JPH06101660A - スクロール式流体機械 - Google Patents
スクロール式流体機械Info
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- JPH06101660A JPH06101660A JP25499692A JP25499692A JPH06101660A JP H06101660 A JPH06101660 A JP H06101660A JP 25499692 A JP25499692 A JP 25499692A JP 25499692 A JP25499692 A JP 25499692A JP H06101660 A JPH06101660 A JP H06101660A
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- scroll member
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- drive shaft
- movable scroll
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Classifications
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04C—ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04C29/00—Component parts, details or accessories of pumps or pumping installations, not provided for in groups F04C18/00 - F04C28/00
- F04C29/0042—Driving elements, brakes, couplings, transmissions specially adapted for pumps
- F04C29/005—Means for transmitting movement from the prime mover to driven parts of the pump, e.g. clutches, couplings, transmissions
- F04C29/0057—Means for transmitting movement from the prime mover to driven parts of the pump, e.g. clutches, couplings, transmissions for eccentric movement
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F01—MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
- F01C—ROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
- F01C17/00—Arrangements for drive of co-operating members, e.g. for rotary piston and casing
- F01C17/06—Arrangements for drive of co-operating members, e.g. for rotary piston and casing using cranks, universal joints or similar elements
- F01C17/063—Arrangements for drive of co-operating members, e.g. for rotary piston and casing using cranks, universal joints or similar elements with only rolling movement
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04C—ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04C2240/00—Components
- F04C2240/80—Other components
- F04C2240/807—Balance weight, counterweight
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- Engineering & Computer Science (AREA)
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- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Rotary Pumps (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 スクロール部材の渦巻き形の羽根の間の半径
方向のシール力を略一定に保持して、羽根に偏摩耗が発
生するのを防止し、動力損失を低減する 【構成】 駆動軸5と一体の偏心輪10の例えば円形の
偏心した内周面10bに対して、それよりも小径で、可
動スクロール部材7と一体の被駆動軸7cに対して回転
可能なリング12が内接して摩擦係合している。またリ
ング12の外周の一部にはバランスウェイト13が取り
付けられており、ピン11により駆動軸5と共に回転す
ることによって、可動スクロール部材7の公転による遠
心力の一部を相殺し、残余の遠心力を羽根の間の半径方
向のシール力として利用する。スクロール部材の羽根の
プロフィールに誤差があり、駆動軸5が固定スクロール
部材3の軸心と一致しない場合でも、偏心輪10とリン
グ12との接点に作用する駆動力の分力により前記残余
の遠心力を増減調整してシール力を一定に保つ。
方向のシール力を略一定に保持して、羽根に偏摩耗が発
生するのを防止し、動力損失を低減する 【構成】 駆動軸5と一体の偏心輪10の例えば円形の
偏心した内周面10bに対して、それよりも小径で、可
動スクロール部材7と一体の被駆動軸7cに対して回転
可能なリング12が内接して摩擦係合している。またリ
ング12の外周の一部にはバランスウェイト13が取り
付けられており、ピン11により駆動軸5と共に回転す
ることによって、可動スクロール部材7の公転による遠
心力の一部を相殺し、残余の遠心力を羽根の間の半径方
向のシール力として利用する。スクロール部材の羽根の
プロフィールに誤差があり、駆動軸5が固定スクロール
部材3の軸心と一致しない場合でも、偏心輪10とリン
グ12との接点に作用する駆動力の分力により前記残余
の遠心力を増減調整してシール力を一定に保つ。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばスクロール圧縮
機やスクロール膨張機のようなスクロール式流体機械に
係り、特にスクロール式流体機械における2つのスクロ
ール部材の渦巻き形の羽根の間に形成される三日月形の
作動空間を、可動スクロール部材に作用する遠心力を利
用して半径方向にシールする手段に関する。
機やスクロール膨張機のようなスクロール式流体機械に
係り、特にスクロール式流体機械における2つのスクロ
ール部材の渦巻き形の羽根の間に形成される三日月形の
作動空間を、可動スクロール部材に作用する遠心力を利
用して半径方向にシールする手段に関する。
【0002】
【従来の技術】空調装置の冷媒圧縮機として使用するの
に好適なスクロール圧縮機のようなスクロール式流体機
械は、低振動、低騒音という優れた特長を有するため、
空調装置の冷媒圧縮機等の用途に適しているが、2つの
スクロール部材の渦巻き形の羽根の間に形成される三日
月形の作動空間を円周方向に完全にシールすることが難
しいので、加圧された流体が低圧側へ漏洩することによ
って圧力−流量特性が不良になりやすいという難点があ
る。この問題に対処して従来から種々の対策が講じられ
てきており、可動スクロール部材を固定スクロール部材
に向かって半径方向に押圧することにより円周方向のシ
ールを行うという方式をとっている発明としては、特公
昭57−49721号公報や特公昭58−19875号
公報に記載されたものがある。
に好適なスクロール圧縮機のようなスクロール式流体機
械は、低振動、低騒音という優れた特長を有するため、
空調装置の冷媒圧縮機等の用途に適しているが、2つの
スクロール部材の渦巻き形の羽根の間に形成される三日
月形の作動空間を円周方向に完全にシールすることが難
しいので、加圧された流体が低圧側へ漏洩することによ
って圧力−流量特性が不良になりやすいという難点があ
る。この問題に対処して従来から種々の対策が講じられ
てきており、可動スクロール部材を固定スクロール部材
に向かって半径方向に押圧することにより円周方向のシ
ールを行うという方式をとっている発明としては、特公
昭57−49721号公報や特公昭58−19875号
公報に記載されたものがある。
【0003】特公昭57−49721号公報には、2つ
のスクロール部材の渦巻き形の羽根の間に形成される三
日月形の作動空間をシールするために、可動スクロール
部材を固定スクロール部材に対して半径方向に押しつけ
る力として、最も考えつき易いばねの力の利用と同様
に、可動スクロール部材の公転によって発生する遠心力
を利用するものが記載されている(例えば、同公報第2
9頁の第31図〜第34図とそれらに関する説明等を参
照)。
のスクロール部材の渦巻き形の羽根の間に形成される三
日月形の作動空間をシールするために、可動スクロール
部材を固定スクロール部材に対して半径方向に押しつけ
る力として、最も考えつき易いばねの力の利用と同様
に、可動スクロール部材の公転によって発生する遠心力
を利用するものが記載されている(例えば、同公報第2
9頁の第31図〜第34図とそれらに関する説明等を参
照)。
【0004】これらの例は、電動機の軸によって回転駆
動されるクランクに対してガイド溝によって係合する摺
動ブロックを設け、該摺動ブロックに設けられた軸受に
よって可動スクロール部材の軸を支持しており、可動ス
クロール部材が公転するときに発生する遠心力により、
その軸がガイド溝に沿って半径方向に移動して固定スク
ロール部材の軸に接近するようになっている。また、可
動スクロール部材の遠心力に対抗してばねの力や、平衡
おもりの遠心力(求心力)が作用するようにして、可動
スクロール部材の遠心力を調整する点についても開示さ
れている。
動されるクランクに対してガイド溝によって係合する摺
動ブロックを設け、該摺動ブロックに設けられた軸受に
よって可動スクロール部材の軸を支持しており、可動ス
クロール部材が公転するときに発生する遠心力により、
その軸がガイド溝に沿って半径方向に移動して固定スク
ロール部材の軸に接近するようになっている。また、可
動スクロール部材の遠心力に対抗してばねの力や、平衡
おもりの遠心力(求心力)が作用するようにして、可動
スクロール部材の遠心力を調整する点についても開示さ
れている。
【0005】しかしながら、これらの例を実施に移す場
合には、摺動ブロックの摺動運動を案内するガイド溝の
間隔、平行度、直角度等について高精度の加工を必要と
するという問題がある。また、それらの部分や、可動ス
クロール部材及び固定スクロール部材の渦巻き形の羽根
のプロフィールに加工上の誤差があったり、設計上の制
約から駆動軸が固定スクロール部材の軸心と一致しない
場合には、駆動軸の一回転中の可動スクロール部材の偏
心量が一定でなくなることから、固定スクロール部材に
対する可動スクロール部材のシール力を一定に保持する
ことができなくなる。その結果、スクロール部材の渦巻
き形の羽根に偏摩耗を生じる。
合には、摺動ブロックの摺動運動を案内するガイド溝の
間隔、平行度、直角度等について高精度の加工を必要と
するという問題がある。また、それらの部分や、可動ス
クロール部材及び固定スクロール部材の渦巻き形の羽根
のプロフィールに加工上の誤差があったり、設計上の制
約から駆動軸が固定スクロール部材の軸心と一致しない
場合には、駆動軸の一回転中の可動スクロール部材の偏
心量が一定でなくなることから、固定スクロール部材に
対する可動スクロール部材のシール力を一定に保持する
ことができなくなる。その結果、スクロール部材の渦巻
き形の羽根に偏摩耗を生じる。
【0006】また、同公報には、可動スクロール部材に
設けられた円筒被動面と、該被動面に線接触することに
よって可動スクロール部材を公転させる円筒駆動面とを
組み合わせ、可動スクロール部材の公転半径をスクロー
ル駆動装置の旋回半径よりも大きく選ぶことによって、
接触点に作用する駆動力の分力として可動スクロール部
材に作用する遠心力の一部と平衡する半径方向内側に向
かう求心力を得るようにした機構も開示されている(第
6A図及び第6B図、第7図〜第16図とそれらの説明
等を参照)。
設けられた円筒被動面と、該被動面に線接触することに
よって可動スクロール部材を公転させる円筒駆動面とを
組み合わせ、可動スクロール部材の公転半径をスクロー
ル駆動装置の旋回半径よりも大きく選ぶことによって、
接触点に作用する駆動力の分力として可動スクロール部
材に作用する遠心力の一部と平衡する半径方向内側に向
かう求心力を得るようにした機構も開示されている(第
6A図及び第6B図、第7図〜第16図とそれらの説明
等を参照)。
【0007】しかしこの場合は、可動スクロール部材の
遠心力に対抗する力を、接触点に作用する駆動力の分力
のみによって得ることになるため、固定スクロール部材
の軸心と駆動軸の中心が一致しないときとか、接触点の
位置が偏ったときには、可動スクロール部材の遠心力を
調整する適度の分力が得られず、一回転中のスクロール
部材の渦巻き形の羽根間の半径方向の押しつけ力が変動
して、2つの渦巻き形の羽根の接触面上に偏摩耗を生じ
る恐れがある。しかも、この円筒駆動面と円筒被動面と
の係合関係は不安定であって、作動中に係合部分に摩耗
を生じたり、故障が発生する可能性が高い。
遠心力に対抗する力を、接触点に作用する駆動力の分力
のみによって得ることになるため、固定スクロール部材
の軸心と駆動軸の中心が一致しないときとか、接触点の
位置が偏ったときには、可動スクロール部材の遠心力を
調整する適度の分力が得られず、一回転中のスクロール
部材の渦巻き形の羽根間の半径方向の押しつけ力が変動
して、2つの渦巻き形の羽根の接触面上に偏摩耗を生じ
る恐れがある。しかも、この円筒駆動面と円筒被動面と
の係合関係は不安定であって、作動中に係合部分に摩耗
を生じたり、故障が発生する可能性が高い。
【0008】また、特公昭58−19875号公報に記
載されたシール手段は、スクロール型圧縮機の場合、圧
縮中の流体の内部圧力の和が常に可動スクロール部材の
回転方向と逆の方向に働くことに着目して、この流体圧
力を利用して可動スクロール部材を固定スクロール部材
に押しつける構造をとっている。
載されたシール手段は、スクロール型圧縮機の場合、圧
縮中の流体の内部圧力の和が常に可動スクロール部材の
回転方向と逆の方向に働くことに着目して、この流体圧
力を利用して可動スクロール部材を固定スクロール部材
に押しつける構造をとっている。
【0009】このような構造では、何らかの原因によっ
て吐出圧に変動が発生した場合は、半径方向のシール力
も変動することになるので、充分なシール力、即ち押し
つけ力を得るためには、予めシール力を大きめに設定し
ておく必要があり、特に無潤滑駆動とする場合には、そ
れによってスクロール部材の摩耗が増大するという問題
を生じる。
て吐出圧に変動が発生した場合は、半径方向のシール力
も変動することになるので、充分なシール力、即ち押し
つけ力を得るためには、予めシール力を大きめに設定し
ておく必要があり、特に無潤滑駆動とする場合には、そ
れによってスクロール部材の摩耗が増大するという問題
を生じる。
【0010】更に圧縮圧力は常に変動しているため、前
記のような従来技術の構成では駆動軸及び可動スクロー
ル部材の一回転中にシール力が部分的に変化することに
よって2つのスクロール部材の渦巻き形の羽根の面に偏
摩耗を生じる。この対策として、スクロール部材の渦巻
き形の羽根の巻き数を多くして圧力変動を抑えることが
考えられるが、スクロール部材が大型化することから、
圧縮機等の流体機械全体の体格が大きくなるので現実的
な対策とは言えない。このように、シール力が内部圧力
の影響を受けるために、安定した値の最適の押しつけ力
が得られず、それによってスクロール部材の渦巻き形の
羽根に偏摩耗が生じた場合は動力損失の増大を招く、と
いうような問題がある。
記のような従来技術の構成では駆動軸及び可動スクロー
ル部材の一回転中にシール力が部分的に変化することに
よって2つのスクロール部材の渦巻き形の羽根の面に偏
摩耗を生じる。この対策として、スクロール部材の渦巻
き形の羽根の巻き数を多くして圧力変動を抑えることが
考えられるが、スクロール部材が大型化することから、
圧縮機等の流体機械全体の体格が大きくなるので現実的
な対策とは言えない。このように、シール力が内部圧力
の影響を受けるために、安定した値の最適の押しつけ力
が得られず、それによってスクロール部材の渦巻き形の
羽根に偏摩耗が生じた場合は動力損失の増大を招く、と
いうような問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
有するこれらの多くの問題点を解決し、2つのスクロー
ル部材の渦巻き形の羽根が接触する部分のシール手段を
改善することによって、それらの間に圧力変動に左右さ
れない最適のシール力(押しつけ力)を発生させると共
に、スクロール部材の渦巻き形の羽根の偏摩耗を防止し
て動力損失を低減することを、発明の解決課題とするも
のである。
有するこれらの多くの問題点を解決し、2つのスクロー
ル部材の渦巻き形の羽根が接触する部分のシール手段を
改善することによって、それらの間に圧力変動に左右さ
れない最適のシール力(押しつけ力)を発生させると共
に、スクロール部材の渦巻き形の羽根の偏摩耗を防止し
て動力損失を低減することを、発明の解決課題とするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するための手段として、渦巻き形の羽根を有しハウ
ジングの一部として固定される固定スクロール部材と、
前記固定スクロール部材の前記渦巻き形の羽根に対して
噛み合う渦巻き形の羽根を有し駆動軸により偏心輪装置
を介して駆動される可動スクロール部材と、前記可動ス
クロール部材の自転を阻止し公転のみを許す自転防止機
構とを備えており、前記可動スクロール部材の渦巻き形
の羽根は、その公転による遠心力によって半径方向に前
記固定スクロール部材の渦巻き形の羽根に押しつけられ
ることにより、2つの渦巻き形の羽根の間に形成される
三日月形の作動室を円周方向にシールすることができ、
前記偏心輪装置は、前記駆動軸に対して偏心して取り付
けられた円弧面或いはそれに類似した曲面を有する駆動
側の回転部材と、前記曲面よりも小径又は大径であって
前記曲面の内側又は外側に位置し前記可動スクロール部
材の中心軸に対して回転可能に取り付けられて前記駆動
側の回転部材が回転するときに前記曲面の一部と抵触す
る円弧面或いはそれに類似した曲面を有する被駆動側の
回転部材とを備えていて、それらの曲面の抵触によって
前記駆動軸から前記可動スクロール部材に駆動力が伝達
されるように構成されていると共に、前記偏心輪装置の
前記被駆動側の回転部材の一部には前記駆動軸と共に回
転するバランスウェイトが付設されていて、その回転に
よって前記可動スクロール部材の公転により発生する遠
心力の一部を相殺する求心力を発生するように構成され
ており、更にこの求心力が、前記曲面同士の抵触によっ
て伝達される駆動力の一部の成分によって増減調整され
るようになっていることを特徴とするスクロール式流体
機械を提供する。
解決するための手段として、渦巻き形の羽根を有しハウ
ジングの一部として固定される固定スクロール部材と、
前記固定スクロール部材の前記渦巻き形の羽根に対して
噛み合う渦巻き形の羽根を有し駆動軸により偏心輪装置
を介して駆動される可動スクロール部材と、前記可動ス
クロール部材の自転を阻止し公転のみを許す自転防止機
構とを備えており、前記可動スクロール部材の渦巻き形
の羽根は、その公転による遠心力によって半径方向に前
記固定スクロール部材の渦巻き形の羽根に押しつけられ
ることにより、2つの渦巻き形の羽根の間に形成される
三日月形の作動室を円周方向にシールすることができ、
前記偏心輪装置は、前記駆動軸に対して偏心して取り付
けられた円弧面或いはそれに類似した曲面を有する駆動
側の回転部材と、前記曲面よりも小径又は大径であって
前記曲面の内側又は外側に位置し前記可動スクロール部
材の中心軸に対して回転可能に取り付けられて前記駆動
側の回転部材が回転するときに前記曲面の一部と抵触す
る円弧面或いはそれに類似した曲面を有する被駆動側の
回転部材とを備えていて、それらの曲面の抵触によって
前記駆動軸から前記可動スクロール部材に駆動力が伝達
されるように構成されていると共に、前記偏心輪装置の
前記被駆動側の回転部材の一部には前記駆動軸と共に回
転するバランスウェイトが付設されていて、その回転に
よって前記可動スクロール部材の公転により発生する遠
心力の一部を相殺する求心力を発生するように構成され
ており、更にこの求心力が、前記曲面同士の抵触によっ
て伝達される駆動力の一部の成分によって増減調整され
るようになっていることを特徴とするスクロール式流体
機械を提供する。
【0013】
【作用】駆動軸が回転し、偏心輪装置によって被駆動側
の回転部材が駆動軸に対して偏心して回転することによ
り、それに対して回転可能に連結されていると共に自転
防止機構によって自転を阻止されている可動スクロール
部材は公転だけをすることになる。その結果、固定スク
ロール部材との間に形成される三日月形の作動室は、駆
動軸の回転方向により、縮小しながらスクロール部材の
外側から内側へ移動して流体を圧縮するか、又は、拡大
しながら内側から外側へ移動して流体を膨張させること
ができる。
の回転部材が駆動軸に対して偏心して回転することによ
り、それに対して回転可能に連結されていると共に自転
防止機構によって自転を阻止されている可動スクロール
部材は公転だけをすることになる。その結果、固定スク
ロール部材との間に形成される三日月形の作動室は、駆
動軸の回転方向により、縮小しながらスクロール部材の
外側から内側へ移動して流体を圧縮するか、又は、拡大
しながら内側から外側へ移動して流体を膨張させること
ができる。
【0014】本発明のスクロール式流体機械において
は、可動スクロール部材の渦巻き形の羽根は、可動スク
ロール部材自体の公転による遠心力によって半径方向に
付勢されて固定スクロール部材の渦巻き形の羽根に押し
つけられ、2つの渦巻き形の羽根の間に形成される三日
月形の作動室を円周方向にシールすることができる。し
かし、その遠心力が過大になると羽根の表面に摩耗が生
じるので、本発明ではまず、偏心輪装置に付設されて駆
動軸の回転と共に回転するバランスウェイトの遠心力を
求心力として利用し、可動スクロール部材の遠心力に対
抗させることにより、実際にシール力として羽根の間に
半径方向に作用する遠心力の大きさを減少させ、その差
の力を残すようにする。
は、可動スクロール部材の渦巻き形の羽根は、可動スク
ロール部材自体の公転による遠心力によって半径方向に
付勢されて固定スクロール部材の渦巻き形の羽根に押し
つけられ、2つの渦巻き形の羽根の間に形成される三日
月形の作動室を円周方向にシールすることができる。し
かし、その遠心力が過大になると羽根の表面に摩耗が生
じるので、本発明ではまず、偏心輪装置に付設されて駆
動軸の回転と共に回転するバランスウェイトの遠心力を
求心力として利用し、可動スクロール部材の遠心力に対
抗させることにより、実際にシール力として羽根の間に
半径方向に作用する遠心力の大きさを減少させ、その差
の力を残すようにする。
【0015】更に、本発明における偏心輪装置は、駆動
軸から可動スクロール部材の中心軸へ駆動力を伝達する
ために、駆動側の回転部材が駆動軸に対して偏心してい
る円弧面或いはそれに類似した曲面を有すると共に、被
駆動側の回転部材が前記曲面よりも小径又は大径であっ
てその内側又は外側に位置するやはり円弧面或いはそれ
に類似した曲面を備えており、駆動軸が回転すると駆動
側の回転部材の曲面の一部が被駆動側の回転部材の曲面
の一部に抵触し、その接触点において駆動力が被駆動側
へ伝達されるようになっている。
軸から可動スクロール部材の中心軸へ駆動力を伝達する
ために、駆動側の回転部材が駆動軸に対して偏心してい
る円弧面或いはそれに類似した曲面を有すると共に、被
駆動側の回転部材が前記曲面よりも小径又は大径であっ
てその内側又は外側に位置するやはり円弧面或いはそれ
に類似した曲面を備えており、駆動軸が回転すると駆動
側の回転部材の曲面の一部が被駆動側の回転部材の曲面
の一部に抵触し、その接触点において駆動力が被駆動側
へ伝達されるようになっている。
【0016】従って、駆動側の回転部材と被駆動側の回
転部材とが一体となって駆動軸の回転が被駆動側の回転
部材に伝えられる際に、この駆動力のうちバランスウェ
イトの遠心力(求心力)と同じ方向又は反対の方向に発
生する分力が、駆動軸と固定スクロール部材及び可動ス
クロール部材との偏心の程度に応じてバランスウェイト
の遠心力を弱めたり、或いはそれを強めるように作用す
る。その結果、可動スクロール部材の遠心力とバランス
ウェイトの遠心力との差の力は更に一定となる方向に調
整され、2つのスクロール部材の渦巻き形の羽根のプロ
フィールの誤差や、固定スクロール部材の中心が駆動軸
の中心からずれている場合でも、2つの渦巻き形の羽根
の間に作用する半径方向の力、従ってシール力は、回転
数や回転位置に関係なく一定となる。
転部材とが一体となって駆動軸の回転が被駆動側の回転
部材に伝えられる際に、この駆動力のうちバランスウェ
イトの遠心力(求心力)と同じ方向又は反対の方向に発
生する分力が、駆動軸と固定スクロール部材及び可動ス
クロール部材との偏心の程度に応じてバランスウェイト
の遠心力を弱めたり、或いはそれを強めるように作用す
る。その結果、可動スクロール部材の遠心力とバランス
ウェイトの遠心力との差の力は更に一定となる方向に調
整され、2つのスクロール部材の渦巻き形の羽根のプロ
フィールの誤差や、固定スクロール部材の中心が駆動軸
の中心からずれている場合でも、2つの渦巻き形の羽根
の間に作用する半径方向の力、従ってシール力は、回転
数や回転位置に関係なく一定となる。
【0017】仮に、偏心輪装置が偏心量の変化しないも
のであれば、固定スクロール部材の軸心と駆動軸の中心
が一致していない場合や、2つのスクロール部材の渦巻
き形の羽根のプロフィールに誤差があった場合には、駆
動軸が一回転する間に可動スクロール部材の公転による
遠心力の大きさが一定であっても、その一回転の間に固
定スクロール部材に対する可動スクロール部材の偏心量
が回転角度に応じて変化することによって、2つの渦巻
き形の羽根の間に半径方向に作用する押しつけ力、従っ
てシール力に変動が生じ、シール状態が変動するだけで
なく羽根の表面に偏摩耗を生じる。
のであれば、固定スクロール部材の軸心と駆動軸の中心
が一致していない場合や、2つのスクロール部材の渦巻
き形の羽根のプロフィールに誤差があった場合には、駆
動軸が一回転する間に可動スクロール部材の公転による
遠心力の大きさが一定であっても、その一回転の間に固
定スクロール部材に対する可動スクロール部材の偏心量
が回転角度に応じて変化することによって、2つの渦巻
き形の羽根の間に半径方向に作用する押しつけ力、従っ
てシール力に変動が生じ、シール状態が変動するだけで
なく羽根の表面に偏摩耗を生じる。
【0018】しかし、本発明における偏心輪装置は、駆
動側の曲面と被駆動側の曲面との一部の接触によって駆
動力が伝達されており、このような場合に2つの曲面の
接触点が僅かに移動することによって2つのスクロール
部材の間の偏心量の変化分や羽根のプロフィールの誤差
分を吸収し、バランスウェイトの遠心力のみによる調整
によっては不十分な部分を補正して、シール力の変動を
抑え、変動によって起こる羽根の表面の偏摩耗を防止す
る。
動側の曲面と被駆動側の曲面との一部の接触によって駆
動力が伝達されており、このような場合に2つの曲面の
接触点が僅かに移動することによって2つのスクロール
部材の間の偏心量の変化分や羽根のプロフィールの誤差
分を吸収し、バランスウェイトの遠心力のみによる調整
によっては不十分な部分を補正して、シール力の変動を
抑え、変動によって起こる羽根の表面の偏摩耗を防止す
る。
【0019】
【実施例】図1に、本発明のスクロール式流体機械の実
施例としてのスクロール圧縮機1を示す。図1に示され
たスクロール圧縮機1は、主として、ハウジング本体2
に固定されてハウジングの一部となる固定スクロール部
材3と、電動機4のような原動機(油圧モータや内燃機
関等でもよい)からの駆動軸5の軸端に取り付けられた
本発明の特徴とする自動調圧機構を備えている偏心輪装
置6と、該偏心輪装置6によって駆動される可動スクロ
ール部材7と、詳細に図示していないが、駆動の際に可
動スクロール部材7の公転のみを許し自転を阻止する自
転防止機構8とからなっている。
施例としてのスクロール圧縮機1を示す。図1に示され
たスクロール圧縮機1は、主として、ハウジング本体2
に固定されてハウジングの一部となる固定スクロール部
材3と、電動機4のような原動機(油圧モータや内燃機
関等でもよい)からの駆動軸5の軸端に取り付けられた
本発明の特徴とする自動調圧機構を備えている偏心輪装
置6と、該偏心輪装置6によって駆動される可動スクロ
ール部材7と、詳細に図示していないが、駆動の際に可
動スクロール部材7の公転のみを許し自転を阻止する自
転防止機構8とからなっている。
【0020】固定スクロール部材3及び可動スクロール
部材7は、実質的に同じ形をした渦巻き形の羽根3a及
び7aを備えており、それらは軸方向に同じ長さ(高
さ)を有している。そして、それらが相対的に位相がず
れて、且つ偏心している状態で互いに噛み合うように組
み合わされて支持されることにより、それらの羽根の間
に流体を圧縮するための、軸方向に見た形が三日月形を
している空間を少なくとも1個以上形成する。
部材7は、実質的に同じ形をした渦巻き形の羽根3a及
び7aを備えており、それらは軸方向に同じ長さ(高
さ)を有している。そして、それらが相対的に位相がず
れて、且つ偏心している状態で互いに噛み合うように組
み合わされて支持されることにより、それらの羽根の間
に流体を圧縮するための、軸方向に見た形が三日月形を
している空間を少なくとも1個以上形成する。
【0021】図示実施例の場合、可動スクロール部材7
は、渦巻き形の羽根7aを取り付けている円板形の側板
7bの背後の中心において軸方向に突出する短い被駆動
軸7cを一体的に備えており、この被駆動軸7cは、軸
受9と、部分的な拡大断面図である図2及び図3に詳細
に構造が示されているような、本発明による自動調圧機
構を含む偏心輪装置6とを介して、駆動軸5に連結され
ている。
は、渦巻き形の羽根7aを取り付けている円板形の側板
7bの背後の中心において軸方向に突出する短い被駆動
軸7cを一体的に備えており、この被駆動軸7cは、軸
受9と、部分的な拡大断面図である図2及び図3に詳細
に構造が示されているような、本発明による自動調圧機
構を含む偏心輪装置6とを介して、駆動軸5に連結され
ている。
【0022】偏心輪装置6は、図示実施例の場合は駆動
軸5と一体化されている偏心輪10を有する。偏心輪1
0は円形の外周面10aと、円形の内周面10bとを備
えたカップ状のもので、内周面10bは,図3に見られ
るように駆動軸5の軸心Bに対して偏心している。偏心
輪10の一部には軸方向に断面円形のピン11が打ち込
まれて固定されており、その先端の突出部分が可動スク
ロール部材7の方へ伸びている。可動スクロール部材7
の軸心即ち被駆動軸7cの軸心Cは、図2や図3から明
らかなように駆動軸5の軸心Bに対して偏心しており、
この偏心量が可動スクロール部材7の公転運動の半径と
なる。
軸5と一体化されている偏心輪10を有する。偏心輪1
0は円形の外周面10aと、円形の内周面10bとを備
えたカップ状のもので、内周面10bは,図3に見られ
るように駆動軸5の軸心Bに対して偏心している。偏心
輪10の一部には軸方向に断面円形のピン11が打ち込
まれて固定されており、その先端の突出部分が可動スク
ロール部材7の方へ伸びている。可動スクロール部材7
の軸心即ち被駆動軸7cの軸心Cは、図2や図3から明
らかなように駆動軸5の軸心Bに対して偏心しており、
この偏心量が可動スクロール部材7の公転運動の半径と
なる。
【0023】可動スクロール部材7の被駆動軸7cには
軸受9を介して回転自由に円形のリング12が取り付け
られる。リング12の外周の一部には、偏心輪10と抵
触しないように扇形に拡がるバランスウェイト13が一
体的に取り付けられており、バランスウェイト13の一
部には大径の穴14が開口していて、偏心輪10から軸
方向に伸びる円形のピン11の先端を緩やかに受け入れ
ている。円形のピン11と大径の穴14との係合によっ
て、偏心輪10即ち駆動軸5と、バランスウェイト13
即ちリング12との間に相対的な回り止めが施され、バ
ランスウェイト13は駆動軸5と連動して同じ回転をす
るようになる。大径の穴14の直径が円形のピン11の
それよりも大きくて係合部分に余裕があるため、後述の
ように駆動側と被駆動側との接点の位置が変化すること
が可能になり、それによって2つの渦巻き形の羽根3
a,7aの間に作用する半径方向の押圧力を調整するこ
とができる。
軸受9を介して回転自由に円形のリング12が取り付け
られる。リング12の外周の一部には、偏心輪10と抵
触しないように扇形に拡がるバランスウェイト13が一
体的に取り付けられており、バランスウェイト13の一
部には大径の穴14が開口していて、偏心輪10から軸
方向に伸びる円形のピン11の先端を緩やかに受け入れ
ている。円形のピン11と大径の穴14との係合によっ
て、偏心輪10即ち駆動軸5と、バランスウェイト13
即ちリング12との間に相対的な回り止めが施され、バ
ランスウェイト13は駆動軸5と連動して同じ回転をす
るようになる。大径の穴14の直径が円形のピン11の
それよりも大きくて係合部分に余裕があるため、後述の
ように駆動側と被駆動側との接点の位置が変化すること
が可能になり、それによって2つの渦巻き形の羽根3
a,7aの間に作用する半径方向の押圧力を調整するこ
とができる。
【0024】なお13aは被駆動軸7cの軸心に対して
偏心しているバランスウェイト13の重量部分を示して
いる。重量部分13aは駆動軸5に対する可動スクロー
ル部材7の偏心の方向と反対の側に設けられる。バラン
スウェイト13は基本的に可動スクロール部材7の公転
に伴って発生する遠心力の一部と釣り合う遠心力を発生
するように設計されており、それによって相殺された後
の残余の遠心力が、可動スクロール部材7の渦巻き形の
羽根7aを固定スクロール部材3の渦巻き形の羽根3a
に向かって押しつける半径方向の押圧力となるが、この
ような遠心力の釣り合いだけでは、加工精度のばらつき
等に起因するスクロール部材の渦巻き形の羽根のプロフ
ィールの誤差等による押圧力の変動を完全には吸収する
ことができないので、後述のような手段によってこの押
圧力を補正している。また、この実施例と直接の関係は
ないが、図1において15は可動スクロール部材7に作
用する軸方向の圧縮反力を支持するスラストボールを、
16は圧縮された流体を外部へ導く吐出ポートを示して
いる。
偏心しているバランスウェイト13の重量部分を示して
いる。重量部分13aは駆動軸5に対する可動スクロー
ル部材7の偏心の方向と反対の側に設けられる。バラン
スウェイト13は基本的に可動スクロール部材7の公転
に伴って発生する遠心力の一部と釣り合う遠心力を発生
するように設計されており、それによって相殺された後
の残余の遠心力が、可動スクロール部材7の渦巻き形の
羽根7aを固定スクロール部材3の渦巻き形の羽根3a
に向かって押しつける半径方向の押圧力となるが、この
ような遠心力の釣り合いだけでは、加工精度のばらつき
等に起因するスクロール部材の渦巻き形の羽根のプロフ
ィールの誤差等による押圧力の変動を完全には吸収する
ことができないので、後述のような手段によってこの押
圧力を補正している。また、この実施例と直接の関係は
ないが、図1において15は可動スクロール部材7に作
用する軸方向の圧縮反力を支持するスラストボールを、
16は圧縮された流体を外部へ導く吐出ポートを示して
いる。
【0025】偏心輪10の内周面10bが駆動軸5の軸
心Bに対して偏心しているため、駆動軸5が回転すると
きは必ず内周面10bのいづれかの部分がリング12に
接触(抵触)するが、そのときの接点を図3のようにA
によって示すことにする。接点Aの生じる位置が第一義
的に偏心輪10の内周面10bとリング12の外周面の
形状に依存して決まることは明らかである。従って、内
周面10bの半径とリング12の半径は、設計の段階に
おいて後に説明するようにして定められる。例えば、可
動スクロール部材7の回転数の大小に関係なく前述の2
つの渦巻き形の羽根3aと7aの間に半径方向に作用す
るシール力、即ち押圧力を一定にするというような目的
も、接触する2つの面の半径(一般的には曲率半径)の
決め方次第で達成することができる。
心Bに対して偏心しているため、駆動軸5が回転すると
きは必ず内周面10bのいづれかの部分がリング12に
接触(抵触)するが、そのときの接点を図3のようにA
によって示すことにする。接点Aの生じる位置が第一義
的に偏心輪10の内周面10bとリング12の外周面の
形状に依存して決まることは明らかである。従って、内
周面10bの半径とリング12の半径は、設計の段階に
おいて後に説明するようにして定められる。例えば、可
動スクロール部材7の回転数の大小に関係なく前述の2
つの渦巻き形の羽根3aと7aの間に半径方向に作用す
るシール力、即ち押圧力を一定にするというような目的
も、接触する2つの面の半径(一般的には曲率半径)の
決め方次第で達成することができる。
【0026】例えば適当な基準となる運転状態におい
て、図3に示すように矢印の方向に回転する駆動軸5と
一体の偏心輪10がリング12に対して点Aにおいて接
触し、それ以後は偏心輪10がリング12とバランスウ
ェイト13を伴って一体的に回転するものとする。この
際、偏心輪10は楔作用による強い摩擦力によって、接
点Aにおいてリング12に駆動力を伝達することにな
る。偏心輪装置6によって可動スクロール部材7の被駆
動軸7cに回転が伝達されても、可動スクロール部材7
は、例えば半径方向の溝を有するオルダムリングと可動
スクロール部材7及びハウジング本体2にそれぞれ軸方
向に植設されたピンとが係合している、それ自体は公知
の自転防止機構8によって自転を阻止されているので、
偏心量、即ち軸心B及びCの距離と同じ半径で自転を伴
わない公転だけをするが、公転によって可動スクロール
部材7には遠心力が作用する。
て、図3に示すように矢印の方向に回転する駆動軸5と
一体の偏心輪10がリング12に対して点Aにおいて接
触し、それ以後は偏心輪10がリング12とバランスウ
ェイト13を伴って一体的に回転するものとする。この
際、偏心輪10は楔作用による強い摩擦力によって、接
点Aにおいてリング12に駆動力を伝達することにな
る。偏心輪装置6によって可動スクロール部材7の被駆
動軸7cに回転が伝達されても、可動スクロール部材7
は、例えば半径方向の溝を有するオルダムリングと可動
スクロール部材7及びハウジング本体2にそれぞれ軸方
向に植設されたピンとが係合している、それ自体は公知
の自転防止機構8によって自転を阻止されているので、
偏心量、即ち軸心B及びCの距離と同じ半径で自転を伴
わない公転だけをするが、公転によって可動スクロール
部材7には遠心力が作用する。
【0027】駆動軸5と共に偏心輪10が1回転する間
の2つの渦巻き形の羽根3a,7aの相対的な位置関係
と、偏心輪装置6の回転位置の変化を図4に示す。スク
ロール式の圧縮機においては、変化の順序はL−M−N
−O−Lの順となり、この間に2つの渦巻き形の羽根3
a,7aの外周部において羽根の間に取り込まれた流体
は、三日月形の空間に閉じ込められ、その空間が次第に
中心に向かって移動しながらその容積が連続的に縮小す
ることによって圧縮されて、中心部から高圧の流体とな
って吐出される。この際、前述のように偏心輪装置6を
構成する各部分の相対的な位置に変化はなく、偏心輪1
0とリング12は点Aにおいて接触して駆動力を伝達し
ている。
の2つの渦巻き形の羽根3a,7aの相対的な位置関係
と、偏心輪装置6の回転位置の変化を図4に示す。スク
ロール式の圧縮機においては、変化の順序はL−M−N
−O−Lの順となり、この間に2つの渦巻き形の羽根3
a,7aの外周部において羽根の間に取り込まれた流体
は、三日月形の空間に閉じ込められ、その空間が次第に
中心に向かって移動しながらその容積が連続的に縮小す
ることによって圧縮されて、中心部から高圧の流体とな
って吐出される。この際、前述のように偏心輪装置6を
構成する各部分の相対的な位置に変化はなく、偏心輪1
0とリング12は点Aにおいて接触して駆動力を伝達し
ている。
【0028】図3に示したように、接点Aにおいて駆動
力が伝達されている状態では、可動スクロール部材7が
公転することによって発生する遠心力は図3に示された
矢印Fmのように被駆動軸7cの軸心Cに作用し、駆動
軸5及び偏心輪10の回転に伴ってバランスウェイト1
3に発生する遠心力は、遠心力Fmと反対向きに矢印F
bのように作用して、遠心力Fmの一部を相殺するよう
に働く。その意味で、バランスウェイト13に働く遠心
力Fbは、可動スクロール部材7又は被駆動軸7cにと
っては駆動軸5の軸心Bの方向に向かう求心力になる。
その結果、実際に可動スクロール部材7に作用する残余
の遠心力は(Fm−Fb)となるので、基本的にはこの
力が、可動スクロール部材7の渦巻き形の羽根7aを固
定スクロール部材3の渦巻き形の羽根3aに向かって半
径方向に押しつけるシール力となる。そこで、この残余
の遠心力の値(Fm−Fb)が最適の値になるように、
遠心力Fbの値等を設定することになる。なお、図3に
示したような状態では、流体を圧縮することによって発
生する圧縮反力Fpが、遠心力Fm及びFbの作用の方
向に対して略直角の方向に作用するので、シール力には
実質的に影響しない。
力が伝達されている状態では、可動スクロール部材7が
公転することによって発生する遠心力は図3に示された
矢印Fmのように被駆動軸7cの軸心Cに作用し、駆動
軸5及び偏心輪10の回転に伴ってバランスウェイト1
3に発生する遠心力は、遠心力Fmと反対向きに矢印F
bのように作用して、遠心力Fmの一部を相殺するよう
に働く。その意味で、バランスウェイト13に働く遠心
力Fbは、可動スクロール部材7又は被駆動軸7cにと
っては駆動軸5の軸心Bの方向に向かう求心力になる。
その結果、実際に可動スクロール部材7に作用する残余
の遠心力は(Fm−Fb)となるので、基本的にはこの
力が、可動スクロール部材7の渦巻き形の羽根7aを固
定スクロール部材3の渦巻き形の羽根3aに向かって半
径方向に押しつけるシール力となる。そこで、この残余
の遠心力の値(Fm−Fb)が最適の値になるように、
遠心力Fbの値等を設定することになる。なお、図3に
示したような状態では、流体を圧縮することによって発
生する圧縮反力Fpが、遠心力Fm及びFbの作用の方
向に対して略直角の方向に作用するので、シール力には
実質的に影響しない。
【0029】また、仮に、加工精度の問題或いは設計上
の制約等によって、2つのスクロール部材の渦巻き形の
羽根3a,7aのプロフィールに誤差があり、駆動軸5
の軸心Bと固定スクロール部材3の軸心とが一致しない
ような場合には、一回転中の偏心量が変化することによ
り遠心力の大きさも変動することになるが、この実施例
の構成を用いることによって、2つの渦巻き形の羽根3
a,7a間の半径方向のシール力は略一定に自動調整さ
れる。以下、そのメカニズムを、図5及び図6を使用し
て詳細に説明する。
の制約等によって、2つのスクロール部材の渦巻き形の
羽根3a,7aのプロフィールに誤差があり、駆動軸5
の軸心Bと固定スクロール部材3の軸心とが一致しない
ような場合には、一回転中の偏心量が変化することによ
り遠心力の大きさも変動することになるが、この実施例
の構成を用いることによって、2つの渦巻き形の羽根3
a,7a間の半径方向のシール力は略一定に自動調整さ
れる。以下、そのメカニズムを、図5及び図6を使用し
て詳細に説明する。
【0030】例えば、図5に示すように、偏心輪10の
内周面10bがリング12に対して点A’において接触
して駆動力を伝達する場合には、可動スクロール部材7
に作用する遠心力Fm’は図3の場合の遠心力Fmより
も大きくなるが、その時にバランスウェイト13によっ
て発生する求心力Fb’は図3の場合の求心力Fbより
も小さくなる。その結果、残余の遠心力を図3の場合と
比較すると、 Fm’−Fb’>Fm−Fb となる。
内周面10bがリング12に対して点A’において接触
して駆動力を伝達する場合には、可動スクロール部材7
に作用する遠心力Fm’は図3の場合の遠心力Fmより
も大きくなるが、その時にバランスウェイト13によっ
て発生する求心力Fb’は図3の場合の求心力Fbより
も小さくなる。その結果、残余の遠心力を図3の場合と
比較すると、 Fm’−Fb’>Fm−Fb となる。
【0031】しかし、図5の場合には駆動力の伝達点
(接点A’)が図示の位置に移動しているために、駆動
力と圧縮反力Fpとの力の釣り合いにより、求心力F
b’と同じ方向に力Fa1が生じる。その結果、2つの渦
巻き形の羽根3a,7aの間に実際に作用するシール力
はFm’−Fb’−Fa1となる。従って、Fm’−F
b’−Fa1の値が図3に示したように接点Aにおいて駆
動力が伝達される場合のシール力Fm−Fbの値に近づ
くように、偏心輪10の内周面10bの形状等を設定す
ることによって、図3の場合と略同じ大きさのシール力
を得ることができる。その具体的な手法については後に
説明する。
(接点A’)が図示の位置に移動しているために、駆動
力と圧縮反力Fpとの力の釣り合いにより、求心力F
b’と同じ方向に力Fa1が生じる。その結果、2つの渦
巻き形の羽根3a,7aの間に実際に作用するシール力
はFm’−Fb’−Fa1となる。従って、Fm’−F
b’−Fa1の値が図3に示したように接点Aにおいて駆
動力が伝達される場合のシール力Fm−Fbの値に近づ
くように、偏心輪10の内周面10bの形状等を設定す
ることによって、図3の場合と略同じ大きさのシール力
を得ることができる。その具体的な手法については後に
説明する。
【0032】更に、駆動力の伝達点が図6に示すA”の
ような位置にある場合には、可動スクロール部材7に作
用する遠心力Fm”は図3の場合の遠心力Fmよりも小
さくなり、バランスウェイト13による求心力Fb”は
Fbよりも大きくなる。この時に駆動力と圧縮反力の釣
り合いによって発生する力Fa2は可動スクロール部材7
の方向に作用し、2つの渦巻き形の羽根3a,7aの間
に作用するシール力はFm”−Fb”+Fa2となる。従
って、この場合も前述の例と同様に、Fm”−Fb”+
Fa2の値が図3に示した場合のシール力Fm−Fbの値
に近づくように、偏心輪10の内周面10bの形状等を
設定することによって、図3の場合と略同じ大きさの半
径方向のシール力を得ることができる。
ような位置にある場合には、可動スクロール部材7に作
用する遠心力Fm”は図3の場合の遠心力Fmよりも小
さくなり、バランスウェイト13による求心力Fb”は
Fbよりも大きくなる。この時に駆動力と圧縮反力の釣
り合いによって発生する力Fa2は可動スクロール部材7
の方向に作用し、2つの渦巻き形の羽根3a,7aの間
に作用するシール力はFm”−Fb”+Fa2となる。従
って、この場合も前述の例と同様に、Fm”−Fb”+
Fa2の値が図3に示した場合のシール力Fm−Fbの値
に近づくように、偏心輪10の内周面10bの形状等を
設定することによって、図3の場合と略同じ大きさの半
径方向のシール力を得ることができる。
【0033】このように、2つの渦巻き形の羽根3a,
7aのプロフィールに誤差があったり、固定スクロール
部材3の軸心と駆動軸5の軸心Bとが一致しない場合を
考慮して偏心輪10の内周面10bの形状等を決定する
ことによって、2つの渦巻き形の羽根3a,7aの間に
常に均一な大きさの半径方向のシール力を発生させるこ
とが可能になる。
7aのプロフィールに誤差があったり、固定スクロール
部材3の軸心と駆動軸5の軸心Bとが一致しない場合を
考慮して偏心輪10の内周面10bの形状等を決定する
ことによって、2つの渦巻き形の羽根3a,7aの間に
常に均一な大きさの半径方向のシール力を発生させるこ
とが可能になる。
【0034】次に、図2及び図3に示した実施例におい
て、偏心輪10の内周面10bと、それに接触するリン
グ12の外周面の形状を設計する手法を、図7を用いて
具体的に説明する。図7は図5に対応するものである。
この実施例においては偏心輪10の内周面10bとリン
グ12の外周面をいずれも円形としているので、各記号
を次のように定める。 A’…リング12と偏心穴10bとの接点 B …駆動軸5の軸心 C …可動スクロール部材7の軸心(被駆動軸7cの軸
心) D …バランスウェイト13の重心 r …偏心輪10の内周面10bの半径 a …リング12の外周面の半径 m1 …可動スクロール部材7の質量 m2 …バランスウェイト13の質量 ε …偏心量 e …スクロール部材のプロフィールの誤差による偏心
量εのずれ量の平均値 P …圧縮反力 ω …駆動軸5の回転角速度 h …バランスウェイト13の偏心量 この場合は、図7からみて次のような関係が成立する。 P・tan(θ1 −θ2 )≒(m1 +m2 )eω2 /cosθ2 +m1 ω2 (ε−ε・cosθ2 )/cosθ2 −m2 ω2 (h−h・cosθ2 )/cosθ2 θ1 =sin-1(e/r−a) θ2 =tan-1{(r−a)(1−cosθ1 )/e+ε} 従って、上記関係式を満たすように2つの円の半径rと
aを決めればよい。
て、偏心輪10の内周面10bと、それに接触するリン
グ12の外周面の形状を設計する手法を、図7を用いて
具体的に説明する。図7は図5に対応するものである。
この実施例においては偏心輪10の内周面10bとリン
グ12の外周面をいずれも円形としているので、各記号
を次のように定める。 A’…リング12と偏心穴10bとの接点 B …駆動軸5の軸心 C …可動スクロール部材7の軸心(被駆動軸7cの軸
心) D …バランスウェイト13の重心 r …偏心輪10の内周面10bの半径 a …リング12の外周面の半径 m1 …可動スクロール部材7の質量 m2 …バランスウェイト13の質量 ε …偏心量 e …スクロール部材のプロフィールの誤差による偏心
量εのずれ量の平均値 P …圧縮反力 ω …駆動軸5の回転角速度 h …バランスウェイト13の偏心量 この場合は、図7からみて次のような関係が成立する。 P・tan(θ1 −θ2 )≒(m1 +m2 )eω2 /cosθ2 +m1 ω2 (ε−ε・cosθ2 )/cosθ2 −m2 ω2 (h−h・cosθ2 )/cosθ2 θ1 =sin-1(e/r−a) θ2 =tan-1{(r−a)(1−cosθ1 )/e+ε} 従って、上記関係式を満たすように2つの円の半径rと
aを決めればよい。
【0035】図8及び図9に本発明の他の実施例を示
す。この例における偏心輪装置6は、図2及び図3に示
した実施例における偏心輪装置6の駆動軸5の側と、可
動スクロール部材7の被駆動軸7cの側との内外関係を
反対にしたものに相当する。即ち、駆動軸5の先端には
比較的外径の小さい偏心ピン5aが一体的に形成されて
いると共に、可動スクロール部材7の円板形の側板7b
にはそれと同心に偏心ピン5aの外径よりも充分大きな
内径を有する短い円筒軸17が一体に取り付けられてお
り、その内部にニードル軸受9を介して回転可能に支持
されているリング19の外周の一部には、重量部分13
aが取り付けられてバランスウェイト13を形成してい
る。そして、リング19の内周面19aに対してE点に
おいて駆動軸5の偏心ピン5aが接触することにより、
駆動力を伝達するように構成されている。なお、この実
施例においては、バランスウェイト13を駆動軸5と回
転的に連動するために、駆動軸5に対して偏心ピン5a
と釣り合うように一体に設けたウエブ5bの部分に円形
のピン11を形成し、これをバランスウェイト13の一
部に穿孔された大径の孔14内に緩く挿入する構造とし
ている。図8及び図9に示された実施例が、図2及び図
3に示された実施例と同様な作用、効果をもたらすこと
は説明を要しない。
す。この例における偏心輪装置6は、図2及び図3に示
した実施例における偏心輪装置6の駆動軸5の側と、可
動スクロール部材7の被駆動軸7cの側との内外関係を
反対にしたものに相当する。即ち、駆動軸5の先端には
比較的外径の小さい偏心ピン5aが一体的に形成されて
いると共に、可動スクロール部材7の円板形の側板7b
にはそれと同心に偏心ピン5aの外径よりも充分大きな
内径を有する短い円筒軸17が一体に取り付けられてお
り、その内部にニードル軸受9を介して回転可能に支持
されているリング19の外周の一部には、重量部分13
aが取り付けられてバランスウェイト13を形成してい
る。そして、リング19の内周面19aに対してE点に
おいて駆動軸5の偏心ピン5aが接触することにより、
駆動力を伝達するように構成されている。なお、この実
施例においては、バランスウェイト13を駆動軸5と回
転的に連動するために、駆動軸5に対して偏心ピン5a
と釣り合うように一体に設けたウエブ5bの部分に円形
のピン11を形成し、これをバランスウェイト13の一
部に穿孔された大径の孔14内に緩く挿入する構造とし
ている。図8及び図9に示された実施例が、図2及び図
3に示された実施例と同様な作用、効果をもたらすこと
は説明を要しない。
【0036】以上説明した実施例の偏心輪装置6におい
ては、偏心輪10の内周面10bとリング12の外周面
(図2及び図3)との接触、或いは駆動軸5の偏心ピン
5aの外周面とリング19の内周面19aとの接触(図
8及び図9)のように、円弧と円弧の接触によって駆動
力を伝達するA或いはEのような点(軸方向には線)が
形成されたが、本発明は円弧同士の接触に限られる訳で
はなく、図10に例示しているように、図3に示す偏心
輪10の内周面10bの円弧に代えて、例えば放物線の
ような円以外の2次曲線のように、円に類似した形状を
有する変形の駆動体20を使用することもできる。その
内周面を図10に20aとして示しているが、この実施
例は、それ以外の点では図2及び図3に示されたものと
同様である。
ては、偏心輪10の内周面10bとリング12の外周面
(図2及び図3)との接触、或いは駆動軸5の偏心ピン
5aの外周面とリング19の内周面19aとの接触(図
8及び図9)のように、円弧と円弧の接触によって駆動
力を伝達するA或いはEのような点(軸方向には線)が
形成されたが、本発明は円弧同士の接触に限られる訳で
はなく、図10に例示しているように、図3に示す偏心
輪10の内周面10bの円弧に代えて、例えば放物線の
ような円以外の2次曲線のように、円に類似した形状を
有する変形の駆動体20を使用することもできる。その
内周面を図10に20aとして示しているが、この実施
例は、それ以外の点では図2及び図3に示されたものと
同様である。
【0037】図2及び図3や図8及び図10に示された
実施例においては、駆動軸5とバランスウェイト13を
或る程度の自由度をもって回転的に連動するためのピン
11と大径の穴14を、いずれも円形のものとしている
が、これらは必ずしも円形である必要はない。そこで、
図11には円形のピン11に代えて使用され得る断面が
角形の所謂平行ピン21が例示されている。この場合、
バランスウェイト13の側に形成される穴の形状は、円
形よりも平行ピン21の可動範囲の領域の形に合わせて
角形等の形状にするのが望ましい。この場合もその穴の
大きさは平行ピン21に比べて充分大きくすることは言
うまでもない。
実施例においては、駆動軸5とバランスウェイト13を
或る程度の自由度をもって回転的に連動するためのピン
11と大径の穴14を、いずれも円形のものとしている
が、これらは必ずしも円形である必要はない。そこで、
図11には円形のピン11に代えて使用され得る断面が
角形の所謂平行ピン21が例示されている。この場合、
バランスウェイト13の側に形成される穴の形状は、円
形よりも平行ピン21の可動範囲の領域の形に合わせて
角形等の形状にするのが望ましい。この場合もその穴の
大きさは平行ピン21に比べて充分大きくすることは言
うまでもない。
【0038】図12は、以上の実施例において回り止め
手段として使用している軸方向のピン11或いは21に
代えて、半径方向のピン22を用いた例を示している。
半径方向のピン22は直方体形状をしており、その一端
を偏心輪10の内周面10bの一部に形成された軸方向
の溝10cに挿入すると共に、他端をリング12の外周
面の一部に形成された軸方向の溝12aに挿入して、偏
心輪10とリング12を連動させているが、ピン22が
偏心輪10或いはリング12に対して僅かに傾斜するこ
とにより、両者の間に僅かな相対回転を許すことができ
る。それによって、円形のピン11と大径の穴14との
係合関係のように、若干の遊びがある連動機構が形成さ
れる。
手段として使用している軸方向のピン11或いは21に
代えて、半径方向のピン22を用いた例を示している。
半径方向のピン22は直方体形状をしており、その一端
を偏心輪10の内周面10bの一部に形成された軸方向
の溝10cに挿入すると共に、他端をリング12の外周
面の一部に形成された軸方向の溝12aに挿入して、偏
心輪10とリング12を連動させているが、ピン22が
偏心輪10或いはリング12に対して僅かに傾斜するこ
とにより、両者の間に僅かな相対回転を許すことができ
る。それによって、円形のピン11と大径の穴14との
係合関係のように、若干の遊びがある連動機構が形成さ
れる。
【0039】図13は、同様な回り止めの目的で、偏心
輪10の内周面10bとリング12の外周面との間の三
日月形の隙間に、例えばゴムのような弾性体23を充填
して両者を接着した例を示す。弾性体23が弾性変形す
ることによって、偏心輪10とリング12との間には僅
かな相対回転が許容される。製法としては、未加硫の生
ゴム等を練った混練物を三日月形の隙間に充填し、外部
から加熱することによって隙間の中で加硫硬化させて、
偏心輪10の内周面10bとリング12の外周面とを接
着するとよい。
輪10の内周面10bとリング12の外周面との間の三
日月形の隙間に、例えばゴムのような弾性体23を充填
して両者を接着した例を示す。弾性体23が弾性変形す
ることによって、偏心輪10とリング12との間には僅
かな相対回転が許容される。製法としては、未加硫の生
ゴム等を練った混練物を三日月形の隙間に充填し、外部
から加熱することによって隙間の中で加硫硬化させて、
偏心輪10の内周面10bとリング12の外周面とを接
着するとよい。
【0040】図14は、偏心輪10の内周面10bとリ
ング12の外周面との間の摺動抵抗を減少させて、接触
係合点(軸方向には線)における摩耗を防止するため
に、軸受輪24を偏心輪10の内周面10bに一体的に
取り付けた例を示す。軸受輪24は、例えばホワイトメ
タルのような軸受用の金属材料とか、ナイロン樹脂やフ
ッ素樹脂のような合成樹脂材料等から製作する。これら
の軸受輪24は、偏心輪10の内周面10bに、締まり
嵌め又は接着等の方法によって固定するとよい。また、
図3に示した実施例の偏心輪装置6において、偏心輪1
0の内周面10b及びリング12の外周面の双方、又は
いずれか一方に、硬質の金属や樹脂材料等を被覆するだ
けでも、或る程度の効果を期待することができる。
ング12の外周面との間の摺動抵抗を減少させて、接触
係合点(軸方向には線)における摩耗を防止するため
に、軸受輪24を偏心輪10の内周面10bに一体的に
取り付けた例を示す。軸受輪24は、例えばホワイトメ
タルのような軸受用の金属材料とか、ナイロン樹脂やフ
ッ素樹脂のような合成樹脂材料等から製作する。これら
の軸受輪24は、偏心輪10の内周面10bに、締まり
嵌め又は接着等の方法によって固定するとよい。また、
図3に示した実施例の偏心輪装置6において、偏心輪1
0の内周面10b及びリング12の外周面の双方、又は
いずれか一方に、硬質の金属や樹脂材料等を被覆するだ
けでも、或る程度の効果を期待することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、スクロール圧縮機のよ
うなスクロール式流体機械において、加工精度上、2つ
のスクロール部材の渦巻き形の羽根のプロフィールに誤
差があったり、設計上の制約等によって駆動軸が固定ス
クロール部材の軸心と一致しない場合であっても、可動
スクロール部材の公転によって発生する遠心力を、偏心
輪装置に付設したバランスウェイトの遠心力によって一
部相殺するのに加えて、駆動側の回転部材と被駆動側の
回転部材との接触点に作用する駆動力の分力によって増
減補正するので、駆動軸の回転数が変動しても固定スク
ロール部材に対する可動スクロール部材の半径方向のシ
ール力を略一定に保持することができ、シール力の変動
によってスクロール部材の渦巻き形の羽根に偏摩耗が発
生するのを防止することができる。そして結果的に、羽
根の偏摩耗に起因する動力損失を低減することができ
る。しかもこの作動は安定であって、偏心輪装置にも故
障が発生しない。
うなスクロール式流体機械において、加工精度上、2つ
のスクロール部材の渦巻き形の羽根のプロフィールに誤
差があったり、設計上の制約等によって駆動軸が固定ス
クロール部材の軸心と一致しない場合であっても、可動
スクロール部材の公転によって発生する遠心力を、偏心
輪装置に付設したバランスウェイトの遠心力によって一
部相殺するのに加えて、駆動側の回転部材と被駆動側の
回転部材との接触点に作用する駆動力の分力によって増
減補正するので、駆動軸の回転数が変動しても固定スク
ロール部材に対する可動スクロール部材の半径方向のシ
ール力を略一定に保持することができ、シール力の変動
によってスクロール部材の渦巻き形の羽根に偏摩耗が発
生するのを防止することができる。そして結果的に、羽
根の偏摩耗に起因する動力損失を低減することができ
る。しかもこの作動は安定であって、偏心輪装置にも故
障が発生しない。
【図1】本発明の一実施例の全体構成を示す縦断面図で
ある。
ある。
【図2】図1の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図2の3−3線における横断側面図である。
【図4】図1に示すスクロール圧縮機の4つの作動状態
を示す横断側面図である。
を示す横断側面図である。
【図5】図3に対して軸の位置関係が異なる場合の作動
を示す横断側面図である。
を示す横断側面図である。
【図6】図3及び図5に対して更に軸の位置関係が異な
る場合の作動を示す横断側面図である。
る場合の作動を示す横断側面図である。
【図7】接触駆動部分の設計の手法を示す概念図であ
る。
る。
【図8】他の実施例の要部を拡大して示す縦断面図であ
る。
る。
【図9】図8の9−9線における横断側面図である。
【図10】更に他の実施例の要部を拡大して示す横断側
面図である。
面図である。
【図11】回り止め手段の他の例を拡大して示す横断側
面図である。
面図である。
【図12】回り止め手段の更に他の例を拡大して示す横
断側面図である。
断側面図である。
【図13】回り止め手段の更に他の例を拡大して示す横
断側面図である。
断側面図である。
【図14】更に他の実施例の要部を拡大して示す横断側
面図である。
面図である。
1…スクロール圧縮機 3…固定スクロール部材 3a…渦巻き形の羽根 5…駆動軸 5a…偏心ピン 6…偏心輪装置 7…可動スクロール部材 7a…渦巻き形の羽根 7c…被駆動軸 8…自転防止機構 10…偏心輪 10b…内周面 11…円形のピン 12…リング 13…バランスウェイト 13a…重量部分 14…大径の穴 17…円筒軸 19…リング 19a…内周面 20…変形の駆動体 21…平行ピン 23…弾性体 24…軸受輪
Claims (1)
- 【請求項1】 渦巻き形の羽根を有しハウジングの一部
として固定される固定スクロール部材と、前記固定スク
ロール部材の前記渦巻き形の羽根に対して噛み合う渦巻
き形の羽根を有し駆動軸により偏心輪装置を介して駆動
される可動スクロール部材と、前記可動スクロール部材
の自転を阻止し公転のみを許す自転防止機構とを備えて
おり、前記可動スクロール部材の渦巻き形の羽根は、そ
の公転による遠心力によって半径方向に前記固定スクロ
ール部材の渦巻き形の羽根に押しつけられることによ
り、2つの渦巻き形の羽根の間に形成される三日月形の
作動室を円周方向にシールすることができ、前記偏心輪
装置は、前記駆動軸に対して偏心して取り付けられた円
弧面或いはそれに類似した曲面を有する駆動側の回転部
材と、前記曲面よりも小径又は大径であって前記曲面の
内側又は外側に位置し前記可動スクロール部材の中心軸
に対して回転可能に取り付けられて前記駆動側の回転部
材が回転するときに前記曲面の一部と抵触する円弧面或
いはそれに類似した曲面を有する被駆動側の回転部材と
を備えていて、それらの曲面の抵触によって前記駆動軸
から前記可動スクロール部材に駆動力が伝達されるよう
に構成されていると共に、前記偏心輪装置の前記被駆動
側の回転部材の一部には前記駆動軸と共に回転するバラ
ンスウェイトが付設されていて、その回転によって前記
可動スクロール部材の公転により発生する遠心力の一部
を相殺する求心力を発生するように構成されており、更
にこの求心力が、前記曲面同士の抵触によって伝達され
る駆動力の一部の成分によって増減調整されるようにな
っていることを特徴とするスクロール式流体機械。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25499692A JPH06101660A (ja) | 1992-09-24 | 1992-09-24 | スクロール式流体機械 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25499692A JPH06101660A (ja) | 1992-09-24 | 1992-09-24 | スクロール式流体機械 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06101660A true JPH06101660A (ja) | 1994-04-12 |
Family
ID=17272763
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25499692A Pending JPH06101660A (ja) | 1992-09-24 | 1992-09-24 | スクロール式流体機械 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06101660A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023276157A1 (ja) * | 2021-07-02 | 2023-01-05 | 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 | スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置 |
JP2023014161A (ja) * | 2018-03-30 | 2023-01-26 | 株式会社豊田自動織機 | スクロール型圧縮機 |
-
1992
- 1992-09-24 JP JP25499692A patent/JPH06101660A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2023014161A (ja) * | 2018-03-30 | 2023-01-26 | 株式会社豊田自動織機 | スクロール型圧縮機 |
WO2023276157A1 (ja) * | 2021-07-02 | 2023-01-05 | 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 | スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置 |
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