JPH05874A - 植物生育促進剤とその製造方法および植物生育促進剤を含有する肥料 - Google Patents

植物生育促進剤とその製造方法および植物生育促進剤を含有する肥料

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JPH05874A
JPH05874A JP3032284A JP3228491A JPH05874A JP H05874 A JPH05874 A JP H05874A JP 3032284 A JP3032284 A JP 3032284A JP 3228491 A JP3228491 A JP 3228491A JP H05874 A JPH05874 A JP H05874A
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ligninous
vegetable oil
growth promoter
treated
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JP3032284A
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Hiroshi Moriyama
博司 森山
Shigeki Konishi
茂毅 小西
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NIPPON HIRYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 植物ホルモン的作用を有する植物生育促進剤
および肥料を提供する。 【構成】 本発明の植物生育促進剤は、リグニン質炭類
の処理物と植物性油粕の処理物からなる。具体的には、
アルカリ処理したリグニン質炭類またはこのアルカリ処
理により抽出される腐植物質に、発酵処理もしくは加水
分解処理した植物性油粕またはこれらの抽出物を混合す
るか、あるいは植物性油粕を加えた混合物を加水分解す
ることにより製造される。また、本発明の肥料は、無機
質または有機質肥料に上記植物生育促進剤を通常1〜1
0重量%含有させたものである。 【効果】 植物生育促進剤は、植物の根の伸長および根
毛の形成を著しく促進する作用があり、腐植物質および
植物性油粕を併用したことにより相乗効果がもたらされ
る。また、根の伸長、根毛の形成促進等、根の吸収機能
を高めて肥料の吸収効率を向上させる作用がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、根の伸長と根毛の形成
を促進する新規な植物生育促進剤および植物生育促進剤
を含有する肥料に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】植物は主として根を通
して養分を吸収するが、根の組織の内で養分を最も吸収
する部位は、先端の分裂部分に隣り合わせた部分と根毛
である。前者には表皮細胞の一部が突き出た根毛の発生
が最も多く、根毛の形成はより根の表面積を増大させ
る。この根毛から土壌水あるいは水耕栽培においては水
耕液等に溶解した肥料養分、アミノ酸あるいは水溶性蛋
白質の一部等が吸収されて、植物体内で代謝され植物の
生育に寄与している。
【0003】一方、植物根からも糖、アミノ酸および有
機酸等が分泌され、根圏において微生物が繁殖するため
の栄養源になっている。また、肥料成分の窒素、燐酸等
の一部を微生物がその菌体内に取り込み有機物に転換し
て固定する作用を行なっている。肥料の植物体への吸収
効率を高めるためには、植物の根の形成を促進するとと
もに根毛の発生を旺盛にして、根が土壌中に存在する肥
料を包み込むように取り巻き、「植物根─肥料─土壌微
生物」との良好な共存環境を作り出すことが必要であ
る。
【0004】また、植物調整物質の一種であるサイトカ
イニン類の6−ベンジルアミノプリン、カイネチンおよ
びゼアチン等は植物根の根毛の形成を促進する作用を有
するが、根の伸長には阻害的に働く場合が多い。さらに
は、これらの植物調整物質は高価であるため、植物根の
伸長および根毛の形成を促進する比較的安価な植物生育
促進剤の開発が望まれている。
【0005】
【問題を解決するための手段】リグニン質炭類をアルカ
リ剤で抽出した後鉱酸で中和してなる腐植物質は、金属
イオンと結合する等のキレート剤的作用を有し、植物の
養分吸収にプラスの影響を与える。また、腐植物質は植
物根の伸長を促進し、植物根の根毛の形成を旺盛にする
働きが認められている。
【0006】本発明者らは上記の如く効果を有する腐植
物質を主材として生理活性効果のさらに高い物質につい
て鋭意探索し検討してきた。すなわち、本発明者らは植
物根の根毛と極めて類似した花粉管を用いた花粉管生長
試験を指標にして、特公昭45−3171号公報に示さ
れた懸濁液用土壌改良材の植物生育促進剤的効果につい
て検討してきたが、植物性油粕の発酵液と懸濁液用土壌
改良材の混合希釈液が特異的に花粉管の伸長を促進する
ことを見出した。さらに、植物性油粕を懸濁液用土壌改
良材の製造工程において、アルカリまたは酸を用いて植
物性油粕を加水分解して混合し中和して得た溶液を用い
て幼植物試験を行なった結果、植物性油粕発酵溶液と懸
濁液用土壌改良材の混合希釈液と同等に顕著な植物根の
伸長と根毛生長の促進が認められたため、その相乗効果
を確認し、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】このような事実に基づいてなされた本発明
は、リグニン質炭類のアルカリ処理により抽出される腐
植物質または該腐植物質含有のリグニン質炭類と、植物
性油粕類の発酵処理または加水分解処理により抽出され
る抽出物あるいは発酵処理または加水分解処理した植物
性油粕とからなる植物生育促進剤、およびその製造方法
にある。さらに、本発明はこの植物生育促進剤を無機質
肥料もしくは有機質肥料またはこれらの混合物に含有さ
せた肥料にあり、植物生育促進剤は植物ホルモン的作用
を有する。
【0008】
【発明の構成】以下に本発明の構成を詳細に説明する。
発酵処理または加水分解処理した植物性油粕とともに、
本発明における主要な要素であるアルカリ処理物の原料
となるリグニン質炭類としては、リグニン含量が比較的
高い草炭および泥炭あるいは石炭化度が比較的進行して
ない亜炭および褐炭等が挙げられる。これらのリグニン
質炭類は、腐植物質の抽出効率を向上させるために予め
粉砕して粉末状または微粉末状で使用するのが望まし
い。
【0009】リグニン質炭類をアルカリ溶液で処理する
工程では、アルカリ溶液にリグニン質炭類を浸漬して混
練ないし攪拌しながら処理すると、リグニン質炭類から
腐植物質がアルカリ溶液中に抽出される。アルカリ剤と
しては、例えば苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ソーダ、生
石灰、アンモニア、珪酸ソーダ等が使用される。処理条
件によっても異なるが、アルカリ剤の濃度は3〜10%
とするのがよい。アルカリ剤の濃度を高くするかあるい
は処理温度さらには圧力を上げると、腐植物質の抽出率
が高められ、処理時間も短縮される。また、アルカリ剤
の濃度が10%を越えると、後の中和処理で多量の酸が
必要となり不経済である。このアルカリ溶液の使用量は
原料のリグニン質炭類に対して2〜3重量倍とするのが
好ましい。処理液のアルカリ溶液は一般に水溶液の形態
で用いるが、水と水溶性有機溶媒との水性溶液であって
もさしつかえがない。
【0010】このようなアルカリ処理したリグニン質炭
類を水で希釈し、遠心分離、濾過等の適宜の分離手段に
よりリグニン質炭類の抽出残渣を除去した後、酸で中和
すると、腐植物質が得られる。リグニン質炭類から抽出
された腐植物質の組成については、リグニンに由来する
分解物ないしは抽出中の合成反応によって生成される有
機物が主体を占め、キノン類、フェノール性化合物、蛋
白質と炭水化物等に由来する低分子物質およびこれらか
ら生じた反応生成物の一部が重縮合して形成された暗色
無定形の高分子物質、すなわち腐植酸およびフルボ酸等
である。
【0011】腐植物質とリグニン質炭類の抽出残渣を含
有するアルカリ溶液処理したリグニン質炭類は、上記腐
植物質と発酵処理または加水分解処理した植物性油粕か
らの抽出物とを直接混合する他に、例えば、次のような
工程を経て本発明の植物生育促進剤が製造される。すな
わち、上記アルカリ処理した腐植物質含有のリグニン質
炭類を、i)植物性油粕と混合してそのまま加水分解工
程に付すかまたはアルカリ加水分解処理した植物性油粕
と混合し、その後、燐酸等の鉱酸で中和する。ii) 後述
する酸加水分解処理した酸性の植物性油粕と直接混合し
て中和する。 iii) 上記i)またはii) により得られる
混合物から腐植物質および油粕からの抽出物を分離し、
必要に応じて中和する。あるいは、上記アルカリ溶液処
理したリグニン質炭類を燐酸等の鉱酸で中和し、次いで
0.3〜3倍量の水で希釈した後、遠心分離等により分
離した腐植物質を、iv) 発酵処理または加水分解処理し
た植物性油粕と混合し、必要に応じて混合の前後に中和
する。
【0012】次に、植物性油粕の発酵処理および加水分
解処理について説明する。植物性油粕としては、ナタ
ネ、大豆、米糠、ヒマシ、カポック、亜麻仁、ヒマワリ
種子、綿実、落花生、ゴマ、サフラワー等、各種種子の
脱脂粕を使用する。これらの植物性油粕を発酵処理する
には、油粕を好気性雰囲気の下に温度25〜35℃、p
H6〜8で3〜30日、好ましくは10〜20日処理す
ればよい。このように発酵処理した植物性油粕には、ア
ンモニア、硝酸、低分子化された蛋白質、アミノ酸、有
機酸、フィチン、核酸およびリン脂質等が含有されてい
る。
【0013】また、植物性油粕を加水分解処理するに
は、油粕に含まれるアルブミン、グロブリン等の蛋白質
を可溶化させるアルカリまたは酸のいずれを使用しても
よい。また、植物性油粕は発酵済の油粕を用いてもよ
く、この場合は、低分子化された蛋白質等上記したよう
な物質の含有量が増大するが、発酵過程で生成するアン
モニアの発散を防ぐために酸を用いて加水分解すること
が望ましい。
【0014】アルカリ加水分解においては、植物性油粕
を苛性ソーダ、苛性カリ、アンモニア等のアルカリ剤の
存在下に、または、場合によっては、アルカリ剤含有の
腐植物質と共に加水分解する。あるいは、アルカリ処理
した腐植物質含有のリグニン質炭類に油粕を直接加えて
そのまま加水分解することができる。また、酸加水分解
においては、アルカリ処理したリグニン質炭類またはア
ルカリ抽出した腐植物質に植物性油粕を加えて加水分解
すると酸の使用量が多くなるので、通常は、油粕単独を
塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の鉱酸や有機酸の存在下で行
なうのが望ましい。この酸加水分解処理物をアルカリ剤
含有の腐植物質と混合すれば、中和剤が不要になるかあ
るいはその使用量が軽減される。
【0015】このような加水分解は、通常の条件でよ
く、例えば、アルカリの場合はpH8以上の好ましくは
pH10〜12で、また、酸の場合はpH4以下の好ま
しくはpH1〜3で、温度20〜100℃、10分〜1
時間、植物性油粕を加熱することにより行なわれる。加
水分解処理された植物性油粕には、発酵処理した油粕と
同様の物質が含有されている。
【0016】以上のようにして得られる発酵処理または
加水分解処理した植物性油粕からの抽出物を抽出するに
は、この油粕に0.3〜3倍量の水を加えて充分に振盪
した後、例えば遠心分離して可溶性物質を上記油粕から
分離することにより行なわれる。本発明においては、植
物性油粕の発酵処理物と加水分解処理物の双方を併用し
ても、これらの一方を構成成分とする植物生育促進剤の
場合とその作用に変りがない。
【0017】アルカリ処理したリグニン質炭類またはア
ルカリ抽出した腐植物質と、発酵処理もしくは加水分解
処理した植物性油粕またはこれらの抽出物との混合に際
しては、リグニン質炭類のアルカリ処理後および油粕の
加水分解後あるいは両者の混合時の任意の段階で中和し
て、植物生育促進剤が最終的にpH6〜8の範囲内にあ
るよう調整する。そして、原料のリグニン質炭類と植物
性油粕の配合比は任意に設定できるが、花粉管生長試験
および幼植物試験の結果から、リグニン質炭類に対する
植物性油粕は、乾物比で0.4〜7の範囲が優れた植物
生育促進効果をもたらす。また、リグニン質炭類と植物
性油粕との処理物からなる本発明の植物生育促進剤を実
用に供する場合は、これに水を加えた懸濁液状物とする
かあるいはペースト状物を一旦乾燥して粉末状として使
用することができる。
【0018】本発明は、さらに、無機質肥料または有機
質肥料に前記植物生育促進剤を含有させ、これを肥料成
分として利用することができる。無機質肥料としては、
硫安、硝安、燐安、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、よ
うりん、塩化カリ、硫酸カリ等が挙げられ、また、有機
質肥料としては、尿素、植物性油粕(ナタネ、大豆、綿
実、米糠、ヒマシ等)、魚粕(魚粉)、肉粕、蒸製骨
粉、乾血粉、植物質堆肥、汚泥、鶏糞、家畜の糞等が挙
げられ、これらは2種以上併用してもよいことはいうま
でもない。本発明の肥料は液状または固形状のいずれの
形態であってもよく、通常、植物生育促進剤を1〜10
重量%含有させる。
【0019】以下に実施例を示して本発明を具体的に説
明する。
【実施例1】草炭(水分49%)250gに5%濃度の
苛性ソーダ溶液500gを加えて混練し、122℃、1
kg/cm2 ・Gの加圧下に15分間オートクレーブ処
理する。これに38%燐酸液を40g加えて中和し、こ
れに等量の水を加えて振盪した後、遠心分離により腐植
溶液を得る。一方、ナタネ油粕25gに蒸留水100m
lを加え、30℃で13日間インキュベートする。これ
に等量の水を加えて振盪した後、遠心分離を行ないナタ
ネ油粕発酵液を得る。
【0020】
【比較例】草炭(水分49%)250gに5%濃度の苛
性ソーダ溶液を500g加えて常温で10分間混練し、
次いで、38%燐酸液を加えてpH7に中和する。これ
に等量の水を加えて振盪した後、遠心分離により腐植溶
液を得る。
【0021】
【実施例2】草炭(水分49%)250gに5%濃度の
苛性ソーダ溶液を500g加えて常温で10分間混練
し、これにナタネ油粕(水分10%)63.8gを加え
て10分間混練した後、加水分解を行なう。次いで、3
8%燐酸液を加えてpH7に中和する。これに等量の水
を加えて振盪した後、遠心分離により固液分離して液状
の植物生育促進剤を得る。
【0022】
【実施例3】草炭(水分49%)250gに7%濃度の
苛性ソーダ溶液を500g加えて常温で10分間混練
し、これにナタネ油粕(水分10%)383gを加えて
10分間混練した後、加水分解を行なう。次いで、38
%燐酸液を加えてpH7に中和する。以下実施例2と同
様に、遠心分離して植物生育促進剤を得る。
【0023】
【実施例4】草炭(水分49%)250gに5%濃度の
苛性ソーダ溶液を500g加えて混練し、これに実施例
1の発酵済ナタネ油粕(乾物として57.4g)を10
%燐酸液185gで酸加水分解したものを加えて混合す
る。その後、等量の水を加えて振盪した後、遠心分離に
よりpH7の植物生育促進剤を得る。
【0024】
【実施例5】草炭(水分49%)250gに5%濃度の
苛性ソーダ溶液を500g加えて常温で10分間混練
し、これに大豆油粕(水分14%)66.7gを加えて
10分間混練した後、加水分解を行なう。以下、実施例
2と同様に、中和、遠心分離して植物生育促進剤を得
る。
【0025】本発明の植物生育促進剤を含有する肥料
【実施例6】実施例3におけるpH7に中和した加水分
解処理物(遠心分離してないもの)を植物生育促進剤と
し、これに窒素10%、燐酸10%、加里7%になるよ
うに硫安、燐安、過燐酸石灰、および硫酸加里を下記の
如く配合して粒状固形肥料を製造した。 植物生育促進剤 3.0 % 硫 安 32.8 % 燐 安 20.0 % 過燐酸 石 灰 7.2 % 硫 酸 加 里 15.0 % 泥 炭 22.0 %
【0026】
【実施例7】実施例6と同じ植物生育促進剤を使用し
て、窒素8%、燐酸8%、加里8%の有機粒状固形肥料
を製造した。 植物生育促進剤 3.0 % ナタネ 油 粕 15.0 % 魚 粕 5.7 % 蒸 製 骨 粉 9.3 % 硫 安 19.7 % 燐 安 10.6 % 塩 化 加 里 13.3 % 泥 炭 23.4 %
【0027】花粉管生長試験 ショ糖8%、ホウ素17ppm(ホウ酸1.6mM)お
よび寒天1.2%を硫酸と苛性カリでpH5.8に調整
した後、加熱溶解した。これに実施例1により得られた
腐植溶液およびナタネ油粕発酵液を 5:0、4:1 、3:2 、
2:3 、1:4 、0:5 に調整した混合液を加えた。培地の被
検液濃度は、上記混合液の1/1000に希釈した。この培
地液20mlを直径90mm、深さ18mmのシャーレ
に流し込み、放冷して固めた。これを冷蔵庫で1晩放置
した後、シャーレの蓋の内側に湿らしたペーパータオル
を張り、シャーレ内を高湿度に保つようにした。花粉は
−20℃、乾燥状態で貯蔵したチャ(やぶきた)の花粉
を用いた。花粉は100メッシュの篩いを通してガラス
板上に均一に散布し、カバーグラス(18×18mm)
を用いてその1辺で一定量をかきとって、培地表面に軽
く置床した。この花粉線は1シャーレ当たり6本とし、
放射状に置床した。その後、シャーレを25℃、暗所下
に20時間置き、花粉管を培養した。花粉管長の測定
は、花粉線1本につき2箇所2シャーレ分計24本の測
定を行ない、その平均値を用いて対照%を表わした。そ
の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1において、被検液無添加を対照(10
0)としてナタネ油粕発酵液および腐植溶液の混合比ご
との花粉管伸長率は、いずれか単独よりも 1:4〜4:1 の
範囲で併用した本発明のものが明らかに相乗効果を示し
ている。
【0030】幼植物の根の伸長試験 ガーデンクレス種子を0.75%の寒天上に置き、暗所
下で25℃、26時間発芽させ、約1cm長の均一な芽
生えを作った。被検液は、実施例1の腐植溶液とナタネ
油粕発酵液を2:3の比で混合した溶液とし、濃度はこ
の希釈倍率で示した。この被検液を含む1.2%の寒天
が入った内径6cmのシャーレに幼苗を移植した。この
とき、シャーレの裏側に線を引いて置き、7本の幼苗の
根先端をこの線に対して垂直方向に向けて等間隔に並べ
た。シャーレに蓋をして、幼根の先端が下方になるよう
に立て、暗所下、25℃で28時間生育させ、シャーレ
の裏側から透視しながら根長を測定した。その結果を表
2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2において、被検液無添加を対照(10
0)として腐植溶液およびナタネ油粕発酵液(2:3)
のクレス幼植物の伸長に及ぼす効果について見ると、希
釈倍率1/5,000〜1/100,000の範囲で効果があり、特
に、1/10,000において最も高い値を示した。
【0033】幼植物の根の伸長および根毛の形成試験 水稲(品種:朝の光)種子を比重1.13の食塩水で選
別する。これをベンレートで殺菌したのち流水中で吸水
させ、30℃暗所で鳩胸状に発芽させる。発芽状態の均
一な水稲種子を直径120mmのシャーレに滅菌ろ紙を
2重に敷いた上に5粒置き、このシャーレに比較例およ
び実施例2〜5の植物生育促進剤を1/1,000〜1/100,0
00倍に希釈したものを8ml加えて30℃、暗所で48
時間インキュベートして種子根の伸長と根毛の形成状態
を測定した。これらの結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3において、比較例を対照とし、種子根
長は対照の数値を100として指数で表わした。また、
根毛の形成状態を注に示した記号で表示した。表3に示
すように、実施例2〜5の広い濃度範囲で種子根の伸長
と根毛形成促進効果が認められた。
【0036】
【発明の効果】リグニン質炭類のアルカリ処理により抽
出される腐植物質または該腐植物質含有のリグニン質炭
類と、発酵処理もしくは加水分解処理した植物性油粕ま
たはこれらの抽出物とからなる本発明の植物生育促進剤
は、植物ホルモン的作用を有し、表3に示したように、
植物の根の伸長および根毛の形成を著しく促進する。ま
た、根の伸長、根毛の形成促進等、根の養分吸収機能を
高めて肥料の吸収効果を向上させる作用がある。このよ
うな促進作用は、花粉管生長試験の結果を示した表1か
ら明らかなように、上記のリグニン質炭類および植物性
油粕の処理物を併用したことにより、飛躍的に高めら
れ、いわゆる相乗効果がもたらされる。
【0037】さらに、本発明の植物生育促進剤は、安価
なリグニン質炭類および植物性油粕を原料として製造さ
れ、表2にみられるように、例えば1000倍以上に希
釈すると植物の生育を有意に促進するものであるから、
安価である。と同時に、このような植物生育促進剤を含
有させた無機質または有機質肥料は、同様に優れた植物
生育促進作用を有する肥料としての価値が高い。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグニン質炭類のアルカリ処理により抽
    出される腐植物質または該腐植物質含有のリグニン質炭
    類と、植物性油粕類の発酵処理または加水分解処理によ
    り抽出される抽出物あるいは発酵処理または加水分解処
    理した植物性油粕とからなる植物生育促進剤。
  2. 【請求項2】 リグニン質炭類をアルカリ溶液で処理す
    るかまたはリグニン質炭類をアルカリ溶液で処理して腐
    植物質を抽出し、得られるアルカリ溶液処理したリグニ
    ン質炭類または腐植物質に、発酵処理または加水分解処
    理した植物性油粕あるいは植物性油粕の発酵処理または
    加水分解処理により得られる抽出物を加えて、混合する
    ことを特徴とする植物生育促進剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のアルカリ溶液処理したリ
    グニン質炭類または腐植物質に、植物性油粕を加えて加
    水分解することを特徴とする植物生育促進剤の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の植物生育促進剤または請
    求項2もしくは請求項3記載の方法により製造された植
    物生育促進剤を、無機質肥料もしくは有機質肥料またこ
    れらの混合物に含有させたことを特徴とする肥料。
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