JPH06105806B2 - 導波路型レ−ザ - Google Patents

導波路型レ−ザ

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JPH06105806B2
JPH06105806B2 JP60262270A JP26227085A JPH06105806B2 JP H06105806 B2 JPH06105806 B2 JP H06105806B2 JP 60262270 A JP60262270 A JP 60262270A JP 26227085 A JP26227085 A JP 26227085A JP H06105806 B2 JPH06105806 B2 JP H06105806B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、溶接、切断などを行うレーザ加工分野や、コ
ヒーレント光通信、大気汚染物質の検出などの分野に有
用なレーザ、特に小型高効率の導波路型気体レーザに関
するものである。
[従来の技術] 横方向に高周波放電を励起するための対向する一対の金
属電極と、ガラス・アルミナなどの対向する一対の誘電
体とで囲まれた矩形の中空導波路からなる導波路型レー
ザが種々提案されている(米国特許第4,169,251号明細
書、米国特許第4,352,188号明細書)。
このような横方向RF放電励起導波路型レーザは、縦方向
DC放電励起導波路型レーザと比較して次のような特徴を
もつ。
小型である。
発振波長同調範囲が広い。
高効率である(正抵抗放電で安定抵抗を必要としな
い)。
高電圧を必要としない。
封止長寿命化が期待される。
一方、金属電極が導波路壁の一部を構成する金属−誘電
体複合導波路構造の導波路型レーザとは別に、全てをア
ルミナやガラスなどの誘電体で導波路を構成し、金属電
極と封入ガスとを非接触にしてRF放電を行う方式も検討
されている(C.P.Christenser,F.X.Powell,and N.Djeu,
IEEE J.Quantum Electron.,QE-16,949(1980))。
[発明が解決しようとする問題点] 金属電極が導波路の一部を構成する導波路型レーザで
は、導波路幅が小さい程、あるいは導波路長が長い程、
導波損失が無視できなくなり、高効率のレーザ出力が得
られない。導波損失を小さくすべく、対向する電極間隔
を離して偏平の矩形導波路を構成し、電極は導波特性に
寄与しない構造とする試みもなされているが、長辺方向
に多モード発振したり、出射ビームが楕円になるという
問題が生じる。
導波路の全てを誘電体で構成した導波路型レーザでは、
放電が安定に行われ、スパッタリングや酸化による金属
電極の劣化がないという特徴を有するが、冷却効果とい
う点では有利でない。アルミナは比較的熱伝導が良好な
誘電体であるが、アルミニウムや銅などの金属ではさら
に熱伝導率が大きく、金属電極が導波路の一部を構成す
る構造の方がより大きな冷却効果が期待できる。ガラ
ス、アルミナ、アルミニウム、銅の熱伝導率はそれぞれ
3.2×10-3cal/cm sec℃、0.06cal/cm sec℃、0.487cal/
cm sec℃、0.923cal/cm sec℃である。ベリリアは熱伝
導率が0.5cal/cm sec℃と高く、アルミナやガラスのか
わりに導波路を構成するには最良の材料であるが、有毒
物質であることから、レーザ製作上問題があり、導波路
型レーザの材料としては敬遠されている。
本発明は以上述べた従来技術の問題点を解決すべく創案
されたもので、効率の高い発振が可能であり、しかも冷
却効果に優れた導波路型レーザの提供を目的とするもの
である。
[問題点を解決するための手段] 本発明では、対向する一対の金属電極および対向する一
対の誘電体とで中空導波路を形成する導波路型レーザに
おいて、対向する一対の金属電極の表面に発振波長での
吸収損失が小さな薄膜を形成し、導波路幅が小さくと
も、導波損失を小さくでき、高効率発振を実現できるよ
うにした。
金属電極に使用される材料としては、複素屈折率の絶対
値が誘電体のそれよりも十分大きいか、又は複素屈折率
の虚数部が実数部よりも十分大きい材料であり、例えば
Cu、Ag、Au、Alなどがあげられる。
波長10.6μmにおけるこれらの各材料の複素屈折率は、
Cu:14.1−j64.5、Ag:13.5−j75.2、Au:17.2−j56.0、A
l:20.5−j58.6である。これらの材料は熱伝導率も高
く、大きな冷却効果をあげることができる。
誘電体に使用される材料としては、表面が滑らかなガラ
ス、熱伝導率が比較的良好なアルミナ等のセラミック、
ガスの封じ込めに適したふっ素樹脂等の高分子樹脂など
の用いられる。
金属電極の表面に形成する薄膜は発振波長帯において複
素屈折率の虚数部が実数部に比較して十分無視できる吸
収の小さな材料であり、例えば波長10.6μmにおいては
ZnSe、Ge、NaCl、KCl、KRS−5、CdTe、Si、ZnS、PbF2
などの他、カルコゲナイドガラスなどがあげられる。光
波帯では電磁波の重要な伝送媒体となりうるこのような
物質は全て誘導体としてふるまうが、金属表面に形成し
てもPR放電であるため安定に放電がなされる。
このように、金属電極が吸収の小さい薄膜でコーティン
グされることにより、単に電極の役目だけでなく、低損
失な導波路壁が構成され、さらに高い冷却効果を保ちな
がら電極表面の劣化を防止し、より小型で高効率の導波
路型レーザが得られる。
[実施例] 第1図は本発明の一実施例の説明図であり、導波路型レ
ーザの導波路断面の概略を示したものである。
1は金属電極、2は誘電体、3は金属電極1の表面にコ
ーティングにより形成された薄膜、4は中空導波路であ
る。
金属電極1は整合回路を介してRF電源と接続され横方向
にRF放電を行う。金属電極1は例えば熱伝導率が良好な
銅が用いられる。
誘電体2は例えば表面が滑らかなガラスが用いられる。
薄膜3は例えばセレン化亜鉛(ZnSe)が用いられ、スパ
ッタリングや真空蒸着により容易に形成できる。ゲルマ
ニウム(Ge)を用いる場合にはめっきによっても容易に
形成できる。
レーザ放電路としての導波路4は、薄膜3がコーティン
グされた金属電極1と誘電体2とで囲まれ、出力強度分
布を円形分布に近づけるため断面が正方形状に近い(2a
2b)形状になっている。導波路4内には例えばガス圧
約100〜200torrのHe、CO2、N2などの混合ガスが封入さ
れる。導波路4の両端には平板あるいは凹面状の全反射
鏡と部分透過鏡がとりつけられ、レーザ光は部分透過鏡
を通して出力される。
導波路型レーザにおいて、レーザの出力Pは、 と表される。
ここで、T1、T2は導波路両端の鏡における透過率であ
り、一方の鏡が全反射鏡(T1=0)のときT2=2Tであ
る。Lc1、Lc2は導波路両端の鏡における結合損失であ
り、平面鏡を導波路端に十分近接して置けば、Lc1.5
%とすることができる。1は導波路長であり、Aはモー
ドの断面積で、導波路断面が正方形(2a=2b)のとき、 A=(0.49a)π (4) で与えちれる。g0は小信号利得で、圧力拡がりのときの
相似則によれば、g0は導波路幅に依存しない。Isは飽和
強度で、圧力pの2乗に比例し、導波路幅の2乗に反比
例する。Lwは導波損失である。第1図に示すような導波
路型レーザでは、このLwを従来のものより小さくするこ
とができるので小型高効率のレーザを得ることができ
る。矩形導波路における導波損失Lwは、2次元中空スラ
ブ導波路におけるTEモードとTMモードとの導波損失の和
によって評価される。
第2図に銅、ガラス、そしてセレン化亜鉛(ZnSe)をコ
ーティングした銅によって構成した各種中空スラブ導波
路のTMoモード(A,C,E)とTEoモード(B,D,F)の伝送損
失の計算値を示す。このように金属の表面に適当な膜厚
をもつ吸収の小さい薄膜がコーティングされた金属中空
導波路(E,F)では、TEモードとTMモードとの伝送損失
が逆転したり、あるいはともに誘電体中空導波路(C,
D)のTE、TMモードよりも低損失になることが示される
(M.Miyagi,A.Hongo,and S.Kawakami,IEEE J.Quantum E
lectron.,QE-19,136(1983))。
まず、従来の導波路型レーザ(第1図において薄膜3が
存在しない場合)の導波損失について検討する。
電界が金属電極1に対し平行な最低次モードを▲EX 11
モード、電界が金属電極に対し垂直成分をもつモードを
▲EY 11▼モードを呼ぶことにする。
▲EX 11▼モードの伝送損失α(▲EX 11▼)は、 と表される。ここで、λは波長でλ=10.6μmとしてい
る。nm−jKmは金属電極1の複素屈折率で銅を選びnm−j
Km=14.1−j64.5としている。nd−jKdは金属電極1を絶
縁する誘電体2の複素屈折率で、ガラスを選びnd−jKd
=2.1−j1.15としている。2aおよび2bはそれぞれ誘電体
2,2間、金属電極1,1間の導波路幅である。また、Reは複
素数の実数部を表している。式(5)の第1項は銅スラ
ブ導波路のTEoモードの導波損失、第2項はガラススラ
ブ導波路のTMoモードの導波損失に相当する。
一方、▲EY 11▼モードの伝送損失α(▲EY 11▼)は、 と表される。式(6)の第1項は銅スラブ導波路のTMo
モードの導波損失、第2項はガラススラブ導波路のTEo
モードの導波損失に相当する。
以上より2a2bの従来の導波路型レーザでは、より低損
失な▲EX 11▼モードが伝搬モードとなりその損失は誘電
体スラブ導波路のTMモードの損失で主に評価される。
次に第1図に示すように薄膜3をコーティングした導波
路型レーザの導波損失を検討する。吸収の小さな薄膜を
コーティングした金属スラズ導波路のTE,TMモードの伝
送損失は、第2図に示してあるように薄膜の膜厚によっ
て周期的に変化する。薄膜の厚さtが、 を満足するとき、▲EX 11▼モードの伝送損失α(▲EX 11
▼)は、 と表される。ここで、nfは金属電極1にコーティングす
る薄膜3の屈折率であり、セレン化亜鉛を選びnf=2.4
としている。式(8)の第1項はセレン化亜鉛内装銅ス
ラブ導波路のTEoモードの導波損失、第2項はガラスス
ラブ導波路のTMoモードの導波損失に相当する。ただ
し、第2図よりわかるとおり、第1項はセレン化亜鉛の
膜厚に対し敏感に変動する。
一方、▲EV 11▼モードの伝送損失α(▲EV 11▼)は、 と表される。式(9)の第1項はセレン化亜鉛内装銅ス
ラブ導波路のTMoモードの導波損失、第2項はガラスス
ラブ導波路のTEoモードの導波損失に相当する。
以上より、2a2bの薄膜コーティング導波路型レーザで
は、より低損失な▲EV 11▼モードが伝搬モードとなり、
その損失は誘電体スラブ導波路のTEモードの損失で主に
評価される。薄膜コーティング導波路型レーザにおい
て、薄膜3の膜厚に対する導波損失は極小値付近で変化
がゆるやかなので、膜厚が式(7)から多少ずれたとし
ても同様のことが言える。
金属電極の複素屈折率nm−jKmの絶対値が大きい程、あ
るいは複素屈折率の実数部nmが虚数部Kmに対して十分小
さい程、式(9)の第1項は小さくなる。その意味では
銅よりも銀(Ag)を用いた方が有利である。しかし、銀
を用いて電極全体を構成することは経済的でない。従っ
て、銀を用いる場合には銅電極1と薄膜3との間に銀薄
膜を介在させることが経済的である。また、介在させる
金属薄膜材料には銀の他、化学的に安定な金(Au)の使
用も有効である。
また、金属電極1の表面上に、異なる屈折率をもった2
種類以上の吸収損失が小さい薄膜を交互に積層させるこ
とによって、さらに導波損失を小さくすることができ
る。この場合、各薄膜の厚さtiは一層のときと同様、 を満足するように選んだとき最も効果的に導波路の損失
を低減することができる。ここでnfiは薄膜の屈折率で
ある。
一方、誘電体の複素屈折率nd−jKdの絶対値が大きい
程、あるいは複素屈折率の実数部ndが虚数部Kdに比して
十分小さい程、式(9)の第2項は小さくなる。上記実
施例では表面が滑らかという理由でガラスを材料として
選んだが、表面が滑らかなその他の誘電体、あるいは比
較的熱伝導が良好な誘電体の表面にこれら誘電体よりも
複素屈折率の絶対値が大きいか、あるいは複素屈折率の
実数部が虚数部に比して十分小さい薄膜を誘電体2の表
面にコーティングしてもよい。
λ=10.6μmにおいて、従来の導波路型レーザでは式
(5)の第2項を小さくすべく、アルミナやベリリアの
使用も検討されているが、本発明の薄膜コーティング導
波路型レーザではnd,Kdの小さな材料を選ぶ必要はな
く、電極間を絶対する誘電体材料の選択の自由度が大き
いのでガラスやふっ素樹脂なども使用することが可能と
なる。
第3図に出力鏡の透過率Tに対する出力パワーPの計算
値を示す。ここで、2a=2b=1.5mm、1=40cm、go=0.0
05cm-1、Is=20kw/cm2としている(R.L.Abrams and W.
B.Bridges,IEEE J.Quantum Electron.,QE-9,940(197
3))。このとき式(5)より従来の導波路型レーザで
はLw3%、式(9)より本発明の薄膜コーティング導
波路型レーザではLw0.5%となる。第3図では、結合
損失Lcが0%と1.5%を仮定し、Lw+Lc=0.5、2,3,4.5
%のときの値を示した。
式(1)において、ЭP/AЭT=すなわち、 のとき出力パワーPは最適出力Poptとなり、 と表される。
出力鏡の透過率Tを式(11)を満足するようにしたとき
の導波路半幅a(2a=2bとする)に対する最適出力を第
4図および第5図に示す。第4図はLc=0%、第5図は
Lc=1.5%のときである。また、飽和強度Isは圧力拡が
りにおける相似則によりIs=11.25/a2kw/cm2とした。第
4図、第5図において破線は従来の導波路型レーザの最
適出力、実線は本発明による薄膜コーティング導波路型
レーザの最適出力である。本発明の効果は、導波路幅が
狭い程、また導波路長が長い程顕著に現れる。
[発明の効果] 以上説明してきたように本発明によれば、従来の導波路
型レーザと比較して次のような顕著な作用効果が発揮さ
れる。
導波損失が小さいので、高出力発振が可能である。
熱伝導率の高い金属で導波路壁を構成するため、冷却
効果を大きくできる。
スパッタや酸化による金属電極の劣化を抑制できる。
電極間を絶縁する誘電体材料の選択の自由度が大き
い。
また、金属電極に対し電界が垂直成分をもつモードで発
振することも本発明の導波路型レーザの特徴の一つであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の横断面説明図、第2図は各
種中空スラブ導波路のTMoモード、TEoモードの導波損失
の計算値を表すグラフ、第3図は出力鏡の透過率に対す
る出力パワーの計算値を表すグラフ、第4図はLc=0%
としたときの導波路幅に対する最適出力パワーの計算値
を表すグラフ、第5図はLc=1.5%としたときの導波路
幅に対する最適出力パワーの計算値を表すグラフであ
る。 1:金属電極、2:誘電体、3:薄膜、4:中空導波路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−216481(JP,A) IEEE Journal of Qu antum Electronics,Q E−19,No.2(1983−2)(米)P. 136−145

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高周波放電を励起するための対向する一対
    の金属電極および対向する一対の誘電体とで囲まれて中
    空導波路が形成され、前記対向する一対の金属電極の表
    面には発振波長での吸収損失が小さな薄膜が設けられ、
    該薄膜の厚さtは、 を満足するように設定されていることを特徴とする導波
    路型レーザ。 ただし、λは発振波長、qは正の奇数(1,3,5・・
    ・)、nfは薄膜の屈折率である。
  2. 【請求項2】前記金属電極間幅と前記誘電体間幅とはほ
    ぼ等しく設定されている特許請求の範囲第1項記載の導
    波路型レーザ。
  3. 【請求項3】前記金属電極はCu、Ag、AuまたはAlのいず
    れかから選ばれた材料からなる特許請求の範囲第1項記
    載の導波路型レーザ。
  4. 【請求項4】前記誘電体はガラス、セラミックまたは高
    分子樹脂から選ばれた材料からなる特許請求の範囲第1
    項記載の導波路型レーザ。
  5. 【請求項5】前記薄膜はZnSe、Ge、KCl、KRS−5、NaC
    l、CdTe、Si、ZnS、PbF2またはカルコゲナイドガラスの
    いずれかから選ばれた材料からなる特許請求の範囲第1
    項記載の導波路型レーザ。
  6. 【請求項6】前記金属電極と前記薄膜との間には、前記
    金属電極よりも複素屈折率の絶対値が大きいかあるいは
    複素屈折率の実数部が虚数部に比して十分小さい金属薄
    膜が介在さている特許請求の範囲第1項記載の導波路型
    レーザ。
  7. 【請求項7】前記誘電体の表面には前記誘電体よりも複
    素屈折率の絶対値が大きいかあるいは複素屈折率の実数
    部が虚数部に比して十分小さい薄膜が設けられている特
    許請求の範囲第1項記載の導波路型レーザ。
  8. 【請求項8】高周波放電を励起するための対向する一対
    の金属電極および対向する一対の誘電体とで囲まれて中
    空導波路が形成され、前記対向する一対の金属電極の表
    面にはそれぞれが異なる屈折率である発振波長での吸収
    損失が小さな薄膜が多層に設けられ、該各薄膜の厚さti
    は、 を満足するように設定されていることを特徴とする導波
    路型レーザ。 ただし、λは発振波長、qは正の奇数(1,3,5・・
    ・)、nfiは各薄膜の屈折率である。
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