JPH06105620A - 稲作における二酸化炭素施肥法 - Google Patents
稲作における二酸化炭素施肥法Info
- Publication number
- JPH06105620A JPH06105620A JP3123264A JP12326491A JPH06105620A JP H06105620 A JPH06105620 A JP H06105620A JP 3123264 A JP3123264 A JP 3123264A JP 12326491 A JP12326491 A JP 12326491A JP H06105620 A JPH06105620 A JP H06105620A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon dioxide
- water
- paddy
- paddy field
- rice
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Cultivation Of Plants (AREA)
- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 水稲群落内へ多量の二酸化炭素を安価にかつ
効果的に供給する。 【構成】 水田1内には向い合う両辺に沿って有孔仕切
板2,3を設け、用水路4と連通された水槽5内には定
量分水器6が設けられ、水槽7に連絡されている。水槽
7下方には水に二酸化炭素気体を通気するための散気装
置8が設けられ、二酸化炭素源10へ連絡されている。
効果的に供給する。 【構成】 水田1内には向い合う両辺に沿って有孔仕切
板2,3を設け、用水路4と連通された水槽5内には定
量分水器6が設けられ、水槽7に連絡されている。水槽
7下方には水に二酸化炭素気体を通気するための散気装
置8が設けられ、二酸化炭素源10へ連絡されている。
Description
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]本発明は水田の水稲群落内に二酸
化炭素を供給する方法に関する。 [従来の技術]現在大気中の二酸化炭素濃度は約330
ppmであり、これは年々増加し、地球温暖化が懸念さ
れている。一般に植物個葉の光合成における二酸化炭素
飽和点は800ppm〜1800ppmであることか
ら、二酸化炭素の施肥により作物の増収が計られてい
る。この二酸化炭素の施肥は、温室等閉鎖系で実施され
効果を上げている。一方、野外圃場においては、通常、
晴天時には作物群落内の二酸化炭素濃度が作物群落外よ
りも低下するため光合成が低下するが、風速の増加によ
り改善されることが知られている。これは、風速の増加
により作物群落内外の空気交換が促進され作物群落内の
二酸化炭素濃度の低下が防止されかつ二酸化炭素の葉面
への拡散抵抗が減少するためである。上述の現象は水田
水稲群落においても同様であり、毎年の収穫量は日射
量、気温等の気象条件とともに風にも大きく依存してい
る。このように、水稲群落への人気からの二酸化炭素の
供給は不足しているので、その不足分を補うかあるいは
それ以上の二酸化炭素を安価な手段で効果的に水稲群落
内に供給することができれば、米の安定的多収穫が可能
となる。二酸化炭素施肥に関して、稲ワラ.麦ワラ.家
畜糞尿等農産廃棄物を水田にすき込み、これに稲を植
え、これら有機性廃棄物が微生物分解される過程で放出
される二酸化炭素の効果等が研究されたが、水田土中で
は遅くとも約60日で有意な二酸化炭素の放出は終了し
てしまうので、葉面積指数が増加し水稲群落内外の空気
交換がわるくなる期間、すなわち出穂前約30日以降、
にはほとんど効果がないことが示されている。また、別
の二酸化炭素施肥法として、水稲の畝間に有孔チューブ
を配設し、このチューブを介して水稲群落内に二酸化炭
素を供給することも考えられるが、開放系で広い水田に
まんべんなく二酸化炭素を供給するには、チューブ等の
費用が多大となり(例えば、1000平方メートルの水
田に50cm間隔でチューブを配設するには2000m
必要となる)、またチユーブの配設.収穫時の撤去.保
管にも多くの労力を要する。このように、水田水稲群落
内への安価で効果的な二酸化炭素施肥法がないので、二
酸化炭素の施肥は行なわれていないのが現状である。 [発明が解決しようとする問題点]そこで本発明は、米
の安定的多収穫のため、開放系でありかつ広大な面積の
水稲群落内へ多量の二酸化炭素を安価にかつ効果的に供
給する方法を提供することを目的とする。 [問題を解決するための手段]すなわち本発明は、水田
における水稲栽培において、二酸化炭素濃度を高めた水
を、水田内に流入させ、該水稲群落下方水田上を流下さ
せた後、該水田から流出させることにより、前記水稲群
落内に二酸化炭素を供給することを特徴とする稲作にお
ける二酸化炭素施肥法に構成してある。 [実施例と作用]次に、実施例に基いて本発明を更に詳
しく説明する。第1図及び第2図は本発明の1実施例を
示す図面であり、それぞれ平面図、一部縦断面図であ
る。水田1内には向い合う両辺に沿って有孔仕切り板2
及び有孔仕切り板3を設けてある。用水路4と連通され
た水槽5内には定量分水器6が設けられ、定量分水器6
は水槽7に連絡されている。水槽7内下方には水に二酸
化炭素強化気体を通気するための散気装置8が設けられ
ている。散気装置8はブロワー9を経て二酸化炭素源1
0へ連絡されている。ブロワー9の電源として太陽電池
11が設けられている。二酸化炭素源10としては、家
畜糞を稲ワラで60〜65%に水分調節し、好気的に堆
肥化し、この排ガスを利用している。日の出とともに、
定量分水器6を介して水田1内への用水の流入を開始す
る。また、光照射された太陽電池11により電流が発生
し、ブロワー9が作動し、二酸化炭素源10からの二酸
化炭素強化空気が散気装置8から微細気泡として噴出さ
れる。これにより、二酸化炭素がすみやかに水槽7内の
水に溶解し、この二酸化炭素濃度が高められた水は水路
12に流下し、仕切り板2の多数の穴19から均等に水
稲群落p下方に流入し、水稲群落p下方をまんべんなく
流下し(矢印の方向)、仕切り板3の多数の穴19を通
り、水路13を通り水田1から流出する。この二酸化炭
素濃度の高められた水が水稲群落p下方を流下する間
に、水に溶解している二酸化炭素は、一部経根的に同化
され、大部分は気液平衡の法則にのっとり水稲群落p内
気相に移行し、経葉的に同化される。気相に移行したが
同化されなかった二酸化炭素は水稲群落p外大気中に拡
散し、損失となる。風が強い時は、この損失は大きくな
るので、施肥は行なわなくてもよい。風が強い時は、水
稲群落p外大気からの二酸化炭素供給が増加するので、
極端な二酸化炭素不足はない。 二酸化炭素添加に関し
ては、第1図の態様のように、容器内の水に二酸化炭素
強化気体を通気するタイプの外に、気体吸収塔のように
容器内に二酸化炭素強化気体を充填し、この中に水を噴
霧落下させるタイプなどの別の装置も利用可能である。
また、本発明の二酸化炭素強化気体とは、通常の大気中
の濃度より高い二酸化炭素を含む気体を意味し、例え
ば、前記堆肥化排ガスのように大気空気に対してその二
酸化炭素濃度を高める操作を施した気体を意味する。二
酸化炭素濃度を高めた水を水稲群落pに流入させる時
は、その下方より静かにかつ均等に流入させ、他端より
均等に流出させる必要がある。上方から落下させる状態
で流入させると、二酸化炭素の損失が大となる。また、
均等に流入流出させないと、水が水田上をまんべんなく
流下せず、水稲群落pへの二酸化炭素の供給が不均一と
なる。第3図は仕切り板2又は3の斜視図であるが、水
を静かにかつ均等に流入流出させるよう、一直線上に多
数の穴19を設けてある。用水からの水田への水の導入
は、自然落差で導入できる水田では、定量分水器6を用
いると経済的である。自然落差で導入できない水田で
は、ポンプ等を用いる。定量分水器6は種々のものが市
販されているので、これを利用すればよい。第1図の態
様の他にも有効な流出入パターンがあるので、これを第
4図乃至第5図に示した実施例で説明する。第4図は中
央の水路20から流入させて両端から流出させるパター
ンである。第5図は、畝間が蛇行するよう水稲を植え、
この畝間21を水が蛇行するパターンである。前者は水
田が広い場合に有効であり、後者は水路の構成が簡単で
安価となるが、稲株22間からの水流の短絡があり、二
酸化炭素の供給は不均一となり易く、また流速が大きく
なるので倒伏の危険が増す。電源として太陽電池11を
用いると、特別に制御しなくても、日射量に比例して自
動的に二骸化炭素供給量が調節される。すなわち、日射
量が大きく光合成が盛んで多量の二酸化炭素か必要な時
は太陽電池からの電流が大きくなり通気量が増加し、逆
に日射量が小さく光合成が減少し多量の二酸化炭素を必
要としない時は電流が小さくなり通気量が減少する。太
陽電池は運転費用は低いが初期投資が高価であるので、
市販電気を利用してもよい。太陽電池の利用は、水田の
所有者が個々別々に堆肥化装置等二酸化炭素源を設ける
などして、分散的に二酸化炭素施肥を行なう場合に有効
である。一方、ある広い一定の地域内の多くの水田に対
して、ちゅう芥等の大規模な集中堆肥化処理施設を設
け、この排ガスをパイプラインで各水田に分配し、一括
して二酸化炭素施肥を行なうような場合には、前述の二
酸化炭素供給量の制御を行なう装置の利用も安価となる
ので、市販電気の利用は有効である。第6図は本発明の
別の1実施例を示す平面図である。本態様では、高低差
のある小さな3つの水田1a、1b、1cを管水路2
3、24により直列に連絡してある。二酸化炭素濃度が
高められた水は水田1a、1b、1cの順に流下する。
本態様では、複数の水田に対して、定量分水器6、ブロ
ワー9等が一台ですみ、設備費の低減化が計られてい
る。もちろん、それぞれの水田が広い場合は、管水路2
3、24の部位で二酸化炭素の添加を行なえばよい。二
酸化炭素源10としては、石油等化石燃料.アルコール
等燃料の燃焼排ガス、稲ワラ.麦ワラ.家畜糞尿.ちゅ
う介.汚泥等有機性廃棄物の堆肥化排ガス、家畜糞尿.
ちゅう介.汚泥等有機性廃棄物の液状好気処理又は液状
嫌気処理等の生物学的処理排ガス、酒造等醸造排ガス、
セメント製造排ガスなどの排気ガス、又は温室栽培で利
用されている液化炭酸ガス、炭酸水素ナトリウム等アル
カリ金属炭酸水素塩の電気分解により発生する二酸化炭
素などを利用できる。 [発明の効果]以上のように、本発明は、湛水状態で栽
培する稲作の特徴を利用したものであり、この湛水を流
下させながらこれを媒体として二酸化炭素を水稲群落下
に運び、そこから気液平衡により群落内にまんべんなく
二酸化炭素を拡散させるので、簡単な設備で安価に効果
的な二酸化炭素施肥が行なえる。特に、二酸化炭素の不
足する晴天で風の弱い日には効果を発揮する。用水か
ら、単一の導入操作で、水を導入し、この水を複数の水
田上を高低差を利用して順次移動させるので、水の導入
にポンプ等が必要な場合でも、その所要エネルギーが少
なくてすみ、その費用も安価である。電源として太陽電
池を使用するので、別途の制御装置を特に必要としな
い。二酸化炭素源としては、従来直接大気中に放出され
ていた排ガスを用いるので、大気中の二酸化炭素濃度を
増加させる要因とはならない。逆に大気中の二酸化炭素
濃度を低下させる手段を提供する。たとえば、火力発電
所の排ガスをパイプラインで水田地帯に大量輸送し、こ
れを各水田で二酸化炭素源として利用し、米の増収分を
アルコールに変換し、これを燃料として再利用すること
で、化石燃料の使用量を減らすことができ、大気中二酸
化炭素の増加防止に貢献できる。有機性廃棄物の場合も
同様にして、大気中二酸化炭素の増加防止に貢献でき、
加えて、処理後の残渣は良質の有機肥料として再利用で
きる。特に、年々その量が増加し処分に困惑しているち
ゅう芥の有効利用に好適である。このように、排ガスを
二酸化炭素源として用いることは、水田の新たな環境浄
化機能をひき出し、水田の価値を高めるものである。
化炭素を供給する方法に関する。 [従来の技術]現在大気中の二酸化炭素濃度は約330
ppmであり、これは年々増加し、地球温暖化が懸念さ
れている。一般に植物個葉の光合成における二酸化炭素
飽和点は800ppm〜1800ppmであることか
ら、二酸化炭素の施肥により作物の増収が計られてい
る。この二酸化炭素の施肥は、温室等閉鎖系で実施され
効果を上げている。一方、野外圃場においては、通常、
晴天時には作物群落内の二酸化炭素濃度が作物群落外よ
りも低下するため光合成が低下するが、風速の増加によ
り改善されることが知られている。これは、風速の増加
により作物群落内外の空気交換が促進され作物群落内の
二酸化炭素濃度の低下が防止されかつ二酸化炭素の葉面
への拡散抵抗が減少するためである。上述の現象は水田
水稲群落においても同様であり、毎年の収穫量は日射
量、気温等の気象条件とともに風にも大きく依存してい
る。このように、水稲群落への人気からの二酸化炭素の
供給は不足しているので、その不足分を補うかあるいは
それ以上の二酸化炭素を安価な手段で効果的に水稲群落
内に供給することができれば、米の安定的多収穫が可能
となる。二酸化炭素施肥に関して、稲ワラ.麦ワラ.家
畜糞尿等農産廃棄物を水田にすき込み、これに稲を植
え、これら有機性廃棄物が微生物分解される過程で放出
される二酸化炭素の効果等が研究されたが、水田土中で
は遅くとも約60日で有意な二酸化炭素の放出は終了し
てしまうので、葉面積指数が増加し水稲群落内外の空気
交換がわるくなる期間、すなわち出穂前約30日以降、
にはほとんど効果がないことが示されている。また、別
の二酸化炭素施肥法として、水稲の畝間に有孔チューブ
を配設し、このチューブを介して水稲群落内に二酸化炭
素を供給することも考えられるが、開放系で広い水田に
まんべんなく二酸化炭素を供給するには、チューブ等の
費用が多大となり(例えば、1000平方メートルの水
田に50cm間隔でチューブを配設するには2000m
必要となる)、またチユーブの配設.収穫時の撤去.保
管にも多くの労力を要する。このように、水田水稲群落
内への安価で効果的な二酸化炭素施肥法がないので、二
酸化炭素の施肥は行なわれていないのが現状である。 [発明が解決しようとする問題点]そこで本発明は、米
の安定的多収穫のため、開放系でありかつ広大な面積の
水稲群落内へ多量の二酸化炭素を安価にかつ効果的に供
給する方法を提供することを目的とする。 [問題を解決するための手段]すなわち本発明は、水田
における水稲栽培において、二酸化炭素濃度を高めた水
を、水田内に流入させ、該水稲群落下方水田上を流下さ
せた後、該水田から流出させることにより、前記水稲群
落内に二酸化炭素を供給することを特徴とする稲作にお
ける二酸化炭素施肥法に構成してある。 [実施例と作用]次に、実施例に基いて本発明を更に詳
しく説明する。第1図及び第2図は本発明の1実施例を
示す図面であり、それぞれ平面図、一部縦断面図であ
る。水田1内には向い合う両辺に沿って有孔仕切り板2
及び有孔仕切り板3を設けてある。用水路4と連通され
た水槽5内には定量分水器6が設けられ、定量分水器6
は水槽7に連絡されている。水槽7内下方には水に二酸
化炭素強化気体を通気するための散気装置8が設けられ
ている。散気装置8はブロワー9を経て二酸化炭素源1
0へ連絡されている。ブロワー9の電源として太陽電池
11が設けられている。二酸化炭素源10としては、家
畜糞を稲ワラで60〜65%に水分調節し、好気的に堆
肥化し、この排ガスを利用している。日の出とともに、
定量分水器6を介して水田1内への用水の流入を開始す
る。また、光照射された太陽電池11により電流が発生
し、ブロワー9が作動し、二酸化炭素源10からの二酸
化炭素強化空気が散気装置8から微細気泡として噴出さ
れる。これにより、二酸化炭素がすみやかに水槽7内の
水に溶解し、この二酸化炭素濃度が高められた水は水路
12に流下し、仕切り板2の多数の穴19から均等に水
稲群落p下方に流入し、水稲群落p下方をまんべんなく
流下し(矢印の方向)、仕切り板3の多数の穴19を通
り、水路13を通り水田1から流出する。この二酸化炭
素濃度の高められた水が水稲群落p下方を流下する間
に、水に溶解している二酸化炭素は、一部経根的に同化
され、大部分は気液平衡の法則にのっとり水稲群落p内
気相に移行し、経葉的に同化される。気相に移行したが
同化されなかった二酸化炭素は水稲群落p外大気中に拡
散し、損失となる。風が強い時は、この損失は大きくな
るので、施肥は行なわなくてもよい。風が強い時は、水
稲群落p外大気からの二酸化炭素供給が増加するので、
極端な二酸化炭素不足はない。 二酸化炭素添加に関し
ては、第1図の態様のように、容器内の水に二酸化炭素
強化気体を通気するタイプの外に、気体吸収塔のように
容器内に二酸化炭素強化気体を充填し、この中に水を噴
霧落下させるタイプなどの別の装置も利用可能である。
また、本発明の二酸化炭素強化気体とは、通常の大気中
の濃度より高い二酸化炭素を含む気体を意味し、例え
ば、前記堆肥化排ガスのように大気空気に対してその二
酸化炭素濃度を高める操作を施した気体を意味する。二
酸化炭素濃度を高めた水を水稲群落pに流入させる時
は、その下方より静かにかつ均等に流入させ、他端より
均等に流出させる必要がある。上方から落下させる状態
で流入させると、二酸化炭素の損失が大となる。また、
均等に流入流出させないと、水が水田上をまんべんなく
流下せず、水稲群落pへの二酸化炭素の供給が不均一と
なる。第3図は仕切り板2又は3の斜視図であるが、水
を静かにかつ均等に流入流出させるよう、一直線上に多
数の穴19を設けてある。用水からの水田への水の導入
は、自然落差で導入できる水田では、定量分水器6を用
いると経済的である。自然落差で導入できない水田で
は、ポンプ等を用いる。定量分水器6は種々のものが市
販されているので、これを利用すればよい。第1図の態
様の他にも有効な流出入パターンがあるので、これを第
4図乃至第5図に示した実施例で説明する。第4図は中
央の水路20から流入させて両端から流出させるパター
ンである。第5図は、畝間が蛇行するよう水稲を植え、
この畝間21を水が蛇行するパターンである。前者は水
田が広い場合に有効であり、後者は水路の構成が簡単で
安価となるが、稲株22間からの水流の短絡があり、二
酸化炭素の供給は不均一となり易く、また流速が大きく
なるので倒伏の危険が増す。電源として太陽電池11を
用いると、特別に制御しなくても、日射量に比例して自
動的に二骸化炭素供給量が調節される。すなわち、日射
量が大きく光合成が盛んで多量の二酸化炭素か必要な時
は太陽電池からの電流が大きくなり通気量が増加し、逆
に日射量が小さく光合成が減少し多量の二酸化炭素を必
要としない時は電流が小さくなり通気量が減少する。太
陽電池は運転費用は低いが初期投資が高価であるので、
市販電気を利用してもよい。太陽電池の利用は、水田の
所有者が個々別々に堆肥化装置等二酸化炭素源を設ける
などして、分散的に二酸化炭素施肥を行なう場合に有効
である。一方、ある広い一定の地域内の多くの水田に対
して、ちゅう芥等の大規模な集中堆肥化処理施設を設
け、この排ガスをパイプラインで各水田に分配し、一括
して二酸化炭素施肥を行なうような場合には、前述の二
酸化炭素供給量の制御を行なう装置の利用も安価となる
ので、市販電気の利用は有効である。第6図は本発明の
別の1実施例を示す平面図である。本態様では、高低差
のある小さな3つの水田1a、1b、1cを管水路2
3、24により直列に連絡してある。二酸化炭素濃度が
高められた水は水田1a、1b、1cの順に流下する。
本態様では、複数の水田に対して、定量分水器6、ブロ
ワー9等が一台ですみ、設備費の低減化が計られてい
る。もちろん、それぞれの水田が広い場合は、管水路2
3、24の部位で二酸化炭素の添加を行なえばよい。二
酸化炭素源10としては、石油等化石燃料.アルコール
等燃料の燃焼排ガス、稲ワラ.麦ワラ.家畜糞尿.ちゅ
う介.汚泥等有機性廃棄物の堆肥化排ガス、家畜糞尿.
ちゅう介.汚泥等有機性廃棄物の液状好気処理又は液状
嫌気処理等の生物学的処理排ガス、酒造等醸造排ガス、
セメント製造排ガスなどの排気ガス、又は温室栽培で利
用されている液化炭酸ガス、炭酸水素ナトリウム等アル
カリ金属炭酸水素塩の電気分解により発生する二酸化炭
素などを利用できる。 [発明の効果]以上のように、本発明は、湛水状態で栽
培する稲作の特徴を利用したものであり、この湛水を流
下させながらこれを媒体として二酸化炭素を水稲群落下
に運び、そこから気液平衡により群落内にまんべんなく
二酸化炭素を拡散させるので、簡単な設備で安価に効果
的な二酸化炭素施肥が行なえる。特に、二酸化炭素の不
足する晴天で風の弱い日には効果を発揮する。用水か
ら、単一の導入操作で、水を導入し、この水を複数の水
田上を高低差を利用して順次移動させるので、水の導入
にポンプ等が必要な場合でも、その所要エネルギーが少
なくてすみ、その費用も安価である。電源として太陽電
池を使用するので、別途の制御装置を特に必要としな
い。二酸化炭素源としては、従来直接大気中に放出され
ていた排ガスを用いるので、大気中の二酸化炭素濃度を
増加させる要因とはならない。逆に大気中の二酸化炭素
濃度を低下させる手段を提供する。たとえば、火力発電
所の排ガスをパイプラインで水田地帯に大量輸送し、こ
れを各水田で二酸化炭素源として利用し、米の増収分を
アルコールに変換し、これを燃料として再利用すること
で、化石燃料の使用量を減らすことができ、大気中二酸
化炭素の増加防止に貢献できる。有機性廃棄物の場合も
同様にして、大気中二酸化炭素の増加防止に貢献でき、
加えて、処理後の残渣は良質の有機肥料として再利用で
きる。特に、年々その量が増加し処分に困惑しているち
ゅう芥の有効利用に好適である。このように、排ガスを
二酸化炭素源として用いることは、水田の新たな環境浄
化機能をひき出し、水田の価値を高めるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の1実施例を示す図面であ
り、それぞれ平面図、一部縦断面図である。第3図は斜
視図である。第4図及び第5図は平面図である。第6図
は別の1実施例を示す平面図である。 pは水稲群落、1、1a、1b、1cは水田、2、3、
2a、2b、2c、3a、3b、3cは、有孔仕切り
板、4は用水路、5は水槽、6は定量分水器、7は水
槽、8は散気装置、9はブロワー、10は二酸化炭素
源、は太陽電池、12、13は水路、14は管水路、1
5、16はおもり、17、18はビニールシート、19
は穴、20は水路、21は畝間、22は稲株、23、2
4は管水路である。矢印は流れの方向を示す。
り、それぞれ平面図、一部縦断面図である。第3図は斜
視図である。第4図及び第5図は平面図である。第6図
は別の1実施例を示す平面図である。 pは水稲群落、1、1a、1b、1cは水田、2、3、
2a、2b、2c、3a、3b、3cは、有孔仕切り
板、4は用水路、5は水槽、6は定量分水器、7は水
槽、8は散気装置、9はブロワー、10は二酸化炭素
源、は太陽電池、12、13は水路、14は管水路、1
5、16はおもり、17、18はビニールシート、19
は穴、20は水路、21は畝間、22は稲株、23、2
4は管水路である。矢印は流れの方向を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.水田における水稲栽培において、二酸化炭素濃度を
高めた水を、水田内に流入させ、該水稲群落下方水田上
を流下させた後、該水田から流出させることにより、前
記水稲群落内に二酸化炭素を供給することを特徴とする
稲作における二酸化炭素施肥法。 2.前記二酸化炭素濃度を高めた水を水田内に流入させ
るに際して、該水を前記水稲群落内下方より流入させる
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の稲作にお
ける二酸化炭素施肥法。 3.前記水田が単一の水田であることを特徴とする特許
請求の範囲第1項又は第2項記載の稲作における二酸化
炭素施肥法。 4.前記水田が高低差のある複数の水田からなり、前記
二酸化炭素濃度を高めた水を、高位水田から低位水田に
順次移動させることを特徴とする特許請求の範囲第1項
又は第2項記載の稲作における二酸化炭素施肥法。 5.前記水の二酸化炭素濃度を高める操作の動力源とし
て太陽電池を用いることを特徴とする特許請求の範囲第
1項又は第2項又は第3項又は第4項記載の稲作におけ
る二酸化炭素施肥法。 6.前記二酸化炭素濃度を高めるための二酸化炭素源
が、有機性廃棄物の生物学的処理により発生した排ガス
であることを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2
項又は第3項又は第4項又は第5項記載の稲作における
二酸化炭素施肥法。 7.前記二酸化炭素濃度を高めるための二酸化炭素源
が、燃料の燃焼により発生した排ガスであることを特徴
とする特許請求の範囲第1項又は第2項又は第3項又は
第4項又は第5項記載の稲作における二酸化炭素施肥
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3123264A JPH06105620A (ja) | 1991-03-06 | 1991-03-06 | 稲作における二酸化炭素施肥法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3123264A JPH06105620A (ja) | 1991-03-06 | 1991-03-06 | 稲作における二酸化炭素施肥法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06105620A true JPH06105620A (ja) | 1994-04-19 |
Family
ID=14856265
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3123264A Pending JPH06105620A (ja) | 1991-03-06 | 1991-03-06 | 稲作における二酸化炭素施肥法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06105620A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007275022A (ja) * | 2006-04-11 | 2007-10-25 | Central Res Inst Of Electric Power Ind | 植物成長促進方法並びに植物成長促進剤 |
CN112243839A (zh) * | 2020-10-20 | 2021-01-22 | 上海今粹农业专业合作社 | 一种水稻生产中所用的灌溉系统及应用 |
US11040920B2 (en) | 2017-12-15 | 2021-06-22 | Innovations For World Nutrition Llc | Fertilizer and plant growth promoter to increase plant yield and method of increasing plant yield |
US11192830B2 (en) | 2020-04-15 | 2021-12-07 | Innovations for World Nutrition, LLC | Seed coating to promote plant growth and method of increasing plant yield |
US11358909B2 (en) | 2020-04-15 | 2022-06-14 | Innovations for World Nutrition, LLC | Fertilizer containing a seed grind and a method of using the fertilizer to enhance plant growth |
US11634366B2 (en) | 2020-04-15 | 2023-04-25 | Innovations for World Nutrition, LLC | Plant growth enhancer using carbon dioxide to increase plant yield and method of increasing plant yield |
US11787749B2 (en) | 2020-04-15 | 2023-10-17 | Innovations for World Nutrition, LLC | Fertilizer and plant growth promoter to increase plant yield and method of increasing plant yield |
-
1991
- 1991-03-06 JP JP3123264A patent/JPH06105620A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007275022A (ja) * | 2006-04-11 | 2007-10-25 | Central Res Inst Of Electric Power Ind | 植物成長促進方法並びに植物成長促進剤 |
US11040920B2 (en) | 2017-12-15 | 2021-06-22 | Innovations For World Nutrition Llc | Fertilizer and plant growth promoter to increase plant yield and method of increasing plant yield |
US11192830B2 (en) | 2020-04-15 | 2021-12-07 | Innovations for World Nutrition, LLC | Seed coating to promote plant growth and method of increasing plant yield |
US11358909B2 (en) | 2020-04-15 | 2022-06-14 | Innovations for World Nutrition, LLC | Fertilizer containing a seed grind and a method of using the fertilizer to enhance plant growth |
US11634366B2 (en) | 2020-04-15 | 2023-04-25 | Innovations for World Nutrition, LLC | Plant growth enhancer using carbon dioxide to increase plant yield and method of increasing plant yield |
US11787749B2 (en) | 2020-04-15 | 2023-10-17 | Innovations for World Nutrition, LLC | Fertilizer and plant growth promoter to increase plant yield and method of increasing plant yield |
US12017964B2 (en) | 2020-04-15 | 2024-06-25 | Innovations for World Nutrition, LLC | Plant growth enhancer using carbon dioxide to increase plant yield |
CN112243839A (zh) * | 2020-10-20 | 2021-01-22 | 上海今粹农业专业合作社 | 一种水稻生产中所用的灌溉系统及应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4332105A (en) | Apparatus and method for plant growth in aeroponic conditions | |
US5322035A (en) | Hydrological system for a closed ecological system | |
CN212813624U (zh) | 一种循环利用的可持续鱼菜共生系统 | |
JP2002102884A (ja) | 生態系を応用したユニット型廃水処理装置及びその方法 | |
CN101691270A (zh) | 装配式填料人工垂直潜流湿地单元及其应用和污水处理工艺 | |
NZ572372A (en) | Plant cultivation method using channels of plastic sheets in layers | |
JPH06105620A (ja) | 稲作における二酸化炭素施肥法 | |
CN113307369A (zh) | 畜禽场粪污资源化利用及控氨降碳全链条减排系统与方法 | |
CN204968847U (zh) | 一种喷雾式供液栽培种植系统 | |
JPH11235130A (ja) | 植物栽培装置 | |
JPH06225638A (ja) | 稲作における二酸化炭素施肥法とその装置 | |
JP2003116381A (ja) | 浮沈調整機能付き水面栽培浮床及び作物栽培システム | |
CN211910008U (zh) | 一种有机生态型循环种植系统 | |
CN112851029B (zh) | 一种水污染净化和资源化利用系统及其应用 | |
JPH06113675A (ja) | 稲作における二酸化炭素施肥法 | |
CN204968839U (zh) | 一种喷雾式无土栽培装置 | |
CN213950901U (zh) | 沼气风屏养殖废水处理装置 | |
CN114731870A (zh) | 可控制二氧化碳的环保温室 | |
CN108467288A (zh) | 一种肥料制备装置 | |
CN209594555U (zh) | 一种水产养殖系统 | |
CN113767869A (zh) | 全生态鱼菜共生的养殖种植方法 | |
CN102150607B (zh) | 一种林木切枝水培装置 | |
CN112586224A (zh) | 一种节能环保的植物培育装置 | |
CN212728354U (zh) | 一种种子栽培器 | |
CN204888263U (zh) | 一种喷雾式供液栽培装置 |