JPH0612145B2 - ガスタービンエンジンロータ軸受用シール装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、軸受用シール装置に係り、より詳細には、ガ
スタービンエンジンロータの軸と共に回転するシールプ
レートと回転方向の動きに対し固定されたシール要素の
対向するシール面間にオイルが供給される強制潤滑式の
軸受用シール装置に於て、シール面間より半径方向内側
へ漏出したオイルを捕足し、これをシール装置を囲む軸
受コンパートメントへ戻すよう構成された強制潤滑式の
ガスタービンエンジンロータ軸受用シール装置に係る。

従来の技術 ガスタービンエンジンに於ては、軸受を囲むシール装置
の一つとして、半径方向に延在する第一のシール面を有
し回転軸と共に回転するシールプレートと、半径方向に
延在し前記第一のシール面に対向する第二のシール面を
有し回転方向の動きに対し固定されたシール要素と、前
記第一のシール面と前記第二のシール面の間にオイルを
供給する手段と、前記第一のシール面と前記第二のシー
ル面の間より半径方向外側へ流れたオイルを収容するオ
イル回収手段とを有する強制潤滑式の軸受用シール装置
が知られている。

発明が解決しようとする課題 かかる軸受用シール装置に於て、シールプレートとシー
ル要素のシール面間に供給されたオイルの一部がシール
面間より半径方向内側へ流出すると、このオイルはシー
ル装置外への漏洩オイルとなり、これが発火してエンジ
ンに火災を起させる危険がある。しかしシール装置の近
傍に残された空間は僅かであり、この部分に上記の漏洩
オイルを回収するための特別の機械的装置を設けること
は困難である。

本発明は、シール装置の近傍に特別の機械的装置を付加
することなく、上記の漏洩オイルをオイルオイル回収手
段内に回収することのできる軸受用シール装置を提供す
ることを課題としている。

課題を解決するための手段 上記の課題は、本発明によれば、半径方向に延在する第
一のシール面を有し回転軸と共に回転するシールプレー
トと、半径方向に延在し前記第一のシール面に対向し且
接触する第二のシール面を有し少なくとも回転方向の動
きに対し固定されたシール要素と、前記第一のシール面
と前記第二のシール面の間にオイルを供給する手段と、
前記第一のシール面と前記第二のシール面の間より半径
方向外側へ流れたオイルを収容するオイル回収手段とを
有する強制潤滑式のガスタービンエンジンロータ軸受用
シール装置に於て、 前記シールプレートと前記シール要素とは、互いに共働
して、前記第一のシール面と前記第二のシール面の半径
方向内側に、前記第一のシール面と前記第二のシール面
の間より半径方向内側へ流出したオイルを受ける周方向
溝を形成しており、 前記シールプレートは、半径方向内端にて前記周方向溝
内に開口し半径方向外端にて前記オイル回収手段内に開
口し実質的に半径方向に延在して前記シールプレートの
回転に伴なって遠心ポンプ作用を行う通路、を有してい
ることを特徴とするガスタービンエンジンロータ軸受用
シール装置によって達成される。

作用 上記の構成によれば、シールプレートとシール要素のシ
ール面間を通ってその半径方向内側に流出したオイル
は、前記周方向溝内に受止められ、これより回転軸と共
に回転するシールプレートの回転に伴い、シールプレー
ト内に実質的に半径方向に形成された前記通路に生ずる
遠心ポンプ作用により該通路内に吸込まれ、該通路の半
径方向外端よりオイル回収手段内へ戻されるので、シー
ルプレートとシール要素の内周の一部に周方向の窪みを
設けてそこに前記周方向溝を形成することと、シールプ
レートの一部に実質的に半径方向に延在する通路を穿設
することにより、何ら格別の部材を追加することなく漏
洩オイルを確実にオイル回収手段内に回収することがで
きる。

実施例 以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施例について
詳細に説明する。

図示の実施例はガスタービンエンジンに適用されたもの
であり、ガスタービンエンジンは一群のコンプレッサブ
レードと一群のタービンブレードとを連結する軸２を有
している。軸２上には軸受のインナレース４が装着され
ており、該インナレースはシールプレート２０へオイル
を供給するための複数個の軸線方向溝６を有している。
軸受要素８がインナレース４とアウタレース１０との間
に配置されており、アウタレース１０は該アウタレース
と筒状部１６との間に支持体として配置された減衰リン
グ１４を介して軸受支持体１２より支持されている。

また軸２上にはインナレース４の一端に於て環状のシー
ルプレート２０が装着されており、該シールプレートは
その外周縁近傍に半径方向シール面２２を有している。
シールプレート２０のボア２３には溝６の一端に近接し
た位置にて切欠２４が設けられており、これにより溝６
より受けたオイルはシールプレートに設けられたオイル
通路２６へ供給されるようになっており、かかるオイル
通路２６はシールプレート２０を貫通して切欠２４より
シール面２２まで延在している。オイル通路２６はエン
ジンが運転されている時には遠心力によりオイルが切欠
２４よりシール面２２へ圧送されてシール面が潤滑され
るよう半径方向外方へ延在している。かくして溝６、切
欠２４、オイル通路２６は後述の溝６６と共に後述のシ
ール面２２と３８の間にオイルを供給する手段を構成し
ている。

シールプレート２０はインナレース４とスリーブ２８と
の間にて軸２上にクランプされており、スリーブ２８は
その外周縁にシールフィン３０を有している。これら三
つの要素、即ちインナレース４、シールプレート２０、
スリーブ２８は、それらが軸２の軸線方向に不動であり
且軸と共に回転し得るよう図には示されていない適宜な
手段により軸２上に固定的に保持されている。

シールプレート２０と共働する環状カーボンシール要素
３２がフランジ３６を有するスリーブ３４内に担持され
ており、カーボンシール要素３２はシールプレート２０
のシール面２２と共働する半径方向シール面３８を有し
ている。このカーボンシール要素３２は円筒状内周面４
０を有しており、該円筒状内周面の直径はシール面３８
の中央部の直径とほぼ同一の直径であることが好まし
い。

カーボンシール要素３２は支持ハウジング４２により軸
２の周りの所定の位置に支持されており、支持ハウジン
グ４２はボルト４４により軸受支持体１２に固定されて
おり、円筒部４６を有している。円筒部４６の内周面４
８はシールフィン３０に間近に近接してこれより隔置さ
れており、円筒部４６の外周面５０はカーボンシール要
素３２の内周面４０と係合するピストンリング５４を受
ける溝５２を有している。かくしてカーボンシール要素
３２は軸線方向に運動可能であり、これによりシール面
２２及び３８は軸線方向に配設されたばね６２により互
いに接触した状態に保持されるようになっている。

シールプレート２０及びカーボンシール要素３２は、互
いに共働するシール面２２及び３８の内縁部に於て、互
いに係合するシール面間より漏洩したオイルを受ける溝
５６を構成するような形状に形成されている。またシー
ルプレート２０は幾つかの傾斜通路５８を有しており、
かかる傾斜通路５８は溝５６の底面よりシールプレート
２０の外縁部まで延在し、シール装置を囲繞する軸受コ
ンパートメント６０と連通している。軸受コンパートメ
ント６０は軸受支持体１２と支持ハウジング４２とによ
りシール装置の周りに形成された室空間であり、シール
装置を強制潤滑した後のオイルを収容するオイル回収手
段を構成している。軸受コンパートメント６０はエンジ
ンの運転中にはその内部に収集されたオイルを除去すべ
く掃気される。カーボンシール要素３２の内縁部６４は
シールプレート２０に設けられた溝５６より半径方向内
方の位置に位置されており、これにより溝５６に導かれ
たオイルを遠心力による圧送によって軸受コンパートメ
ント６０へ戻すための圧力水頭が発生されるようになっ
ている。

作動に於ては、高圧のシール空気がシールフィン３０の
図にて右側に供給され、この高圧のシール空気はシール
フィン３０を通過してカーボンシール要素３２とスリー
ブ２８との間の空間へ流入し、このシール空気の圧力及
びばね６２の作用によりカーボンシール要素３２がシー
ルプレート２０に押付けられた状態に保持され、これに
よりシール面２２及び３８が互いに接触した状態に保持
される。

溝６の半径方向外方の表面はシールプレートへ向かうに
つれて軸２の軸線より離れる方向へ傾斜しているので、
オイルは溝６の一端より供給されると遠心力により溝６
に沿って強制的に流される。かくして溝６内へ流入した
オイルは遠心力によって通路２６内へ導かれ且通路２６
を経て流され、互いに係合するシール面２２及び３８を
潤滑する。互いに係合するシール面２２及び３８の間よ
り溝５６へ漏出したオイルは遠心力によって半径方向外
方へ圧送され通路５８より軸受コンパートメント６０内
へ吐出される。この作用は軸受コンパートメント６０内
に或る圧力が存在する場合にも発生する。軸受コンパー
トメント６０内の圧力は一般にはシールフィン３０へ供
給されるシール空気の圧力ほど高くはない。通路５８は
通路２６と交差することがないよう、第２図に示されて
いる如く通路２６より周縁方向に隔置されている。更
に、通路５８は軸受コンパートメント６０内へ漏出する
高温の空気（その場合空気はオイル通路２６より吐出さ
れたオイルにより軸受コンパートメントへ導かれ且急冷
される）の量が最小限に抑えられるような大きさ及び数
に設定されている。

通路２６内のオイルは、シール面２２及び３８を潤滑す
るためだけでなくシールプレート２０を冷却するために
も使用される。このことを達成するためには、オイルは
十分な流量にて供給されなければならない。シール面２
２に於ける通路２６の端部には周縁方向に延在する短い
溝６６が設けられている。これらの溝６６は軸受コンパ
ートメント６０に通ずる半径方向通路６８と連通してい
る。かくして冷却の目的で通路２６、溝６６、通路６８
を経てオイルが連続的に流れ、また溝６６内のオイルは
シール面２２及び３８を潤滑する作用をなす。

効果 シール面２２、３８を潤滑したオイルのうち、シール要
素３２とシールプレート２０及びスリーブ２８の間の空
間に漏出したオイルは、傾斜通路５８より軸受コンパー
トメント６０内に排出される。

従って、シール要素３２とシールプレート２０及びスリ
ーブ２８との間の空間に漏出したオイルが更に軸受コン
パートメント６０の外方に漏出することが防止され、こ
れによりエンジンの火災等の危険が回避される。

傾斜通路５８より軸受コンパートメント６０内へのオイ
ルの排出は遠心力を利用する為、複雑な排出装置を必要
としない。

以上に於ては本発明を特定の実施例について詳細に説明
したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではな
く、本発明の範囲内にて種々の実施例が可能であること
は当業者にとって明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を組込まれた軸受／シール組立体を軸線
に沿って切断して示す断面図である。 第２図はシールプレートを示す拡大部分正面図である。 第３図は第１図に示された軸受／シール組立体の要部を
示す拡大部分断面図である。 ２……軸，４……インナーレース，６……軸線方向溝，
８……軸受要素，１０……アウタレース，１２……軸受
支持体，１４……減衰リング，１６……筒状部，２０…
…シールプレート，２２……シール面，２３……ボア，
２４……切欠，２６……オイル通路，２８……スリー
ブ，３０……シールフィン，３２……カーボンシール要
素，３４……スリーブ，３６……フランジ，３８……シ
ール面，４０……内周面，４２……支持ハウジング，４
４……ボルト，４６……筒状部，４８……内周面，５０
……外周面，５２……溝，５４……ピストンリング，５
６……溝，５８……傾斜通路，６０……軸受コンパート
メント，６２……ばね，６４……内縁部，６６……溝，
６８……半径方向通路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−31054（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】半径方向に延在する第一のシール面（２
   ２）を有し回転軸（２）と共に回転するシールプレート
   （２０）と、半径方向に延在し前記第一のシール面に対
   向し且接触する第二のシール面（３８）を有し少なくと
   も回転方向の動きに対し固定されたシール要素（３２）
   と、前記第一のシール面と前記第二のシール面の間にオ
   イルを供給する手段（６、２４、２６、６６）と、前記
   第一のシール面と前記第二のシール面の間より半径方向
   外側へ流れたオイルを収容するオイル回収手段（１２、
   ４２、６０）とを有する強制潤滑式のガスタービンエン
   ジンロータ軸受用シール装置に於て、 前記シールプレートと前記シール要素とは、互いに共働
   して、前記第一のシール面と前記第二のシール面の半径
   方向内側に、前記第一のシール面と前記第二のシール面
   の間より半径方向内側へ流出したオイルを受ける周方向
   溝（５６）を形成しており、 前記シールプレートは、半径方向内端にて前記周方向溝
   内に開口し半径方向外端にて前記オイル回収手段内に開
   口し実質的に半径方向に延在して前記シールプレートの
   回転に伴なって遠心ポンプ作用を行う通路（５８）、を
   有していることを特徴とするガスタービンエンジンロー
   タ軸受用シール装置。