JPH0583013A - 円形導波管／同軸線路モード変換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】円形導波管をＴＥ11モードで伝送する電磁波を
同軸線路のＴＥＭモードの電磁波にする変換器で、同円
形導波管に同軸に同軸線路を接合し、製作容易な構造と
するとともに、取り扱い易い形状にする。 【構成】円形導波管10の断面をＴＥ11モードの電界に垂
直な面で二等分する位置に同電界の遮蔽板12を挿入し、
同遮蔽板12で分割した一方に同遮蔽板12の中心線に沿っ
て伝播する電磁波の位相を１８０度遅延せしめる誘電体
板13または金属塊を配置し、同円形導波管10に接合した
同軸線路10a の中心導体11を同遮蔽板に接着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＴＥ11モードの電磁波
を伝送する円形導波管に互いの中心軸を一致せしめて同
軸線路を接合し、同同軸線路にＴＥＭモードの電磁波を
伝播せしめる変換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６に示すように、ＴＥ11モードの電磁
波を伝送する円形導波管20の一端を終端板21で終端し、
同終端面より開口側に同電磁波の四分の一波長の奇数倍
の位置に同円形導波管の中心軸と直交せしめた同軸線路
22を接合する。前記同軸線路22の中心導体23を同円形導
波管20内まで延長して電界結合のプローブとし、同プロ
ーブの中心軸と平行な同円形導波管20内の電界に結合せ
しめ、同同軸線路22にＴＥＭモードの電磁波を伝播せし
めるものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】互いに中心軸の直交す
る円筒管を精度よく接合するものは製作が容易でなく、
高精度の加工は高価な設備と複雑な加工手順を要するた
め、生産性が悪く、高価になるものであった。本発明は
ＴＥ11モードの電磁波を伝送する円形導波管とＴＥＭモ
ードの電磁波を伝送する同軸線路を同軸に接合し、製作
の容易な変換器とする手段を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】ＴＥ11モードの電界分布
を同電界に垂直な面で二当分する遮蔽板を円形導波管に
挿入してそれぞれの空間内の電磁波間の結合を防止し、
同遮蔽板による一方の空間を伝播する電磁波の位相を他
の空間のそれより１８０度遅延せしめる位相器を挿入
し、同遮蔽板に同円形導波管と中心軸を一致せしめて中
心導体を当着した同軸線路にＴＥＭモードの電磁波を伝
播せしめる。

【０００５】

【作用】円形導波管10におけるＴＥ11モードの電界分布
は図２（ａ）に示す如く同円形導波管10の中心軸に対し
て反対称であるが、同円形導波管10と中心軸を一致せし
めて接合する同軸線路10a の伝送に都合のよいＴＥＭモ
ードのそれは同図（ｃ）に示す如く軸対称となってい
る。従って前記円形導波管10のＴＥ11モードの電界分布
を同円形導波管10の中心軸に対して対称となるものに変
換する必要がある。前記円形導波管10で伝送する電磁波
のＴＥ11モードの電界に垂直となる直径で同円形導波管
10の管内を二等分する位置に、分割した両側の電磁波が
互いに干渉しないように遮蔽板12を挿入する。

【０００６】前記遮蔽板12により分割した前記円形導波
管10内の半円柱状空間の一方に電磁波の伝播速度を遅延
せしめて位相を変える位相器、例えば誘電体板13を挿入
し、図２（ｂ）に示す如く同電磁波の位相が他方のそれ
より１８０度遅延する如く同誘電体13の寸法を選定す
る。前記遮蔽板12により同遮蔽板12の位置する直径に対
して対称な電界分布とし、ＴＥＭモードの電界分布に近
似とした電磁波を、前記円形導波管10の中心軸と一致せ
しめて接合した同軸線路10a に伝播せしめる。

【０００７】一般に円形導波管の管内半径をＲ1 (mm)と
すると、ＴＥ11モードの電磁波を伝送する同円形導波管
の遮断周波数Ｆ1 (GHz) は Ｆ1 ≒ 300 ／（3.412 ×Ｒ1 ) で表され、Ｆ1 (GHz) より高い周波数の電磁波を伝送で
きる。従って、前記円形導波管10の管内半径ｒ1 (mm)
は、伝送する電磁波周波数Ｆ0(GHz) より低い周波数と
なる如く選定する。つまり、 Ｆ0 ＞ｆ1 ≒ 300 ／ (3.412 ×ｒ1) とする。よって、 ｒ1 ≒ 300 ／ (3.412 ×ｆ1 ) ＞ (3.412 ×Ｆ0 ) （１） となる管内半径とし、伝送する電磁波の伝送損失を少な
くする。前記円形導波管10の管内半径ｒ1 の上限は、同
円形導波管10における不要モードの電界分布の発生を抑
圧するように、前記遮断周波数の条件の満たす範囲内で
小さい値とする。

【０００８】また同軸線路においては、外部導体の管内
半径をＲ2 (mm)、中心導体の半径をＲ3 (mm)とすると、
同同軸線路のＴＥ11モードの電磁波に対する遮断周波数
Ｆ2(GHz) は Ｆ2 ≒ 300 ／π( Ｒ2 ＋Ｒ3 ) と表され、ＴＥ11モードの電磁波はＦ2 (GHz) より低い
周波数で伝送損失は大きくなるが、同同軸線路のＴＥＭ
モードの電磁波に対しては遮断周波数は存在しない。従
って、前記同軸線路12の外部導体の管内半径ｒ2 (mm)お
よび中心導体の半径ｒ3 (mm)を、伝送する電磁波の周波
数Ｆ0 (GHz) よりＴＥ11モードの遮断周波数ｆ2 (GHz)
が高くなる如く選定する。

【０００９】すなわち、 Ｆ0 ＜ｆ2 ≒ 300 ／π( ｒ2 ＋ｒ3 ) なる条件より ｒ2 ＋ｒ3 ≒ 300／( π×ｆ2 ) ＜ 300／( π×Ｆ0 ) （２） を満たすように前記同軸線路の外部導体管内半径ｒ2 (m
m)および中心導体の半径ｒ3 (mm)を選び、同同軸線路に
ＴＥ11モードの電磁波の伝播を阻止し、ＴＥＭモードの
電磁波のみを伝播せしめる。前記同軸線路の外部導体の
管内半径および中心導体の半径ｒ2 、ｒ3 の比率は同同
軸線路の特性インピーダンスにより決定され、同半径ｒ
2 またはｒ3 の下限は同半径ｒ2 またはｒ3 の値が小さ
くなるとともに伝送する電磁波の伝送損失も増大するた
め、前記（２）式を満たす範囲で大きな値とする。

【００１０】

【実施例】本発明の一実施例を図１により説明すると、
円形導波管10を伝播する電磁波のＴＥ11モードの電界に
垂直な面で同円形導波管10の管内断面を二等分する位置
に金属板等よりなる遮蔽板12を挿入し、同遮蔽板12によ
り二分した同円形導波管10内の電磁波の相互の干渉を防
止する。前記遮蔽板12は金網または誘電体等の絶縁板に
貼着した金属箔であってもよく、その形状は前記円形導
波管10の内壁に接するものでなくてもよい。同遮蔽板12
の同円形導波管10の中心軸方向の長さは後述する。

【００１１】前記遮蔽板12により分割した前記円形導波
管10内の一方に伝送する電磁波の伝播速度を遅延せしめ
る遅延材よりなる位相器、例えば台形状の誘電体板13を
同円形導波管10の中心軸に沿って同遮蔽板12の中心に垂
直に接着する。前記誘電体板13の前記円形導波管10の中
心軸方向両端の形状は、伝播する電磁波進行方向の急激
な変化による同電磁波の反射を防止するものであれば、
階段状あるいはナイフエッジ等の他の形状であってもよ
い。前記誘電体板13の前記円形導波管10の中心軸方向の
長さは、同誘電体板13により伝播する電磁波の位相が１
８０度遅延する長さとし、同遅延量の得られるのもであ
れば同誘電体板13の高さおよび幅は同円形導波管10の管
壁に接するものでなくてもよい。

【００１２】前記誘電体板13は伝播する電磁波の位相を
１８０度遅延せしめるものであれば、前記円形導波管10
内の半円柱空間を全て満たす誘電体のブロックであって
もよく、また前記遮蔽板12の上に同半円柱空間をほぼ満
たすように順次小さくなる誘電体板を積層したものであ
ってもよい。さらに、前記誘電体板13は図３に示す如く
棒状金属塊14であってもよく、金属塊と誘電体を前記遮
蔽板13上に積層した棒状複合材あるいは金属塊を誘電体
で被覆したものであってもよい。前記誘電体板13等を接
着した前記遮蔽板12の前記円形導波管10の中心軸方向の
長さは同誘電体板13等の同方向の最大長と等しいか、あ
るいは同誘電体板13等の同方向の最大長より長いものと
する。

【００１３】前記遮蔽板12および前記誘電体板13等を備
えた前記円形導波管10の一端に同軸線路10a を両者の中
心軸を一致せしめて接合し、同同軸線路10a の中心導体
11は同遮蔽板12の一端と接着する。前記遮蔽板12の前記
中心導体11との接着は必ずしも電気的に導通が必要な
く、伝送する電磁波の波長に対して無視しうる程度であ
れば間隙があってもよい。

【００１４】前記遮蔽板12および前記誘電体板13等を備
えた前記円形導波管10に、図４に示す例の如く同円形導
波管10より小径の同軸線路16を同軸に接合し、同円形導
波管10の内径と同同軸線路16の外径差による空隙がある
ときは、双方の外部導体を電気的に接続する輪状金属板
15により封止し、同同軸線路16の中心導体11を前記遮蔽
板12の一端と接着するものであってもよい。すなわち、
前記同軸線路16のＴＥ11モードの電磁波に対する遮断周
波数を伝送する電磁波の周波数より高くなる如く、前記
（２）式で示す外部導体の管内半径および中心導体の半
径の同軸線路16を選定し、同同軸線路16にＴＥ11モード
の電磁波の伝播を阻止する。前記同軸線路16のＴＥ11モ
ードの電磁波の伝播を阻止する範囲で、伝送する電磁波
の伝送損失を少なくなるように大きな値の同同軸線路16
の外部導体の管内半径および中心導体の半径を選ぶ。

【００１５】前記円形導波管10を接合した前記同軸線路
10a または16の他端に、図５に示す如く同同軸線路10a
、16と互いの中心軸が直交する方形導波管17を接合
し、同方形導波管17の接合面の管壁を貫通して同同軸線
路10a 、16のの中心導体11を延長挿入し、同方形導波管
17の励振プローブとするとともに同中心導体11に固着し
た絶縁材よりなる中継軸18を介して同方形導波管17の管
外に設置のモータ19の回動軸と固着し、同中心導体11と
ともに同中心導体11に固着した前記遮蔽板12および誘電
体板13または金属塊14を回動するものとすることもでき
る。

【００１６】

【発明の効果】以上のように円形導波管と同軸線路を同
軸に接合するため、比較的簡易な加工手順により高精度
の変換器を製作が可能となり、取り扱い易い形状にする
とともに安価な製品を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の円形導波管−同軸線路モード変換器の
一部切り欠き斜視図である。

【図２】同上変換器の電界分布を示す説明図である。

【図３】本発明の他の実施例の一部切り欠き斜視図であ
る。

【図４】図１に示す実施例の同軸線路を異径とした例の
一部切り欠き斜視図である。

【図５】図４に示す実施例の遮蔽板および誘電体板を回
動可能とした例の構成を示す説明図である。

【図６】従来の円形導波管−同軸線路モード変換器の一
部切り欠き斜視図である。

【符号の説明】

10 円形導波管 10a 同軸線路 11 同軸線路の中心導体 12 遮蔽板 13 誘電体板 14 金属塊 15 輪状金属板 16 同軸線路 17 方形導波管 18 中継軸 19 モータ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円形導波管をＴＥ11モードで伝播する電磁
   波を同円形導波管に接合した同軸線路にＴＥＭモードの
   電磁波で伝播せしめる変換器において、同円形導波管内
   のＴＥ11モードの電界分布を同電界に垂直な面で二当分
   する遮蔽板を挿入し、同円形導波管内の同遮蔽板により
   分割した一方の空間内に同空間を伝播する電磁波の位相
   を他方のそれより１８０度遅延せしめる位相器を挿入
   し、同遮蔽板の同円形導波管開口端と反対側の切断面に
   同円形導波管と同軸に接合した同軸線路の中心導体を当
   着し、同同軸線路にＴＥＭモードの電磁波を伝播せしめ
   ることを特徴とする円形導波管／同軸線路モード変換
   器。
2. 【請求項２】前記円形導波管の前記遮蔽板により分割し
   た一方の空間内に挿入した位相器を、同遮蔽板に垂直で
   しかも同円形導波管の中心軸を含み同中心軸に平行な面
   内に配置の誘電体板としたことを特徴とする請求項１記
   載の円形導波管／同軸線路モード変換器。
3. 【請求項３】前記円形導波管の前記遮蔽板により分割し
   た一方の空間内に挿入した位相器を、同円形導波管の中
   心軸に沿った同遮蔽板の中心線上に配置の棒状金属塊、
   または同金属塊に誘電体を同遮蔽板と垂直方向に積層し
   た棒状複合材としたことを特徴とする請求項１記載の円
   形導波管／同軸線路モード変換器。
4. 【請求項４】伝送する電磁波の周波数よりＴＥ11モード
   の遮断周波数が高くなる外部導体内径および中心導体直
   径の同軸線路を前記円形導波管と同軸に接合し、同中心
   導体の先端を前記遮蔽板に接着したことを特徴とする請
   求項１乃至請求項３記載の円形導波管／同軸線路モード
   変換器。
5. 【請求項５】前記同軸線路の前記円形導波管接合の他端
   に互いの中心軸が直交する方形導波管を接合し、同同軸
   線路の中心導体を延長して同方形導波管内に挿入し、励
   振プローブとするとともに同中心導体を絶縁材よりなる
   中継軸でさらに延長し、同方形導波管外に備えたモータ
   の回動軸と固着し、同中心導体に固着した前記遮蔽板と
   ともに前記遅延材を回動せしめることを特徴とする請求
   項１乃至請求項４記載の円形導波管／同軸線路モード変
   換器。