JPH06100595A - Il−8受容体 - Google Patents

Il−8受容体

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JPH06100595A
JPH06100595A JP3149245A JP14924591A JPH06100595A JP H06100595 A JPH06100595 A JP H06100595A JP 3149245 A JP3149245 A JP 3149245A JP 14924591 A JP14924591 A JP 14924591A JP H06100595 A JPH06100595 A JP H06100595A
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JP
Japan
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receptor
polypeptide
cell
dna
cells
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Withdrawn
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JP3149245A
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English (en)
Inventor
Navarro Javia
ナヴァロ ジャヴィア
M Thomas Kathleen
エム トマス キャスリーン
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Boston University
Original Assignee
Boston University
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】IL−8受容体の遺伝情報を与えるcDNA
と、このcDNAから発現される組換えタンパク。 【効果】組換え受容体、受容体の断片及び同種物は、I
L−8とIL−8受容体との間の相互作用に拮抗する能
力について候補化合物をスクリーニングする方法におい
て用いられる。拮抗薬は炎症を軽減する治療薬として用
いられる。IL−8受容体又は抗体断片もしくは同種物
に特異性を示す抗体、並びに、治療薬としてのその使用
も開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、米国ナショナル・イン
スティトゥート・オブ・ヘルス(National Institute of
Health)によって付与された番号#R01AR39602、#AG00
115及び#K04AR01810をもって米国政府の支援の下にな
されたものである。
【0002】本発明は、炎症を軽減させることに関す
る。
【0003】
【従来の技術】通常の状態の下では、(例えばTリンパ
球、Bリンパ球、マクロファージ及び好中球による)宿
主の防衛機構の秩序立った進行によって、良好に制御さ
れた免疫反応及び炎症反応が生起し、それによって宿主
を有害な抗原に対して保護する。しかし宿主の防衛に関
与する機構のうちのいずれかの機構の調節機能の不備に
よって、宿主の組織が破壊され、臨床学的に明確な疾病
をひき起すことがある。1つのそうした機能の不備は、
細胞学的反応と組織学的反応との複合されたセットから
成る病理学的プロセスとしての炎症である。これらの反
応は、物理的、化学的又は生物学的な因子によって生じ
た損傷又は異常な刺激に応答して、冒された血管又は近
傍の組織に生ずる。炎症による疾患の例としては、過敏
症(anaphylaxis)、全身性の壊死性脈管炎、全身性のエ
リテマトーデス、血清病症候群、乾癬及び慢性関節リウ
マチ、並びに、心筋梗塞もしくはショックのような虚血
に続く期間の間に生ずる再潅流の障害などがある。炎症
は同種移植拒絶においても或る役割を果すことがある。
【0004】好中球は、炎症の過程において或る役割を
果す血液の細胞成分である。(例えば病原体によって宿
主が感染した後に)活性化された好中球は、細胞毒性を
示して炎症性応答を増幅させる物質を生成する。強い炎
症の間に好中球のタンパク分解酵素及び酸素を含まない
ラジカルが放出されると、軟骨のムコ多糖類が消化さ
れ、滑膜組織が酸化され、広汎な肺の損傷を生ずること
がある。また炎症の個所の走化性因子によって好中球の
凝集と内皮への付着とを生じ、例えば肺脈管の白血球の
停止又は心肺機能の不備がそれにより惹起される(Jandl
e、 「Blood」、Little、Brown & Co.、ボストン、
1987年)。
【0005】インターロイキン−8(IL−8)は、イ
ンターロイキン−1及び他の刺激性シトキンによって活
性化された時にいろいろの細胞の型によって産生される
72アミノ酸ペプチドである(Westwick等、「Immunolo
gy Today」、10;146、1988)。IL−8は、
好中球活性化ペプチド−1(NAP−1)、好中球活性
化因子(NAF)及び単球誘導中性球走化性因子(MD
NCF)として以前から知られている。IL−8のアミ
ノ酸配列は定められている(Lindley等、Proc.Nat'l. A
cad. Sci. USA 85:9199、1988)。IL−8
は好中球の走化性及び顆粒のくずれを助長する(Djeu
等、J. Immunol. 144;2205、1990)。IL
−8は、試験管内の好中球の有効な走化性誘引物質(ケ
モアトラクタント)であり、生体中の強い炎症効果を生
起させうることが確かめられている(Colditz等、Am.
J. Pathol. 134:755、1989)。またIL−
8は、乾癬又はリウマチ性関節炎などの自然の炎症状態
において、大量に存在することが確かめられている。I
L−8は、好中球によって仲介される炎症プロセスの中
心的要因と考えられる。そのためIL−8作用の禁止剤
又は拮抗薬は有用な抗炎症剤として期待される。
【0006】好中球に対するIL−8の作用は、特定の
受容体によって仲介される(Grob等、J. Biol. Chem.
265:8311、1990)。この糖タンパク質は、
分子量が58、000ダルトンと推定され、顆粒球の細
胞特に好中球に限定されている。従来において十分に特
性が定められ又はクローニングされることのなかったこ
の受容体は、IL−8の阻止剤及び拮抗薬の開発におい
て特に有用なものとして期待される。
【0007】
【発明の概要】本発明は、一般に、好ましくは図1に示
したアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含む
組換えIL−8受容体ポリペプチドを特徴とする。本発
明は、更に、IL−8受容体の断片又は同種物であり、
IL−8と結合可能な領域を含む、実質的に単離された
ポリペプチドも特徴とする。
【0008】本発明の色々の好ましい実施態様におい
て、受容体は、哺乳動物、好ましくはヒト又は兎から誘
導される。
【0009】本発明は、更に、IL−8受容体の膜通過
領域又はIL−8細胞外領域の全部又はそのIL−8結
合部分を含むポリペプチドを提供する。好ましくはポリ
ペプチドは、組換え(recombinant)ポリペプチドであ
る。
【0010】「IL−8受容体ポリペプチド」とは、I
L−8と特異的に結合してIL−8によって仲介される
一連の適切な生物学的事象をシグナルする細胞表面タン
パク質の全部又は一部を意味する。「ポリペプチド」と
は、鎖長又は翻訳後の修正(例えばグリコシル化)と係
わりなしに任意のアミノ酸の配列を意味する。「実質的
に単離されたポリペプチド」とは、ポリペプチドに自然
に結合している他のタンパク質、炭水化物及び脂質を実
質的に含まないポリペプチドを意味する。「実質的に同
一の」アミノ酸配列とは、例えば1つのアミノ酸を同じ
類の他のアミノ酸で代替すること(例えばバリンをグリ
シンに代替し、アルギニンをリジンに代替するなど)に
よるコンサーヴァティブ(conservative)なアミノ酸の代
替、あるいは、受容体の生物学的活性を破壊しないアミ
ノ酸配列中の位置においてその1以上のアミノ酸の非コ
ンサーヴァティブ(non-conservative)な代替、削除又は
挿入のみによって相違するアミノ酸配列を意味する。こ
れらの同等の受容体は、そうした受容体を自然に生成さ
せるか又は後述する方法又はその均等方法を使用して前
記受容体の自然の生成を誘発することのできる任意の動
物の組織又は細胞からの抽出、化学的合成、DNA組換
え技術の標準的な手法(例えば前記のような受容体の遺
伝情報を与えるcDNA又はゲノムDNAの単離)によ
って、それぞれ単離することができる。「から誘導され
た」とは、当該有機体のゲノムによって遺伝情報がコー
ドされて当該組織の細胞のサブセットの表面に存在する
ことを意味する。
【0011】本発明は、その1つの関連した視点におい
て、前述した受容体(又はその断片もしくは同種物)の
遺伝情報をコードする精製されたDNAを提供する。好
ましくは、精製されたDNAは、cDNA、兎のIL−
8受容体の遺伝情報を与えるcDNA、ヒトのIL−8
受容体の遺伝情報を与えるcDNA、であり、F3Rプ
ラスミドに含まれ、また4Abプラスミドに含まれる。
【0012】「精製されたDNA」とは、IL−8受容
体(又は適切な受容体もしくは同種物)の遺伝情報をコ
ードするが、本発明のDNAを誘導した組織の自然に存
在するゲノムにおいてIL−8受容体の遺伝情報をコー
ドする遺伝子のフランク(flank)を形成する遺伝子を含
まないDNA分子を意味する。
【0013】本発明は、更に別の関連した視点として、
前記の精製されたDNAを有するベクターであって、D
NAによって遺伝情報がコードされたタンパク質を、当
該ベクターを有する細胞中において発現させることを指
令することができるベクター、並びに、これらのベクタ
ーを有する細胞、好ましくは真該細胞例えば哺乳動物の
細胞(例えば骨髄細胞)を提供する。
【0014】本発明による発現ベクター又はベクターを
有する細胞は、前記の組換えIL−8受容体ポリペプチ
ド及びポリペプチドを製造するための本発明による製造
方法において使用することができる。本発明による製造
方法は、当該細胞中において発現されるように位置され
た、IL−8受容体又はその断片もしくは同種物の遺伝
情報を与えるDNAによって形質転換された細胞を用意
し、該DNAを発現させる条件の下に、該形質転換され
た細胞を培養し、該組換えIL−8受容体ポリペプチド
を単離することから成る。「形質転換された細胞」と
は、IL−8受容体(又はその断片もしくは同種物)に
遺伝情報をコードするDNA分子が遺伝子工学的に導入
された(又はその祖先に導入された)細胞を意味する。
このDNA分子が「発現のために配置される」とは、D
NA配列の転写及び翻訳を指示する(即ち、IL−8受
容体蛋白質又はその断片もしくは同種物の産生を容易に
する)DNA配列に隣接してDNA分子が配置されるこ
とを意味する。
【0015】本発明は、その更に別の視点において、I
L−8受容体(又はその断片もしくは同種物)に優先的
に結合する精製された抗体も提供する。「精製された抗
体」とは、それに天然に含まれる他のタンパク質、炭水
化物及び脂質が医療上の投与と可能とする程度に十分に
除去された抗体を意味する。この抗体は、IL−8受容
体(又はその断片もしくは同種物)に「優先的に結合」
される(即ち、抗原的に関係のない他の分子を実質的に
認識してこれと結合されることはない)。
【0016】好ましくは、抗体は、それに結合されるタ
ンパク質の生体中の生物学的活性を中和させる。
【0017】「生物学的活性」とは、IL−8と結合し
て生物学的な一連の適切な事象をシグナルするIL−8
受容体の能力を意味する。又「中和する」とは、(例え
ば、IL−8受容体の生物学的活性を)部分的にか又は
完全に阻止することを意味する。
【0018】さらに別の視点においては、前述したポリ
ペプチド又は抗体は、医療用の組成物の活性成分として
用いられる。これらの医療用の組成物において、活性成
分は、生理学的に容認可能な担体と共に調製し、又は、
細胞膜中に係留させる。この医療用の組成物は、炎症を
軽減ないし減少させる方法において使用することができ
る。
【0019】本発明は更に、IL−8とIL−8受容体
との間の相互作用に拮抗する能力について候補成分(な
いし化合物)をスクリーニングする方法も提供する。こ
の方法は、a)組換えIL−8受容体(又はIL−8と
結合する断片もしくは同種物)を含む第1成分及びIL
−8を含む第2成分と、候補拮抗成分(ないし化合物)
とを混合し、b)該第1成分と第2成分とが結合するか
否かを定め、c)該第2成分との該第1成分の結合に干
渉して、IL−8により仲介される細胞間Ca++の放出
を減少させる候補化合物を、拮抗成分(ないし化合物)
として特定することから成る。「拮抗薬とは、或る特別
の活性、この場合には、IL−8受容体との相互作用、
或いはこの相互作用に起因する一連の生物学的事象(即
ち細胞間Ca++の放出)をトリガーするIL−8の能
力、を阻止するモレキュールを意味する。
【0020】本発明のタンパク質は、好中球の活性化及
び炎症反応を招来する事象に関与する。従って、これら
のタンパク質は、炎症の治療のために、又は別に、炎症
の治療薬を開発する上に有用である。本発明によるタン
パク質及び/又は方法を用いて処理することの可能な特
別の疾患には、乾癬、慢性関節リウマチ、脈管炎、再潅
流の障害、又は、好中球によって媒介される炎症疾患が
含まれる。好ましい治療薬には、インターロイキン:受
容体間相互作用に干渉することによってIL−8又はI
L−8受容体の機能をブロックする拮抗薬、例えば、ペ
プチド断片、抗体又は薬剤がある。
【0021】受容体成分がこのように組換え技術によっ
て製造され、候補拮抗薬が試験管内(in vitro)において
スクリーニングされるので、本発明により、有用な治療
薬の特定のための簡単ですみやかなアプローチが提供さ
れる。このアプローチは、従来は、次のような理由のた
め困難であった。(1)IL−8と好中球の表面上のそ
の内因性受容体との相互作用のため、タンパク分解酵素
の放出又は酸素を含まないラジカルの放出のような一連
の事象がトリガーされ、その結果として、受容体を支持
する好中球の細胞が破壊される。(2)好中球の表面に
関連受容体が存在するため、IL−8受容体の単離(c
DNAとして)によって、好中球から遠隔の細胞型(例
えばJ558もしくはSP2骨髄細胞又はCOS細胞)
においての発現が許容され、IL−8受容体がその通常
の細胞毒のシグナル経路から実効的に遮断され、関連す
る細胞を死なせないIL−8:受容体間の相互作用の検
定のためのシステムを提供する。
【0022】このようにして特定された後は、組換え及
び分子生物学的手法を用いて、ペプチド又は抗体を主成
分とする治療薬を大量に廉価に製造できる。
【0023】次に本発明の好ましい実施例について一層
詳細に説明する。
【0024】
【実施例】本発明によるポリペプチド 本発明によるポリペプチドは、ヒトのIL−8受容体の
全部、並びに、兎のIL−8受容体の全部(図1参照)
である。これらのポリペプチドは、例えばIL−8:受
容体間の相互作用を中断させる拮抗薬をスクリーニング
するために、使用される(下記参照)。本発明によるポ
リペプチドは、IL−8と相互作用しうるヒトIL−8
受容体又は兎IL−8受容体の同種又は断片も含む。こ
れらの同種物又は断片も、IL−8受容体の拮抗薬につ
いてスクリーニングするために使用しうる。その他に、
IL−8と結合し、好ましくは脂質の小胞中に可溶(も
しくは不溶でこの小胞中において調製される)受容体の
断片又は同種物のサブセットも、炎症性の疾病を軽減さ
せるための拮抗薬として使用しうる(後記参照)。受容
体の同種物又は断片の効力は、IL−8と相互作用する
能力に依存する。この相互作用は、多くの標準的な試験
管中の結合法及びIL−8受容体の機能検定(例えば後
記参照)によって容易に検定できる。
【0025】特定の有用な受容体の同種物には、例えば
1つのアミノ酸を同じ類の他のアミノ酸で代替すること
(例えばバリンをグリシンで代替し、アルギニンをリジ
ンに代替するなど)によるコンサーヴァティブ(conserv
ative)なアミノ酸の代替、或いは、受容体の生物学的活
性を破壊しないアミノ酸配列中の位置においての1以上
のアミノ酸のノン・コンサーヴァティブ(non-conservat
ive)な代替、削除又は挿入のみによって相違するアミノ
酸配列を含む、全長の、又は部分的な(後記参照)受容
体タンパク質が含まれる。
【0026】特定の有用な受容体の断片には、IL−8
と相互作用可能なIL−8受容体の任意の部分が含まれ
る。これらの部分には膜通過セグメント1−7及び細胞
外と推定される受容体の部分が含まれる。これらの断片
は、(前記のように)拮抗薬として有用と思われ、更
に、(例えば後述するように、受容体とIL−8との相
互作用に干渉することによって)生体中でIL−8受容
体の活性を中和する抗体を産生するための免疫源として
も有用である。細胞外の区域(regions)は、同種の構造
の関連タンパク質(例えばG−タンパク結合受容体のス
ーパーファミリーの他のメンバー)との比較によって特
定できる。有用な区域は、ファミリーの十分に特徴が定
められたメンバーの細胞外ドメインとの相同性を示す区
域である。別法として、チョウ−ファスマン法(Cho
u及びFasman、Ann.Rev.Bioche
m.47:251、1978)による疎水度/親水度の
計算を用いて、第1のアミノ酸配列から、第2のタンパ
ク質構造、従って細胞外ドメイン区域を半実験的に推定
できる。親水性のドメイン、特に、疎水性の範囲(St
rech)(例えば膜通過領域)によって挟まれたドメ
インは、細胞外ドメインの有力な候補である。又細胞外
ドメインは、標準的な酵素消化分析(例えば、トリプト
ン消化分析)を用いて実験的に特定できる。
【0027】候補断片(例えば、膜通過セグメント2−
7又は任意の細胞外断片の全部又は一部)は、本明細書
中に記載した検定(例えば前述した検定)によって、I
L−8との相互作用について試験される。また、これら
の断片は、IL−8とその内因性受容体との間の相互作
用に拮抗する能力について、前述した検定を用いて試験
される。(前述したもののような)有用な受容体の断片
の同種物を作成し、(本明細書中において説明される検
定によって)スクリーニング成分又は拮抗薬としての効
き目について試験してもよい。これらの同種物も本発明
において有用と考えられる。
【0028】次に本発明に用いられる2つのIL−8受
容体の遺伝情報を定めるcDNAのクローニング及び特
定の決定について説明する。以下に示す例は、単に例示
のためのもので、本発明をそれに限定するものではな
い。
【0029】兎IL−8受容体のクローニング及び特性
の決定 兎IL−8受容体の遺伝子を次のようにして単離した。
【0030】兎の腹腔の好中球を、ジグモンド及びトラ
ンキロ法(Zigmond and Tranquillo…、1986)によ
って、兎から単離し、ポリA+RNA源として用いた。
RNAを調製し、cDNAに転写し、cDNA断片をλ
gt11のEcoRI部位に挿入して兎の好中球cDN
Aライブラリを作成した。(これは全てマニアテイス(M
aniatis)等の方法、「Molecular Cloning、Cold Spring
Harbor Press、ColdSpring Harbor、ニューヨーク(1
982) によった。)250,000個の組換えプラ
ーク(plagues)を、次の配列 3’TTG ATG AAG GAC GAC TCG
GAC CGG ACI CGI CTG GAI
TAG TAC 5’ のアンチセンスオリゴヌクレオチドにハイブリッド形成
されるものについてスクリーニングした。
【0031】このプローブは、G−タンパク結合性受容
体の第2膜通過領域から誘導された配列に基づいて定め
た(例えばHontig等、1989参照)。
【0032】このプローブには、[32P]ATP(Du P
ont-New England Nuclear、ボストン、MA)及びT4
キナーゼ(New England Biolabs、Beverly 、MA)に
よって、前出のマニアテイス等の方法にしたがって5’
末端標識を付した。ハイブリッド形成条件は、6xSS
PE、1%SDS、0.1%ピロリン酸ナトリウム、1
xデンハート液、100μg/mlポリA、及び40μ
g/ml変性コウシ胸腺DNA、42℃、12時間であ
った。2xSSC、0.1%SDSを用いて50℃でフ
ィルタを洗浄した。第3スクリーニングの後、6個のプ
ラークを単離した。これらのうち1つのプラーク(F3
Rと命名)のインサートは、2.5kbの大きさであっ
た。このインサートの配列は、サンジャー(Sanger)等、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA
:5469、1983の方法にしたがって、配列2.
0(U.S.Biochemical Corp.、クリーブランド、O
H)を用いて行なった。354アミノ酸タンパク質(M
r=40,528)のオープン・リーディング・フレー
ム・コーディングが展開された。核酸の配列及び推定さ
れたアミノ酸配列は、図1に示されている。N結合グリ
コシル化の推定部位は、配列中に下線により示されてい
る。
【0033】F3Rクローンから推定されるこのタンパ
ク質のいくつかの構造的な特徴は、このタンパク質がG
−タンパク結合受容体のファミリーに属することを表わ
している。第1に、推定されたタンパク質の配列のハイ
ドロパシーのプロットは、7個の推定的な膜通過セグメ
ントの存在を指示している。第2に、F3Rの1次構造
は、他のG−タンパク結合受容体との高度の類似性を示
している。特に物質K受容体及び物質P受容体のような
ペプチドと結合するG−タンパク結合受容体との最も高
度の相同性が見られる(Masu等、Nature 32
:836、1987;Hershey 及びKrau
se、Science 247;958、1990)。
第3に、F3Rは、G−タンパクに結合した受容体に帰
着されるいくつかの構造的な特徴を備えている。例え
ば、F3Rは、シグナル配列のないN末端に2個の推定
的なN−結合グリコシル化部位を有すると共に、全ての
G−タンパク結合受容体において保存される位置80
(即ち膜通過セグメント〓)に、アスパラギン酸塩を、
また推定された膜通過セグメント〓付近に標準的なAs
p−Arg−Tyrトリペプチドを有している。物質K
受容体及び物質P受容体と同様に、F3Rは、アドレナ
リン性、ムスカリン性、ドーパミン性で且つセロトニン
性の受容体においてアミンのイオンの結合に不可欠と思
われる推定的な膜通過セグメント〓にAsp−113を
備えていない(Dixon等、Cold Spring Harbor Sym
p.Quant.Biol.53:487、198
8)。またF3Rは、他のG−タンパク結合受容体と同
様に、タンパク質キナーゼの潜在的な基質であるいくつ
かの基本的位置のセリン及びスレオニン残基を示す(Be
novic等、Ann.Rev. Cell Biol.
:405,1988)。
【0034】F3R遺伝子の発現を更に特徴付けるため
に、兎の好中球RNAのノザンブロット(Northern Blo
t)解析においてハイブリット形成プローブとして、F3
RcDNAを使用した。RNAを塩化セシウム匂配遠心
分離によって、好中球及び他の組織から単離し、1%ア
ガロース ホルムアルデヒド ゲルを経て電気泳動さ
せ、前記マニアテイス等の方法にしたがって、ジーンス
クリーン(Gene Screen)膜(デュポン−ニ
ューイングランドニュークレア社)に移した。ファーマ
シア(Pharmacia)社(Piscataway、NJ)のランダム
プライム法によって[32P]のdCTPにて標識した
F3RのBamHI/ECoRI断片(塩基数652;
兎IL−8コーデイグ連鎖のヌクレオチド−27から6
25まで)をプローブとして用いた。ハイブリッド形成
溶液は、50%ホルムアミド、5xSSPE、5xデン
ハート液、0.1%ピロリン酸ナトリウム、1mg/m
lヘパリン、100μg/mlポリA、1%SDS及び
200μg/ml変性コウシ胸腺DNAを含有してい
た。ブロットを42℃で16時間ハイブリッド形成処理
した後、0.1xSSC及び0.1%SDSにて65℃
で洗浄した。
【0035】F3Rプローブは、2.6キロベースの好
中球RNA分子に特異的にハイブリッド形成された。こ
れによりF3Rが好中球において発現されたことを確認
されると共に、F3Rクローンがほぼ全長であることが
示された。F3Rクローンは、兎の子宮平滑筋、骨格
筋、肺、肝臓又は脳から単離されたRNAにハイブリッ
ド形成されなかった。またF3Rクローンは、繊維芽細
胞、上皮細胞及び内皮細胞からポリA+RNAにハイブ
リッド形成されなかった。前骨髄球HL−60細胞は、
非常に低いレベルのF3RmRNAを示した。区別され
たHL−60細胞は、このRNAより20倍高いレベル
を発現した。
【0036】F3RmRNAは、Promega Corp.社(マ
ジソン、WI)の方法によって、兎の網状赤血球の溶解
質に試験管内で翻訳された。SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法(SDS−PAGE;標準的な手法に
よる;Ausubel等、Current Protocols in Molecular Bi
ology, Green Publishing Associates ニューヨーク、
1987年)によって定めた相対分子量30,000−
32,000ダルトンのタンパク質を合成した。Mrの
計算値40,528とその見かけ値約31,000との
差は、SDS−PAGEの可溶性蛋白質基準に比べて大
きな可動度を膜タンパクがしばしば示すためと思われる
(Bonitz等、J.Biol.Chem.255:119
27、1980;Rizzolo等、[Biochemistry」15
3433、1979)。
【0037】ヒトIL−8受容体遺伝子のクローニング Clontech社(Palo Alto、CA)から入手したヒト末梢
血白血球λgt11cDNAライブラリ(5’ストレッ
チ)を、(ヌクレオチド−27から625を含む)65
2塩基対EcoRI/BamHI断片によって、兎F3
Rクローンのコーデイング区域からスクリーニングし
た。このプローブには前記のようにランダムプライミン
グによって[32P]dCTPの標識を付した。50%ホ
ルムアミド、200μg/ml変性コウシ胸腺DNA、
5xSSPE、1%SDS、5xデンハート液及び0.
1%ピロリン酸ナトリウムを含有する溶液で、フィルタ
ーをハイブリッド形成し、42℃で16時間培養した。
3回のスクリーニングの後、兎IL−8プローブにハイ
ブリッド形成されたいくつかのヒトのクローンを単離し
た。このうち1つのクローン(4Abと命名)のインサ
ートは、長さが4.0キロベースであり、Sequen
ase2.0(U.S.BiochemicalCor
p.)を用いて、サンジャー等の方法(前記参照)にし
たがって両方のストランドにおいて塩基配列を決定し
た。
【0038】別法として、クローン4Abの配列に基づ
いたプライマー配列を用いてPCRクローニングによっ
てヒトIL−8遺伝子を単離する。これらのプライマー
の配列は次のとおりである。
【0039】 5’GAATATGGGGAATTTATTATGCAG 3’ 5’AATGTGACTGTGAAGAGAAGGGAGG 3’
【0040】プライマーは、例えばアプライド・バイオ
システムズ・DNAシンセサイザー(Applied Biosyste
ms DNA Synthesizer)(Foster City、C
A)を用いて、標準的なシアノエチル・ホスホラミダイ
ト化学を用いることによって合成する。
【0041】ヒト好中球は、標準的な手法によって単離
し、前記のようにポリA+RNA源として使用する。や
はり前記のようにして、cDNAを合成し、任意の標準
的なクローニングベクター例えばλgt11にcDNA
断片を挿入することによって、好中球cDNAライブラ
リを形成する。別法として、クロンテック(Clont
ech)社(Palo Alto、CA)から、ヒト末
梢血白血球λgt11cDNAライブラリ(5’ストレ
ッチ)を購入してもよい。
【0042】ヒト好中球又はヒト末梢リンパ球cDNA
約100ngを、各々の合成プライマー1μgと結合さ
せ、メーカー(Perkin−Elmer、Norwa
lk、CT)の指示にしたがってポリメラーゼ連鎖反応
を行う。結果PCR生成物を電気泳動によって単離し、
例えばベクターSK+(Stratagene社、、L
aJolla、CA)中にクローニングし、大腸菌XL
−1 blue(Stratagene社)において増
幅させる。
【0043】ポリペプチド発現 本発明によるポリペプチドは、適宜の発現ベヒクル中に
おいて、IL−8受容体の遺伝情報を与えるcDNA断
片(例えば前記cDNA)の全部又は一部と共に、適宜
の宿主細胞を形質転換し、受容体を発現させることによ
って製造することができる。
【0044】分子生物学に熟達した人には容易に理解さ
れるように、組換え受容体タンパクを供与するために、
非常に多くの種類のどの発現システムも使用することが
できる。使用される厳密な宿主細胞は、本発明にとって
不可欠ではないが、COS−7、SP−2、NIH 3
T3及びチャイニーズハムスター卵巣細胞などの宿主細
胞が好ましい。これらの細胞は、広汎な供給源、例え
ば、アメリカン・タイプ・カルチユア・コレクション
(American Type Culture Collection)、Rockla
nd、MDから入手できる。トランスフエクションの方
法及び発現ビヒクルの選択は、選定される宿主系に依存
する。哺乳動物の細胞のトランスフエクションの方法
は、一例として、オーシユベル(Ausubel)等、
[Current Protocols in Molecular Biology、John Wil
ey & Sons, ニューヨーク、1989)に記載されてい
る。発現ビヒクルは、例えば[Cloning Vectors、 A Lab
oratoryManual」(P.H.Pouwels等、198
5、増補版1987)に示されたものから選択できる。
【0045】特に好ましい発現系は、pMAMneo発
現ベクター(Clontech社、Palo Alt
o、CA)によってトランスフエクト(形質転換)され
たマウス3T3繊維芽細胞の宿主細胞である。pMAM
neoは、デキサメタソン誘導MMTV−LTRプロモ
ーターに結合されたRSV−LTRエンハンサー、哺乳
動物系においての複製を許容するSV40複製源、選択
可能なネオマイシン遺伝子、SV40スプライシング及
びポリアデニル化部位を供与する。ヒト又は兎のIL−
8受容体又は適宜の受容体断片もしくはその同種物(前
記)の遺伝情報をあたえるDNAは、発現を可能とする
べき方向性において、pMAMneoベクターに挿入さ
れよう。組換え受容体タンパクは、後に説明するように
して単離されよう。pMANneo発現ビヒクルと共に
使用可能な他の好ましい宿主細胞には、COS細胞及び
CHO細胞(それぞれATCC受託番号CRL1650
及びCCL61)がある。
【0046】他の特に好ましい発現系は、IL−8の遺
伝情報を与えるDNAが受容体タンパクの発現を許容す
る方向性において挿入されているSVLベクター(Ph
armacia社)によって(前記のように)一時的に
トランスフエクトされたCOS宿主細胞(ATCC受託
番号CRL1650)である。
【0047】別法として、ヒト又は兎IL−8受容体
(又は受容体の断片又は同種物)は、安定的にトランス
フエクトされた哺乳動物の細胞系によって産生される。
【0048】哺乳動物の細胞の安定したトランスフエク
ションに適した多くのベクターが供与されている(例え
ばPouwels等の前掲の文献参照)。これらの細胞
系を構成する方法も、例えばAusubel等の前揚の
文献によって知ることができる。一例として、受容体
(又は受容体の断片又は類似物)の遺伝情報を与えるc
DNAを、ジヒドロ葉酸リダクタント(dihydrofolate
reductant)(DHFR)遺伝子を含有した発現ベクタ
ー中にクローニングする。プラスミドを、従って、IL
−8受容体の遺伝情報を与える遺伝子を宿主細胞の染色
体に合体させるのは、(Ausubel等の前掲の文献
に記載されているように)細胞の培養基に0.01−3
00μMのメトトレキセートを含有させることによって
選定される。この優生選定は、多くの細胞の型において
達成される。組換えタンパクの発現は、トランスフエク
ト(形質変換)される細胞のDHFRによって仲介され
る増幅によって増大しうる。遺伝子の増幅を含む細胞系
の選定方法は、Ausubel等の前掲の文献に記載さ
れている。これらの方法は、一般に、徐々に増大するレ
ベルのメトトレキセートを含有する媒体内において長時
間培養することを含む。この目的に普通に使用されるD
HFR含有発現ベクターには、pCVSEII−DHR
F及びpAdD26SV(A)(前掲のAusubel
等の文献参照)がある。前述した各々の宿主細胞並びに
好ましくはDHFR欠陥CHO細胞系(例えばCHO
DHFR細胞、ATCC受託番号CRL9096)は、
安定的にトランスフエクト(形質転換)される細胞系又
はDHFRによって仲介される遺伝子増幅のDHFR選
択のために好ましい宿主細胞である。
【0049】特に好ましい安定な発現系は、pSV2−
gptによって安定にトランスフエクトされた骨髄細胞
系J558(ATCC受託番号TIB6)又はSP2
(ATCC受託番号CRL1581)である。pSV2
−gptは、SV40の初期プロモーター及び選択可能
gptマーカーを供給する(即ち大腸菌キサンチン−
グアニンフォスホリボシルトランスフエラーゼ)。
【0050】(例えば本明細書中に記載された適宜の発
現系によって産生した)組換え受容体の発現は、組換え
細胞抽出物の免疫沈降分析又はウエスターンブロット
(Western blot)法のような免疫学的方法
によっても、(例えばAusubel等の前掲の文献に
記載された方法を用いた)無傷の組換え細胞の免疫蛍光
法によっても検定できる。組換え受容体タンパクは、そ
の受容体に向けられた抗体を用いて検出する。この抗体
の1つは、適宜のIL−8受容体エピトープ(epit
ope)を含有するペプチド又は無傷の(intac
t)受容体を免疫源として使用して他のIL−8受容体
の抗体を作製するいろいろの方法と共に、以下に説明さ
れる。IL−8受容体の断片又は同種物の発現を検出す
るために、好ましくは、この断片又は同種物に含まれる
エピトープを免疫源として用いて、抗体を作製する。
【0051】組換えIL−8受容体タンパク(又はその
断片もしくは同種物)が発現されたら、例えばイムノア
フイニテイクロマトグラフイを用いて単離する。一例と
して、IL−8又は抗−IL−8受容体抗体(例えば前
記のIL−8受容体抗体)をカラムに付着させたものを
無傷の受容体又は受容体の断片もしくは同種物を単離す
るために使用することができる。アフイニテイクロマト
グラフイの前に受容体係留細胞の溶解及び分別を標準的
な方法(例えば前掲のAusubel等の文献参照)に
よって行なうことができる。一度単離された組換えタン
パク質は、所望ならば、効率の高い液体クロマトグラフ
イ(例えば、Fisher、 Laboratory Techniques In Bioch
emistry And Molecular Biology、 Work and Burdon、 El
sevier、1980参照)によって更に精製してもよい。
【0052】本発明の受容体、特に受容体の短い断片
は、(例えば、「Solid Phase Peptide Synthesis 第2
版、1984、The Pierce Chemical Co. Rockfo
rd、ILに記載された方法を用いた)化学合成によっ
ても作製できる。
【0053】IL−8受容体の結合及び機能の検定 本発明において有用な受容体の断片又は同種物は、IL
−8と相互作用する断片又は同種物である。この相互作
用は、試験管内の結合検定(下記参照)によって検出で
きる。受容体成分は、機能的にも、即ち、IL−8と結
合してCa++を可動化する能力についても検定される
(下記参照)。これらの検定には、結合の検出を可能と
するように形態を定めたIL−8及び組換えIL−8受
容体(又は適切な断片もしくは同種物)が成分として含
まれる。
【0054】IL−8は、ゲンザイム(Genzym
e)社(Cambridge、MA)から入手できる。
【0055】好ましくは、IL−8受容体成分は、本来
は実質的に受容体を示さない細胞によって、例えば受容
体成分の遺伝情報を含む核酸を適切な発現系において含
有するように、前記細胞を遺伝子工学的に処理すること
によって作製する。適切な細胞の例としては、例えば骨
髄細胞J558又はSP2等の、組換え受容体の作製に
ついて前述した細胞である。
【0056】好ましくは、IL−8受容体成分を発現す
る細胞を固体の基体(例えば試験管、マイクロタイター
ウエル又はカラム)に、当該技術では周知の手段(例え
ばAusubel等の前掲の文献参照)によって固定さ
せ、標識されたIL−8(例えば125I−標識IL−
8)を供与することによって、検定を行なう。受容体成
分に(従って固体の基体に)関連して、検定標識によっ
て結合を検査する。
【0057】検定フォーマットは、特異性の結合を検出
するための多くの適切なフォーマットのいずれでもよ
く、例えばラジオイムノアツセイフォーマット(例えば
前掲のAusubel等の文献参照)でもよい。好まし
くは、IL−8受容体発現ベクター(前記参照)で一時
的又は安定的にトランスフエクトした細胞を固体の基体
(例えばマイクロタイタープレートのウエル)に固定さ
せ、例えば放射性標識もしくは検定可能な酵素(例えば
アルカリ性ホスホターゼ又はワサビダイコン(hors
eradish)由来ペルオキシダーゼ)によって検出
可能に標識されたIL−8と反応させる。
【0058】典型的な実験において、COS細胞を可変
量のF3R−pSVLクローン(前記参照)によって一
時的にトランスフエクト(形質転換)した。標準的な手
法によって膜を回収し、試験管内の結合検定(前記参
照)に使用した。125I−標識IL−8を膜に結合さ
せ、特異性の活性について検定した。標識しないIL−
8の存在下に行なった結合検定との比較によって特異性
の結合を定めた。表1に結果を示す。
【表1】
【0059】別法として、IL−8は、固体の基体(例
えばマイクロタイタープレート)に、前掲のAusub
el等の文献による、ELISA検定のために抗原を付
着させる方法と同様の方法によって付着させ、標識され
た(例えば前掲のAusubel等の文献に示されたよ
うに3H−チミジンで標識された)IL−8受容体−発
現細胞の能力を、固定されたIL−8への受容体の特異
性の結合を検出するために使用することができる。
【0060】特別の例によれば、IL−8受容体(又は
受容体の断片もしくは同種物)を発現するベクターを、
DEAEデキストラン−クロロキン法(前掲のAusu
bel等の文献参照)によって、骨髄細胞(例えばJ5
58又はSP2細胞)にトランスフエクト(形質転換)
する。受容体タンパクの発現は、検出可能に標識された
IL−8の細胞への結合を付与する。IL−8は、トラ
ンスフエクトされていない宿主細胞又は親ベクターのみ
を有する細胞には際立って結合されることはなく、これ
らの細胞は、結合検定のための対照用として用いられ
る。IL−8受容体発現骨髄細胞(約750,000細
胞/ディッシュ)を、12〜18時間ポスト・トランス
フエクションして10cm径の組織培養ディッシュに接
種する。48時間後に0.5nM放射性ヨウ素で標識し
たIL−8(200Ci/mモル)を3個のディッシュ
に培養し、(例えば細胞を回収し、細胞に組合された検
出可能な標識の量を検出することによって)受容体を保
持する細胞への結合を検定する。標識IL−8に特異的
に結合する細胞は、対照細胞に比べて大きな結合レベル
(即ち検出可能な標識の量)を示す細胞である。
【0061】別法としては、(後述のように作製され
る)IL−8受容体の遺伝情報を含むRNAを標準法に
よってアフリカツメガエル(Xenopus laev
is)卵胞子に注入する。RNAを生体中において卵胞
子に翻訳し、IL−8受容体タンパクを細胞膜に挿入す
る。(「Transcription and Tra
nslation」IRL Press、オクスフォー
ド、1986に記載のColman法による)スクロー
ス匂配遠心分離によって、卵胞子膜を、IL−8の結合
を試験するために作製し、125I標識IL−8を添加
し、膜調製物を、ワットマン(Whatman)GF/
Cフィルターを用いて(「Biochemistry」
27:5371、1988、Williamsonの方
法によって)真空ロ過する。
【0062】IL−8依存のカルシウムの可動化を媒介
する能力について組換え受容体を機能的に検定すること
もできる。(前述したように)IL−8発現ベクターに
よってトランスフエクトした細胞、好ましくは骨髄細胞
に、FURA−2又はINDO−1を標準法によって負
荷する。前述した蛍光分光分析(Grynkiewic
z等、J.Biol.Chem.260:3440、1
985)に従って、IL−8によって誘導されたカルシ
ウムの可動化を測定する。
【0063】IL−8受容体拮抗薬に関するスクリーニ
ング 前述したように、本発明の1つの視点は、IL−8とI
L−8受容体との間の相互作用に拮抗することによって
この相互作用によって仲介される一連の事象を防止し又
は軽減する成分(ないし化合物)のスクリーニングであ
る。スクリーニングの要素は、結合の検出を可能とする
ように形態を定めたIL−8及び組換えIL−8受容体
(又は前述した適切な受容体断片もしくは同種物)であ
る。前述したように、IL−8は、ゲンザイム(Gen
zyme)社から入手でき、兎又はヒトの全長の受容体
(又はIL−8結合断片もしくは同種物)は、前述した
ようにして調製できる。
【0064】IL−8のその受容体への結合は、前述し
た方法のいずれかに従って検定できる。好ましくは、組
換えIL−8受容体(又は適切なIL−8受容体断片も
しくは同種物)を発現する細胞は、固体の基体(例えば
マイクロタイタープレートのウエル又はカラム)上に固
定させ、検出可能に標識された前記のIL−8と反応さ
せる。受容体成分(従って固体の基体)と組合せた検出
標識によって固定を検定する。受容体を保持する細胞へ
の標識されたIL−8の結合は、拮抗薬の検定の測定の
ための対照用である。拮抗薬の検定には、適切な量の候
補拮抗薬と共にIL−8受容体を保持する細胞を培養す
ることが含まれる。この混合物に標識されたIL−8の
等量を添加する。本発明において有用な拮抗薬は、固定
された受容体発現細胞との標識IL−8の結合に特異的
に干渉する。
【0065】次にIL−8機能に干渉する能力、即ち、
通常受容体によって仲介されるシグナルの変換を生起さ
せずに標識IL−8の結合に特異的に干渉する能力につ
いて、拮抗薬の試験を行なう。機能検定を用いてこの試
験を行なうために、IL−8受容体を含有する、安定的
にトランスフエクトされた細胞系を、本明細書中に記載
したように作製し、リポーター化合物例えばカルシウム
結合剤FURA−2を標準的な手法によって細胞質に負
荷させることができる。IL−8又は他の作用薬(アゴ
ニスト)によって非対応IL−8受容体を刺激すると、
細胞間カルシウムが放出されると共に、カルシウム−F
URA2複合体に蛍光を生ずる。これは作用薬の活性を
測定する便利な手段を提供する。IL−8と共に潜在的
な拮抗薬を含めることによって、スクリーニングがなさ
れ、蛍光を生ぜずに(即ち細胞間Ca++の可動化を生ぜ
ずに)IL−8の結合を有効に阻害するものとして、真
正の受容体拮抗薬が特定される。この拮抗薬は、炎症性
疾患に体する有用な治療薬として期待される。
【0066】適切な候補拮抗薬には、IL−8受容体断
片、特に、前記のように、膜通過セグメント2−7を含
めて、又はこれに隣接して、IL−8結合部位、或いは
受容体の細胞外ドメインを有する断片がある。これらの
断片は、好ましくは、5個以上のアミノ酸を有する。そ
の他の候補化合物には、IL−8の同種物、他のペプチ
ド、非ペプチド化合物並びに抗−IL−8受容体抗体で
あって、受容体の解析から作成又は誘導されるものが含
まれる。
【0067】抗IL−8受容体抗体 ヒト又は兎IL−8受容体(又は免疫原断片もしくは同
種物)は、本発明において有用な抗体を培養するために
使用することができる。 前述したように、抗体を産生
する上に好ましい受容体の断片は、細胞外であることが
推定されるか又は実験的に示される断片である。
【0068】IL−8受容体ペプチドに向けられた抗体
は次のように製造される。推定的な細胞外ループに対応
するペプチド(アミノ酸94−113、186−202
及び268−285)は、標準的な手法によってペプチ
ド合成剤を用いて製造される。これらのペプチドは、m
−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシニミドエス
テル(m-maleimide benzoic acid N-hydroxysuccinimid
e ester)によってKLHに結合される。KLH−ペプ
チドをフロイント(Freund)のアジュバントと混
合し、ギニア豚又は兎に注射する。ペプチド抗原のアフ
ィニティクロマトグラフィによって抗体を精製する。こ
の方法を用いて抗体を培養し、アミノ酸94−113を
含むペプチドを得る。
【0069】作成した抗体を、ウエスターンブロット
(Western blot)法又は免疫沈降分析(前
掲のAusubel等によって示された方法)によっ
て、IL−8受容体の特異性認識について試験する。I
L−8受容体を特異的に認識する抗体は、有用な拮抗薬
として期待される候補化合物である。これらの候補化合
物は、IL−8とIL−8受容体との相互作用に特異的
に干渉する能力について(前述したように)更に試験さ
れる。IL−8/IL−8受容体の結合又はIL−8受
容体の機能に拮抗する抗体は、本発明において拮抗薬と
して有用と考えられる。
【0070】治療 炎症性疾患の処置のための特に適切な治療薬は、生理的
食塩水のような適宜の緩衝液中において調製した前述の
可溶性の拮抗性受容体断片である。膜界面における受容
体の構造(conformation)を模擬すること
が特に望まれる場合には、十分な数の隣接膜通過残基を
断片に含めることができる。この場合には、適切な脂質
フラクションに断片を組合せることができる(例えば断
片を脂質小胞中に存在させたり、細胞膜を中断させて得
た断片に固着させたりしてもよい)。別法として、前記
のようにして得た抗−IL−8受容体抗体を治療薬とし
て使用することができる。抗体も、薬理学的に容認可能
な緩衝液(例えば生理的食塩水)中において投与するこ
とができる。適切ならば抗体の調製物に適宜のアジユバ
ントと組合せることができる。
【0071】治療用調製物は、処法にしたがって投与す
る。普通は、この調製物は、IL−8との結合との適切
な拮抗を与える用量において静脈内投与する。別法とし
て、経口的、径鼻的又は局所的に、例えば液又はスプレ
ーとして治療薬を投与することが適切である。この場合
の用量は前述と同様である。疾病の徴候の軽減に必要な
回数治療を反復して行なう。炎症の治療のためだけでな
く、その予防のためにも、拮抗薬を投与することができ
る。拮抗薬は、前述したように投与する。
【0072】IL−8受容体は、炎症に関係のある好中
球の活性化に関与するので、好中球が主役を演ずる種々
の炎症性の疾患、例えば乾癬、慢性関節リウマチ及び他
の慢性の疾患又は急性の炎症性疾患例えば再灌流障害の
治療又は予防のために使用しうる。
【0073】本発明による方法は、種々の哺乳動物例え
ばヒト、ペット又は家畜において、炎症性の応答を軽減
するために使用しうる。ヒト以外の哺乳動物を処置する
場合には、IL−8受容体、受容体断片、同種物又は抗
体は、その種に特異性のものを使用することが好まし
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、兎IL−8受容体の核酸の配列及び推
定されるアミノ酸配列を示す配列図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/12 C12P 21/02 C 8214−4B G01N 33/53 P 8310−2J 33/566 9015−2J //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組換えIL−8受容体ポリペプチド。
  2. 【請求項2】図1に示したアミノ酸配列と実質的に同一
    のアミノ酸配列を含む請求項1記載の組換えIL−8受
    容体ポリペプチド。
  3. 【請求項3】IL−8と結合しうるドメインを含むIL
    −8受容体の断片又は同種物である実質的に単離された
    ポリペプチド。
  4. 【請求項4】該受容体が哺乳動物から誘導された請求項
    1又は3記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】前記哺乳動物がヒトである請求項4記載の
    ポリペプチド。
  6. 【請求項6】前記哺乳動物が兎である請求項4記載のポ
    リペプチド。
  7. 【請求項7】IL−8受容体の膜通過領域又はIL−8
    細胞外領域の全部又はIL−8結合部分を含むポリペプ
    チド。
  8. 【請求項8】組換えポリペプチドであることを特徴とす
    る請求項7記載のポリペプチド。
  9. 【請求項9】請求項1、3又は7のポリペプチドの遺伝
    情報をコードする精製DNA。
  10. 【請求項10】前記DNAがcDNAである請求項9記
    載の精製DNA。
  11. 【請求項11】前記cDNAが兎のIL−8受容体の遺
    伝情報をコードする請求項10記載の精製DNA。
  12. 【請求項12】前記cDNAがヒトのIL−8受容体の
    遺伝情報をコードする請求項10記載の精製DNA。
  13. 【請求項13】前記cDNAがF3Rプラスミド中に含
    まれる請求項11記載の精製DNA。
  14. 【請求項14】前記cDNAが4Abプラスミド中に含
    まれる請求項12記載の精製DNA。
  15. 【請求項15】請求項9記載のDNAを有するベクター
    であって、前記DNAによって遺伝情報がコードされる
    タンパクの、当該ベクターを有する細胞中においての発
    現を指示することができるベクター。
  16. 【請求項16】請求項15のベクターを有する細胞。
  17. 【請求項17】真核細胞である請求項16記載の細胞。
  18. 【請求項18】哺乳動物の細胞である請求項17記載の
    細胞。
  19. 【請求項19】骨髄細胞である請求項18記載の細胞。
  20. 【請求項20】組換えIL−8受容体ポリペプチド又は
    その断片もしくは同種物を製造する方法において、 当該細胞中において発現されるように位置されIL−8
    受容体又はその断片もしくは同種物の遺伝情報をコード
    するDNAによって形質転換された細胞を用意し、 該DNAを発現させる条件のもとに、該形質転換された
    細胞を培養し、 該組換えIL−8受容体ポリペプチドを単離することか
    ら成る製造方法。
  21. 【請求項21】請求項1〜3のいずれか一に記載のポリ
    ペプチドに優先的に結合する精製された抗体。
  22. 【請求項22】請求項1〜3のいずれか一に記載のポリ
    ペプチドの生体中の生物学的活性を中和させる請求項2
    1記載の抗体。
  23. 【請求項23】請求項1、3又は7のいずれか一に記載
    のポリペプチドあるいは請求項21又は22記載の抗体
    を活性成分として含み、該活性成分は、生理学的に容認
    可能な担体中において調製される医療用組成物。
  24. 【請求項24】前記活性成分が細胞膜中に係留された請
    求項1、3又は7のいずれか一に記載のポリペプチドで
    ある請求項23記載の医療用組成物。
  25. 【請求項25】IL−8とIL−8受容体との間の相互
    作用に拮抗する有効量において、請求項23又は24記
    載の医療用組成物を哺乳動物に投与することから成る哺
    乳動物の炎症の減少方法。
  26. 【請求項26】IL−8とIL−8受容体との間の相互
    作用に拮抗する能力について候補成分をスクリーニング
    する方法において、 a)請求項1の組換えIL−8受容体ポリペプチド又は
    請求項3のIL−8受容体の断片もしくは同種物を含む
    第1成分及びIL−8を含む第2成分を、候補拮抗化合
    物と混合し、 b)該第1成分と第2成分とが結合するか否かを定め、 c)該第2成分との該第1成分の結合に干渉して、IL
    −8により仲介される細胞間Ca++の放出を減少させる
    候補拮抗成分を拮抗成分として特定することから成るス
    クリーニング方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6069128A (en) * 1997-01-13 2000-05-30 Universite Laval Transiently membrane-permeable derivatives converted intracellularly into active peptides

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US6069128A (en) * 1997-01-13 2000-05-30 Universite Laval Transiently membrane-permeable derivatives converted intracellularly into active peptides

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