JPH0585864U - カーデイング工程の前処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 紡績のカーディング工程に先立って羊毛に加
湿と給油を行う前処理を能率的に行う。 【構成】 羊毛４を搬送する搬送装置２の上方を箱体５
で覆い、該箱体の内部に、搬送中の羊毛４に向けて蒸気
を吐出するスチームノズル１０と搬送中の羊毛４に向け
てカーディングオイルを吐出するオイルノズル１１を設
けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、紡績のカーディング工程に先立って羊毛に加湿と給油を行う前処理 装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

紡績の洗毛工程では、原毛を除じん解毛したのち洗浄剤等を用いて洗浄し、油 分と不純物を除去する。洗い上がった羊毛は乾燥させてから次のカーディング工 程に送られる。前記乾燥処理において過剰乾燥となると、カーディング工程で静 電気が発生してトラブルが起きやすいので、カーディングに先立って洗上羊毛に 加湿および給油をして天然状態と同じになるよう調整を行っている。適正な水分 含有率は１５％前後である。従来、洗上羊毛に直接スプレーで水を散布し、加圧 ポンプでカーディングオイルを散布することにより、この加湿と給油を行ってい た。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記方法は、時間や人手を要するため能率が悪く、また洗上羊 毛給毛装置とカーディングの間に、別に作業場所を確保しなければならないとい う問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、本考案は次のような前処理装置を提供する。すな わち、本考案にかかるカーディング工程の前処理装置は、洗上羊毛を搬送する搬 送装置の上方を箱体で覆い、該箱体の内部に、搬送中の洗上羊毛に向けて蒸気を 吐出するスチームノズルと搬送中の洗上羊毛に向けてカーディングオイルを吐出 するオイルノズルを設けたことを特徴としている。

【０００５】

【作用】 搬送装置で搬送中の洗上羊毛にスチームノズルで蒸気を当てて加湿および加熱 するとともに、オイルノズルでカーディングオイルを散布する。加湿および加熱 と給油を同時に行うため、洗上羊毛中へのカーディングオイルの浸透性がよい。 また、搬送装置の上方が箱体で覆われているため、蒸気やカーディングオイルが 外部に漏れず、作業環境を悪化させない。給毛装置からカーディング工程に洗上 羊毛を送るための搬送装置にこの前処理装置を設ければ、一連の流れの中で加湿 および給油を行うことができ、作業能率が向上するとともに、この作業のために 別の作業場所を確保する必要がなくなる。

【０００６】

【実施例】

図１および図２に本考案の１実施例を示す。この前処理装置１は、給毛装置か らカーディング工程に洗上羊毛を送るための搬送装置であるベルトコンベヤ２に 設置されている。ベルトコンベヤ２はＡ方向に移動し、給毛装置より送られた洗 上羊毛をシューター３より順次所定量づつ供給される洗毛、乾燥後の洗上羊毛４ をカーディング工程に搬送する。

【０００７】 ベルトコンベヤ２の上方に前処理装置のスチームボックス（箱体）５が設けら れている。このスチームボックス５は、箱状に組まれた天板６と左右一対の側板 ７，７でベルトコンベヤ２の上方および側方を覆い、搬送方向上流側の端部はシ ューター３に接して閉塞され、下流側の端部にはビニール等の蒸気を通さない素 材で作られたカーテン状の遮蔽体８，８が取り付けられているので、ベルトコン ベヤ２で搬送される洗上羊毛４の上方に外部から閉ざされた空間部９が形成され ている。なお、側板７，７の下端部は少なくもとベルトコンベヤ２の上面と同じ 高さまで伸ばしておき、ベルトコンベヤ２と側板７，７の間に隙間がないように しておく必要がある。

【０００８】 スチームボックス５にはスチームノズル１０とオイルノズル１１が取り付けら れており、その吐出口が下方に向けられている。スチームノズル１０からは蒸気 が吐出され、またオイルノズル１１からはエマルジョン状態のカーディングオイ ルが霧状に散布される。これら蒸気およびオイルの吐出量はバルブ１２，１３で 調整することができる。

【０００９】 これらノズル１０，１１はスチームボックス５の搬送方向上流寄りの位置に設 けておくのがよく、さらにスチームノズル１０とオイルノズル１１は同位置に設 けておくのがよい。同位置に設けるのが物理的に困難な場合は、スチームノズル １０よりも下流側にオイルノズル１１を設けておくのがよい。また、ベルトコン ベヤ２がある程度の幅を有する場合、図２に示すようにノズル１０（もしくは１ １）の先端を２股もしくはそれ以上に分岐させておくと、蒸気やカーディングオ イルが洗上羊毛４の全域に均等に行きわたり効果的である。

【００１０】 ベルトコンベヤ２を作動させて洗上羊毛をＡ方向に搬送させながら、スチーム ノズル１０とオイルノズル１１で蒸気とカーディングオイルを洗上羊毛４に散布 する。処理前の洗上羊毛や処理後の洗上羊毛の状態を調べ、その結果に応じて蒸 気およびカーディングオイルの散布量やベルトコンベヤ２の搬送速度を調整する 。通常、スチームボックス５内の温度を５０〜６５℃程度に保っておくのがよい 。

【００１１】

【考案の効果】

以上に説明した如く、本考案にかかるカーディング工程の前処理装置は、給毛 装置からカーディング工程へ洗上羊毛を搬送する途中で加湿および給油を自動的 に行うことができるので、作業能率が向上するとともに、この作業のために別の 作業場所を確保する必要がなくなった。また、スチームノズルおよびオイルノズ ルの周囲を箱体で覆うことにより、蒸気やカーディングオイルが外部に漏れなく なり、作業環境を悪化させないという効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる前処理装置の正面断面図であ
る。

【図２】図１におけるＳ−Ｓ断面図である。

【符号の説明】

１ 前処理装置 ２ ベルトコンベヤ（搬送装置） ４ 洗上羊毛 ５ スチームボックス（箱体） １０ スチームノズル １１ オイルノズル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 羊毛を搬送する搬送装置の上方を箱体で
   覆い、該箱体の内部に、搬送中の羊毛に向けて蒸気を吐
   出するスチームノズルと搬送中の羊毛に向けてカーディ
   ングオイルを吐出するオイルノズルを設けたことを特徴
   とするカーディング工程の前処理装置。