JPH0588758U

JPH0588758U - スライディングノズル用カプセル充填体

Info

Publication number: JPH0588758U
Application number: JP2749392U
Authority: JP
Inventors: 忠司井本; 幸夫森本; 克彦河本
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1992-04-27
Filing date: 1992-04-27
Publication date: 1993-12-03

Abstract

(57)【要約】【目的】本考案は、収容した溶融金属をスライディング
ノズルを介し排出する溶融金属容器のスライディングノ
ズル内での溶融金属の凝固防止用として使用されるカプ
セル充填体において、スライディングノズル内への充填
作業性の向上及び充填体内の充填材の焼結防止によるノ
ズル孔の開孔不良を無くすることを目的とする。【構成】円筒状の側面（１ｂ）と側面（１ｂ）の両端を
塞ぐ上面（１ａ）及び下面（１ｃ）によって形成される
カプセル（１）と、カプセル（１）に充填された難焼結
性耐火物粉粒とから成り、少なくともカプセル（１）の
側面（１ｂ）及び上面（１ａ）がカーボンシートで形成
されてなるカプセル充填体である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は収容した溶融金属をスライディングノズルを介して排出する溶融金属容器において、スライディングノズル内での溶融金属の凝固防止用として使用されるカプセル充填体の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

溶融金属容器への溶融金属の装入に際しては、スライディングノズル内での溶融金属の凝固を防止することによって溶融金属排出初期のノズルの開口を容易にするために、溶融金属を受ける前にスライディングノズル内に難焼結性耐火物粉末を用いた充填体を装入している。この充填体はスライディングノズルを開孔した時点で溶融金属の圧力によって溶融金属とともに容易に落下する必要があり、そのため充填体内への異物の混入があってはならない。

【０００３】例えば溶融金属容器の内壁に付着したスラグ等の異物が充填体装入作業時の振動などによってノズル内に落下し、溶融金属容器及び溶融金属からの受熱によって充填体とスラグ等の異物とが反応して焼結すると、充填体は溶融金属の圧力のみでは、崩壊落下せず開孔不良を生じる。また、上ノズル、羽口レンガの表面にスラグ等の異物が付着している場合においても充填体とスラグ等の異物との焼結によって開孔不良を生じる。

【０００４】従来、前記問題の解決策として特開昭５１−２１６０２号公報によれば、紙、合成樹脂、薄鉄板、アルミ板等のカプセル内に難焼結性の耐火物粉末からなる充填材を装入したカプセルタイプ充填体が知られている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし前記従来のカプセルタイプ充填体においては、カプセルの材質が紙やプラスチック等の焼失材である場合は、スライディングノズル内へのカプセル充填体の装入作業の際に容器からの受熱によってカプセルが焼失し、中に充填されている耐火物粉末等の充填材が崩壊し充填体の装入作業に支障を来す。

【０００６】またカプセルの材質が薄鉄板やアルミ板等の金属である場合は、スライディングノズル内へのカプセル充填体の装入後、容器及び溶融金属からの受熱によって、薄鉄板やアルミ板等が酸化し、カプセル内に充填されている耐火物粉末等の充填材が焼結し、溶融金属排出初期のスライディングノズル開口時に充填体が溶融金属の圧力によって崩壊落下せず開口不良の原因となる。またカプセルに紙などの焼失材を用いた従来の充填体では、スライディングノズル周辺耐火物の表面に付着したスラグ等の異物と充填体とが焼結する問題も解決されない。

【０００７】本考案は、カプセル内に難焼結性耐火物粉粒が充填されてなるスライディングノズル用カプセル充填体のかかる問題を解決し、溶融金属排出初期のスライディングノズル開口不良を解消することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前記課題を解決するために、円筒状の側面と該側面の両端を塞ぐ上面及び下面によって形成されたカプセルと、該カプセルに充填された難焼結性耐火物粉粒とから成り、少なくとも前記カプセルの側面及び上面がカーボンシートによって形成されていることを特徴とするスライディングノズル用カプセル充填体を提供するものである。

【０００９】

【作用】

難焼結性耐火物粉粒が充填されたカプセルをカーボンシートによって形成したことによって、溶融金属容器からの受熱によって生じるカプセルの焼失を防止し、熱間におけるカプセル充填体の形状を維持することで、スデイディングノズル内へのカプセル充填体の装入作業が容易になる。また、溶融金属容器及び溶融金属からの受熱によって生じているカプセルの酸化によるカプセル内充填体の焼結を防止することで、焼結によるノズルの開口不良を解消することができる。

【００１０】また、充填体とスライディングノズル周辺耐火物の表面に付着したスラグ等の異物とがカーボン紙を介して接触し直接に接触しないため、充填体の焼結を防止することができる。よって溶融金属容器からスライディングノズルを介して溶融金属を排出するときのノズル開口不良を解消することができる。

【００１１】

【実施例】

以下に本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図１に本考案の充填用カプセル充填体１１を示す。図１においてカプセル１は円筒状の側面１ｂと側面１ｂの両端を塞ぐ上面１ａ及び下面１ｃによって形成されており、上面１ａ及び側面１ｂはカーボンシートによって形成されている。カーボンシートはカーボン粉末を加圧しシート状に成形したもので、例えば厚さ０ .８〜１.０ｍｍのカーボンフィット、ニカフィルム、グラシール、パーマフォイル、グラフォイル（以上、商標）等を使用することができる。

【００１２】カプセル１の内部には難焼結性耐火物の粉末ないし粒（粉粒）からなる充填材２が充填されており、公知の硅砂粒、アルミナ粉等を使用することができる。カプセル１の底面１ｃはカプセル充填体１１をスライディングノズル内にセットした後、焼失しスライディングノズル開口時にカプセル内の充填材を直ちに落下させるために、公知の紙、合成樹脂など可燃性の焼失材によって形成されている。なお、カプセル１の底面１ｃもカーボンシートによって形成してもよいが、この場合は底面１ｃのカーボンシートは焼失しないためスライディングノズル開口時に充填材が容易に落下するように側面１ｂと底面１ｃとを接合しなければならない。

【００１３】カプセル１の上面１ａ、側面１ｂ、底面１ｃの接合は、セロハンテープ、ビニルテープ、接着材等の１種または２種を使用することができる。なおホッチキスに使用されるマックス針やピン等の金属針での接合も可能であるが、この場合は金属針が酸化しカプセル内に充填している充填材の焼結を促進する恐れがあるためあまり好ましくない。

【００１４】カプセル１の直径はスライディングノズル径と同径かやや小さめに設定する。特に、カプセル１の底面１ｃにカーボンシートを使用した場合はノスル径に対し小さ目に設定することが好ましい。カプセル１の高さｈは、特に規制しないが、スライディングノズル周辺耐火物、例えば上ノズル７、羽口レンガ８より若干高めに設定した方が好ましい。また、カプセル１の形状はスライディングノズル開口時にカプセル内の充填材が容易に落下するように図１に示すような上面１ａの径が下面１ｃの径よりも小さい裁頭円錐形が好ましいが、円筒形でも良い。

【００１５】また充填材は同一銘柄のものをカプセル１内の上面から下面まで一層で充填してもよいが、上層にＲ₂Ｏを多く含む弱焼結性の充填材を充填することによって薄い焼結層を生成させて充填材の浮上を防止し、その下部にはＲ₂Ｏの少ない難焼結性の充填材を充填することによってスライディングノズル開口時の落下を容易にすることができる。下層に充填する充填材は焼結を更に抑制するために充填材粒子の周りにカーボンコートを施した充填材を使用してもよい。

【００１６】図２は本考案のカプセル充填体を溶融金属容器のスライディングノズル孔内にセットした図である。図２において本考案のカプセル充填体１１を溶融金属容器３のスライディングノズル孔内４にセットする場合は、予熱した後の溶融金属容器３を傾転しスライディングノズル５は開口状態で下ノズル６側から挿入する。このときカプセル１の側面１ｂ及び上面１ａはカーボン紙によって形成されているため、予熱された溶融金属容器３からの受熱によって焼失しない。このためカプセル充填体１１は、その形状を維持した状態で挿入される。カプセル１の底面１ｃ（焼失材）は、カプセル充填体１１を挿入した後に焼失する。

【００１７】なお、溶融金属容器３は直立の状態でカプセル充填体をスライディングノズル孔内４に層入してもよいが、カプセル充填体１１の装入が困難となり、また安全上からも好ましくない。カプセル充填体１１を上ノズル７の孔内４に装入した後、スライディングノズル５を閉口する。その後溶融金属容器３を直立にしカプセル充填体１１と上ノズル７及び羽口レンガ８との間の空隙９に溶融金属容器３の上方からビニール袋詰め、もしくはバラ状の充填材１０を充填し、空隙９での溶融金属の凝固を防止する。前記、カプセル充填体のセット作業が完了した後に、溶融金属容器３を予熱し溶融金属を受ける。

【００１８】

【考案の効果】

以上に説明したように、本考案のスライディングノズル用カプセル充填体を使用した溶融金属容器において、スライディングノズル孔内への充填材の装入作業が簡単に、また正確にできるようになった。また溶融金属排出初期のスライディングノズル開口に伴う充填材及び溶融金属の落下が容易になり開口率が従来の９７％から９９.５％に向上した。

【図面の簡単な説明】

図１は本考案のカプセル充填体の実施例を示す断面図、
図２は本考案のスライディングノズル用カプセル充填体
を溶融金属容器に挿入した状態を示す断面図、である。

【符号の説明】

１…カプセル、２…充填材、３…溶融金属容器、
４…スライディングノズル孔内、５…スライディング
ノズル、６…下ノズル、７…上ノズル、８…羽口レ
ンガ、９…カプセル充填体と上ノズルおよび羽口レン
ガとの空隙、１０…ビニール袋詰材もしくは粒状の充填
材、１１…カプセル充填体。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】円筒状の側面（１ｂ）と側面（１ｂ）の両
端を塞ぐ上面（１ａ）及び下面（１ｃ）によって形成さ
れたカプセル（１）と、カプセル（１）に充填された難
焼結性耐火物粉粒とから成り、少なくともカプセル
（１）の側面（１ｂ）及び上面（１ａ）がカーボンシー
トによって形成されていることを特徴とするスライディ
ングノズル用カプセル充填体。