JPH0595724U - 二軸延伸パイプ、チューブの製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 結晶性の熱可塑性樹脂よりなる肉厚の二軸延
伸パイプ、チューブの製造装置を提供する。 【構成】 この二軸延伸パイプ、チューブの製造装置１
００は、押出機３０の金型３１の直後に、押出用フォー
マー４０及び冷却槽５０を備えている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、結晶性の熱可塑性樹脂よりなる二軸延伸パイプ、チューブの製造装 置に関する。特にコントロールケーブルのアウターケーシングやライナー等のよ うに比較的その内径が小さく、かつ肉厚の二軸延伸パイプ、チューブの製造装置 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、結晶性の熱可塑性樹脂を二軸延伸してなるフィルム等の製造装置に あっては、押出機の金型から押出成形された薄肉の管状成形物がそのままインサ イドマンドレルに装着されて薄肉のフィルム等に二軸延伸処理されていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来のフィルム等の製造装置にあっては、上記薄肉の管状 成形物は、押出機の金型から押出成形された直後にインサイドマンドレルに装着 されていた。このため空気中でも冷え易い薄肉フィルム等は、結晶化度が小さく て済み、その延伸が可能であるものの、肉厚の管状成形物については空気中では 冷え難く、従って十分な冷却処理ができないため、結晶化度が大きくなり、その 延伸ができないという欠点があった。

【０００４】 そこで案出されたのが本考案であり、その目的とすることろは、結晶性の熱可 塑性樹脂よりなる肉厚の二軸延伸パイプ、チューブの製造装置を提供することに ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために本考案の採った手段について実施例に対応する図 面に用いた符号を付して以下に説明する。即ち、本考案の請求項１に係る二軸延 伸パイプ、チューブの製造装置の構成は、図１に示す如く、 「結晶性の熱可塑性樹脂よりなる二軸延伸パイプ、チューブの製造装置であって 、先端部が半截紡錘形のインサイドマンドレル１０の径の中心に線材２０の一端 を固定すると共にこのインサイドマンドレル１０の前記先端部を押出機３０側に 向け、線材２０の他端を押出機３０の金型３１に固定し、この金型３１とインサ イドマンドレル１０との間に金型３１側からインサイドマンドレル１０側にかけ て順次押出用フォーマー４０、冷却槽５０、押出引取機６０、延伸用加熱槽７０ を設け、インサイドマンドレル１０の前記先端部の反対側に延伸用引取機８０を 設けたことを特徴とする二軸延伸パイプ、チューブの製造装置１００」 を内容とするものである。

【０００６】 次に、請求項２に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置の構成は、図１に 示す如く、 「線材２０の直径が、０．５ｍｍ〜５ｍｍであることを特徴とする請求項１記載 の二軸延伸パイプ、チューブの製造装置１００」 を内容とするものである。

【０００７】 そして、請求項３に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置の構成は、図１ 又は図２に示す如く、 「インサイドマンドレル１０を磁性体により構成し、このインサイドマンドレル １０の周囲に、電磁機構９０を配置したことを特徴とする二軸延伸パイプ、チュ ーブの製造装置１００」 を内容とするものである。

【０００８】

【作用】

上記の手段により、請求項１に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置１０ ０にあっては、図１に示す如く、押出機３０の金型３１より押出成形された未延 伸の肉厚の管状成形物Ａの管内に線材２０が挿通される。そして、この管状成形 物Ａは、押出用フォーマー４０によりその外径が規制されると共に冷却槽５０内 を通過することにより急冷処理される。この急冷処理により管状成形物Ａは、そ の結晶化が抑制されて延伸可能となる。次いで、管状成形物Ａは、押出引取機６ ０により引取られて延伸用加熱槽７０内に入り、ここで所定の温度（ガラス転移 点付近）に加熱される。その後、管状成形物Ａは、延伸用引取機８０に引取られ てその内径より大きな径を有するインサイドマンドレル１０が同管状成形物Ａの 管内を通過することにより同管内は広げられる。これにより、二軸延伸された所 望の肉厚のパイプ、チューブが形成されるのである。

【０００９】 次に、請求項２に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置１００にあっては 、図１に示す如く、線材２０の直径が、０．５ｍｍ〜５ｍｍと小さいので、請求 項１に係る同製造装置１００の作用に加え、特に内径の小さいコントロールケー ブル用アウターケーシングや、ライナー等の二軸延伸が可能となる。この線材２ ０の直径を０．５ｍｍ〜５ｍｍに限定した理由は、０．５ｍｍ未満では、線材自 身の引張強度等が十分でなく、また、５ｍｍを越えると、内径の小さいパイプ、 チューブの二軸延伸ができなくなるからである。

【００１０】 そして、請求項３に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置１００にあって は、図２に示す如く、インサイドマンドレル１０を磁性体により構成し、このイ ンサイドマンドレル１０の周囲に電磁機構９０を配置してあるので、請求項１又 は２に係る同製造装置１００の作用に加え、インサイドマンドレル１０が、電磁 機構９０の磁力作用により浮遊状態に支持される。これにより、線材２０のみの 場合と比べてインサイドマンドレル１０の固定性が向上し、さらに同インサイド マンドレル１０の外周面に、延伸の障害となる付属物等が付着しないので作業が し易くなる。

【００１１】

【実施例】

以下図面に基づいて本考案に係る延伸パイプ、チューブの製造装置の実施例を 詳細に説明するが、これは代表的なものを示したものであり本実施例により本考 案が限定されるものではない。

【００１２】 まず、図１に示す如く、本考案に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置１ ００には、押出機３０を設け、この押出機３０の傍らに押出成形用の金型３１を 取り付けてある。そして、この金型３１の上部には後述の線材２０の長さを調整 できるようにするため調整装置２１を配置してある。金型３１の側方には同金型 ３１側に押出用バキュームフォーマー４０を備えた冷却槽５０を配置してある。 この押出用バキュームフォーマー４０に冷却装置（図示しない）を設けることに より、押出成形後の管状成形物Ａを冷却しても良い。この冷却槽５０内には、例 えば、水を満たしておけば良く、必要に応じて液体窒素や、固形炭酸等を採用し ても良い。また、冷却槽５０内の温度は、押出成形直後の高温の管状成形物Ａを 急冷し得る程度であれば良いが、例えば、熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂の場 合だと、−５０ ℃〜８０℃の範囲が望ましい。

【００１３】 上記実施例において、冷却槽５０内にパイプ押出用バキュームフォーマー４０ を備えているが、同パイプ押出用バキュームフォーマー４０は、冷却槽５０外に 設けても良い。或いは、この冷却槽５０には、所謂バキューム槽（図示しない） を採用しても良い。そして、冷却槽２０の側方には押出引取機６０を設け、その 傍らには延伸用加熱槽７０を設け、同延伸用加熱槽７０内にインサイドマンドレ ル１０を配置してある。この延伸用加熱槽７０内の温度は、結晶性の熱可塑性樹 脂の種類に応じて調整すれば良い。つまり、管状成形物Ａを延伸するには、延伸 用加熱槽７０内の温度を、少なくとも同管状成形物Ａを構成する結晶性の熱可塑 性樹脂のガラス転移点付近に設定する必要がある。例えば、ポリエステル樹脂の 場合だと、延伸用加熱槽７０内の温度を７０℃〜１００℃に設定すれば良い。ま た、インサイドマンドレル１０の円筒部の径は、例えば、コントロールケーブル のアウターケーシングやライナーの場合だと、２ｍｍ〜３０ｍｍの範囲が望まし い。次に、インサイドマンドレル１０の形状は必ずしも鋭角に制限されることな く、鈍角でも良い。そして、インサイドマンドレル１０の後方側には延伸用引取 機８０が設けてある。さらに、金型３１とインサイドマンドレル１０との間には 直径１ｍｍのワイヤーよりなる線材２０を固定し、この線材２０は、インサイド マンドレル１０の径の中心を貫通して同インサイドマンドレル１０の内側に固定 してある。

【００１４】 また、本考案に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置１００は、図２に示 す如く、インサイドマンドレル１０を磁性体により構成し、このインサイドマン ドレル１０の周囲に、一定の間隔を設けて電磁機構９０を配置しても良い。この 場合、例えば、環状の電磁機構９０をレール上を走行する適宜のフレーム（図示 しない）で支承すれば良い。このインサイドマンドレル１０と電磁機構９０との 間隔は、二軸延伸されたパイプ、チューブが電磁機構９０に接触するのを避ける ために、少なくとも同パイプ、チューブの外径より大きくする必要がある。そし て、インサイドマンドレル１０と電磁機構９０は、延伸用加熱槽７０内に配置せ ずにその外に配置しても良い。インサイドマンドレル１０は、そのすべてを磁性 体により構成する必要はなく、例えば、磁力が作用し得る程度に、同インサイド マンドレル１０の表面にセラミックス等の耐摩耗性に優れた材料を薄く被覆して も良い。

【００１５】 なお、図３に示す如く、インサイドマンドレル１０は、線材２０を使用せずに 、電磁機構９０のみにより支持しても良い。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したとおり、本考案に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置を採 用すると以下の効果を奏する。

【００１７】 まず、請求項１に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置にあっては、 （１）押出機の金型の後に冷却槽を設けたことにより押出成形された肉厚の管状 成形物が急冷され、その結晶化が抑制される。これにより、肉厚のパイプ、チュ ーブの二軸延伸が可能となり、従って種々の肉厚の二軸延伸パイプ、チューブ製 品を生産することができる。 （２）二軸延伸されたパイプ、チューブは、軸方向及び円周方向の両方向に割れ が発生し難く、高弾性であり、かつ耐熱性にも優れるので、特に耐圧チューブや コントロールケーブル用のアウターケーシングやライナーとして新規の使用が可 能となる。

【００１８】 次に請求項２に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置にあっては、請求項 １に係る同製造装置の効果に加え、 線材の直径が、０．５ｍｍ〜５ｍｍなので、特に内径の小さなコントロールケ ーブル用のアウターケーシングやライナー等の二軸延伸が可能となり、従って細 い二軸延伸パイプ、チューブ製品を生産することができる。

【００１９】 そして、請求項３に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造装置にあっては、請 求項１又は２に係る同製造装置の効果に加え、 インサイドマンドレルを磁性体により構成し、その周囲に電磁機構を配置して あるので、同インサイドマンドレルを浮遊状態に支持することができる。これに より、線材のみの場合と比べてインサイドマンドレルの固定性が向上する。さら に、インサイドマンドレルの外周面に、延伸の障害となる付属物等が付着しない ので作業がし易くなり、従って工程の改善が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る二軸延伸パイプ、チュ−ブの製造
装置の一実施例を示す正面図である。

【図２】本考案に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造
装置の別の実施例を示す一部省略正面図である。

【図３】図２における線材を使用しない場合の二軸延伸
パイプ、チューブの製造装置を示す一部省略正面図であ
る。

【符号の説明】

１０ インサイドマンドレル ２０ 線材 ３０ 押出機 ３１ 金型 ４０ 押出用フォーマー ５０ 冷却槽 ６０ 押出用引取機 ７０ 延伸用加熱槽 ８０ 延伸用引取機 ９０ 電磁機構 １００ 本考案に係る二軸延伸パイプ、チューブの製造
装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 山田 信弘 岐阜県関市西仙房５番302号

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 結晶性の熱可塑性樹脂よりなる二軸延伸
   パイプ、チューブの製造装置であって、 先端部が半截紡錘形のインサイドマンドレル１０の径の
   中心に線材２０の一端を固定すると共に、このインサイ
   ドマンドレル１０の前記先端部を押出機３０側に向け、
   線材２０の他端を押出機３０の金型３１に固定し、この
   金型３１とインサイドマンドレル１０との間に金型３１
   側からインサイドマンドレル１０側にかけて順次押出用
   フォーマー４０、冷却槽５０，押出引取機６０，延伸用
   加熱槽７０を設け、インサイドマンドレル１０の前記先
   端部の反対側に延伸用引取機８０を設けたことを特徴と
   する二軸延伸パイプ、チューブの製造装置。
2. 【請求項２】 線材２０の直径が、０．５ｍｍ〜５ｍｍ
   であることを特徴とする請求項１記載の二軸延伸パイプ
   チューブの製造装置。
3. 【請求項３】 インサイドマンドレル１０を磁性体によ
   り構成し、このインサイドマンドレル１０の周囲に、電
   磁機構９０を配置したことを特徴とする請求項１又は２
   記載の二軸延伸パイプ、チューブの製造装置。