JPH06130066A - Tatの安定化方法およびtat測定キット用標準物質 - Google Patents

Tatの安定化方法およびtat測定キット用標準物質

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JPH06130066A
JPH06130066A JP6930692A JP6930692A JPH06130066A JP H06130066 A JPH06130066 A JP H06130066A JP 6930692 A JP6930692 A JP 6930692A JP 6930692 A JP6930692 A JP 6930692A JP H06130066 A JPH06130066 A JP H06130066A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 採血から測定までの間におけるTAT(トロ
ンビン−アンチトロンビンIII 複合体)の分解、生成を
抑制し、ヒト体内におけるTAT量を正確に測定できる
ようにすること 【構成】 TAT含有血漿にアルガトロバンを少なくと
も0.005mM添加して血漿中のTATを安定化す
る。アルガトロバンを含有するTAT測定キット用標準
物質およびそれを用いるTATの測定法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はTAT含有血漿、TAT
の安定化方法およびTATの測定キット用標準物質に関
し、さらに詳細にはアルガトロバンを含有するTAT含
有血漿、アルガトロバンによるTATの安定化方法、T
ATの測定キットおよび該キット用標準物質に関する。
【0002】
【従来の技術】血液凝固系の主要な酵素であるトロンビ
ンはその生理的インヒビターであるアンチトロンビンII
I (AT−III)によりその活性が阻害される。このと
き、トロンビンとAT−III は複合体(以下「TAT」
という)を形成することが知られており、このTATは
各種血栓症、DICなど種々の凝固系の亢進状態を診断
する指標として、その測定に臨床的有用性が認められつ
つある。
【0003】しかしながら、TATを測定するための採
血がスムースに行われなかったり、採血の際に組織損傷
などにより組織因子を吸引するとその凝固促進作用によ
り凝固を引起し、TATが急激に増加し、測定に際し、
検体中の正確なTAT量を知ることができない。また、
採血後、血漿を分離して保存すると、測定までの間にT
ATが分解しやすく、正確な定量を行うことが困難であ
る。
【0004】そこで、EDTAナトリウム塩、クエン酸
ナトリウム塩などの抗凝固剤を血漿中に添加することが
行われているが、この方法によってもTATの安定化は
困難であり、その正確な測定値を得ることは難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、TAT測定
に際し、採血後から測定までの間におけるTATの安定
化をはかり、その分解、生成を抑制して、ヒト体内にお
ける正確なTATの量を測定する方法および該測定用キ
ットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルガトロバ
ンを含有するTAT含有血漿であり、またTAT含有血
漿にアルガトロバンを添加することを特徴とするTAT
の安定化方法である。
【0007】本発明で用いるアルガトロバンは、(2
R,4R)−メチル−1−〔N2 −((RS)−3−メ
チル−1,2,3,4−テトラハイドロ−8−キノリン
スルフォニル)−L−アルギニル〕−2−ピペリジンカ
ルボン酸水和物であり、下記式化1で表される化合物で
ある。
【0008】
【化1】
【0009】アルガトロバンとしては、ノバスタン〔登
録商標、東京田辺製薬(株)〕、スロンノン〔登録商
標、第一製薬(株)〕などを用いることができる。
【0010】本発明においては、クエン酸ナトリウムな
どの抗凝固剤を含む採血管にあらかじめアルガトロバン
を添加しておき、この採血管に血液を採取する方法、ま
たは採血後、血液を分離し、これにアルガトロバンを添
加する方法により、TAT測定までの間に血漿中のTA
Tが分解しまたは新たに生成することを防止して体内に
おける正確なTAT量を知ることができる。
【0011】アルガトロバンの添加量は、最終濃度とし
て、少なくとも0.005mMとすることが好ましく、
さらに好ましくは0.01mM以上である。アルガトロ
バンの添加量が0.005mM未満ではTATの安定化
が充分ではない。添加量の上限は、常識的、経済的観点
から決められ、最終濃度として1mM程度である。
【0012】血液または血漿に対してアルガトロバンを
添加するとき、アルガトロバンは所望の最終濃度の10
〜50倍濃度として、血液または血漿量の1/10〜1
/50量を添加することができる。
【0013】また、本発明のTAT含有血漿には、公知
のベンズアミジン、アプロチニン、フェニルメチルスル
ホニルフルオリド、EDTA、N−エチルマレイミドな
どの蛋白分解酵素阻害剤を添加してもよい。また、抗凝
固剤として、クエン酸ナトリウム、EDTA、ヘパリ
ン、メシル酸ガベキサート(FOY)などを添加しても
よい。これらは、単独もしくは2種類以上をアルガトロ
バンと併用して用いることができる。なかでもFOYを
併用することは、凝固系活性化で最終的に生成されるト
ロンビンを阻害するばかりでなくF−Xaを阻害できる
ので優れている。
【0014】本発明のTAT含有血漿は、例えば、3.
8重量%のクエン酸ナトリウム液0.5mlと1mMア
ルガトロバン溶液0.05mlを加えた採血用チューブ
に血液4.5mlを加え、よく混和した後、遠心分離
(2000G×10分)して得ることができる。また、
3.8重量%のクエン酸ナトリウム0.5mlを加えた
採血用チューブに血液4.5mlを採取し、混和した
後、遠心分離して得られた血漿に、1mMアルガトロバ
ン溶液0.05mlを加える方法によることもできる。
【0015】本発明はまた、検体試料中に含まれるTA
Tを測定するためのTAT測定用キットを構成する標準
物質であって、アルガトロバンを含有することを特徴と
する標準物質を提供するものである。本発明の標準物質
中のアルガトロバン濃度は最終濃度で少なくとも0.0
05mMとすることが好ましい。
【0016】本発明の標準物質は、アルガトロバンを含
むほか、必要に応じて、ベンズアミジン、アプロチニ
ン、フェニルメチルスルホニルフルオリド、EDTA、
N−エチルマレイミドなどの蛋白分解酵素阻害剤;ウシ
血清アルブミン、チキン血清などの蛋白質、シュクロー
スなどの糖類、アジ化ナトリウムなどの防腐剤などを含
むことができる。
【0017】この標準物質は、例えば、トロンビンとA
T−III を反応させて合成したTATを用いて作成する
ことができる。例えば、トロンビンとAT−III を反応
させた後、ヘパリン化ゲルを用いたゲル濾過(HPL
C)で分離、精製した合成TATの所定量を、アルガト
ロバンおよびウシ血清アルブミンなどの添加物を含む緩
衝液あるいはヒトまたは動物血清のなかに添加して作成
することができる。
【0018】また、他の方法として、血漿にトロンビン
やエラジン酸、組織トロンボプラスチンなどの凝固系活
性化剤を添加して、血漿中のAT−III とトロンビンの
間でTATを生ぜしめ、アルガトロバンなどのトロンビ
ン阻害剤で停止させる。次いで、得られたTAT含有血
漿を所定濃度となるように、TAT欠損血漿あるいは低
濃度TAT含有血漿で希釈するか、または緩衝液で希釈
して作成することができる。以上、TAT測定用キット
を構成する標準物質について述べたが、これは標準物質
のみならず、コントロール血漿にも同様に適用できる。
【0019】これら標準物質としては、前記のようにし
て作成された溶液をそのまま、または凍結乾燥して使用
することができる。凍結乾燥した場合には、使用時に精
製水などを添加して粉末状の標準物質を溶解して使用す
る。
【0020】本発明は、さらに前記の標準物質を用い
て、検体試料中に含まれるTATを測定する方法であ
る。すなわち、ヒト・トロンビンに対する抗体またはそ
れと同等のフラグメント(第1抗体)を適当な不溶性担
体(例えばプラスチック容器)に固定化する(以下これ
を「固相抗体」という)。次いで、不溶性担体と測定に
使用される試薬または検体試料との非特異的結合を避け
るために適当な物質(例えばウシ血清アルブミン)で不
溶性担体の表面を被覆する。このようにして得られた固
相担体をヒト検体試料と一定時間および温度で接触させ
反応させる。この間に固相抗体とヒト検体試料中のヒト
・トロンビン・AT−III (TAT)が結合する。
【0021】次いで、適当な洗浄液で洗った後、適当な
標準物質(例えば酵素)で標識したヒト・AT−III に
対する抗体またはそれと同等のフラグメント(第2抗
体)、すなわち標識抗体を含有する溶液(例えば水溶
液)を、固相抗体に結合したTATと一定時間および温
度で接触させ反応させる。標識抗体が、固相抗体によっ
て固定されたTATと反応した後、これを適当な洗浄液
で洗い、次いで不溶性担体上に存在する第2抗体に標識
された標準物質の量を測定する。
【0022】かかる免疫反応の際に、チキン血清などの
鳥類の血清を3〜50(v)%、あるいは必要に応じて
ウシ血清アルブミンやスキムミルクなどの蛋白質類や界
面活性剤などを共存させて反応させると非特異的反応を
低下させることができ好ましい。かくしてその値からヒ
ト検体試料中のTATの量を算出することができる。
【0023】本発明は、さらに前記の標準物質を含むT
AT測定用キットである。かかるTAT測定用キット
は、例えば、前記標準物質、固相抗体、標識抗
体、溶解剤、洗浄剤、さらに標識物質として酵素を
用いる場合には、基質液、発色剤、反応停止剤な
ど通常の測定に用いられる試薬から構成される。
【0024】かかるTAT測定用キットを構成する前記
標準物質以外の試薬は、例えば次のようにして作成する
ことができる。
【0025】固相抗体は、ヒト・トロンビンに対する抗
体またはそのフラグメント〔F(ab′)2 、Fabな
ど〕を公知の水不溶性担体に物理的吸着法あるいは化学
的結合法により固定することによって作成することがで
きる。
【0026】不溶性担体としては、例えばポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポ
リアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、
ポリサッカライドなどの高分子、その他、紙、ガラス、
金属、アガロース、磁性体およびこれらの組合せなどを
例示することができる。また、不溶性担体の形状として
は、例えばトレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器
状、セル、試験管などの種々の形状であることができ
る。
【0027】標識抗体は、ヒト・AT−III に対する抗
体またはそのフラグメントに酵素、蛍光物質、発光物
質、放射性物質などの標識物質を公知の方法、例えば、
マレイミド法などによって標識化することにより作成す
ることができる。
【0028】酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカ
リフォスファターゼ、βーD−ガラクトシダーゼ、蛍光
物質としてフルオレッセインイソチオシアネート、フィ
コビリプロテインなど、発光物質としてはイソルシノー
ル、ルシゲニン、アクリジニウム・エステルなど、そし
て、放射性物質としては 125I、 131I、14C、 3Hな
どを用いることができるが、これらは例示したものに限
らず、免疫学的測定法に使用しうるものであれば、他の
ものでも使用できる。
【0029】標識物質が酵素である場合には、その活性
を測定するために、基質、必要により発色剤が用いられ
る。酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合には、基
質としてH2 2 を用い、発色剤として2,2′−アジ
ノジ−〔3−エチルベンズチアゾリンスルホン酸〕アン
モニウム塩(ABTS)、5−アミノサリチル酸、o−
フェニレンジアミン、4−アミノアンチピリン、3,
3′,5,5′−テトラメチルベンジジンなど、酵素に
アルカリフォスファターゼを用いる場合は、基質として
o−ニトロフェニルフォスフェート、3−(2′−スピ
ロアダマンタン)−4−めと−4−(3″−ホスフォリ
ロキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン二ナトリウム
塩(AMPPD)など、酵素にβ−D−ガラクトシダー
ゼを用いる場合は、基質としてフルオレセイン−ジ−
(β−D−ガラクトピラノシド)、4−メチルウンベリ
フェリル−β−D−ガラクトピラノシドなどを用いるこ
とができる。
【0030】溶解剤は、凍結乾燥した試薬の溶解あるい
は検体を希釈するためのものであり、免疫学的測定に通
常使用されるものであればよく、例えばリン酸緩衝液、
トリス塩酸緩衝液、酢酸緩衝液などを含んだpHが6.
0〜8.0の範囲のものが好適な例として示される。
【0031】洗浄剤としては、同様に免疫学的測定に一
般的に用いられているものがそのまま使用される。その
例としては、生理食塩水、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩
衝液およびこれらの混合液が挙げられる。これら洗浄剤
には、さらにトリトン×100、Tween20または
Brig35の如き非イオン系界面活性剤、ドデシル硫
酸ナトリウムの如きイオン系界面活性剤を加えてもよ
い。
【0032】本発明のTAT測定用キットを用いると、
血漿中のTATを安定化することができ、その分解、生
成を抑制することができるので、体内におけるTATの
量を正確に測定することができ、血栓症などの病態の診
断に役立てることができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中、同定法、定量法は次のよ
うにして行った。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PA
GE) 2〜40重量%のグラジエントスラブゲル〔第一化学薬
品(株)〕を用いて、Laemmliらの方法に従って
行った。銀染色はOakleyらの方法に従い、分子量
マーカーとしては電気泳動用キャブレーションキット
(ファルマシア社製)を用いた。
【0034】TATの定量 サンドイッチEIA法〔TATテスト用キット「テイジ
ン」、帝人(株)製〕を用いて測定した。
【0035】また、実施例中、材料としては下記のもの
を用いた。アルガトロバン ノバスタン(東京田辺製薬)注射剤1mM溶液を生理食
塩水にて、希釈調整して用いた。トロンビン ヒトトロンビン(シグマ社製)1,000NIHユニッ
トをトリス塩酸緩衝液にて250NIHユニット/ml
に調整して用いた。AT−III 乾燥濃縮ヒトAT−III (ヘキスト社製)500単位を
トリス塩酸緩衝液(pH7.4、μ=0.15)にて1
ユニット/mlに調整して用いた。ヘパリン 注射用ヘパリンナトリウム(ノボ社製)1,000ユニ
ットを生理食塩水にて調整して用いた。
【0036】 実施例1(アルガトロバンのTAT生成抑制効果) 新鮮血漿900μlに予め、50μlのアルガトロバン
(最終濃度0.01mM)を添加し(最終濃度0.01
M)、これに200μlの凝固系活性化剤〔エラジン酸
1×10-6M、セファリン0.025MCaCl2 の混
合物〕を混合したのち、37℃で60分間インキュベー
トし、TATの定量を行った。結果を図1に示す。
【0037】比較例1 アルガトロバンに変えて生理食塩水を用いるほかは実施
例1と同様にしてTATの定量を行った。結果を図1に
併せて示す。
【0038】図1にみるとおり、アルガトロバンを添加
した実施例1の場合、インキュベーション60分までT
AT量は3.0〜7.0ng/mlと大きな変化はみら
れなかった。一方アルガトロバンを添加しない比較例1
の場合はインキュベーション開始後からTATの量が上
昇しており、アルガトロバンがTATの上昇を抑制する
ことがわかる。
【0039】実施例2(純化系におけるアルガトロバン
のTAT分解抑制効果) 900μlのAT−III (1.0ユニット/ml)と9
00μlのトロンビン(250NIHユニット/ml)
を混合し、37℃で1時間インキュベートしたのち、2
00μlのアルガトロバン(1.0mM)を添加し、3
7℃で72時間さらにインキュベートを続け、経時的に
サンプリングを行い、0.2Mのジイソプロピルフルオ
ロフォスフェート(DFP)で反応を停止させ、TAT
を定量した。結果を図2に示す。またTATの定量と同
時にSDS−PAGEにて分析した。結果を図3(B)
に示す。
【0040】比較例2 アルガトロバンに変えて生理食塩水を用いるほかは実施
例2と同様にしてTATの定量を行い、SDS−PAG
Eによる分析を行った。結果を図2および図3(A)に
併せて示す。なお、トロンビン、AT−III をそれぞれ
単独でインキュベートしたところ72時間までそれぞれ
の分子量に変化は認められなかった。
【0041】図2にみるとおり、アルガトロバンを含ま
ない比較例2においては、インキュベーション6時間後
より順次TAT量が低下(67〜22.8ng/ml)
しているのに対し、アルガトロバンを含む実施例2にお
いては、24時間経過後まで変化は認められず、TAT
の分解が抑制され、比較例2に比べ4倍も長くその効果
が維持されることがわかる。
【0042】また、SDS−PAGEの結果のとおり、
比較例2〔図3(A)〕においてはインキュベーション
時間とともに分子量78,000〜93,000の複数
の複合体が認められ、インキュベーション初期に形成さ
れる複合体に比しインキュベーション後期に形成される
複合体はその分子量が小さい。これに対し、実施例2
〔図3(B)〕においては、インキュベーション後期ま
で分子量90,000の単一の複合体(TATと推定さ
れる)しか認められない。
【0043】比較例3(従来の抗凝固剤) 健常人5名より、3種類の抗凝固剤(3.13重量%ク
エン酸ナトリウム、EDTA−2Na、NaF)を用い
て、2シリンジ法にて血液を採取し、これから得られた
血漿を37℃で96時間インキュベートし、血漿中のT
AT量を経時的に測定した。結果を図4に示す。
【0044】図4にみるとおり、いずれの凝固剤を用い
た血漿においても、インキュベーション24〜48時間
で採取直後のTAT値よりも約45%の低値を示してお
り、その後は上昇に転じ、変動が大きく、体内における
TATの定量に用いるには好ましくないことがわかる。
【0045】実施例3(純化系におけるアルガトロバン
のTAT生成抑制作用) 245μlのAT−III (1.0ユニット/ml)と1
0μlのアルガトロバン(最終濃度0.1mM)を混合
して37℃で5分間インキュベートしたのち、245μ
lのトロンビン(250NIHユニット/ml)を添加
して、37℃で60分間インキュベートした。この間経
時的にサンプリングして0.2MのDFPを添加して反
応を停止させ、SDS−PAGEにより分析した。結果
を図5(A)に示す。
【0046】比較例4 アルガトロバンにかえて、生理食塩水を用いるほかは実
施例3と同様にして複合体の生成を調べた。結果を図5
(B)に示す。
【0047】図5にみるとおり、アルガトロバンを存在
させた実施例3においては、インキュベーション60分
間において複合体(TAT)の形成は認められない。一
方、アルガトロバンを存在させない比較例4において
は、インキュベーション30秒後から複合体(TAT)
の形成が認められ、純化系におけるアルガトロバンのT
AT生成抑制作用が理解される。
【0048】実施例4(アルガトロバンの添加量) 新鮮なヒト血漿360μlとエラジン酸80μlを混合
したものに、種々の濃度のアルガトロバン20μlを添
加して、37℃で60分間インキュベートしたのち、1
0μlの0.2MDFPを添加して反応を停止させ、血
漿中のTATを定量した。結果を図6に示す。
【0049】図6から明らかなように、アルガトロバン
の添加量が最終濃度で0.004mMを超える場合TA
T量の増加は僅かであるが、0.004mMの添加では
TATの増加が大であることがわかる。
【0050】実施例5(標準物質の作成) 健常人の血漿27mlに13NIHユニット/mlのヒ
トトロンビン溶液0.6mlを加えて37℃で1時間反
応させ、TATを生成させた。次いで、アルガトロバン
の最終濃度が0.01mMおよび0.1mMとなるよう
に調整した溶液3.0mlを各々添加した。血漿中のT
AT濃度を前記健常人血漿で希釈して約30ng/ml
に調整し、標準物質を作成した。この標準物質を4℃で
30日間保存し、血漿中のTAT濃度の変化をみた。結
果を表1に示す。
【0051】比較例5 アルガトロバンのかわりにPPACK(D−フェニルア
ラニル−L−プロリル−L−アルギニンクロロメチルケ
トン)を最終濃度0.1mMとなるように調整した溶液
3.0mlを添加して実施例5と同様にTAT濃度の変
化をみた。結果を表1に併せて示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1から明らかなように、アルガトロバン
を添加した標準物質が安定であることがわかる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、採血後から測定までの
間における血漿中のTATの安定化をはかることがで
き、ヒト体内における正確なTATの量を測定すること
ができ、各種血栓症、DICなど種々の凝固系の亢進状
態を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルガトロバンの血漿中におけるTAT生成抑
制作用を示すグラフである。
【図2】アルガトロバンのTAT分解抑制作用を示すグ
ラフである。
【図3】アルガトロバンのTAT分解抑制作用を示すS
DS−PAGEの結果である。Aは比較例2、Bは実施
例2の結果である。
【図4】従来の抗凝固剤を添加した血漿中のTAT量の
変動を示すグラフである。
【図5】アルガトロバンのTAT生成抑制作用を示すS
DS−PAGEの結果である。Aは実施例3、Bは比較
例4の結果である。
【図6】アルガトロバンの添加量を示すグラフである。
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】アルガトロバンの血漿中におけるTAT生成抑
制作用を示すグラフである。
【図2】アルガトロバンのTAT分解抑制作用を示すグ
ラフである。
【図3】アルガトロバンのTAT分解抑制作用を示すS
DS−PAGEの結果である電気泳動の写真である。A
は比較例2、Bは実施例2の結果である。
【図4】従来の抗凝固剤を添加した血漿中のTAT量の
変動を示すグラフである。
【図5】アルガトロバンのTAT生成抑制作用を示すS
DS−PAGEの結果である電気泳動の写真である。A
は実施例3、Bは比較例4の結果である。
【図6】アルガトロバンの添加量を示すグラフである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルガトロバンを含有するTAT含有血
    漿。
  2. 【請求項2】 TAT含有血漿にアルガトロバンを添加
    することを特徴とするTATの安定化方法。
  3. 【請求項3】 アルガトロバンの添加量が最終濃度で少
    なくとも0.005mMである請求項2記載のTATの
    安定化方法。
  4. 【請求項4】 検体試料中に含まれるTATを測定する
    ためのTAT測定用キットを構成する標準物質であっ
    て、アルガトロバンを含有することを特徴とする標準物
    質。
  5. 【請求項5】 溶液のまま、または凍結乾燥されている
    請求項4記載の標準物質。
  6. 【請求項6】 検体試料中に含まれるTATを測定する
    方法において、請求項4または5記載の標準物質を用い
    ることを特徴とする測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項4または5記載の標準物質を含む
    ことを特徴とするTATを測定するための測定キット。
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