JPH0596638A - 繊維強化熱可塑性樹脂弯曲シートの製造法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂弯曲シートの製造法

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JPH0596638A
JPH0596638A JP3285451A JP28545191A JPH0596638A JP H0596638 A JPH0596638 A JP H0596638A JP 3285451 A JP3285451 A JP 3285451A JP 28545191 A JP28545191 A JP 28545191A JP H0596638 A JPH0596638 A JP H0596638A
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fiber
thermoplastic resin
sheet
cylinder
layer
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JP3285451A
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Tsutomu Matsuda
勉 松田
Tatsuya Shibata
達也 柴田
Akira Goto
陽 後藤
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維強化樹脂円筒の材料として好適な、自発
的に弯曲した繊維強化熱可塑性樹脂シートを、特別な設
備を必要とすることなく、製造する方法を提供する。 【構成】 2層以上の繊維層を積層し、これにマトリッ
クスとなる熱可塑性樹脂シートを含浸させて一体のシー
トとするに当り、積層する繊維層の材質及び/又は構成
を異らせて厚さ方向に異方性をもたせ、かつ繊維層の少
くとも1層は長繊維が直交配列した層としたものを、熱
可塑性樹脂の存在下で平板プレスにより加熱加工し、弯
曲シートを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弯曲(カール)した繊
維強化熱可塑性樹脂シートの製造法に関するものであ
る。更に詳細には、平板プレスによって自発的に弯曲を
生ぜしめた円筒形成材料として特に好適な繊維強化熱可
塑性樹脂弯曲シートを製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】繊維強化樹脂成形品(FRP)の中で、
連続補強繊維を用いた熱可塑性樹脂成形品の成形法とし
ては、プレス機を用いたスタンピング成形が主流である
が、その他の方法としてバキューム成形法、オートクレ
ーブ成形法、ダイヤフラム成形法が使われている。ま
た、連続成形法としてフィラメントワインディング法、
テープ材料を用いたテープレイアップ法、引き抜き法、
ロールフォーミング法等が繊維強化熱可塑性樹脂の成形
法として広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】熱可塑性樹脂は、熱硬
化性樹脂に比較して融点が高く、かつその溶融粘度も熱
硬化性樹脂の数千倍にも達する。このため熱可塑性樹脂
の成形には高温、高圧条件が不可欠であり、強化繊維間
への樹脂の含浸が難しく、また成形設備も大型で、高価
な設備とならざるを得ない。
【0004】熱可塑性樹脂の強化繊維間への含浸性を容
易化するため、強化繊維と繊維化した熱可塑性樹脂とを
交織交編した織物状あるいはニット状の形態として使用
する方法、熱可塑性樹脂を粉体化して強化繊維にまぶし
た状態として使用する方法等が採用されているが、これ
らの方法は、いずれも素材の加工費が高く素材コスト高
となる。
【0005】一般に、繊維強化熱可塑性樹脂成形品の成
形方法としては、プレス機によるスタンピング成形が広
く用いられているが、この方法では円筒等の筒状成形品
の成形は不可能である。円筒等の筒状成形品の成形に
は、フィラメントワインディング、テープレイアップ、
引き抜き成形法等が繊維強化熱硬化性樹脂の成形技術の
発展とともに繊維強化熱可塑性樹脂の成形にも適用さ
れ、実用化の段階となりつつある。しかし、熱可塑性樹
脂の持つ高融点、高溶融粘度のため、樹脂含浸性を中心
とした成形性、テープレイアップ法で用いられているレ
ーザーでの特殊加熱装置の必要性等種々の成形課題が残
されているため、未だ汎用的な成形方法には至っていな
い。
【0006】また、上述のフィラメントワインディン
グ、テープレイアップ、引き抜き成形法では、軽量芯材
を狭んだサンドイッチ構造をもつ材料からなる超軽量円
筒の成形等は難しい。しかも、成形品の表面性も不充分
で、引き抜き成形での円筒成形品では内外径の偏心が大
きく、成形後の2次機械加工が必要とされている。
【0007】本発明の主たる目的は、超軽量で円筒の内
外径の真円性が高く、また意匠性にも優れた繊維強化熱
可塑性樹脂円筒を汎用装置を用いて成形し得る弯曲シー
トを製造をする方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の如
き従来の成形技術の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた
結果、平板プレス機等の汎用的な設備を用いて、超軽量
で真円性が高く意匠性の優れた繊維強化熱可塑性樹脂円
筒を安定的に成形できる弯曲シートを容易に製造し得る
本発明の方法に到達した。
【0009】すなわち、本発明の方法は、2層以上の繊
維層を熱可塑性樹脂を介在せしめた状態で積層し、該積
層物を上記樹脂の融点以上の温度で平板プレスすること
により各繊維層に樹脂を含浸させて一体化した繊維強化
熱可塑性樹脂シートを製造するに当り、積層する繊維層
の材質及び又は構成を異らしめて厚さ方向に異方性を持
たせるとともに、繊維層の少くとも1層は連続強化繊維
を実質上直交するように配列させた構成とすることによ
り、平板プレスにて自発的な弯曲を発生させ、所望の曲
率に弯曲した繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造する方
法である。
【0010】以下、本発明の弯曲シートの製造方法につ
いて工程を追って詳細に説明する。本発明によれば、ま
ず、少くとも2層の繊維層と熱可塑性樹脂からなる積層
物を作成する。上記の繊維層のうち少くとも1層は、連
続強化繊維が実質的に直交するように配列したものとす
る。連続強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セ
ラミックス繊維、金属繊維あるいはパラ系アラミド繊維
等の高モジュラス耐熱有機繊維のフィラメント、ヤー
ン、ストランド等が好ましい。かかる連続強化繊維の繊
維層としてはUDクロス(一方向配列繊維クロス)を繊
維配列方向が直交するよう積層したもの又は平織りクロ
スが好ましい。このクロス類は、2種以上の繊維を用い
たものであってもよい。
【0011】これと積層する他の繊維層は、織物、編
物、UDクロス、マット、不織布等任意の形態をとるこ
とができ、その構成繊維は上述の連続繊維に限定されな
い。また、繊維の種類は、平板プレス時の温度に耐えら
れる繊維であれば有機、無機を問わず使用することがで
きる。
【0012】本発明方法では、積層する繊維層の材質及
び/又は形態等を異らしめることにより、積層物の厚さ
方向に異方性をもたせる。このように厚さ方向に異方性
をもたせる具体的手段としては、例えば、(a) 上層部の
強化繊維として炭素繊維を使用し、下層部にはガラス繊
維を使用する等、異材質強化繊維を組合せる方法、(b)
上層部にクロス形態を用い下層部に不織布形態を用いる
等、異形態の層を組合せる方法、(c) 同材質でも強化繊
維の含有率、熱線膨脹、強化剛性等を変える方法、等が
採用される。勿論これらの組合せによって積層体の厚さ
方向に異方性を与えることも可能である。
【0013】一般に、これらの相違が顕著なほど効果が
あり、従って、例えば、異材質でかつ異形態の組合せ
は、後述する平板プレスによる自発弯曲効果が大きいの
で好ましい。
【0014】具体的に好適な積層の組合せの一例とし
て、上層部に炭素繊維、ガラス繊維、パラ系アラミド繊
維等の高モジュラス繊維からなる平織りクロスを配し、
下層部に上記各繊維より低モジュラスの耐熱有機繊維、
例えばポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維の捲縮
ステープルファイバーから主として構成されるニードル
パンチ不織布を配する例が挙げられる。この場合、上層
部に配置する高モジュラス繊維の配列方向は、弯曲シー
トの長さ方向に対しほぼ±45°のバイヤス方向とする
のが好ましい。
【0015】本発明方法では、積層に際し、各繊維層間
に熱可塑性樹脂を介在させるが、熱可塑性樹脂は、繊
維、フィルム、粉末等、任意の形態で用いることができ
る。例えば、熱可塑性樹脂で織編物やフィルムを作り、
これを上記各繊維層間に挟んでもよく、また、上記各繊
維層の積層時に、各繊維間に熱可塑性樹脂の粉末を介在
させてもよい。また、積層物の表層及び底層にも熱可塑
性樹脂を配してもよい。かかる熱可塑性樹脂としては、
その融点以上の温度に加熱することによって流動化し、
マトリックス樹脂として繊維層内部に浸透して、一体の
繊維強化樹脂シートとなし得るものであれば、その種類
を問わないが、特に、ポリエチレンテレフタート、ポリ
ブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフター
ト類、ナイロン6、ナイロン66等のナイロン類、ある
いは各種ポリカーボネート類が好ましく用いられる。こ
れらの熱可塑性樹脂には、必要に応じ、着色剤、安定剤
を添加してもよい。
【0016】本発明方法では、最上部に積層する繊維層
として、炭素繊維/ガラス繊維、炭素繊維/アラミド繊
維、ガラス繊維/アラミド繊維等のハイブリッド繊維の
組合せを選ぶこと、これらの繊維の織り編み様式を変化
させること、あるいは着色した熱可塑性樹脂を用いるこ
と、さらには、これらの組合せによって、意匠性の優れ
た弯曲シートを得ることも可能である。
【0017】本発明方法では、積層物の各繊維層の間の
みならず、表面及び底面にも熱可塑性樹脂を配置するの
が好ましく、例えば、熱可塑性樹脂フィルムを表面及び
底面にも配するのが好ましい。この場合、熱可塑性樹脂
の形態は層ごとに異なってもよいが、樹脂の種類は同一
とするのが好ましい。
【0018】このような積層物は、平板プレスを備えた
加熱加圧装置にて上記熱可塑性樹脂の融点以上分解点以
下の温度で加熱加圧加工して、樹脂を各繊維層に含浸さ
せ、成形後の厚さが0.5〜2.0mm程度の複合シート
とする。この場合、成形シートの厚さが0.5〜2.0
mmと比較的薄肉であるため、マトリックス樹脂が熱可塑
性樹脂であっても、比較的低圧のプレスで完全に樹脂が
含浸したシートを得ることができる。
【0019】本発明方法では、このように加熱加圧する
と、上記シートが、自然に、強化繊維の配列方向と約4
5°の方向に、上層部が外側になるようにして弯曲する
曲率半径は積層する繊維層の組合せ、樹脂の種類、加熱
加圧条件等を選ぶことにより任意に調整できる。
【0020】すなわち、このように厚さ方向に異方性を
持たせた設計とすることによって、各種曲率半径を持つ
比較的薄肉の、完全に樹脂が含浸した繊維強化熱可塑性
樹脂弯曲シートを容易に得ることができる。
【0021】このようにして得られた弯曲シートは、そ
の形態を利用して種々の用途に応用することができる
が、特に円筒の作成材料として有用である。
【0022】すなわち、この弯曲したシートの両端部を
重ね、接着剤による接合、機械的接合あるいは熱融着に
よる接合を行うことにより、容易に円筒を作成すること
ができる。本発明方法による弯曲シートは、熱可塑性樹
脂を用いているため、円筒作成に際し熱融着による接合
も可能である点が一つの特徴である。また、接合部に円
筒の内側から繊維強化熱可塑性樹脂弯曲シートと同材質
のシートを当て板とし、これを介して接合すれば、円筒
表面に段差のない接合部を形成することができる。
【0023】この場合、所望形状の(例えば真円度の良
好な)円筒を得るには、所望形状の型粋に弯曲シートを
セットし、これを該シートの熱可塑性樹脂の2次転移点
(Tg)以上の温度に加熱することによって型の形状に
沿った形状の円筒を作成することが可能である。
【0024】このような弯曲シートをそのまま円筒にし
たものは、比較的薄肉のシートからなる円筒のためそれ
自身では高い機械的強度は無いが、直径の異なる大小の
シート円筒を作成し、大径円筒の中にそれより若干小径
の円筒を同心的に設置し、両円筒の間隙に軽量な発泡性
樹脂等を注入成形することにより、軽量で剛性の高いサ
ンドイッチ構造の肉厚円筒を得ることができる。円筒の
強度・剛性等は要求値に沿って薄肉弯曲シートの性能・
厚さあるいは発泡性樹脂からなる芯材厚さ等を設計すれ
ば対応可能であり、例えば、後述する実施例2に示す直
径200φmm、円筒のトータル肉厚約6mmのサンドイッ
チ構造繊維強化熱可塑性樹脂円筒の場合では、その円筒
密度が0.45〜0.6(g/cm3 )であり直径方向の
圧縮強度は約100〜200kg/mm2となる。
【0025】なお、この方法で真円度の高いサンドイッ
チ構造の円筒を得るため、要求精度に対応した精度の内
筒及び外筒からなる型枠にそれぞれ弯曲した薄肉シート
円筒を各型枠に沿わせた状態にセットし、大径と小径の
各弯曲薄肉シート円筒間に発泡性樹脂等を注入する方法
に於て、発泡性樹脂等を注入する前に薄肉シート円筒の
内存する型枠を該薄肉シート円筒を構成する熱可塑性樹
脂の2次転移点(Tg)又はそれ以上の温度、好ましく
はTg+10℃〜Tg+50℃の温度に加熱しておくこ
とが好適である。すなわち、芯材となる発泡性樹脂を常
温で注入した場合と、弯曲薄肉シートの円筒を構成する
熱可塑性樹脂Tg以上に加熱した後発泡性樹脂を注入し
た場合における成形円筒の真円度を比較すると、加熱後
注入方式の方が著しく真円度が向上する。
【0026】また、弯曲薄肉シートの円筒を構成する熱
可塑性樹脂のTgが注入発泡性樹脂の耐熱性及び発泡性
能を有する温度より低い組合せの場合には、まず、上記
にシートの円筒を内在する型枠を常温にして発泡性樹脂
を注入し、注入後に成形円筒を含む型枠を上記熱可塑性
樹脂のTg以上の温度の雰囲気に保持することにより、
成形円筒の真円度を向上させることができる。発泡性樹
脂の作業性、成形後の密度等の性能をコントロールする
上で、このような常温注入が可能なことは実用面できわ
めて有用である。さらに、これらの発泡性樹脂注入前後
の加熱により、発泡性樹脂の発泡力を無理なく安定的に
引き出すことも可能となる。
【0027】サンドイッチ構造円筒の成形においては、
比較的低温で接着性を発揮する熱可塑性接着剤で弯曲シ
ートを接合するのが好ましい。サンドイッチ構造円筒を
成形する過程においては、薄肉シート円筒あるいはそれ
らの寸法を規制するための型枠を加熱冷却するが、成形
品及び型枠(通常金属枠が汎用的)は異質材料であり各
々熱膨脹係数が異なる。このため、薄肉の弯曲シート及
び型枠の加熱と発泡性樹脂の発熱とによって上昇した温
度状態において、接合固定部の拘束力が、円筒シートの
型枠に対する熱膨脹差に見合ってスムーズに動けるまで
低下することが必要であり、本発明者らの種々の研究の
結果、熱可塑性接着剤による接合が最も好ましいことが
判明した。これに対し、熱硬化性接着剤による接合ある
いはシートの溶融接合で接合した場合、円筒の円周方向
で局部的な曲がり等がしばしば発生しやすく、成形円筒
の直径が大きくなるるに従って、また、加熱温度が高い
程、その頻度は高くなっている。
【0028】以上、本発明による弯曲した繊維強化熱可
塑性樹脂シートをサンドイッチ構造円筒の外殻及び内殻
として使用する例を述べたが、該シートの用途は勿論こ
れに限定されるものではなく、弯曲したシートを円筒の
外殻又は内殻のみに使用したり、該弯曲シートそのもの
をカバーとして使用することあるいは円筒形状以外の成
形材として使用すること等も、当然可能である。
【0029】また、サンドイッチ構造以外の円筒成形材
料としても本発明による弯曲シートは非常に有用であ
る。すなわち、円筒成形品は強度、剛性以外にも振動特
性、疲労特性等の機械特性、比較的小さい円筒厚さ等が
要求される場合も多く、サンドイッチ構造以外のソリッ
ド構造の円筒を要求されるケースも多いが、このような
繊維強化熱可塑性樹脂のソリッド構造円筒を成形する場
合も、本発明による弯曲シートは非常に有用である。
【0030】つまり、このシートは(a) 構成基材が成形
品円筒径に沿って弯曲しているため重ね合せが容易であ
り、かつ成形円筒にも無理な内部応力が残留しない、
(b) 熱可塑性樹脂が完全含浸した熱可塑性樹脂薄肉シー
トであるため厚肉円筒化成形は単に薄肉シートを重ね合
せるだけで良い、という利点を持っているため、例え
ば、円筒を成形するための型枠のうち内筒に熱膨脹率の
高い材料を用い内筒外筒間に熱膨脹差を持たせるように
設計した型枠を使って、弯曲シートを構成する熱可塑性
樹脂のTg以上の温度で加熱加圧して成形するTEM
(Thermal Expansion mold)成
形法にて容易に3〜5mm厚さの高性能ソリッド構造繊維
強化熱可塑性樹脂円筒が成形できる。 例えば、後述の
実施例4にTEM法の一例を示すが、この方法によれば
サンドイッチ構造円筒に比べ高密度であるが、真円度も
高く、肉厚が約3mmと薄肉ではあるが、高い剛性を持つ
円筒が成形される。
【0031】
【発明の効果】従来の繊維強化熱可塑性樹脂円筒の成形
におけるフィラメンワインディング法、テープレイアッ
プ法あるいは引き抜き法では糸束あるいはテープ状糸束
を巻付けているため、成形品の表面凹凸は基本的に大き
く、表面凹凸を少くするには2次加工的操作(表面ゲル
コート塗付等)が必要である。
【0032】しかるに、本発明による製造方法では弯曲
した繊維強化熱可塑性樹脂シートを平面プレス成形によ
り保つため、それを用いた完成円筒の表面凹凸は著しく
小さい。前述のフィラメンワインディング法等では数1
00〜数1000μmの表面凹凸に対し本発明によるシ
ートを用いた円筒では数10μmの表面凹凸である。ま
た、弯曲シートを設計するに当って、単に強度面での設
計だけでなく、円筒を構造する弯曲シートの最外層表面
側に、炭素繊維、アラミド繊維、あるいは炭素繊維/ガ
ラス繊維、炭素繊維/アラミド繊維、アラミド繊維/ガ
ラス繊維等のハイブリット織物等を配することで、ある
いはまた、優れた意匠効果を持つ色調、織物形態等の強
化繊維を配することで、高い意匠性を持つ円筒を得るこ
とも可能である。
【0033】かくして、本発明方法によって製造される
弯曲した繊維強化熱可塑性樹脂シートはそれらを接合し
て容易に薄肉円筒とすることができ、また大小の外殻・
内殻としてその間隙に芯材を注入したサンドイッチ構造
円筒弯曲シートを重ね合わせた厚肉ソリッド構造の円筒
等とすることができる。これらの円筒は、イスの台、テ
ーブルの足等の家具類の部材として、ドラムシェル、タ
ンバリン枠等の楽器部品として、高級植木鉢等のインテ
リア商品をはじめとし、工業的用途においても広く有効
に利用される。また、本発明方法による弯曲シートは円
筒以外の成形用基材として、また、カバー類として等そ
の用途は広い。
【0034】
【実施例】次に、本発明の実施例を詳述するが、本発明
はこれらの実施例により限定されるものではない。な
お、これらの実施例において「CFクロス」は東レ
(株)製の炭素繊維平織りクロス(c/o6343、目
付198g/m2)、「GFクロス」は旭フアイバーグ
ラス(株)製のガラス繊維平織りクロス(MS−253
E、目付250g/m2 )、「コーネックスNWF」
は、帝人(株)製のポリメタフェニレンインクタルアミ
ド繊維(登録商標:コーネックスの捲縮短繊維からなる
ニードルパンチ不織布、目付60g/m2 )を表わす。
【0035】
【実施例1】本例は、繊維強化熱可塑性弯曲シートを製
造する例である。上記のCFクロス、GFクロス、コー
ネックスNWF等を次の(i) 〜(v)のように積層し、表
面、底面及び各層間にナイロン6樹脂のフィルムを挟ん
で、平板プレスにて、温度280℃、圧力30kg/c
2 の条件で加熱加圧し、ナイロン6樹脂をマトリック
ス樹脂とする一体の繊維強化樹脂シートを得た。 (i) CFクロス/コーネックスNWF (ii) CFクロス/コーネックスNWF(2層) (iii) CFクロス/コーネックスNWF(3層) (iv) CFクロス/コーネックスNWF/GFクロス (v) GFクロス(2層)/コーネックスNWF(2
層)
【0036】加熱加圧後のシートは下記の厚さを有し、
かつ上記右側に記した層を内側にして弯曲した下記の半
径曲率をもつ弯曲シートであった。 (i) シート厚さ 0.40mm 半径曲率 150mm (ii) シート厚さ 0.50mm 半径曲率 80mm (iii) シート厚さ 0.60mm 半径曲率 50mm (iv) シート厚さ 0.55mm 半径曲率 120mm (v) シート厚さ 0.67mm 半径曲率 220mm
【0037】
【実施例2】本例は、本発明方法により製造した弯曲シ
ートを用いてサンドイッチ構造の円筒を作成する例であ
る。
【0038】実施例1で得た上記の弯曲シートを用い
て、それぞれ長さ200mm、外径200mmφ、内厚6mm
のサンドイッチ円筒を作成した。この方法では、円筒形
外型の内周面及び円筒形内型の外周面に各シートを沿わ
せシート端部は熱可塑性樹脂系接着剤で接合した。そし
て、全体を80℃に加熱して、外型に沿わせたシートと
内型に沿わせたシートとの間に発泡性ポリウレタン樹脂
を注入し、発泡させて、間隙をフォームで充填した。
【0039】かくして得られたサンドイッチ構造の円筒
は、(iv)のシートを用いたものでは、芯材(発泡ポリウ
レタン)密度0.15g/cm3、円筒密度0.45g
/cm3 、円筒の真円度±0.10であり、また(i) の
シートを用いたものでは、芯材密度が0.15、円筒密
度0.50、円筒の真円度±0.15mmと良好であっ
た。
【0040】
【実施例3】本例は本発明方法により製造した弯曲シー
トを用いて真円度の良好なサンドイッチ構造の円筒を作
成する例である。
【0041】実施例1で得た上記(iv)の弯曲シートを用
い、実施例2と同様の方法で、長さ400mm、外径40
0mmφ、内厚7mmのサンドイッチ構造の円筒を作成し
た。
【0042】この際、発泡性ポリウレタン樹脂の注入状
態を変えて実験を行ない、芯材(発泡ポリウレタン)密
度及び円筒の真円度を測定した。その結果は、常温で注
入したものは、芯材密度0.3g/cm3 真円度±1.
0mmであったが、80℃に加熱して注入したものは、芯
材密度0.15g/cm3 、真円度±0.1mmと真円度
が大幅に向上した。また、常温注入後80℃に加熱した
ものは、芯材密度0.3g/cm3 と変らなかったが真
円度は±0.3mmと常温注入よりも改善されていること
が判った。
【0043】
【実施例4】本例は、TEM法によりソリッド円筒を作
成する例である。
【0044】実施例1で得た上記(iv)の弯曲シートを、
5枚重ね合わせて円筒形の外型と内型との間に挿入し
た。この場合、内型として熱膨脹性の熱可塑性樹脂を真
円度良く成形・切削加工したものを使用した。
【0045】次に、型を加熱して、内型を膨脹させ、そ
の熱と圧力によって積層した弯曲シートを外型の内面に
強く押圧するとともに各弯曲シートを熱圧着して、長さ
200mm、外径200mmφ、内厚3mmのソリッド円筒を
得た。
【0046】かくして得られた円筒は、円筒密度0.7
5g/cm3 、真円度±0.15mmであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 69:00 4F B29L 7:00 4F

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2層以上の繊維層を熱可塑性樹脂を介在
    せしめた状態で積層し、該積層物を上記樹脂の融点以上
    の温度で平板プレスすることにより各繊維層に樹脂を含
    浸させて一体化した繊維強化熱可塑性樹脂弯曲シートを
    製造するに当り、積層する繊維層の材質及び/又は構成
    を異らしめて厚さ方向に異方性を持たせるとともに、繊
    維層の少くとも1層は連続強化繊維を実質上直交するよ
    う配列させた構成とすることにより、平板プレスにて自
    発的な弯曲を発生させることを特徴とする繊維強化熱可
    塑性樹脂弯曲シートの製造法。
  2. 【請求項2】 連続繊維を実質上直交するよう配列させ
    た繊維層が、UDクロスの直交積層物又は平織りクロス
    である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 UDクロスの直交積層物又は平織りクロ
    スと積層する繊維層が不織布である請求項2記載の製造
    法。
  4. 【請求項4】 繊維層を構成する繊維が炭素繊維、ガラ
    ス繊維及び耐熱有機繊維から選ばれた少くとも1種であ
    る請求項2又は3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂を繊維シート、粉末又はフ
    イルムの形態で少くとも各繊維層間に介在させてプレス
    する請求項1記載の製造法。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂がポリアルキレンテレフタ
    レート、ナイロン又はポリカーボネートである請求項5
    記載の製造法。
JP3285451A 1991-10-07 1991-10-07 繊維強化熱可塑性樹脂弯曲シートの製造法 Pending JPH0596638A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004276355A (ja) * 2003-03-14 2004-10-07 Toray Ind Inc プリフォームおよびそのプリフォームを用いた繊維強化樹脂複合体の製造方法
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