JPH06128319A - オレフィン性不飽和重合体の水素化方法および水素添加触媒 - Google Patents

オレフィン性不飽和重合体の水素化方法および水素添加触媒

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JPH06128319A
JPH06128319A JP1017393A JP1017393A JPH06128319A JP H06128319 A JPH06128319 A JP H06128319A JP 1017393 A JP1017393 A JP 1017393A JP 1017393 A JP1017393 A JP 1017393A JP H06128319 A JPH06128319 A JP H06128319A
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悦治 橋口
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陽史 石田
Yasuhiko Takemura
泰彦 竹村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)ビス(シクロペンタジエニル)遷移金
属化合物、(b)アルデヒド化合物 および(c)有機
リチウム化合物からなる水素添加触媒の存在下、オレフ
ィン性不飽和重合体を水素と接触せしめて該オレフィン
性不飽和重合体のオレフィン性不飽和結合を選択的に水
素化せしめることを特徴とすることを特徴とするオレフ
ィン性不飽和重合体の水素化方法および水素添加触媒。 【効果】 本発明により得られる水添ポリマーは、耐候
性、耐熱性、耐酸化性の優れた熱可塑性エラストマーあ
るいは熱可塑性樹脂として使用され、また紫外線吸収
剤、オイル、プライマーなどの添加剤を加えたり、他の
エラストマー、樹脂とブレンドして使用され工業上有用
である。また、本発明に使用されるオレフィン性不飽和
結合含有ポリマーを温和な条件で選択的に極めて高速度
に高転化率で水添することを可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオレフィン性不飽和重合
体の水素化方法および水素添加触媒に関する。さらに詳
しくは、オレフィン性不飽和重合体に耐候性、耐熱性、
耐酸化性などの特性を付与させるための水素添加方法お
よび高い水添活性を有する水素添加触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】共役ジエンポリマーに代表されるオレフ
ィン性不飽和結合含有ポリマーは、一般にエラストマー
などとして広く工業的に利用されている。しかしなが
ら、これらのポリマー中のオレフィン性不飽和結合は、
加硫などに有利に利用されている反面、耐候性や耐熱性
などを損なう原因となっており、ポリマーの用途が限定
されるという欠点にも繁がっている。
【0003】これらの耐候性、耐熱性などに劣る点は、
ポリマーを水素添加してポリマー鎖中のオレフィン性不
飽和結合をなくすことによって著しく改善される。この
目的で、オレフィン性不飽和結合含有ポリマーを水添す
る方法としては、ニッケル、白金、パラジウムなどの
金属を、カーボン、シリカ、アルミナなどの担体に担持
させた担持型不均一触媒を用いる方法と、ニッケル、
コバルト、チタンなどの有機金属化合物などと有機アル
ミニウム、有機マグネシウム、有機リチウムなどの還元
性化合物とを、溶媒中で反応して得られる均一触媒を用
いる方法とが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
担持型不均一触媒は、均一触媒と較べると一般に活性
が低く、水素添加(以下、水添ということがある)反応
を行うためには高温、高圧の厳しい条件を必要とする。
また、被水添物が触媒と接触することによって水素添加
反応が進行するので、ポリマーを水添する場合には低分
子化合物の水添に較べて、反応系の粘度やポリマー類の
立体障害などの影響を受けて触媒と接触し難くなる。従
って、ポリマーを効率良く水添するためには、多量の触
媒を要し不経済となるとともに、より高温、高圧での水
素添加反応が必要となるので、ポリマーの分解やゲル化
が起こり易くなるとともに、エネルギーコストも高くな
る。また、共役ジエンとビニル置換炭化水素とのコポリ
マーの水添においては、通常、芳香核部分も水添され、
共役ジエン単位の不飽和二重結合のみを選択的に水添し
難くなるなどの欠点がある。
【0005】一方、後者の均一触媒は、通常、均一系
で水素添加反応が進行するので、担持型不均一触媒と較
べると一般に活性が高く、触媒使用量は少なくて済み、
より低温、低圧で水素添加反応できる特徴がある。
【0006】また、水添条件を選択すれば、共役ジエン
とビニル置換芳香族炭化水素とのコポリマーの共役ジエ
ン単位の不飽和二重結合を優先的に水添することも可能
である。しかしながら、均一系触媒は、触媒の還元状態
により水添活性が大きく変化するため再現性が悪く、一
定の高水添ポリマーが得られ難いという問題がある。ま
た、触媒成分が不純物により不活性物質に変化し易いた
め、反応系中の不純物により水添活性が低下してしま
い、これも均一系触媒による水添が再現性を得にくい原
因ともなっている。再現性よく、高水添ポリマーが得ら
れないことは、ポリマーの耐候性や耐熱性の向上を目的
に均一触媒による水素添加反応を産業上利用するうえで
大きな障害になっている。
【0007】また、従来の均一系触媒によるポリマーの
水添において、水素添加反応の速度は充分速いとはいえ
ない。しかも、触媒の還元状態や系中の不純物により水
添活性が低下し、さらに反応速度が低下するため、均一
系触媒を用いて工業的にポリマーの水添をするには問題
があった。
【0008】そこで、反応系中の不純物の影響を与え難
く、しかも触媒の調製条件によらず安定して高速度で高
水添率ポリマーが得られる高活性水添触媒の開発が強く
望まれているのが現状である。
【0009】本発明で用いるビス(シクロペンタジエニ
ル)遷移金属化合物を触媒成分の一成分として用いる水
素添加反応は、既に知られている[例えば、M. F. Sloa
nら、J. Am. Chem. Soc., 85, 4014-4018 (1965); Y. T
ajimaら、J. Org. Chem., 33,1689-1690 (1968)、特開
昭59−133203号公報、特開昭61−28507
号公報など]。しかしながら、これらの公知の方法を用
いても前述の問題を解決できない。また、これらの刊行
物には、問題を解決するための方法を示唆する技術も全
く開示されていない。
【0010】本発明は、前記従来の技術的課題を背景に
なされたもので、温和な条件下にポリマー鎖中のオレフ
ィン性不飽和結合を高速度で選択的に水素添加し、しか
も系中の不純物の影響を受け難く、極めて高い活性を有
し、一定の高水添重合体が得られる水素添加方法および
水素添加触媒を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、第1に、(a)下記式(1)
【0012】
【化2】
【0013】(ここで、M1はチタニウム、ジルコニウ
ムおよびハフニウムよりなる群から選ばれる遷移金属原
子であり、そしてR1およびR2は、同一もしくは異な
り、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキ
シ基、アリロキシ基、アシルオキシル基、カルボニル配
位子、β-ジケトン配位子またはハロゲン原子である)
【0014】で表わされるビス(シクロペンタジエニ
ル)遷移金属化合物、(b)アルデヒド化合物 および
(c)有機リチウム化合物からなる水素添加触媒の存在
下、オレフィン性不飽和重合体を水素と接触せしめて該
オレフィン性不飽和重合体のオレフィン性不飽和結合を
選択的に水素化せしめることを特徴とするオレフィン性
不飽和重合体の水素化方法によって達成される。
【0015】本発明で用いられる(a)成分であるビス
(シクロペンタジエニル)遷移金属化合物の具体例とし
ては、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジエチ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−n−
ブチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−
sec−ブチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニ
ウムジヘキシル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニ
ウムジオクチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニ
ウムジメトキシド、ビス(シクロペンタジエニル)チタ
ニウムジエトキシド、ビス(シクロペンタジエニル)チ
タニウムジブトキシド、ビス(シクロペンタジエニル)
チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)
チタニウムジ−m−トリル、ビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジ−p−トリル、ビス(シクロペンタジ
エニル)チタニウムジ−2,4−キシリル、ビス(シク
ロペンタジエニル)チタニウムジ−4−エチルフェニ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−4−
ブチルフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニ
ウムジ−4−ヘキシルフェニル、ビス(シクロペンタジ
エニル)チタニウムジフェノキシド、ビス(シクロペン
タジエニル)チタニウムジフルオリド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)チタニウムジブロミド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)チタニウムジヨージド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)チタニウムジカルボニル、ビス(シクロ
ペンタジエニル)メチルチタニウムクロリド、ビス(シ
クロペンタジエニル)メトキシチタニウムクロリド、ビ
ス(シクロペンタジエニル)エトキシチタニウムクロリ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)イソプロポキシチタ
ニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)フェノ
キシチタニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジアセタート、ビス(シクロペンタジエ
ニル)チタニウムジアセチルアセトナート、
【0016】ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジエチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジ−n−ブチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジル
コニウムジ−sec−ブチル、ビス(シクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジヘキシル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジオクチル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジメトキシド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジエトキシド、ビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジブトキシド、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ−m−トリ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ−p
−トリル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジ−2,4−キシリル、ビス(シクロペンタジエニル)
ジルコニウムジ−4−エチルフェニル、ビス(シクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジフェノキシド、ビス(シ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオリド、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジヨージ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジカル
ボニル、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニ
ウムクロリド、
【0017】ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム
ジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジ
エチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジ−
n−ブチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム
ジ−sec−ブチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハ
フニウムジヘキシル、ビス(シクロペンタジエニル)ハ
フニウムジメトキシド、ビス(シクロペンタジエニル)
ハフニウムジエトキシド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)ハフニウムジブトキシド、ビス(シクロペンタジエ
ニル)ハフニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエ
ニル)ハフニウムジ−m−トリル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ハフニウムジ−p−トリル、ビス(シクロペ
ンタジエニル)ハフニウム−2,4−キシリル、ビス
(シクロペンタジエニル)ハフニウムジフェノキシド、
ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオリ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジブロミ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジヨージ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジカルボ
ニル、ビス(シクロペンタジエニル)メチルハフニウム
クロリド、などが挙げられる。これらの化合物は単独あ
るいは組み合わせて用いることができる。
【0018】これらのビス(シクロペンタジエニル)遷
移金属化合物のうち、ポリマー中のオレフィン性不飽和
結合に対する水添活性が高く、かつ温和な条件で不飽和
結合を良好に選択的に水添するより好ましいものとして
は、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−n−
ブチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジク
ロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジフ
ェニル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−
p−トリル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム
ジカルボニル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウ
ムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニル)イソプロ
ポキシチタニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジ−p−トリル、ビス(シクロ
ペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)ハフニウムジブロミド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)ハフニウムジフェニル、ビス(シクロ
ペンタジエニル)ハフニウムジ−p−トリルが挙げられ
る。
【0019】(b)成分はアルデヒド化合物である。ア
ルデヒド化合物としては、脂肪族アルデヒドおよび芳香
族アルデヒドのいずれも使用することができる。脂肪族
アルデヒドの脂肪族基は飽和および不飽和のいずれでも
よく、また直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよ
い。アルデヒド化合物の具体例としてはホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブ
チルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルア
ルデヒド、イソバレルアルデヒド、ピバルアルデヒド、
n−カプロンアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒ
ド、n−ヘプトアルデヒド、n−カプリルアルデヒド、
ペラルゴンアルデヒド、n−カプリンアルデヒド、n−
ウンデシルアルデヒド、ラウリルアルデヒド、トリデシ
ルアルデヒド、ミリスチルアルデヒド、ペンタデシルア
ルデヒド、パルミチルアルデヒド、マルガリルアルデヒ
ド、ステアリルアルデヒド、グリオキサール、スクシン
アルデヒド、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、
m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、α−ナフト
アルデヒド、β−ナフトアルデヒド、フェニルアセトア
ルデヒドなどが好ましいものとして挙げられる。
【0020】次に、(c)成分である有機リチウムの具
体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−
プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチ
ルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウ
ム、フェニルリチウム、p−トリルリチウム、キシリル
リチウム、1,4−ジリチオブタン、アルキレンジリチ
ウム、ブチルリチウムとジビニルベンゼンとの反応物な
どが挙げられる。また、これらの低分子有機リチウム化
合物の他に、末端にリチウムを有するリビングポリマー
を(c)成分の有機リチウム化合物として利用すること
もできる。
【0021】この中で特に好ましいものは、n−ブチル
リチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウ
ム、フェニルリチウムあるいは末端にリチウムを有する
リビングポリマーである。
【0022】本発明で用いられる水素触媒は、上記
(a)、(b)および(c)成分からなり、都合によっ
てはさらに下記(d)成分を一成分として用いることも
できる。
【0023】(d)成分としては、アルミニウム化合
物、亜鉛化合物およびマグネシウム化合物よりなる群か
ら選ばれる還元性有機金属化合物が用いられる。これら
の具体例としては、アルミニウム化合物として、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジエ
チルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロ
リド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアル
ミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムヒドリ
ド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、トリ(2−エ
チルヘキシル)アルミニウム、アルミニウムトリイソプ
ロポキシド、アルミニウムトリ−t−ブトキシド、ジエ
チルアルミニウムエトキシドなどが挙げられる。
【0024】また、亜鉛化合物としては、例えばジエチ
ル亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛、ジフェニ
ル亜鉛などが挙げられる。
【0025】さらにマグネシウム化合物として、例えば
ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチル
マグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、
エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロ
リド、フェニルマグネシウムブロミド、フェニルマグネ
シウムクロリド、t−ブチルマグネシウムクロリドなど
が挙げられる。これらの他に(d)成分としてリチウム
アルミニウムヒドリドの如き還元性金属を2種以上含む
化合物も挙げることができる。
【0026】工業上の入手難度、取扱いの容易性などを
加味すると、トリエチルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチル
アルミニウムジクロリド、アルミニウムトリイソプロポ
キシド、アルミニウムトリ−t−ブトキシドが好まし
い。
【0027】本発明に使用される触媒の組成は、好まし
くは触媒(a)成分/触媒(b)成分のモル比が1/
0.5以上、より好ましくは1/1〜1/40、さらに
好ましくは1/3〜1/30である。触媒(b)成分が
(a)成分1モルに対し、1モル未満では触媒活性が不
充分で、温和な条件下でのポリマーの水添が難しくなる
傾向がある。
【0028】また、触媒(a)成分/触媒(c)成分の
モル比は、好ましくは1/1〜1/50、より好ましく
は1/3〜1/40、さらに好ましくは1/3〜1/3
5である。触媒(c)成分が(a)成分1モルに対し、
1モル未満では水素化反応が非常に遅く、一方50モル
を越えると水素の触媒活性は保持しているが、ポリマー
のゲル化や副反応を招き易くなるので好ましくない。
【0029】さらに、触媒(b)成分と触媒(c)成分
の割合は、好ましくは、(b)成分のアルデヒド性カル
ボニル基/(c)成分のリチウム原子の当量比が2以下
であり、より好ましくは1.0〜1.5であり、さらに好
ましくは1.0〜1.3であり、特に好ましくは1.0〜
1.2である。分子中にアルデヒド性カルボニル基を、
例えば2個含む化合物は1モルが2当量であり、3個含
む化合物は1モルが3当量である。
【0030】さらに、触媒(a)成分/触媒(d)成分
のモル比は、好ましくは1/20以下、より好ましくは
1/1〜1/18、さらに好ましくは1/2〜1/15
である。触媒(d)成分が(a)成分1モルに対し、2
0モルを越えて添加すると、かえって触媒活性が低下し
て高水添ポリマーが得られ難くなり易い。
【0031】さらに、本発明の触媒の好ましい使用量
は、水添すべき重合体100gに対して、(a)成分換
算で0.005〜50.0ミリモルである。0.005ミ
リモル未満では水素化効率が劣り、一方50ミリモルを
越える場合にも水添は可能であるが、必要以上の触媒使
用は不経済となり、また重合体からの触媒残渣の除去が
複雑になるなど不利となる。より好ましい範囲は(a)
成分換算で0.01〜5ミリモルである。
【0032】本発明の上記触媒を用いれば、触媒調製条
件や系中の状態によらず、一定した高水添ポリマーを得
ることが可能である。
【0033】本発明によって水素化されるオレフィン性
不飽和重合体としては、ポリマー主鎖中あるいは側鎖中
にオレフィン性の炭素−炭素不飽和二重結合を有するポ
リマーがすべて包含される。好ましい代表例としては、
共役ジエンポリマーあるいは共役ジエンとオレフィンと
のランダム、ブロックあるいはグラフトポリマーなどが
挙げられる。
【0034】この共役ジエンポリマーとしては、共役ジ
エンホモポリマーおよび共役ジエン相互あるいは共役ジ
エンの少なくとも1種と共役ジエンと共重合可能なオレ
フィンの少なくとも1種とを共重合して得られるコポリ
マーなどが包含される。
【0035】この共役ジエンポリマーの製造に用いられ
る共役ジエンとしては、一般的には4〜12個の炭素原
子を有する共役ジエンが挙げられる。具体的な例として
は、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル
−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチ
ル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,
5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,
3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げられる。
【0036】工業的に有利に展開でき、物性の優れたエ
ラストマーを得るうえからは、1,3−ブタジエン、イ
ソプレンが特に好ましく、ポリブタジエン、ポリイソプ
レン、ブタジエン/イソプレンコポリマーの如きエラス
トマーが本発明の実施に特に好ましい。このポリマーに
おいて、ポリマー類のミクロ構造は特に制限されず、い
かなるものも好適に水添対象物として使用できる。
【0037】一方、本発明の方法は、共役ジエンの少な
くとも1種と共役ジエンと共重合可能なオレフィンの少
なくとも1種とを共重合して得られるコポリマーの水添
に特に好適に用いられる。
【0038】このコポリマーの製造に用いられる好適な
共役ジエンとしては、前記共役ジエンが挙げられる。一
方のオレフィンとしては、共役ジエンと共重合可能な全
てのモノマーが挙げられるが、特にビニル置換芳香族炭
化水素が好ましい。
【0039】工業的に有用で価値の高いエラストマーや
熱可塑性エラストマーを得るためには、共役ジエンとビ
ニル置換芳香族炭化水素とのコポリマーが特に重要であ
る。このコポリマーの製造に用いられるビニル置換芳香
族炭化水素の具体例としては、スチレン、t−ブチルス
チレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジ
ビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−
ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチ
ル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが
挙げられる。このうち、スチレン、α−メチルスチレン
が特に好ましい。具体的なコポリマーの例としては、ブ
タジエン−スチレンコポリマー、イソプレン−スチレン
コポリマー、ブタジエン−α−メチルスチレンコポリマ
ーなどが工業的価値の高い水添コポリマーを与えるので
最も好適である。
【0040】このコポリマーにおいては、モノマーはポ
リマー類全体に統計的に分布しているランダムコポリマ
ー、漸減ブロックコポリマー、完全ブロックコポリマ
ー、グラフトコポリマーが含まれる。
【0041】工業的に有用な熱可塑性エラストマーを得
るためには、ビニル置換芳香族炭化水素含有量が5〜9
5重量%が好ましい。また、共役ジエン単位のビニル結
合は、共役ジエン単位全体の10重量%以上が水添後の
ポリマー性能に優れ好ましい。
【0042】本発明の水素添加反応に用いるポリマー
は、一般的には分子量が約1,000〜100万を有す
るもので、直鎖型のほかにカップリング剤を用いてカッ
プリングした、いわゆる分岐型、ラジアル型あるいは星
型のブロックポリマーが包含される。
【0043】カップリング剤の具体例としては、ジビニ
ルベンゼン、テトラクロロシラン、メチルジクロロシラ
ン、ブチルトリクロロシラン、(ジクロロメチル)トリ
クロロシラン、(ジクロロフェニル)トリクロロシラ
ン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、ヘキサ
クロロジシラン、1,2,3,4,7,7−ヘキサクロロ−
6−メチルジクロロシリル−2−ノルボルネン、オクタ
クロロトリシロキサン、トリクロロメチルトリクロロシ
ラン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テト
ラクロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、エポ
キシ化アマニ油、トリレンジイソシアナートなどが挙げ
られる。
【0044】また、ポリアルデヒド化合物をカップリン
グ剤として用いることができる。ポリアルデヒド化合物
をカップリング剤として用いる場合は、カップリングに
使用される分も含めて本発明の触媒(b)成分として利
用することができる。それ故、経済的かつ効率よく水添
反応を実施することが可能となり、工業上極めて有用で
ある。
【0045】また、リビングアニオン重合において、末
端を極性基で修飾したポリマーおよびその他の手段でポ
リマーを極性基で修飾したポリマーも包含される。修飾
される極性基としては、水酸基、カルボキシル基、エス
テル基、イソシアナート基、ウレタン基、アミド基、尿
素基、チオウレタン基などが挙げられる。
【0046】そのほかの公知のいかなる重合方法、例え
ばアニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法、ラジ
カル重合法あるいは溶液重合法、エマルジョン重合法な
どで製造されるポリマーも用いることができる。
【0047】さらには、モリブデン、タングステンなど
のメタセシス触媒を用いて開環重合により得られる環状
オレフィンの重合体も、本発明で用いられるオレフィン
性不飽和結合を有するポリマーに包含される。
【0048】この重合体を構成する単量体の具体例とし
ては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテ
ン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロド
デカトリエン、ノルボルネン、5−メチル−ノルボルネ
ンなどのシクロアルケン;5−ノルボルネン−2−カル
ボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチ
ル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸フェニル、2−
メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、3
−フェニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチ
ル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジメチ
ル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸シクロヘキシ
ル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸アリール、5−
ノルボルネン−2−イルアセタート、5−ノルボルネン
−2−ニトリル、3−メチル−5−ノルボルネン−2−
ニトリル、2,3−ジメチル−5−ノルボルネン−2,3
−ジニトリル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸アミ
ド、N−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸ア
ミド、N,N−ジエチル−5−ノルボルネン−2−カル
ボン酸アミド、N,N−ジメチル−2−メチル−5−ノ
ルボルネン−2,3−ジカルボン酸アミド、5−ノルボ
ルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(無水ハイミック
酸)、2,3−ジメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジ
カルボン酸イミド、N−フェニル−2−メチル−5−ノ
ルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、5−メチル
−5−カルボキシシクロヘキシルビシクロ[2.2.
1.]−2−ヘプテン、5−メチル−5−カルボキシ
(4−t−ブチルシクロヘキシル)ビシクロ[2.2.
1.]−2−ヘプテン、8−メチル−8−カルボキシシ
クロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、5−メチル−5−カルボキシトリシク
ロ[5.2.1.02,6]デシル−8’−ビシクロ[2.2.
1.]−2−ヘプテンなどのノルボルネン誘導体が使用
できる。
【0049】以上に述べた(a)成分のビス(シクロペ
ンタジエニル)遷移金属化合物、(b)成分のアルデヒ
ド化合物および(c)成分の有機リチウム化合物を含有
してなる本発明の触媒並びに前記(a)〜(c)成分と
(d)成分の還元性有機金属化合物を含有してなる本発
明の触媒は、いずれも再現性よく、高い水素添加活性を
有する。
【0050】これらの触媒各成分はあらかじめ混合した
あと、水添反応系中に加えてもよいし、任意の順序で別
々に系中へ加えてもよい。例えば末端にリチウムを有す
るリビングポリマーに(b)成分を加えて反応させた
後、(a)成分もしくは(a)成分と(d)成分をあら
かじめ混合させた成分を添加し、水添する方法、あるい
は(b)成分と(c)成分をあらかじめ反応させた反応
生成物を系中に加え、別に(a)成分もしくは(a)成
分と(d)成分を混合したものを系中に添加し水添する
方法により水添加反応を行うことができる。
【0051】各成分をあらかじめ混合する場合には、不
活性雰囲気下で行うことが望ましい。ここで、不活性雰
囲気とは、例えば窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンな
どの水素添加反応のいかなる関与体とも反応しない雰囲
気下を意味する。空気や酸素は、触媒を酸化したりして
触媒の失活を招くので好ましくない。また、触媒をあら
かじめ混合する場合には、不活性雰囲気下のほかに、水
素雰囲気下で行うこともできる。
【0052】本発明の水素添加反応は、オレフィン性不
飽和重合体を、炭化水素溶媒中に溶解した状態で行う
か、または炭化水素溶媒中で重合によってオレフィン性
不飽和重合体を生成したのち、引き続いて水素化を行う
こともできる。ここで、炭化水素溶媒としては、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水
素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘ
キサンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素を用いる
ことができる。これらの炭化水素溶媒は、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエ
ーテル類を20重量%以下の範囲で含んでいてもよい。
【0053】本発明の水素添加反応を行う際の重合体濃
度は、特に制限はないが、通常、重合体濃度1〜30重
量%、好ましくは3〜20重量%で行われる。水素添加
反応は、窒素、アルゴンなどの不活性気体または水素の
雰囲気下で前記の水素添加用触媒を添加し、次いで水素
を1〜100kg/cm2の圧力で加圧供給し、さらに
重合体溶液を所定の温度に保持し、攪拌下または不攪拌
下において実施される。
【0054】水素添加反応に使用される水素の圧力は、
好ましくは1〜100kg/cm2G、より好ましくは
4〜20kg/cm2Gである。1kg/cm2G未満で
は水添速度が遅くなり、一方100kg/cm2Gを超
えるとポリマーのゲル化や不必要な副反応を併発し易く
なり、好ましくない。
【0055】また、水素添加反応に好適な温度範囲は、
0〜150℃であり、0℃未満では触媒の活性が低下
し、かつ水添速度も遅くなり多量の触媒を要するので経
済的でなく、一方150℃を超えるとポリマーの分解や
ゲル化を併発し易くなり、かつ芳香核部分の水添も起こ
り易くなって水添選択性が低下するので好ましくない。
好ましくは20〜140℃の範囲であり、さらに好まし
くは70〜130℃の範囲である。
【0056】本発明の水素添加反応時間は、1分〜10
時間であり、反応時間は水素化触媒の量が多いほど、ま
た水素圧が高いほど短時間となる。本発明の水素添加反
応は、バッチ式、連続式のいずれの方法でも実施でき
る。本発明の水素添加反応によって、オレフィン性不飽
和二重結合の80%以上、好ましくは90%以上が水素
化された重合体が得られる。しかしながら、存在する場
合の芳香核の二重結合の水素化は5%以下であり、実質
的にほとんど水素化されない。また、本発明の水素添加
反応においては、重合体の分子切断をほとんど引き起こ
さない。
【0057】本発明の方法によってポリマー中の不飽和
二重結合の任意の割合を水添させることができる。ま
た、本発明の水素添加用触媒は、スチレンなどのオレフ
ィン類の水添にも用いることが可能である。本発明の方
法により水素化された重合体は、必要に応じて重合体溶
液から触媒残渣を除去し、老化防止剤を添加し、その重
合体溶液を水蒸気とともに熱水中に投入し、溶媒を水蒸
気蒸留により回収し、重合体をクラム状で回収する方
法、重合体溶液を加熱ロール上に流し、溶媒を蒸発させ
て、重合体を回収する方法、または重合体溶液をアルコ
ール、アセトンなどの極性溶媒中に投入し、重合体を沈
澱させて回収する方法などにより、重合体溶液から単離
することができる。
【0058】本発明の水素添加方法においては、使用す
る触媒量が少ないので、触媒残渣が少なく、さらにその
触媒残渣は重合体の耐候性、耐熱性に対して影響が小さ
いため、触媒の除去行程を除くことができる。
【0059】
【作用】本発明によれば、従来の均一系水添触媒の欠点
を改良し、ビス(シクロペンタジエニル)遷移金属化合
物とアルデヒド化合物を加えた本発明の触媒を用いるこ
とにより、系中の不純物の影響を受け難く、高い水添活
性を有し、高速度で安定した高水添ポリマーを与えるこ
とができる。
【0060】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例中の共役ジエン系ポリマーのビニル結
合含量は、赤外吸収スペクトルを用い、ハンプトン法
[R. R. Hampton, Anal. Chem., 第29巻、923頁、
(1949年)]によって測定した。
【0061】実施例1 10lのオートクレーブに脱気脱水したシクロヘキサン
5kgおよび1,3−ブタジエン1kgを仕込んだ後、
テトラヒドロフラン15gおよびn−ブチルリチウム
1.1gを加え、重合温度が50℃からの昇温重合を行
った。転化率がほぼ100%となった後、リビングLi
量を測定したところ、13.4ミリモルであった。この
オートクレーブの系内に水0.24gを添加し、10分
間攪拌した。ポリマー液の色の変化からリビングアニオ
ンとして生きているポリマー末端リチウムがないことを
確認した。このとき得られたポリマーの数平均分子量は
10万であったが、さらにスチレン100gを加え、ス
チリルリチウムの色がつかないこと、スチレンの添加前
後で分子量分布が変化しないことを確認した。次に1.
9gのベンズアルデヒドと1.1gのn−ブチルリチウ
ムを予め窒素雰囲気下で反応させた反応生成物を仕込
み、更に0.40gのビス(シクロペンタジエニル)チ
タニウムジクロリドと10mlのトルエンに溶かした
1.16gのジエチルアルミニウムクロリドを窒素雰囲
気下で混合した成分を仕込み、攪拌した。その後、水素
ガスを8kg/cm2Gの圧力で供給し、70℃で水添
反応を行った。水素吸収は60分でほとんど終了した
が、4時間反応を行い、反応を完結させた。得られた水
添ポリマーの水添率は99%、水添前ポリマーの1,2
−ビニル結合含有量は38%であった。
【0062】比較例1 実施例1でベンズアルデヒドを添加しなかった以外は同
様の方法で重合、水添反応を行った。得られた水添ポリ
マーの水添率は45%であった。
【0063】実施例2 10lのオートクレーブに、脱気脱水したシクロヘキサ
ン5kg、スチレン300gおよび1,3−ブタジエン
700gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン15gおよ
びn−ブチルリチウム0.55gを加え、重合温度が5
0℃からの昇温重合を行った。転化率がほぼ100%と
なった後リビングLi量を測定したところ、5.2ミリ
モルであった。次に水94mgを加え、10分間攪拌し
た。ポリマー液の色の変化からリビングアニオンとして
生きているポリマー末端リチウムがないことを確認し
た。このとき得られたポリマーの数平均分子量は29万
であったが、さらにスチレン100gを加え、スチリル
リチウムの色がつかないこと、スチレンの添加前後で分
子量分布が変化しないことを確認した。
【0064】次に、20mlのシクロヘキサンに溶かし
たベンズアルデヒド1.46gとn−ブチルリチウム0.
93gを窒素雰囲気下であらかじめ20分間反応させた
反応生成物を仕込み、さらにビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジクロリド0.36gと10mlのトル
エンに溶かした1.05gのジエチルアルミニウムクロ
リドを窒素雰囲気下であらかじめ混合した成分をオート
クレーブ内に仕込み、攪拌した。水素ガスを8kg/c
2Gの圧力で供給し、70℃で4時間反応を行った。
得られた水添ポリマーの水添率は95%、水添前ポリマ
ーの1,2−ビニル結合含有量は36%であった。ま
た、ベンゼン核の水添が起きていないことをNMRによ
り確認した。
【0065】比較例2 実施例2と同様に重合を行った後、水を加えずに、n−
ブチルリチウム0.59gを添加し、さらにビス(シク
ロペンタジエニル)チタニウムジクロリド0.36gと
10mlのトルエンに溶かした1.57gのジエチルア
ルミニウムクロリドをあらかじめ窒素雰囲気下で混合し
た成分をオートクレーブ内に仕込み、実施例2と同様の
条件で水添反応を行った。得られた水添ポリマーの水添
率は50%であった。
【0066】実施例3 10lのオートクレーブに、脱気脱水したシクロヘキサ
ン5kg、スチレン300gおよび1,3−ブタジエン
700gを仕込んだ後、テトラヒドロフラン15gおよ
びn−ブチルリチウム0.55gを加え、重合温度が5
0℃からの昇温重合を行った。転化率がほぼ100%と
なった後リビングLi量を測定したところ、5.2ミリ
モルであった。次に水94mgを加え、10分間攪拌し
た。ポリマー液の色の変化からリビングアニオンとして
生きているポリマー末端リチウムがないことを確認し
た。このとき得られたポリマーの数平均分子量は29万
であったが、さらにスチレン100gを加え、スチリル
リチウムの色がつかないこと、スチレンの添加前後で分
子量分布が変化しないことを確認した。
【0067】次に、20mlのシクロヘキサンに溶かし
たベンズアルデヒド0.93gとn−ブチルリチウム0.
93gを窒素雰囲気下であらかじめ20分間反応させた
反応生成物を仕込み、さらにビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジクロリド0.36gと10mlのトル
エンに溶かした1.05gのジエチルアルミニウムクロ
リドを窒素雰囲気下であらかじめ混合した成分をオート
クレーブ内に仕込み、攪拌した。水素ガスを8kg/c
2Gの圧力で供給し、70℃で4時間反応を行った。
得られた水添ポリマーの水添率は60%、水添前ポリマ
ーの1,2−ビニル結合含有量は36%であった。ま
た、ベンゼン核の水添が起きていないことをNMRによ
り確認した。
【0068】実施例4 実施例3でベンズアルデヒド0.93gを2.47gにし
た以外は、実施例3と同様の方法で重合、水添反応を行
った。得られた水添ポリマーの水添率は90%であっ
た。
【0069】実施例5 ベンズアルデヒド1.46gの代わりに、プロピオンア
ルデヒド0.93gを用いた以外は実施例2と同様に重
合、水添反応を行った。得られた水添ポリマーの水添率
は99%であった。
【0070】
【発明の効果】本発明により得られる水添ポリマーは、
耐候性、耐熱性、耐酸化性の優れた熱可塑性エラストマ
ーあるいは熱可塑性樹脂として使用され、また紫外線吸
収剤、オイル、プライマーなどの添加剤を加えたり、他
のエラストマー、樹脂とブレンドして使用され工業上有
用である。また、本発明に使用されるオレフィン性不飽
和結合含有ポリマーを温和な条件で選択的に極めて高速
度に高転化率で水添することを可能とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹村 泰彦 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記式(1) 【化1】 (ここで、M1はチタニウム、ジルコニウムおよびハフ
    ニウムよりなる群から選ばれる遷移金属原子であり、そ
    してR1およびR2は、同一もしくは異なり、アルキル
    基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリロ
    キシ基、アシルオキシル基、カルボニル配位子、β-ジ
    ケトン配位子またはハロゲン原子である)で表わされる
    ビス(シクロペンタジエニル)遷移金属化合物、(b)
    アルデヒド化合物 および(c)有機リチウム化合物か
    らなる水素添加触媒の存在下、オレフィン性不飽和重合
    体を水素と接触せしめて該オレフィン性不飽和重合体の
    オレフィン性不飽和結合を選択的に水素化せしめること
    を特徴とするオレフィン性不飽和重合体の水素化方法。
  2. 【請求項2】 上記水素添加触媒が上記(a)、(b)
    および(c)成分の他に、さらに(d)アルミニウム化
    合物、亜鉛化合物およびマグネシウム化合物よりなる群
    から選ばれる還元性有機金属化合物を含有する請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の水素添
    加触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003524515A (ja) * 1998-10-30 2003-08-19 シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ 水素化触媒系の製造方法

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