JPH06123772A - 符号化パルスドップラレーダ方式 - Google Patents

符号化パルスドップラレーダ方式

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JPH06123772A
JPH06123772A JP3315550A JP31555091A JPH06123772A JP H06123772 A JPH06123772 A JP H06123772A JP 3315550 A JP3315550 A JP 3315550A JP 31555091 A JP31555091 A JP 31555091A JP H06123772 A JPH06123772 A JP H06123772A
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pulse
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signal
transmission
doppler
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Shinkichi Nishimoto
眞吉 西本
Ai Takagi
相 高木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、様々なクラッタ環境において目標
の広範囲に亘る距離および速度を、曖昧さが伴うことな
く同時、直接測定できる新規のレーダ方式としての符号
化パルスドップラレーダ方式の実現を目的とする。 【構成】 変調器2では、送信パルス列を一定長の符号
系列で位相変調して、符号化パルス群を繰返し形成し、
これを送信機3で増幅して送信する。受信機6による検
波出力信号に対して、一連の符号系列のパルス群におけ
る同符号のパルス列ごとにMTIフィルタ8でクラッタ
を抑圧後、符号相関器9とドップラ処理器10により目
標の広範囲の距離および速度情報を抽出する一連の機能
で構成する符号化パルスドップラレーダ方式。 【効果】 様々なクラッタ環境において、多目標の距離
および速度情報を高精度かつ短時間で収得できるため、
レーダシステムを有効に運用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広範囲の空間に様々な
速度で移動する目標の情報を効率よく迅速に収得するた
め、目標信号と混在して受信する地面、海面などによる
反射波であるクラッタを効果的に抑圧して目標検出性能
の改善を行った後、目標の広範囲に亘る距離および速度
を曖昧さが伴うことなく、同時、直接測定を行う符号化
パルスドップラレーダ方式に関する。
【0002】
【従来の技術】レーダの基本的目的は、目標の距離およ
び速度の両者または一方の値を測定し、場合によっては
角度や信号強度等を加えて必要とする目標情報を提供す
ることにある。図9は、パルスレーダにおける信号の送
受信時間波形を概念的に示す。距離測定で曖昧さの発生
しない最大探知距離Rmaxは、パルスの送信後に目標
信号が受信されるまでの遅れ時間Tが送信パルス繰返
し周期Tより小さいことを条件とし、
【数1】Rmax=0.5cT (c:電波伝搬速度、T:パルス繰返し周期) で与えられる。従って、レーダに要求する最大探知距離
maxに応じて、パルス繰返し周期Tが定まる。
【0003】一方、パルスレーダの送受信時間波形(図
9)を周波数領域でみると、図10で示される。即ち、
送信信号の周波数スペクトル間隔が、パルス繰返し周波
数(Pulse Repetition Freque
ncy:PRF)f=1/Tで与えられるので、目標
信号のドップラ周波数
【数2】f=2(v/c)f (v:目標の相対速度、f=送信周波数) が|f|<0.5fの範囲では、目標信号の各周波
数スペクトルがどの送信周波数スペクトルに対応するか
が確定できるため、ドップラ周波数の測定に曖昧さが発
生しない。この結果、曖昧さのないRmaxおよびf
の上限値|fd・max|の間には、
【数3】Rmax・|fd・max|=0.25c による2律相反の関係が成立する。
【0004】図11は、上式から得られる曖昧さの発生
しない目標の最大距離と最大ドップラ周波数から定まる
最大相対速度の関係を表す。例えば、送信周波数10
[GHz]の場合に、相対速度100[m/s]の目標
が距離約11[Km]を越えると曖昧さが発生し、直接
的に距離を確定できなくなる。
【0005】この結果、距離情報を重視し、遠距離まで
の探知が要求される対空捜索レーダ等では、距離測定に
おける暖昧さの発生を防ぐため、要求される最大探知距
離に応じたパルス繰返し周期Tを設定し易い低PRFが
用いられる。反面、速度測定で曖昧さが発生して、ドッ
プラ周波数による相対速度の確定が困難になるので、空
中線ビーム走査ごとに得られる目標位置ベクトルの変化
量から概略の移動速度を算出する方法が必要に応じて適
用される。
【0006】一方、広範囲の距離および速度の高精度測
定を必要とする場合は、曖昧さが発生することなく目標
の相対速度を直接測定できるように、目標信号の最大ド
ップラ周波数fd・maxに応じた高または中PRFが
用いられる。反面、距離測定で曖昧さが発生するので、
これを解消するためマルチPRFレンジング(Mult
i PRF Ranginxg)の方法(原理的解説書
として、例えば、M.I.Skolnik:“Rada
r Handbook”,pp.19−3,McGra
w−Hill,1970)が用いらる。
【0007】この方法を用いた従来の高または中PRF
レーダのシステム基本構成例を図12に示す。図12に
おいて、パルス発生器18で発生した一定のPRFをも
つ一定数の変調パルスが変調器19へ入力して搬送波に
パルス変調を与えて送信波を形成する。該送信波を送信
機20で電力増幅した後、送受切替器21を介して空中
線22から送信する。
【0008】次に移動目標や地面、海面などによる反射
波は、前記空中線22、送受切替器21を経て受信機2
3に入り、中間周波数信号に変換される。前記受信機2
3の出力は距離ゲート切替器24へ入力し、距離ゲート
パルス発生器25から入力した距離ゲートパルスの制御
を受けて、各距離ゲート(#1〜#M)ごとの処理系統
へ順次出力する。以上に述べた時間領域での送受信動作
とパルス繰返し周期内の距離ゲートで受信信号を順次時
間分割して取りだす状況を図13に示す。一連の送信パ
ルスに対応する受信目標信号とクラッタは、送信パルス
間の各距離ゲートごとに時間分割されて引き出される。
【0009】ここで、各距離ゲートごとの処理系統は、
同じ動作をするクラッタ除去フィルタ26、受信信号を
ベースバンドで直交成分に分解するI(In−phas
e)、Q(Quadurature−phase)両チ
ャンネルの位相検波器27およびA/D(アナログ/デ
ィジタル)変換器28から構成される。
【0010】まず、前記クラッタ除去フィルタ26に
は、パルス繰返し周期Tごとに距離ゲートを通過した中
間周波数(fIF)信号が入力するが、この信号は周波
数領域において図14で示される。即ち、送信波を構成
する各周波数スペクトル(送信パルス繰返し周波数f
の間隔で存在)の周りに広がるクラッタスペクトルとこ
れより離れた位置にある目標信号スペクトル(曖昧さの
発生を避けるため、|f|<0.5fに設計)があ
る。
【0011】前記クラッタ除去フィルタ26は、中間周
波数fIF近辺のクラッタ成分を除去して、ドップラ周
波数fが−0.5f<f<0.5fの範囲にあ
る目標信号を抽出し、連続波で出力する。前記クラッタ
除去フィルタ26の出力信号はI、Q両チャンネルの前
記位相検波器27で互いに直交するベースバンド信号に
変換され、更に送信パルス繰返し周期Tごとに動作する
A/D変換器28を経てディジタル信号に変換される。
これら各距離ゲートごとにある処理系統の出力は、次の
入力データ切替器29へ送られる。
【0012】FFT(Fast Fourier Tr
ansform:高速フーリエ変換)フィルタ等からな
るドップラ処理器30は、前記入力データ切替器29か
ら距離ゲート番号ごとにデータを得て、狭帯域ドップラ
フィルタバンクによるドップラ処理(ドップラ周波数の
分離識別処理)を行い、その結果を目標検出器31へ送
る。前記目標検出器31は、目標信号の存在するフィル
タ番号と距離ゲート番号を判定し、距離演算器32へ送
る。
【0013】ここでマルチPRFレンジングを行うた
め、レーダ信号の送受信から前記目標検出器31までの
動作処埋を2〜3種類のパルス繰返し周波数(PRF)
を用いて繰返し行い、それぞれのPRFごとに同じドッ
プラフィルタから出力した目標信号の距離ゲート番号を
前記距離演算器32へ入力する。
【0014】この場合のPRFは、パルス繰返し周期内
の距離ゲート数(図13で示す距離ゲート数M)が互い
にほぼ近い数で、素数関係になるものを用いる。前記距
離演算器32は、距離ゲート番号の組み合わせから真の
距離を演算し、目標の距離と速度の情報を出力する。
【0015】
【発明が解決しようとする問題点】先記のように、低P
RFを用いたレーダでは、ドップラ周波数による目標の
速度測定に曖昧さが発生し易くなり、直接測定できる範
囲が狭くなる。
【0016】一方、高または中PRFを用いたレーダで
は、距離測定にマルチPRFレンジングの方法が用いら
れる。この場合、雑音や消え残りクラッタが距離演算器
に混入すると距離の誤計算が起こり、システムの測距機
能が急激に低下するので、これを防ぐために高度のクラ
ッタ抑圧能力と高いS/N(ピーク信号電力対平均雑音
電力比)を必要とする。また2〜3種類のPRFによる
パルス群の送受信処理を行うために余分な時間を必要と
し、S/Nも直接改善されない。
【0017】加えて、目標のパルスが隣合う2つの距離
ゲートに跨がった時に起きる誤計算を避けるため、更に
異なるPRFのパルス群を送受信処理することが必要に
なる。この他、ほぼ同じ相対速度の複数目標が、ほぼ同
じ方向の異距離にある場合は距離演算が困難になる。
【0018】以上のとおり、従来のパルスレーダによる
距離および速度の測定において、低PRFレーダの場合
は高速目標の速度を直接測定することが困難であり、一
方、高または中PRFレーダの場合は、マルチPRFレ
ンジングの原理に起因する上記の問題点が、レーダシス
テム構成上の負担や目標情報を効率的に収得するうえで
の制約を課している。
【0019】
【問題を解決するための手段】本発明は、従来のパルス
レーダに付随する上記の問題点が、使用するレーダ波形
のもつ曖昧さ(Anbiguity)の特性に起因する
ことに着目してなされたものである。即ち、符号系列で
周期的に位相変調したパルス列からなるレーダ波形を送
受信し、検波復調した符号系列信号に対して、まずクラ
ッタを抑圧して目標信号を抽出するためのMTI処理を
行う。該MTI処理で、予めクラッタを十分に除去する
ことにより、後続する信号処理過程でクラッタによって
発生するタイムサイドローブ雑音レベルを抑えるととも
に、信号処理でのレベル飽和を防ぐことができる。その
後、符号系列の長時間周期に応じた符号相関処理を行っ
て広範囲の目標距離情報を抽出し、同時に高又は中PR
Fで得た目標信号パルス列に狭帯域ドップラ処理を行っ
て広範囲の速度情報を抽出する。以上の機能を備えるこ
とを特徴とする符号化パルスドップラレーダ方式であ
る。
【0020】その目的は、移動目標が強勢なクラッタに
埋もれていても、クラッタによる障害を効果的に軽減し
たうえ、符号系列のもつ長時間周期に応じた広範囲の距
離と送信パルスの高または中PRFに応じた広範囲の速
度を、曖昧さが伴うことなく同時、高精度で直接測定が
可能な符号化パルスドップラレーダ方式を提供すること
にある。以下、この発明を図面に基づいて詳細に説明す
る。
【0021】
【作用】図1は、本発明によるシステム基本構成図であ
る。図1において、符号発生器1で発生した符号長Nの
周期性符号系列信号は、変調信号として変調器2へ入力
し、送信搬送波に位相変調を行って送信信号を形成し、
該送信信号を送信機3で電力増幅した後、送受切替器4
および空中線5を経て送信する。
【0022】図2(A)は、前記変調信号の構成例を示
す。即ち、符号長Nの2値符号系列を用い、パルス繰返
し周期T、パルス幅ΔT、1符号系列のもつ時間幅Tc
で形成した各符号系列のパルス群12の間に送信休止時
間Ts115およびTs216を交互に設けて、同符号
のパルス列(例えば、Sk.1,Sk+1.1,S
k+2.1,・・)で隣合うパルスの時間間隔T(=
−δT)13およびT(=T+δT)14を交
互に与え、2パルス間スタガを行う。通常は、2〜4種
類のパルス間隔が用いられる。なお、上記変調に用いる
符号系列は、良好な自己相関性をもつものとし、一般に
2値に限らず多値も対象になる。
【0023】次に、移動目標やクラッタからなる受信波
は、前記空中線5および送受切替器4を経て受信機6に
入力する。ここで、受信した符号系列信号は前記受信機
6内のI、Q両チャンネルの位相検波器を介して、直交
する2つのベースバンド信号に分解された後、それぞれ
A/D変換されて出力し、信号処理器11へ入力する。
【0024】図2(B)は、IまたはQチャンネルの位
相検波器の出力を時間軸上で図2(A)の各変調符号パ
ルス(送信信号と等価)に対応させて示す。即ち、目標
信号は送信信号に対して距離に応じた遅れ時間Tとド
ップラ周波数fによる振幅変調を伴って出力する。一
方、地表や海面のレーダ波反射領域は、通常距離方向の
広い範囲にほぼ連なって存在するため、高PRFで送受
信するとクラッタが重なり合って強勢化し、その振幅レ
ベルは正負において平均化され、その変動は緩やかとな
る。
【0025】図3は、信号処理器11の機能系統図を示
しており、前記I、Q両チャンネルの位相検波器の出力
を受けて、同符号のパルス間隔を一定化するスタガトリ
ガ遅延回路7と、I、Q両チャンネルで同じ動作特性を
もつMTIフィルタ8と、符号相関器9と、ドップラ処
理器10で基本的に構成する。
【0026】まず図2(B)に示す位相検波器の出力に
対して、図3のスタガトリガ遅延回路7では時間間隔T
13に遅延時間δTを、また時間間隔T14には遅
延時間零を与えて前記同符号(例えば、Sk.1,S
k+1.1,・・・)のパルス列の時間周期を一定値T
にした後、符号長に等しいN種類の前記同符号のパル
ス列が順次時間Tの間隔で前記MTIフィルタ8に入力
する。なお、前記MTIフィルタ8は非巡回型のみなら
ず巡回型の構成も可能であり、遅延タップ段数Qは通常
2〜4が用いられる。
【0027】図4(A)は、前記同符号のパルス列がも
つ時間周期をT=T−δT(一定)にして送受信す
る非スタガの場合に、前記MTIフィルタ8に入力する
同符号のパルス列の周波数スペクトル分布およびクラッ
タを抑圧する前記MTIフィルタ8の周波数特性を示
す。同様に図4(B)は、前記同符号のパルス列の時間
周期をT=T+δT(一定)にした非スタガの場合
を示す。これらの場合は、目標信号スペクトルが前記M
TIフィルタ8の阻止帯域(PRFごとに形成されるブ
ラインド周波数領域)に入ることも起こりうるため、ド
ップラ周波数fが0〜fd.maxで一様に生起する
場合は、目標検出確率が平均的に約15〜30数[%]
程度低下する。
【0028】これに対して、図4(C)は前記TとT
を交互に切替える2パルス間スタガMTI処理の場合
を示す。パルス間スタガを行うことによって、等価的に
MTIフィルタ8の阻止帯域の割合を数[%]程度に減
らせるので、目標検出確率の低下を効果的に抑えること
ができる。(パルス間スタガに関する原理的解説は、例
えば、M.I.Skolnik:“Radar Han
dbook”,pp.17−38,McGraw−Hi
ll(1970)にある。)
【0029】かようにI、Q両チャンネルの前記MTI
フィルタ8は、送信する同符号のパルス列のPRFごと
に存在するクラッタスペクトル成分を抑圧して目標信号
を抽出するので、図2(B)とは逆に相対的に強勢化さ
れた目標信号がドップラ周波数で振幅変調されて出力
し、微小の消え残りクラッタと共に次の前記符号相関器
9へ入力する。
【0030】符号相関器9は、図3に示すとおり送信パ
ルス繰返し周期に等しい遅延時間Tの間隔でN個のタッ
プを備える。各タップの積算器17には符号系列の各符
号(Sk.1,Sk.2,・・Sk.N)を積算係数と
して付与して、各タップに入力する目標信号および消え
残りクラッタによる符号パルス列との符号相関を行う。
【0031】この結果、目標の距離による遅れ時間T
のタイミングでは、全タップで前記積算器17への入力
符号が一致するため、図5に示すごとく目標信号パルス
が全タップに亘ってドップラ周波数で振幅変調されて同
時に出力し、これが時間周期Tで生起する。一方、符
号間不一致のタイミングでは、ランダム性のパルスがタ
イムサイドローブ雑音として送信パルスの繰返し周期T
で出力し、その他の送信休止のタイミングでは零出力に
なる。
【0032】符号相関器9の各タップ出力は、FFTフ
ィルタなどによる狭帯域フィルタバンクで構成した前記
ドップラ処理器10を介してドップラ周波数の分離とS
/N改善が行われる。ここで、ドップラ周波数が|f
|<0.5/Tにある目標信号は、図6に示すごとく複
数のドップラフィルタのうちでドップラ周波数fが整
合する#rフィルタからS/Nが改善され、目標の距
離による遅れ時間Tを伴って時間周期Tで出力す
る。また、クラッタの消え残り成分は目標信号から分離
して#0フィルタから出力する。受信機雑音のほか、消
え残りクラッタや目標信号自体から発生したタイムサイ
ドローブ雑音は全ドップラフィルタから出力する。
【0033】ところで、受信するクラッタが穏やかな場
合は、本発明を構成するMTIフィルタ8によるクラッ
タ抑圧処理を省くことが可能である。これに該当する発
明として、特開昭61−212781(名称:パルスド
ップラレーダ方式)がある。ところが、一般的にレーダ
は様々なクラッタ環境で運用される。強勢なクラッタを
受信した場合、前記MTIフィルタ8によるクラッタ抑
圧処理を行わないと、前記符号相関器9の処理過程でク
ラッタによる高いレベルのタイムサイドローブ雑音が発
生し、微弱な目標信号の検出性能を低下させる。
【0034】例えば、位相検波出力で目標信号電力対ク
ラッタ電力比(S/C)≦−30[dB]、ドップラ処
理器10の出力における平均タイムサイドローブレベル
(TSL)=−30[dB]、目標検出に必要なS/N
=10[dB]とする一般的な場合を設定すると、ドッ
プラ処理器10の出力で、目標信号電力対クラッタによ
る平均TSL雑音電力比(S/N)≦0[dB]とな
り、所要の上記S/Nを満足できない。また、ドップラ
周波数がほぼ零の大振幅クラッタは、FFTフィルタを
飽和させて正常な動作を損なうおそれがある。また飽和
しないまでも、クラッタ成分そのものが目標を検出する
FFTフィルタに周波数サイドローブ領域から混入して
信号の検出性能を低下させる。以上により、様々なクラ
ッタ環境でレーダシステムを有効に運用するには、MT
Iフィルタ8によるクラッタ抑圧が不可欠である。
【0035】本発明はかような上記課題を重視し、その
対策を講じている。即ち、図2(A)に例示するごと
く、一定の符号系列に対応するパルス群で周期的に構成
した送信波形において、同符号のパルス列ごとにパルス
間スタガか、または非スタガをなすレーダ波形を形成
し、受信復調信号に対しては、前記同符号のパルス列ご
とにMTIフィルタ8によるクラッタ抑圧処理を行う。
この方法により、符号相関処理前の前記S/Cは一般に
20〜50[dB]程度改善できるので、クラッタによ
る前記障害を大幅に軽減できる。この際、パルス間スタ
ガMTI処理を組み合わせる効果は、図2(C)に例示
するごとくMTIフィルタ8における周期的なブライン
ド周波数の出現回数を低減して信号検出性能の低下を微
小に抑えることにある。
【0036】さて、本発明の場合、曖昧さが伴わない距
離の測定範囲Rは、図2(A)に示す送信符号系列S
に対応する受信符号系列のパルス群(図2(B)に示
す。)が、次の送信符号系列Sk+1のパルス群に重な
らないことを条件として、
【数4】0<R<0.5(N−1)cT で表され、送信パルス周期Tをなす従来パルスレーダの
(N−1)倍に拡大される。一方ドップラ周波数f
測定範囲は、送信パルスの繰返し周期Tによって|f
|<0.5/Tとなり、結局、Rとfの上限値には、
【数5】 Rmax・|fd.max|=0.25c(N−1) の関係が成立する。
【0037】従って、ドップラフィルタ出力に雑音等の
不要成分が混在しても、距離ゲートごとの信号検出を行
うことによってによって、距離ゲート幅の精度で広範囲
の距離測定を、またドップラフィルタの帯域幅に応じた
精度で広範囲の速度を同時、直接測定できる。これは、
マルチPRFレンジングを行う従来の高または中PRF
レーダ方式とは対照的な特長である。
【0038】遠距離レーダへの応用で具体的数値による
設計例を示すと、 a 設計条件: レーダ周波数 f=3[GHz] 最大探知距離 Rmax=500[km] 最大相対速度 Vmax=700[m/s] (f
d.max=14[KHz]) b 設計値: 符号長 N=95 送信パルス繰返し周期 T=0.25c(1/fmax)=35.7[μ
s] 符号系列パルス群の時間幅 Tc=NT=3.36[ms] 同符号のパルス列におけるの時間間隔の下限値 T=2(N−1)T=6.71[ms] MTIフィルタの遅延タップ段数 Q=3 パルス間スタガ比:4パルス間スタガの場合 T:T:T:T=12:16:13:18 (n=12、n=16、n=13、n=18:
図4(C)参照) ドップラ周波数が0〜fd.max(=14[KH
z])で確率的に一様に起きる場合、パルス間スタガに
よる目標検出不能帯域比の低減効果 非スタガ時の目標検出不能帯域比:RBO=36[%]
の場合 スタガ時の目標検出不能帯域比:RBS≒RBO/n
=2.4[%]へ低減。 ここに、n=(n+n+n+n)=14.7
【0039】上記の設計条件に対して、従来のパルスレ
ーダでは図11により原理上直接対応できないが、本発
明によると要求された広範囲の距離と速度を同時、直接
測定可能な設計値を得ることができる。
【0040】
【実施例】第1の実施例として、図7は図1に示すシス
テム基本構成図における信号処理器11に機能を付加し
た信号処理器35の構成を示す。前記信号処理器11の
構成に対して、雑音などを目標信号として誤認する確率
を一定化して検出信号の信憑性を確保するための誤警報
率一定化(CFAR:Constant False
Alarm Rate)処理器33およびしきい値によ
る目標信号検出器34を組み合わせている。
【0041】図7で、ドップラ処理器10を複数のフィ
ルタバンクで構成する場合は、CFAR処理器33は各
ドップラフィルタの出力ごとに時間軸上の標本値で処理
するか、又は同じ量子化時間ごとに複数のドップラフィ
ルタ出力を標本値として処理する。後者の方法は、CF
AR処理器33が小規模構成で済む利点がある。なお、
ドップラ処理器10としてドップラ周波数を自動追尾す
るドップラトラッカを用いることも可能である。
【0042】図8は、第2の実施例として信号処理器3
8の構成を示す。図7に示す第1の実施例におけるドッ
プラ周波数の分解能およびS/Nの改善を図るため、ド
ップラ処理器10を2段階の処理とし、第1段階のドッ
プラ処理器10−1の各フィルタ出力ごとに第2段階の
ドップラ処理器10−2で更に狭帯域のドップラ処埋を
行うものである。CFAR処理器36および目標信号検
出器37の処理方法は、前記信号処理器35における場
合と同様である。
【0043】
【効果】以上のとうり本発明によれば、高または中繰返
し周波数のパルスを符号系列で周期的に符号化したレー
ダ波形を送受信し、同符号のパルス列の周期性を利用し
たクラッタ抑圧処理、長時間周期をもつ符号相関処理お
よび広範囲の周波数に亘るドップラ処理を行うことによ
り、様々なクラッタ環境下において、単一目標のみなら
ず多目標についても広範囲の距離と速度の同時、直接測
定が可能になるので、従来のパルスレーダ方式に付随す
る原理上の問題点を克服できる。この結果レーダシステ
ムの効率的な構成が可能になるとともに、目標情報の高
精度かつ短時間の収得により、システムをより有効に運
用することができる。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実現するための符号化パルスドップラ
レーダのシステム基本構成図である。
【図2(A)】
【図1】のシステムにおいてパルス間スタガを行うため
の変調信号である。
【図2(B)】受信機6内の位相検波器による出力の時
間領域波形である。
【図3】信号処理器11の機能系統図である。
【図4(A)】および
【図4(B)】非スタガ時におけるMTIフィルタ8へ
の入力信号周波数スペクトルとMTIフィルタ8の特性
を表す図である。
【図4(C)】2パルス間スタガ時におけるMTIフィ
ルタ8への入力信号周波数スペクトルとMTIフィルタ
8の特性を表す図である。
【図5】符号相関器9で同符号相関の場合の各タップ出
力を表す図である。
【図6】ドップラ処理器10の各フィルタ出力を表す図
である。
【図7】第1の実施例における信号処理器35の機能系
統図である。
【図8】第2の実施例における信号処理器38の機能系
統図である。
【図9】従来のパルスレーダによる距離測定の曖昧さの
発生原理を示す図である。
【図10】従来のパルスレーダによる速度測定の曖昧さ
の発生原理を示す図である。
【図11】従来のパルスレーダにおける曖昧さの発生し
ない距離および速度の測定範囲を表す図である。
【図12】従来の高または中PRFを用いたパルスドッ
プラレーダのシステム基本構成例を示す図である。
【図13】図12の距離ゲート切替器22において、距
離ゲート通過を示す図である。
【図14】図12におけるクラッタ除去フィルタ23の
動作原理を表す図である。
【0045】
【符号の説明】
1 符号発生器 2 変調器 3 送信機 4 送受切替器 5 空中線 6 受信機 7 スタガトリガ遅延回路 8 MTIフィルタ 9 符号相関器 10 ドップラ処理器 11 信号処理器 12 占有する時間幅Tをもつ各符号系列(S,S
k+1,・・)のパルス群 13 隣合う符号系列間における同符号パルスの時間
間隔 T=T−δT 14 隣合う符号系列間における同符号パルスの時間
間隔 T=T+δT 15 送信休止時間 Ts1 16 送信休止時間 Ts2 17 積算器 33 第1の実施例による信号処理器35におけるC
FAR処理器 34 信号処理器35における目標信号検出器 36 第2の実施例による信号処理器38におけるC
FAR処理器 37 信号処理器38における目標信号検出器
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繰返しパルスの送信波形を形成する変調器
    と、該送信波形の電力増幅を行う送信機と、該送信機の
    出力信号を送信し、かつ物体による反射波を受信する空
    中線と、該空中線から出力した受信信号を検波する受信
    機と、該受信機の出力信号を処理する信号処埋器を備え
    たパルスレーダにおいて、(イ)変調器(2)では、符
    号長Nの符号系列を周期的に用いて、各符号を一連の各
    繰返しパルスに順次対応する位相変調を行い、符号化し
    た時間周期Tの送信パルス列を形成し、この場合に、前
    記符号系列に対応する各符号化パルス群の間に2種類以
    上の異なる送信休止時間Tsi(≧(N−1)T、i≧
    2)を順次繰返し設けて、隣合う前記符号化パルス群間
    における同符号のパルス間隔を順次変えてパルス間スタ
    ガを行うか、又は前記送信休止時間Tsi=一定にして
    非スタガとし、(ロ)受信機(6)で復調された周期性
    の符号系列信号における同符号のパルス列が前記パルス
    間スタガをなす場合は、信号処理器(11)のスタガト
    リガ遅延回路7およびMTI(Moving Targ
    et Indication:移動目標検出)フィルタ
    (8)を介してスタガMTI処理を行い、一方前記非ス
    タガの場合はMTIフィルタ(8)を介して非スタガM
    TI処理を行い、(ハ)信号処理器(11)の符号相関
    器(9)は、送信パルス繰返し周期Tに等しい遅延時間
    ごとにN個のタップをもち、該タップにそれぞれ積算器
    (17)を備え、N個の前記積算器(17)では、MT
    Iフィルタ(8)の出力を順次受けて、前記位相変調に
    用いた符号系列信号との符号相関(積算)処理を同時に
    行い、それぞれの結果を並列に出力し、(ニ)信号処理
    器(11)のドップラ処理器(10)は、符号相関器
    (9)の各タップ出力を受けて、狭帯域ドップラ処理を
    行う。以上の機能を備えることを特徴とする符号化パル
    スドップラレーダ方式。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6812493B2 (en) 2000-04-04 2004-11-02 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Thin-film semiconductor element and method of producing same
JP2014173943A (ja) * 2013-03-07 2014-09-22 Toshiba Corp レーダ装置
JP2020144092A (ja) * 2019-03-08 2020-09-10 三菱電機株式会社 追尾処理装置
KR102311699B1 (ko) * 2020-04-09 2021-10-12 한화시스템 주식회사 레이다 장치 및 이를 이용한 표적 탐지 방법

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