JPH06105911A - 医療用液体投与装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】液体バッグと、液体バッグを加圧する加圧手
段、液体バッグから押し出される液体の流量又は流速を
定量に調整するための流量又は流速定量調整手段からな
る医療用液体投与装置。 【効果】モーター等による大きな駆動音がなく、機械的
な故障が少なく信頼性があり、一定量速度で液体を投与
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、医療用液体投与装置に
関し、詳しくはモーター駆動ポンプを使用しなくとも一
定量速度で液体を投与することができる医療用液体投与
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】医療分野においては、治療上あるいは体
力維持上、薬液や栄養液が患者の体内に供給されてい
る。この体内への供給は、薬液や栄養液を一定速度で送
り込む必要からポンプが使用されることが多くなってい
る。例えば、輸液ポンプとしては、チューブを複数の押
え棒により順次押えてチューブ内の輸液を押し出すこと
ができるフィンガーポンプや、ローラをチューブ上で移
動させることによりチューブ内の輸液を押し出すことが
できるローラーポンプ等が使用され、投与量の正確さ
と、省力化に貢献してきた。しかしながら、これらの従
来のポンプは、モーター等による駆動であるため、音が
大きく、あるいはチューブが痛み易いなどの機械的な故
障が多く信頼性にも問題があるという欠点があった。ま
た、チューブとの組合せが必要であり、チューブを使用
できない場合にはポンプとして機能できないという欠点
があった。さらに、上記従来の医療用ポンプは、高価格
であり、汎用医療用ポンプとしては経済上の制限があっ
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
医療用ポンプの欠点に鑑み、モーター等による大きな駆
動音がなく、機械的な故障が少なく信頼性があり、一定
量速度で液体を投与することができる医療用液体投与装
置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意検討した結果、液体の押出し動
力手段として液体バッグを加圧する手段を用いて液体バ
ッグから液体を押出すことにより、さらに投与される液
体の流量又は流速を定量に調整するための流量又は流速
定量調整手段を用いることにより、上記課題を解決し、
モーター等による大きな駆動音がなく、機械的な故障が
少なく信頼性がある医療用液体投与装置を見出し、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、液体バッグと、液体バッグを加圧する加圧手
段と、液体バッグから押し出される液体の流量又は流速
を定量に調整するための流量又は流速定量調整手段から
なることを特徴とする医療用液体投与装置を提供するも
のである。以下、本発明を詳細に説明する。

【０００５】本発明の医療用液体投与装置において使用
する液体バッグとしては、液体を充填することができる
柔軟性があり、かつ加圧手段による加圧に耐える耐圧性
がある袋であれば種々の袋を使用することができ、例え
ば輸液バッグとして通常使用されているソフトバッグが
挙げられる。液体バッグの材質としては、種々のプラス
チック、ゴムなどが使用できるが、例えば軟質ポリ塩化
ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンな
どが挙げられる。この液体バッグには、患者に投与する
薬液などの液体が充填されるものである。

【０００６】本発明の医療用液体投与装置において使用
する加圧手段は、液体バッグを加圧するものであり、例
えば、圧力バッグを液体バッグに圧し当てて液体バッグ
を加圧する方法、重り荷重を液体バッグに圧し当てて液
体バッグを加圧する方法、加圧板を液体バッグの両側か
ら圧し当てて液体バッグを加圧する方法などが挙げられ
る。圧力バッグは、液体バッグに接して配置され、圧力
バッグが膨らむことにより、液体バッグに圧力を加える
ものである。圧力バッグは、加圧流体を充填し、膨らむ
ことができる耐圧性の種々のバッグを使用することがで
きるが、膨らみ易いものが好ましい。圧力バッグの材質
としては、ゴム、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンな
どが好ましい。圧力バッグによる液体バッグへの加圧を
よりかけ易くするため、圧力バッグと液体バッグの接触
面を単一膜により構成すること、圧力バッグを液体バッ
グに接着すること、圧力バッグと液体バッグを接して網
袋をかぶせること、圧力バッグと液体バッグを接して枠
に入れることなどが好ましい。なお、液体バッグは、内
部に充填されている液体が順次押し出されるとその体積
は小さくなるので、圧力バッグにより加圧する場合は圧
力バッグを順次膨らませることにより圧力を加えること
ができる。圧力バッグに充填される流体は、加圧できる
流体であれば特に制限されるものではなく、種々の流体
を使用することができるが、例えば空気、ヘリウム、窒
素などの気体、フレオンなど気化し易い揮発性液体など
が挙げられる。圧力バッグに加圧気体を充填する手段と
しては、種々の加圧流体供給機器により行うことがで
き、例えば空気を押し出すことができるゴムボールによ
り充填する方法、病院内に配管されている空気又は窒素
などの気体ラインから気体を抜き出して充填する方法、
空気ボンベ又は窒素ボンベなどの各種気体ボンベから気
体を抜き出して充填する方法、気化し易い揮発性液体を
入れた容器を加熱することにより気化気体を充填する方
法などが挙げられる。また、液体バッグとしてソフトタ
イプの輸液バッグを使用する場合は、加圧手段として、
加圧流体供給機器から供給される流体を溜める高圧圧力
バッグと、高圧圧力バッグから供給される流体を溜める
低圧圧力バッグの二段階圧力バッグ方式にして、高圧圧
力バッグと低圧圧力バッグの間に圧力調整手段を設けて
いる加圧手段を使用し、液体バッグに高圧がかからない
ようにすることが好ましい。なお、低圧圧力バッグの圧
力は、通常１０〜２００cm水柱の範囲が好ましい。

【０００７】本発明の医療用液体投与装置においては、
液体バッグから押し出される液体の流量又は流速を定量
に調整するための流量又は流速定量調整手段が必要であ
る。流量又は流速定量調整手段としては、液体バッグか
ら押し出される液体の流量又は流速を定量にすることが
できる種々の調整手段を使用することができるが、例え
ばゴムオリフィスなどのオリフィスを液体バッグから押
し出される液体の流路に設けて、液体の圧力が大きいと
オリフィス径が小さくなり、逆に液体の圧力が小さいと
オリフィス径が大きくなることにより流量又は流速を定
量に調整することができるオリフィス型、流路中に定速
回転ベーン（羽根車）などを置き、これにより流量又は
流速を定量に調整することができる容積押し退け型、液
体バッグから押し出される液体の流路に流量センサー又
は流速センサーを取り付けて、そのセンサーと流量又は
流速コントローラーを連動させ、電気的信号などにより
弁の開閉度を作動調整することにより流量又は流速を定
量に調整することができるコントローラー型などが挙げ
られる。流量センサー又は流速センサーとしては、ホッ
トフイルム式半導体センサー、ドロップセンサーなどの
種々のセンサーを使用することができる。コントローラ
ー型流量又は流速定量調整手段としては、液体バッグか
ら押し出される液体の流路のまず一次側に流量定量調整
手段を有し、続いて二次側に流量定量調整手段、流速定
量調整手段及び流速センサーを有するものを用いること
により一層容易に定量に調整することができる。一次側
に取り付けられている流量定量調整手段は、液体バッグ
から押し出される液体が高流量である場合に、その高流
量を停止するストッパーの働きをするものであり、二次
側に取り付けられている流量又は流速定量調整手段の調
整をよりやり易くするためのものである。この一次側に
取り付けられる高流量のストッパーとして働く流量定量
調整手段は、通常１０cm³／分以下の流量にするように
調整することが好ましい。なお、ゴムオリフィスは、圧
力によりオリフィス全体が変形してオリフィス径が小さ
くなるものでよく、圧力によりオリフィス部のみが変形
してオリフィス径が小さくなるものでもよい。

【０００８】

【作用】上記構成の医療用液体投与装置は、加圧手段に
より液体バッグが加圧され、それにより液体バッグから
押し出される液体の流路に流量又は流速を定量に調整す
るための流量又は流速定量調整手段を設けることによ
り、液体バッグから押し出される液体の流量又は流速を
定量速度にすることができる。

【０００９】次に、本発明の医療用液体投与装置の実施
例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、
これらの例によって何ら限定されるものではない。第１
図は、本発明の医療用液体投与装置の一実施例を示す概
略図である。図中、加圧手段は加圧流体供給機器１（ゴ
ムボール）と圧力バッグ２から成り、加圧流体供給機器
１から加圧流体（空気）が圧力バッグ２内に充填され
る。これにより圧力バッグ２が膨らみ、圧力バッグ２内
が加圧される。この圧力バッグ２は、ゴム製のバッグで
あり、その上部に圧力調整弁３が設けられており、必要
に応じて内部の気体を抜き出して圧力バッグ２内の圧力
を調整することができる。圧力バッグ２は、輸液バッグ
４に接しており、圧力バッグ２及び輸液バッグ４の外側
には網袋５がかぶせられており、圧力バッグ２の圧力が
輸液バッグ４にかかり易くなっている。圧力バッグ２に
より、輸液バッグ４が加圧されると輸液バッグの下部に
ある輸液管６から輸液バッグ４の内部に充填されいる輸
液が押し出される。この輸液管６には、ゴムオリフィス
７が取り付けられており、輸液バッグ４にかかる圧力が
大きくなるとゴムオリフィス７のオリフィス径が小さく
圧縮され、一方輸液バッグ４にかかる圧力が小さくなる
とゴムオリフィス７のオリフィス径が元の形状に戻って
大きくなり、加圧バッグ、即ち輸液バッグの圧力が多少
変動してもこれにより輸液バッグ４から押し出される液
体の流量又は流速を実質上定量速度に調整することがで
きる。輸液バッグ４から順次輸液が押し出されると、輸
液バッグ４の体積が小さくなり、徐々に輸液バッグ４の
圧力が小さくなるので、ある範囲を下回ると圧力バッグ
は押し出し時間の経過につれて順次膨らませることが必
要になることもある。

【００１０】第２図は、本発明の医療用液体投与装置の
他の実施例を示す概略図であり、第１図の加圧流体供給
機器１を窒素ラインとし、加圧後切り離すことができる
この加圧流体供給機器１と圧力バッグ２の間に高圧圧力
バッグ８及び圧力調整機器９を取り付けたものである。
図中、輸液バッグ４及び圧力バッグ２は、第１図の例と
同じでよい。前記例で時々必要であった一定時間後の加
圧を省略するため、加圧流体供給機器１から供給される
高圧流体をまず高圧圧力バッグ８に溜めている。加圧流
体供給機器１と高圧圧力バッグの間には弁１５が設けら
れており、加圧流体供給機器１と弁１５の間で切り離す
ことができる。この高圧圧力バッグ８には、圧力調整弁
３が取り付けられており、圧力調整弁３単独であるいは
弁１５と共に内部の圧力を調整することができる。この
高圧圧力バッグの圧力は、１kg／cm²であった。また、
高圧圧力バッグ８から送り出される加圧流体は、圧力調
整機器９により圧力を調整されて低圧圧力バッグ２に送
り込まれる。なお、低圧圧力バッグ２の上部には圧力調
整弁１０が取り付けられており、低圧圧力バッグ内の圧
力を調整することができる。この低圧圧力バッグの圧力
は、１００cm水柱であった。このように、加圧された低
圧圧力バッグ２により、第１図の医療用液体投与装置と
同様に輸液バッグ４から輸液が定量速度で投与すること
ができる。

【００１１】第３図は、本発明の医療用液体投与装置の
他の実施例を示す概略図であり、第１図のゴムオリフィ
ス７の代わりに、流量調整機器１３、流速センサー１１
及び流量又は流速コントローラー１２から成る流量定量
調整機器を使用したものである。図中、輸液管６に取り
付けられている流速センサー１１が、輸液の流速を測定
し、この測定データを流量又は流速コントローラー１２
に送り、これにより流量調整機器１３の開閉度を調整す
ることができる。つまり、輸液の流速が速いと、流量又
は流速コントローラー１２は、その輸液の流速データを
受けて流量調整機器１３に対して流量調整弁の開閉度を
小さくするように指示を出し、流量調整機器１３の流量
調整弁の開閉度が小さくなる。一方、輸液の流速が遅い
と、流量又は流速コントローラー１２は、その輸液の流
速データを受けて流速調整機器１３に対して流量調整弁
の開閉度を大きくするように指示を出し、流量調整機器
１３の流量調整弁の開閉度が大きくなる。このような調
整手段により輸液流量を定量速度にすることができる。

【００１２】第４図は、本発明の医療用液体投与装置の
他の実施例を示す概略図であり、第３図の流量定量調整
機器に加えて、さらに輸液管の一次側に流速調整機器１
４を使用したものである。図中、第３図の医療用液体投
与装置と同様に輸液管６に取り付けられている流速セン
サー１１が、輸液の流速を測定し、この測定データを流
量又は流速コントローラー１２に送り、これにより流量
調整機器１３の開閉度を調整することができる。なお、
輸液管６の一次側に取り付けられている流速調整機器１
４は、高流量ストッパーの機能を有するものであり、流
速調整機器１４の下流に取り付けられている流量定量調
整機器の調整をやり易くするものである。この流速調整
機器１４により、この機器の下流の流速を５cc／分以下
にした。このような調整手段により、第３図の医療用液
体投与装置よりもさらに輸液流量を定量速度にすること
ができる。

【００１３】

【発明の効果】本発明の医療用液体投与装置は、モータ
ー等による大きな駆動音がなく、チューブを使用しない
ので機械的な故障が少なく信頼性があり、定量速度で液
体を投与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１図は、本発明の医療用液体投与装置の一実
施例を示す概略図である。

【図２】第２図は、本発明の医療用液体投与装置の他の
実施例を示す概略図である。

【図３】第３図は、本発明の医療用液体投与装置の他の
実施例を示す概略図である。

【図４】第４図は、本発明の医療用液体投与装置の他の
実施例を示す概略図である。

【符号の説明】

１ 加圧流体供給機器 ２ 圧力バッグ ３ 圧力調整弁 ４ 輸液バッグ ５ 網 ６ 輸液管 ７ ゴムオリフィス ８ 高圧圧力バッグ ９ 圧力調整機器 １０ 圧力調整弁 １１ 流速センサー １２ 流量又は流速コントローラー １３ 流量調整機器 １４ 流速調整機器 １５ 弁

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】液体バッグと、液体バッグを加圧する加圧
   手段と、液体バッグから押し出される液体の流量又は流
   速を定量に調整するための流量又は流速定量調整手段か
   らなることを特徴とする医療用液体投与装置。
2. 【請求項２】加圧手段が、加圧流体供給機器、加圧流体
   供給機器から供給される流体を溜める高圧圧力バッグ、
   高圧圧力バッグから供給される流体を溜める低圧圧力バ
   ッグ、及び高圧圧力バッグと低圧圧力バッグの間に設置
   される圧力調整手段から成る請求項１記載の医療用液体
   投与装置。
3. 【請求項３】液体バッグから押し出される液体の流路に
   流速センサーを有する請求項１又は２記載の医療用液体
   投与装置。
4. 【請求項４】流速又は流速定量調整手段が、液体バッグ
   から押し出される液体の流路のまず一次側に流量定量調
   整手段を有し、続いて二次側に流量定量調整手段、流速
   定量調整手段及び流速センサーを有するものである請求
   項１記載の医療用液体投与装置。
5. 【請求項５】加圧手段が、気化しやすい液体を内蔵する
   ものである請求項１記載の医療用液体投与装置。