収容し、ブラシハ ウジングを時計方向又は反時計方向に回転して概略の中性点を設定し、次に各ブ ラシ保持器の取付ねじを緩めて、それぞれのスライドスペ−サをブラシハウジン グの円弧状の溝穴に沿って円周方向に移動し、ブラシを最終的な中性点位置に調 整して取付ねじを締め付け固定する。

【０００６】

【実施例】

図１は、本考案による直流回転電機のブラシ取付位置調整機構を示す部分断面 側面図で、図１の部品展開斜視図を図２に示すが、従来技術として図４〜６に示 した部品と同じ部品には同じ符号を付し、異なる点のみにつき説明する。 ブラシハウジング１９の軸心に直角な図で左方の端板１９ｂには、図２に示さ れるようにの複数個（この例では４個）の円弧状の溝穴１９ａが、ブラシハウジ ング１９と同心の円周上に設けられる。ブラシ１を保持するブラシ保持器１２と ブラシハウジング１９との間に配置される絶縁性のスライドスペ−サ１１は、ブ ラシハウジング１９の端板１９ｂの内表面に垂直な基部１１ｃと、この基部１１ ｃに対し垂直に設けられ、ブラシハウジング１９の溝穴１９ａに沿って円周方向 に移動できる寸法にされた円弧状の突起部１１ａを有し、突起部１１ａの両端部 近くには、取付ねじ１８が挿通されるねじ穴１１ｂが明けられている。

【０００７】 次に、本考案によるブラシ取付位置調整機構を使用する調整方法を説明する。 各部品を図１に示すように仮組立して、ブラシハウジング１９を時計方向又は 反時計方向に回転して概略の中性点を設定し、ブラシハウジング１９を回転電機 のハウジング（図示せず）に固定し、次に取付ねじ１８を緩めてスライドスペ− サ１１の突起部１１ａを溝穴１９ａに沿って円周方向に滑らせ、スライドスペ− サ１１と共にブラシ保持器１２を円周方向に移動させて真の中性点位置を最終的 に決定した後、取付ねじ１８を締付け固定する。

【０００８】

【考案の効果】

上記のように、それぞれのブラシの中性点位置を独立して最適に設定すること ができるので、取付ねじ穴の位置などの加工精度を極めて高度に維持しなくても 整流が良好に行われて火花を殆んど発生せず、ブラシの早期摩耗並びにノイズ発 生を大巾に防止することができ、さらに製造コストをも低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の直流回転電機のブラシ取付位置調整機
構の一実施例を示す部分断面図である。

【図２】図１の部品分解斜視図である。

【図３】従来の直流回転電機のブラシ取付部の半体正面
図である。

【図４】図３のＡ−Ａ断面図である。

【図５】図３の半体背面図である。

【図６】従来の直流回転電機の部品分解斜視図である。

【符号の説明】

１ ブラシ １１ スライドスペ−サ １１ａ スライドスペ−サの突起部 １１ｃ スライドスペ−サの基部 １２ ブラシ保持器 １９ ブラシハウジング １９ｂ ブラシハウジングの端板 １９ａ 円弧状溝穴

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数個の整流用ブラシのそれぞれが、絶
   縁材料製のそれぞれのブラシ保持器に装着されブラシハ
   ウジング内に収容されて取付位置が調整された状態で、
   前記直流回転電機のハウジングに装着される直流回転電
   機のブラシ取付位置調整機構において、 前記取付位置調整機構は、前記ブラシハウジングの端板
   に回転軸と同心の円周上に明けられた円弧状の複数個の
   溝穴と、 前記ブラシ保持器と前記ブラシハウジングの端板との間
   に介在され、前記端板に明けられた複数個の溝穴のそれ
   ぞれに挿入され、ブラシの中性点を調整するために前記
   溝穴に沿って円周方向に移動可能にされた絶縁材料製の
   複数個のスライドスペ−サと、を有し、 前記ブラシ保持器に取付けられた複数個の整流用ブラシ
   のそれぞれが、前記スライドスペ−サを介してブラシハ
   ウジング内に収容され前記溝穴に沿って円周方向に移動
   され中性点が独立して位置決め調整された後、前記ブラ
   シハウジングに取付け固定されることを特徴とする直流
   回転電機のブラシ取付位置調整機構。
2. 【請求項２】 前記のスライドスペ−サは、前記ブラシ
   ハウジングの端板の内面に垂直な基部と、この基部から
   垂直に立ち上がり前記ブラシハウジングの複数個の溝穴
   のそれぞれに挿入され円周方向に移動可能にされた円弧
   状の突起部とから成ることを特徴とする請求項１記載の
   直流回転電機のブラシ取付位置調整機構。