JPH06100458A - ウイルス介在性の新生細胞の破壊 - Google Patents

ウイルス介在性の新生細胞の破壊

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、新生細胞を選択的に死滅させるた
めの組成物およびそのための方法に関する。 【構成】 本発明は、新生細胞内では複製できるが、そ
の周囲の正常組織には伝播しない改変ウイルスを使用す
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はウイルスを使用して新生
細胞を処置することに関する。
【0002】
【従来技術】癌は高等多細胞生物の疾患である。この疾
患は、癌細胞がそれに対応する正常細胞とどのように異
なって機能するかによる4つの特性によって最も良好に
規定される。第1は、増殖して悪性細胞のコロニーを形
成する単一細胞起源の癌であり、ほとんどのものがこれ
である。第2は、癌細胞が自律的に増殖し、かつ細胞環
境における正常な生化学的および生理学的作用によって
はおそらく調節されないものである。第3は、癌細胞が
正常な同調細胞分化能を欠く未分化のものである。第4
は、癌細胞の一貫性のない増殖能と他の体部位への拡
散、いわゆる転移能とが発達しているものである。
【0003】「癌(cancer)」、「新生物形成(neoplasi
a)」および「悪性(malignancy)」なる用語は通常、相互
変換できるものとして使用される。「癌」なる用語は、
悪性新生物の完全なスペクトラムを意味し、ヒトに罹患
する100以上のタイプが知られている[メンデルゾー
ン(Mendelsohn,J.)のHarrison's Principles of Intern
al Medicine, Braunwaldら編, 1987,マグローヒル In
c., ニューヨーク, 421-431頁を参照のこと]。これらは
大きく3つの主要なタイプに分類される。上皮性の構造
体から生起する悪性新生物は癌腫と呼ばれ、すべてが悪
性腫瘍の巨大集合体から構成される。筋肉、軟骨、脂肪
組織または骨などの結合組織を起源とする悪性新生物
は、肉腫と呼ばれ、また、免疫系の要素などの造血性の
構造体(血液細胞の生成に関連する構造体)に罹患する悪
性新生物は、白血病およびリンパ腫と呼ばれる。「腫瘍
(tumor)」とは、疾患性の癌の新生物増殖である。
【0004】新生物形成は、細胞の増殖および分化を調
節する正常な制御機構が害されて進行性の増殖を招く反
応である。新生物形成の間は、細胞の回転速度および増
殖性を制御することができないという特徴を示す。この
制御が欠如することにより、腫瘍が進行的に増殖し、巨
大化し、そして生命維持に必須の体内領域の空間を占有
するようになる。腫瘍が周囲の組織に進行し、離れた部
位に移動した場合、その腫瘍は個体を死に至らしめるよ
うである。
【0005】アメリカ合衆国の全患者の1/3は癌を患
っている[アメリカン・カンサー・ソサイエティー年次
概要1990年版]。これらの患者の5年生存率は、こ
の疾患の早期診断および治療ならびにそれらの発達によ
ってほぼ50%近くに上昇している[アメリカン・カン
サー・ソサイエティー年次概要1990年版]。しか
し、癌は心臓疾患に次いで2番目という死亡原因の地位
を依然として堅持している[アメリカン・カンサー・ソ
サイエティー年次概要1990年版]。この年に死亡し
た全アメリカ人のほぼ20%は癌が死亡原因である[ア
メリカン・カンサー・ソサイエティー年次概要1990
年版]。この死亡の半数は、最も普通である3つのタイ
プの癌、すなわち肺癌、乳癌および結腸癌が原因であ
る。
【0006】最近、癌処置が急速に発展している。新し
い処置法が開発されたとしても、ほとんどのタイプの癌
を処置するための改良法に対する要望は依然として存在
している。
【0007】正常細胞に有害な作用を及ぼすことなく癌
細胞を死滅させる優先的な方法が癌治療における望まし
い目的である。従来、この目的は種々の操作法によって
行われていた。その操作法とは化学物質の投与、化学療
法、輻射、放射線療法および外科処置である。
【0008】放射線療法は、局在した癌をコントロール
するために使用される局部的な処置法である[ハリソン
(Harrison)のPrinciples of Internal Medicine,Braun
waldら編(1987),マクローヒル,ニューヨークにおける
デバイタ(Devita,V.T.),431-446頁を参照のこと]。放
射線療法はある種の新生物疾患は放射線により比較的障
害を受け易いものがあるとの事実に基づいている。この
感受性の違いは、正常細胞が新生細胞よりも高い細胞内
修復能を有し、かつ断片的にしか障害を受けていない場
合には正常器官が充分な機能を続行できる能力を有して
いることによる。周囲の組織が特定の腫瘍に対する2度
の放射線量に耐えることができる場合、その腫瘍は放射
線感受性である。他方、放射線療法では処置することの
できない腫瘍がある。両肺全般に関連する癌は、その周
囲の肺組織の放射線感受性が比較的高いので、放射線療
法によって有効に処置することができない[ハリソン(Ha
rrison)のPrinciples of Internal Medicine,Braunwal
dら編(1987),マクローヒル,ニューヨークにおけるデバ
イタ(Devita,V.T.),431-446頁を参照のこと]。
【0009】放射線療法を利用するためのより最近の方
法は、放射線増感剤として化学物質を使用することに関
連する。n−エチルマレイミドまたは合成ブロッカー様
ブチオニン・スルホキシイミンなどの化学物質は細胞の
放射線感受性を変化させ、さらに放射線による死滅感受
性を高めることができる。これらの化学物質は発展の初
期にあり、未だ市販はされていない[ハリソン(Harriso
n)のPrinciples of Internal Medicine,Braunwaldら編
(1987),マクローヒル,ニューヨークにおけるデバイタ
(Devita,V.T.),431-446頁を参照のこと]。
【0010】外科処置はほとんどの初期癌を処置するた
めの第1のものと依然として考えられている[ハリソン
(Harrion)のPrinciples of Internal Medicine,Braunw
aldら編(1987),マクローヒル,ニューヨークにおけるデ
バイタ(Devita,V.T.),431-446頁を参照のこと]。しか
し、ほとんどの腫瘍に有効であるが、完全に切除するこ
とはできない。切除されたと思われる腫瘍は、その腫瘍
領域の外側に微小癌組織の転移疾患を有していることが
ある。このことは、最初の切除部位の付近に癌の再発を
招いてしまう。転移レベルを有効に示す癌は外科処置に
よって治癒させることができない。
【0011】局所療法(全身的でない)の他のタイプも開
発されている。それには、局所低温療法[サルクマン(Sa
lcman)らのJ.Neuro-Oncol. 1:225-236(1983)]、光力学
療法[チェング(Cheng)らのSurg.Neurol.25:423-435(198
6)]、および間隙放射療法[グチン(Gutin)らのJ.Neurosu
rgery 67:864-873(1987)]がある。現在のところ、これ
ら治療法は限定的にしか成功を収めていない。
【0012】放射線療法および外科療法により、外科的
手法または高い線量の放射線療法により処置できる身体
の特定領域における腫瘍塊を減少させる手段が提供され
ている。しかしながら、ほとんどの癌患者に特徴的に存
在する広範に転移または循環している腫瘍細胞を破壊す
るためには、いずれも適用することができない。このこ
とが、化学療法などの全身的な癌処置法を開発する契機
となったのである。
【0013】化学療法は毒性化合物を患者に全身的に投
与することを特徴とする[チャブナー(Chabner,B.A.)編
のPharmacologic Principles of Cancer Treatment,フ
ィラデルフィア,サンダース(1982)]。癌細胞は正常細胞
よりも速く増殖するので、毒性化合物は迅速に分裂する
細胞に対してより毒性が強い。
【0014】癌のための薬物の開発は、第1次および第
2次世界大戦に使用されたマスタードガスにリンパ球活
性が偶然に同定されたことから始まった。抗腫瘍薬物で
あるナイトロジェンマスタードはマスタードガスの誘導
体であり、1940年代にはリンパ腫の処置に使用され
た[ハリソン(Harrison)のPrinciples of Internal Medi
cine,Braunwaldら編(1987),マクローヒル,ニューヨー
クにおけるデバイタ(Devita,V.T.),431-446頁を参照の
こと]。ナイトロジェンマスタードで処置された初期の
患者のほとんどは、以後に再発していた。このことは、
癌の処置が薬物によって成功を収めることができるので
あろうか、との抗しがたい失望と懐疑を誘った。
【0015】抗腫瘍活性について調査された次の薬物は
メトトレキサートである[ハリソン(Harrison)のPrincip
les of Internal Medicine,Braunwaldら編(1987),マ
クローヒル,ニューヨークにおけるデバイタ(Devita,V.
T.),431-446頁を参照のこと]。抗代謝物質であるメト
トレキサートをまず始めに子供の急性白血病に使用し、
成功した。メトトレキサートを使用した初期の患者で
は、この薬物により達成される緩解は持続的であるよう
に思えた。
【0016】合理的なドラッグデザインおよびランダム
スクリーニングの両者によって、新規化合物が絶えず製
造せられ選択されている。抗腫瘍薬物には6つの主要な
クラスがある:アルキル化剤、抗代謝物質、植物アルカ
ロイド、抗腫瘍抗生物質、内分泌物質、それに幾つかの
種々雑多な薬物である[マイヤース(Myers,C.E.)のCance
r: Principles and Practices of Oncology,2版,V.T.De
Vitoら(編),フィラデルフィア,リッピンコット,1985,2
90-328頁]。
【0017】化学物質をたとえ広範に使用しても、ほと
んどのタイプの癌におけるその処置の有効性は限定的で
あることが証明された。現在普及している化学療法の主
要な限定事項は、それが最も迅速に分裂する腫瘍細胞に
対してのみ有効であることである。癌の処置に細胞毒性
物質を使用するうえでのさらなる欠点は、それらが重篤
な副作用を有することである。すなわち、吐き気、嘔
吐、中枢神経機能低下、偏痛、骨髄機能低下、出血、腎
障害、低および高血糖症、過敏反応などを有する。
【0018】化学療法のより最近の手法は、毒性物質を
癌細胞自身に向かわしめる方法である。これは、化学療
法物質を抗体または正常細胞よりも腫瘍細胞に対する親
和性が高い非毒性分子のいずれかに連結することによっ
て実験的に行われた。これらの指向的毒性療法は依然と
して臨床的に発展の初期にあり、上市されていない。
【0019】特定のタイプの癌、例えばヒト脳において
発生する最も普通の原発性腫瘍である神経膠腫(グリオ
ーム)は、処置の普通の様相を示さない。外科処置、化
学療法および放射線療法にもかかわらず、神経膠腫の最
も普通のものであるグリア芽細胞腫(膠芽腫)はほとんど
例外なく致死的である[ショーエンバーグ(Schoenberg,
B.S.)の"The epodemiology of nervous system tumors"
in Oncology of the Nervous System,M.D.Walker編,ボ
ストン,MA,マーチナス ニホッス(1983);レビン(Levin)
らのCancer: Principles and Practice of Oncology,2
巻,3版,De Vitaら編の"Neoplasms of the Central Nerv
ous System",46章,1557-1611頁,フィラデルフィア,リピ
ンコット・プレス(1989)]。従って、神経膠腫を選択的に
破壊しつつ、正常な脳細胞には影響を与えない手法の開
発が要望されている。一般に、このような処置は、すべ
てのタイプの新生細胞を選択的に破壊するために広く利
用できる可能性があろう。
【0020】
【発明の構成】本発明は、新生細胞を選択的に破壊する
ための組成物およびそのための方法を提供するものであ
る。本発明の方法は、新生細胞内において複製すること
ができるが、周囲の非新生物組織には伝播しない改変ウ
イルスによって新生細胞を感染させることを包含する。
ウイルス感染させると、ウイルスは一般に腫瘍崩壊およ
び/または異種生成的(xenogenization)に感染細胞を破
壊する。
【0021】
【図面の説明】図1は、ラットにおける腫瘍増殖を示す
グラフである。ヌードマウスの左臀部領域に3.2×1
6のU87細胞を皮下注射した。次いで、5週間後に
直径約8ミリメータの腫瘍を有するヌードマウスを無作
為に2グループに分けた。1グループは6匹とし、それ
らの新生物内に、DME25μl 中、5×10pfu の
dlsptkを注射した。他のグループには、DME2
5μl を単独で同様に注射した。腫瘍サイズをカリパス
測定によりモニターした。2週間後、腫瘍に再度DME
50μl 中、10×10pfu のdlsptkまたはD
ME単独を注射した。図2は、接種後14日および26
日目に、dlsptk処置腫瘍が対照の腫瘍よりも有意
に小さくなっていることを示すグラフである。
【0022】
【好ましい態様の説明】本発明は新生細胞を選択的に死
滅させるための組成物およびそのための方法を目的とす
る。この態様では、新生細胞内において複製することが
できるが、周囲の非新生物組織には伝播しない改変ウイ
ルスが提供される。このウイルス感染により、全身がウ
イルス感染されることなく、新生細胞を破壊することが
できる。
【0023】上記のように、ウイルスは新生細胞すなわ
ち悪性および良性の新生細胞を選択的に死滅させる。
「新生細胞」とは急速に分裂する細胞を意味する。本発
明の目的に沿っていえば、新生細胞には、腫瘍、新生
物、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、などの細胞が包含
される。特に目的とするものは、神経系の腫瘍である。
それには、星状膠細胞腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経繊
維腫、上衣細胞腫、神経鞘腫、神経繊維肉腫、グリア芽
細胞腫、などがある。
【0024】神経膠腫はヒトの脳に発生する最も普通の
原発性腫瘍である。この最も悪性の神経膠腫であるグリ
ア芽細胞腫は、全原発性脳腫瘍の約30%から50%を
占め、外科処置、化学療法および放射線療法にもかかわ
らず、ほとんど例外なく致死的である[モア(Moore,A.
E.)のProgr.Exp.Tumor Res.1:411-439(1960)]。平均の
生存期間は1年よりも短く、5年生存率は3%から5%
しかない。処置後でも、原発部位の2cm以内で疾患が再
発することが多い[ホッフバーグ(Hochberg)らのNeurol.
30:907-911(1980)]。転移はきわめて希にしか起こらな
い。神経学的な機能不全と死亡は、局所成長と脳の侵襲
に由来する。従って、(全身的でない)局所処置の効能が
調査されている。これらの中の幾つかは、局所低体温療
法[サロマン(Salcman)らのJ.Neuro-Oncol. 1:225-236(1
983)]、光力学療法[チェング(Cheng)らのSurg.Neurol.2
5:423-435(1986)]、および間隙放射療法[グチン(Gutin)
らのJ.Neurosurgery 67:864-873(1987)]の各研究であ
る。現在のところ、悪性神経膠腫の患者の結果に対して
実質的な影響を与え得る治療方法は存在しない。
【0025】本発明では、新生細胞において選択的に複
製できるウイルスを使用すればよい。一般に、ウイルス
は新生細胞内での複製が選択的になるように改変してお
く。ウイルスは突然変異および遺伝子操作法によって改
変することができる。
【0026】一般にウイルスとは、保護コート内に包含
されたRNAまたはDNAのいずれかを含有する感染ユ
ニットとして定義される[フル(Hull,R.)らのVirology:D
irectory and Dictionary of Animal, Bacterial and P
lant Viruses,ニューヨーク,ストックトン・プレス,198
9]。核酸はウイルスが感受性宿主細胞内で複製するため
に必須の情報を含有している。ウイルスはエネルギー産
生の酵素系を含有しておらず、また機能性リボソームお
よび細胞オルガネラも含有していない。これらは、ウイ
ルスが複製する細胞によって供給される。細胞はまた、
DNAまたはRNAポリメラーゼおよび他の複製因子な
どの、ウイルス複製にとって必須の幾つかの酵素をも供
給することができる。
【0027】突然変異を行うための方法は当業界周知で
ある。それには、化学的突然変異法[チュー(Chu,C.T.)
らのVirology 98:168(1979);マイヤース(Myers.R.M.)
らのScience 229:242(1985)]、オリゴヌクレオチド-介
在性突然変異法[ゾラー(Zoller,M.J.)らのDNA 3:479(19
84)]など、種々の手法がある。
【0028】また、ウイルスは外来性の核酸を挿入する
ことによって改変することができる。この態様では、ウ
イルスの複製に必要なタンパク質または因子をヘテロロ
ーガスなプロモーターおよび/またはヘテロローガスな
コントロール因子の制御下に置くことにより、そのタン
パク質を新生細胞内においてのみ発現させる。ヘテロロ
ーガスなプロモーターおよびコントロール因子はほとん
ど新生細胞内において選択的に、またはより高度に発現
される。例えば、新生細胞内でのみ発現する新生物遺伝
子のプロモーターを利用することができる。あるいは、
迅速に分裂する細胞内でより高度に発現する遺伝子、例
えばチミジンキナーゼ、ポリメラーゼ遺伝子など由来の
プロモーターを利用することができる。
【0029】遺伝子操作したウイルスの構築方法は当業
界既知である。一般に、サムブルック(Sambrook)らのMo
lecular Cloning: A Laboratory Manual,2版,コールド
・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(1989)
およびそこに引用される文献が挙げられる。ウイルス学
的な考察もコーン(Coen D.M.)のMolecular Geneticsof
Animal Viruses in Virology,2版,B.N.Fields(編者),ラ
ベン・プレス,ニューヨーク(1990),123-150頁およびそ
こに引用される文献に記載されている。1型ヘルペス単
純ウイルス(HSV-1)を詳細に記載した文献には、ゲ
ラー(Geller)らのScience 241:1667(1988);ゲラーらの
Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.87:1149(1990);ゲラー(Ge
ller,A.I.)のNucl.Acid Res.16:5690(1988);ブレイク
フィールド(Breakfield)らのMolec.Neurobiol.1:339(19
87);シフ(Shif)らのVaccines 85,コールド・スプリン
グ・ハーバー・プレス,コールド・スプリング・ハーバ
ー,ニューヨーク(1985),177-180頁;パレラ(Palella)ら
のMolec.Cell.Biol.8:457(1988);マッツ(Matz)らのJ.G
en.Virol.64:2261(1983);スマイル(Smile J.R.)のNatu
re 285:333(1980);モカースキー(Mocarski)らのCell 2
2:243(1980);コーンらのScience 234:53(1986)。
【0030】文献の教示によると、ヘテロローガスなプ
ロモーターを使用した場合、目的とする遺伝子は、ヘテ
ロローガスなプロモーターにとって適切な解読フレーム
内に配置させる。この場合に、ヘテロローガスなプロモ
ーターはその遺伝子を転写させる。
【0031】ほとんどの場合は、新生細胞を破壊でき、
かつその細胞内での選択的な複製のために修飾すること
のできるウイルスを利用すればよい。以下に説明するよ
うに、それには腫瘍の処置のために既に使用されている
広範なウイルスがある。しかし、これらのウイルスによ
る処置は、非改変の、または野生型のウイルスを使用す
る欠点のために進歩していない。
【0032】動物およびヒトの両者において腫瘍を処置
するためのものとして、過去に野生型ウイルスが調査さ
れた[Moore,A.E.のProgr.Exp.Tumor Res.1:411-439(196
0);Austin,F.C.らのAd.in Cancer Res.30:301-345(197
9)]。提示された治療メカニズムは、腫瘍崩壊(oncolysi
s)、ウイルスによる直接細胞死滅作用[Moore,A.E.のPro
gr.Exp.Tumor Res.1:411-439(1960)]、および腫瘍細胞
表面に新たな抗原を産生させて腫瘍の免疫学的拒絶を行
わしめる異種形成(xenogenization)[Austin,F.C.らのA
d.in Cancer Res.30:301-345(1979);Kobayashi,H.らの
Ad.in Cancer Res.30:279-299(1979)]などである。
【0033】悪性疾患の進行に対するウイルス感染の有
効な効果を示す初期の文献が幾つかある[Levanditi,An
n.Inst.Pasteur 37:1-106(1923)]。患者がウイルスによ
って故意または偶発的に感染された場合、種々の腫瘍タ
イプに退縮変化が認められた。1912年には、イヌの
かみ傷に対して狂犬病処置を施された子宮頚癌の患者に
退縮が観察された。この場合、狂犬病ウイルスが腫瘍の
退縮の原因ではないか、との予測がされた[Southom,C.
M.のTran.N.Y.Acad.Sci.Ser.2122:653-673(1960)]。
【0034】1950年から1967年にかけて、ウイ
ルスで処置した場合にある種の患者には癌の退縮変化が
認められることを示唆する多くの報告がなされた[Moor
e,A.E.のAnn.Rev.Microbiol.8:393-410(1954);Moore,
A.E.のProgr.Exp.Tumor Res.1:411-439(1960)]。195
6年には、子宮頚の癌腫を処置するためにウイルスを使
用することが報告された[SmithらのCancer 9:1211-1218
(1956)]。アデノウイルスを使用することによって、腫
瘍崩壊後に腫瘍の増殖が認められた。しかし、疾患の経
過時に認め得る程の変形は留意されなかった。1965
年には、子宮頚癌の処置のためにニューカッスル病ウイ
ルスを使用することが試みられた[Cassel,W.A.らのCanc
er 18:863-868(1965)]。NDVは、神経組織の感染能で
ある神経向性の程度が非常に低いので、それが選択され
た。ウイルスを子宮頚の癌腫に直接接種すると、腫瘍が
広範にくずれてゆき、リンパ節転移を縮小化した。ウイ
ルスが神経組織を攻撃する証拠が何らその患者に認めら
れなかったので、NDVの使用は有望視されていた。1
966年には、他の癌を処置するためにウイルスを使用
する臨床トライアルの報告がなされた[Webb,H.E.らのLa
ncet 1:1206-1209(1966)]。この試験で使用されたウイ
ルスは、ランガットおよびキャサヌール森林病ウイルス
であった。
【0035】癌を処置するためにウイルスを使用するこ
とに関するより最近の研究が開示された。1983年に
は、ニューカッスル病ウイルス腫瘍崩壊物(oncolysate
s)を悪性黒色腫のII期を管理するために使用することに
関する研究が開示された[Cassel,W.A.らのCancer 52:85
6-860(1983)]。患者には3年間にわたってウイルス腫瘍
崩壊物を皮下注射した。それらの患者が疾患の進行した
段階のII期にあったとしても、結果は改善を示した。試
験グループのそれぞれ各3年における死亡率である6、
8および12%は、対照グループのそれよりも大いに低
下していた。この試験ではウイルスの複製は認められ
ず、この留意された結果はおそらく全腫瘍細胞の異種形
成によるものであったようである。
【0036】ローニグル(Roenigle)らは、ワクシニアウ
イルスの病巣内接種により悪性黒色腫を免疫療法にかけ
た場合のポジティブな結果を報告した[Roenigle,H.H.ら
のArch.Dermatol.109:668-673(1974)]。腫瘍の主要な退
縮は、II期疾患の8人の患者の外に8人に認められた。
III期疾患の患者による他の試験においては退縮はほと
んど認められないか、全くなかった。さらに、ポジティ
ブな結果を表したワクシニアウイルス療法を利用する研
究も開示された[Belisario,J.C.らのAust.J.Derm.6:113
-118(1961);Milton,G.W.らのAust.N.Z.J.Surg.35:286-
290(1966);Hunter-Craig,I.らのBr.Med.J.2:512-515(1
970)]。これらは最初、広範な腫瘍状態でない患者にお
いて行われた。
【0037】組織培養内および全動物系におけるウイル
スによって腫瘍崩壊を研究するために、幾つかの動物モ
デルおよび動物腫瘍も利用された[Moore,A.E.のAnn.Re
v.Microbiol.8:393-410(1954);Moore,A.E.のProgr.Ex
p.Tumor Res.1:411-439(1960)]。少なくとも9個のウイ
ルスが、マウス、ラット、ウサギおよびモルモットの種
々の腫瘍においてある程度まで腫瘍退縮を起こさせるこ
とができると示された。しかし、これら初期の動物実験
の主たる欠点は、腫瘍の処置のために使用したウイルス
によって全身が感染されてしまうことである。
【0038】この従来の試験とは対照的に、本発明は改
変ウイルスを使用する。これら改変ウイルスは大体は特
定の正常細胞内では複製することができず、従って全身
感染の虞れを減少させることができる。具体的には神経
膠腫細胞を死滅させるために突然変異HSV-1を利用
することによって、ウイルスを改変すれば、それを新生
細胞内で選択的に複製でき、かつそれを選択的に死滅さ
せることができることが、本発明により証明されたの
で、この本発明方法は上記のような他のウイルスを改変
するために利用することができる。
【0039】ウイルスを腫瘍の治療に使用することは、
ウイルスが腫瘍細胞を修飾してそれらがより抗原性の高
いものとなるので有益である。例えば、ArakiらのGene
89:195-202(1990);TakleらのMol.Biochem.Parasitol 3
7:57-64(1989);およびBurkらのJ.Virol.62:649-654(19
88)を参照のこと。この抗原性効果は、腫瘍の表面に新
たな抗原を導入し、それにより腫瘍を異物体として認識
する個体の免疫系を増大させることによって行われる。
新たな抗原を腫瘍表面に導入することは、腫瘍の異種形
成(xenogenization)と呼ばれる[Austin,F.C.らのAd.in
Cancer Res.30:301-345(1979);Kobayashi,H.らのAd.in
Cancer Res.30:279-299(1979)]。
【0040】腫瘍細胞をウイルスで感染させた場合、そ
れらは一般に細胞表面にウイルス抗原を発現する。腫瘍
細胞の感染に使用するウイルスが宿主に異物として認識
されたなら、ウイルス感染腫瘍細胞は退縮することが多
い。Kobayashiは、腫瘍を有するラットにおいて、フレ
ンドウイルスまたはグロスウイルスなどのネズミ白血病
ウイルスにより宿主のウイルス感染を定着させて腫瘍拒
絶を促進させようと試みた[Kobayashi,H.らのJ.Natl.Ca
ncer Inst.42:413-419(1969)]。これらのウイルスは、
宿主細胞に表面抗原を産生させると考えられた。これら
ラット腫瘍の免疫学的な退縮に成功を収めたことが認め
られた。他の幾つかの報告では、ラットに移植された腫
瘍にウイルス誘導の退縮が記載されている[Holtermann,
D.A.らのTransplantation 11:20-29(1971);Barbieri,
D.らのInt.J.Cancer 7:364-371(1971);Greenberger,J.
S.らのJ.Natl.Cancer Inst.51:1935-1938(1973)]。
【0041】ラット以外の体組織における腫瘍退縮の成
功が開示された。1971年には、マウス腫瘍細胞をロ
ーシャー白血病ウイルスで感染させた場合に、その腫瘍
の致死的成長(lethal growth)が46から77%減少さ
れたことが報告された[Barbieri,D.らのInt.J.Cancer
7:364-371(1971)]。ホルターマン(Holterman)およびマ
ッジ(Majge)は、SWR/Jマウスのアデノ癌腫の致死的
成長が、その腫瘍細胞をまずLCMウイルスで感染させ
たなら50%減少すると報告した[Holterman,D.A.らのT
ransplantation 11:20-29(1971)]。
【0042】もう1つの試験では、ハムスターモデル系
においてHVJウイルスにより感染させた後の腫瘍の致
死的成長に、減少が認められた[Yamade,T.らのGann.63:
647-655(1972)]。しかし、ヒトにおけるウイルス成長
は、この可能性ある治療の効能および継続性を限定して
しまう。
【0043】細胞の成長特性を改変または細胞成長を改
質(モジュレート)できるあらたな遺伝子を腫瘍細胞に挿
入するためにウイルスを使用することもできる。この例
は、網膜芽細胞腫または骨遺伝子肉腫のRb遺伝子[Hua
ng H-JSらのScience 242:1563-1566(1988)における、ヒ
ト癌細胞におけるRb遺伝子置換による新生物表現型の
抑制(Suppression of the neoplastic phenotype by re
placement if the Rbgene in human cancer cells)]、
または結腸癌のp53遺伝子[BakerらのScience246:912-
915(1980)における、野生型p53によるヒト結腸直腸癌
腫細胞の成長の抑制(suppression of human colorectal
carcinoma cell growth by wild-type p53)]について
示されている腫瘍抑制遺伝子の挿入である。さらに、他
の抑制またはモジュレート遺伝子を使用することもでき
る。
【0044】腫瘍細胞をより良好に感染できるようにウ
イルスを自然に修飾しようとする試みがなされている[M
oore,A.E.のAnn.N.Y.Acad.Sci.54:945-952(1952);Sout
ham,C.らのVirology 5:395-400(1958);Cassel,W.A.のC
an.Res.17:618-622(1957)]。これはウイルスをインビト
ロにおいて腫瘍ラインに連続継代することにより行われ
た。腫瘍特異性の増大が認められたほとんどの場合、継
代後にウイルスを宿主生物に戻すと野生型ウイルス感染
スペクトラムへの逆戻りが観察された。特異性のために
継代によって無作為に選択するよりも、より信頼のおけ
る方法により特異性を制御するのが望ましいであろう。
【0045】遺伝子操作法または突然変異によって改変
された本発明のウイルスは、特定の細胞タイプにターゲ
ッティング(標的化)する。このターゲッティングは種々
の方法によって行うことができる。
【0046】腫瘍特異的制御因子をウイルスのゲノムに
導入すれば、ウイルス複製にとって必須の1つまたはそ
れ以上のウイルス遺伝子の発現を制御することができ
る。そうすれば、ウイルスはその腫瘍特異性制御因子を
発現する細胞内でしか複製できなくなるであろう。この
ことにより、それらのウイルスを癌処置に使用した場合
には宿主の全身的なウイルス感染の誘発危険性を排除で
きることとなる。
【0047】腫瘍特異的制御因子に替わって、特異的突
然変異をウイルスのゲノムに導入することにより、細胞
が相補性の酵素機能を提供しない限りウイルスが細胞内
で複製できなくすることもできる。これにより、腫瘍細
胞のみの直接感染を行うことができる。
【0048】個々のウイルスを選択したなら、それを複
製能および、新生細胞成長の抑制または破壊能について
インビトロで試験すればよい。突然変異または遺伝子操
作法によってウイルスを改変することにより、ウイルス
が複製し、かつ腫瘍崩壊および/または異種形成および
/または腫瘍細胞の細胞成長の改質を行わしめる一方
で、正常細胞では複製できないようにする。次に、この
ウイルスを使用し、患者の新生細胞内に局在感染させ
る。
【0049】ウイルス感染を行うためには、宿主の新生
物成長部位またはその近傍にウイルスを注射するのが通
常であるが、細胞-特異的なウイルスを使用する場合に
は全身的接種を使用することもできる。一般には、ウイ
ルスは濃度約101から約1010プラーク形成単位(PF
U)の範囲で注射により投与し、より一般的には約5×
104PFUから約1×106PFUであり、さらに一般
的には約1×105PFUから約4×105PFUである
が、その範囲は変動し得る。以下に実施例を記載する
が、これらは本発明を説明するだけのものであり、限定
を意図するものではない。
【0050】
【実施例】グリア芽細胞腫はヒトにおける最も普通の形
態の悪性脳腫瘍であり、ほとんど常に例外なく致死的で
ある[Schoenberg,B.S.のOncology of the Nervous Syst
em,M.D.Walker編,ボストン,MA,マルチナス・ニジョフ(1
983)における「神経系腫瘍の疫学(The epidemiology of
nervous system tumous)」;レビン(Levin)らのCancer:
Principles and Practice of Oncology,2,3巻,46章,155
7-1611頁,De Vitaら編,フィラデルフィア,リッピンコッ
ト・プレス(1989)の「中枢神経系の新生物(Neoplasms of
the Central Nervous System)」]。ヒトの悪性神経膠腫
細胞は、DNAの複製に関連する酵素を発現する、迅速
に分裂する腫瘍細胞集団のクラスである。これらの1つ
はチミジンキナーゼ酵素である。周囲の正常脳は、ほと
んどニューロンおよび正常なグリアなどの非-分裂細胞
から構成されている。これらの細胞は、DNA複製に関
与する酵素を最小限のレベルでしか発現しない。本発明
は、この現象の利用を目的とするものである。1型単純
ヘルペスウイルスなどのウイルスにおける、チミジンキ
ナーゼ酵素などのウイルス遺伝子に突然変異を起こす。
この突然変異ウイルスを使用し、腫瘍を処置する。これ
は、ウイルスが腫瘍細胞の内生チミジンキナーゼ活性を
使用して突然変異を相補し、悪性神経膠腫細胞内で複製
できるというその能力によって行われる。これにより腫
瘍細胞の細胞溶解が導かれる。これとは対照的に、分裂
しない正常な脳細胞は、ある種の突然変異ウイルスによ
る細胞溶解性感染に対して比較的非許容的であり、ウイ
ルスの細胞溶解からは免れる[Jamieson ATのJ.Gen.Viro
l.24:465(1974)]。
【0051】突然変異ウイルスをヒト癌の処置に使用で
きる可能性がdlsptkウイルスを用いて調査された
[CoenらのProc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.86:4736(198
9)]。この特定の突然変異体は、幾つかのHSV1のチ
ミジンキナーゼ突然変異体の中から選択されたものであ
るが、その理由は、それがチミジンキナーゼ活性を全く
有さないことと、大きな欠失セグメントを有しているこ
とである。この大きな欠失により、このウイルスは自発
的に野生型ウイルスに戻ることができない。第3の利点
は、この欠失がチミジンキナーゼ遺伝子を重複している
HSV UL24遺伝子の外側に存在しているのでdl
sptkはUL24機能にとって選択的ではないに違い
ないことである。5つの異なるヒト神経膠腫、すなわち
長期間培養の2つと短期間培養の3つに対してdlsp
tkウイルスを試験した結果を本明細書に示す。また、
げっ歯類の頭蓋内にdlsptkを接種した結果、およ
びヌードマウスの2つの解剖学的に異なる部位に増殖し
ていたヒト神経膠腫にdlsptkを新生物内接種した
結果も示す。
【0052】ヒト神経膠腫セルラインU87およびT9
8G細胞をアメリカン・テッシュ・セル・コレクション
(ATCC)[American Tissue Cell Collection,ニュー
ジャージ,カンデン]から入手した。マサチューセッツ・
ジュネラル・ホスピタルでの外科的検体から入手した外
植片から3つの初代ヒト悪性神経膠腫培養物を作成し
た。Vero(アフリカミドリザルの腎)細胞をATCCか
ら入手した。すべての細胞培養物は、10%ウシ胎仔血
清および抗生物質(DME)を加えたダルペッコの改変イ
ーグル培地を使用し、5%二酸化炭素中、37℃のプラ
スチック製組織培養皿において増殖させた。
【0053】ウイルスを増殖させ、既述のようにVero
細胞に対する力価測定を行い、それを特定容量毎のプラ
ーク形成単位(PFU)として記録した。フォスカルネッ
ト(foscarnet)およびビダラビン(vidarabine)に対する
感受性をプラークの減少によって検定し、dlsptk
が重篤なHSV感染を処置するために患者に使用されて
いるこれら薬物に対する感受性を保持していることを証
明した。
【0054】すべての動物実験は、国際保健機関(Natio
nal Institute of Health)および動物介護についてのマ
サチューセッツ・ジェネラル・ホスピタル小委員会の両
規約に基づく動物介護ガイドラインに沿って行った。ラ
ット(CDFフィッシャー雄性;150−175g)はチ
ャールス・リバーから入手し、ヌードマウスはマサチュ
ーセッツ・ジェネラル・ホスピタルの飼育コロニーから
入手した。介護に適切な設備によりそれぞれ飼育した。
ウイルスに関連するすべての培養および動物操作は、ハ
ーバード環境安全委員会に是認されるものであった。
【0055】KOSは標準的な研究用野生株である。H
SV1-dlsptkは、コーエン(Coen)らのProc.Nat
l.Acad.Sci.,U.S.A.86:4736(1989)に記載されているよ
うにして構築した。記載する実験例では、神経膠腫セル
ラインの感受性をKOSおよびdlsptkの感染につ
いて試験した。さらに、KOSおよびdlsptkの頭
蓋内接種の効果を検定した。最後に、マウスの3つの異
なる体部位に移植した腫瘍に対するdlsptkの効果
を検定した。
【0056】細胞培養において、野生型ウイルスKOS
またはチミジンキナーゼ陰性突然変異体(dlsptk)
のいずれかをU87細胞およびVero細胞に対し、10
-4から101の感染多重度(MOI)で適用した。2つの
細胞タイプ共に、24時間目に細胞変性効果を示した細
胞の数は感染多重度と正比例しており、MOI=10-4
での1−5%からMOI=10での95%の範囲であっ
た。ウイルス適用の24時間目では、U87細胞の細胞
変性効果と細胞遊離との程度は、同じMOIでのVero
細胞に認められるものと同等か、またはそれ以上であっ
た。感染後5日までで、細胞変性効果は、MOI≧10
-1では両細胞において両ウイルス共に100%であり、
9日目では、dlsptkをMOI=10-4で接種した
プレートでさえ、100%細胞変性効果が明らかであっ
た。このことは、非常に低い接種物(10-4のMOIは
10pfu/培養プレートと同等である)でさえ、dlsp
tkは拡散性の感染を保持でき、また9日目でU87細
胞の全単層を破壊できることを示している。
【0057】dlsptkが細胞培養物中の異なるヒト
神経膠腫セルラインを細胞溶解できるか否かを調べるた
め、T98GおよびVero細胞にMOI=10でdls
ptkを接種した。両ウイルスともに数日以内で各セル
ラインの完全な細胞破壊を招いた。
【0058】U87およびT98Gはともにヒト神経膠
腫の長期間ラインであるので、初代ヒト神経膠腫に対す
るHSV1-dlsptkの効果を調べた。外科的に入
手した3つの初代神経膠腫の検体由来の外移植によっ
て、単層細胞培養物を誘導し、2回目の継代で試験し
た。dlsptkをMOI=10またはMOI=1で適
用した後では、3つすべての初代神経膠腫は用量依存的
な細胞変性効果を示した。4日目では、試験した両MO
Iとも3つすべての培養物で100%の細胞破壊が明ら
かであった。
【0059】dlsptkの頭蓋内接種の安全性を確か
めるため、13匹のフィッシャーラット(150−17
5g)の右前頭葉にDME2μl 中、2×105pfu HS
V-dlsptkを接種し、12匹のラットにはDME
4.8μl 中、1×106HSV-dlsptkを接種し
た。2×105pfu グループの2匹は麻酔および外科処
置時に死亡した。残ったすべての動物を接種後少なくと
も1カ月間追跡した。いずれのグループにも死亡または
神経系不全は存在しなかった。2×105pfu グループ
はさらに1カ月生存させた後、殺した。2カ月時点では
すべて健康であり、神経系不全、白内障いずれも認めら
れなかった。これは、同量の野生型ウイルス(KOS、
2×10pfu)が頭蓋内接種後2週間以内で718匹のラ
ットを殺したことを示したChioccaらの従来の試験とは
対照的であった。
【0060】U87腫瘍に対するHSV-dlsptk
のインビボ効果を試験するため、17匹のヌードマウス
のグループに対して、その左臀部領域に3.2×106
U87細胞を皮下注射した。約5週間で成育している腫
瘍が認められた。マウスを無作為に2つのグループに分
けた。斜面チップのハミルトンシリンジを使用し、1グ
ループの6匹に、DME25μl 中、5×106pfu H
SV1-dlsptkを新生物内接種した。対照グルー
プの7匹にはDMEを単独で同様に接種した。2週間
後、腫瘍に2回用量で再度注射した。測定の2週および
4週後には、dlsptkを注射した腫瘍は対照よりも
有意に小さくなっていた(図1)。
【0061】dlsptkの効能を別の部位でも試験し
た。従来記載されているフィブリン血餅法を使用し、9
匹のヌードマウスの腎下莢膜(subrenal capsule)にU8
7細胞を接種した。2週間後、接眼マイクロメーターに
よって腫瘍サイズを測定し、直径が1から2mmであるこ
とを認めた。半分のヌードマウスの新生物内にDME1
μl を接種し、他の半分の新生物内に2.1×105pfu
HSV-dlsptkを含有するDME1μl を接種し
た。図2は、接種後14日目と26日目の再度の調査に
おいて、dlsptk処置腫瘍が対照よりも有意に小さ
くなっていることを示している。
【0062】医学、免疫学、ハイブリドーマ手法、薬学
および/またはそれらの関連分野の当業者に明らかであ
る、本発明を行うための上記態様の変法は本明細書の特
許請求の範囲内に包含される。本明細書に引用したすべ
ての刊行物および特許出願は本発明の属する技術分野の
レベルを示すものである。これら刊行物および特許出願
はすべて、個々の刊行物または特許出願について引用に
よって包含されると個々特別に示していると否とに拘わ
らず、それらは同程度に引用によって本明細書に包含さ
れる。
【0063】上記のほうに、本発明の理解を容易にする
ために説明および実施列をある程度詳細に記載してきた
が、本明細書の特許請求の範囲内で実施可能である特定
の改変および修飾は明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヌードマウスにおける腫瘍増殖性を示す、本
発明のdlsptk処置群と対照群とを比較するための
グラフである。
【図2】 接種後14日および26日目にdlsptk
処置腫瘍が対照腫瘍よりも有意に小さくなっていること
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 591204355 プレジデント・アンド・フェローズ・オ ブ・ハーバード・カレッジ PRESIDENT AND FELLO WS OF HARVARD COLLE GE アメリカ合衆国02138マサチューセッツ州 ケンブリッジ、クインシー・ストリート17 番 (72)発明者 ロバート・エル・マートゥーザ アメリカ合衆国01273マサチューセッツ州 レキシントン、フェアバンクス・ロード31 番 (72)発明者 ドナルド・エム・コーン アメリカ合衆国02052−2011マサチューセ ッツ州メッドフィールド、メイン・ストリ ート368番

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 新生細胞において複製することができる
    が、正常細胞では複製できない改変ウイルスによって新
    生細胞を感染させること、を特徴とする新生細胞を選択
    的に死滅させるための方法。
  2. 【請求項2】 新生細胞が神経系の腫瘍細胞からなる請
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 腫瘍が星状膠細胞腫、乏突起膠腫、髄膜
    腫、神経繊維腫、グリア芽細胞腫、上衣細胞腫、神経鞘
    腫、および神経繊維肉腫の中から選ばれる請求項2に記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 腫瘍がグリア芽細胞腫である請求項3に
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 ウイルスがヘルペスウイルスである請求
    項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ヘルペスウイルスがHSV-1-dlsptkで
    ある請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 改変ウイルスが突然変異ウイルスである
    請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 突然変異ウイルスが突然変異チミジンキ
    ナーゼ遺伝子を含有している請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 改変ウイルスが、ウイルスの複製に必須
    であるタンパク質を発現するのに使用されるヘテロロー
    ガスなプロモーターを含有している請求項1に記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 ヘテロローガスなプロモーターが新生
    細胞において選択的に発現することのできる請求項9に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 改変ウイルスが腫瘍崩壊によって新生
    細胞を選択的に死滅させる請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 改変ウイルスが異種形成によって新生
    細胞を選択的に死滅させる請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 改変ウイルスが腫瘍抑制遺伝子を発現
    する請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 新生細胞において複製することができ
    るが、正常細胞では複製できない改変1型単純ヘルペス
    ウイルスによってグリア芽細胞腫細胞を感染させるこ
    と、を特徴とするグリア芽細胞腫細胞を破壊するための
    方法。
  15. 【請求項15】 改変ウイルスが突然変異ウイルスであ
    る請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 改変ウイルスがチミジンキナーゼ突然
    変異体である請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 該突然変異体がHSV-1-dlsptkであ
    る請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 改変ウイルスが、ウイルスの複製に必
    須であるタンパク質を発現するのに使用されるヘテロロ
    ーガスなプロモーターを含有している請求項14に記載
    の方法。
  19. 【請求項19】 ヘテロローガスなプロモーターが新生
    細胞において選択的に発現することのできる請求項18
    に記載の方法。
  20. 【請求項20】 改変ウイルスが腫瘍崩壊によって新生
    細胞を選択的に死滅させる請求項14に記載の方法。
  21. 【請求項21】 改変ウイルスが異種形成によって新生
    細胞を選択的に死滅させる請求項14に記載の方法。
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